○交通事故分析要綱の制定

平成12年8月1日

交総発甲第60号

交通事故の分析については、交通事故分析要綱の制定(昭和40年交企発甲第221号)により運用してきたところであるが、このたび業務の見直しに伴い、従前の要綱の全部を別記のように改正し、平成12年8月1日から適用することとしたから、その適正な運用に努められたい。

別記

交通事故分析要綱

第1 総則

1 目的

この要綱は、科学的かつ実証的な交通事故(以下「事故」という。)の分析(以下「事故分析」という。)の実施に関し必要な事項を定め、もって効果的な事故防止対策の推進に資することを目的とする。

2 用語の意義

(1) この要綱において「死亡事故」とは、死者(事故の発生時に死亡した者及び発生後24時間以内に死亡した者をいう。以下同じ。)を出した事故をいう。

(2) この要綱において「重大事故」とは、5人以上の負傷者を出した事故、汽車又は電車の衝突、脱線又は転覆により交通に著しく障害を及ぼすと認められる事故その他一般交通に著しく障害を及ぼし、又は社会的影響が大きいと認められる事故をいう。

3 交通事故分析官等

(1) 設置

ア 交通総務課に交通事故分析官(以下「分析官」という。)及び交通事故分析員(以下「分析員」という。)を、高速道路交通警察隊及び警察署に交通事故分析責任者(以下「分析責任者」という。)及び交通事故分析担当者(以下「分析担当者」という。)を置く。

イ 分析官には、交通総務課の課長補佐のうち交通総務課長が指名する者をもって充てる。

ウ 分析員には、交通総務課交通事故対策室統計係員をもって充てる。

エ 分析責任者には、高速道路交通警察隊にあっては隊長補佐を、警察署にあっては交通課長(地域交通課長を含む。)をもって充てる。

オ 分析担当者には、交通総務を担当する係長をもって充てる。

(2) 任務

ア 分析官は、死亡事故及び重大事故については事故分析を進める上で必要に応じて臨場し、調査の結果得られた情報等を多角的に活用して、事故防止対策に資する事故分析を行うものとする。また、交通事故統計の正確性及び斉一性を保持するため、必要に応じて分析責任者、分析員又は分析担当者に対し指導教養を実施するものとする。

イ 分析責任者は、死亡事故及び重大事故については必ず臨場し、それ以外の事故については、必要により臨場して捜査及び事故防止対策の観点から事故分析を行うものとする。

ウ 分析員は分析官を、分析担当者は分析責任者を補佐するものとする。

4 事故分析の対象

事故分析は、主として死亡事故、重大事故及びその他負傷者を出した事故について行うものとする。

5 事故分析の種別

(1) 事故分析は、統計的分析及び事例的分析とする。

(2) 統計的分析は、統計的方法によって行う分析をいい、路線別分析及び組織別分析とする。

(3) 事例的分析は、特定された事例について行う分析をいい、個別的事故の分析、道路交通環境の適性分析、運転者の適性分析及び車両の適性分析とする。

第2 統計的分析

1 路線別分析

(1) 路線別分析の対象は、高速自動車国道、一般国道その他事故防止対策上必要と認められる道路(以下「対象路線」という。)とする。

(2) 路線別分析は、対象路線において発生した事故の類型を交通事故情報管理システムの事故類型図に登録して行うものとする。

2 組織別分析

組織別分析は、道路交通法(昭和35年法律第105号)第74条の3の規定に基づき安全運転管理者を選任することとされている事業所を対象に、事故発生状況等に関する統計を基礎として各事業所別の分析を行うものとする。

第3 事例的分析

1 個別的事故の分析

(1) 個別的事故の分析は、個々の死亡事故及び重大事故について、現場分析及び背景分析を行うものとする。

(2) 現場分析は、事故現場の実地調査、事故当事者等の事情聴取等により道路環境、交通環境、人的状況、車両状況等からの要因を分析するものとする。

なお、事故現場の実地調査においては、死亡事故については原則として、重大事故については必要に応じて道路管理者等の臨場を依頼するものとする。

(3) 背景分析は、事故当事者その他当該事故当事者と密接な関係を有する家族、雇用者等からの事情聴取により、当該事故当事者の心理的状況、身体的状況等からの間接要因(遠因)を分析するものとする。

2 道路交通環境の適性分析

道路交通環境の適性分析は、主として路線別分析を参考の上、道路構造、交通安全施設の設置、道路標識・標示の整備等の道路環境及び交通環境の適性について分析を行うものとする。

3 運転者の適性分析

運転者の適性分析は、事故当事者である運転者のうち、運転に支障を及ぼすおそれがあると認められるものの運転適性について、必要により専門的な立場から精密な分析を行うものとする。

4 車両の適性分析

車両の適性分析は、事故の原因が車両の構造又は整備状況にあると認められる場合において、当該車両の適性について機械工学、人間工学等の立場から分析を行うものとする。

第4 事故防止対策の有効度の測定

高速道路交通警察隊長及び警察署長(以下「警察署長等」という。)は、交通規制の実施、交通安全施設の充実その他の道路交通環境の改善に係る事故防止対策について実施し、又は実施された場合は、その有効度を測定するものとする。

第5 報告

1 現場分析及び背景分析の結果

警察署長等は、死亡事故及び重大事故について現場分析及び背景分析を行った場合で、交通事故の報告(昭和45年交指・交制発甲第2号)に定める即報事故として報告した事項以外の事項については、交通部長(交通総務課長経由。以下同じ。)に報告するものとする。

2 事故多発区間又は地点の道路交通環境の適性分析

警察署長等は、事故多発区間又は地点の道路交通環境の適性分析を行った場合で、更に専門的な方法による分析を必要と認めるときは、交通部長に報告するものとする。

3 新たな道路交通環境の改善に係る事故防止対策

警察署長等は、新たな道路交通環境の改善に係る事故防止対策について実施し、又は実施された場合は、その都度、交通部長に報告するものとする。

4 事故防止対策の有効度の測定結果

警察署長等は、第4による事故防止対策の有効度の測定を行った場合は、その結果を交通部長に報告するものとする。

5 参考となる分析方法等

警察署長等は、効果的な事故防止対策を樹立する上で参考となる分析方法等があるときは、遅滞なく交通部長に報告するものとする。

〔平18交総発甲70号平26交総発甲181号平29交総発甲73号令3務警発甲62―1号令4務警発甲58号・本別記一部改正〕

交通事故分析要綱の制定

平成12年8月1日 交総発甲第60号

(令和4年1月1日施行)

体系情報
第7編 通/第1章 則/第2節 統計・分析
沿革情報
平成12年8月1日 交総発甲第60号
平成18年 交総発甲第70号
平成26年 交総発甲第181号
平成29年 交総発甲第73号
令和3年 務警発甲第62号の1
令和4年 務警発甲第58号