○暴走族等の追放の促進に関する条例
平成十四年十二月二十日
愛知県条例第六十号
暴走族等の追放の促進に関する条例をここに公布する。
暴走族等の追放の促進に関する条例
(目的)
第一条 この条例は、暴走族等の追放の促進に関し、県、県民、事業者等の責務を明らかにするとともに、県が実施する施策について必要な事項を定めること等により、県、県民、事業者、市町村等が一体となって暴走族等のいないまちづくりを推進し、もって県民生活の安全と平穏を確保し、及び少年の健全な育成に寄与することを目的とする。
一 自動車等 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号。以下「法」という。)第二条第一項第九号に規定する自動車又は同項第十号に規定する原動機付自転車をいう。
二 少年 二十歳未満の者をいう。
三 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、少年を現に監護するものをいう。
四 道路 法第二条第一項第一号に規定する道路をいう。
五 暴走行為等 次のいずれかに該当する行為をいう。
イ 法第六十八条の規定に違反する行為又は二台以上の自動車等を連ねて通行させ、若しくは並進させる場合において、法第七条、法第十七条、法第二十二条第一項若しくは法第六十二条の規定に違反する行為
ロ 法第七十一条第五号の三の規定に違反する行為又は法第七十一条の二の規定に違反する行為で著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる騒音を生じさせるもの
ハ 公衆が出入りすることができる公園、駐車場その他の場所(道路を除く。以下「公共の場所」という。)において、正当な理由がないのに、著しく他人に危険を覚えさせるような方法又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる騒音を生じさせるような方法で、自動車等を急に発進させ、若しくは急に転回させて走行し、又は自動車等の原動機の動力を車輪に伝達させないで原動機の回転数を増加させる行為
六 暴走族 暴走行為(前号イに掲げる行為をいう。以下同じ。)を行うことを目的として結成された集団をいう。
七 暴走族等 暴走族及び暴走行為等を行う者をいう。
八 暴走族等の追放 暴走族等による暴走行為等の防止、暴走族への加入の防止、暴走族からの脱退の促進等を図ることにより、暴走族等のいない社会を築くことをいう。
(県の責務)
第三条 県は、暴走族等の追放の促進に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(県民の責務)
第四条 県民は、暴走行為等を助長するおそれのある行為を行わないよう努めるとともに、県が実施する暴走族等の追放の促進に関する施策に協力する責務を有する。
(保護者の責務)
第五条 保護者は、その監護に係る少年に対し、次に掲げる事項に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
一 暴走族に加入させないこと、及び暴走族に加入していることを知ったときは、当該暴走族から脱退させること。
二 暴走行為等を行わせないこと。
三 暴走行為等に係る自動車等に同乗させないこと。
四 暴走行為等を行う目的での自動車等の購入、改造又は使用をさせないこと。
五 暴走行為等の見物に行かせないこと。
(学校、職場等の関係者の責務)
第六条 学校、職場その他少年の育成に携わる団体の関係者は、相互に連携して、その職務又は活動を通じて、少年の暴走族への加入の防止、暴走族に加入している少年の当該暴走族からの脱退の促進及び少年による暴走行為等の防止に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(自動車等の販売業者等の責務)
第七条 自動車等若しくは自動車等の部品を販売し、又は自動車等を修理することを業とする者は、県が実施する暴走族等の追放の促進に関する施策に協力するよう努めるとともに、法第六十二条若しくは法第七十一条の二の規定に違反することが外観上明らかな自動車等その他の暴走行為等に使用されるおそれのある自動車等の販売又は暴走行為等を助長するおそれのある自動車等(道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第三項に規定する原動機付自転車に限る。以下この項において同じ。)の部品の販売若しくは自動車等の改造をすることにより暴走行為等を助長することのないよう努めなければならない。
2 自動車等の燃料を販売することを業とする者は、県が実施する暴走族等の追放の促進に関する施策に協力するよう努めるとともに、次の各号のいずれかに該当することが外観上明らかな自動車等を運転する者に対して燃料を販売することにより暴走行為等を助長することのないよう努めなければならない。
一 法第六十二条又は法第七十一条の二の規定に違反すること。
二 道路運送車両法第十九条又は第七十三条第一項(同法第九十七条の三第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反すること。
三 市町村(特別区を含む。)の条例で定めるところにより道路運送車両法第二条第三項に規定する原動機付自転車に取り付けることとされている標識又は当該標識に記載された番号を当該原動機付自転車の後面に見やすいように表示していないこと。
3 衣服、鉢巻き、旗等(以下「衣服等」という。)に刺しゅうし、又は印刷することを業とする者は、県が実施する暴走族等の追放の促進に関する施策に協力するよう努めるとともに、暴走族又は暴走行為に関する文字、図形又は模様(以下「文字等」という。)を衣服等に刺しゅうし、又は印刷することにより暴走行為等を助長することのないよう努めなければならない。
4 特定電気通信設備(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第二条第二号に規定する特定電気通信設備をいう。)を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供することを業とする者は、県が実施する暴走族等の追放の促進に関する施策に協力するよう努めるとともに、当該特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に暴走行為に参加することを呼び掛けるための情報が記録されたことを知ったときは、当該情報の送信を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(自動車等の運転者の責務)
第八条 自動車等を運転する者は、暴走行為等が行われていることを知ったときは、速やかに、その旨を警察官に通報するよう努めなければならない。
(公共の場所の管理者の責務)
第九条 暴走族等が常習的に集合する公共の場所の管理者は、暴走族等の集合を禁止する旨の掲示をする等暴走族等の集合を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(基本方針)
第十条 知事は、暴走族等の追放の促進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 暴走族等による暴走行為等の防止に関する基本的な事項
二 暴走族への加入の防止に関する基本的な事項
三 暴走族からの脱退の促進に関する基本的な事項
四 前各号に掲げるもののほか、暴走族等の追放の促進に関する重要事項
3 知事は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
4 前項の規定は、基本方針の変更について準用する。
(市町村等に対する協力の要請)
第十一条 県は、暴走族等の追放の促進に関する施策を実施するに当たっては、市町村、道路管理者その他関係行政機関(以下「市町村等」という。)に対し、必要な協力を求めるものとする。
(県民の活動等に対する協力)
第十二条 県は、県民及び事業者が行う暴走族等の追放に関する活動並びに市町村等が実施する暴走族等の追放に関する施策の促進に資するため、県民、事業者及び市町村等に対し、必要な情報の提供その他の協力を行うよう努めるものとする。
(暴走行為に関連する行為の禁止)
第十三条 何人も、暴走行為を行うことを目的として、次に掲げる行為をしてはならない。
一 自動車等を準備して道路又は公共の場所に集合すること。
二 タオル、手ぬぐいその他これらに類する物で顔面の全部又は一部を覆い隠して自動車等に乗車すること。
三 暴走族又は暴走行為に関する文字等を表示した衣服を着用して当該文字等が公衆の目に触れるような状態で自動車等に乗車すること。
(公共の場所における自動車等の急発進行為等の禁止)
第十四条 何人も、公共の場所において、正当な理由がないのに、著しく他人に危険を覚えさせるような方法又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる騒音を生じさせるような方法で、自動車等を急に発進させ、若しくは急に転回させて走行し、又は自動車等の原動機の動力を車輪に伝達させないで原動機の回転数を増加させてはならない。
2 何人も、祭礼又は興行その他の娯楽的催物に際し、多数の人が集まっている公共の場所において、暴走族又は暴走行為に関する文字等を表示した衣服を当該文字等が公衆の目に触れるような状態で着用し、かつ、円陣を組む等の著しく公衆に迷惑を及ぼすこととなる方法で威勢を示すことにより、公衆に不安を覚えさせてはならない。
(少年に対する暴走族の結成の指導行為等の禁止)
第十五条 何人も、少年に対し、暴走族を結成し、若しくは維持することを指導し、少年が暴走族を結成し、若しくは維持することを援助し、又は少年に対し、暴走族の構成員となることを勧誘し、若しくは強制し、若しくは暴走族から脱退しないことを強制してはならない。
2 何人も、少年に対し、暴走行為を行うことを勧誘し、唆し、若しくは強制し、又は暴走行為を行わせる目的をもって金品その他の財産上の利益を供与してはならない。
3 何人も、少年が行う暴走行為を容認すること又は少年が行う暴走行為に関連して生じる紛争若しくは生じた紛争の解決若しくは鎮圧を行う役務を提供することの対償として、当該少年に対し、団体若しくは多衆の威力を示して若しくは団体若しくは多衆を仮装して威力を示して金品その他の財産上の利益の供与を要求し、又は当該少年から、正当な権原がないのに金品その他の財産上の利益の供与を受けてはならない。
(罰則)
第十六条 前条の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 第十四条第一項の規定に違反した者は、五万円以下の罰金に処する。
附則
この条例は、平成十五年四月一日から施行する。