○仮運転免許の取消処分事務取扱要綱の制定

昭和48年5月18日

交免発甲第25号

道路交通法の一部を改正する法律(昭和47年法律第51号)及び道路交通法施行令の一部を改正する政令(昭和48年政令第27号)が施行され、仮運転免許(以下「仮免許」という。)の取消し制度が新たに設けられたことに伴い、その細部的事務の取扱いについて別記「仮運転免許の取消し処分事務取扱要綱」を定め、昭和48年5月21日から実施することとしたので、運用について遺憾のないようにされたい。

なお、この制度の制定の趣旨及び要点は、次のとおりである。

〔平6交総・交指・交駐・交制・交免発甲59号・本制定文一部改正〕

1 仮免許の取消制度の制定趣旨

従前、仮免許を受けている者が交通違反により事故を起こした場合等には、仮免許の有効期間の指定変更処分を行うことによつて、措置することとしていたが、普通免許の受験資格に路上練習が義務付けられたことに伴い、仮免許の取得者が激増するとともに、処分の対象事案も増加するので、仮免許の取消制度を新設し、迅速かつ的確に危険性を排除しようとするものである。

〔平4交免・交総・交指・交規・交試・交東免・務警発甲46号平19交免発甲74号・本項一部改正〕

2 仮免許の取消制度の要点

(1) 取消権者

道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第114条の2第1項及び愛知県道路交通法施行細則(昭和35年愛知県公安委員会規則第6号。以下「道交細則」という。)第15条の2の規定により、警察本部長が行うものである。

(2) 取消しの基準

仮免許を受けた者が法第106条の2に該当することとなつたときは、道路交通法施行令(昭和35年政令第270号。以下「令」という。)第39条の3に規定する基準に従い、その者の仮免許を取り消すことができるものである。

(3) 本免許の行政処分等

仮免許を受けた者が当該仮免許で運転中、令第39条の3第1項各号に掲げる基準に該当することとなつたときは、当該仮免許を取り消すとともに、当該取消しの事由とされた違反(事故)登録を行うものであり、このような場合に、その者が仮免許以外の第1種免許又は第2種免許(以下「本免許」という。)を受けており、当該違反(事故)に係る累積点数が処分の基準点数に達したときは、当該仮免許以外の本免許の取消し又は効力の停止が行われるものである。また、これとは逆に、本免許と併せて仮免許を受けている者が当該本免許によつて運転中、違反(事故)をした場合に、これが令第39条の3第1項各号に該当するときは、仮免許も取り消すものである。この場合において、本免許の行政処分を行う場合は、運転免許行政処分事務処理要綱(平成6年交免発甲第60号)に定める手続により行うものとする。

(4) 免許試験の免除

前記(3)による仮免許の取消しを受けた者は、令第34条の5第5号の規定による免許試験の免除がされず、また当該仮免許の取消し前に発行された修了証明書(技能検定を受けた日から起算して3月を経過していないもの。)を有していても、技能試験の免除がされないものである。

(5) 拒否、保留の処分

前記(3)による仮免許の取消しを受けた者が仮免許以外の免許の試験に合格した場合に当該免許の取消し事由となつた違反(事故)を含めて、その累積点数が処分基準に達しているときは、免許の拒否又は保留の処分が行われるものである。

(6) その他

仮免許の取消しには、聴聞及び意見の聴取並びに欠格期間の指定はないが、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の審査請求の対象となるものである。

〔平4交免・交総・交指・交規・交試・交東免・務警発甲46号平6交総・交指・交駐・交制・交免発甲59号、平10交総・交指・交駐・交制・交免・務警発甲27号平17交免発甲3号平19交免発甲74号平21交免発甲91号平28務監発甲52号平29交免発甲31号・本項一部改正〕

別記

仮運転免許の取消処分事務取扱要綱

第1 目的

この要綱は、仮免許の取消処分について必要な報告、処分の執行等具体的な事務の取扱方法を定め、迅速かつ適正な処理を図ることを目的とする。

第2 取消対象事案の報告

自動車警ら隊長、第一交通機動隊長、第二交通機動隊長、高速道路交通警察隊長及び警察署長(以下「警察署長等」という。)は、仮免許を受けている者について別表に掲げる仮運転免許の取消対象事案に該当する者を検挙し、又は発見したときは、所定の事務処理をするほか、様式第1の仮運転免許取消対象事案の報告に基づき、速やかに運転免許課長に連絡をするものとする。

第3 取消処分の審査及び弁明調書の作成等

1 事案の審査等

運転免許課長は、警察署長等から報告を受けた仮免許の取消対象事案について審査し、取消しを相当と認めるときは、様式第2の仮運転免許取消処分事務処理票を作成するとともに、速やかに被処分者に対し、出頭の日時及び場所を連絡するものとする。この場合において特別の事情があるときは、速やかに被処分者の住所地を管轄する警察署長に様式第3の仮運転免許取消処分執行通知書、様式第4の仮運転免許取消処分通知書及び道交細則様式第33の運転免許証返納届を送付し、処分の通知を依頼するものとする。

2 対象事案が他の都道府県にかかわる場合の取扱い

(1) 被処分者の住所が他の都道府県の場合には、運転免許課長は当該住所地を管轄する警察本部の運転免許担当課長に、事案の内容を通報するものとする。

(2) 他の都道府県警察本部の運転免許担当課長から、仮免許の取消対象事案の通報があつた場合は、1に準じて処理するものとする。

3 弁明調書の作成

運転免許課長及び警察署長等は、仮免許の取消処分を行う場合は、本免許の行政処分に準じて、手続の適正を担保とするため運転免許行政処分事務処理要綱様式第7の弁明調書を作成するものとする。

第4 処分の執行

1 運転免許課長の処理

運転免許課長は、被処分者に仮運転免許取消処分通知書を交付して、処分を執行するものとする。

2 警察署長の処理

仮運転免許取消処分執行通知書等の送付を受けた警察署長は、速やかに仮運転免許取消処分通知書を被処分者に交付して処分を執行し、その結果を運転免許課長に連絡するとともに、仮運転免許取消処分執行通知書の「執行」欄に、所要事項を記入の上、ファイルしておくものとする。

第5 処分記録の整理

運転免許課長は、被処分者が現に受けている本免許の取消し若しくは停止又は本免許の拒否若しくは保留の各処分を迅速かつ的確に行うため、次により関係書類の記録整理をするものとする。

(1) 被処分者名簿の記載

仮免許の取消処分を受けた者について様式第5の仮運転免許被取消処分者名簿に記載してファイルし、活用するものとする。

(2) 報告書等の整理

仮運転免許取消処分事務処理票及びその添付書類は、一括して月日順にファイルしておくものとする。

〔昭56務警発甲7号平6交総・交指・交駐・交制・交免発甲59号平10交免発甲54号平17交免発甲3号平19交免発甲74号平21交免発甲91号平29交免発甲31号・本別記一部改正〕

別表

〔昭53交企発甲52号平6交総・務警・交指・交駐・交免発甲44号平10交総・交指・交駐・交制・交免・務警発甲27号・本表一部改正、平17交免発甲3号・本表全部改正、平18交総発甲70号平19交免発甲74号同交総・交指・交駐・交免発甲119号平21交免発甲91号平25交総発甲223号平26交総発甲118号平29交免発甲31号令2交免発甲113号令4交免発甲87号・本表一部改正〕

仮運転免許の取消対象事案

区分

対象事案等

法第106条の2第1項

一定の病気、身体障害、薬物中毒等

法第103条第1項第1号から第3号までのいずれかに該当することとなつたこと(同項第1号に該当することとなつた場合において、6月の間自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないと認められるときを除く。)

交通事故

(1) 違反行為をし、よつて交通事故を起こして人を死亡させ、若しくは傷をつけ、又は建造物を損壊したこと。

(2) 道路以外の場所において自動車等を本来の用い方に従つて用いることにより人を死傷させる行為を故意によりしたこと。

(3) 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年法律第86号)第2条から第4条までの罪に当たる行為をしたこと。

交通違反

違反名

条文

罰条

(1) 救護義務違反

第72条第1項前段

第117条

(2) 酒酔い運転

第65条第1項

第117条の2第1項第1号

(3) 麻薬等運転

第66条

第117条の2第1項第3号

(4) 酒気帯び運転

第65条第1項

第117条の2の2第1項第3号

(5) 過労運転

第66条

第117条の2の2第1項第7号

(6) 共同危険行為等

第68条

第117条の3

(7) 無免許運転

第64条第1項

第117条の2の2第1項第1号

(8) 30キロメートル毎時以上の速度超過

(ただし、高速自動車国道等にあつては40キロメートル毎時以上)

第22条

第118条第1項第1号

(9) 積載物重量制限超過

(大型自動車等による2倍以上の重量超過に限る。)

第57条第1項

第118条第2項第1号

(10) 携帯電話使用等(交通の危険)

第71条第5号の5

第117条の4第2号

(11) 緊急車無資格運転

第85条第6項第7項第8項第9項及び第10項

第118条第1項第5号

(12) 仮免許違反

第87条第2項後段

第118条第1項第6号

(13) 重大違反唆し等

第103条第1項第6号


(14) 妨害運転(著しい交通の危険)

第117条の2第1項第4号

(15) 妨害運転(交通の危険のおそれ)

第117条の2の2第1項第8号

道路運送車両法違反

無車検車運行

道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第58条第1項

第108条第1号

自動車損害賠償保障法違反

無保険車運行

自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)第5条

第86条の3第1号

法第106条の2第2項

適性検査等不受検

(1) 法第101条の7第2項の規定による通知を受けた者が同条第3項の規定に違反して当該通知に係る認知機能検査を受けなかったこと。

(2) 法第101条の7第5項の規定による通知を受けた者が同条第6項の規定に違反して当該通知に係る講習を受けなかったこと。

(3) 法第102条第1項から第4項までの規定による命令を受けた者が当該命令に違反したこと。

(4) 法第102条第6項の規定による通知を受けた者(令第37条の7第1号の規定に基づき本人からの申出により適性検査を受けることとなつた者を除く。)が同条第7項の規定に違反して当該通知に係る適性検査を受けなかつたこと(当該適性検査を受けないことについてやむを得ない理由がある場合を除く。)

〔平5総務発甲42号平6交総・交指・交駐・交制・交免発甲59号・本様式一部改正、平8交総・交指・交制・交免・交試・交東免発21号・本様式全部改正、平19交免発甲74号平25交免発甲164号平29交免発甲31号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

画像画像

〔平5総務発甲42号・本様式一部改正、平6交総・交指・交駐・交制・交免発甲59号・旧様式3を繰上、平17交免発甲3号平19交免発甲74号平25交免発甲164号平29交免発甲31号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

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〔平5総務発甲42号・本様式一部改正、平6交総・交指・交駐・交制・交免発甲59号・旧様式4を繰上、平19交免発甲74号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

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〔平5総務発甲42号・本様式一部改正、平6交総・交指・交駐・交制・交免発甲59号・旧様式5を繰上、平17交免発甲3号同40号平19交免発甲74号平28務監発甲52号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

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〔平5総務発甲42号・本様式一部改正、平6交総・交指・交駐・交制・交免発甲59号・旧様式6を繰上、平19交免発甲74号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

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仮運転免許の取消処分事務取扱要綱の制定

昭和48年5月18日 交免発甲第25号

(令和5年7月1日施行)

体系情報
第7編 通/第5章 運転免許/第2節 行政処分
沿革情報
昭和48年5月18日 交免発甲第25号
昭和53年 交企発甲第52号
昭和56年 務警発甲第7号
平成4年 交免・交総・交指・交規・交試・交東免・務警発甲第46号
平成5年 総務発甲第42号
平成6年 交総・交指・交駐・交制・交免発甲第59号
平成6年 交総・務警・交指・交駐・交免発甲第44号
平成8年 交総・交指・交制・交免・交試・交東免発第21号
平成10年 交免発甲第54号
平成10年 交総・交指・交駐・交制・交免・務警発甲第27号
平成17年 交免発甲第3号
平成17年 交免発甲第40号
平成18年 交総発甲第70号
平成19年 交免発甲第74号
平成19年 交総・交指・交駐・交免発甲第119号
平成21年 交免発甲第91号
平成25年 交総発甲第223号
平成25年 交免発甲第164号
平成26年 交総発甲第118号
平成28年 務監発甲第52号
平成29年 交免発甲第31号
令和元年 務警発甲第93号
令和2年 交免発甲第113号
令和4年 交免発甲第87号
令和4年9月30日 交総・交指・交免発甲第138号
令和5年6月30日 交総発甲第118号