○愛知県警察サイバー戦略の制定

令和5年1月17日

生戦・務警発甲第6―1号

愛知県警察サイバー戦略の制定

本県警察においては、愛知県警察サイバーセキュリティ戦略の制定(平成30年生戦・務警発甲第146号。以下「旧通達」という。)により、サイバー空間の脅威に関する諸対策を推進しているところであるが、更なる情報通信技術の発達、社会のデジタル化の進展により、サイバー空間は重要な社会活動が営まれる公共空間へと進化している。また、様々な社会経済活動がサイバー空間を通じて非対面又は非接触で行われるものへと大きく移行する中、ランサムウェアによる被害の拡大、不正アクセスによる個人情報の流出等、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢が続いている。

こうした情勢を踏まえ、本県警察の総合力を発揮した効果的な対策を推進するため、別記のとおり愛知県警察サイバー戦略を定め、実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。

なお、旧通達は廃止する。

別記

愛知県警察サイバー戦略

第1 趣旨

この通達は、本県警察においてサイバー空間の安心及び安全を確保し、サイバー空間の脅威に適切に対処するために必要な事項を定めるものとする。

第2 人的及び物的基盤の強化

1 サイバー事案(警察法(昭和29年法律第162号)第5条第4項第6号ハに規定する事案をいう。以下同じ。)への対処に必要となる専門的な知識及び技術を有する職員の採用並びに育成を部門横断的かつ体系的に推進する。

2 サイバー・デジタル分野において、高度で、かつ、専門的な知見及び技能を有する団体、民間事業者、学術機関等による研修及び当該民間事業者への一定期間の職員の派遣を推進するほか、職員に対する高度で、かつ実践的な教養の受講機会を確保する。

3 捜査部門と情報技術解析部門との人事交流、知見の共有等を促進することにより、捜査及び解析の双方に精通した人材層の充実を図る。

4 サイバー・デジタル分野において顕著な実績を挙げた職員に対し、適切な賞揚を行うこと等により、更なる能力の研さんと職務への精励を促す。

5 サイバー事案への対処に必要な資機材の整備及び高度化、情勢に応じた機能強化等を推進し、対処能力の向上を図る。

6 本県警察に対するサイバー事案を想定し、情報セキュリティインシデントに発展し得る情報を集約して組織的に管理するほか、職員の情報リテラシーの向上及び情報セキュリティインシデントの対処能力の強化を図る。

第3 実態把握と社会変化への適応力の強化

1 新たなサービス、技術等の開発等により急速に変化する情勢に対処するため、平素からの情報収集及び分析に努める。

2 県民、民間事業者等からのサイバー事案に関する通報又は相談に適切かつ円滑に対応するため、職員全体のサイバー・デジタル分野に係る対処能力の向上を図るとともに、対応体制の充実を図る。

3 重要インフラ事業者等との実践的な共同対処訓練を実施するとともに、情報窃取の標的となるおそれの高い先端技術を有する事業者等との情報交換を積極的に推進する。

第4 部門間連携の推進

1 サイバー事案の認知、対処、実態解明及び被害防止対策の各段階において、部門間における連携の強化を図る。

2 サイバー事案に対しては、各部門の事件主管課が主体的に捜査を推進する。特に、高度な情報技術が悪用され、組織的に敢行されるサイバー事案に対しては、関係部門が連携して捜査を推進するとともに、その手口、組織的なつながり等の実態解明を推進する。

3 国境を越えて敢行されるサイバー事案の捜査に当たっては、警察庁と緊密な連携を図り外国捜査機関等からの共助要請に適切に対応するとともに、捜査端緒の入手の観点から初動捜査を徹底する。

第5 官民連携の推進

1 産学官の情報、知見等を活用したサイバー事案に係る取締り及び被害防止対策を推進する。

2 県民、民間事業者等による自主的な被害防止対策を促進するため、情報セキュリティ対策を支援する団体及び関係機関と連携した効果的な広報啓発活動等を推進する。

3 民間事業者との信頼関係の構築に努め、新たなサービス、技術等の悪用を防止する観点からのサービス設計の見直し、事後追跡可能性の確保等が行われるよう、被害実態の情報提供等を通じた働き掛けを推進する。

4 地域社会全体のサイバーセキュリティの水準を向上させるため、サイバー防犯ボランティア、教育機関等の多様な主体と連携し、各種防犯活動等を推進する。

愛知県警察サイバー戦略の制定

令和5年1月17日 生戦・務警発甲第6号の1

(令和5年1月17日施行)

体系情報
第4編 生活安全/第1章 生活安全/第7節 サイバー犯罪対策
沿革情報
令和5年1月17日 生戦・務警発甲第6号の1