○少年事件選別主任者制度運用要綱の制定
令和5年12月27日
生少発甲第221号
この度、少年事件選別主任者制度に係る業務について見直しを行ったことに伴い、別記のとおり少年事件選別主任者制度運用要綱を制定し、令和5年12月27日から実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。
なお、少年事件選別主任者制度の実施(昭和45年防少発甲第7号)は廃止する。
別記
少年事件選別主任者制度運用要綱
第1 趣旨
この要綱は、少年事件の対応に当たり、少年の特性に配意しつつ、個々の少年の適正な措置の選別及び処遇意見の選定を行うため、少年事件選別主任者等の指定、任務その他の運用に関し必要な事項を定めるものとする。
第2 少年事件選別主任者等の指定
1 少年事件選別主任者
少年課及び警察署に少年事件選別主任者(以下「選別主任者」という。)を置き、少年課にあっては少年課長が指定する課長補佐(事件担当)を、警察署にあっては警察署長が指定する生活安全課(生活安全刑事課を含む。以下同じ。)の課長又は課長代理(少年担当)をもって充てる。
2 少年事件選別補助者
少年課及び警察署に少年事件選別補助者(以下「選別補助者」という。)を置き、少年課にあっては少年課長が指定する係長(事件担当)を、警察署にあっては警察署長が指定する生活安全課の係長(少年係又は生活安全係担当)をもって充てる。
第3 署長等の職務
1 事件指揮
少年課長及び警察署長(以下「署長等」という。)は、選別主任者による措置の選別及び処遇意見の選定についての審査が、適正かつ円滑に行われるように少年事件を指揮すること。
2 緊密な連携
署長等は、少年事件の捜査等を少年警察部門以外の警察官に行わせるときは、少年警察部門との緊密な連携を図るように配意するとともに、少年の特性に配意した捜査又は調査(以下「捜査等」という。)が行われるよう、選別主任者に捜査等の経過について常に把握させること。
3 選別主任者からの意見の聴取
署長等は、個々の非行少年に対する措置の選別及び処遇意見の選定についての決定をしようとするとき及び少年又は重要な参考人の呼出し、令状の請求、事件の送致等を行うときは、少年の特性に鑑みて配意すべき事項について、選別主任者の意見を聴くこと。
第4 選別主任者の任務
1 措置の選別及び処遇意見の選定の審査
選別主任者は、少年事件(交通法令違反(犯罪統計細則(昭和46年警察庁訓令第16号)第2条第2号に規定する罪をいう。)、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年法律第86号)に規定する罪又は交通事故に係る刑法(明治40年法律第45号)に規定する罪に係る犯罪少年事件若しくは触法少年事件については、少年の適正な処遇を図るため特に必要と認められるものを除く。以下同じ。)の対応に当たり、個々の非行少年に対し、次に掲げる措置の選別及び処遇意見の選定の審査を行うこと。
ア 措置の選別
(ア) 送致又は通告の要否及び送致又は通告先の機関
(イ) 通常又は簡易送致の区分
イ 処遇意見の選定
(ア) 少年事件を送致する場合
家庭裁判所に対する当該少年の処遇意見の選定
(イ) 触法少年又はぐ犯少年に係る事件を通告等する場合
児童相談所長又は家庭裁判所に対する当該触法少年又はぐ犯少年の処遇意見の選定
2 意見の具申
(1) 選別主任者は、署長等が非行少年についての措置の選別及び処遇意見の選定を決定しようとするとき及び少年又は重要な参考人の呼出し、令状の請求、事件の送致等を行うときは、少年の特性に鑑みて配意すべき事項について、署長等に意見を述べること。
(2) 選別主任者は、身体の拘束を受けていない少年である被疑者の指紋及び掌紋の採取並びに写真の撮影を行うときは、少年の特性に鑑みて配意すべき事項について、署長等に意見を述べること。
3 緊密な連携
選別主任者は、少年警察部門以外の警察官が対応する少年事件について、少年の特性に配意した捜査等が行われるよう、捜査等の経過を常に把握すること。
第5 選別補助者の任務
1 選別補助者は、選別主任者の指揮に従い、必要な補助に当たること。
2 選別補助者は、選別主任者が捜査等の各段階において署長等に対して適切な意見を述べることができるよう、捜査等の進捗について、適時かつ的確な報告及び連絡を行うこと。
第6 措置の選別及び処遇意見の選定に係る留意事項等
1 審査の時期
選別主任者の行う措置の選別及び処遇意見の選定についての審査は、少年事件の捜査等が進展し、再非行のおそれ及び要保護性を判断するに必要な資料が収集できたときに行うものとする。ただし、通常送致とするか簡易送致とするかの選別の審査は、調書等の関係記録を作成する前に行うこと。
2 総合的な検討
選別主任者は、非行少年に対する措置の選別及び処遇意見の選定についての審査を行うに当たっては、次に掲げる事項について総合的な検討を行い、生活安全部長が別に定める少年事件総合選別検討表を作成し、個々の非行少年に最も適した措置の選別及び処遇意見の選定を行うこと。
ア 事案の態様
イ 非行の動機及び原因
ウ 再非行のおそれ
エ 保護者の実情
オ 非行少年の非行の防止及び立直りに向けての保護者の方針及び意向
カ 関係機関等の意見
3 留意事項
(1) 通常送致又は簡易送致の区分の選別は、罪種や被害の程度等の形式的な要件のみで判断することなく、犯罪の原因及び動機、非行少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から総合的に判断すること。
(2) 再非行のおそれについては、捜査等の結果から客観的に判断すること。
(3) 少年事件を対応するに当たり、個々の非行少年について措置の選別及び処遇意見の選定をしようとするときは、選別主任者の審査を経ること。