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風合い豊かな、抗菌性三河木綿を開発しました ~三河繊維技術センターが三河織物工業協同組合などと試作~
あいち産業科学技術総合センター三河繊維技術センター(蒲郡市。以下「センター」という。)は、抗菌性の三河木綿※1を開発しました。
この開発品は、愛知県と連携企業が特許出願している技術※2を活用し、三河木綿に抗菌性を付与したものです。三河木綿本来の豊かな風合い※3を有し、洗濯後も抗菌性が高いという特徴があります。また、合成素材を用いないため、SDGsや低炭素社会の実現に寄与するものです。
さらに、センターは三河織物工業協同組合(蒲郡市。以下「組合」という。)や繊維総合商社などと連携し、開発品を用いた綿製品(エコバックやデッキチェア座面など)を試作しました。
本試作品は、2022年11月18日(金曜日)・11月19日(土曜日)に蒲郡商工会議所(蒲郡市)で開催される、三河産地の繊維製品の展示会「テックスビジョン2022ミカワ」内の「あいち産業科学技術総合センター三河繊維技術センター研究試作展」及び、2022年12月7日(水曜日)から12月9日(金曜日)までの3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「エコプロ2022」において展示します。
1 開発の背景、概要
センターは、繊維の総合産地である三河地域において、生活関連素材や産業用素材の研究開発、製品評価を実施しています。また、産地としての基盤を生かした、企業の新規分野への進出を支援しています。
特に、愛知県特産品の三河木綿については、職人技術の継承や地域ブランド力向上を目的とした開発や、情報発信に取り組んでいます。
2 開発の詳細
近年、国内外で繊維製品に対する抗菌加工が注目されています。植物繊維の綿に抗菌加工をする場合、繊維表面に抗菌剤を付着させる方法が一般的です。この場合、抗菌剤の接着目的でバインダーを使用しますが、以下の課題があります。
・繊維の周りに接着効果のあるバインダーを付けるため、綿繊維本来の風合いを損なうおそれがある。
・バインダーを使用した抗菌剤の付与は、材料に抗菌剤を練り込む場合に比べて抗菌剤の保持力が低い。そのため、洗濯で抗菌剤が脱落して抗菌性能が低下する。
これらの課題に対して、センターと組合は、植物素材のセルロース加工品をバインダーとして使用する技術(特願2021-117558)を用い、抗菌性の三河木綿を開発しました。さらに、組合及び繊維総合商社の森菊(もりきく)株式会社(蒲郡市)が保有する、薄手の生地や刺し子(さしこ)※4といわれる厚手生地の三河木綿についても、抗菌処理条件を確立しました。
開発した抗菌性三河木綿は、風合い試験で綿本来の風合いを保持すること、及び洗濯後でも高い抗菌性を維持することを確認しました。
また、開発品を用いて抗菌性を有する三河木綿製品(エコバックやデッキチェア座面など)を試作しました。
なお、抗菌剤には、三河地区の水野金属商事(みずのきんぞくしょうじ)株式会社豊田支店(豊田市)の抗菌性銅粒子を用いました。
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開発した抗菌性三河木綿 | 抗菌性エコバック (開発品使用) |
デッキチェア座面 (開発品使用) |
3 技術移転を目指した今後の予定
センターでは、今回の三河木綿開発、抗菌剤及びセルロース加工技術に関心のある企業の方々からの相談や問合せに随時対応しています。また、上記、試作品を展示会「テックスビジョン2022ミカワ」内の「あいち産業科学技術総合センター三河繊維技術センター研究試作展」及び「エコプロ2022」に出展し、愛知県特産品の三河木綿のPRと共に開発技術を紹介します。展示会では本技術を利用した三河木綿のエコバッグ(「ジブリパークのある愛知」ロゴマーク※5入りは非売品)を展示し、SDGs対応技術について普及していきます。
4 展示会の概要
(1)テックスビジョン2022ミカワ
開催日時:2022年11月18日(金曜日)、11月19日(土曜日) 両日午前10時から午後4時まで
場所:蒲郡商工会議所 1階 コンベンションホール
蒲郡市港町18番23号 電話:0533-68-7171
概要:繊維総合展示会。開発製品の展示や三河産地の活性化を図るための講演会を実施。
入場料:無料
主催:テックスビジョンミカワ開催委員会
URL:https://texvision-mikawa.jp/
ブース名:あいち産業科学技術総合センター三河繊維技術センター研究試作展
(本日11月11日 同時発表)
(2)エコプロ2022
開催日時:2022年12月7日(水曜日)から12月9日(金曜日)まで 午前10時から午後5時まで
場所:東京ビッグサイト(東京都江東区有明3丁目11-1)
概要:SDGsの17目標の全てを展示対象に掲げて、社会課題解決のための製品やサービス、企業の取り組みを一堂に集めた環境の総合展。
入場料:無料
主催:一般社団法人サステナブル経営推進機構、日本経済新聞社
URL:https://eco-pro.com/2022/
ブース名:ナノセルロース展内あいち産業科学技術総合センター
5 問合せ先
(開発、試作品、テックスビジョン2022ミカワの展示に関すること)
あいち産業科学技術総合センター三河繊維技術センター製品開発室
担当:浅野、平石、安田
蒲郡市大塚町伊賀久保109 電話:0533-59-7146
URL:https://www.aichi-inst.jp/mikawa/
(三河木綿に関すること)
三河織物工業協同組合
担当:小林、水藤
蒲郡市神明町12-20 電話:0533-68-6161
URL:https://www.mikawaori.com/
(エコプロ2022に関すること)
あいち産業科学技術総合センター産業技術センター環境材料室
担当:伊藤、山本
刈谷市恩田町一丁目157番地1 電話:0566-24-1841
URL:https://www.aichi-inst.jp/
(抗菌剤に関すること)
水野金属商事株式会社豊田支店
営業部 主任 佐藤 幸治(さとう こうじ)
豊田市駒場町田戸51-1 電話:0565-57-5311
https://www.mizunokinzoku.com/company/
(特許技術に関すること)
日清紡テキスタイル株式会社大阪支社
執行役員 蓮蔵 和彦(れんぞう かずひこ)
大阪市中央区北久宝寺町2丁目4番2号 電話:06-6267-5536
https://www.nisshinbo-textile.co.jp/index.html
あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター分析加工技術室
担当:森川
名古屋市西区新福寺町2丁目1番地1 電話:052-325-8093
メール:shokuhin-kikaku@aichi-inst.jp
【用語説明】
※1 三河木綿
愛知県三河地方産の綿織物。2007年2月に特許庁の地域団体商標に登録されている(商標登録番号:第5023103号、三河織物工業協同組合)。
三河地方では、他の地域に先駆けて綿業が発展したとされ、明治時代には「三河木綿」というブランド名で全国に知れ渡った質の良い綿製品。
※2 特許出願している技術
出願番号:特願2021-117558
提出日:令和3年7月16日
特許出願人:日清紡テキスタイル株式会社および愛知県(共同出願)
発明の名称:機能性担持体を含有する繊維処理剤の製造方法と該製造方法により製造された繊維処理剤および機能性繊維製品
※3 風合い
“こし”“ぬめり”“ふくらみ”などの用語で表現される布の手触り感。風合い試験機で、「引張試験」「せん断試験」「曲げ試験」「圧縮試験」「表面試験」という五つの評価試験から得られる布の力学特性から、数値として換算することができる。
※4 刺し子
平織に別糸で縫った様に見える柄。三河木綿の刺し子は、剣道や柔道の「道着」、消防の法被に用いられてきた。近年では、別糸を色糸にするなどしてデザイン性を高め、服飾雑貨や、アパレルにも使用されている。
※5 「ジブリパークのある愛知」ロゴマーク
2022年11月1日にオープンしたジブリパークを愛知県全体で盛り上げるとともに、ジブリパーク開園を契機として愛知県の魅力を県内外にさらに広くPRすることができるよう、株式会社スタジオジブリが作成したロゴマーク。
(ロゴマークに関する問合せ先)
愛知県政策企画局ジブリパーク推進課調整第二グループ
名古屋市中区三の丸三丁目1番2号
電話:052-954-7439(ダイヤルイン)
メール:ghibli-park@pref.aichi.lg.jp
Webページ:https://www.pref.aichi.jp/soshiki/ghibli-park/logo-riyo2021.html
このページに関する問合せ先
あいち産業科学技術総合センター三河繊維技術センター製品開発室
担当:浅野、平石、安田
電話:0533-59-7146