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病害虫図鑑 イネもみ枯細菌病

ページID:0271722 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

1 病原菌   
学名 
(1) Burkholderia gladioli (Severini 1913)Yabuuchi, Kosako, Oyaizu, Yano, Hotta, Hashimoto, Ezaki & Arakawa 1993 (細菌)
(2) Burkholderia glumae (Kurita and Tabei 1967)Urakami, Ito-Yoshida, Araki, Kijima Suzuki and Komagata 1994 (細菌)

2 被害の様子 
  育苗時に苗腐敗症として発病することと、出穂期以降にもみに発生する場合がある。苗腐敗症は幼苗が湾曲して発芽し、白色から褐色に変色、症状が軽い場合は苗の地際部が褐変し腐敗、ひどい場合は腐敗枯死する。発病はパッチ状に現れ、次第に周囲に拡がる。育苗施設内が本病の発病に好適な条件のため、二次感染等で多くの育苗箱で発生し、廃棄しなければいけないような状況も起きる。
 もみの発病は乳熟期頃からで、緑色の穂の中に白色の萎凋したもみがみられ、後に灰白色ないし淡黄褐色となって、稔実不良となる。しいなでは、健全部と病変部の境界が帯状に褐変することが多い。穂全体が発病すると変色したもみと突っ立ったままの穂が遠くからでも確認できる。発病もみは不稔となるため、発病量がそのまま収量減に直結する。

3 病原菌の生態
 グラム陰性の桿状、好気性菌で、発育適温は30℃、最適pHは6.0~7.5である。
 人工接種ではイネ科雑草にも感染するが、自然状況下ではイネのみを寄主と考えてよい。種子伝染し、苗、本田上の葉鞘及び葉身を経てもみに感染するものと考えられている。

4 発生しやすい条件
・育苗器内は本病の感染には極めて好適であるため、汚染もみがあれば他の苗に感染してしまう。出芽時の高温、土壌の過湿、高pHが発病を助長する。出穂開花期前後の平均気温が25℃以上で台風や長雨があると、もみの感染が起こりやすくなる。

5 防除対策
・無病ほ場から採種する。
・窒素の多用を避ける。
・現地では穂いもち病の発生と混発しているため、あまり重要視されていないが、潜在的にはかなり大きな被害をもたらしていると考えられる。育苗時の発病は苗腐敗症と呼ばれ、窒素過多や一時的な乾燥などのストレスが引き金となって多発することも多く、発生した場合は廃棄処分されることが多い。

 

もみ枯細菌病による被害穂

もみ枯細菌病による被害穂