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従来品より10倍以上長く使用できる長寿命な圧延ロールを開発しました~「とよたビジネスフェア2022」で開発品を展示~

ページID:0382065 掲載日:2022年2月24日更新 印刷ページ表示

  あいち産業科学技術総合センター産業技術センター瀬戸窯業試験場(瀬戸市)は、旭セラミック株式会社(春日井市)との共同研究により、硬くて割れにくく、従来品より10倍以上長く使用できる、炭窒化チタンサーメット※1を材料とした荒引(あらびき)銅線※2用圧延ロールを開発しました。
  炭窒化チタンサーメットの特長は、優れた硬度や粘りによる高い耐久性です。ダイス鋼※3を材料とする従来の圧延ロールと比較して、本開発品は10倍以上の製品寿命があるため、交換や補修にかかるコストを抑えることができます。
   なお、本開発品は、2022年3月10日(木曜日)・11日(金曜日)にスカイホール豊田(豊田市)で開催される「とよたビジネスフェア2022」で展示し、2022年度に販売を開始する予定です。

1  開発の背景

(1)圧延ロールによる金属加工
   圧延加工とは、2本以上のロールの間に金属などの材料を通し、圧力を加えることで板状や棒状に加工する方法です。固体の金属を素早く変形させるために、ロールに大きな力を掛けるため、使用に伴ってロール表面に傷が生じます。この傷はロール間を通す金属に転写され、製品の外観に悪影響を及ぼすため、定期的にロール表面を研磨して傷を取り除く必要があります。研磨によってロールは細くなるため、研磨の回数には上限があり、上限に達した場合は新品と交換します。従って、研磨できる回数が圧延ロールの寿命を決定しています。
   そこで、硬くて割れにくい炭窒化チタンサーメットに着目し、これを材料とした圧延ロールの開発を行いました。

(2)炭窒化チタンサーメット
   炭窒化チタンサーメットは、高い硬度をもつ炭窒化チタン(TiCN)の粒子と、結合材としての金属を混ぜて焼き固めたものです。金属の量が少ないと粒子との間に隙間が生じて十分な強度が得られません。一方、金属の量が多いと炭窒化チタンが埋もれてしまい、高い硬度が発揮されません。そのため、求められる性質に応じて粒子と金属の配合を最適化する必要があります。また、混合や成形、焼成の方法も製品の性能に影響します。

2  開発内容

(1)研究開発の概要
  (ア)表面に傷が生じにくい荒引銅線用圧延ロールの開発
   配合や焼結方法を検討し、隙間が少なく、十分な硬度があり、割れにくくて耐熱性も高い炭窒化チタンサーメットを作製しました(図1)。これを材料として、熱間加工※4で用いられる荒引銅線用圧延ロールを製作しました(写真)。

 
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図1  炭窒化チタンサーメット表面の電子顕微鏡写真
(左:隙間の少ない構造    右:結合材が少なく隙間の多い構造)

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写真 炭窒化チタンサーメットを材料とした荒引銅線用圧延ロール(外径50mm)

 (イ)特長
   従来の圧延ロールに使用されている炭素鋼SKD-61※5と比較して、硬度が2倍以上あり、超硬合金※6と同程度に割れにくいため、荒引銅線用圧延ロールとして使用した場合、8週間使用後もロール表面の劣化は僅(わず)かで、破損はありません(図2)。
   そのため、研磨周期が長く、また、1回の研磨量も少なくなるため研磨の上限回数が多くなることから、製品寿命は従来品の10倍以上になります。その結果、研磨や交換にかかるコストを大幅に抑えることができます(表)。

 
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図2 圧延ロール開発品の表面の電子顕微鏡写真
(左:使用前  右:約8週間使用後)

表 開発品と従来品(炭素鋼)の比較

 
  開発品 従来品
(炭素鋼SKD-61)
研磨周期 約8週間 約1週間
研磨回数の上限 10回 5回
製品寿命 約88週間 約6週間


(2)研究開発体制

 
機関名 役割
あいち産業科学技術総合センター
(産業技術センター瀬戸窯業試験場)
原料の配合、焼結方法の検討
製品表面の観察、硬さの評価
旭セラミック株式会社 荒引銅線用圧延ロールの試作

3  今後の予定

   「とよたビジネスフェア2022」において、開発内容を紹介します。また、2022年度に販売を開始する予定です。

○とよたビジネスフェア2022
   日時:2022年3月10日(木曜日)、11日(金曜日)  午前10時から午後4時まで
   場所:スカイホール豊田(豊田市八幡町1-20)(電話:0565-31-0451)
   展示会概要:優れた技術・製品を作り出している企業等が集まる総合展示会
   入場料:無料
   主催:豊田市、豊田商工会議所
   URL:https://www.toyota-bizfair.jp/index.html
   ブース名:あいち産業科学技術総合センター

4  問合せ先

【炭窒化チタンサーメットの開発、展示会に関すること】
   あいち産業科学技術総合センター産業技術センター瀬戸窯業試験場
   セラミックス技術室(担当  高橋、福原)
   瀬戸市南山口町537
   電話:0561-21-2116  FAX:0561-21-2128

【荒引銅線用圧延ロールの製造、販売に関すること】
   旭セラミック株式会社
   代表取締役社長  札 弘行(ふだ ひろゆき)
   春日井市大留町2-7-4
   電話:0568-53-4512  FAX:0568-53-4513

5  新型コロナウイルス感染防止対策

   とよたビジネスフェアでは、愛知県が示すガイドラインに沿って、運営を行います。入場時での検温ならびに消毒の実施等を行います。
   なお、緊急事態宣言の発令等により中止になる場合があります。開催に関するお知らせについては、とよたビジネスフェアのWebページをご覧ください。
   https://www.toyota-bizfair.jp/
   あいち産業科学技術総合センターのブースでは、新型コロナウイルス感染防止対策を以下のとおり実施します。
   ・発熱等(37.5℃以上)の症状がある方、又は体調が優れない方は、参加をお控えください。なお、明らかに体調不良等と認められる場合には、参加をお断りする場合があります。
   ・手洗いやマスク着用に御協力をお願いします。
   ・新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては、開催方法の変更や開催を中止とする場合があります。あいち産業科学技術総合センター産業技術センター瀬戸窯業試験場及び産業科学技術課のWebページでお知らせします。 
   http://www.aichi-inst.jp/seto/
   https://www.pref.aichi.jp/san-kagi/

【用語説明】
※1 サーメット
    非酸化物セラミックス粉末に、金属を結合材として添加した複合材料。

※2 荒引銅線
   モーターの巻線や自動車のワイヤーハーネスの銅線の基となる銅線。荒引銅線を更に細く加工してこれらの用途に用いる。

※3 ダイス鋼
   金型(ダイス)の材料として用いられる、高い強度をもつ鋼。

※4 熱間加工
   金属を高温で軟化させて加工することを熱間加工という。加工時に金型にかかる力は少ないが耐熱性が要求される。

※5 炭素鋼SKD-61
   ダイス鋼の一種で、強度、耐熱性に優れる。

※6 超硬合金
   炭化タングステン等の金属炭化物を焼き固めたもので、ダイス鋼よりも硬度が高く、切削工具等にも用いられる。