ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織でさがす > あいち産業科学技術総合センター > 蒲郡市の深海魚「メヒカリ」を利用した魚醤(ぎょしょう)と 「ニギス」を利用したふりかけが完成しました -あいち産業科学技術総合センターと企業、大学が共同開発-

蒲郡市の深海魚「メヒカリ」を利用した魚醤(ぎょしょう)と 「ニギス」を利用したふりかけが完成しました -あいち産業科学技術総合センターと企業、大学が共同開発-

 あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター(名古屋市西区:以下、「センター」)は、壁谷(かべや)水産株式会社(蒲郡市:以下、「壁谷水産(株)」)及び至学館大学(大府市)と共同で、メヒカリ※1を利用した魚醤※2「深海ギョの魚醤」、ニギス※3を利用したふりかけ「深海ギョのふりかけ」を完成させました。
 「メヒカリ」や「ニギス」は蒲郡市の地域産業資源※4に指定されており、メヒカリと塩のみを使用した魚醤醸造は愛知県初の試みです。魚臭が少ない穏やかな香りと、豊かな旨味、淡い色合いを特徴とする魚醤に仕上がりました。また、ふりかけはニギスの風味豊かなものとなっています。
 なお、壁谷水産(株)の本取組は、平成29年度あいち中小企業応援ファンド事業※5(第2回)、農商工連携応援ファンド※6に採択されています。
 平成30年12月9日(日曜日)及び16日(日曜日)に竹島水族館(蒲郡市)館内で試供品を無料配布し、平成31年1月1日(火曜日)から同館限定で販売します。

Fig1

1 開発経緯

 センターでは、地域ブランド製品を開発することを目的として、地元で水揚げされる魚を原材料にした魚醤の研究に取り組んでいます。平成14年には、南知多町の豊浜漁港で水揚げされるカタクチイワシを使用した魚醤「しこの露(つゆ)」を、豊浜水産物加工業協同組合と共同で開発しました。
 蒲郡市の地域産業資源に指定されているメヒカリやニギス(図1)といった深海魚は、脂が多く新鮮なうちは天ぷらなどへの利用価値が高いものの、鮮度が落ちやすいため鮮魚としての広域流通が困難な魚です。また、体長18cm以上の大きいものと10~18cmの中程度のものには商品価値がありますが、10cm以下の小さいものは養殖鯛の餌としての需要以外は商品価値が無いとされ、海上で廃棄処分されています。
 そこで、漁業者である壁谷水産(株)は、廃棄処分されている小サイズの「メヒカリ」と「ニギス」を有効利用した加工品の生産・販売を目指しました。そして、醤油などの醸造技術に詳しい北本則行 (きたもと のりゆき)教授(至学館大学)の指導の下、センターを含めた三者で蒲郡の特産となる魚醤及びふりかけの開発に取り組むこととなりました。

Fig2

図1 メヒカリ(左)とニギス(右)

2 製品開発について

(1)「深海ギョの魚醤」(魚醤製造については「参考2」を参照) 

 センターにおいて、メヒカリ及びニギスを麹(こうじ)※7の有無などの条件を変えて仕込み・熟成を行ったところ(図2)、麹を使用せずに魚と塩のみを使用すると色味が淡色となることが分かり(図3)、麹を使用しないこととしました。その後、センターと壁谷水産(株)及び至学館大学の三者で試作品の評価、検討を行い、原材料の有効利用度を示す収率が高く(表1)、香り穏やかでクセが少ないメヒカリを原材料とすることを決め、様々な試験醸造を経て、「深海ギョの魚醤」が完成しました。メヒカリと塩のみの魚醤は本県では初の試みです。
 なお、壁谷水産(株)の本取組は、平成29年度あいち中小企業応援ファンド事業(第2回)、農商工連携応援ファンドに採択されています。


Fig3

図2 魚醤の製造法
 

Fig4

図3 センターで試作した魚醤の写真
   (左から、メヒカリ+塩、ニギス+塩、メヒカリ+塩+麹、ニギス+塩+麹)
 

表1 各種魚醤の収率
Tab1
 

(2)「深海ギョのふりかけ」

 ふりかけには、特有の香りが強く、メヒカリより脂肪分が少ないため油焼けのような酸化による変敗(へんぱい)を起こしにくいニギスを原材料としました。管理栄養士の指導の下で、ニギスの風味を最大限に生かし、高たんぱく質・低脂質の製品を完成させました。その後、センターでは栄養成分の分析(表2)、賞味期限の設定に関する指導を行いました。

表2 開発したふりかけの栄養成分分析 
Tab2
 ※日本食品標準成分表2015年版(七訂)より引用

3 製品の特徴

 「深海ギョの魚醤」は、メヒカリと塩のみを原材料として仕込み、5か月以上の熟成を経た後、手作業でろ過・殺菌・おり※8の除去を行った魚醤です。魚臭が少なくメヒカリ由来の穏やかな香りと豊かな旨味を有しています。また、色合いが淡く、煮物など素材の色を生かしたい料理に最適です。
 「深海ギョのふりかけ」は、ニギス本来のうま味にこだわった美味しさになっています。胡麻やのりをバランスよくブレンドし、蒲郡みかんの皮を使用したピリッと辛い陳皮(ちんぴ)味(大人向け)と赤しそ味(子供向け)の2種類を開発しました。地元産品を使用し、添加物不使用のため、地元の食育教材としての活用も期待できます。また、5g使い切りの個包装のため、新鮮な風味が保たれます。
 製品名及びラベルのデザインは、いずれも商標登録出願中です。

4  今後の展開

 平成30年12月9日(日曜日)及び16日(日曜日)に、竹島水族館館内にて「深海ギョの魚醤」及び「深海ギョのふりかけ」の試供品を無料配布します(各日先着50名様)。その後、平成31年1月1日(火曜日)から同館限定で販売します。

 ※販売価格
 「深海ギョの魚醤」70ml: 850円(税別) 限定200本
 「深海ギョのふりかけ」(陳皮味、赤しそ味)5g×5袋入り: 各700円(税別)

 壁谷水産(株)では、今後、減塩タイプのふりかけも開発し、発売する予定です。
 センターでは、今後もメヒカリやニギスを利用した新製品開発に関する技術支援を積極的に行い、地域振興や地域ブランドの創出に協力していきます。関心のある方はセンターまでお問い合わせください。

5  販売会場(竹島水族館)について

 竹島水族館は、愛知県の蒲郡市にある水族館で、約500種類、約4,500匹の水中の生物を展示公開しています。ユニークな展示方法で近年来場者が急増しており、全国から注目を集めています。

 営業時間:午前9時から午後5時まで
 入場料:大人500円、小・中学生200円(小学生未満は無料)
 住所:蒲郡市竹島町1−6(蒲郡駅南口より徒歩約15分)
 ホームページ:http://www.city.gamagori.lg.jp/site/takesui/

6 問合せ先

〇魚醤醸造に関すること

・製造技術
 あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター
  保蔵包装技術室(担当 丹羽、間瀬)
  〒451-0083 名古屋市西区新福寺町2-1-1
  電話:052-325-8094(ダイヤルイン) FAX:052-532-5791

・魚醤研究事例、魚醤レシピなど
 至学館大学
  健康科学部 栄養科学科 北本則行教授、伊藤正江 (いとう まさえ)准教授
  〒474-8651 大府市横根町名高山55
  電話:0562-46-1291(代表) FAX:0562-44-1313
 

〇ふりかけに関すること

 壁谷水産株式会社
  製造開発部主任 壁谷増美 (かべや ますみ)
  〒443-0104 蒲郡市形原町東上野58
  電話:0533-57-2249(代表) FAX:0533-57-2291

 管理栄養士 中村萩枝 (なかむら はぎえ)
  電話:0533-59-7948
 

〇今後の製品販売に関すること
 壁谷水産株式会社
  代表取締役 壁谷譲一 (かべや じょういち)
  〒443-0104 蒲郡市形原町東上野58
  電話:0533-57-2249(代表) FAX:0533-57-2291
 

〇試供品配布、製品販売に関すること
 竹島水族館
  館長 小林龍二 (こばやし りゅうじ)
  〒443-0031 蒲郡市竹島町1−6
  電話:0533-68-2059

【参考1】 蒲郡市の漁業について 

 蒲郡市での漁獲量は年間2,689トン(平成28年)であり、このうちメヒカリやニギス等が8割を占めています。メヒカリやニギスの漁獲は小型機船底びき綱漁業や沖合底びき網漁業で行われますが、沖合底びき網漁を行う漁船は、魚価の低迷や燃料及び資材の高騰化、後継者不足などによって、平成元年の9隻から平成28年11月時点の4隻まで減少しています。(蒲郡市、愛知県沖合底びき網漁業協会調べ)

【参考2】 魚醤醸造について

 魚醤醸造では、各種の魚介類が原料に用いられ、穀類を原料とした醤油とは異なる濃厚な旨味をもたらします。魚介類と塩を混合して熟成させることで、魚介類が持つタンパク質分解酵素の働きによりタンパク質がアミノ酸に分解され、もろみが生成されます。そして、熟成させたもろみをろ過することで魚醤が出来上がります。なお魚醤には大豆、麦などを原料とした麹を混合して仕込む場合もありますが、「深海ギョの魚醤」製造においては、メヒカリと塩のみを原料とすることで、豊かな旨味と淡い色合いを実現しました。

【参考3】 賞味期限の設定について

 賞味期限は、原則として設定する期間以上の期間の保存試験※9を行い、製品に異常がないことを確認して設定します。センターでは、温度など各種の条件を設定した保存試験を行っており、賞味期限に関する技術サポートを行っています。異常の有無の評価方法は、水分の多いものでは微生物に関するものが中心となります。しかし、ふりかけのように水分が少なく、微生物が増殖するおそれがないものについては官能試験※10や油の酸化などの化学的な試験により評価されます。

【用語解説】
用語説明
※1 メヒカリ 正式名称はアオメエソと呼び、目が青く大きく光って見えることから、地元ではメヒカリと呼ばれています。体長は15~20cmで、水深200~300mに生息する深海魚であり、底引き網漁で主に冬から春を中心に漁獲されます。
 蒲郡市が県下のメヒカリ水揚げ量の95%を占めています。
※2 魚醤 調味料の一種であり、原料として魚介類を使用することから魚醤と呼ばれます。世界の各地で製造されており、有名なものとして、ハタハタなどを使用した秋田のしょっつるやイカやイワシ・サバを使用した能登のいしる、海外ではタイで作られるナンプラーやヨーロッパのガルムなどがあります。
※3 ニギス 体長15~30cmの細長い体形をしており、別種のキス(シロギス)と姿形が似ています。水深数十~200m位に生息する深海魚であり、愛知県では主に渥美半島の沖合で漁獲されます。てんぷら、干物、すり身団子などで食されます。
 メヒカリと同様、蒲郡市が県下の水揚げ量の95%を占めています。
※4 地域産業資源 地域の中小企業者が共通して活用することができ、当該地域に特徴的なものとして認識されている農林水産物や生産技術、観光資源を指します。
※5 あいち中小企業応援ファンド事業 国、県、地域の金融機関の資金を基に(公財)あいち産業振興機構に基金を造成し、それを活用して地域産業資源を活用した中小企業の新事業展開を支援することにより、本県地域経済全体の底上げを図ります。
※6 農商工連携応援ファンド あいち中小企業応援ファンド事業として、あいち産業科学技術総合センターや愛知県農業総合試験場等と連携して行う地域資源の農林水産物を活用した新事業展開への助成を行います。
※7 麹 米や大豆などの穀類にコウジカビなどのカビ類を繁殖させたものです。麹にはデンプンやタンパク質を分解する酵素が含まれ、この分解酵素を利用することで日本酒や味噌、醤油などが醸造されます。麹のタンパク質分解酵素を魚に作用させることで作る魚醤もあります。
※8 おり 液体の底に沈んだカスのことです。澱。
※9 保存試験 製品を一定の期間保管して、製品の経時変化を見る試験です。試験後に製品の評価を行います。賞味期限の設定などに使われます。
※10 官能試験 人の感覚(味覚、触覚、嗅覚など)を用いて、試料の品質を評価するものです。