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尾張繊維技術センターが研究・試作品を展示会で紹介します ~製織(せいしょく)技術を活用した錯視(さくし)を引き起こす織物などを展示~

 あいち産業科学技術総合センター尾張繊維技術センター(以下、センター)では、繊維業界への技術支援の一環として、企業の方々へ技術移転するための新技術に関する研究開発を実施しています。
 この度、研究開発成果品や試作品の展示、紹介を行う「あいち産業科学技術総合センター尾張繊維技術センター研究試作展」を「16th JAPAN YARN FAIR & 総合展『THE 尾州』」(主催:公益財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンター)内において開催します。
 研究・試作品として、製織技術を活用することで見る人に錯視※1を引き起こす柄を表現した織物やピンホールとループパイル※2を出現させた織物、最新の素材や独自の技術を用いて試作した織編物(おりあみもの)などを多数展示します。
 これらの研究・試作品に関心のある多くの皆様の御来場をお待ちしています。

昨年度の展示風景

昨年度の展示風景

1 展示会概要

(1)名   称   あいち産業科学技術総合センター尾張繊維技術センター 研究試作展
           (「16th JAPAN YARN FAIR & 総合展『THE 尾州』」内)

(2)日   時   平成31年2月20日(水曜日)から22日(金曜日)まで
           午前10時から午後5時まで

(3)場   所   一宮市総合体育館(一宮市光明寺字白山前20番地)
            電 話  0586-51-3421(会期中のみ)

(4)入 場 料   無料

(5)展示内容  製織技術を活用した錯視を引き起こす織物 ほか

(6)事前申込  不要(当日、入口で受付をお済ませください。)

2 展示品の内容について

(1)製織技術を活用した錯視を引き起こす織物

 織物は、たて糸とよこ糸を互いに交絡(こうらく)させながら作ります。たて糸とよこ糸に使用する色糸の使い方と糸の交差の仕方(織物組織)とを組み合わせることで、目的とする柄を織物上に表現することができます。
 今回、色糸の使い方や織物組織、仕上げの方法などを検討して、見る人に錯視を引き起こす柄を表現した織物を試作しました。
 一見するとチェック柄の織物でありながら、白線の交差部分に本来見えないはずの黒点が見える錯視を引き起こす織物(図1)は、「ジャパン・テキスタイル・コンテスト(JTC)※3 2018」において、優秀賞を受賞しました。また、市松模様※4の織物(図2)では、正方形の大きさに変化を持たせることにより、柄が立体的に見える錯視を引き起こします。プリントではなく織柄で錯視を表現した例はこれまでにほとんどありません。着用するだけで体形を補正する衣服などに利用することができます。

図1 チェック柄の錯視織物

図1 チェック柄の錯視織物

図2 市松模様の錯視織物

図2 市松模様の錯視織物

(2)製織技術を活用したネガ・ポジ織物

 タオルやカーペットに用いられるループパイル織物は、毛先のパイルがループ状になっており、専用装置を備えた織機を使用して作られます。
 今回、専用装置を使用せずに、内側にループパイル構造を持つ2層の織物組織の層間を水溶性の糸でつなぐという特殊な織り方で、織物を試作しました。水溶性糸を水で溶解させた後、2層を引っ張って剥がすことで、ループパイルが現われ、ループパイルが抜けたところにピンホールができます(図3)。
 また、2層の織物組織において、互い違いにループパイル構造を形成させると、剥がした際にループパイル部分(ポジ)とピンホール部分(ネガ)が交互に出現する市松模様の織物になります(図4)。本試作品は、「ジャパン・テキスタイル・コンテスト(JTC)2018」において、優秀賞を受賞しました。

図3 ループパイル構造を持つ織物組織のイメージ(断面)

図3 ループパイル構造を持つ織物組織のイメージ(断面)

図4 市松模様のネガ・ポジ織物

図4 市松模様のネガ・ポジ織物

 

(3)その他の展示品
  ア 研究開発品

 織物や組物、編物のようなテキスタイルを利用した繊維強化複合材料(FRP)※5の実用化が進められています。中でも編物は伸縮性に優れ、立体形状の製品を成形するのに有利です。センターでは、これまで立体形状のFRPに適した編物の開発をしており、芯鞘 (しんさや)繊維※6の熱融着糸を用いた無縫製編物技術を活用して、丸満産業(まるまんさんぎょう)株式会社(海部郡大治町)と共同で、軽くてしなやかな自動車向けの立体成型部品(図5)を開発しました。テキスタイル生地への樹脂加工(塗工・含浸)の工程を踏まずに、立体形状の編物をそのまま加熱することでFRPの立体成型品を容易に作製できることから、他の自動車関連部品への展開が期待されます。
 そのほか、医療・福祉機器の開発を目的として、軟らかい布からできたデバイス※7を開発しています。今回の展示会では、静電容量※8の変化によって人が触れたことを検出するセンサを布に配置したクッション型デバイス(図6)などの研究開発品を展示します。

図5 自動車成型部品(ボンネット)

図5 自動車成型部品(ボンネット)

図6 接触検知クッション

図6 接触検知クッション

 

  イ 試作品

 羊毛を洗濯しても縮まないようにする防縮加工には、一般に塩素が使用されています。塩素は人体や環境への影響が懸念されるため、塩素を使用しない防縮加工法が求められていました。そこで、金属塩、酸化剤とタンパク質分解酵素を用いた脱塩素防縮加工方法を開発しました(図7)。また、生地を収縮させる塩縮加工※9と生地の収縮や染料・薬剤の吸収を向上させる真空紫外光※10照射を行うことで、生地の凹凸感と色の濃淡とで生地表面に変化を持たせた毛織物(図8)を試作しました。比較的燃えにくい羊毛と難燃性に優れるノボロイド繊維※11を組み合わせた防炎・難燃の機能を付与した織物(図9)などの試作品も展示します。

図7 脱塩素防縮加工織物

図7 脱塩素防縮加工織物

図8 塩縮・光照射加工織物

図8 塩縮・光照射加工織物

図9 リバーシブル防炎・難燃織物

図9 リバーシブル防炎・難燃織物

3 問合せ先

 あいち産業科学技術総合センター 尾張繊維技術センター
 素材開発室(担当:山内、加藤(一)、村井、山本)
 〒491-0931 一宮市大和町馬引字宮浦35
 電話: 0586-45-7871    FAX: 0586-45-0509
 

○「16th JAPAN YARN FAIR & 総合展『THE 尾州』」の概要

 「JAPAN YARN FAIR」は、日本最大級の「糸」に特化した展示商談会です。商社、紡績、合繊メーカー、意匠撚糸メーカー、染色整理加工企業など62社・3団体がそれぞれ自社の強みを活かして、機能性、意匠性に富んだ高付加価値の糸を提案し、染色整理技術や繊維機器の紹介をします。
 今回で8回目を迎える総合展「THE 尾州」では、世界有数の高級毛織物産地である尾州産地「らしさ」やものづくりの魅力について各種展示を通じて発信します。「ジャパン・テキスタイル・コンテスト(JTC)2018優秀作品展」等の常設展示のほか、尾州産地の素材やそれらを活かした衣装、学生の作品等を展示します。いちい信金アリーナでは、女優の草刈民代さんを特別にお迎えして、「ジャパン・テキスタイル・コンテスト(JTC)2018」プレミアムファッションショーや、梶原加奈子テキスタイルデザイナー、一宮市長(予定)を交えてのトークショーも行います。
 詳細は以下のWebページを御覧ください。
 https://www.fdc138.com/fashion/promotion/jy/index.html

【用語説明】
用語説明
※1 錯視 目(視覚)の錯覚により、形や大きさ、長さ、色などが、ある条件のもとで実際とは違って見える現象。
※2 ループパイル タオルやカーペットなどの表面の毛羽(けば)をパイルといい、このパイルがループ状になっているものをループパイルという。
※3 ジャパン・テキスタイル・コンテスト(JTC) 「次代のテキスタイル産業を担う人材の発掘・育成」をテーマに、テキスタイル(繊維製品)産業における技術力、デザイン力、マーケティング力の強化を目指して1991年から開催されている、産地活性化を目的とした人材育成事業。主催は公益財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンター。
※4 市松模様 2色の柄を交互に碁盤(ごばん)の目のように並べた格子模様。
※5 繊維強化複合材料(FRP) 繊維をプラスチックの中に入れることで、軽量で強度を向上させた複合材料。炭素繊維強化複合材料(CFRP)やガラス繊維強化複合材料(GFRP)などがあり、航空機や自動車の部材、建設資材やスポーツ用途などに使用されている。
※6 芯鞘繊維 芯となる材料を鞘となる材料で被覆した構造の複合繊維。これを利用した熱融着糸は、低融点の鞘部分を加熱して溶かした後、冷やして固めることで織物のほつれ止めなどに使用されている。
※7 デバイス コンピュータを構成する電子部品や機器、周辺装置を指す。コンピュータのネットワークに接続して使用するパソコンやスマートフォンなどの携帯用端末などがある。
※8 静電容量 コンデンサ等の導体が持つ、電荷を蓄える能力を表す値。一般に二つの導体間の距離が近づくと静電容量は増加する。
※9 塩縮加工 絹織物で用いられる加工法。絹などの動物繊維からなる生地を収縮させて凹凸をつけることができる。
※10 真空紫外光 最も波長が短い紫外光(10~200nm付近)。
※11 ノボロイド繊維 フェノール樹脂を繊維化した特殊な構造を持つ難燃繊維。炎にさらされても炭素となり、発煙や発火はしない。