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「知の拠点あいち重点研究プロジェクト(II期)」自動車ドライバーの眠気予兆を検知するシステムを開発しました!~目を計ってひやり・はっと・事故防止~

 愛知県では、大学等の研究シーズを活用して県内主要産業が有する課題を解決し、新技術の開発・実用化や新産業の創出を目指す産学行政連携の研究開発プロジェクト「知の拠点あいち重点研究プロジェクト※1(II期)」を実施しています。
 この度、「次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト※2」の研究テーマである「眼球運動を指標としたドライバ状態検知技術の実用化※3」において、中部大学の平田豊(ひらた ゆたか)教授と、株式会社東海理化電機製作所(丹羽郡大口町)等の研究チームは、自動車ドライバーの眠気予兆を検知するシステムを開発しました。
 本開発品は、個人の眼鏡に簡単に装着することができる「超小型眼球撮像装置」と、スマートフォンを用いて眼球運動と頭部運動を高精度で計測・解析する「眠気予兆検知ソフトウェア」により、ドライバーの眠気予兆を検知し、注意喚起を行うことができ、居眠り運転や漫然運転の防止に貢献します。
 また、本研究で開発した技術は、自動車分野のみならず、スポーツ科学、臨床、ヘルスケア、ゲーム/エンターテイメントなどの様々な分野における活用が期待できます。
 今後は、高速道路や一般道路において実証実験を行いながら、更なる改良を行い、平成31年度中の実用化を目指しています。
 なお、本開発品は、平成31年1月に開催される「第5回 自動車部品&加工 EXPO※4」に出展します。

 

1  開発の背景

 近年、交通事故発生件数は減少傾向にあるものの、ヒューマンエラーに起因する自動車事故は後を絶ちません。急速に開発が進む自動運転においても、当面は、必要に応じて人間が運転しなければならない状況が想定されていることから、ドライバーの状態を常にモニタリングする技術の開発が急務の課題とされています。
 そこで、本研究チームでは、覚醒度や視覚的注意度など、様々な脳の状態が反映されることが知られている眼球運動に着目し、中部大学の平田豊教授の研究成果である「前庭動眼反射による眠気予兆検知」技術を活用したドライバーの覚醒状態を検知することができるシステムを開発しました。

 

2  開発の概要

(1) 本開発品の構成

 本開発品は、図1のとおり、超小型眼球撮像装置と眠気予兆検知ソフトウェアから構成されます。超小型眼球撮像装置は、マグネットで個人の眼鏡フレームに着脱可能で、眼球運動を撮像するためのカメラセンサと、頭部の運動を検出するための3軸の角加速度・加速度センサが搭載されています。
 眠気予兆検知ソフトウェアは、超小型眼球撮像装置で取得した眼球運動と頭部運動のデータの解析や表示を行うもので、個人のスマートフォンで使えるスマートフォンアプリとして開発しました。

本開発品の構成

                              図1 本開発品の構成

(2) 本開発品の特徴

 本開発品は、表1のとおり、眼球運動を精度良く計測することができるウェアラブル(身に着ける)方式を採用しました。眼球と頭部の動きを高精度に計測することで、ドライバー本人が眠気を自覚する前に眠気予兆を検知することができ、眠気予兆を検知した場合は、スマートフォンから、表示と音でドライバーに注意喚起を行います。

                    表1 ドライバーの眠気検知技術の一覧

ドライバーの眠気検知技術の一覧

 

(3) 眠気予兆検知の原理

 眠気予兆検知には、人間の「前庭動眼反射」を利用します。前庭動眼反射は、図2のとおり、頭部が動いたときに視界のブレを抑えるため、頭部の動く方向と反対の方向に眼球を回転させる反射運動のことです。

前庭動眼反射

            図2 前庭動眼反射

 図3のように、眠気時には、頭部の動きと眼球の動きの相関性が崩れます。人間が眠気を自覚する前に生じる相関性の低下をもとに眠気予兆を検知します。

覚醒時、眠気時の前庭動眼反射の相関性の違い

                       図3 覚醒時、眠気時の前庭動眼反射の相関性の違い

(4) 眠気予兆判定方法

 図4に、前庭動眼反射の変化率と眠気レベルの関係を示します。ノイズ混入等による誤検知を避けるため、判定の境目となる変化率5%以上が連続して40秒以上続いた場合に、眠気予兆が生じたと判定することとしました。図4では、被験者が眠気を申告する260秒前に眠気予兆を検出できています。

前庭動眼反射の変化率と眠気レベルの関係

                    図4 前庭動眼反射の変化率と眠気レベルの関係

 

3 期待される成果と今後の展開

 本開発品によって、居眠り運転や漫然運転による交通事故の減少が期待でき、安心・安全な車社会づくりに貢献できます。
 今後、高速道路や一般道路において実証実験を行い、更なる改良を経て、平成31年度中の実用化を目指します。
 また、ウェアラブルの利点を活かし、スポーツ科学、臨床、ヘルスケア及びゲーム/エンターテイメント等、様々な分野・産業での活用を推進していきます。

4  社会・県内産業・県民への貢献

 

社会・県民への貢献

居眠りや漫然運転による交通事故の減少が期待できます。
安全・安心な車社会づくりへ貢献します。

県内産業への貢献

自動車安全技術分野だけでなく、スポーツ科学、臨床、ヘルスケア及びゲーム/エンターテイメントなどの様々な分野に対して活用が期待でき、本開発品を応用した新規産業の創出が期待できます。

 

5  問い合わせ先

【プロジェクト全体に関すること】

・あいち産業科学技術総合センター 企画連携部

 (1)担当:牧、吉富

 (2)所在地:豊田市八草町秋合1267番1

 (3)電話:0561-76-8306

 (4)FAX:0561−76−8309

・公益財団法人科学技術交流財団

 (1)担当:松村、冨田、古田

 (2)所在地:豊田市八草町秋合1267番1

 (3)電話:0561-76-8360

 (4)FAX:0561−21−1653

【本開発の技術内容に関すること】

(眼球運動を指標としたドライバ状態検知技術)

・中部大学工学部ロボット理工学科

 (1)担当:教授 平田 豊

 (2)所在地:春日井市松本町1200

 (3)電話:0568-51-9476

 (4)FAX:0568-51-9476

 (5)E-mail:yutaka@isc.chubu.ac.jp

(装置全般)

・株式会社東海理化電機製作所

 (1)担当:開発部 副部長 井東 道昌(いとう みちまさ)

 (2)所在地:丹羽郡大口町豊田3丁目260番地

 (3)電話:0587-95-7042

 (4)FAX:0587-95-7449

 (5)E-mail:michimasa.ito@exc.tokai-rika.co.jp

 

【用語説明】

※1 知の拠点あいち重点研究プロジェクト

  高付加価値のモノづくりを支援する研究開発拠点「知の拠点あいち」を中核に実施している産学行政の共同研究開発プロジェクト。平成28年度からは「重点研究プロジェクト(II期)」を実施している。

   「重点研究プロジェクト(II期)」の概要

目的

大学等の研究シーズを活用して県内主要産業が有する課題を解決し、新技術の開発・実用化や新産業の創出を促進する。プロジェクト終了時には、県内企業において、成果の実用化や製品化、社会での活用を見込むことができる研究開発を実施する。

実施期間

平成28年度から平成30年度まで

参画機関

17大学11公的研究機関等99企業(うち中小企業73社)

(平成30年12月現在)

プロジェクト名

次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト※2

・近未来水素エネルギー社会形成技術開発プロジェクト

・モノづくりを支える先進材料・加工技術開発プロジェクト

 

※2 次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト

 

概要

モノづくりやサービス分野等における、新たなロボットの利用技術開発、実証実験を行うとともに、情報通信技術等を活用した自動車安全技術の研究開発を実施することにより、次世代ロボット社会形成に資する技術開発を推進する。

研究テーマ

(1)高齢者が安心快適に生活できるロボティックスマートホーム

(2)介護医療コンシェルジュロボットの研究開発

(3)航空エンジン製造自動化システムに関する研究開発

(4)施設園芸作物の収穫作業支援ロボットの研究開発

(5)鳥獣害・災害対応ドローンに関する研究開発

(6)愛知次世代ロボットの産業化・市場創出を推進する要素技術開発

(7)ロボット実用化のためのリスクアセスメント支援システム構築

(8)眼球運動を指標としたドライバ状態検知技術の実用化※3

(9)交通事故低減のための安心安全管理技術の開発

参画機関

10大学8公的研究機関等38企業(うち中小企業24社)   (平成30年12月現在)

 

※3 眼球運動を指標としたドライバ状態検知技術の実用化

 

研究リーダー

中部大学工学部 教授 平田 豊 氏

事業化リーダー

株式会社東海理化電機製作所 取締役・常務執行役員 秋田 俊樹(あきた としき) 氏

内容

眼球運動からドライバーの眠気を検知し注意喚起するシステムの開発

(1)眼球運動解析・人状態検知・ワーニングシステムの開発

(2)脱着式超小型眼球映像撮像装置及び状態解析のためのスマホアプリの開発

参加機関

〔企業〕

株式会社東海理化電機製作所、東海光学株式会社、株式会社ナックイメージテクノロジー

〔大学〕

中部大学、愛知工科大学

〔公的研究機関〕

あいち産業科学技術総合センター

※4 第5回 自動車部品&加工 EXPO

(1) 会期 平成31年1月16日(水曜日)から18日(金曜日)まで
(2) 会場 東京ビッグサイト
(3) 主催 リード エグジビション ジャパン株式会社
   (第11回オートモーティブワールドの構成展として開催)