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「知の拠点あいち重点研究プロジェクト(II期)」ロボットや機械・機器の安全性を高めることができる「リスクアセスメント支援ツール」を開発しました!

 愛知県では、大学等の研究シーズを活用して県内主要産業が有する課題を解決し、新技術の開発・実用化や新産業の創出を目指す産学行政連携の研究開発プロジェクト「知の拠点あいち重点研究プロジェクト※1(II期)」を実施しています。
 この度、「次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト※2」の研究テーマである「ロボット実用化のためのリスクアセスメント支援システム構築※3」において、名古屋大学の山田陽滋(やまだようじ)教授と、株式会社エスクリエイト(名古屋市)等の研究チームは、ロボットや機械・機器に対するリスクアセスメント※4の作業を支援する「リスクアセスメント支援ツール(以下、「RA支援ツール」という)」を開発しました。
 現在、労働安全衛生法において、ロボットや機械・機器を開発、又はそれらを導入する企業が行うべきリスクアセスメントは努力義務化されていますが、作業に手間や時間が掛かることが課題となっています。
 開発したRA支援ツールでは、危険源※5を網羅的に抽出でき、リスクアセスメント作業の省力化、効率化を図ることができる機能を実現しました。これにより、ロボット等の開発や導入に掛かる期間の短縮と、より安全な開発や導入を可能にします。また、産業機械分野の機械・機器に対する活用が期待できます。
 今後、株式会社エスクリエイトが販売を行う予定で、現在、同社のホームページからβ版をダウンロードすることができます(無料)。製品販売は、平成31年度中に開始する予定です。

 

1  開発の背景

 労働安全衛生法第28条の2(平成18年4月施行)により、リスクアセスメントは努力義務化されています。しかし、10年以上経た現在でも一部の企業で行われている以外、普及はなかなか進んでいません。
 ロボットや機械・機器を開発、又はそれらを導入する際に行うリスクアセスメントでは、人が危険な状態になる状況(危険事象※6)を事前に調査して、その原因である危険源を見つけ出し(危険源同定※7)、その危険源から被る怪我等の危害を軽減したり、発生する頻度を減らす方策を立案しますが、その為には数ヶ月以上を要する場合もあり、ロボットや機械・機器等の開発や導入にあたる仕様の確定までに時間が掛かっています。
 本研究チームは、このような課題を解決し、生命財産を守る安全技術をより身近に普及させることを目的として、リスクアセスメント作業を、効率的かつ網羅的に行うことができるRA支援ツールを開発しました。

 

2  開発の概要

(1) 本開発品の特徴

 本開発品は、データベース技術を利用した定型用語のプルダウンメニュー選択方式、危険事象の文章候補抽出・選択方式により、危険源同定に掛かる時間を短縮することができます。また、JIS規格閲覧機能により、リスク低減方策の技術的な確実性を確認できます。
 リスクアセスメントシート※8は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「生活支援ロボット実用化プロジェクト」と、厚生労働省の「機能安全活用実践マニュアル ロボットシステム編」で標準化されたそれぞれの形式のものを採用しており、いずれかを選択できます。
 現在はパソコン単体で使用しますが、複数の作業者がそれぞれの現場等から同一のリスクアセスメントに参加するような使用も想定し、今後、ネットワーク環境で複数人が同時に使用できるように改良を行う予定です。

(2) 主な機能(詳細はこちら(操作画面含む)をご参照ください) 

<プルダウンメニューによる語句の選択機能>

 定型的に使用する語句をあらかじめデータベース化しておき、プルダウンメニューで表示・選択できます。キーボードによる文字入力量が減少し、作業を効率的に進めることができます。

<文章候補の抽出機能>

 危険事象の記述をデータベースに記憶し、同じような危険事象を記述する場合、関連語句から自動的に候補となる文章を表示・選択できます。作業者は、適切なものを選択し、下書きとすることで、文章作成の作業効率を向上させることができます。

<JIS規格検索機能>

 リスク低減方策のキーワードを指示することで、その用語を含んだJIS規格を表示します。作業者は、リスク低減方策の技術的内容を容易に確認することができます。

<その他>

 リスクアセスメント作業のアップデート、追加、変更の履歴を残します。仕様変更に伴ってリスクアセスメントが実施されているか等の確認ができます。また、作業内容を承認した後は改ざんすることができないロック機能を有しています。

(3) 効果

 同一のリスクアセスメントシートを、全てキーボード入力(キーイン)により作成した場合と、RA支援ツールで作成した場合のキーイン回数の比較を図に示します。

キーイン文字削減効果

      図 リスクアセスメントシート作成時のキーイン回数の比較

 プルダウンメニューによる語句の選択機能と文章候補の抽出機能によって、キーイン回数を大幅に減らすことができます。
 また、危険事象の記述を行う場合、ある危険源に伴って発生する危険事象は、日時・場所が異なっても大きな違いがないことから、文章候補の抽出機能によって危険事象を網羅的に記述することができ、効果的なリスクアセスメントを実施することができます。
 リスクアセスメント作業の省力化や効率化により、ロボットや機械・機器の開発や導入にかかる期間の短縮ができます。また、危険源を網羅的に抽出できることで、ロボット等のより安全な開発や導入が可能になります。更に、使用する用語の統一が図られることにより、記述された文章の解釈に差異が生じる恐れが減少します。

 

3 期待される成果と今後の展開

 本開発品は、ロボット分野だけでなく、産業機械分野の機械・機器に対する活用が期待できます。リスクアセスメントを行うことで危害を低減する安全機能※9を設計に反映させることができるため、後の改良等を行う必要がなくなり、結果的に、開発に掛かる費用の低減につながります。
 今後、株式会社エスクリエイトが製品販売及び保守を行う予定です。現在、同社のホームページからβ版をダウンロードすることができます(無料・下記参照)。
 引き続き、市場の情報収集とツールの改良を行い、平成31年度中の製品販売を目指しています。

β版ダウンロード先:https://www.screate-soft.co.jp/RA/RA_DownLoad.html

パスワード:RA-V0.0.0.1

4  社会・県内産業・県民への貢献

 

社会・県民への貢献

・身近になりつつあるロボットの安全性を確保することで、ロボットの活用が一層促進され、より人の生活を豊かにできます。

県内産業への貢献

・ロボットの安全性の確保により、人材不足に対応するロボットの普及可能性が広がります。

・ロボットや機械・機器の欧州、北米への輸出には、リスクアセスメントが必須であり、その作業の効率化により輸出競争力の確保につながります。

 

5  問い合わせ先

【プロジェクト全体に関することの問合せ先】

・あいち産業科学技術総合センター 企画連携部

 (1)担当:牧、吉富

 (2)所在地:豊田市八草町秋合1267番1

 (3)電話:0561-76-8306

 (4)FAX:0561−76−8309

・公益財団法人科学技術交流財団

 (1)担当:松村、冨田、古田

 (2)所在地:豊田市八草町秋合1267番1

 (3)電話:0561-76-8360

 (4)FAX:0561−21−1653

【本開発内容に関する問合せ先】

(リスクアセスメント及び安全関連技術関連)

・名古屋大学

 (1)担当:大学院 工学研究科 教授 山田陽滋(やまだ ようじ)

 (2)所在地:名古屋市千種区不老町

 (3)電話:052-789-2716

(RA支援ツール関連)

・株式会社エスクリエイト

 (1)担当:代表取締役社長 本山 景一(もとやま けいいち)

 (2)所在地:名古屋市中区錦一丁目4番16号 KDX名古屋日銀前

 (3)電話:052-222-3600

 

【用語説明】

※1 知の拠点あいち重点研究プロジェクト

  高付加価値のモノづくりを支援する研究開発拠点「知の拠点あいち」を中核に実施している産学行政の共同研究開発プロジェクト。平成28年度からは「重点研究プロジェクト(II期)」を実施している。

   「重点研究プロジェクト(II期)」の概要

目的

大学等の研究シーズを活用して県内主要産業が有する課題を解決し、新技術の開発・実用化や新産業の創出を促進する。プロジェクト終了時には、県内企業において、成果の実用化や製品化、社会での活用を見込むことができる研究開発を実施する。

実施期間

平成28年度から平成30年度まで

参画機関

17大学11公的研究機関等99企業(うち中小企業73社)

(平成30年9月現在)

プロジェクト名

次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト※2

・近未来水素エネルギー社会形成技術開発プロジェクト

・モノづくりを支える先進材料・加工技術開発プロジェクト

 

※2 次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト

 

概要

モノづくりやサービス分野等における、新たなロボットの利用技術開発、実証実験を行うとともに、情報通信技術等を活用した自動車安全技術の研究開発を実施することにより、次世代ロボット社会形成に資する技術開発を推進する。

研究テーマ

(1)高齢者が安心快適に生活できるロボティックスマートホーム

(2)介護医療コンシェルジュロボットの研究開発

(3)航空エンジン製造自動化システムに関する研究開発

(4)施設園芸作物の収穫作業支援ロボットの研究開発

(5)鳥獣害・災害対応ドローンに関する研究開発

(6)愛知次世代ロボットの産業化・市場創出を推進する要素技術開発

(7)ロボット実用化のためのリスクアセスメント支援システム構築※3

(8)眼球運動を指標としたドライバ状態検知技術の実用化

(9)交通事故低減のための安心安全管理技術の開発

参画機関

10大学8公的研究機関等38企業(うち中小企業24社)   (平成30年9月現在)

 

※3 ロボット実用化のためのリスクアセスメント支援システム構築

 

研究リーダー

名古屋大学大学院工学研究科 教授 山田 陽滋 氏

事業化リーダー

株式会社エスクリエイト 本山 景一 氏

内容

稼働領域が人間の存在領域と共有される次世代ロボットにおいて、安全確保はより重要な問題となっており、リスクアセスメント(RA)により適用分野に依存する重要な危険源を同定しなければならない。これに基づくリスクシナリオに沿って、低減方策の導出を可能とする人材育成のためのRA教材の構築と、作業の効率化を図る標準化ツール及び安全性評価手法の構築を行う。

参加機関

〔企業〕

株式会社エスクリエイト、株式会社FUJI

〔大学〕

名古屋大学

〔公的研究機関〕

公益財団法人科学技術交流財団、あいち産業科学技術総合センター

※4 リスクアセスメント

 「危険源同定」と、その危険源から生じる危害の重篤度・可能性を見積もる「リスク分析」、危害を低減するためのリスク低減方策を立案する「リスク評価」までのプロセス全体のこと。

 

※5 危険源

 危害を引き起こす潜在的根源。容易に明らかになることもあるが、動作を伴ったり、一定の条件を満たして初めて判明するものなど様々なものがある。

※6 危険事象

  安全方策の不備・不足により、危険な状態から移行し、危害の発生に至る事象。

※7 危険源同定

 機械・機器が持っている危険源を調査し、例えば、ISO12100等の規格で規定された危険源リストと照らし合わせ、特定する作業。

※8 リスクアセスメントシート

  リスクアセスメント作業の過程と結果を記録したもの。

※9 安全機能

 この機能が故障することで、リスクが増大するような機械・機器の機能のこと。例えば、切削作業中、発生する切粉の飛散防止カバーの破損により、切粉が飛び散り、怪我のリスクが増大する場合、安全機能は、カバーの切粉飛散防止機能を指す。

 

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