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【変更】綿のセルロースナノファイバー※1を利用した石鹸用のスクラブ剤※2を開発しました~あいち産業科学技術総合センターがマイクロプラスチック対策向けに開発、企業で試作品製造~

 

※変更

講師の参加自粛があったため、3月4日(水曜日)の環境適応材料研究会の内容を一部中止します。

 あいち産業科学技術総合センター産業技術センター(以下、「センター」)は、マイクロプラスチック汚染対策※3や低炭素社会※4の実現に資する材料として、植物由来の生分解素材であるセルロースナノファイバーに注目し、製造技術から製品への応用まで様々な技術開発を進めています。
 この度、日清紡(にっしんぼう)テキスタイル株式会社(東京都)と吉田機械興業(よしだきかいこうぎょう)株式会社(名古屋市熱田区)との共同研究により、衣類素材から綿を原料とするセルロースナノファイバー(以下、「CoNF」)を全国に先がけて開発しました。また、樹脂製粒子を代替、削減することを目指して、石膏程度の硬さから樹脂製の工業用研磨材の硬さまで様々な硬さのCoNF粒子を開発し、高い硬度が要求されるスクラブ剤用粒子に応用しました。
 さらに、中央化工機(ちゅうおうかこうき)株式会社(豊明市)と白井石鹸(しらいせっけん)株式会社(豊橋市)の協力で、衣料用生地由来のCoNF粒子のスクラブ剤入り石鹸を試作しました。
 今後、試作品の石鹸やスクラブ剤は、天間特殊製紙(てんまとくしゅせいし)株式会社(静岡県)と東亜化成(とうあかせい)株式会社(大阪府)の協力を受け、次年度には販売を開始する予定です。
 なお、本件は、2020年3月4日(水曜日)に、愛知県技術開発交流センターで行われる環境適応材料研究会※5において紹介します。

綿生地     試作した石鹸

  綿生地(左)と綿のナノファイバー(CoNF)を添加した石鹸(右)の写真

1 開発の背景

 センターでは、マイクロプラスチック汚染対策や低炭素社会構築に貢献する目的で、セルロースナノファイバーの利用に取組む企業に対して、技術開発や講演会などの技術支援を行っています。
 日清紡テキスタイル株式会社、吉田機械興業株式会社とセンターとの間で2018年度から実施している共同研究により、衣類素材からCoNFを開発しました。衣類用生地をナノファイバーにまで加工したのは、全国で初めてです。
 併せて、センターでは、マイクロプラスチック汚染対策の一環として樹脂製粒子の削減に貢献することを目的に、セルロースナノファイバーからスクラブ剤等の高機能性粒子を開発する研究を、2019年度から3年計画で実施しています。
 これらの研究成果を基に、硬度の高いCoNF粒子の研究開発や試作品化に複数の企業と取組み、衣類用生地由来のCoNF粒子をスクラブ剤に用いた石鹸を開発しました。
 

2 開発内容

(1)CoNFの作製 

 セルロースの中で衣類や生活衛生品に用いられる綿を原料に選択しました。本開発用の綿は、日清紡テキスタイル株式会社から提供された未利用の端材などの衣類用生地(図1))、生産工程で発生した落綿(らくめん)(廃棄物)等を使用しました。
 CoNFの作製には、当センターと共同で特許を取得した吉田機械興業株式会社製の湿式微粒化装置(商品名:ナノヴェイタ、特許第5232976号、以下、「NV」)(図2)を使用しました。まず、NVは数mm以上の長い綿を加工できないため、加工に適したサイズにする前処理の条件を最適化した後、NVを使用して湿式条件で綿を粉砕加工すること(以下、「ナノファイバー加工」)で作製しました。

図1綿生地図1綿シャツ  ず2

      図1 衣類用綿生地の外観写真                        図2 ナノヴェイタの外観写真


 図3に示すとおり、太さ数十µm(マイクロメートル)の原料(綿)は、太さ数十nm(ナノメートル)のファイバーになりました。NVによる処理回数、処理圧力、処理温度の違いで、太さなど形態の異なるCoNFが作製可能になりました。

図3綿  図3ナノファイバー

           図3 未処理の綿(左)及びCoNF(右)の電子顕微鏡写真

(2)スクラブ剤の開発

 高機能性粒子を開発する研究において、セルロースナノファイバーを乾燥して高い硬度の粒子を得るために、ナノファイバー加工の条件や、ナノファイバーの太さなどの形態、引き続く乾燥過程の温度や減圧状態等を適正化した結果、石膏(モース硬度※6 2)より硬いモース硬度約4の粒子の開発に成功しました。
 上記の結果を基に、中央化工機株式会社製の乾燥装置(図4 ドラムドライヤ※7、振動乾燥機など)でCoNFを乾燥し、工業用研磨剤並みに高い硬度のCoNF粒子が得られました(表1、2)。また、乾燥条件により粒子の硬度をコントロールでき、用途に応じた硬度の粒子が作製可能です。

表1 様々なCoNF粒子のモース硬度
原料加工粒子試作モース硬度
未加工1未満
ナノファイバー加工スプレードライヤ1未満
ナノファイバー加工ドラムドライヤ1~1.5
ナノファイバー加工振動乾燥機2~4

 

表2 様々な試料のモース硬度(比較参考用)
試 料モース硬度
爪、2Hの鉛筆2.5    *1
銅硬貨3     *1
プラチナ4~4.5  *1
工業用研磨剤(プラスチック)2~4   *2

          *1 1998-2014 American Federation of Mineralogocal Societies, Inc.(アメリカ鉱物学会)
          *2 平成28年度経済産業省委託調査報告書
             「平成28年度化学物質安全対策(マイクロプラスチック国内排出実態調査)報告書」

 

図4-1乾燥機  図4-2乾燥機

        図4 ドラムドライヤ(左)と振動乾燥機(右)の外観写真

(3)CoNFスクラブ剤入り石鹸の試作

 白井石鹸株式会社において、上記乾燥粒子を固形および液状の石鹸に添加した試作品を製造しました。試作品は、樹脂製の粒子を使用していませんので、マイクロプラスチック対策に資する環境適応製品です。
 今後、一般家庭で使用される、生活衛生用途を主な目的とし、スクラブ剤の硬さや添加量により、柔らかい皮膚から角質などの硬い皮膚まで幅広く対応することを目指します。また、吸水性、吸着性など、セルロースの性能を生かした製品としても期待しています。

3 技術移転を目指した今後の予定

 下記研究会において、開発内容を紹介します。また、開発グループは、2020年度を目標に試作品の受注販売を開始する予定です。
 センターでは、開発したスクラブ剤の性能やセルロースナノファイバーの利用に関心のある企業の方々からの相談や問合せに随時対応しています。また、今後開催される環境関連の展示会などへの対応を行うことで、試作品を普及していきます。下記問合せ先までお気軽に御連絡ください。

4 研究会の概要

(1)行事名  2019年度環境適応材料研究会《SDGsとマイクロプラスチック対策》

日時 午後3時30分まで
                            (受付開始 午後1時)                      

(3)場  所  愛知県技術開発交流センター交流会議室
        (あいち産業科学技術総合センター産業技術センター内)
                刈谷市恩田町一丁目157番地1 電話:0566-24-1841

(4)対象者  セルロースナノファイバー利活用、マイクロプラスチック対策に関心のある県内企業等の方

(5)内  容
◆主催者挨拶(午後1時30分~午後1時35分)

◆講演 I  (午後1時35分~午後2時)
『綿のセルロースナノファイバーを利用した石鹸用のスクラブ剤開発』
演 者 あいち産業科学技術総合センター 産業技術センター
     環境材料室 主任研究員 森川 豊 (もりかわ ゆたか)

◆講演 II  (午後2時~午後3時)
『「SDGs経営ガイド」及び「SDGs経営/ESG投資研究会報告書」について』
講 師 経済産業省 経済産業政策局
     産業資金課・企業会計室 係長 濱田 準哉 (はまだ  じゅんや) 氏

    【中止】
講演3-2

質疑 (午後3時~午後3時30分)

(6)定  員   60名(申込先着順)

(7)参加費   無料

(8)申込方法  参加申込書によりFAXまたは電子メールで2月25日(火曜日)までにお申込みください。
         受講票はお送りしません。お断りの連絡がない場合は参加できますので、当日会場へお越しください。
         参加申込書 [PDFファイル/160KB]

         ※ 参加申込書は、あいち産業科学技術総合センターのWebページ
           (http://www.aichi-inst.jp/)からダウンロードできます。

(8)申込先   あいち産業科学技術総合センター産業技術センター
         環境材料室 森川、伊藤(雅)
         FAX:0566-22-8033
         E-mail : yutaka_morikawa@pref.aichi.lg.jp

5 問合せ先

【環境適応材料研究会、スクラブ剤の性能、ナノファイバー加工の相談に関すること】
  あいち産業科学技術総合センター産業技術センター 環境材料室
 担  当 森川、伊藤(雅)、伊藤(賢)
 所在地 刈谷市恩田町一丁目157番地1
 電   話 0566-24-1841  FAX 0566-22-8033
 URL     http://www.aichi-inst.jp/

【CoNFの相談に関すること】
 日清紡テキスタイル株式会社大阪支社
 担  当 取締役 執行役員 勝野 晴孝 (かつの  はるたか)
 所在地 大阪市中央区北久宝寺町2丁目4番2号
 電  話 06-6267-5536 FAX 06-6267-5674

【CoNFの乾燥の相談に関すること】
 中央化工機株式会社
 担  当 セールスエンジニアリング部 取締役部長 加藤 寿紀 (かとう  ひさのり)
 所在地 愛知県豊明市新田町中ノ割3番地
 電  話 0562-92-6181  FAX 0562-92-1051
  URL     https://www.chuokakohki.co.jp/

【石鹸製造、販売の相談に関すること】
 東亜化成株式会社東京支店
 担  当 品質保証部 部長代理 清水 直弘 (しみず なおひろ)
 所在地 東京都中央区日本橋2丁目16番11号
 電  話 03-3243-0771  FAX 03-3243-0774

  白井石鹸株式会社三河営業所
 担  当 所長 白井 康雄 (しらい  やすお)
 所在地 愛知県岡崎市蓑川町寺辺115-11
 電  話 0564-71-4197  FAX 0561-71-4196
  URL     https://www.shiraisekken.co.jp/

【用語解説】
用語説明
※1 綿のセルロースナノファイバー セルロースは植物の細胞壁の主成分で、地球上で最も多く存在する炭水化物です。紙や綿の主成分であり、植物が光合成により太陽光と二酸化炭素を利用して合成し、大気中の二酸化炭素を増加させず(カーボンニュートラル)、微生物などにより分解されることから、環境に優しい材料として知られています。
 セルロースナノファイバーは、セルロースの太さが数十~数百nm(ナノメートル、1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)程度の繊維状に加工した素材です。保水性、低熱膨張率、透明性等、優れた特性を持ち、自動車部品、食品、化粧品、電子機器及び再生医療など様々な分野での利用が期待されています。
 セルロースナノファイバーの製造は、紙の場合と同様に、原料として、木などの植物資源を採取、加工する方法が主流です。
 本開発の様に、衣類用の綿素材の端材や落綿(らくめん)を用いたセルロースナノファイバーを産業用に開発した事例は、全国で初めてです。本開発グループでは、綿(cotton)のナノファイバー(nano fiber)をCoNFと呼び、環境に配慮した繊維製品の事業化を進めています。
※2 スクラブ剤 手や足、歯などを洗浄する際に、落ちにくい汚れの洗浄効果向上などの目的で使用する粉末です。石鹸や歯磨き粉などに添加されていることがあります。洗浄効果や安全性などに配慮して、形状や大きさなど各様のものがあります。ポリエチレン、ポリウレタンなどの樹脂性粉末が用いられることがあります。
※3 マイクロプラスチック汚染 サイズは文献によって異なりますが、一般には5mm以下の樹脂製の粒子はマイクロプラスチックと言われます。これらの粒子は、製造時に粒子内に添加される物質や、廃棄後に粒子表面へ吸着する物質に有害な化学物質が含まれることがあります。
 スクラブ剤のように初めから5mm以下の粒子であるもの(1次マイクロプラスチック)や、容器のように大きなものが分解して粒子になったもの(2次マイクロプラスチック)があります。
 マイクロプラスチックは、世界中の海で海洋生態系に取り込まれ、人を含む生物の身体や繁殖などに有害な化学物質を運ぶ可能性があります。具体的に、人体にどのような影響を及ぼすのか、不明な点がありますが、詳しい調査が進められています。
 なお、資料「2016 年微粉体市場の現状と将来展望 富士キメラ総研」を元に作成された、1次マイクロプラスチックの国内販売量見込みは年間約19万トンとされています(出展:平成28年度経済産業省委託調査報告書「平成28年度化学物質安全対策(マイクロプラスチック国内排出実態調査)報告書」)。
※4 低炭素社会 地球温暖化効果ガスとされる、二酸化炭素などの最終的な排出量が少ない産業・生活システムを構築した社会のことをいいます。
※5 環境適応材料研究会 当センター環境材料室において、2012年度の担当発足時から、環境やバイオマス利活用に関する技術の情報発信や事業支援を行う目的で開始した研究会です。開始時は、“バイオマス利活用研究会”、2017年度から“環境適応材料研究会”に名称を変更しました。県内企業を主な対象として、講演会、分析実習などを実施しています。
※6 モース硬度 主に鉱物に対する硬さの尺度の1つです。測定対象物質の硬度は、多くの場合、1から10までの標準鉱物とひっかいたときの傷のつきにくさで調べます。標準硬度は、数値が大きいほど硬く、1は滑石、2は石膏、3は方解石、4は蛍石を用い、最大の10には、ダイヤモンドを用いることがあります。
※7 ドラムドライヤ スチーム等の熱媒体により加熱され回転するドラムの表面に処理材料をフィルム状に付着させ、ドラムが1回転する間に蒸発乾燥しスクレーパーナイフで乾燥品を掻き取ります。液状、ペースト状、泥状の原料の連続処理に適しています。全国でも真空タイプを製造、販売する企業は少ない状況です。

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