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尾張繊維技術センターが研究・試作品を展示会で紹介します~産学と連携して共同製作した作品などを展示~

 あいち産業科学技術総合センター尾張繊維技術センター(以下、「センター」という。)では、繊維業界への技術支援の一環として、企業の方々へ技術移転するための新技術に関する研究開発を実施しています。
 この度、研究開発成果品や試作品の展示、紹介を行う「あいち産業科学技術総合センター尾張繊維技術センター研究試作展」を「17th JAPAN YARN FAIR & 総合展『THE 尾州』(びしゅう)」(主催:公益財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンター)内において開催します。
 研究・試作品として、産学と連携して共同製作した作品、最新の素材や独自の技術を用いて試作した織編物 (おりあみもの) などを多数展示します。多くの皆様の御来場をお待ちしています。

昨年度の風景

昨年度の展示風景

1 展示会概要

(1)名   称    あいち産業科学技術総合センター尾張繊維技術センター 研究試作展
            (「17th JAPAN YARN FAIR & 総合展『THE 尾州』」内)

(2)日   時    2020年2月19日(水曜日)から21日(金曜日)まで(3日間)
            午前10時から午後5時まで

(3)場   所    一宮市総合体育館(一宮市光明寺字白山前20番地)
            電 話  0586-78-3401(会期中のみ)

(4)入 場 料    無料

(5)展示内容   産学と連携して共同製作した作品(全21作品)
           (詳細は2ページ以降をご参照ください)

(6)事前申込み  不要(当日、入口で受付をお済ませください。)

2 展示品の内容について

(1)産学と連携した研修事業における共同製作品

 センターでは、津島毛織工業協同組合、名古屋女子大学生活環境学科(以下、名古屋女子大学)と連携して、ものづくり人材育成のための研修を今年度の4月から12月まで延べ11回行い、オリジナルの作品を共同で製作しました。
 津島市は毛織物の一大産地として、その品質は世界中で広く認められていますが、昨今では高い技術力を持つ熟練技術者が減少し、若手人材の育成が産地の課題となっています。センターでは業界からの要望に応え、2016年度から織物製造技術に関する研修を行っています。
 一方、名古屋女子大学では、様々な形での議論やフィールドワークを通じた学習が重要視されてきています。また、衣服製作については学ばれていますが、織物製造や県内の繊維産業について知る機会が少ないのが現状です。
 そこで、今年度は両者と連携し、一連の織物製造技術を習得するとともに、製品コンセプトから企画、設計、製作までを行う研修事業を実施しました。
 研修生全員で高原ウエディングをイメージしたケープとタキシードのひと揃いの生地を企画・製織し(図1)、名古屋女子大学の学生がデザイン・縫製を行いました(図2)。製作した生地はベースに雪色のループ糸※1と紡毛糸※2を用い、そこにモール糸※3やカスリ糸※4、ラメ糸※5などをアクセントとして織り込むことで、白に映える氷の青やクリアな光を表現しました。雪のふわもこ感、輝き、そしてやさしさが表現された生地に仕上がっています。

図1 製織した生地

図1 製織した生地

図2 タキシードとケープ

図2 タキシードとケープ

(2)製織技術を活用したプチパイル織物

 タオルやカーペットに用いられるループパイル※6織物は、専用装置を備えた織機を使って作られます。
 今回、専用装置を使用せずに織り方を工夫することで、ループパイル織物を試作しました。2層の織物組織の片側だけにループパイル構造を持たせ、織物組織の層間を水溶性の糸でつなぎ、水溶性の糸を水で溶解させた後に2層を引っ張って剥がすことで、表面に小さなループパイル(プチパイル)が現われた織物と、プチパイルが抜けたところにピンホールができた織物に分かれます(図3)。
 また、プチパイルの大きさに差をつけることや、プチパイルの配列を変化させることで、プチパイルが現われた織物は全体として市松模様※7の織物になります(図4)。織物の表面にプチパイルを粗密で市松模様状に出現させた本試作品は、「ジャパン・テキスタイル・コンテスト(JTC)※8 2019」において、優秀賞を受賞しました。

図3 ループパイル構造を持つ織物組織のイメージ(断面)

図3 ループパイル構造を持つ織物組織のイメージ(断面)

図4 市松模様のプチパイル織物

図4 市松模様のプチパイル織物

(3)その他の展示品

ア 研究開発品

 羊毛は純粋な白色ではなく、黄色味を帯びています。そのため、鮮やかな色に染色する際や白さが要求される場合には、一般的に薬品による漂白処理が行われています。しかし、漂白した羊毛は、綿やポリエステルなどと比べると十分に白いとは言い難く、繊維業界ではさらに白い羊毛を得られる漂白技術が求められていました。センターでは、漂白処理における最適条件について検討を行い、従来の漂白処理より白い羊毛が得られる漂白処理条件を見出しました(図5)。本法により、漂白処理を施した羊毛を用いることで、パステルカラーのような淡く鮮やかな色での染色が可能となり、白のイメージが強い肌着やシャツ地などの繊維製品にも羊毛を利用することができることから、繊維業界における春夏向け羊毛衣料の商品開発を促進することが期待されます。
 そのほか、医療・福祉機器の開発を目的として、軟らかい布からできたデバイス※9を開発しています。今回の展示会では、フェルト※10でできたスイッチを応用して、柔らかくコンパクトに収納して持ち運ぶことが可能な布デバイス(図6)などの研究開発品を紹介・展示します。

白色度

図5 漂白処理した羊毛生地
(左:未処理、中:一般漂白処理、右:センター漂白処理)

テンキー

図6 布製のテンキーボード

イ 試作品

 羊毛の織物に当センターの研究成果を活用して漂白処理を施した後、絞り染めを行うことで、淡くて涼しげなパステルカラーに染色した夏向けの毛織物(図7)を試作しました。また、主に衣服のデザイン性を高めるために利用されるリング糸※11を飾り糸として用いた特殊なモール糸を試作し、製織することでユニークな外観や触感を持たせた織物(図8)にしました。そのほか、伝統工芸品である水引※12を織物の材料として活用し、織物の中に挿入することでデザイン性を高めた織物(図9)などの試作品も展示します。

絞り

図7 漂白・絞り染め織物

モール

図8 リングモール糸織物

おり

図9 水引を利用した織物

3 問合せ先

 あいち産業科学技術総合センター 尾張繊維技術センター
 素材開発室(担当:山内、山口、村井、石川(敬))
 〒491-0931 一宮市大和町馬引字宮浦35
 電話: 0586-45-7871    FAX: 0586-45-0509
 

○「17th JAPAN YARN FAIR & 総合展『THE 尾州』」の概要

 「JAPAN YARN FAIR」は、日本最大級の「糸」に特化した展示商談会です。商社、紡績、合繊メーカー、意匠撚糸メーカー、染色整理加工企業などがそれぞれ自社の強みを活かして、機能性、意匠性に富んだ高付加価値の糸を提案し、染色整理技術や繊維関連機器の紹介をします。ものづくりの原点に位置する「糸(YARN)」の担う役割は大きく、その「糸」を供給する川上企業の活性化は繊維産業全体の活性化につながります。
 今回で9回目を迎える総合展「THE尾州」では、「MADE IN JAPANは尾州から」をテーマに「ジャパン・テキスタイル・コンテスト(JTC)2019優秀作品展」等の常設展示のほか、「ビ」ジョンズや布の市など市民の皆様が楽しむことのできるイベントを計画しています。
 詳細は以下のWebページを御覧ください。
 https://www.fdc138.com/fashion/promotion/jy/

【用語説明】
用語説明
※1 ループ糸 芯糸の周囲に飾り糸を絡ませることによって、糸の表面に多数の輪(ループ)を形成させた糸。
※2 紡毛糸 短い繊維を紡績してつくる膨らみのある糸。
※3 モール糸 糸の周りに毛羽を出した毛虫様の外観を持った糸。
※4 カスリ糸 染まった部分と染まっていない部分がある糸。
※5 ラメ糸 金や銀など金属のような光沢のある糸。
※6 ループパイル タオルやカーペットなどの表面の毛羽(けば)をパイルといい、このパイルがループ状になっているものをループパイルという。
※7 市松模様 2色の柄を交互に碁盤(ごばん)の目のように並べた格子模様。
※8 ジャパン・テキスタイル・コンテスト(JTC) 「次代のテキスタイル産業を担う人材の発掘・育成」をテーマに、テキスタイル(繊維製品)産業における技術力、デザイン力、マーケティング力の強化を目指して1991年から開催されている、産地活性化を目的とした人材育成事業。主催は公益財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンター。
※9 デバイス コンピュータを構成する電子部品や機器、周辺装置を指す。コンピュータのネットワークに接続して使用するパソコンやスマートフォンなどの携帯用端末などがある。
※10 フェルト 羊毛などの毛繊維を相互に絡み合わせ、圧縮して布状にした繊維製品。
※11 リング糸 芯となる糸の周囲に絡みついた飾り糸が小さな輪(リング)を形成している糸。
※12 水引贈答品や封筒を装飾するためのひも。主に和紙をよって固めたものに薄紙や繊維を巻き付けて使用される。