ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織でさがす > あいち産業科学技術総合センター > コーヒー豆を原料とする健康志向の新しい飲料が発売されます~県の資金支援と技術支援を受けた名古屋市の企業が商品化~

コーヒー豆を原料とする健康志向の新しい飲料が発売されます~県の資金支援と技術支援を受けた名古屋市の企業が商品化~

 愛知県は、2012年度から、「新あいち創造研究開発補助金※1」により、地域企業の新技術開発を支援するとともに、あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター(名古屋市西区:以下、「センター」)において、食品関連企業の技術課題の解決を支援しています。この度、この二つの支援を受けて株式会社Lig(リグ)(名古屋市昭和区)が、コーヒー豆を原料とするお茶のように飲みやすい新しい飲料の開発に成功しました。
 開発された飲料は、コーヒー豆に含まれる成分で、健康効果が期待されるクロロゲン酸※2を多く含むことが特長です。株式会社Ligでは、新製品を2020年8月6日(木曜日)からインターネット上で販売開始します。

トップ写真

     開発した焙煎豆と飲料

1 背景、経緯

 コーヒー豆は、焙煎することで様々な風味が醸成されます。豊かな香りと独特の苦みは、コーヒー好きにはたまらない魅力です。一方、焙煎することで生のコーヒー豆(生豆)に含まれるクロロゲン酸が熱分解することが知られています。株式会社Ligは、通常のコーヒー豆の焙煎温度より低い温度で生豆を焙煎することにより、クロロゲン酸を始めとする生豆由来の成分を多く含む飲料「O CHER (オーカー)」を1年前から製造販売しています。この飲料は、風味が乏しいため主に他の素材とのブレンドに適した製品でした。そのためセンターに、クロロゲン酸を多く含みながら、焙煎に伴う香ばしい風味を高めることでお茶のように飲みやすい新製品を開発したいという相談がありました。そこで、株式会社Ligでは、新あいち創造研究開発補助金を活用して試験焙煎機を導入するとともに、センターの技術支援を受けて、クロロゲン酸を多く含みながら、従来品より香ばしい風味を高めた飲料の開発に取り組みました。

2 愛知県としての支援

(1) 新あいち創造研究開発補助金を活用した試験焙煎機の導入 

 生豆を焙煎することによる香ばしい風味を高めるためには、焙煎温度を上げる必要がありましたが、ガス燃焼による熱風焙煎試験機では、クロロゲン酸が熱分解されることが予想されました。そこで株式会社Ligでは、クロロゲン酸の熱分解を極力抑えながら風味を良くするために、遠赤外線を熱源とする焙煎試験機を用いて、豆の表面と内部の加熱ムラを抑え、豆の表面温度が高くなり過ぎないよう焙煎温度を制御する技術開発に取り組みました。また、遠赤外線焙煎と熱風焙煎の比較、遠赤外線焙煎と熱風焙煎との併用などを検討しながら、焙煎豆試作品を調製しました(写真1)。

遠赤外焙煎試験機 写真1  熱風焙煎試験機 写真1

      写真1 遠赤外線焙煎機(左)と熱風焙煎機(右)

(2) センターによる技術支援

 センターでは、〈1〉香気成分を分析することによる風味の評価、〈2〉クロロゲン酸の定量及び顕微鏡による内部構造の観察、〈3〉糖や有機酸※3といった味に関わる成分の分析等を行いながら総合的な考察を行い、焙煎方法を確立するまでの技術支援を行いました。
〈1〉香気成分を分析することによる風味の評価
 GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)により、焙煎工程の改良による焙煎豆の香気成分の変化を分析しました。生豆の緑の香りに関与するヘキサナール※4は、従来品、開発品ともに含まれていました。一方、焙煎により生成する物質のうち、香ばしい香りに関与するピラジン※5類、アーモンドに似た香りのフルフラール※6は、従来品はほとんど検出されませんでしたが、開発品では複数の成分が検出されました(図1)。焙煎工程の改良後は、これらの成分のバランスにより香ばしさを強く感じるようになりました。

図1 香気成分

      図1 香気成分のGC-MSによる分析例

〈2〉クロロゲン酸の定量及び顕微鏡による内部構造の観察
 焙煎豆と飲料(抽出液)に含まれるクロロゲン酸の量を評価しました(図2)。開発品の豆では、生豆に含まれるクロロゲン酸の約70%が残っていることが確認できました。また、飲料(抽出液)には、生豆の約3倍のクロロゲン酸が含まれていました。従来品と比較しても開発品のクロロゲン酸量は大きく減っていませんでした。

図2 焙煎豆と飲料

      図2 焙煎豆と飲料に含まれるクロロゲン酸

 顕微鏡で観察したところ、一般的なコーヒー豆の多孔質の構造とは異なりますが、豆の組織が熱により変化している様子が観察されました(写真2)。生豆と構造が異なることは、開発品が生豆に比べてクロロゲン酸がより抽出されやすい理由の一つと推測されました。

写真2顕微鏡写真

      写真2 マイクロスコープによるコーヒー豆断面の観察

〈3〉糖や有機酸といった味に関わる成分の分析
 味に関わる成分である糖(ショ糖)や有機酸(クエン酸)を比較しました(図3)。生豆に含まれるショ糖は、焙煎によって変化するため減っていく傾向があります。ショ糖は開発品では従来品と同じ位含まれていました。
 また、酸味のもととなるクエン酸は、従来品や浅煎りコーヒーと同じ位含まれていました。甘味や酸味を示すこれらの成分の相乗効果が味に寄与すると推測されました。

図3 飲料と味成分

      図3 飲料に含まれる味に関わる成分

3 製品の特長

 開発品に含まれるクロロゲン酸を一般的なコーヒーと比較しました。その結果、開発品は浅煎りコーヒーや一般的なコーヒー(市販のレギュラーコーヒーやインスタントコーヒー)に比べて多いことが確認できました(図4)。
 開発品の飲料は、自然な甘味とわずかな酸味からなる素朴な味わいです。そのため、普段コーヒーを飲まれない方でも手軽にクロロゲン酸が摂取できる飲料となりました。

図4 クロロゲン酸

      図4 飲料に含まれるクロロゲン酸

4 今後の展開

 開発品は「DARK O CHER (ダーク オー カー)」の商品名で、一般向けには、2020年8月6日(木曜日)からインターネット上(https://lab-lig.shop/)で販売開始します。
 ※販売価格
   「DARK O CHER (ダーク オー カー)」 10g×6パック:2,130円(税別)
                          100g(袋):2,280円(税別)
 また、業務用についても同時に販売を開始します。

写真4 豆1  写真4 パック

      写真3 開発品(左)と商品パッケージ(右)

5 問合せ先

○愛知県としての支援に関すること

あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター
分析加工技術室(担当 日渡 (ひわたし)、石川(健))
〒451-0083 名古屋市西区新福寺町2-1-1
電話:052-325-8093(ダイヤルイン) FAX:052-532-5791

○技術開発、製品の販売に関すること

株式会社Lig
焙煎研究所所長 加藤拓磨
〒466-0812 名古屋市昭和区八事富士見304 1階
電話:052-680-9522

【用語解説】
用語説明
※1 新あいち創造研究開発補助金 次世代自動車や航空宇宙など、将来の成長が見込まれる分野において、企業等が行う研究開発・実証実験を支援し、本県における付加価値の高いモノづくりの維持・拡大につなげることを目的とした補助制度です。
※2 クロロゲン酸 多くの植物に含まれるポリフェノールと呼ばれる物質の一種です。コーヒー豆、イモ類、ゴボウに多く含まれます。
 報告されている主な機能性に、抗酸化作用、心疾患や二型糖尿病の予防、抗炎症作用などがあります。コーヒーには構造の異なる複数のクロロゲン酸が含まれていますが、本研究では5-カフェオイルキナ酸をクロロゲン酸として分析しています。
 ポリフェノールとは、植物の色素成分や苦みや渋み成分となる化合物の総称で、自然界に5,000種類以上あります。植物の葉や実などに含まれています。コーヒーのクロロゲン酸の他に、お茶のカテキンやブルーベリーのアントシアニンもポリフェノールの一種です。
※3 有機酸 酸味を示す成分です。多くの果物にはクエン酸が含まれています。お酢の酸味は酢酸によるものです。
※4 ヘキサナール 様々な植物に含まれている化合物で、特に大豆や豆乳の青臭さの原因物質として知られています。
※5 ピラジン 食品では加熱調理の際に糖とアミノ酸の反応により生成する化合物で、香ばしい香りに関わっています。
※6 フルフラール 糖の分解により生成する化合物で、アーモンドに似た香りがします。