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中部国際空港島において、自動運転の社会実装を見据えた実証実験を実施します
中部国際空港島において、自動運転の社会実装を見据えた実証実験を実施します
愛知県は、全国に先駆けて2016年度から自動運転の実証実験を積み重ね、5G*1・遠隔監視・路車間協調等を活用した自動走行の技術を磨き上げ、自動運転によるビジネスモデルの構築を進めています。
本年度は、これまでの取組を更に推し進め、交通事業者等が実運行において再現可能かつ持続可能なビジネスモデルの構築を目指し、3地域で実証実験を行うこととしています(2021年6月7日発表済み。)。
この実証実験の一環として、中部国際空港島(常滑市)において、「公道と空港制限エリアの同時運行・管理」をテーマに、空港利用者及び空港島勤務者の移動手段を想定した実証実験を行います。
本年度の特徴として、全国的にも先進的な取組となる「複数台のバス型車両の一元的な遠隔監視」のもと、中部国際空港内の制限区域・空港島内の総合物流地区のそれぞれを周回するルートにおいて2台の小型バス車両を同時運行します。さらに、空港内制限区域においては、一部区間において運転席無人での運行を実施します。その他にも5GやAI等の技術を取り入れることにより、自動運転車両の運行の省人化と安全の両立を目指します。
1 実施日程
2021年10月29日(金曜日)、11月1日(月曜日)から11月3日(水曜日・祝)まで
日程 | 時間帯 | 発車時刻 | ルート | 試乗者 |
---|---|---|---|---|
10月29日(金曜日) | 11時15分~11時35分 | 11時15分 | A | 愛知県知事 |
10時~13時30分 |
10時/10時30分/12時5分/ 12時25分/12時45分/13時5分 |
A | 報道関係者 | |
11月1日(月曜日)~ 11月3日(水曜日・祝) |
9時~17時 | - | B | 実証実験関係者 |
11時~16時 | 当日の到着便の運行に準ずる | C | 到着便旅客 |
日程 | 時間帯 | 発車時刻 | ルート | 試乗者 |
---|---|---|---|---|
10月29日(金曜日) | 14時~15時 | 14時/14時30分 | D | 報道関係者 |
11月1日(月曜日)~ 11月3日(水曜日・祝) |
5時~23時 |
「5 空港島総合物流 地区バス時刻表」参照 |
D | 一般利用者 |
※天候等により、発車時刻が変更になる場合があります。
2 実施場所及び走行ルート
中部国際空港の空港内制限区域と空港島総合物流地区
ルート | A | B | C | |
---|---|---|---|---|
経路 | 出発点 |
第2ターミナル (702ゲート) |
第1ターミナル |
第2ターミナル (702ゲート) |
経由 | 第1ターミナル | 第2ターミナル | ー | |
終着点 |
第2ターミナル (702ゲート) |
第1ターミナル |
第2ターミナル (702ゲート) |
|
距離 | 約4.0km | 約4.0km | 約0.3km | |
試乗者等 |
・愛知県知事 ・報道関係者 |
・実証実験関係者 |
・到着便旅客(一部) ※事前予約不要。 ※乗車定員は各便9名。 満席時には御乗車できません。 |
ルート | D | |
---|---|---|
経路 | 出発点 | 「旅客ターミナルビル」停留所 |
経由 | 「総合物流中央」停留所 | |
終着点 | 「旅客ターミナルビル」停留所 | |
距離 | 約3.5km | |
備考 | 運行時刻は、「5 空港島総合物流地区バス時刻表」を参照 | |
試乗者等 |
・報道関係者(10月29日(金曜日)) ・一般利用者(11月1日(月曜日)から3日(水曜日・祝)まで) ※一般利用者の乗車に当たって事前の予約や受付は不要です。 直接「旅客ターミナルビル」停留所または「総合物流中央」停留所にお越しください。 ※乗車定員は各便10名。満席時には御乗車できません。 |
※天候等により、走行ルートが変更になる場合があります。
〇実証全体図
○ルートA | ○ルートB |
|
|
○ルートC | ○ルートD |
|
|
※S:出発点、G:到着点、停:停留所
3 使用車両(計2台)
エリア | 空港内制限区域 | 空港島総合物流地区 |
---|---|---|
車両 |
小型バス「ポンチョ」(1台) |
小型バス「ポンチョ」(1台) |
仕様 |
・先進モビリティ株式会社が開発した自動運転システムを搭載 ・乗車定員:34名(試乗可能人数は、乗務員を除き9名(着席7名+立席2名)) ・GNSS*2と3D(三次元)地図、車両センサ情報等を組み合わせ、自車位置検出を多重化した自動運転及び一部遠隔制御(発車・停車のみ) ・一部区間において、運転席無人での運行を予定 |
・先進モビリティ株式会社が開発した自動運転システムを搭載 ・乗車定員:28名(試乗可能人数は、乗務員を除き10名(着席7名+立席3名)) ・磁気マーカシステム、GNSS、3D(三次元)地図と車両センサ情報等を組み合わせ、自車位置検出を多重化した自動運転 |
4 実証実験の特徴
(1)空港内制限区域・空港島総合物流地区共通
〇自動運転車両の複数同時運行と、5Gを活用した一元的な遠隔監視
空港内の制限区域・空港島総合物流地区のそれぞれを周回するルートにおいて、2台の小型バス車両を同時運行することに加え、走行ルート上や車両内に設置した複数のカメラ(路側/車載カメラ)を5Gに接続して映像伝送し、複数車両の運行状況を遠隔管制室*3にて一元的に監視します。
路側カメラから伝送される映像中の車両(特殊車両(GSE*4)を含む)、航空機、歩行者がAI映像解析*5技術によって認識され、遠隔管制室のモニターに視覚的に明示されます。このことにより、遠隔監視員が注視すべき箇所が明確になり、いち早く危険を察知することができます。
また、路側カメラには、専用のカメラと通信機器の代わりにスマートフォンと映像伝送システム「DiCaster(ディ・キャスター)*6」を採用し、高精細で低遅延な映像を用いた遠隔監視を比較的安価に実現できることを実証します。
これらの技術によって、自動運転車両の安全な運行と遠隔監視員の負荷軽減の両立を目指します。
〇立席での運行
自動運転バス車両の実装時には立ち乗りのお客さまも想定されることから、本実証で運行する自動運転車両では着席だけでなく立席も運用し、安全性の評価を行います。
〇AI顔認証ソフトウェアを活用した非接触での試乗者データ管理
自動運転車両の試乗受付及び車両への乗車時、サーモカメラ*7付きの5G対応スマートフォンを用いた非接触での温度測定に加え、AI顔認証ソフトウェア「SAFR(セイファー)®」*8を活用することで、受付及び車両乗車口に設置したカメラの映像から乗車人数カウントによる混雑状況把握、乗客の年齢・性別などの試乗者属性推定やリピータ分析*9の実証を行います。本実証で得られた結果を踏まえ、将来の試乗者データ活用方法の検討につなげます。
(2)空港内制限区域
〇航空機到着便からターミナルまでの旅客輸送を実施
ランプバス*10による航空機到着便からターミナルまでの旅客輸送を想定して行います。一部の便では到着便の実際のお客様に御乗車いただき、空港利用者の自動運転に対する受容性評価を行います。
○特殊車両や航空機が行き交う空港内制限区域において、運転席無人での自動運転車両を運行
自動運転車両が特殊車両(GSE)と交差する際や航空機のスポット誘導経路*11を横断する際は、遠隔監視により安全確保した上での自動運転走行を行います。
※運転席無人での運行は一部区間に限定して行います。また当日の実証実験の状況によって運転席無人での運行をしない場合もあります。
(3)空港島総合物流地区
〇空港島内の総合物流地区において、自動運転車両の早朝~深夜運行
「旅客ターミナルビル」バス停を起点として、空港島内の総合物流地区を周回するルートで早朝・深夜を含めて運行します。本ルートでは空港島総合物流地区の企業で勤務されている方に実際に御乗車いただくことで、空港島勤務者の自動運転に対する受容性評価を行います。
○耐候性に優れた自動運転システムと路側センサ連携による安全な運行
自動運転車両の走行制御において、車載センサであるLiDAR(ライダー)*12で捉えた周囲の情報と、あらかじめ記憶された3D地図を照合する経路把握の方式に加え、経路の一部では耐候性に優れ、かつ遮蔽(しゃへい)物が多く衛星の電波が届きにくい箇所でも車両位置を把握できる「磁気マーカシステム」*13による経路把握の方式を併用します。
その他にも、信号連携*14や歩行者・交差車両を検知する路側センサとの連携により、自動運転車両の安全な運行を実現します。
5 空港島総合物流地区バス時刻
AM | PM | ||||
---|---|---|---|---|---|
時 |
旅客ターミナルビル(発) |
総合物流中央(発) |
時 |
旅客ターミナルビル(発) |
総合物流中央(発) |
5 | 00 | 15 | 13 | 昼休憩 | |
6 | 00 | 15 | 14 | 10 | 25 |
7 | 10 | 25 | 15 | 00 | 15 |
8 | 00 | 15 | 16 | 00 | 15 |
9 | 10 | 25 | 17 | 20 | 35 |
10 | 10 | 25 | 18 | 00 | 15 |
11 | 00 | 15 | 19 | 20 | 35 |
12 | 昼休憩 | 20 | 00 | 15 | |
21 | 15 | 30 | |||
22 | 00 | 15 | |||
23 | 00 | 15 |
AM | PM | ||||
---|---|---|---|---|---|
時 |
旅客ターミナルビル(発) |
総合物流中央(発) |
時 |
旅客ターミナルビル(発) |
総合物流中央(発) |
5 | 00 | 15 | 13 | 昼休憩 | |
6 | 00 | 15 | 14 | 10 | 25 |
7 | 15 | 30 | 15 | 00 | 15 |
8 | 00 | 15 | 16 | 20 | 35 |
9 | 10 | 25 | 17 | 20 | 35 |
10 | 10 | 25 | 18 | 00 | 15 |
11 | 00 | 15 | 19 | 20 | 35 |
12 | 昼休憩 | 20 | 00 | 15 | |
21 | 00 | 15 | |||
22 | 00 | 15 | |||
23 | 00 | 15 |
※天候等により、運行ダイヤが変更となる場合があります。
6 事業実施体制
株式会社NTTドコモを幹事会社とする共同体で事業実施
企業名等 | 主な役割 |
---|---|
株式会社NTTドコモ | 事業統括、通信環境構築、5Gを活用したソリューションの提供、車両調達 |
先進モビリティ株式会社 | 自動運転バス車両の提供、走行調律作業の実施 |
名鉄バス株式会社 | 自動運転バスの運行計画の策定・運行 |
日本信号株式会社 | 路車間協調システムの提供 |
愛知製鋼株式会社 | 磁気マーカシステムの提供 |
企業名等 | 主な役割 |
---|---|
中部国際空港株式会社 | 実証実験場所の提供 |
常滑市 | 実証実験場所の提供 |
知多乗合株式会社 | 自動運転バスの運行補助 |
シーキューブ株式会社 | 磁気マーカの敷設 |
ENWA株式会社 | 映像伝送システムの提供 |
用語説明・補足
用語 | 説明・補足 |
---|---|
*1 5G |
通信キャリアがサービスとしてスタートした第5世代移動通信システム。 高速、大容量通信が特徴。 |
*2 GNSS |
Global Navigation Satellite Systemの略。人工衛星から発射される信号を用いて自己位置などの測位を行う技術。 |
*3 遠隔管制室 |
自動運転車両の運行を遠隔からの映像をもとに管制可能なスペース。 今回は、「第2セントレアビル4階R-7会議室」に設置。 |
*4 GSE |
Ground Support Equipmentの略。航空機地上支援車両。 旅客の荷物の積み入れ・積み出し、航空機の電源・燃料供給、航空機の旋回・後退、機内食の持ち込み等を目的とした多くの種類の車両が存在。 |
*5 AI映像解析 |
AIにあらかじめ空港内外の車両、航空機、人物等を学習させ、カメラに映った映像の内容を解析する技術。 |
*6 DiCaster |
ENWA(エンワ)社の提供する映像伝送システム。 |
*7 サーモカメラ |
赤外線を利用し、対象の表面温度を検知できるカメラ。 |
*8 SAFR® |
NTTドコモが提供する「ドコモ画像認識プラットフォーム」に搭載された高水準の認識精度と認識スピードを持つAI顔認証ソフトウェア。 映像から個人を特定せずに属性の推定を行うことも可能。 「SAFR®」は、RealNetworks, Incの登録商標。 |
*9 リピータ分析 |
バスに乗車した人をカメラで検知し、バスを繰り返し利用している人の割合等を分析すること。 |
*10 ランプバス |
空港施設(ターミナルビル)と、空港施設から離れた駐機場との間の乗客輸送を行うバス。 |
*11 スポット誘導経路 |
航空機の走行区域のうち、駐機場への出入りを目的として指定した区域。 |
*12 LiDAR |
Light Detection and Rangingの略。レーザー光を使って離れた場所にある物体の形や距離を測定するセンサ技術。 |
*13 磁気マーカシステム |
道路に敷設された磁気を発するマーカを、車両に取り付けられた高感度磁気センサで読み取り、自動運転車両を運行する方式。 |
*14 信号連携 |
信号機の状態変化の残り時間を自動運転車両に通知することにより、自動運転車両の停止・発進制御を実施。 |