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愛知県農業総合試験場で凍結受精卵を用いたデュロック種系統豚の子豚が産まれました

凍結保存した豚の受精卵
                凍結受精卵から産まれた子豚(左から2頭目)
愛知県農業総合試験場(長久手市)では、三元肉豚(さんげんにくとん)※1の親となる3品種(ランドレース種、大ヨークシャー種、デュロック種)の系統豚(けいとうとん)※2を開発し、愛知県畜産総合センターを通じて県内農家等へ供給しています。
2016年からは、三元肉豚の更なる品質向上を図るため、新たなデュロック種系統豚の開発を進めていましたが、2019年8月の県農業総合試験場における豚熱の発生を受け、飼養豚を全頭処分しました。
その後、昨年10月からデュロック種系統豚の開発を再開するため、豚熱発生前に保管していた凍結受精卵を使い、県畜産総合センターから移管した母豚への移植を行っていました(2020年10月1日記者発表済み)。この度、2月6日(土曜日)に、移植した凍結受精卵由来のデュロック種系統豚の子豚が産まれましたのでお知らせします。
当日、受精卵を移植した3頭の母豚で分娩があり、その内2頭で受精卵由来の子豚が1頭ずつ産まれました(うち、1頭は母豚により圧死)。今後、30頭の分娩が順次進みます。得られたデュロック種の豚を用いて交配と選抜を繰り返し、2024年に系統豚を完成させる予定です。
 
 分娩子豚数内 受精卵由来備 考
母豚17頭1頭 
母豚28頭1頭 母豚により圧死
母豚313頭0頭 

 

※1 三元肉豚とは、通常食用にされる三種類の品種の豚を掛け合わせた肉豚をいいます。一般に、繁殖性が高いランドレース種と大ヨークシャー種を交配させて一代雑種(F1)を作り、これに産肉性が高いデュロック種を交配させて作ります。
 ※2 系統豚とは、お互いに一定以上の血のつながり(血縁的には、いとこぐらいのつながり)を持ち、能力が高く、品種内での個体のばらつきの少ない集団を構成している豚です。このため、系統豚を親として生産される豚肉は品質が良く、安定しています。

1 経緯

・2019年7月 豚熱発生のリスクから回避させるため、開発途中のデュロック種系統豚の凍結受精卵
         (457個)を、一時保管場所として県農業総合試験場から名古屋大学の施設に移管(2019年7月29日記者発表済み)
・2019年8月 豚熱発生により県農業総合試験場内の豚を全頭処分
       系統豚の開発を中断
・2019年9月 名古屋大学の施設から、より安全性の高い大学共同利用機関法人自然科学研究機構
         基礎生物学研究所IBBPセンターに移管
・2020年3月 豚舎の密閉化など県農業総合試験場における防疫対策完了
・2020年4月 県畜産総合センターから豚を導入
・2020年4~9月 豚の生育、繁殖状況の確認
・2020年10月中旬~2021年1月
        基礎生物学研究所IBBPセンターから移送した受精卵を使い、母豚(33頭)に移植を実施(2020年10月1日記者発表済み)

2 今後の予定

・2021年2月上旬~5月 受精卵移植による子豚の分娩【今回発表】
・2021年 育成豚同士の交配開始
・2024年 新しいデュロック種の系統豚の完成
・2025年 生産者への供給開始

3 開発中のデュロック種系統豚

系統豚は近親交配により繁殖能力等が次第に低下します。
現在のデュロック種系統豚「アイリスナガラ」は、2007年の完成から13年が経過したため、農業総合試験場では、アメリカ合衆国と国内の6機関から導入したデュロック種を用いて、2016年から新しい系統豚の開発に着手しています。完成は、豚熱発生のため当初の予定より2年遅れて2024年度になる予定です。

4 凍結受精卵を作成した目的

豚熱が試験場内で発生し、防疫措置で飼養豚が失われた場合に備え、2019年3月から開発中の豚の凍結受精卵を作成しました。この凍結受精卵を使うことによって、一からやり直すことなく系統豚の開発を再開することができます。
今回の移植では、農業総合試験場が開発した「追い移植法」を用いて受精卵の移植を行いました。「追い移植法」は、通常の凍結受精卵移植約20%のところ、4倍の確率で分娩することができます。

5 問合せ先

愛知県農業水産局農政部農業経営課
技術調整グループ
担当 鬼頭、福田
ダイヤルイン 052-954-6410
愛知県農業総合試験場
畜産研究部養豚研究室
担当 田島、豊島
電話 0561-62-0085(内線562)

6 参考

○ 凍結受精卵を利用した「追い移植法」による子豚の生産
・ 豚の凍結受精卵を直接母豚に移植しても妊娠が維持されず、通常、2割程度の豚しか分娩に至らない。そのため、豚では、精液を使った人工授精が一般的で、生産現場における受精卵、特に凍結受精卵の移植例は少ない。
・ 農業総合試験場では、人工授精をした3日後に受精卵移植を行う「追い移植法」(従来の受精卵移植に比べ、約4倍の確率で分娩)を開発しており、今回、この技術を用いて受精卵移植を行った。

追い移植 白

 

○ 愛知県の系統豚による三元肉豚生産体制

三元肉豚生産体制