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愛知県農業総合試験場における凍結受精卵由来のデュロック種系統豚の分娩結果について

凍結受精卵由来の子豚
                凍結受精卵から産まれた子豚(茶色)
 愛知県農業総合試験場(長久手市)(以下「農総試」という。)では、三元肉豚(さんげんにくとん)※1の親となる3品種(ランドレース種、大ヨークシャー種、デュロック種)の系統豚(けいとうとん)※2を開発し、愛知県畜産総合センター(岡崎市)を通じて県内農家等へ供給しています。
 2016年からは、三元肉豚の更なる品質向上を図るため、新たなデュロック種系統豚の開発を進めていましたが、2019年8月の農総試における豚熱の発生を受け、飼養豚を全頭処分しました。
 昨年10月より、デュロック種系統豚の開発を再開するため、豚熱発生前に保管していた凍結受精卵を使い、農総試が開発した「追い移植法」を利用して、38頭の母豚への移植を行ってきました。その結果、本年2月6日から7月14日の間に全ての母豚が分娩を終え、凍結受精卵由来のデュロック種の子豚62頭を得ることができました。
 今後、デュロック種系統豚開発のため、得られた豚の交配を行うとともに、受精卵の保存・移植技術の更なる向上に向けた研究を進めていきます。
 

移植母豚数

(分娩母豚数)

凍結受精卵由来の分娩子豚数

38頭

(35頭)

62頭オス 33頭
メス 29頭

 

※1 三元肉豚とは、食用にされる三種類の品種の豚を掛け合わせた肉豚をいいます。一般に、繁殖性が高いランドレース種と大ヨークシャー種を交配させて一代雑種(F1)を作り、これに産肉性が高いデュロック種を交配させて作ります。
※2 系統豚とは、お互いに一定以上の血のつながり(血縁的には、いとこぐらいのつながり)を持ち、能力が高く、品種内での個体のばらつきの少ない集団を構成している豚です。このため、系統豚を親として生産される豚肉は品質が良く、安定しています。

1 経緯

・2019年7月 豚熱発生のリスクから回避させるため、開発途中のデュロック種系統豚の凍結受精卵
         (457個)を、一時保管場所として農総試から名古屋大学の施設に移管(2019年7月29日記者発表済み)
・2019年8月 豚熱発生により農総試内の豚を全頭処分
       系統豚の開発を中断
・2019年9月 凍結受精卵を名古屋大学の施設から、優れた保存施設を有する大学共同利用機関法人自然科学研究機構
         基礎生物学研究所IBBPセンターに移管
・2020年3月 豚舎の密閉化など農総試における防疫対策完了
・2020年4月 県畜産総合センターから繁殖用豚を導入
・2020年4~9月 導入豚の繁殖状況の確認
・2020年10月中旬~2021年3月
        基礎生物学研究所IBBPセンターから移送した受精卵を使い、母豚に移植を実施(2020年10月1日記者発表済み)
・2021年2~7月 移植した母豚の分娩(第1回分娩(2月6日)については、2021年2月9日記者発表済み)

2 今後の予定

・2021年10月 育成豚同士の交配開始
・2024年 新しいデュロック種の系統豚の完成
・2025年 生産者への供給開始

3 開発中のデュロック種系統豚

 系統豚は近親交配により繁殖能力等が次第に低下します。
 現在のデュロック種系統豚「アイリスナガラ」は、2007年の完成から13年が経過したため、農総試では、アメリカ合衆国と国内の7機関から導入したデュロック種を用いて、2016年から新しい系統豚の開発に着手しています。完成は、豚熱発生のため当初の予定より2年遅れて2024年度になる予定です。

4 凍結受精卵を作成した目的

 豚熱が農総試内で発生し、防疫措置で飼養豚が失われた場合に備え、2019年3月から開発中の豚の凍結受精卵を作成しました。この凍結受精卵を使うことによって、一からやり直すことなく系統豚の開発を再開することができます。
 今回の移植では、農総試が開発した「追い移植法」を用いて受精卵の移植を行いました。「追い移植法」は、通常の凍結受精卵移植約20%のところ、4倍の確率で分娩することができます。

5 問合せ先

愛知県農業水産局農政部農業経営課
技術調整グループ
担当 中山、福田
ダイヤルイン 052-954-6410
愛知県農業総合試験場
畜産研究部養豚研究室
担当 田島、豊島
電話 0561-62-0085(内線562)

6 参考

○ 凍結受精卵を利用した「追い移植法」による子豚の生産
・ 豚の凍結受精卵を直接母豚に移植しても妊娠が維持されず、通常、2割程度の豚しか分娩に至らない。そのため、豚では、精液を使った人工授精が一般的で、生産現場における受精卵、特に凍結受精卵の移植例は少ない。
・ 農業総合試験場では、人工授精をした3日後に受精卵移植を行う「追い移植法」(従来の受精卵移植に比べ、約4倍の確率で分娩)を開発しており、今回、この技術を用いて受精卵移植を行った。

追い移植 白

 

○ 愛知県の系統豚による三元肉豚生産体制

三元肉豚生産体制