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多収性で漬物加工にも向く単為結果性とげなしナス品種「試交17-22」を開発しました

ページID:0372047 掲載日:2021年12月15日更新 印刷ページ表示

ナス 果実

    ナス「試交17-22」
愛知県農業総合試験場は、栽培管理しやすく多収性(※1)のナス品種「試交17-22」を開発し、2021年11月26日付けで種苗法に基づく品種登録出願を行いました。
本品種は、単為結果性(たんいけっかせい)(※2)及びとげなし性を持つため、省力的かつ快適に栽培することができます。また、収量は、県内主要品種で多収性の「千両(せんりょう)」と同等です。加えて、果皮が比較的柔らかいことから、ナスの重要な販路である漬物加工にも適しています。
これらの優れた特徴から、本県の促成作型(そくせいさくがた)(※3)のナス産地である東三河地域、尾張地域、知多地域の主力品種として普及することが期待されます。
※1 1株当たりの収量が多い特性です。
※2 受粉や着果促進剤の処理をしなくても果実が肥大する性質です。ハウス内では風が吹かないため、自然に受粉することがありません。単為結果性を持たない品種の場合、訪花昆虫の導入や着果促進剤処理が必要となり、生産者の負担となっています。
※3 ハウス内で栽培し、10月から翌年7月にかけて出荷します。

1 新品種の特徴

(1)果皮色は、光沢のある黒紫色です。
(2)単為結果性ととげがない特性を持つため、生産者は省力的かつ快適に栽培することができます。
(3)側枝(果実が実る枝)の発生が多く、萌芽が旺盛であるため、多収性です。
(4)「とげなし輝楽(きらく)(※4)」に比べて果皮が柔らかく、漬物加工に向いています。
※4 愛知県と国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が共同育成し、2011年に品種登録したナスです。

2 開発の経緯

現在、県内ナス産地の主要品種は「千両」と「とげなし輝楽」です。
「千両」は多収性と、焼いても煮ても漬物にしても美味しい点が評価されてきました。一方で、単為結果性を持たず、植物体全体にとげがあるため、作業性に問題がありました。「とげなし輝楽」は単為結果性及びとげなし性を持ち、果皮の光沢が評価され導入が進んでいますが、果皮が硬いことからナスの重要な販路の一つである漬物加工の需要に応えることができませんでした。このため、「千両」産地では、栽培管理が省力化でき、漬物加工に向く新品種が求められていました。
そこで、県農業総合試験場では、「千両」からの品種転換を目指し、漬物加工に適した、多収性の単為結果性とげなしナス品種の育成に取り組むこととしました。
本品種は、2013年に育成を開始しました。2019年から県内ナス産地で現地栽培試験を実施し、併せて漬物加工特性を評価して(※5)、約8年間かけて本品種を開発しました。
※5 三井食品工業株式会社(一宮市)及びあいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター(名古屋市西区)の協力を得て評価しました。

3 今後の予定

種子の販売開始を見込む2023年に2.5haで本格栽培を開始し、ナス果実は同年秋から出荷販売される予定です。2028年には、18.5haの栽培を目標としています。

4 期待される効果

「千両」産地へ導入した場合、収量を維持しつつ、単為結果性及びとげなし性により栽培管理の省力化及び快適化が見込め、高齢化の進む産地の維持発展が可能となります。また、量販店需要に加えて漬物加工の需要にも応えられるため販路の拡大が期待されます。

5 関連説明

全国の促成ナス出荷量上位県(農林水産省令和2年産指定野菜の作付面積、収穫量及び出荷量)
  作付面積(ha) 出荷量(t)
1位 高知県 287 36,000
2位 熊本県 175 24,700
3位 福岡県 102 12,900
4位 愛知県  60 7,140
全国 1,050 109,100

 

県内の促成ナス品種構成(JAあいち経済連令和2年度秋冬期販売基本計画)
品種名 栽培面積(ha) シェア(%)
千両 18.5 54
とげなし輝楽 15.8 46

 

6 問合せ先

愛知県農業総合試験場
園芸研究部野菜研究室
担当 宇佐見、大川
電話 0561-62-0085(内線332)
愛知県農業水産局農政部農業経営課
技術調整グループ
担当 鬼頭、福田
ダイヤルイン 052-954-6410

あいまる