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研究報告第43号-抄録002

ページID:0052005 掲載日:2015年6月2日更新 印刷ページ表示

普通系コムギの低分子量グルテニン・サブユニットをコードするGlu-B3 座の遺伝子型を識別する圃場マーカーとしてのRg-B1 座に支配される「ふ色」の適用性

Breeding Science 61(1):11-16

キーワード

小麦、グルテニン、生地強度、Glu-B3、ふ色、Rg-B1、圃場マーカー

摘要

普通系コムギ(Triticum aestivum L.)の1B染色体短腕に座乗し、低分子量グルテニン・サブユニットをコードするGlu-B3座の複対立遺伝子は生地物性と関連している。これら複対立遺伝子の中でGlu-B3gが生地強度を増大させることが知られている。育成系統にGlu-B3g遺伝子を効率的に導入するためには、DNAマーカーを用いた選抜法(DNA-MAS)がきわめて有効な手段である。

本研究では、Glu-B3座の遺伝子型を識別するための「圃場マーカー」として、1B染色体短腕に座乗するRg-B1(Rg1)座に支配される「ふ色」の適用性を検討した。

各系統集団の組合せにおいて、両親のGlu-B3座およびRg-B1座の遺伝子型が共に異なる3種類のF4系統集団を連鎖解析に用いた。各系統のGlu-B3座遺伝子型の判別には、Glu-B3座の複対立遺伝子に特異的なDNAマーカーを用いた。

Rg-B1座の遺伝子型は各系統の「ふ色」によって判別した。その結果、3種類の系統集団の全てでGlu-B3座とRg-B1座との間に有意な強い連鎖が認められた。DNA-MASと比較して、短時間かつ低コストで遺伝子型判別が可能であるので、Rg-B1座に支配される「ふ色」は、Glu-B3座の遺伝子型を識別するための有用な「圃場マーカー」となることが明らかになった。

この「圃場マーカー」を用いることでDNA-MASのための煩雑な実験操作が不要となり、育種圃場で系統や個体の「ふ色」を観察するだけでGlu-B3g遺伝子を保有する優良コムギ系統を選抜することが可能となる。

著者

藤井潔:作物研究部(現園芸農産課)

辻孝子:環境基盤研究部

吉田朋史:作物研究部

船附稚子:農研機構・北海道農業研究センター

池田達哉:農研機構・近畿中国四国農業研究センター

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