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令和2年度外部評価結果

令和2年度愛知県農業総合試験場外部評価会議の開催状況

1 日時

  令和2年10月2日(金曜日)午後2時から午後5時まで

2 場所

  愛知県農業総合試験場 中央研究棟 第1会議室・研修ホール

3 評価委員(敬称略)

令和2年度愛知県農業総合試験場外部評価委員
所属・職名氏名
名古屋大学大学院生命農学研究科 教授浅川 晋(座長)
株式会社CBCテレビ 参事伊藤 博康
生活協同組合コープあいち 副理事長平光 佐知子

4 評価内容

  「愛知県農林水産業の試験研究基本計画2020」に基づき実施した試験研究(研究課題)に関する評価について

5 報告

  会議座長の浅川 晋氏から次のとおり評価結果票が提出されました。

令和2年度農業総合試験場外部評価結果票

評価結果の総括

 農業の経営革新と産地強化を行い、環境保全を図りつつ、安全・安心な農畜産物を安定供給するという使命に応えるため、急速に変化し複雑化する社会的背景のもと、日々地道な努力と工夫を重ね試験研究・技術開発を実施していることに敬意を表します。特に本年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、これまで予期し得なかった様々な影響が農業生産にも及び、試験研究の推進にご苦労があったと拝察します。このような状況下、今回の評価対象課題では、それぞれ対応するニーズと背景に対し適切な目標を定めて研究に取り組み、着実な成果を上げていると概ね評価できます。

 それぞれの課題実施の背景となっているニーズは多方面にわたり、研究成果のみならず、その背景や実用・普及化までの道筋などを分かりやすく伝えられるよう、さらなる工夫を求めます。技術開発の場面では、異業種を含む産業界や大学等との共同研究に加え、場内の関連部門と緊密に連携を図ること、普及に際しては、必要に応じ、関連行政部局等と協力して取り組むことを期待します。一般的に、成果が実を結ぶまで長い年月が必要な農業技術開発には、基盤的研究活動を地道に続ける必要があり、それらを支える試験研究予算の一層の充実を引き続き県行政サイドに求めます。

(研究課題) ブドウ新品種「グロースクローネ」の高品質安定生産技術の確立

研究課題の設定について

 甘く、大きく、色付きの良い、西南暖地向けの期待のブドウ新品種の県内での栽培をいち早く定着させるため重要で積極的に取り組むべきテーマ設定と評価します。一方、多様化する消費者ニーズへの配慮も今後のテーマ設定には必要かと思います。

研究の取り組み状況について

 商品性が高い高品質な果実生産に加え、栽培の省力化・効率化を視点に入れた技術の確立への取り組みがなされ着実に成果を上げており、適切と評価します。

今後の計画について

 今後、夏季高温下での果実の日焼けや萎れの対策を進める計画は妥当なものと評価します。県内へ栽培技術を普及する際には、各産地の気象・土壌条件などに応じたきめ細やかなマニュアル作成とともに、新たなブランドとして浸透するよう新規のPR戦略も含め、関係各者が一体となった取り組みに期待します。加えて、食べやすさ、安心、価格といった消費者の視点に立った研究にも期待しています。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

(研究課題) 酪農における未利用資源利用による飼料コスト低減技術の確立

研究課題の設定について

 放置竹林の竹を粗飼料として活用し、酪農の飼料自給率向上と経営コスト低減を目指す重要な研究課題と評価します。森の再生へつながり、「人と自然が共生するあいち」の目標にも合致し、積極的に取り組むべきテーマと考えます。

研究の取り組み状況について

 竹粉を飼料として利用する際の有用性と注意点について、乳牛への影響を動物福祉の観点も含め明らかにするとともに、長期給与試験により乳量生産への影響と収益性を確認するなど着実に成果を上げており、適切な取り組みと評価します。地域の食品産業の副産物である酢粕を保存性向上のために利用するアイデアも評価できます。

今後の計画について

 酢竹の製造コストを明らかにしていく計画は妥当と評価します。SDGs実現にも貢献する地域の資源循環の取り組みとして、さらなる普及拡大を期待します。竹の伐採・運搬の担い手確保とそのコスト評価を行うこと、保存性・嗜好性をさらに高めるため竹飼料のサイレージ化を、地域の多様な食品製造副産物などを利用してさらに追求していくことも期待したいところです。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

(研究課題) 畑地での豚ぷん堆肥連用が温室効果に及ぼす影響

研究課題の設定について

 温暖化対策はすべての産業に課された課題であり、農地においても温室効果ガスの排出削減が求められている現状で、社会的なニーズに沿った研究テーマとして適切であると評価します。

研究の取り組み状況について

 長期の調査により、化学肥料と豚ぷん堆肥を併用すると、一酸化二窒素の排出量は多くなるものの土壌炭素の貯留を進め、全体としては温室効果ガス発生量を減らせることを示しており、インパクトの大きな成果を得ていると評価します。

今後の計画について

 一酸化二窒素の発生量のさらなる低減のための化学肥料の削減法や土壌炭素貯留をさらに高める資材を検討する計画は妥当と評価します。今後、豚飼養中や堆肥製造過程も含めた温室効果ガス発生量の評価も望まれます。堆肥のさらなる利用促進を図るためにも、成果を一般に分かりやすくアピールする情報発信の取り組みが必要です。農家へ普及を進めるためには、例えば、環境に優しい農家や農産物の認定制度など、行政からのバックアップが必須であり、関係部局への働きかけを期待します。

総合評価:B(A~Dの4段階評価)

 

(研究課題) 斑点米カメムシに抵抗性を持つ水稲系統の開発

研究課題の設定について

 近年被害が拡大している斑点米カメムシに抵抗性の水稲系統はこれまで開発事例がなく、チャレンジングでオリジナリティーの高いテーマ設定と高く評価します。

研究の取り組み状況について

 圃場およびカメムシ接種による検定でのスクリーニングによりドナーとなる2品種を選抜し、抵抗性遺伝子領域の特定、抵抗性系統愛知137号の開発、抵抗性機作の解明といった地道な研究を着実に進めていると評価します。新品種開発には長い年月を要するため、節目ごとに成果とともに実用化までの道筋を分かりやすく発信する取り組みが望まれます。

今後の計画について

 愛知137号をもとに実用的な抵抗性系統を開発するとの計画は適切なものと考えます。食味や高温耐性などの問題を今後克服し、世界初の斑点米カメムシ抵抗性の普及用品種が開発されることを期待しています。現場でのカメムシ害低減のためには、抵抗性品種だけでなく耕種的防除も必要であり、病害虫や栽培部門などと連携し、総合防除の体系化への取り組みが今後行われることを期待します。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

問合せ先

愛知県農業総合試験場
企画普及部企画調整室
電話: 0561-62-0085 内線323
E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp