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令和3年度外部評価結果

ページID:0368281 掲載日:2021年11月24日更新 印刷ページ表示

令和3年度愛知県農業総合試験場外部評価会議の開催状況

1 日時

  令和3年10月8日(金曜日)午後2時から午後5時まで

2 場所

  愛知県農業総合試験場 中央研究棟 第1会議室・研修ホール

3 評価委員(敬称略)

令和3年度愛知県農業総合試験場外部評価委員
所属・職名 氏名
名古屋大学大学院生命農学研究科 教授 浅川 晋(座長)
株式会社CBCテレビ 参事 伊藤 博康
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 基盤技術研究所 所長 井上 孝司
生活協同組合コープあいち 副理事長 平光 佐知子

4 評価内容

  「愛知県農林水産業の試験研究基本計画2025」に基づき実施した試験研究(研究課題)に関する評価について

5 報告

  会議座長の浅川 晋氏から次のとおり評価結果票が提出されました。

令和3年度農業総合試験場外部評価結果票

評価結果の総括

 高齢化と担い手減少が進む中、経営革新と産地強化、環境保全を図り、安全・安心・良質な農畜産物を安定供給するという使命に応えるため、地道な努力と工夫を重ね試験研究・技術開発に日々取り組まれていることに敬意を表します。従来からの多収・高品質化、高収益・省力化に加え、スマート化、温暖化への対応、持続的農業の推進、国際競争力・ブランド力の強化と、農業には多種多様な課題への対応が求められています。このような状況下、今回の評価対象課題は、それぞれのニーズと背景に対し適切な目標を定め計画を策定して試験研究を実施し、着実に成果を上げていると概ね評価できます。
 技術開発の場面では産学等との共同研究に加え、必要に応じ場内の他部門とも連携し、関連分野の知見や技術を積極的に取り入れることを期待します。新技術・新品種等の実装化・普及に向け、それぞれ生産者、流通関係者、消費者等のニーズに則しているか再度検討するとともに、社会実装・普及に際し、広報や補助制度の構築など関連行政部局等から支援を得ることも重要と考えます。長年にわたる地道な研究活動をベースとして初めて可能となる農業技術開発も多く、県行政サイドにはそれらを支える基盤的な試験研究予算の継続的な確保を引き続き求めたいと思います。

(研究テーマ) 画像解析を利用した生育データと環境データによる果菜類の収量予測技術の開発

研究テーマの設定について

 工業とは異なり自然条件に生産が大きく左右される農業ならではの難しさがある中、ハウス内での重労働の農作業の省力化とスマート化、さらには高収益化にも繋がる重要なテーマ設定と評価します。

研究の取り組み状況について

 トマト、ナス、イチゴの収量予測手法およびスマホを用いたトマトの生育診断支援ツールの開発にすでに着手しており、初年度の取り組みとして適切と評価します。実用化に向け、スマホによる撮影条件など生育診断手法の最適化、現状から改善すべき到達点を明確化した上での予測精度の目標値設定が望まれます。

今後の計画について

 今後の計画は妥当と評価し、完遂を期待しています。普及に際し、本技術のメリットや利用者ニーズに則したスペックの明確化が望まれます。また、他研究分野とも協力し収量予測モデルのさらなる高精度化や他の作目への応用についても期待します。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

(研究テーマ) カード型反応容器を用いた複数病害虫同時診断法の開発

研究テーマの設定について

 これまで豊富な研究実績と経験を有するLAMP法を用い、産学と協同で現場において適用可能な複数の病害虫の診断技術を開発する研究課題であり、重要かつ優れたテーマ設定と評価します。

研究の取り組み状況について

 試料調製法と反応条件の最適化、試薬の選定、デバイスと装置の試作と極めて順調に研究が進行していると評価します。検討中の残り1種についても今年度中の目標達成が十分期待されます。実装化に向けた検討を行う段階に達していると判断します。

今後の計画について

 対象病害虫種の拡大を目指す計画は妥当かつ重要と評価します。他県等も含め広く普及を目指す上で、装置および診断に要する適正な費用の検討が望まれます。また、行政による補助制度構築や市販品活用による低コスト化の視点も必要かと思います。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

(研究テーマ) 環境に配慮した米のブランド化を図るための戦略の策定

研究テーマの設定について

 SDGsや有機農業の推進が求められる中、ミネアサヒSBLのブランド化による差別化戦略を策定する課題であり、中山間地の水田の保全や水田の多面的機能の理解促進にもつながりうると評価します。一方、消費者の購買意欲向上には環境配慮だけでなく、生産者とのつながりや食育などの視点も取り入れる必要があるかと思います。

研究の取り組み状況について

 ブランド化の戦略を策定した上で、必要な戦術を検討する方向での取り組みが望まれます。初年度の取り組みで検討されている環境アイコンは受け入れられ易いと思いますが、さらにターゲット層を広げるための視点や取り組みも必要かと考えます。

今後の計画について

 環境アイコンとして他県での例のような対象地域特有の相応しい希少種があれば良いですが、難しい可能性もあるのではと思います。例えば、生物多様性維持や洪水・土壌侵食防止など水田の多面的機能にも注目し、耕作放棄による水田荒廃を防ぐとの視点から、総合的に中山間地の水田保全に価値を見出してもらう方向性もあって良いかと思います。生き物観察会は良い取り組みですが、幅広く消費者を取り込むための広報の方法にはもう一工夫必要と感じます。

総合評価:B(A~Dの4段階評価)

 

(研究テーマ) 卵用名古屋コ-チンの卵質改良した新系統の開発

研究テーマの設定について

 名古屋コーチン卵のブランド化のための卵質改良と、雌雄鑑別師不足・高齢化に対応する判別容易化のための交配に取り組む課題であり、適切なテーマ設定と評価します。一方、ブランド化のため用いられる卵殻色・白斑点と食味との関わりが薄い点には若干の違和感も感じます。

研究の取り組み状況について

 20年超の取り組みで、卵質の改良項目のほとんどは目標値に達し、雌雄鑑別用系統は2年後に完成予定と、順調に研究が行われていると評価します。

今後の計画について

 2年後に研究目標の達成、その3年後に卵販売開始の計画は妥当と評価します。卵殻色だけでなく、美味しさの特徴やそれを活かせる料理などを消費者にさらにアピールし、キャッチコピーや適切な価格設定など購買意欲向上への取り組みも必要と思います。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

問合せ先

愛知県農業総合試験場
研究戦略部 企画調整室
電話: 0561-62-0085 内線323
E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp