ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織でさがす > 障害福祉課 > 情動のコントロールに影響を及ぼすタンパク質の働きを発見 ~うつ病の病態解明・新規抗うつ薬の開発につながる成果~

情動のコントロールに影響を及ぼすタンパク質の働きを発見 ~うつ病の病態解明・新規抗うつ薬の開発につながる成果~

平成24年2月16日(木曜日)発表

※春日井市政記者クラブ

 名古屋市教育医療記者会 同時

情動のコントロールに影響を及ぼすタンパク質の働きを発見

 県心身障害者コロニー発達障害研究所では、これまで生体における働きが不明とされてきた「HDAC6(ヒストン脱アセチル化酵素6)」とよばれるタンパク質が、脳のセロトニン神経細胞*に多く含まれること、このタンパク質の働きが情動行動**の制御に関わることを明らかにしました。さらに、HDAC6の働きを抑制する薬剤には、抗うつ薬と同様の効果があることを、マウスを用いた実験で確認しました***。

 本研究成果は、うつ病の病態解明や新しい作用メカニズムを有する抗うつ薬の開発につながることが期待されるもので、このたび国際学術誌に評価されました。

 

*セロトニン神経細胞:感情の制御に深く関与する神経細胞であり、うつ病等の気分障害や自閉症の病態との関連が知られている。また、抗うつ薬のターゲットとされる神経細胞である。

**情動行動:ここでは本能的な欲求(情動)に誘発される行動を表す。例えば、恐怖や不安から誘発される回避行動や逃避不可能なストレスによって誘発される活動低下など。

***名古屋市立大学大学院薬学研究科宮田直樹教授グループとの共同研究。

1.研究で明らかになったこと

(1)HDAC6は情動行動の制御に関与する

 HDAC6遺伝子を欠損したマウスは、HDAC6遺伝子を持っている正常マウスと比べて、新奇環境下における活動量の増加と潜在的な不安レベルの低下を示し、さらに、まるで抗うつ薬を投与されたかのような行動(抗うつ様行動)をとることが分かりました。また、HDAC6はヒト及びマウス脳の縫線核(感情の制御に関与する領域でセロトニン神経細胞の集団)に特に多く存在していることが分かりました。これらのことから、HDAC6は情動行動の制御に関与すると考えられます。

 

(2) HDAC6阻害剤は抗うつ作用をもたらす

 HDAC6の働きを阻害する化合物(HDAC6阻害剤:NCT-14b)を正常マウスに投与したところ、抗うつ様行動が観察されました。また既製の抗うつ薬に対する応答は、HDAC6遺伝子欠損マウスにおいても正常マウスと変わりませんでした。これらのことから、HDAC6阻害剤の作用メカニズムは、既製の抗うつ薬と重複しないと推測されます。

2.研究の意義

 これまでその生物学的意義が不明であった、「非ヒストンタンパク質のアセチル化調節」が動物の情動行動の制御に関与することを、世界に先駆けて明らかにしました。本研究は、論文発表に先だって申請した特許「抗うつ薬及びその用途、特願2010-196993(愛知県と名古屋市立大学の共同出願)」の基礎となっており、HDAC6阻害剤の新規抗うつ薬としての可能性を示すと同時に、新しい抗うつ作用メカニズムを提唱しています。これらは将来的に、うつ病の病態解明、新規抗うつ薬の開発等の有効な治療戦略の創出へとつながる可能性があります。

3.掲載学術誌及び論文情報

学術誌:PLoS ONE (プロスワン)

 ※自然科学系の学術誌。学術雑誌のクオリティーを測る尺度であるインパクト・ファクター(特定のある雑誌が1論文あたり平均何回引用されているかを算出した数値)は4.351(2009年度)であり、生物学関連の全73誌中9位にランクされる。

ウェブ掲載:平成24年2月6日

雑誌のホームページアドレス: http://www.plosone.org

論文のホームページアドレス:http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0030924

論文データ

問合せ

愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所
発生障害学部
担当 川口、深田、中山
電話(0568)88-0811
内線 3569

愛知県健康福祉部障害福祉課
地域移行推進・コロニーグループ
担当 内田、野田
内線 3239、3240
ダイヤルイン(052)954-6294