地方財政の充実・強化についての意見書 地方自治体は、地域における行政サービスを総合的に担っており、その役割は一層重要性を増している中、近年では社会保障関係費や物価上昇に起因する光熱費・施設管理委託料の増加など、地方自治体の歳出は拡大傾向にある。 「経済財政運営と改革の基本方針2025」では、地方財政についても「経済・物価動向等を適切に反映する」と明記されていることを踏まえ、令和8年度地方財政計画においても、昨年度に引き続き人件費の上昇や物価高への的確な対応が必要である。 加えて、物価高から生じた減税を求める動きや、年収の壁の見直し、高等教育や給食費の無償化など新たな地方負担を伴う可能性のある政策議論も進んでいるが、同時に地方財政への影響の緩和についての丁寧な議論が必要である。 地方自治体が持続可能な行財政運営を継続し、住民サービスの維持・向上を図るためには、実態に見合った地方一般財源の確保や、自律的な財政構造への転換が不可欠である。 よって、国におかれては、地方財政の充実・強化を図るため、下記事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。 記 1 社会保障関係費や人件費など、増大する地方の財政需要を的確に把握し、地方一般財源総額の増額を図ること 2 国の税制改正にあたっては、あらかじめ国と地方の協議の場において、地方に十分配慮した丁寧な議論を行うとともに、地方財政に影響が生じないよう、恒久的な財源を確保すること 3 地方交付税の法定率引上げや、国税から地方税への税源移譲を含む抜本的な改革を行うことにより、引き続き臨時財政対策債に頼らない、より自律的な地方財政の確立に取り組むこと 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和7年10月15日            殿 愛知県議会議長     川嶋太郎 (提 出 先)     衆議院議長         参議院議長     内閣総理大臣        総務大臣     財務大臣