本文
愛知県庁本庁舎(Aichi Prefectural Office Main Building)
本庁舎解説
昭和13年(1938年)3月完成。鉄骨鉄筋コンクリート造、地上6階地下1階塔屋付き。建築面積4,666平方メートル、延べ面積28,314平方メートル、高さ39.79メートル。
昭和天皇御大典の記念事業の一つとして、名古屋市中区新栄町(当時木造2階建て)から現在の場所への移転が決定された。庁舎の基本設計は、建築家の西村好時氏と当時、東京帝室博物館(現、東京国立博物館)の設計コンペで最優秀を獲得した建築家の渡辺仁氏に委嘱し、両氏の案を基に県建築部営繕課が実施設計を行った。建築費は当時300万円であった。
この頃は、戦争が拡大しつつある時であり、国威発揚の波に乗って日本の伝統を建築にも反映させる風潮が高まっていた。当時のごく普通のオフィスビルと大差のない躯体ながら、頂部に城郭風の屋根を乗せた特異な意匠(「帝冠様式」)はこのような時代背景の中で当時多く建設され、同じ様式の「軍人会館」(当時東京九段に計画中。現、九段会館テラス)の影響も強く受けた。更に、建設地が名古屋城の外堀内にあり、名古屋城と、先に完成していた(昭和8年)隣接の名古屋市役所本庁舎との調和も配慮された設計が考えられた。
外壁は2階の窓下まで花崗岩貼りとなっている。その上部6階窓下までは黄褐色のタイルを用いることにより愛知県が陶磁器どころという意味も含ませている。6階の壁面には白色の磁器タイルを用いて城の白壁をも想起させている。名古屋市役所本庁舎とは趣をやや異にし、比較するとより城郭的な色彩が濃いと言える。これら2棟が建ち並ぶことにより、名古屋城に近接した官庁街にその独特の景観が構成され広く人々に親しまれている。
なお、平成26年には名古屋市役所本庁舎とともに国の重要文化財に指定。本県庁舎については、5つある重要文化財(建造物)指定基準のうち、「意匠的に優秀なもの」と「歴史的価値の高いもの」の2つに該当するとされた。
現役のメイン庁舎として使用されている重要文化財の例はなく、全国初のケースである。
・平成元年(1989)11月1日に名古屋市都市景観重要建築物に指定。
・平成10年(1998)7月23日に文化財保護法による国の文化財建造物に登録。
・平成26年(2014)12月10日に国の重要文化財に指定。
国指定重要文化財(建造物) 「愛知県庁舎」の見どころ
◇ 正庁 (6階西) ※見学をご希望の場合は「県庁見学」をご利用ください。
◇ 貴賓室 (5階西) ※内部の見学はできません。
◇ 知事室 (3階南) ※見学をご希望の場合は「県庁見学」をご利用ください。
◇ 講堂(旧議場) (2階中央) ※見学をご希望の場合は「県庁見学」をご利用ください。
◇ 正面玄関内部 (1階西) ※ご自由にご覧ください。
◇ エレベーターホール (1階西) ※ご自由にご覧ください。
◇ 正面玄関外部・車寄せ (1階西) ※ご自由にご覧ください。
◇ 七宝焼銘板 (1階正面玄関車寄せ) ※ご自由にご覧ください。
◇ 南車庫・北車庫 (本庁舎敷地内の南側と北側) ※ご自由にご覧ください。
※「附(つけたり)」とは、重要文化財本体(本庁舎)と一体的に併せ守られるべき資料や建物などのことです。
◇ 文化財保存ヤード(旧留置場部材の展示) (本庁舎屋外の北東スロープ下) ※ご自由にご覧ください。
昭和45年に現在の県警察本部庁舎が竣工するまで、本庁舎内には警察部局があり、地下には留置施設もありました。平成17年度から21年度にかけて実施した本庁舎の耐震工事では免震層を地下に造るためにこれらを撤去せざるを得なくなりましたが、歴史的な価値あるものを後世に残すため、部材の一部を移設展示しています。
・職員が案内役として同行する「県庁見学」をご利用ください。なお、行事や執務等の状況によっては、お受けできない場合がありますのであらかじめお電話でお問合せの上、お申し込みください。(お問合せ 電話:052-954-6057 財産管理課)