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遺伝子病理診断部

遺伝子病理診断部紹介

 愛知県がんセンター遺伝子病理診断部は、外来・入院部門を持たない特殊な診療科です。そのため、患者さんとは直接接する機会はありませんが、診断に関わる重要な三つの診断業務(病理組織診断、細胞診、遺伝子診断)を行っています。その内容は、生検で腫瘍の性質を判断し臨床医師に伝え、治療が効果的に行われているかを第三者的な目で判断する、いわば病院の裁判所とも言うべき仕事を担っています。

  • 当部での診断は、患者さんの診断・治療に直結します。臨床各科と協力し、患者さんが最良の治療が受けられるよう、常日頃から種々の疾患に関する幅広い知識を習得する努力を惜しまないようにしております。
  • がんの診断法が進歩し、放射線・化学療法をはじめとする各種治療法がより効果的に用いられるようになりました。病理診断もその一つであり、研究所が併設されている本センターの特徴を生かし、最新の診断技術、方法を開発、導入しています。その取り組みの一つとして、2000年には先進医療を支える基盤が質・量両面において十分な要件を満たした施設として、“固形腫瘍のDNA診断”について、厚生労働省より高度先進医療として認定されました。2006年度からは保険診療に組み込まれ、日常検査の1つとして実施しています。
  • 当院の病理医は、日本病理学会の病理コンサルタントでもあり、日本各地の病理医から相談症例が送られてきます。セカンドオピニオン(他の医師の意見)をお聞きになりたい患者さん・ご家族に対しましても、診療各科を通じ、私どもの病理診断についての見解を述べさせていただいております。

スタッフ紹介

谷田部 恭
谷田部 恭
(やたべ やすし)
部長

患者さんへのことば

 臨床診療科の一員として、最新のモダリティを用いた根拠ある診断を心がけています。

資格

【専門】
腫瘍病理学、外科病理学、分子腫瘍学
【所属学会・専門医等】
日本病理学会専門医、日本臨床細胞学会専門医、日本肺癌学会組織分類委員、IASLC, Pathology Panel

佐々木 英一
佐々木 英一
(ささき えいいち)
医長

患者さんへのことば

 病理診断、細胞診断、遺伝子診断を担当しています。適切な診断を行うように努めています。

資格

【専門】
外科病理
【所属学会・専門医等】
日本病理学会専門医、日本臨床細胞学会専門医

村上 善子
村上 善子
(むらかみ よしこ)
医長

患者さんへのことば

 病理診断を通じて社会に貢献したいと考えています。

資格

【専門】
外科病理
【所属学会・専門医等】
日本病理学会専門医、日本臨床細胞学会専門医

羽根田 正隆
羽根田 正隆
(はねだ まさたか)
医長

患者さんへのことば

 準備中

資格

【専門】
 準備中
【所属学会・専門医等】
 準備中

加藤 省一
加藤 省一
(かとう せいいち)
医長

患者さんへのことば

 準備中

資格

【専門】
 準備中
【所属学会・専門医等】
 準備中

真砂 勝泰
真砂 勝泰
(まさご かつひろ)
医長

患者さんへのことば

 個別化医療の発展に微力ながら尽力したいと考えています。

資格

【専門】
腫瘍内科学、分子腫瘍学、呼吸器内科学
【所属学会・専門医等】
日本内科学会・総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本臨床腫瘍学会、家族性腫瘍学会

森 俊輔
森 俊輔
(もり しゅんすけ)
レジデント

患者さんへのことば

 準備中

資格

【専門】
 準備中
【所属学会・専門医等】
 準備中

藤田 史郎
藤田 史郎
(ふじた しろう)
レジデント

患者さんへのことば

 非常な速度で進歩する様々な検査法を応用し、患者さんの診療に役立てたいと存じます。

資格

【所属学会・専門医等】
日本内科学会・総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会・暫定指導医・がん薬物療法専門医、日本呼吸器学会・呼吸器学会指導医、米国人類遺伝学会(ASHG)、日本人類遺伝学会、家族性腫瘍学会

任意研修

棚橋 千里(南生協病院)
梶本 和義(兵庫県立がんセンター)

嘱託

越川 卓 (愛知県立大学看護学部 教授)
中村 栄男(名古屋大学 教授)
市原 周 (国立病院機構 名古屋医療センター病理部)
岩越 朱里 (国立病院機構 名古屋医療センター病理部)
服部 行紀(中京病院)

業務内容

 遺伝子病理診断部では三つの診断業務(病理組織診断、細胞診、遺伝子診断)を行っています。それぞれの項目についてご紹介します。

組織診断

組織診断

 内視鏡でとった小さな組織(生検)の確定診断や、手術した切除された腫瘍の病期や悪性度を診断、評価します。

詳細についてのお問い合わせは:
山田 智恵子(e-mail: cyamada@aichi-cc.jp)

細胞診断

細胞診断

 痰や尿の中に剥がれ落ちてくる細胞や、甲状腺や乳房のしこりを細い針で刺してとられた細胞で診断します。

詳細についてのお問い合わせは:
尾関 順子 (e-mail: ozekij@aichi-cc.jp)

遺伝子診断

遺伝子診断

 近年急速に発達した分子生物学的な知識をもとに、遺伝子を用いた先進的な診断を行います。

詳細についてのお問い合わせは:
柴田 典子(e-mail: nshibata@aichi-cc.jp)

病理組織診断

 病理組織診断は、

  1. 手術や治療前に確定診断を行う生体組織診断(生検)、
  2. 手術中の短時間(約10分)に行う術中迅速診断、
  3. 手術で摘出された腫瘍の手術組織診断

の3つがあります。一般に、診断には生体組織診断では一週間、手術組織診断では2週間前後かかります。その理由についてはこちら(病理標本ができるまで)をご覧ください。

	生体組織診断(生検)

生体組織診断(生検)

 小さな病変を切り取ったりして、その一部を標本にします。この検査を生体検査(生検)、その組織で診断することを生検組織診断といいます。 たとえば、胃・大腸や肺の内視鏡検査を行ったときに、一部(1mm大)の組織をつまみ取ったりした組織をプレパラートにして顕微鏡で調べます。

術中迅速診断

術中迅速診断

 手術中に採取された病変組織を10分程度で、標本を作製し、その結果を執刀医に伝える診断です。技術を有する技師と診断病理医の高度の技能が要求されます。

手術標本診断

手術標本診断

 摘出された臓器・組織は病理医が肉眼で部位、大きさ、性状、広がりを確認し、診断に必要な部分を切り取ります。この組織からプレパラートを作製し、顕微鏡で調べます。
どのような病気・腫瘍か、進行しているのか、手術でとりきれたのか、追加治療が必要か、タチの悪さや転移があるかないか、などを主治医に伝えます。主治医はこれらの情報に基づいて治療方針を決定します。

Service Detail/術中迅速診断の実際

術中迅速検査は

術中迅速検査は

 手術中に採取された病変組織を10分程度で、標本を作製し、その結果を執刀医に伝える診断です。
術中迅速診断によって・・・

  • 腫瘍が切り取れたかどうかの確認する(手術断端診断)
  • 手術で切除する範囲をきめる。
  • 良性か悪性かわからない際に手術中に迅速診断を行い、それによって手術方法を変更する
  • 腫瘍に一番近いリンパ節を調べ、リンパ節郭清をするか決定する

冷却

 特殊なポリマーに入れて−60℃に冷やしてかためます。

作成1作成2

-20℃に冷やしたまま、5μmの厚さに切り、染色してプレパラートを作ります。それを顕微鏡で見て診断します。

細胞診

子宮がん細胞
子宮がん細胞

 顕微鏡で、細胞の形や性状を観察して行う診断です。細胞のとりかたは大きくわけて2つあります。

  • 痰や尿、腹水などに落ちてくる細胞を調べてがん細胞がいるかどうか顕微鏡で調べて検査します。
  • 甲状腺や乳房にしこりがあるときに、細い針をさして吸引し、しこりがどのような病気か顕微鏡で検査します。

乳がん細胞
乳がん細胞

肺がん細胞
肺がん細胞

遺伝子診断

遺伝子診断

 近年の分子生物学の急速な進歩により、診断や治療に直結する遺伝子解析が出現してきました。当センターでは研究所を有する利点を生かし、これまでに得られた診断や治療に役立つ知見を積極的に取り入れてきました。その成果から“固形腫瘍のDNA診断”について厚生労働大臣の高度先進医療を施行承認を受けました。2006年度からは保険診療に組み込まれ、多くの遺伝子検査も日常業務として行っています。

軟部腫瘍、血液系腫瘍の遺伝子診断

軟部腫瘍、血液系腫瘍の遺伝子診断

 軟部腫瘍、血液系疾患には特徴的な遺伝子転座があり、疾患名とほぼ一対一対応しています。

 そこで、その遺伝子変異を調べることで遺伝子よる診断と組織診断とをつき合わせてより良い治療に結びつけます。

HER2の遺伝子診断による薬剤投与の決定
正常の遺伝子(縁)に比べ赤いHER2遺伝子がたくさんあります(遺伝子増幅)。

HER2の遺伝子診断による薬剤投与の決定

 HER2は多くの腫瘍で遺伝子増幅が認められ、腫瘍化を促進しています。

 そこで、このHER2を標的にした乳がんに対する抗がん剤(トランスツズマブ、商品名ハーセプチン)が開発されました。この分子標的薬は遺伝子増幅がなければ効果がないので、遺伝子を調べ、このくすりの投与適応を決めます。

よりよい診断のために

 この項では、診断精度をあげるために我々が行っているさまざまな“くふう” をご紹介します。

免疫組織学的解析

免疫組織学的解析

 診断用の標本を用いて、種々の分子の発現を検索できるようになりました。これにより、単なる形態だけではなく、機能や性質、働きを推測します。

遺伝子診断

遺伝子診断

 分子生物学の進歩により、いろいろなことがわかってきました。それら最新の知見を利用して、診断に役立てています。

On site 細胞診

On site 細胞診

 細胞診診断医がエコー室や内視鏡室に出向いて、適切な細胞量が取れているか、診断できる内容か判断します。

肺CTガイド下生検(高度先進医療)

肺CTガイド下生検(高度先進医療)

 CTガイド下針生検は難易度の高い手技(高度先進医療)です。正しく病変から取られているか、診断に必要な手段は何か、即時に判断します。

専門家との定期的なディスカッション

専門家との定期的なディスカッション

 医学の専門化、細分化に伴い幅広い知識が要求されます。そこで、複数のエキスパートと定期的なディスカッションを行っています。

免疫組織学的解析

 細胞の機能や働きを知ることができます。

特徴
乳がんにおける筋肉分子の発現(茶色に染まっているのが陽性像)

特徴
  • 細胞の機能や性質、働きを、目に見えるようにして、推測します。
  • この解析なしには診断できない病気もあります。
  • 多くの病院で標準的な方法として用いられています。
  • 本院では、本方法の開発当初から積極的に導入し、高度の技術と豊富な経験を有しています。 現在も新たな展開、開発に力を入れています。
本院で検索可能な分子一覧
日常診療用
IgG CD61-GPIIIa P53 S-100(α)
IgA CD68 Rb S-100(β)
IgM CD68 PCNA HBME-1(Mesotelial Cell)
IgD CD74 p80NPM/ALK(Ki-1L) BMP
IgE CDw75 P16INK4 GCDFP15
κ CD79a p21WAF1/C ip1 Caldesmon
λ CD95 p27/Kip1 α1-antitrypsin (α-1-AT)
CD1a CD99-MIC2 phosphoRB α1-antichymotrypsin (α-1-ACT)
CD2 CD103 MDM2 Protein Amylase
CD3 CD117 (c-kit) COX2 Chromogranin A
CD4 CD138 TTF-1 CPK(bb)
CD5 Ki-M4 CDX2 Elastase
CD7 R4/23 E-BV. EBER(ISH) Enolase(β) NSE
CD8-Anti-Human T Cell C3b-Receptor E-BV. ZEBRA Enolase(γ) NSE
CD10-CALLA DRC-1 E-BV. EBNA2 Estrogen Receptor
CD11c Facter 8 (F-[) E-BV. LMP1 Estrogen Receptor (ER)
CD15-LeuM1 HLA-DR Cytomegalo V Progesterone Receptor (PR)
CD16 LN-3 H.Pylori Lysozyme
CD19 Ki-67 Cryptococcus neoformans ACTH
CD20 Anti-human myeloid/histiocyte antigen Mycobacterium tuberculosis (TB) Calcitonin
CD21 Pan TCRγδ AFP Glucagon
CD22 TCR-β βF1  AFP HCG(β)
CD23 TCR CB1  CA125 Insulin
CD25 TdT CA19-9 Neuroendcrine
CD26 Granzyme B CEA Serotonin
CD27 TIA-1 α-Actin Somatostatin
CD30 Myeloperoxidase (MPO) Actin Surfactant Apoprotein A
CD31 Follicular Dendritic Cell (FDC) Desmin Surfactant Precursor Protein B (SPPB)
CD34 ALK Protein Myoglobin Synaptophysin
CD35 Fascin Myo D1(Rhabdomyo sarcoma) Thyroglobulin
CD41b Langerin Myosin(Skeletal) Glutatione-S-transferase GST
CD43 IRF-4 Vimentin Placental Alkaline Phosphatase (PLAP)
CD44 V6 Cyclin D1 (Bcl-1) Cytokeratin AE1/AE3 Bombesim(Gastrin Releasing P)
CD44 V7,8,9 Cyclin D3 Cytokeratin MNF116 G-CSF
CD45 Bcl-2 oncoprotein Cytokeratin 7 MA454
CD45R Bcl-6 Cytokeratin 20 57B
CD45RO Bcl-6 GFAP ES121
CD45RA Bcl-10 Neurofilament E987
CD56 C-erbB-2 EMA HPV16-E7
CD57 C-Kit HMB45(MELANOMA) 12-Lipoxygenase
研究用
BMP4 TTF-1 VEGF SOX2
Cathepsin L cyclinD1 Cyclin B1 HIF-1 alpha(67)
c-MET Rb p19ink4D BRCA1(C-20)
Ets-1 p27 Caldesmon Glut-1
Galectin-3 CD56 Calponin Glut 1
CD44v6 Synaptophysin C/EBPβ(H-7) VEGF
Maspin ChromograninA E-cadherin Claudin 4
MMP9 Bcl2 TTF-1(H-190) S100 A2 Ab-7
p57/Kip2 Bax Maspin WT1
PTEN EGFR384 Ret9(R787) CD24
RET CK14 Ret51(Long Isoform) MTA1
TIMP1 CK19 PTTG(D-17)  
TIMP2 CK20 D2-40  
Villin CK7 HIF-1 alpha  
DCC ER FAK  
DPC4 p63 Fibronectin  
GSTpi 14-3-3sigma osteopontin  
hSecurin CK8 Nestin(N1602)  
p16 CK17 Filaggrin  
SPPB CK5 CK13  
trAIL p53 CK15  
WT1 MAGE-1 Papilloma virus 16 18 E6(C1P5)  
APC MAGE-4 NY-ESO-1  
hTert CDX2 Synap-299  
GRO Smad4 MAB885  
S100A4 SPPB p19 INK 4a Ab-2(ZJ11)  
COX2 PDX-1 Flk-1  
HER2 Oct4 ERCC1  
FHIT Tyrosinase HNF3  
14-3-3σ LKB1 NKX3.1  
MIB1 p73 NKX2.5  

遺伝子診断

 分子生物学の進歩により、いろいろなことがわかってきました。それら最新の知見を利用して、診断に役立てています。

遺伝子診断1
遺伝子診断2

本院で行われている遺伝子診断の一覧(主なもの)
  • p53遺伝子変異検出
  • 胃がんにおける腹腔内微小転移検出
  • リンパ腫における転座同定
  1. Bcl-2 / IgH
  2. Bcl-1 / IgH
  3. ALK gene rearrangement
  4. C-myc gene rearrangement  など
  • 肺がんにおけるEGFR遺伝子変異検出
  • 乳がんにおけるHER2遺伝子増幅検定
  • 軟部腫瘍の転座による診断
  1. EWS-FLI1、EWS-ERG
  2. SYT-SSX
  3. TLS-CHOP
  4. PAX3/7-FHKR
  5. EWS-WT1 など
  • 原発、転移の分子鑑別診断
  • 膵がんにおけるK-ras変異診断
  • GISTにおけるC-kit遺伝子変異診断
  • 大腸がんにおけるK-rasおよびBRAF変異の検出とEGFR染色

On site 細胞診

 細胞診診断医がエコー室や内視鏡室に出向いて、適切な細胞量が取れているか、診断できる内容か判断します。

どうして?
  • 甲状腺や膵内視鏡での細胞診は、しばしば病気の組織から細胞が採取されていないことがあります。
  • 細胞がとれていなくても、主治医は一週間後の結果が出るまでわかりません。その後、もう一度細胞をとることになります。
  • その場で、細胞がとれているかどうかを病理医が診断すれば、すばやい診断が可能になります。また、所見を直接主治医と相談することができるために、よりよい診断に結びつきます。

On site 細胞診

肺CTガイド下生検

 CTガイド下針生検は難易度の高い手技(高度先進医療)です。正しく病変から取られているか、診断に必要な手段は何か、即時に判断します。

Secondary Heading
  • 肺は肋骨にまもられて胸の奥のほうにある臓器です。そのため、肺にできた腫瘍の一部をとることは容易ではありません。
  • 気管支内視鏡で取れない奥のほうにある場合はCTで腫瘍を確認しながら、針をさして組織を一部とってきます。高度のテクニックが必要で、合併症の危険があるため、1〜2日の入院が必要です。
  • とってきた組織内に腫瘍細胞がとれていなくても、一週間後の結果が出るまでわかりません。必要であれば、もう一度入院し、検査することになります。
  • そこで、5〜10分のうちに生検組織に含まれる細胞を見ることで、正しく病変から取られているか判断し、無駄な時間や費用を軽減します。また、診断に必要な手段をその場で選択できます。

肺CTガイド下生検

専門家との定期的なディスカッション

 医学の専門化、細分化に伴い幅広い知識が要求されます。そこで、複数のエキスパートと定期的なディスカッションを行っています。

専門家との定期的なディスカッション

嘱託医師およびその診断分野、来院日

越川 卓 (愛知県立大学看護学部 教授)
 細胞診
 週2回、 月、金曜日

中村 栄男(名古屋大学 臓器病態診断学 教授)
 悪性リンパ腫、血液系腫瘍
 週1回、 月曜日

市原 周 (国立病院機構 名古屋医療センター病理部)
 乳腺腫瘍
 隔週、水曜日

横井 太紀雄 (愛知医科大学 非常勤講師)
 消化管腫瘍、病理一般
 週1回、 水曜日

 このほか、全国種々の施設と日本病理学会、病理学会中部支部の病理コンサルテーションシステムにより結ばれています。

病理診断とは?

 愛知県がんセンター遺伝子病理診断部は、外来・入院部門を持たない特殊な診療科です。
そのため、患者さんとは直接接する機会はありませんが、診断に関わる重要な三つの診断業務(病理組織診断、細胞診、遺伝子診断)を行っています。その活動の実際をご紹介します。

 患者さんの体より採取された病気の部分の組織や細胞から顕微鏡用のプレパラートが作られます。この標本を顕微鏡で観察して診断するのが病理医です。
病理診断は以下のようなものがあります。

  1. 病理組織診断
  2. 生検組織診断
  3. 手術で摘出された臓器・組織の診断
  4. 手術中の迅速診断
  5. 細胞診断
  6. 病理解剖

 一般に、病理診断には時間がかかるとされています。その理由は? ここをクリック

病理診断とは?

病理標本ができるまで

平成14年12月24日の新聞記事より
天皇陛下 前立腺検査で入院
 天皇陛下は、一泊二日の予定で皇居内の宮内庁病院に入院された。局所麻酔を下上で医師団が前立腺の組織を少量取り出し、病理学的に調べる。組織を取り出す処理は短時間で終わると見られる。病理診断は通常一週間程度で結果が判明する。…?

  • この記事でも病理検査には1週間ほどかかるとされています。
  • どうしてそんなに日にちがかかるのでしょうか?

 それは、高度の技術を要求される以下の作業を行うためです。

ホルマリン

1.ホルマリン固定 (4時間〜1昼夜)

 とられた組織をホルマリン固定液に浸しておきます。たんぱく質の変性をふせぎ、構造を保つために行います。

肉眼で観察

2.肉眼像での病変観察、切り出し(およそ半日)

 病理医が病変を観察し、重要な部分を切り出します。

切り出された乳腺生検組織
切り出された乳腺生検組織

有機溶媒処理1有機溶媒処理2

3.有機溶媒処理、ワックス置換 (一昼夜)

 切り出した組織を特殊なカセットにいれ、専用の薬品からワックスに換えます。数時間ごとに異なった溶液に変える必要がありますが、夜に機械(右写真)がやってくれます。

4.ワックス包埋 (2〜3時間)

 ワックスに浸した組織を金型にいれて、周りをワックスで満たし、冷却します。

ワックス包埋1ワックス包埋 出来上がった組織ブロック

薄切

5.薄切(およそ半日)

 出来上がった組織ブロックを厚さ3μm(1mmの3/1000)の薄い膜状に削ぎとります。すべて手作業なので熟練を要します。→

ワックス

← 削ぎとった薄い膜。ワックスといっしょに組織も薄く切り取られます。

薄い膜
薄い膜をスライドグラスの上にはりつけ、乾かします。

染色

6.染色 (2-3時間)

 有機溶媒でワックスを溶かすと、スライドグラスには薄く切られた組織だけが残ります。それを特殊な染色液で、染め分けます。

最終確認1

7.最終確認 (2時間)

 出来上がった標本と組織ブロック、病理診断依頼書が一致するか確認し、病理医に提出します。

最終確認2 すべての標本作成作業は、国家資格を持つ臨床検査技師が、専門的な知識にもとづいて作業を行います。


↑出来上がった標本

病理医

8.病理医による診断(1日)

 病理医が顕微鏡により診断をします。診断は報告書としてまとめられ、主治医に伝えられます。(病理診断は医師免許が必要な医療行為です。)

 このように病理診断には最低でも4日間必要です。検討にさらなる時間を要する場合も少なくありません。 私どももできる限りこれらの時間を短縮しようと努力していますが、正確な診断を行うために必要な時間とお考えください。

部の概要

遺伝子病理診断部の概要

 愛知県がんセンター遺伝子病理診断部は2000年に、病理診断、遺伝子診断の重要性に鑑み、新設された新しい部です。県立愛知病院のがんセンター化に伴い、愛知病院を含めた愛知県がんセンター全体の病理診断、細胞診断、遺伝子診断を担っています。

病理組織診断

 中央病院、愛知病院あわせた年間約10,000件の病理標本の診断を行っています。そのほとんどが腫瘍性疾患であり、件数が同等の一般病院とくらべて作業量はその数倍にのぼります。術中迅速検査数が多いのも特徴であり、年間述べ2000件・一日平均延べ10件をこなしています。また、細分化、専門家が進む各科の要求に対応するため、本年度からは、本格的な外部エキスパートの応援も含めた新体制で、高度で専門化された病理診断を遂行しています。 このほか、免疫組織学的解析も開発当初より積極的に取り入れ、原発不明がんや転移性腫瘍の診断、造血器腫瘍の診断、腫瘍の悪性度診断に役立てています。核酸抽出が容易な固定包埋方法の開発や穿刺細胞診からのセルブロック標本の作成も平行して行っています。

細胞診

 年間9000件の細胞診のうち、診断医に回る件数は半数以上であり、さらにその約半数近くが偽陽性以上を占めます。すなわち全体としておよそ1/4の症例が偽陽性もしくは陽性であり、がんセンターの特徴を良く表わしています。特に乳腺腫瘍の細胞診は年約2000件前後を占めるとともに、手術適応、術式決定について重要な情報を提供しています。
 細胞診は簡便で、迅速な診断法であり、必要な場合には検体採取当日の報告も積極的に行っています。さらに、内視鏡室やエコー室に直接出向いて細胞量のチェックや細かい臨床情報交換を通じて、診断精度を上げる試みも行っています。

遺伝子診断

 遺伝子病理診断部では、数々の腫瘍性疾患に対して積極的に遺伝子診断を導入してきました。その結果は、“固形腫瘍のDNA診断”として2000年より厚生労働省より、高度先進医療として承認され、年間約200例の遺伝子診断(肺癌におけるp53遺伝子変異、MATL型リンパ腫におけるt(11;18)転座、腹水の微小転移診断)を行ってきました。
2004年11月からはゲフィチニブの効果予測判定のためのEGFR遺伝子変異診断をスタートさせました。ゲフィチニブは非常に高い治療効果がある反面、すべての腫瘍に反応を示すわけではなく、また、重篤な副作用である間質性肺炎を引き起こす可能性もあります。その予測に役立っています。
また、2006年よりスタートさせた細胞診検体を用いた膵腫瘍に対するKRAS変異の検討もすでに、500件に足しています。さらに、2009年からは大腸癌におけるセツキシマブ効果予測についてのKRAS/BRAF変異、胃癌におけるHER2遺伝子増幅についても遺伝子検査を行っています。その結果、院内から依頼される遺伝子検査は2012年には1014件と年々著しい伸びを示し、分子生物学的な知見が臨床に応用されていることを実感します。

その他

 国内でも有数の症例数を扱う乳腺外科に対応し、乳腺腫瘍におけるエストロジェン受容体、プロジェステロン受容体、HER2遺伝子増幅、Ki-67標識率について院内での検査を行っています。年間平均500件の検討を行い、すでにその累積は6000件以上に及びます。これらの経験に基づく診断技術は高く評価され、他施設からの見学・研修を通じて、国内の他施設のレベル向上に貢献しています。

レジデントスタッフ募集

現在、スタッフおよびレジデントを募集しています。

スタッフ募集要項

スタッフ募集要項
  • 資格・勤務内容: 病理細胞診診断医
    (認定病理医資格、細胞診指導医資格を持つことが望ましい)
  • 身分: 愛知県職員(地方公務員)
  • 休暇: 完全週休二日制、年次休暇20日、特別休暇あり
  • 給料: 等給料・調整額の他に、調整手当、通勤手当、住居手当、期末・勤勉手当など各種手当あり
  • 福利、厚生:共済組合、互助会制度により、病気やケガをしたとき等の給付金や結婚、出産等の祝い金・ 保養施 設の利用補助等の福利厚生制度あり

 詳細は遺伝子病理診断部長まで(052-762-6111、内3432)

レジデント募集要項(詳細はこちら…)
  • 資格: 医師免許取得後、原則2年以上の臨床経験者
  • 勤務: 病理細胞診の専属レジデント
  • 身分: 愛知県非常勤職員
  • 報酬  月額未定
    (参考)平成24年度本俸:451,750円
    他に、通勤手当、宿日直手当(1回につき、20,000円)有り
  • 社会保険:健康・厚生年金・雇用の各保険について、被保険者となる。
  • 入居施設あり。ただし、入居人員に制限あり。

 将来の病理医希望の臨床研修終了者も歓迎します。レジデント終了後の就職相談にも応じます。

細胞診研修生も募集しています。

詳細はこちら…

問い合わせ及び申込み先
〒464-8681 名古屋市千種区鹿子殿1番1号
 愛知県がんセンター運用部事業課 総務グループ
 (052)762-6111内線2211

連絡先

 遺伝子病理診断部は新しい部のため、病院3F 臨床検査部と多くを共有しています。一番に病理組織作成室および細胞診診断室があります。

連絡先

To contact us:
愛知県がんセンター遺伝子病理診断部
〒464-8681名古屋市千種区鹿子殿1-1
Phone:052-762-6111
Fax:052-763-5233
E-mail:Pathol@aichi-cc.jp

平成29年8月改訂

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