愛知県衛生研究所

水質基準について

2014年4月1日更新

飲み水や炊事だけでなく、洗濯、風呂、トイレなど現代人の生活に欠かすことのできないのが水道です。ここでは、この水道を安全かつ快適に使用できるように設けられている基準等について解説します。

蛇口のイラスト

水質基準 (基準値一覧表

現代人にとって最も重要なライフラインの一つである水道は、昭和32年に制定された「水道法」という法律に基づいて管理・運営されています。水質基準とは、この水道法に基づいて省令により定められる"水道水が備えるべき要件"、すなわち、"国が定めた水道水の品質規格"のことで、県や市町村などの水道事業者には、これに適合した水の供給が義務付けられています。(適合しない場合は、給水停止等の措置がとられます!)

「水道法」が制定される以前の水道に関する法律は、明治23年に制定された水道条例ですが、そこには現在の水質基準のような規定がありませんでした。しかしながら、それに準ずるものとして水道協会などが決めた自主規格があり、水道法制定までは、それに基づいて水道の運営管理がなされていたようです。また、水道をめぐる事情は、水道法制定当時と現在とでは大きく様変わりしています。したがって、水質基準もその時代背景や受給者の嗜好などを考慮し、およそ10年のサイクルで全面的に見直されてきました。現在の水質基準は平成15年に全面改訂されたもので、鉛、ヒ素、シアンなど人の健康に悪影響を及ぼす物質や、味、色、濁りなど生活利用上の障害となる性状など水道法制定当初からの項目に加え、水の風味を損ねるかび臭物質(ジェオスミンと2-メチルイソボルネオール)や発ガン性が疑われている1,4-ジオキサンなどが規定されています。また、平成15年以降は10年ごとの見直しではなく、最新の知見に合わせて改正していく逐次改正方式が取られ、毎年のように基準項目や基準値の改正がなされています。平成20年に塩素酸が追加、平成21年に1,1,-ジクロロエチレンが削除(管理目標設定項目に変更)、平成26年には亜硝酸態窒素が追加され、平成26年4月現在、51種類の項目について基準値が設定されています。

蛇口のイラスト

水質基準以外の項目

水質基準項目ほどではありませんが、利用者の健康や生活に何らかの影響を及ぼすことが懸念される水質項目を「水質管理目標設定項目」及び「要検討項目」とし、目標値や指針値が示されています。これらは水質基準ではないため、水道事業者には測定などの義務はありませんが、国では水質基準に準ずる項目として自主的に管理することを求めています。

1)水質管理目標設定項目 (水質管理目標設定項目及び目標値一覧表

水道を管理する上で留意すべき項目として、ニッケルや農薬類など26項目が規定され、それぞれに目標値が設定されています。これらは、毒性や水道水からの検出量などの観点から「水質基準とするには及びませんが、測定・監視を続けることが望ましい項目」と位置づけられています。

農薬類についての補足:愛知県を含む多くの水道事業体が水道水源のほとんどを表流水(河川や湖沼の水)に頼っている現状では、農薬の水道水への混入は避けられない問題です。これを懸念し、平成4年の水質基準改訂で、国内で使用される主な農薬4種類が水質基準項目、15種類が監視項目に指定され、その後10年にわたって、全国的に監視が実施されました。その結果、これら農薬類は水道水や水道原水からほとんど検出されず、基準を超えるようなことはまずないことが明らかになりました。したがって農薬類は、水質基準として常時監視する必要はなく、主な農薬を水質管理設定項目に指定し、総農薬方式と呼ばれる方法で管理するのが適当だというのが現在の国の考え方です。平成16年には102種類、平成26年4月現在は120種類の農薬がリストアップされています。農薬類の目標値は、総農薬方式で"1"とされていますが、これは、個々の農薬についてその測定値(検出値)と個別に定められている目標値(農薬名及び目標値一覧表)との比(検出値/目標値)を求め、それらの総和(検出指針値)が "1" を超えないとするものです。

2)要検討項目(要検討項目及び目標値一覧表

水質基準及び水質管理目標設定項目のいずれにも分類されない47項目で、ダイオキシン類や、ビスフェノールAなどが含まれています。しかし、これらのうち10項目の目標値は暫定であり、22項目については、毒性や水道水中の存在量などの情報が不十分という理由で目標値も設定されていません。国は、現在要検討項目とされている物質の毒性や水道水中の存在量、それに健康に対する影響等について議論できるように引き続き情報提供を求めています。

蛇口のイラスト

当研究所の検査について

水を検査する科学者のイラスト

当所は、水質基準項目の全てと水質管理目標設定項目、要検討項目の大部分が検査できる設備を有しており、県が実施する行政検査や県内の水道事業者から依頼された試料の分析などをとおして、愛知県内水道水の安全確保の一役を担っています。

農薬を例に挙げると、愛知県の主要な水道水源として利用されている木曽川、矢作川、豊川の3河川について、平成16年から25年まで毎年1回のべ3000項目の検査を実施しています。その結果、ほとんどの農薬は検出されず、目標値の百分の一を超えて検出されたのべ33項目についても、その濃度は低いレベルであることを確認しています。

以上のように、皆様のご家庭や職場などに水道事業者(愛知県や市町村)から届けられる水道水は、様々な基準とこれを常に検査監視することにより護られています。しかしながら、安全で快適な水道水はこのような法の整備だけで望めるものではありません。良質な原水の確保が不可欠であり、そのためには水源である河川や地下水を工場廃水や生活排水で汚染しないよう皆で護っていくことが大切です。

蛇口のイラスト