愛知県衛生研究所

食品におけるアレルギー表示について

2023年6月 更新

食物アレルギーを持つ方がその発症を防ぐため、原因となるアレルギー物質を含まない食品を選択できるよう表示制度が定められています。従前は食品衛生法で規定されていましたが、平成27年4月から食品表示法の規定に基づく具体的な表示ルールである食品表示基準及び関連通知等に従って表示することとなっています。

食物アレルギーとは

食物アレルギーとは、食物を摂取した際、身体が食物に含まれるタンパク質を異物と認識して、身体を防御するために起こる過敏な反応です。かゆみ・じんま疹・湿疹等の皮膚症状、下痢・嘔吐・腹痛等の消化器症状、鼻・眼粘膜症状、咳・喘鳴等の呼吸器症状などといった様々な症状(アレルギー反応)が引き起こされます。ときには、アナフィラキシーショックとよばれる全身発赤、呼吸困難、血圧低下、意識消失など重篤な症状を起こし、死亡する場合もあります。

食物アレルギーの患者について

日本で食物アレルギー体質をもつ方は全人口の1~2%(乳児に限定すると約10%)とされています。現在食物アレルギーの治療には特効的な薬物などはなく、原因となるアレルギー物質を摂取しないことが主な対応策です。そのため、アレルギー表示は患者の方にとって非常に重要な情報です。

グラフは日本で食物アレルギーを引き起こす原因食品の内訳です。これまで三大主要原因食品と言われている「鶏卵、牛乳、小麦」が大部分を占めていましたが、近年では「木の実類(13.5%)」が小麦(8.8%)を上回る結果となっています。また、「木の実類」の中でもクルミを原因とする事例が多いです。

R3年度即時型症例の原因食物(円グラフ)
【R3年度即時型症例の原因食物の内訳】
(出典:令和3年度食物アレルギーに関する食品表示に関する調査研究事業報告書)

食品へのアレルギー物質表示制度

食物アレルギー患者が、原因となる食品の摂取によってアレルギー症状を起こす健康被害を防ぐため、平成13(2001)年に食品衛生関連法令により、加工食品にアレルギー症状を引き起こす物質を表示する制度が定められました。この中には、法令で表示を義務付けている「特定原材料」と、通知で表示を奨励している「特定原材料に準ずるもの」があります。近年の「くるみ」によるアレルギー症例数の増加等を踏まえ、令和5(2023)年3月9日に食品表示基準が改正され、「特定原材料」に「くるみ」が追加されました。現在、「特定原材料」8品目、「特定原材料に準ずるもの」20品目が指定されています。指定されている食品は下表のとおりです。

そのため、「くるみ」を含む食品を製造している事業者の皆様は、経過措置期間(令和7年3月31日まで)以内に表示ラベルの切り替えを行う必要があります。

規定特定原材料等の名称品目数
表示義務
(特定原材料)
卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに、くるみ8
表示を推奨
(任意表示)(特定原材料に準ずるもの)
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン20

食品のアレルギー表示の取締り制度

食品のアレルギー表示が正しくされているかを検証するためには、特定原材料が食品中に含まれているかどうかを確認することが必要です。

確認は、次の2つの方法で行います。

愛知県では、1を保健所食品衛生監視員が、2を当所医動物研究室が担当しており、県内保健所(名古屋市、豊橋市、豊田市、岡崎市、一宮市を除く)から搬入された各種食品中のアレルギー物質検査を実施し、アレルギー表示が正しくなされているかを検証しています。

参考資料

消費者庁 アレルギー表示に関する情報
食物アレルギー表示に関する情報 | 消費者庁)