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テトラミン中毒

ツブガイ(エゾボラモドキやヒメエゾボラが代表的)といわれる巻貝の内臓(唾液腺)には、テトラミンという毒がふくまれており、国内でもしばしば食中毒の発生が報告されています。テトラミンは、1種の神経毒であり、とりわけ視覚異常を伴うことにより、ものが二重に見えることが特徴的で、同時に、吐き気やふらつくなどの船酔いと同様の状態を引き起こします。写真のヒメエゾボラは、眠気を誘うことがあるので、別名"ネムリツブ"とも呼ばれます。中毒の発症は食後早くに(30分〜1時間程度)起こり、回復も比較的早い(数時間以内)といわれています。テトラミンは、貝をゆでた程度では分解されないことから、調理するときに唾液腺を除く必要があります。テトラミンによる食中毒は、厚生労働省の記録では、平成15年に名古屋市で3名、平成14年には高松市で5名及び大阪府で4名の事例が報告され、愛知県でも今年6月にヒメエゾボラを家庭で加熱調理して食べた2名の発症を、当所のテトラミン検査で確定しました。ちなみに、本食中毒でのヒトでの死亡例はこれまで報告されていませんが、動物実験では、マウスでは平衡感覚に異常がおこり、呼吸麻痺により死亡するとされています。また、テトラミンを持つ巻貝は肉食性であることから、捕食する魚貝類を一時的に麻痺させるために神経毒であるテトラミンを産生すると考えられています。同様な巻貝であるカコボラやボウシュウボラなどの唾液腺にも、他の有毒成分が含まれていることがあります。


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