愛知県衛生研究所

Q熱とは

・・・名前は原因不明の病気Query(謎の)Fever(熱)に由来します。

Q熱はCoxiella burnetii というリケッチャによる人獣共通感染症です。

リケッチャは、細菌に近い病原体ですが、細菌とは異なりたとえ環境中に充分な栄養があっても独自では生きてくけなく、生きた動物細胞の中でないと生息できないというウイルスの性格も持っています。

同じようにリケッチャが病原体となる病気には、ツツガムシ病や発疹チフス、それに(日本)紅斑熱などがあります。これらの病気は節足動物(ダニやノミなど)により媒介されますが、Q熱の病原体は、様々な環境に対して抵抗力がとても強いため、Q熱に感染したウシ、ヒツジなどの分泌物の中でも生きていて、これらの動物の分泌物で汚染されたほこりなどを吸い込んだヒトに直接感染し、発症させる可能性のある感染力の高い病原体です。ごく稀に、未殺菌の乳製品を飲食することによっても感染します。

Q熱の病原体であるCoxiella burnetiiは我が国にも常在し、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコなどの動物体内に存在し、これらの動物では流産などを起こすこともありますが、多くは無症状と考えられます。

また、感染した人の約半数の人しか症状は出ませんが、

原因不明の高熱、非流行期のインフルエンザ様症状、異型肺炎、ウイルス検査陰性の肝炎、細菌検査陰性の心内膜炎などは、Q熱の可能性も疑われます。

特に動物との接触がある場合には、必ずその旨を伝えた上で医療機関で診察を受けてください。万一感染が確認された場合でも、有効な抗生物質がありますから、適切な治療を受ければ心配は要りません。

外国では予防のために、ヒト用・動物用のワクチンが開発されていますが、日本には存在しませんし、今のところ予防接種を必要とする人はないものと考えられます。