委員会情報
委員会審査状況
福祉医療委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年12月11日(月) 午後0時59分~
会 場 第1委員会室
出 席 者
神谷和利、小木曽史人 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、政木りか、中村貴文、浦野隼次、
森井元志、細井真司、江原史朗、木藤俊郎、末永けい 各委員
福祉局長、福祉部長、介護推進監、子ども家庭推進監、
保健医療局長、同技監、健康医務部長、生活衛生部長兼生活衛生課長、
感染症対策局長、同技監、感染症対策調整監兼感染症対策課長、
病院事業庁長、病院事業次長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第118号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第5号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第4款 福祉医療費
第119号 令和5年度愛知県国民健康保険事業特別会計補正予算
(第1号)
第123号 令和5年度愛知県県立病院事業会計補正予算(第1号)
第153号 愛知こどもの国の指定管理者の指定について
第154号 海南こどもの国の指定管理者の指定について
第155号 愛知県青い鳥医療療育センターの指定管理者の指定に
ついて
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第118号、第119号、第123号及び第153号から第155号まで
○ 請 願
第 21 号 「小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への
合理的配慮」について(医療関係)
第 25 号 「愛知県内における超過死亡数の原因追及」について
第 26 号 「新型コロナワクチン接種後の国の健康被害救済申請及び
県の副反応等見舞金の申請状況についてのホームページ等
での開示」について
第 27 号 「予防接種健康被害救済制度周知」について
第 28 号 「コロナワクチン接種に注意が必要な人に関する周知」に
ついて
第 29 号 「新型コロナワクチン接種記録保存期間延長」について
第 30 号 「コロナワクチンのロット番号ごとの被害調査」について
第 37 号 「予防接種健康被害救済制度周知」について
第 38 号 「コロナワクチン接種に注意が必要な人に関する周知」に
ついて
第 39 号 「保育・学童保育施策の拡充と75年ぶりの保育士配置基準
改善を求める」について
(結 果)
賛成少数をもって不採択とすべきものと決した請願
第21号、第25号から第30号まで及び第37号から第39号まで
○ 閉会中継続調査申出案件
1 社会福祉及び社会保障制度の充実について
2 少子化対策及び超高齢社会への対応について
3 保健衛生の推進について
4 保健所及び県立病院の運営について
5 福祉局、保健医療局及び病院事業庁の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 理事に関する申合せの変更
3 口頭陳述(3件 請願第28号及び第29号並びに請願第39号関係)
4 議案審査(6件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
5 請願審査(10件)
6 委員長報告の決定
7 一般質問
8 休 憩(午後2時47分)
9 再 開(午後2時54分)
10 閉会中継続調査申出案件の決定
11 閉 会
(主な質疑)
《請願関係》
【委員】
請願第21号について、請願書の下段にあるとおり、診断書が出せるように各病院に通達を出すこととあるが、先ほど香川かなめ氏から陳述があったように、予防接種健康被害救済制度を申請するに当たり、新型コロナワクチン接種との因果関係を疑わない医者がいまだにたくさんいる。
本人、家族、学校の理解がないなどの理由で、申請が出せるまでに1、2年の期間がかかり、認定を受けるのは、もっと先の状態になっている。教育委員会にも話をしているが、今年の5月以降、新型コロナワクチン接種後の体調不良が欠席扱いになることもあり、請願の趣旨と内容は妥当なもので、政策的に進めていく必要があり、賛成する。
請願第25号について、既に本会議で発言しているように、新型コロナワクチン接種が始まってから40万人に迫る超過死亡が発生している。新型コロナワクチン接種以外の原因があるなら、ぜひ示してもらいたい。簡単に統計的に分かることではあるが、国は答弁を避けており、感染研所長も、ユーチューバーに指摘されて意見を変えてしまうなど、政治的に非常にうやむやにされている。武見敬三厚生労働大臣も、各自治体で死亡者の大量発生の調査をして、国で取りまとめたいという趣旨の発言を報道記者クラブでしている。
牧野副知事が統計総務情報室長であったため、県として全国に先駆けて調査してもらいたい。これは、自治体の責務だ。愛知県の人口にも関わり、全ての政策に関わる話でもある。
請願第26号について、予防接種健康被害救済申請及び副反応疑い報告は、それぞれ何件の提出があったのか。また、報道機関には情報提供していると聞いているが、県民に公表していないのはなぜか。
【理事】
令和5年11月末時点で、本県における新型コロナワクチンに係るものについて、予防接種健康被害救済申請は548件、副反応疑い報告は2,295件となっている。
昨年4月に創設した県独自の制度である副反応等見舞金の申請状況と併せて、国の健康被害救済申請状況については、毎月1回、知事会見の場などを活用して情報提供しており、本年10月以降は、令和5年秋開始接種を契機として、県のホームページにおいても、それらの申請件数等について掲載を開始している。
【委員】
請願第27号について、医師は、自らが打ったワクチンと健康被害の因果関係を認めたくないという心理的なバイアスが働くなど、そもそも因果関係はないと言い張る者も多数いる。
また、申請様式の書き方が分からないという話もあり、他県では、記載マニュアルをホームページで公表している。
県でも、医療機関向け、県民向けにそれぞれ周知をもっとやっていく必要がある。本来であれば、国の予防接種健康被害救済制度は、もっと申請されていかなくてはならない。
主に医療機関が出す副反応疑い報告と健康被害救済制度の申請件数に大きな差がある。健康被害救済制度の申請は、患者側としては大変ハードルが高いものであるため、国の健康被害救済制度の申請がもっとなされれば、数のインパクトでメディアも取り上げ、国会の議論も前に進む。自治体で、ボトムアップで推進していってほしい。
請願第28号に関して、禁忌や慎重投与等について、新型コロナワクチンの添付文書にはどのように記載されているのか。
【理事】
新型コロナワクチンの添付文書については、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のホームページにおいて公表されているが、現在、使用されているコミナティRTU筋注の添付文書を例にすると、禁忌や慎重投与等は接種不適当者及び接種要注意者として記載されている。
なお、接種不適当者としては、明らかな発熱を呈している者や、本剤の成分に対し、重度の過敏症の既往歴のある者などが示されており、接種要注意者としては、心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者などが示されている。
【委員】
私も添付文書は読んでいるが、基礎疾患を有する者は、禁忌や慎重投与となっている。メディアや政治家が言ってきた、基礎疾患を有する者や高齢者から接種すべきということと真逆である。これをどう考えるかということだ。
添付文書の中にある内容をホームページで公表すべきである。新型コロナワクチン接種の推進よりも、このことを公表していく必要がある。
XBBワクチンについて、7回目のワクチンが65歳以上の者と基礎疾患を有する者が積極勧奨になっているが、添付文書の内容と真逆のことをやっている。これは、とんでもない嘘である。
請願第29号について、先ほどの陳述にあったように、これから裁判が増えていく。蒲郡市、豊川市、愛西市では既に訴訟が提起されている。子宮頸がんワクチンの訴訟は、平成28年に始まり、今年で7年目であるが、まだ折り返しである。
ワクチンの接種記録などの証拠を保全しなければならない。今の行政文書の基準は、数年間となっており、これを10年、20年に期間を延長していく必要がある。自治体によっては延長しているところもあり、県や市町村もやってもらいたいと思うため、賛成である。
請願第30号について、ロット番号によって重症化率、ワクチンの後遺症、致死率が違うことが、国から出ている情報で分かってきている。
PL法上も非常に問題がある。今、死のロットと言われているGJ7139などを打った者は、死亡率が高いなどの共通点がある。自治体としても、きちんとロット番号ごとに被害を調査していく必要がある。
請願書にあるGJ7139のロット番号のワクチンを接種したことにより死亡した者の県内の年齢別の数は把握しているか。
【理事】
新型コロナワクチンに係るロット番号を含めた予防接種に関する記録は、予防接種の実施主体である市町村において作成、保存されているため、県では把握していない。
【委員】
県でも責任を持って集計する必要がある。
国の予防接種健康被害救済制度について、副反応疑い報告と健康被害救済制度申請で、副反応疑い報告において重症もしくは死亡とされたもののうち、健康被害救済制度申請が提示されていないケースは県内でどれだけあるのか。
【理事】
令和5年11月末時点で、本県分の副反応疑い報告において重症として報告された件数は488件、そのうち死亡報告は61件となっている。
一方、11月末時点の予防接種健康被害救済申請に係る県での受理件数は548件となっているが、副反応疑い報告の対象者に関する救済申請の有無については、制度の実施主体である国で管理しており、県では把握していない。
《一般質問》
【委員】
障害者向けグループホームにおける食材料費の取扱いについて、先週までに、株式会社恵における食材料費の過大徴収のほか、各種の問題に関して報道されている。
同社に対する監査については、現在、国や県において監査が継続しており、先日の知事会見でも、来年2月を目途に行政処分などを検討し、決定していきたいとの発言があったことから、状況は大詰めを迎えている。
今後の監査の継続、そして、どのような結果、処分が出るのか注視をしていきたい。
本年11月22日に発表された調査結果では、県内767か所のグループホームのうち707か所から回答があり、食材料費を精算していないと回答した391か所のうち、職員の人件費に流用している事業所が40か所、光熱費や日用品に流用している事業所が99か所であった。
回答のあった事業所のうち、食材料費として徴収した費用を別の目的に流用している事業所が約2割あったことになるが、この点について、県としてはどのように考えているか。
【理事者】
今回の調査は、前例のないものであったことから、グループホーム側も回答に苦慮した様子が見受けられた。
実際に、食材料費について精算していると回答しながら、別の項目では、他の費用に流用していると回答している例や、人件費に流用しているという回答のあった40か所の中にも、過去の食材料費の徴収額と実費を回答する項目では、実費が徴収額を上回り赤字が生じ、事業所側がその赤字を補填しているとも考えられる記載があり、回答の内容に矛盾が生じている例もあった。
また、光熱水費等への流用は基本的には望ましくないが、流用について利用者への説明が適切に行われ、同意の上で流用している場合には不適切とまでは判断できない。
以上の状況であるため、現時点では、人件費や光熱水費等に流用したと回答した事業者が、全て不適切な取扱いを行っていたと県が判断したわけではなく、事業者による自主点検調査の結果、2割程度の事業所について、さらに確認が必要な状況である。
【委員】
県の調査はあくまで事業者による自己申告を集計したものであり、人件費に流用したと回答した40か所や、光熱水費などに流用したと回答した99か所の事業者が、全て不適切だったと決まったわけではないことは理解した。
一方で、一連の報道もあり、グループホームの利用者や家族の不安は高まっていると思われる。
利用者保護の観点から、グループホームにおける徴収金の実態について、さらに透明性を高めて明らかにしていく必要があると考えるが、今回の実態調査の結果を踏まえて、県として今後、事業所に対してどのように指導していくのか。
【理事者】
まず、今回の調査で回答に矛盾や疑義のある事業所に対し、電話による聞き取りなどを行い、取扱いの実情を把握する。
その上で、人件費に流用している事業所に対しては、書面調査の追加実施や必要に応じて実地調査を行い、過大徴収が認められれば、利用者への返還などを指導していく。
また、光熱水費等に流用している事業所に対しては、流用に際して必要な利用者への説明と同意が適切に行われているかについて書面で報告を求める。
なお、グループホームに限らず、障害福祉サービス事業所に対しては、年に1回、集団指導という形で運営上の留意点などを説明する場を設けているため、そのような場を活用し、徴収費用についての適切な取扱いの周知徹底を図る。
また、事業所に対する実地調査の際にも、利用者から徴収する費用が適切に取り扱われているか確認する。
【委員】
新聞報道等で、利用者や家族の不安は高まっているので、ぜひとも利用者や家族に影響が出ないよう配慮するとともに、まだ回答が返ってきていない事業所もあるので、しっかりと追跡調査をするよう要望する。
続いて、ユニット型特別養護老人ホームの勤務体制について質問する。
ユニット型特別養護老人ホームは、10人程度の小人数グループを生活単位として区分けした特別養護老人ホームで、平成15年に制度化された。
ユニット型特別養護老人ホームの職員配置については、ユニットごとに職員を固定して配置するよう、県から求められていると介護施設の人から聞いたが、なぜ県では、ユニット型特別養護老人ホームにおいて、ユニットごとに介護職員を固定配置するよう指導しているのか。
【理事者】
ユニット型特別養護老人ホームは、これまでの従来型の特別養護老人ホームが、フロアを単位とした集団的、画一的なケアになりがちなことに対し、10人程度の小人数のユニット単位としており、個別的でより質の高い介護を目指すためのものである。
そのため、介護職員がユニットの入居者一人一人の個性や生活リズムなどを具体的に把握し、入居者と職員との間でのいわゆる馴染みの関係を構築することが必要であるため、ユニットごとでの介護職員の固定配置を求めている。
【委員】
国の基準では、ユニットごとの職員固定までは定めていないと理解しており、ユニットを固定しなくても、馴染みの関係を構築するのは十分に可能である。
こうした指導は、愛知県のローカルルールだと聞いたが、県の指導は何に基づくものなのか。
【理事者】
国の基準省令では、ユニット型特別養護老人ホームの勤務体制について、職員のユニットごとの固定配置は明示されていないが、継続性を重視したサービス提供に配慮することが求められている。
継続性の重視について、国は基準省令の解釈通知で、施設入居前と入居後の生活が連続したものとなるよう、入居者の個性、心身の状況、生活歴などを具体的に把握した上で、適切に援助をするためには、いわゆるなじみの関係が求められると示しており、Q&Aにおいても、ユニット型特別養護老人ホームにおいて、直接処遇職員のローテーションは、基本的に当該ユニット内で固定されていることが望ましいとされている。
【委員】
現場の声として、研修や病欠等で長期休養が必要となるなど不測の事態が起こった場合、他のユニットの職員が対応しなければならず、固定配置では弾力的な対応が困難であると聞いた。
施設の運営に当たり、実際にはどういった基準で職員配置が運用されているのか。
【理事者】
職員配置の運用は、ユニットごとに担当する職員を固定配置することを原則とし、研修や病気による急な欠勤などやむを得ない場合は、他のユニットでの勤務を認めている。
また、夜間は、2ユニットで1人以上の職員配置となっており、対となるユニット同士で他方のユニットの入居者と関係性を構築するため、計画的に他のユニットでの勤務も可能としている。
【委員】
介護職員に求める考え方や一定の柔軟性を持った運用をしていることは理解をしたが、職員をユニット固定するには、多くの職員の確保が必要だと聞いている。
しかし、現在の介護業界は、人手不足や仕事内容の厳しさ、働き方改革に伴い、有給休暇を取得することがほかの介護士の負担増につながるなど、介護士の離職率が課題である現状では逆効果になりかねないと思う。現場で働く介護士が仕事と家庭を両立できるワーク・ライフ・バランスを実現するために、なじみの関係の構築という目的は維持しつつ、現場の施設の現状にも目を向け、適切な基準で運用されるよう要望する。
【委員】
保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業について質問する。
現在、国は、保育所や幼稚園に通っていない0歳から5歳までの子供について、定員に空きがある保育所で週に1、2回程度受け入れるモデル事業を、計50施設で実施し、課題を洗い出しているが、モデル事業とは具体的にどのようなものか。
【理事者】
現行の制度では、保育所等の利用は、就労等、保育の必要性のある者に限られており、保育所等に通っていない子供は、0歳から2歳児の約6割を占めている。
こうした子育て家庭は、孤立した育児の中で不安や悩みを抱えているとされており、保育所等に対しては、就労等にとらわれない、幅広い支援の強化が求められている。
こうしたことから、今年度、国においては、定員に空きのある保育所等において、日頃、保育所等を利用していない未就園児を定期的に預かるモデル事業を実施している。
具体的には、定員に空きがある保育所等において、地域の未就園児に対し、継続して週に1日から2日程度の定期的な預かりを実施するとともに、保護者に対しては、保育士等が面談を実施し、助言を行っている。
特に、養育の支援が必要な子育て家庭に対しては、関係機関とも連携し、保育所等の強みを生かした支援について効果を検証するものである。
保育所等には、地域における子育て家庭が抱える様々なニーズを把握し、保育、子育て支援を提供する体制を構築することが期待されており、令和6年度からは、国は本モデル事業をさらに拡充させ、就労要件を問わずに保育所等を利用できる、こども誰でも通園制度の本格実施を見据えた試行的事業を実施する。
【委員】
県内における本モデル事業の実施状況、現状の課題について、県としてはどのように考えているか。
【理事者】
今年度は名古屋市と大府市がモデル事業を実施している。
本年10月に両市が国へ提出した中間報告によると、両市とも市内の1施設において、特に支援が必要な要支援家庭の1、2歳児の1人から5人を週2回、1日7時間から10時間程度預かるほか、保護者との面談を月に1回実施している。
本モデル事業の実施により、子供が保育所内での遊び等を通じて言葉を覚えるとともに、やりたいことを保育士と共に取り組める環境が子供の成長によい影響を与え、また、保育士等が保護者と定期的に面談、相談を行うことで、保護者が子育ての見通しを持つよい機会になったとのことであった。
一方、課題としては、市が要支援家庭の保護者に本事業の利用を勧めても、保護者が子供と離れることに抵抗感を感じ、利用しない、利用していても、面談を望まない保護者がいることなど、フォローが十分に進まないことや、保育現場の人材のみで要支援家庭を支えることの困難さなどが挙げられている。
【委員】
子育て世帯の育児軽減を狙いとして、親の就労要件を問わず、誰でも時間単位で保育所を利用できるようにする制度への期待は高いため、国の議論を踏まえつつ、県として積極的に推進してもらいたい。また、本格的な実施となれば、施設のキャパシティーや保育士の確保が必要になることから、その点についても要望する。
【委員】
高次脳機能障害の支援と就労継続支援B型事業所の工賃向上のための県の取組について質問する。
本年11月25日開催のあいち高次脳機能障害支援フォーラムに参加し、高次脳機能障害の障害特性をはじめ、障害者を取り巻く厳しい現状、そして、支援の在り方や課題解決策等について学ばせてもらった。
高次脳機能障害は、脳卒中や交通事故などにより、脳にダメージを受けることで生じる様々な障害であり、外見からは分かりにくく、本人も自覚が難しいため、見えない障害とも言われている。症状は人によって様々であり、言ったことをすぐ忘れたり、すぐ怒ったり、暴れたり、場所や時間が分からないなどがある。
また、医療機関での治療は終わり、元の生活に戻った後も、本人の行動が周囲の理解を得られず、地域や家庭で様々なトラブルが生じて苦しんでいる。
本人や支援者である家族等の苦労や、支援の必要性等について共感し、今後、様々な支援が必要である。
そこで、県が実施している高次脳機能障害のある人への支援について質問する。
現在、県においては、高次脳機能障害支援に関する中心的な機能を持つ専門的な相談窓口として、高次脳機能障害支援拠点機関を設置し、当事者や支援機関などからの相談に応じている。
平成30年6月定例議会におけるますだ裕二議員の一般質問に対して、支援拠点機関における相談件数は年々増加傾向であり、平成29年度は年間約4,000件との答弁があったが、その後の高次脳機能障害に係る相談件数について、直近3年間の実績はどのようになっているか。
【理事者】
高次脳機能障害支援拠点機関において受け付けた対面や電話、訪問による直近3年間の相談件数は、2020年度は3,682件、2021年度は3,897件、2022年度は3,822件となっている。
【委員】
県では、支援を必要とする高次脳機能障害者の社会復帰のため、相談支援や地域の関係機関と調整等を行う支援コーディネーターを配置し、こうした相談に対応しているが、年間4,000件弱の相談を対応するために配置されているコーディネーターの人数と、その活動内容はどのようになっているのか。
【理事者】
コーディネーターの人数については、平成30年度までは3人、令和元年度に支援拠点を1か所から2か所に増設し、1人を増員したことから、直近3年間では4人となっている。
コーディネーターの活動内容については、大きく二つあり、一つは、高次脳機能障害者や家族に対する相談支援業務、もう一つは、地域の関係機関との連絡調整、いわゆるコーディネート業務である。
【委員】
今の答弁で、コーディネーターは1人当たり年間約1,000件弱の相談に対応しながら、サービスのコーディネートも行っているなど多忙な現状が分かったが、このような状況で、コーディネーターが役割を十分に果たしていけるか危惧される。
家族の会や支援関係者からの話では、診療や治療を行う地域の医療機関と、障害福祉サービス提供事業者の連携にはまだ不十分な部分があり、脳卒中などで入院された方が退院して自宅での生活に戻る際などには、本人や家族はどのようなサービスが利用できるかも分からず、苦労していると聞いた。
このような場面で、本人や家族が必要なサービスにつながることができるよう、コーディネート機能が必要になるが、コーディネーターによるコーディネート機能のさらなる充実に向けて、県としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
コーディネーターは、県が設置する支援拠点で専門的な相談に応じ、地域の関係機関のコーディネートを行うのが本来の役割であるが、設置された平成18年には、地域において高次脳機能障害に関する相談に対応できる人材が少なく、一般的な相談にも対応せざるを得ない状態であった。
このため、県では、令和2年度から毎年、市町村単位で設置されている基幹相談支援センターの職員を対象とした研修会を開催し、地域の相談機能を担う人材育成に努めてきた。
一般的な相談は地域で、専門的な相談は県の支援機関でという役割分担が進めば、その分、コーディネーターの相談支援業務における負担は軽減され、コーディネート業務に力を注ぐことが可能になると考えている。
また、今年度からは新たに医療と福祉の一体的な支援を普及、定着させるため、新たな事業に着手している。
この事業では、高次脳機能障害に対応可能な地域の医療機関や相談支援事業所等のマップを作成するほか、支援拠点の職員が医療機関や障害福祉サービス事業所等を訪問し、相談支援に関するアドバイスを行うなど、地域の支援機関のネットワーク化を目指している。
こうした取組を進めることにより、現在のコーディネーターが担っているコーディネート機能の一部を地域の支援機関が担う体制を整備していきたい。
県としては、相談業務における地域との役割分担と支援機関のネットワーク化を進めることにより、コーディネーターによるコーディネート機能のさらなる充実に努める。
【委員】
高次脳機能障害のある者をはじめ、障害のある者が地域で自立した生活を送るためには、就労支援が大変重要である。
一般就労が困難である障害者が、就労に必要な知識や技能を身につけるための障害福祉サービスの一つとして、就労継続支援B型があるが、B型事業所を利用する障害者が地域で自立した生活をしていくには、工賃が大きく影響する。
しかし、令和3年度のB型事業所の全国平均工賃は月額1万6,507円、本県でも月額1万7,653円となっており、この金額では自立には程遠いと言わざるを得ない。
就労継続支援B型事業所の工賃向上に向けて、本県としてはどのような取組を行っているのか。
【理事者】
本県では、就労継続支援B型事業所などの工賃向上に向けて、愛知県工賃向上計画を策定し、各種の取組を進めている。
例えば、工賃向上推進事業として、B型事業所等に対して、経営コンサルタントがオンラインで個別に面接を行い、各事業者の状況に応じて、生産性の向上や販路拡大などについてアドバイスを行うほか、研修を開催している。
農福連携工賃向上推進事業においては、農業に取り組む事業所等に対してアドバイザーを派遣し、農業技術に関する指導や、農産物をつくるだけではなく、加工、販売まで取り組み、新たな付加価値を生み出す6次産業化に向けた助言等を行っている。
また、農福連携マルシェとして、事業所が作った無農薬野菜や加工品の販売会を開催し、農福連携の取組の周知と販路拡大を図っている。
さらに、企業が発注する物品を障害福祉サービス事業所が受注し、事業所に振り分ける共同受注窓口を設置するとともに、販路拡大と新規受注開拓のため、コーディネーター4人を配置し、企業への営業活動を行っている。
【委員】
就労継続支援B型事業所の工賃を向上させていくためには、事業所の受注を増やし、収益を増やしていく必要がある。事業所の収益が増えれば、そこで働く利用者に労働の対価として相応の工賃が支払われることになる。
この件に関して、令和4年3月に、ますだ裕二議員が福祉医療委員会において質問した際、県からは、県が業務委託に係る企画コンペを実施する際に、評価項目に障害者就労施設等から調達実績の有無を追加し、障害福祉サービス事業所等に仕事を発注している企業を高く評価するよう、福祉局内の各課に働きかけを行っているとの答弁があり、ますだ議員からは、県庁を挙げて障害福祉サービス事業所に仕事を依頼する事業者に対してインセンティブを付けてもらえるよう、福祉局から他の部局に働きかけてもらいたいとの要望があった。
これまで福祉局から他の部局へ働きかけを行ってきたのか。また、現在、障害福祉サービス事業所等に仕事を依頼した事業者に、インセンティブをつける取組はどうなっているのか。
【理事者】
障害者就労施設等からの調達実績を評価する取組については、全庁的な取組となるよう、会計局に対し、働きかけを行ってきた。
その結果、企画競争入札等において、事業者の社会的価値の実現に資する取組を評価する項目の見直しが行われ、今年度から障害者就労施設等からの調達実績が評価項目として追加されている。
【委員】
今年度の入札時に、この項目で評価された入札参加者は何社あったのか。
【理事者】
本年4月から9月までの半年間の実績となるが、入札参加者のうち、障害者就労施設等からの調達実績により評価されたのは、県全体で延べ38社ある。
【委員】
仕事を受ける障害福祉サービス事業所等と、仕事を発注する企業の両方にメリットがある取組であるため、障害福祉サービス事業所等に仕事を発注する企業が増えていくよう、今後もしっかりと取組を進めてもらいたい。
【委員】
PFAS(有機フッ素化合物)について質問する。
本年11月30日に、国際がん研究機関がPFOA(ペルフルオロオクタン酸)、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)ともに発がん性リスクを引き上げた。
PFASについては、6月定例議会の環境委員会において、高木ひろし議員が環境分野から質問したが、今回は、発がん性リスクということで、県民の健康に直結する問題であり、大変憂慮すべきである。
今回の引上げによって、PFOAは4段階ある分類のうち最も高い、「発がん性がある」に2段階引上げ、PFOSについては、上から3番目の、「発がん性がある可能性がある」に初めて位置づけられた。今回の評価引上げを受け、伊藤信太郎環境大臣から、12月5日の会見において、国民の不安が高まらないよう、モニタリングの強化や飲用防止の徹底などの対策を着実に進めていきたいとの発言があった。
現在、日本では、環境省が水質の要監視項目として、PFOA、PFOSを足して50ナノグラムパーリットルという基準が暫定で設けられているが、この基準について、専門家会議で議論が進められており、今後、環境基準項目に位置づけられることも考えられる。
近年、日本各地において、水道水の原水等からPFOSやPFOA等の有機フッ素化合物が検出される事例が報告されているが、県内の検出状況はどのような状況か。
【理事者】
県内水道事業者のうち、北名古屋水道企業団と春日井市の2事業者において、水質管理目標設定項目の暫定目標値を超えた事例があった。
北名古屋水道企業団では、豊山配水場において、令和2年度から令和3年度にかけて、水道水の原水である地下水で超過し、うち令和2年度においては、浄水でも超過していた。
また、師勝配水場において、令和3年度から令和5年度まで地下水で超過したが、浄水では下回っていた。
春日井市では、町屋第3水源及び第6水源において、令和4年度に地下水で超過したが、浄水では下回っていた。なお、令和5年度は、これまでのところ浄水における超過はない。
【委員】
豊山町及び春日井市では、過去に見られたとのことであるが、令和2年度の環境省の調査結果を見ると、新堀川日ノ出橋付近などでは、基準値の2倍となるPFOA、PFOSが検出されている。
PFOSは、半導体用反射防止剤や金属メッキ処理剤、また、豊山町の方の原因ではないかと言われている泡の消化剤など、さらに、PFOAについては、フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤などに主に使われてきた。現在は製造も輸入されていないが、どれも私たちの身近なところで使われていることに加えて、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という特性を持っているため、県内どこで検出されてもおかしくない問題である。
水道水からPFOA、PFOSが検出された場合、県及び水道事業者はどのように対処するのか。
【理事者】
北名古屋水道企業団の豊山配水場において、浄水から暫定目標値を超えて検出された事例については、北名古屋水道企業団が豊山配水場で処理する水の使用を停止し、県営水道からの受水を増量して対応した。
また、県としては、豊山配水場の周辺地域における19の井戸利用者に対し、周知及び井戸水の飲用を控えるよう注意喚起を行った。
【委員】
検出された場合は、即時に水源の使用を中止するとのことであるが、大切なのは、計画的な水質検査によって早期に見つけ出すことである。
これまで空港周辺や過去にPFASを使用していた工場付近の限定的な問題と考えていたが、今回の発がん性リスクの引上げに伴って、県民の関心も大変高くなっている。
県民が安心して水道水を利用するためには、水道事業者がPFOA、PFOS検査を適切に実施することが必要と考えるが、水道事業者のPFOS、PFOA検査の実施状況はどうか。
【理事者】
水道事業者のPFOS、PFOAの水質検査の実施状況については、本年10月に県内14の県知事認可水道事業者に確認を行った。その結果、検査実施済みが2事業者であり、いずれも暫定目標値以下であった。
また、8事業者は、今後、実施予定であり、残りの4事業者は、井戸などの自己水源を持たず、県営水道から全量を受水している事業者であり、暫定目標値を超えていないことを確認した。
【委員】
来年度中には、知事認可の14水道事業者について、PFOA、PFOSの水質検査が行われると理解したが、清須市以外の知事認可の上水道事業者については、水質検査計画は未策定ということか。
【理事者】
水質検査計画は、各水道事業者が毎年度策定する。
現時点において、PFOS、PFOAの検査項目を含んだ水質検査計画を策定している知事認可の水道事業者は1事業者のみである。
【委員】
県民の不安を払拭するためには、しっかりとした水質検査を行うことが必要である。その上で、定期的な水質検査を行うためにも、まずは、水質検査計画を策定するよう、県から働きかけてもらいたい。
参考までに、アメリカでは、本年3月に、所管である米国環境保護局が、PFOS、PFOAの基準値について、いずれも飲料水1リットル当たり4ナノグラムにするという案を公表し、さらには類似物質にまで広げて規制するという方向で、現在、議論が進んでいる。
我が国では、暫定基準値で、PFOS、PFOA合わせて50ナノグラムが基準値として設定されているが、米国の案と比較すると6倍以上の開きがある。
飲用水の問題であり、体に蓄積する特性を持っているため、県においても、国基準を満たすからよしということではない。
米国や欧州の動向も視野に入れつつ、PFOS、PFOAの基準策定や各水道事業者への働きかけについては、迅速かつ丁寧な対処をしてもらいたい。
【委員】
子供の睡眠について質問する。
子育て世代において、働く母親が増えたことにより、預かり保育などの利用者が増えているが、子供へのしわ寄せが顕著に見受けられる。
子育てしながら家事をこなすためには、フルタイムで働いて、頑張って夕方6時に子供を迎えに行き、夕食の買物や用事を済ませて帰宅し、夕飯を済ませて入浴をさせて寝かしつける、そういう生活パターンの人が増えている中、子供の睡眠不足について県としてどのくらい把握しているか。また、子供の睡眠時間の確保が難しくなっている点についてどのように考えているか。
【理事者】
子供にとっての睡眠は、心身の休養と脳と体を成長させる働きがあり、非常に大切である。そのため、子供の年齢に応じた適切な睡眠時間を確保することは、子供の心と体の健康にとって大変重要である。
【委員】
子供の成長過程において、よい睡眠を取ることや睡眠時間の確保は、健全な成長のために大変重要であるが、働く母親が増えたことにより就寝時間が遅くなっている。
特に、兄弟がいる家庭では、上の子の習い事や塾の送り迎えで、どうしても遅くなってしまう。また、朝は、遅くても7時には子供を起こし、園や学校に送り出さなくてはいけないと考えると、睡眠時間は短くなっていく一方だと思う。
睡眠不足が続くと、将来的にどういった懸念があるか、子供の睡眠に関する啓発が重要であると考えるが、県における現在の取組と今後に向けた対応はどのようなものがあるか。
【理事者】
子供の睡眠については、市町村が実施する3歳児健康診査など様々な機会を通じ、適切な睡眠習慣の確立について啓発をしている。
現在、国において、平成26年に策定された健康づくりのための睡眠指針の改訂が進められている。
この改訂案では、3歳児から5歳児の睡眠は10時間から13時間が望ましいとされている。また、子供の睡眠習慣は親の睡眠習慣に影響されやすいことから、家族ぐるみで早寝早起きを目指すことが推奨されている。
県としては、国の改訂内容を踏まえ、子供にとって望ましい睡眠習慣について、市町村等を通じ、県民へ周知したい。
【委員】
13時間睡眠を取ろうと思うと、朝7時に起床し、夕方6時には寝なくてはいけない。これは高いハードルではないか。
睡眠不足になると、怒りやすくなったり、ぐずったり、動きが遅くなるといった学校現場からの相談もあるので、未就学児などの健康について、しっかりと啓発を行ってもらいたい。
【委員】
本県における災害拠点病院のBCPの策定状況は、現在、どの程度進んでいるか。また、県の地域保健医療計画でBCP策定の目標値はどうなっているか。
【理事者】
災害時における医療の確保を図るため、重篤救急患者の救命医療を行う高度の診療機能や、地域の医療機関を支援する機能を有する災害拠点病院については、平成29年度から業務継続計画、いわゆるBCPを策定することが指定要件に加わっており、本県における災害拠点病院のBCP策定率は100パーセントである。
令和4年度に実施した調査では、災害拠点病院以外の病院の策定率は58パーセント、平成31度に実施した調査より10パーセント程度向上している。
愛知県地域保健医療計画では、災害拠点病院以外の病院におけるBCPの策定率を、令和5年度末までに80パーセントとする目標を設定していることから、BCP策定率のさらなる向上に向けた働きかけを進める必要がある。
【委員】
令和5年度末までに80パーセントとする目標の達成のため、どのような取組をしていくのか。
【理事者】
これまではBCP未策定の病院に対して、厚生労働省が実施するBCP策定研修への参加を周知してきたが、参加できる枠が少なく、策定率の著しい向上にはつながらないことが課題であった。
そこで、県と企業で締結している地方創生等に関する包括的な協定に基づき、今年度から、民間企業と共同で本県独自のBCP策定研修を実施することとした。
研修では、BCP策定の必要性等に関する講義のほか、病院としての初動対応、災害時の優先業務などについて、参加者同士で話し合うワークショップを実施するなど、実践的な内容を盛り込んでいる。
これまで、BCP未策定の病院を中心に35病院、52人の参加があった。
災害発生後、病院の機能や地域における役割に応じた医療提供体制が早期に回復するためには、災害拠点病院だけではなく、災害拠点病院以外の病院においても、実効性の高いBCPの整備を進めることが重要であることから、今後もこうした研修などにより、BCP策定に向けた取組を進めたい。
【委員】
先日、DMATの北川喜己医師に話を聞いたが、災害拠点病院については、浸水想定区域に位置している病院が幾つかあり、何らかの対策が必要といっていたが、それらの病院に対する支援策はどのようになっているか。
【理事者】
浸水が想定される区域に位置する災害拠点病院への支援として、建物内への浸水を防ぐための止水板の設置に要する経費や、医療用設備や自家発電設備等を浸水のおそれのない高い場所に移設する経費に対して補助制度を設けている。
浸水対策が必要な病院には、こうした補助金の申請について働きかけを行っていきたい。
【委員】
東海・東南海、南海トラフのような大規模地震が発生すると、当然、災害拠点病院の病室のみでは追いつかず、キャパシティを超えた部分は、一般の病院で対応することになるため、まずはBCPを策定してもらいたい。
災害拠点病院が定めているBCPでは、基本的に3日間は自力で医療を継続できることが前提となっているが、個々の病院ごとに、様々な要因により状況が違うため、この3日間という期間が十分なのか心配である。
今後、BCPを策定する病院に対して、個々の病院の様々な要因にしっかりと配慮し、きめ細かなアドバイスを行い、既にBCPを定めている病院についても、必要に応じて見直しを含めた適切なアドバイスをしてもらいたい。
【委員】
新生児マススクリーニングは、生後5日から7日の全ての赤ちゃんの足のかかとから、針で突いた程度のごく僅かな血液を採取して検査する。
知らずに放置しておくと心身の障害を引き起こす先天性代謝異常など、命に関わるような疾患を、症状が出現する以前に見つけて予防する取組の一つである。
先天性代謝異常とは、生まれつき体の中にある酵素の働きが悪いために、心身の障害を引き起こす病気のことである。
県では、平成25年2月1日からタンデムマス法を用いた検査を導入し、検査の対象となる疾患が6疾患から19疾患に拡大された。また、平成30年4月から新たに1疾患追加され、現在、20疾患が検査対象となっており、公費で実施されている。
新生児期にスクリーニング検査を行うことで、対象となる疾患の子供を生後早期に発見し、適切な治療を速やかに行うことで、健常児と同じような生活を送ることができる。
国では、成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針を、令和5年3月22日に閣議決定し、新生児へのマススクリーニング検査の実施により、先天性代謝異常等を早期に発見し、その後の治療や生活指導等につなげるなど、先天性代謝異常等への対応を推進するとしている。
新生児マススクリーニング検査の実施状況はどうか。
【理事者】
本県の新生児マススクリーニング検査は、県内の全新生児を対象として、県内の産科医療機関及び助産所で採血が実施され、検査は公益財団法人愛知県健康づくり振興事業団に委託して実施している。
令和4年度は、名古屋市を除くと3万4,045人を対象に実施しており、そのうち疾患が見つかったのは21人であった。内訳として、先天性代謝異常が3人、先天性副腎過形成症が2人、先天性甲状腺機能低下症が16人となっている。
【委員】
生まれて間もない赤ちゃんに、突然、検査で病気が見つかった場合には、家族は、治療をどうしたらよいのか、また、元気に育ってくれるだろうかなど、大きな不安を持つ。
病気が見つかった子供やその家族への対応はどうなっているか。
【理事者】
病気を診断した医療機関において、家族の不安な気持ちを受け止めながら、病気や治療について丁寧に説明することで、治療の早期開始につなげている。また、子供の成長発達を確認しながら、ライフステージに応じた生活指導も行われている。
さらに、地域での支援が必要な場合には、医療機関から県に連絡が入り、保健所において面接相談や家庭訪問等を実施し、精神的サポートや保健福祉サービスの紹介など、市町村と連携を図りながら、療育支援を行っている。
【委員】
近年、治療薬の開発等により、対象疾患の追加の必要性が指摘されていることから、令和5年度より、国において調査研究を実施し、対象疾患を追加する場合の検査、診療体制や、遺伝子カウンセリングの課題に関する対応策を得ることとしている。
こうした中、国は本年11月、実証事業として、都道府県、指定都市において、モデル的に二つの疾患を追加することを発表した。
一つは、SMA(脊髄性筋萎縮症)である。これは、脊髄の運動神経細胞の異常のため、筋力低下、歩行障害、呼吸障害を来し、人工呼吸器が必要になる人も多くいる病気である。
発生頻度は1万人に1人で、その半数は重症型である。重症型は、治療しないと乳児期に運動発達が止まり、呼吸ができなくなり死亡する病気で、数年前まで治療法のない病気であったが、早期治療が有効な薬が開発され、治療が可能な病気となった。
もう一つは、SCID(重症複合免疫不全症)といい、免疫細胞の機能不全により免疫力が低下し、出生直後から重篤な感染症を繰り返す疾患である。適切な治療を受けなければ亡くなる危険性が高い病気であるため、感染を引き起こす前に診断し、治療を開始することが重要である。
この二つを対象とするマススクリーニング検査を実施し、国の調査研究と連携、協力を行うことで、マススクリーニング検査の対象疾患の拡充に向けた検討に資するデータを収集し、その結果を踏まえ全国展開を目指す実証事業で、今年度から令和7年度までのモデル事業として、都道府県、指定都市からの手挙げ方式により、実証地域を設定することとなっている。
病気の早期発見、早期治療の必要性を考えれば、積極的に国の実証事業に参加を表明するのがよいと思うが、県としてどう考えているか。
【理事者】
このモデル事業は、脊髄性筋萎縮症と重症複合免疫不全症の早期発見、早期治療につながる意義のある検査であり、本県としては、今回の実証事業への参加について検討する必要があると考えている。
【委員】
新生児マススクリーニング事業については、早急に少子化が進行する中、子供が健やかに生まれ育つための環境整備を図る次世代育成支援対策として強力に進めることが県の責務である。
県においては、先天性代謝異常症を早期に発見し、1人でも多くの子供を救うために、新生児マススクリーニング検査で陽性と判定された赤ちゃんが速やかに精密検査を受け、最終的な確定診断がされた際には、適切な治療と助言が受けられるようサポートすることを要望するとともに、モデル実証事業に参加することを要望する。
【委員】
先日の本会議で、がんセンターの令和4年度の決算に関して討論したが、議場からも反響があった。ただ、私が述べていることは事実なので、逆に違うことがあるのであれば、否定してもらいたい。
先日、豊田市で新型コロナワクチン後遺症患者の会の主催で、名古屋大学の先生やワクチン後遺症の当事者の報告会があった。
小さな子供がいる母親の報告が印象に残っている。子供を産んだばかりだったが、新型コロナワクチン後遺症になって、右腕が動かなくなり、子供を抱き上げることもできない。家事も当然できないため、上の子供が下の子供の面倒を見ている。
現在、子宮頸がんワクチンで10年以上苦しんでる人がいるが、子宮頸がんワクチンと新型コロナワクチンの共通項は遺伝子技術を使っている点である。日本のワクチン行政がおかしくなってきたのが、子宮頸がんワクチンからである。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団などが関わっており、WHOや国際機関も、政府の拠出金だけではなく、民間の拠出金が2番目、3番目になっている。
問題は、民主的に選ばれた者ではなく、民間会社が国際的なワクチン行政を進めようとしていることである。
グローバルサウス、BRICSと言われる国やアフリカの諸国は、今回の新型コロナワクチンを拒否した。しかし、日本は拒否できない国になっている。主権はあるはずなのに、おかしいものをおかしいと政府が言えない国になっている。
先日の報告会では、CBCの大石キャスターも取材しており、メディアも潮目が変わってきている。
私が一番心配しているのは、優秀な県の職員が変なことに手を染めてほしくないということである。県民のためと思い、一生懸命に仕事をしているにもかかわらず、国や政治がおかしい中で、行政や法解釈がゆがめられ、医学も科学もゆがめられている。
先ほどの質問でも、高次機能障害、がん発生リスク、免疫低下というキーワードがあったが、何が高次機能障害になっているのか、何で免疫低下の子供たちがたくさん出てくるのかというところを考えなくてはいけない。最初は、まさかワクチンが原因と思わない。しかし、臨床などのデータが出てきたら明らかである。
元愛知県がんセンター医長の福島雅典先生は、日本人の唾液中には、免疫物質であるIgAの交差耐性により、新型コロナウイルス感染症が抑えられていたが、新型コロナワクチンを打ったために、それがシャットダウンされ、自然免疫が抑えられたから、こういうことになっているといっていた。
ワクチンを追加接種しているから、免疫が下がり感染が広がる。ワクチンを打った人がうつし合っている。厚生労働省から提示されているデータで全部明らかである。
厚生労働省もデータを出している。それを解析し、評価する人がいない。そこが、政治や自治体職員の力の見せどころである。
愛知県がんセンターは、ゲノム医療などの研究に取り組んでいるが、今回の新型コロナワクチンの中身や作用に関して、研究対象にしてもらえないか。
【理事者】
愛知県がんセンターは、がんの治療及び研究を行う総合がんセンターである。
研究所においては、がんの克服を目指した予防、診断、治療法の研究開発及び臨床との橋渡し研究を研究範囲としており、がんワクチンの研究開発は行っている。
コロナはがんではないため、研究所の研究範囲外であり、コロナワクチンに関する研究は行っていない。
【委員】
がんと関係ないと発言があったが、医師資格を持っている病院事業庁長に確認したい。私が言うことに間違いがあるなら教えてもらいたい。
新型コロナワクチンが生み出すスパイクたんぱくによる発がんへの作用、mRNAを囲んでいるリポナノパーティクルによる炎症作用による発がん、G4RNAたんぱく結合系の調整障害、Ⅰ型インターフェロン反応の障害による発がん、あとは、mRNA逆転写とゲノムの取り込みによる発がん、ほかにもDNAの混入などの話もあるが、その辺ががんにも作用していることが、データの中から出てきている。また、スパイクたんぱくには女性ホルモンであるエストロゲンの受容体活性があり、特に乳がん、子宮がん、卵巣がん、白血病、悪性リンパ腫などの増加について、疫学的にも生理学的にも否定できないと思うが、どうか。
【理事者】
質問された件は、がんの領域において広く認知されている事象ではない。私も長い間、がんを研究してきたが、委員が発言した内容は承知していない。
【委員】
承知していないからといって、存在しないわけではなく、私が言ったことが否定できるのかということである。
今回、mRNAワクチンが、数か月ほどの間で特例承認という形で、まだ治験も終わっていない状態の中で接種が進められた。
特に、接種が進んでいるXBB7回目のワクチンは、ネズミで4回、それも非臨床試験しかやっていないものである。病院事業庁長自身が、このmRNAと患者に作用する医学的知見を持っているのか。
【理事者】
私が承知しているがんの領域における常識の中に含まれていない。
様々な解析についても、同じデータを斜めに見れば、幾らでも斜めに見ることができる。きちんと正面から科学に基づいて検討した上で研究が進み、創薬開発が行われるのが医学の世界である。そういった医学の世界の常識からすると、私には理解できない。
【委員】
常識ではないことが、今起きている。先ほども添付書類についての話があったが、中長期の影響が、副作用に関しては全く分からないと厚生労働省も言っており、製薬会社も言っている。なぜ、中長期の影響は分からないのかというと、データも少ないという理由もあるが、これは遺伝子技術を使っているからである。
PMDAという機関が令和2年2月7日に出している報告書では、ゲノム編集技術特有の課題として、遺伝子改変細胞のがん化などのリスクと書いてある。
もう一つは、生殖細胞における意図しない遺伝子改変リスク、生体内ゲノム編集の技術であり、今回のmRNAワクチンは、その標的細胞以外にも作用する可能性があり、それを排除することが難しい。
そういったリスクを否定してほしいが、否定できないということは、大々的に接種すること自体が、私から言わせると医学の基本を無視している。
末期の患者で手の施しようがないから、特例薬を打つのはあり得ると思うが、健康な人に対して打つワクチンは、明確にベネフィットがリスクを上回っていないと、普通の感覚を持っている医者であれば、そもそも打てないものだと思う。
私が今言ったことも含め、新型コロナワクチンの作用について研究所の研究対象にしてもらいたい。
【理事者】
がんセンターの研究所は、がんに関する研究を行うところである。がんの予防、あるいは医療を進歩させるために研究を行っている。
新型コロナワクチンががんに明確に関わっているとの発言について、そのようなことは承知していないため、がんセンターが持っている限られたリソースをそこに割くことは考えていない。
また、委員の発言の中で、mRNAとDNAが混同している。人のゲノムは、DNAという物質を使って情報が刻まれている。DNAがmRNAに転写をされて、mRNAがタンパク質に翻訳をされて、そのタンパク質が機能する。先ほどから委員が言っているスパイクたんぱくも、そういうものの一つである。
DNA、mRNA、タンパク質という流れは一方向である。mRNAがDNA、つまりゲノムをコードしているDNA、人のDNAに組み込まれることはない。逆転写酵素は人にはない。
【委員】
限られたリソースの範囲でやるべきことがたくさんあるというのは分かるが、国民の8割以上が新型コロナワクチンを打ったことにより、免疫不全状態に陥っている現実に対して、一医療機関研究所として向き合ってほしい。
もう一つ、愛知県がんセンターが協力専門医療機関に入っていないのはなぜか。
【理事者】
新型コロナワクチン接種後の副反応等に対応する専門的な医療機関については、国の通知に基づき、県において、令和3年3月15日から医療機関の協力を経て、相談窓口を設置、運営しており、現在は11医療機関で対応している。
専門的な医療機関の選定に当たり、総合診療科や複数の分野の内科診療科を有するなど、総合的な診療ができる体制を有する医療機関が適当であることが国から示されており、県では、総合病院である10の医療機関及び小児への副反応に対応するため、あいち小児保健医療総合センターに相談窓口を設置、運営している。
【委員】
ワクチン接種で体調不良になった人を診ないのは、一医療機関として無責任である。愛知県がんセンターに関しては、令和3年度に37万人、令和4年度に関しては9万9,000人に新型コロナワクチンを接種しており、それでたくさんの黒字を出しているので、有害事象に関して向き合ってもらいたい。
もう一つ、マスクの着用に関して、医療法の応招義務がある医療機関がマスクをしていないことを理由に来院を拒否することはできない。
愛知県がんセンターとして、マスクの着用を緩和する基準を示してもらいたいがどうか。
【理事者】
愛知県がんセンターでは、がんの治療のため、免疫力の低下した患者が多くいるため、不織布マスクの着用をお願いしているが、コロナの感染状況の先行きが不透明であることから、当面、現状の対応を継続する。
【委員】
感染の先行きが不透明だからといって、いつまで続けるのか。
PCR検査をやり続ける限り、コロナ騒動は続く。感染状況が不透明だというのは、政策的にも病院運営としても、説明ができない。何か基準を示せない理由があるのであれば教えてもらいたい。
続いて、テキサス州では、企業による従業員への新型コロナワクチン接種の義務化を禁止する知事令を出している。本県では、新型コロナワクチン接種を強制するかのような医療機関や職場があった。
県民を守るためにワクチンを強制しないという条例をつくる考えはあるか。
【理事者】
新型コロナワクチンの接種は、一部の者に努力義務が課されている。
厚生労働省によると、予防接種法における努力義務は、感染症の緊急の蔓延予防の観点から接種に協力をしてもらいたいとの趣旨で、義務とは異なるとのことである。
国が作成した手引においても、ワクチンは最終的には個人の判断で接種されるものであると明記されており、条例制定の必要はないと考えている。
【委員】
本当に力強い答弁をいただいた。最初から強制でも義務でもないことなので、その部分を広報してもらいたい。
職場や病院において、同調圧力で泣く泣く打たされた人たちがいる。そういう勘違いが起きない広報、啓発にしっかり力を入れてもらいたい。
同じくテキサス州であるが、先日、司法長官が、ファイザー社が開発した新型コロナワクチンの有効性の説明に誤りがあったとして提訴したが、県は、どのように把握しているか。
【理事者】
アメリカのテキサス州の司法長官が、新型コロナワクチンの有効性について住民に誤解を与えたとして、ファイザー社を提訴したことは聞き及んでいる。
なお、新型コロナワクチンの有効性及び安全性等については、国が審査をした上で、製造、販売についての承認がなされるものであることから、国において有効かつ安全と判断されている。
【委員】
直近の接種率を見ると接種率がだんだん下がっているが、県として、接種率が下がっている理由をどのように分析しているのか。
【理事者】
新型コロナワクチンの令和5年秋開始接種における、12月3日時点の本県の12歳以上の接種率は、14.75パーセントとなっている。
本年5月8日からの令和5年春開始接種より、追加接種については、予防接種法第8条の接種勧奨及び第9条の努力義務の対象が、65歳以上の高齢者と基礎疾患を有する者等に限定されており、以前に比較して接種率は低くなっている。
【委員】
ロット番号によって有害事象の発生率が違うことについて、内容物に違いがあると考えているが、これは製造物責任法上の問題はないのか。
【理事者】
製造物責任法とは、製造物の欠陥が原因で、生命、身体または財産に損害を被った場合に、被害者が製造業者等に対して損害賠償を求めることができることを規定した法律である。
法律の対象となる製造物は、人為的な操作や処理が加えられ、引き渡された動産と規定されており、医薬品である新型コロナワクチンも対象となると思われるが、そもそも新型コロナワクチンについて、ロット番号により有効性や毒性が異なるといった情報は、現時点で承知していない。
【委員】
超過死亡に関する国の課題感について、これまで一般質問の中で2回ほど質問したが、それに対して牧野副知事ではなく、政策企画局長や感染症対策局長が答弁した。超過死亡に関して情報共有はしているのか。
【理事者】
県として、国の課題感について答える立場にはなく、情報共有も行っていない。
なお、全国における超過死亡数の算出を行っている国立感染症研究所感染症疫学センターによれば、超過死亡数とは、例年の死亡数を基に推定される死亡数と、実際の死亡数との差として定義されており、同センターにおいて、近年の状況について分析などが行われているようであるが、超過死亡の要因を明らかにするのは難しい状況にあるとのことである。また、超過死亡について、県として分析を行っている部署はない。
【委員】
この問題は、本当に大きな問題だと思っており、牧野副知事も本来ここに座っているべきである。委員会として直接本人に聞きたいと思うが、委員長に提案させてもらいたい。
【委員長】
ただいま末永けい委員から、牧野副知事に対して本委員会の出席を求めるという旨の発言があった。
副知事の委員会出席については、必要に応じ、委員会の決定によるとなっている。
牧野副知事に、本委員会の出席を求めることに賛成の委員は、挙手をお願いする。
(賛成者、挙手)
挙手少数と認め、牧野副知事の本委員会への出席要求は否決されたので、本委員会として出席は求めない。
【委員】
来年以降、WHOにおいて、IHR(国際保健規則)の改正、あるいはパンデミック条約の策定の可能性があるとのことで、現在、厚生労働省と外務省が対応している。
日本は副議長国であり、前のめりになって進めようとしているところがある。
WHOの事務局長がパンデミックであると宣言したら、各国が強制医療、強制的にワクチンを接種することができるかのようなIHRの改正案が審議されている。まともな政治家がいる国であれば、拒否すると思う。
日本が心配なのは、もう既に他の国が打っていないワクチンを、自主的に4回、5回、6回、7回と打ち進めている状況があり、このIHRやパンデミック条約が国際的に決まったら、日本だけが生真面目にやってしまうおそれがある。
これが決まったからといって、日本政府がしっかりしていればきちんと拒否することができる。条約よりも憲法、国内法が上である。だから、政治家や政府がきちんと拒否できれば、おかしな国際条約であろうと、拒否できる。しかし、今のままでは心配であるとなったときには、自治体で拒否しなくてはならないと思うが、県の見解はどうか。
【理事者】
外務省の公開情報によると、WHOは、加盟国間の議論の結果、新型コロナウイルス感染症対応の教訓を踏まえ、疾病の国際的伝播を最大限防止することを目的とした国際保健規則、ⅠHRを改正するとともに、パンデミックの予防、備え、及び対応に関するWHOの新たな法的文書、いわゆるパンデミック条約を作成するとのことである。
国際保健規則改正とパンデミック条約の作成については、令和6年5月のWHO総会での採択を目指して、加盟国間で交渉が継続中であり、国も可能な限り、必要な情報提供に努めていくとのことである。
今後、条約が締結された場合の国、県等の対応等については、現時点で情報を持ち合わせていないため、状況を注視していきたい。
【委員】
私が委員会の県内調査において、愛知県がんセンターからマスクを着用しないことを理由に視察を拒否されたが、患者全体の免疫力を考える医療に立ち返ってもらいたい。
病気は、病院や医療が治してくれると思っているが、実は、一昔前の医療は全く違い、病気は、医者ではなく、あくまでも患者の自己治癒力や免疫力が治していくものとされており、こういった原点に立ち返らなくてはならない。
自分の二酸化炭素を吸って高二酸化炭素血症になり、熱中症になるような状況で、まだマスクをすることを病院が求めてくるこの状況は、あまりにもかけ離れている。
一つの概念として、薬食同源、医食同源という考え方があり、薬膳の考え方であるが、ヒポクラテスも、食で治せない病気は医療もこれを治せない、医療もこれも治せないと食をもって薬とせよという言葉を残している。
要は、健康をつくるのは、医学よりも食べ物が優先するという、食べることと薬になるものの源は同じという考え方がある。
県議会の過去の議事録を見たが、そういう発言をした議員もおり、国会でも大臣答弁でそういったものが残っている。
もう一つは、身土不二という概念がある。
自分の体と自分の住んでいる土地を、切り離して考えることはできない。地場の食べ物を食べるということである。本来、人間が口にする食べ物というのは、四里四方の範囲の中で自分が集められるものに限られていたわけで、先ほどPFASの問題も出たが、添加物の問題・農薬の問題や殺虫剤など、要は、近くで身の回りで取れたものであれば新鮮で、そもそも添加しなくてもよい。
昔は、添加物がなくても、病気にならなかったため、そういった考え方を健康づくりに生かしていかなくてはならないが、医食同源と身土不二の考え方について何か取組ができないか。
【理事者】
本県の健康づくりに対する取組については、健康寿命の延伸を図るため、生活習慣病の発症予防等につながる野菜摂取量の増加をはじめ、バランスのよい食事を取ることに関する普及啓発などを推進している。
【委員】
統合医療は、西洋医療だけではなく、東洋医学、鍼や漢方なども組み合わせて患者の治療に当たるというものだが、海外の大学の医学部では、この統合医療が注目されており、カリキュラムがある。
ところが、日本の医学部には統合医療を掲げているところがない。統合医療の有用性について、県の今後の取組ではどのように考えているか。
【理事者】
平成24年度の厚生労働省の統合医療の在り方に関する検討会において、統合医療を近代西洋医学を前提とし、これに相補・代替療法や伝統医学等を組み合わせて、QOL、生活の質を向上させる医療であり、医師主導で行うものであって、場合により多職種が協働して行うものと位置づけている。
検討会では、取組の基本方針として、統合医療の各療法について、安全性、有効性等に関する科学的知見を収集するとともに、これらを基にして必要な情報を広く発信していくことによって、患者、国民及び医師が療法を適切に選択できるようにすることが重要であるとしている。
これを受けて、厚生労働省では、患者等が適切な情報を入手できるよう、統合医療情報発信サイトを公開しており、本県においてもホームページで紹介している。
引き続き、適切な情報提供に努めている。
【委員】
繰り返しになるが、免疫力が低下している状況では、何をやっても本当に無駄なので、県民の免疫力を上げていく政策に力点を置いてもらいたい。
香害対策について、現状の取組と今後の展望について質問したい。
衣服の柔軟剤などから出る物質が非常に問題になっており、例えば、学校給食の白衣を柔軟剤を使って洗ったりすると、子供によってはアレルギーで頭痛などの体調不良を生み出している。県も広報啓発に関しては、割と前向きに取り組んでいるが、今後の香害対策についてどのように考えているか。
【理事者】
香害を含む化学物質過敏症については、その存在を広く周知し、県民の理解を深めていくことが重要であるため、県においては、化学物質過敏症に関する一般的な内容について、生活衛生課のウェブページを活用して情報発信を行っている。
また、香害について、消費者庁、厚生労働省、文部科学省、経済産業省及び環境省の5省庁連名で、香りへの配慮に関する啓発ポスターが作成されており、厚生労働省からの依頼に基づき化学物質過敏症のウェブページ内に当該ポスターを掲載するとともに、県保健所等において掲示することで周知を図っている。
【委員】
医療的ケア児支援について質問する。
医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律、いわゆる医療的ケア児支援法の施行から2年が経過し、県内の医療的ケア児とその家族が、地域で安心して暮らせるようにするための体制整備が進められている。
医療的ケア児支援法の施行により、これまで努力義務だったものが責務となり、地方行政での支援が必要となったが、医療的ケア児への支援の中心となる市町村では、どのような支援が進められているか。
【理事者】
医療的ケア児は、地域の中核病院を退院して地域で暮らすようになり、ライフステージが進むごとに、就園や就学など様々な分野にまたがる課題を抱えることが多くある。
そのため、地域においては、医療的ケア児とその家族が安心して暮らすため、医療、保健、福祉、教育など、様々な関係機関が連携して支援する体制整備を進めることが重要である。
こうしたことから、市町村では関係機関と総合的な調整を行い、医療的ケア児を必要な支援につなげる役割を担う医療的ケア児等コーディネーターを配置している。
コーディネーターは、本年4月現在で、県内53市町村において326人が配置されており、各市町村においては、コーディネーターが医療的ケア児に伴走し、個々の状況に応じた必要な支援が提供される体制の整備が進められている。
【委員】
先日、民間の医療法人が経営している医療的ケア児等支援センターに行った。そこでは、コーディネーターの養成と連携体制を築くために研修を開催しており、また全国の地方自治体の受入れ体制の整備にも力を入れていた。
市町村では医療的ケア児等コーディネーターが調整役となり、本人と家族の生活を支えるとのことであるが、県はこうした取組に対してどう関わっているのか。
【理事者】
本県では、医療的ケア児支援法に基づき、昨年度、県内全域を7か所の医療的ケア児支援センターによって支援する体制整備を行った。
センターでは、どこに相談すればいいか分からないという家族からの相談対応や、コーディネーター等、地域の支援者からの解決が難しい事例についての相談対応を行っている。
このほか、地域の保育所などの関係機関に対する研修、障害福祉サービス事業者をはじめとする社会資源等の情報の収集及び発信、そして、地域において在宅生活を支えていくための関係機関による連携体制づくりを行っている。
また、本県では、コーディネーターを養成するための研修や、現任のコーディネーターに向けた知識、技能の向上を図るためのフォローアップ研修を開催し、地域で支援を担う人材の育成に取り組んでおり、こうした取組により、地域の支援体制整備を後押ししている。
【委員】
県では、愛知県医療療育総合センターが充実しており、医療的ケア児の対応や受入れはしっかり行われているが、各市町村や関係機関との連携がさらに進むために、県として重点的に取り組んでいることはあるか。
【理事者】
医療的ケア児を必要な支援につなげるためには、市町村が配置するコーディネーターを中心としたネットワークづくりが重要である。
そのため、県として、地域で暮らす医療的ケア児を市町村が漏れなく把握し、コーディネーターを通じて、着実に支援につながる仕組みづくりに取り組んでいる。
具体的には、今年度に7か所の医療的ケア児支援センターが、新生児集中治療室等のある地域の中核病院を訪問し、各病院から退院する医療的ケア児に関する情報を市町村に提供するよう依頼している。
情報提供を受けた市町村においては、医療的ケア児の退院先を事前に把握し、速やかに適切なコーディネーターを選任することにより、コーディネーターが中心となって地域の関係機関と連携しながら、病院を退院するときから必要なサービスにつなぐ体制づくりを行っている。
こうした取組により、医療的ケア児に市町村のコーディネーターが寄り添い、必要な支援につなげていく体制をさらに推進する。
【委員】
コーディネーター中心のネットワークをしっかりつないで、新生児集中治療室のある病院と一緒に連携し、情報が共有されて、市町村のコーディネーターをしっかり立てていくこと、また、お互いに情報共有していくことは大事である。
医療的ケア児を受け入れている民間の医療法人では、相談が全国から入ってくるとのことで、電話、リモート、メールなどで対応している。
実際に、グーグルワークスペースからスプレッドシート、エクセル形式で職員が作成し、相談対応記録や相談対応報告書などを一覧表にしている。
行政とも定期的にミーティングを行い、全体のレベルアップを目指していると聞き、医師やスタッフの皆様の熱意が伝わってきた。
訪問時には、支援センターの室内で運動会が開催されており、医療的ケア児が音楽に合わせて踊る、駆けっこをするなど、家族も一緒に楽しんでいた。
特に、基本理念第3条の2に、医療的ケア児及びその家族に対する支援は、医療的ケア児が医療的ケア児でない児童と共に教育を受けられるよう最大限に配慮しつつ、関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に、切れ目なく行わなければならないとある。
これもインクルーシブ教育への一歩につながると思う。地域によっては、まだまだ温度差があるとも聞いている。
この法律は、施行後3年を目途として、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ずるとされている。
県が市町村にしっかりと呼びかけ、安心して受け入れることができる体制が整備されることを要望する。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年12月11日(月) 午後0時59分~
会 場 第1委員会室
出 席 者
神谷和利、小木曽史人 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、政木りか、中村貴文、浦野隼次、
森井元志、細井真司、江原史朗、木藤俊郎、末永けい 各委員
福祉局長、福祉部長、介護推進監、子ども家庭推進監、
保健医療局長、同技監、健康医務部長、生活衛生部長兼生活衛生課長、
感染症対策局長、同技監、感染症対策調整監兼感染症対策課長、
病院事業庁長、病院事業次長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第118号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第5号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第4款 福祉医療費
第119号 令和5年度愛知県国民健康保険事業特別会計補正予算
(第1号)
第123号 令和5年度愛知県県立病院事業会計補正予算(第1号)
第153号 愛知こどもの国の指定管理者の指定について
第154号 海南こどもの国の指定管理者の指定について
第155号 愛知県青い鳥医療療育センターの指定管理者の指定に
ついて
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第118号、第119号、第123号及び第153号から第155号まで
○ 請 願
第 21 号 「小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への
合理的配慮」について(医療関係)
第 25 号 「愛知県内における超過死亡数の原因追及」について
第 26 号 「新型コロナワクチン接種後の国の健康被害救済申請及び
県の副反応等見舞金の申請状況についてのホームページ等
での開示」について
第 27 号 「予防接種健康被害救済制度周知」について
第 28 号 「コロナワクチン接種に注意が必要な人に関する周知」に
ついて
第 29 号 「新型コロナワクチン接種記録保存期間延長」について
第 30 号 「コロナワクチンのロット番号ごとの被害調査」について
第 37 号 「予防接種健康被害救済制度周知」について
第 38 号 「コロナワクチン接種に注意が必要な人に関する周知」に
ついて
第 39 号 「保育・学童保育施策の拡充と75年ぶりの保育士配置基準
改善を求める」について
(結 果)
賛成少数をもって不採択とすべきものと決した請願
第21号、第25号から第30号まで及び第37号から第39号まで
○ 閉会中継続調査申出案件
1 社会福祉及び社会保障制度の充実について
2 少子化対策及び超高齢社会への対応について
3 保健衛生の推進について
4 保健所及び県立病院の運営について
5 福祉局、保健医療局及び病院事業庁の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 理事に関する申合せの変更
3 口頭陳述(3件 請願第28号及び第29号並びに請願第39号関係)
4 議案審査(6件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
5 請願審査(10件)
6 委員長報告の決定
7 一般質問
8 休 憩(午後2時47分)
9 再 開(午後2時54分)
10 閉会中継続調査申出案件の決定
11 閉 会
(主な質疑)
《請願関係》
【委員】
請願第21号について、請願書の下段にあるとおり、診断書が出せるように各病院に通達を出すこととあるが、先ほど香川かなめ氏から陳述があったように、予防接種健康被害救済制度を申請するに当たり、新型コロナワクチン接種との因果関係を疑わない医者がいまだにたくさんいる。
本人、家族、学校の理解がないなどの理由で、申請が出せるまでに1、2年の期間がかかり、認定を受けるのは、もっと先の状態になっている。教育委員会にも話をしているが、今年の5月以降、新型コロナワクチン接種後の体調不良が欠席扱いになることもあり、請願の趣旨と内容は妥当なもので、政策的に進めていく必要があり、賛成する。
請願第25号について、既に本会議で発言しているように、新型コロナワクチン接種が始まってから40万人に迫る超過死亡が発生している。新型コロナワクチン接種以外の原因があるなら、ぜひ示してもらいたい。簡単に統計的に分かることではあるが、国は答弁を避けており、感染研所長も、ユーチューバーに指摘されて意見を変えてしまうなど、政治的に非常にうやむやにされている。武見敬三厚生労働大臣も、各自治体で死亡者の大量発生の調査をして、国で取りまとめたいという趣旨の発言を報道記者クラブでしている。
牧野副知事が統計総務情報室長であったため、県として全国に先駆けて調査してもらいたい。これは、自治体の責務だ。愛知県の人口にも関わり、全ての政策に関わる話でもある。
請願第26号について、予防接種健康被害救済申請及び副反応疑い報告は、それぞれ何件の提出があったのか。また、報道機関には情報提供していると聞いているが、県民に公表していないのはなぜか。
【理事】
令和5年11月末時点で、本県における新型コロナワクチンに係るものについて、予防接種健康被害救済申請は548件、副反応疑い報告は2,295件となっている。
昨年4月に創設した県独自の制度である副反応等見舞金の申請状況と併せて、国の健康被害救済申請状況については、毎月1回、知事会見の場などを活用して情報提供しており、本年10月以降は、令和5年秋開始接種を契機として、県のホームページにおいても、それらの申請件数等について掲載を開始している。
【委員】
請願第27号について、医師は、自らが打ったワクチンと健康被害の因果関係を認めたくないという心理的なバイアスが働くなど、そもそも因果関係はないと言い張る者も多数いる。
また、申請様式の書き方が分からないという話もあり、他県では、記載マニュアルをホームページで公表している。
県でも、医療機関向け、県民向けにそれぞれ周知をもっとやっていく必要がある。本来であれば、国の予防接種健康被害救済制度は、もっと申請されていかなくてはならない。
主に医療機関が出す副反応疑い報告と健康被害救済制度の申請件数に大きな差がある。健康被害救済制度の申請は、患者側としては大変ハードルが高いものであるため、国の健康被害救済制度の申請がもっとなされれば、数のインパクトでメディアも取り上げ、国会の議論も前に進む。自治体で、ボトムアップで推進していってほしい。
請願第28号に関して、禁忌や慎重投与等について、新型コロナワクチンの添付文書にはどのように記載されているのか。
【理事】
新型コロナワクチンの添付文書については、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のホームページにおいて公表されているが、現在、使用されているコミナティRTU筋注の添付文書を例にすると、禁忌や慎重投与等は接種不適当者及び接種要注意者として記載されている。
なお、接種不適当者としては、明らかな発熱を呈している者や、本剤の成分に対し、重度の過敏症の既往歴のある者などが示されており、接種要注意者としては、心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者などが示されている。
【委員】
私も添付文書は読んでいるが、基礎疾患を有する者は、禁忌や慎重投与となっている。メディアや政治家が言ってきた、基礎疾患を有する者や高齢者から接種すべきということと真逆である。これをどう考えるかということだ。
添付文書の中にある内容をホームページで公表すべきである。新型コロナワクチン接種の推進よりも、このことを公表していく必要がある。
XBBワクチンについて、7回目のワクチンが65歳以上の者と基礎疾患を有する者が積極勧奨になっているが、添付文書の内容と真逆のことをやっている。これは、とんでもない嘘である。
請願第29号について、先ほどの陳述にあったように、これから裁判が増えていく。蒲郡市、豊川市、愛西市では既に訴訟が提起されている。子宮頸がんワクチンの訴訟は、平成28年に始まり、今年で7年目であるが、まだ折り返しである。
ワクチンの接種記録などの証拠を保全しなければならない。今の行政文書の基準は、数年間となっており、これを10年、20年に期間を延長していく必要がある。自治体によっては延長しているところもあり、県や市町村もやってもらいたいと思うため、賛成である。
請願第30号について、ロット番号によって重症化率、ワクチンの後遺症、致死率が違うことが、国から出ている情報で分かってきている。
PL法上も非常に問題がある。今、死のロットと言われているGJ7139などを打った者は、死亡率が高いなどの共通点がある。自治体としても、きちんとロット番号ごとに被害を調査していく必要がある。
請願書にあるGJ7139のロット番号のワクチンを接種したことにより死亡した者の県内の年齢別の数は把握しているか。
【理事】
新型コロナワクチンに係るロット番号を含めた予防接種に関する記録は、予防接種の実施主体である市町村において作成、保存されているため、県では把握していない。
【委員】
県でも責任を持って集計する必要がある。
国の予防接種健康被害救済制度について、副反応疑い報告と健康被害救済制度申請で、副反応疑い報告において重症もしくは死亡とされたもののうち、健康被害救済制度申請が提示されていないケースは県内でどれだけあるのか。
【理事】
令和5年11月末時点で、本県分の副反応疑い報告において重症として報告された件数は488件、そのうち死亡報告は61件となっている。
一方、11月末時点の予防接種健康被害救済申請に係る県での受理件数は548件となっているが、副反応疑い報告の対象者に関する救済申請の有無については、制度の実施主体である国で管理しており、県では把握していない。
《一般質問》
【委員】
障害者向けグループホームにおける食材料費の取扱いについて、先週までに、株式会社恵における食材料費の過大徴収のほか、各種の問題に関して報道されている。
同社に対する監査については、現在、国や県において監査が継続しており、先日の知事会見でも、来年2月を目途に行政処分などを検討し、決定していきたいとの発言があったことから、状況は大詰めを迎えている。
今後の監査の継続、そして、どのような結果、処分が出るのか注視をしていきたい。
本年11月22日に発表された調査結果では、県内767か所のグループホームのうち707か所から回答があり、食材料費を精算していないと回答した391か所のうち、職員の人件費に流用している事業所が40か所、光熱費や日用品に流用している事業所が99か所であった。
回答のあった事業所のうち、食材料費として徴収した費用を別の目的に流用している事業所が約2割あったことになるが、この点について、県としてはどのように考えているか。
【理事者】
今回の調査は、前例のないものであったことから、グループホーム側も回答に苦慮した様子が見受けられた。
実際に、食材料費について精算していると回答しながら、別の項目では、他の費用に流用していると回答している例や、人件費に流用しているという回答のあった40か所の中にも、過去の食材料費の徴収額と実費を回答する項目では、実費が徴収額を上回り赤字が生じ、事業所側がその赤字を補填しているとも考えられる記載があり、回答の内容に矛盾が生じている例もあった。
また、光熱水費等への流用は基本的には望ましくないが、流用について利用者への説明が適切に行われ、同意の上で流用している場合には不適切とまでは判断できない。
以上の状況であるため、現時点では、人件費や光熱水費等に流用したと回答した事業者が、全て不適切な取扱いを行っていたと県が判断したわけではなく、事業者による自主点検調査の結果、2割程度の事業所について、さらに確認が必要な状況である。
【委員】
県の調査はあくまで事業者による自己申告を集計したものであり、人件費に流用したと回答した40か所や、光熱水費などに流用したと回答した99か所の事業者が、全て不適切だったと決まったわけではないことは理解した。
一方で、一連の報道もあり、グループホームの利用者や家族の不安は高まっていると思われる。
利用者保護の観点から、グループホームにおける徴収金の実態について、さらに透明性を高めて明らかにしていく必要があると考えるが、今回の実態調査の結果を踏まえて、県として今後、事業所に対してどのように指導していくのか。
【理事者】
まず、今回の調査で回答に矛盾や疑義のある事業所に対し、電話による聞き取りなどを行い、取扱いの実情を把握する。
その上で、人件費に流用している事業所に対しては、書面調査の追加実施や必要に応じて実地調査を行い、過大徴収が認められれば、利用者への返還などを指導していく。
また、光熱水費等に流用している事業所に対しては、流用に際して必要な利用者への説明と同意が適切に行われているかについて書面で報告を求める。
なお、グループホームに限らず、障害福祉サービス事業所に対しては、年に1回、集団指導という形で運営上の留意点などを説明する場を設けているため、そのような場を活用し、徴収費用についての適切な取扱いの周知徹底を図る。
また、事業所に対する実地調査の際にも、利用者から徴収する費用が適切に取り扱われているか確認する。
【委員】
新聞報道等で、利用者や家族の不安は高まっているので、ぜひとも利用者や家族に影響が出ないよう配慮するとともに、まだ回答が返ってきていない事業所もあるので、しっかりと追跡調査をするよう要望する。
続いて、ユニット型特別養護老人ホームの勤務体制について質問する。
ユニット型特別養護老人ホームは、10人程度の小人数グループを生活単位として区分けした特別養護老人ホームで、平成15年に制度化された。
ユニット型特別養護老人ホームの職員配置については、ユニットごとに職員を固定して配置するよう、県から求められていると介護施設の人から聞いたが、なぜ県では、ユニット型特別養護老人ホームにおいて、ユニットごとに介護職員を固定配置するよう指導しているのか。
【理事者】
ユニット型特別養護老人ホームは、これまでの従来型の特別養護老人ホームが、フロアを単位とした集団的、画一的なケアになりがちなことに対し、10人程度の小人数のユニット単位としており、個別的でより質の高い介護を目指すためのものである。
そのため、介護職員がユニットの入居者一人一人の個性や生活リズムなどを具体的に把握し、入居者と職員との間でのいわゆる馴染みの関係を構築することが必要であるため、ユニットごとでの介護職員の固定配置を求めている。
【委員】
国の基準では、ユニットごとの職員固定までは定めていないと理解しており、ユニットを固定しなくても、馴染みの関係を構築するのは十分に可能である。
こうした指導は、愛知県のローカルルールだと聞いたが、県の指導は何に基づくものなのか。
【理事者】
国の基準省令では、ユニット型特別養護老人ホームの勤務体制について、職員のユニットごとの固定配置は明示されていないが、継続性を重視したサービス提供に配慮することが求められている。
継続性の重視について、国は基準省令の解釈通知で、施設入居前と入居後の生活が連続したものとなるよう、入居者の個性、心身の状況、生活歴などを具体的に把握した上で、適切に援助をするためには、いわゆるなじみの関係が求められると示しており、Q&Aにおいても、ユニット型特別養護老人ホームにおいて、直接処遇職員のローテーションは、基本的に当該ユニット内で固定されていることが望ましいとされている。
【委員】
現場の声として、研修や病欠等で長期休養が必要となるなど不測の事態が起こった場合、他のユニットの職員が対応しなければならず、固定配置では弾力的な対応が困難であると聞いた。
施設の運営に当たり、実際にはどういった基準で職員配置が運用されているのか。
【理事者】
職員配置の運用は、ユニットごとに担当する職員を固定配置することを原則とし、研修や病気による急な欠勤などやむを得ない場合は、他のユニットでの勤務を認めている。
また、夜間は、2ユニットで1人以上の職員配置となっており、対となるユニット同士で他方のユニットの入居者と関係性を構築するため、計画的に他のユニットでの勤務も可能としている。
【委員】
介護職員に求める考え方や一定の柔軟性を持った運用をしていることは理解をしたが、職員をユニット固定するには、多くの職員の確保が必要だと聞いている。
しかし、現在の介護業界は、人手不足や仕事内容の厳しさ、働き方改革に伴い、有給休暇を取得することがほかの介護士の負担増につながるなど、介護士の離職率が課題である現状では逆効果になりかねないと思う。現場で働く介護士が仕事と家庭を両立できるワーク・ライフ・バランスを実現するために、なじみの関係の構築という目的は維持しつつ、現場の施設の現状にも目を向け、適切な基準で運用されるよう要望する。
【委員】
保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業について質問する。
現在、国は、保育所や幼稚園に通っていない0歳から5歳までの子供について、定員に空きがある保育所で週に1、2回程度受け入れるモデル事業を、計50施設で実施し、課題を洗い出しているが、モデル事業とは具体的にどのようなものか。
【理事者】
現行の制度では、保育所等の利用は、就労等、保育の必要性のある者に限られており、保育所等に通っていない子供は、0歳から2歳児の約6割を占めている。
こうした子育て家庭は、孤立した育児の中で不安や悩みを抱えているとされており、保育所等に対しては、就労等にとらわれない、幅広い支援の強化が求められている。
こうしたことから、今年度、国においては、定員に空きのある保育所等において、日頃、保育所等を利用していない未就園児を定期的に預かるモデル事業を実施している。
具体的には、定員に空きがある保育所等において、地域の未就園児に対し、継続して週に1日から2日程度の定期的な預かりを実施するとともに、保護者に対しては、保育士等が面談を実施し、助言を行っている。
特に、養育の支援が必要な子育て家庭に対しては、関係機関とも連携し、保育所等の強みを生かした支援について効果を検証するものである。
保育所等には、地域における子育て家庭が抱える様々なニーズを把握し、保育、子育て支援を提供する体制を構築することが期待されており、令和6年度からは、国は本モデル事業をさらに拡充させ、就労要件を問わずに保育所等を利用できる、こども誰でも通園制度の本格実施を見据えた試行的事業を実施する。
【委員】
県内における本モデル事業の実施状況、現状の課題について、県としてはどのように考えているか。
【理事者】
今年度は名古屋市と大府市がモデル事業を実施している。
本年10月に両市が国へ提出した中間報告によると、両市とも市内の1施設において、特に支援が必要な要支援家庭の1、2歳児の1人から5人を週2回、1日7時間から10時間程度預かるほか、保護者との面談を月に1回実施している。
本モデル事業の実施により、子供が保育所内での遊び等を通じて言葉を覚えるとともに、やりたいことを保育士と共に取り組める環境が子供の成長によい影響を与え、また、保育士等が保護者と定期的に面談、相談を行うことで、保護者が子育ての見通しを持つよい機会になったとのことであった。
一方、課題としては、市が要支援家庭の保護者に本事業の利用を勧めても、保護者が子供と離れることに抵抗感を感じ、利用しない、利用していても、面談を望まない保護者がいることなど、フォローが十分に進まないことや、保育現場の人材のみで要支援家庭を支えることの困難さなどが挙げられている。
【委員】
子育て世帯の育児軽減を狙いとして、親の就労要件を問わず、誰でも時間単位で保育所を利用できるようにする制度への期待は高いため、国の議論を踏まえつつ、県として積極的に推進してもらいたい。また、本格的な実施となれば、施設のキャパシティーや保育士の確保が必要になることから、その点についても要望する。
【委員】
高次脳機能障害の支援と就労継続支援B型事業所の工賃向上のための県の取組について質問する。
本年11月25日開催のあいち高次脳機能障害支援フォーラムに参加し、高次脳機能障害の障害特性をはじめ、障害者を取り巻く厳しい現状、そして、支援の在り方や課題解決策等について学ばせてもらった。
高次脳機能障害は、脳卒中や交通事故などにより、脳にダメージを受けることで生じる様々な障害であり、外見からは分かりにくく、本人も自覚が難しいため、見えない障害とも言われている。症状は人によって様々であり、言ったことをすぐ忘れたり、すぐ怒ったり、暴れたり、場所や時間が分からないなどがある。
また、医療機関での治療は終わり、元の生活に戻った後も、本人の行動が周囲の理解を得られず、地域や家庭で様々なトラブルが生じて苦しんでいる。
本人や支援者である家族等の苦労や、支援の必要性等について共感し、今後、様々な支援が必要である。
そこで、県が実施している高次脳機能障害のある人への支援について質問する。
現在、県においては、高次脳機能障害支援に関する中心的な機能を持つ専門的な相談窓口として、高次脳機能障害支援拠点機関を設置し、当事者や支援機関などからの相談に応じている。
平成30年6月定例議会におけるますだ裕二議員の一般質問に対して、支援拠点機関における相談件数は年々増加傾向であり、平成29年度は年間約4,000件との答弁があったが、その後の高次脳機能障害に係る相談件数について、直近3年間の実績はどのようになっているか。
【理事者】
高次脳機能障害支援拠点機関において受け付けた対面や電話、訪問による直近3年間の相談件数は、2020年度は3,682件、2021年度は3,897件、2022年度は3,822件となっている。
【委員】
県では、支援を必要とする高次脳機能障害者の社会復帰のため、相談支援や地域の関係機関と調整等を行う支援コーディネーターを配置し、こうした相談に対応しているが、年間4,000件弱の相談を対応するために配置されているコーディネーターの人数と、その活動内容はどのようになっているのか。
【理事者】
コーディネーターの人数については、平成30年度までは3人、令和元年度に支援拠点を1か所から2か所に増設し、1人を増員したことから、直近3年間では4人となっている。
コーディネーターの活動内容については、大きく二つあり、一つは、高次脳機能障害者や家族に対する相談支援業務、もう一つは、地域の関係機関との連絡調整、いわゆるコーディネート業務である。
【委員】
今の答弁で、コーディネーターは1人当たり年間約1,000件弱の相談に対応しながら、サービスのコーディネートも行っているなど多忙な現状が分かったが、このような状況で、コーディネーターが役割を十分に果たしていけるか危惧される。
家族の会や支援関係者からの話では、診療や治療を行う地域の医療機関と、障害福祉サービス提供事業者の連携にはまだ不十分な部分があり、脳卒中などで入院された方が退院して自宅での生活に戻る際などには、本人や家族はどのようなサービスが利用できるかも分からず、苦労していると聞いた。
このような場面で、本人や家族が必要なサービスにつながることができるよう、コーディネート機能が必要になるが、コーディネーターによるコーディネート機能のさらなる充実に向けて、県としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
コーディネーターは、県が設置する支援拠点で専門的な相談に応じ、地域の関係機関のコーディネートを行うのが本来の役割であるが、設置された平成18年には、地域において高次脳機能障害に関する相談に対応できる人材が少なく、一般的な相談にも対応せざるを得ない状態であった。
このため、県では、令和2年度から毎年、市町村単位で設置されている基幹相談支援センターの職員を対象とした研修会を開催し、地域の相談機能を担う人材育成に努めてきた。
一般的な相談は地域で、専門的な相談は県の支援機関でという役割分担が進めば、その分、コーディネーターの相談支援業務における負担は軽減され、コーディネート業務に力を注ぐことが可能になると考えている。
また、今年度からは新たに医療と福祉の一体的な支援を普及、定着させるため、新たな事業に着手している。
この事業では、高次脳機能障害に対応可能な地域の医療機関や相談支援事業所等のマップを作成するほか、支援拠点の職員が医療機関や障害福祉サービス事業所等を訪問し、相談支援に関するアドバイスを行うなど、地域の支援機関のネットワーク化を目指している。
こうした取組を進めることにより、現在のコーディネーターが担っているコーディネート機能の一部を地域の支援機関が担う体制を整備していきたい。
県としては、相談業務における地域との役割分担と支援機関のネットワーク化を進めることにより、コーディネーターによるコーディネート機能のさらなる充実に努める。
【委員】
高次脳機能障害のある者をはじめ、障害のある者が地域で自立した生活を送るためには、就労支援が大変重要である。
一般就労が困難である障害者が、就労に必要な知識や技能を身につけるための障害福祉サービスの一つとして、就労継続支援B型があるが、B型事業所を利用する障害者が地域で自立した生活をしていくには、工賃が大きく影響する。
しかし、令和3年度のB型事業所の全国平均工賃は月額1万6,507円、本県でも月額1万7,653円となっており、この金額では自立には程遠いと言わざるを得ない。
就労継続支援B型事業所の工賃向上に向けて、本県としてはどのような取組を行っているのか。
【理事者】
本県では、就労継続支援B型事業所などの工賃向上に向けて、愛知県工賃向上計画を策定し、各種の取組を進めている。
例えば、工賃向上推進事業として、B型事業所等に対して、経営コンサルタントがオンラインで個別に面接を行い、各事業者の状況に応じて、生産性の向上や販路拡大などについてアドバイスを行うほか、研修を開催している。
農福連携工賃向上推進事業においては、農業に取り組む事業所等に対してアドバイザーを派遣し、農業技術に関する指導や、農産物をつくるだけではなく、加工、販売まで取り組み、新たな付加価値を生み出す6次産業化に向けた助言等を行っている。
また、農福連携マルシェとして、事業所が作った無農薬野菜や加工品の販売会を開催し、農福連携の取組の周知と販路拡大を図っている。
さらに、企業が発注する物品を障害福祉サービス事業所が受注し、事業所に振り分ける共同受注窓口を設置するとともに、販路拡大と新規受注開拓のため、コーディネーター4人を配置し、企業への営業活動を行っている。
【委員】
就労継続支援B型事業所の工賃を向上させていくためには、事業所の受注を増やし、収益を増やしていく必要がある。事業所の収益が増えれば、そこで働く利用者に労働の対価として相応の工賃が支払われることになる。
この件に関して、令和4年3月に、ますだ裕二議員が福祉医療委員会において質問した際、県からは、県が業務委託に係る企画コンペを実施する際に、評価項目に障害者就労施設等から調達実績の有無を追加し、障害福祉サービス事業所等に仕事を発注している企業を高く評価するよう、福祉局内の各課に働きかけを行っているとの答弁があり、ますだ議員からは、県庁を挙げて障害福祉サービス事業所に仕事を依頼する事業者に対してインセンティブを付けてもらえるよう、福祉局から他の部局に働きかけてもらいたいとの要望があった。
これまで福祉局から他の部局へ働きかけを行ってきたのか。また、現在、障害福祉サービス事業所等に仕事を依頼した事業者に、インセンティブをつける取組はどうなっているのか。
【理事者】
障害者就労施設等からの調達実績を評価する取組については、全庁的な取組となるよう、会計局に対し、働きかけを行ってきた。
その結果、企画競争入札等において、事業者の社会的価値の実現に資する取組を評価する項目の見直しが行われ、今年度から障害者就労施設等からの調達実績が評価項目として追加されている。
【委員】
今年度の入札時に、この項目で評価された入札参加者は何社あったのか。
【理事者】
本年4月から9月までの半年間の実績となるが、入札参加者のうち、障害者就労施設等からの調達実績により評価されたのは、県全体で延べ38社ある。
【委員】
仕事を受ける障害福祉サービス事業所等と、仕事を発注する企業の両方にメリットがある取組であるため、障害福祉サービス事業所等に仕事を発注する企業が増えていくよう、今後もしっかりと取組を進めてもらいたい。
【委員】
PFAS(有機フッ素化合物)について質問する。
本年11月30日に、国際がん研究機関がPFOA(ペルフルオロオクタン酸)、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)ともに発がん性リスクを引き上げた。
PFASについては、6月定例議会の環境委員会において、高木ひろし議員が環境分野から質問したが、今回は、発がん性リスクということで、県民の健康に直結する問題であり、大変憂慮すべきである。
今回の引上げによって、PFOAは4段階ある分類のうち最も高い、「発がん性がある」に2段階引上げ、PFOSについては、上から3番目の、「発がん性がある可能性がある」に初めて位置づけられた。今回の評価引上げを受け、伊藤信太郎環境大臣から、12月5日の会見において、国民の不安が高まらないよう、モニタリングの強化や飲用防止の徹底などの対策を着実に進めていきたいとの発言があった。
現在、日本では、環境省が水質の要監視項目として、PFOA、PFOSを足して50ナノグラムパーリットルという基準が暫定で設けられているが、この基準について、専門家会議で議論が進められており、今後、環境基準項目に位置づけられることも考えられる。
近年、日本各地において、水道水の原水等からPFOSやPFOA等の有機フッ素化合物が検出される事例が報告されているが、県内の検出状況はどのような状況か。
【理事者】
県内水道事業者のうち、北名古屋水道企業団と春日井市の2事業者において、水質管理目標設定項目の暫定目標値を超えた事例があった。
北名古屋水道企業団では、豊山配水場において、令和2年度から令和3年度にかけて、水道水の原水である地下水で超過し、うち令和2年度においては、浄水でも超過していた。
また、師勝配水場において、令和3年度から令和5年度まで地下水で超過したが、浄水では下回っていた。
春日井市では、町屋第3水源及び第6水源において、令和4年度に地下水で超過したが、浄水では下回っていた。なお、令和5年度は、これまでのところ浄水における超過はない。
【委員】
豊山町及び春日井市では、過去に見られたとのことであるが、令和2年度の環境省の調査結果を見ると、新堀川日ノ出橋付近などでは、基準値の2倍となるPFOA、PFOSが検出されている。
PFOSは、半導体用反射防止剤や金属メッキ処理剤、また、豊山町の方の原因ではないかと言われている泡の消化剤など、さらに、PFOAについては、フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤などに主に使われてきた。現在は製造も輸入されていないが、どれも私たちの身近なところで使われていることに加えて、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という特性を持っているため、県内どこで検出されてもおかしくない問題である。
水道水からPFOA、PFOSが検出された場合、県及び水道事業者はどのように対処するのか。
【理事者】
北名古屋水道企業団の豊山配水場において、浄水から暫定目標値を超えて検出された事例については、北名古屋水道企業団が豊山配水場で処理する水の使用を停止し、県営水道からの受水を増量して対応した。
また、県としては、豊山配水場の周辺地域における19の井戸利用者に対し、周知及び井戸水の飲用を控えるよう注意喚起を行った。
【委員】
検出された場合は、即時に水源の使用を中止するとのことであるが、大切なのは、計画的な水質検査によって早期に見つけ出すことである。
これまで空港周辺や過去にPFASを使用していた工場付近の限定的な問題と考えていたが、今回の発がん性リスクの引上げに伴って、県民の関心も大変高くなっている。
県民が安心して水道水を利用するためには、水道事業者がPFOA、PFOS検査を適切に実施することが必要と考えるが、水道事業者のPFOS、PFOA検査の実施状況はどうか。
【理事者】
水道事業者のPFOS、PFOAの水質検査の実施状況については、本年10月に県内14の県知事認可水道事業者に確認を行った。その結果、検査実施済みが2事業者であり、いずれも暫定目標値以下であった。
また、8事業者は、今後、実施予定であり、残りの4事業者は、井戸などの自己水源を持たず、県営水道から全量を受水している事業者であり、暫定目標値を超えていないことを確認した。
【委員】
来年度中には、知事認可の14水道事業者について、PFOA、PFOSの水質検査が行われると理解したが、清須市以外の知事認可の上水道事業者については、水質検査計画は未策定ということか。
【理事者】
水質検査計画は、各水道事業者が毎年度策定する。
現時点において、PFOS、PFOAの検査項目を含んだ水質検査計画を策定している知事認可の水道事業者は1事業者のみである。
【委員】
県民の不安を払拭するためには、しっかりとした水質検査を行うことが必要である。その上で、定期的な水質検査を行うためにも、まずは、水質検査計画を策定するよう、県から働きかけてもらいたい。
参考までに、アメリカでは、本年3月に、所管である米国環境保護局が、PFOS、PFOAの基準値について、いずれも飲料水1リットル当たり4ナノグラムにするという案を公表し、さらには類似物質にまで広げて規制するという方向で、現在、議論が進んでいる。
我が国では、暫定基準値で、PFOS、PFOA合わせて50ナノグラムが基準値として設定されているが、米国の案と比較すると6倍以上の開きがある。
飲用水の問題であり、体に蓄積する特性を持っているため、県においても、国基準を満たすからよしということではない。
米国や欧州の動向も視野に入れつつ、PFOS、PFOAの基準策定や各水道事業者への働きかけについては、迅速かつ丁寧な対処をしてもらいたい。
【委員】
子供の睡眠について質問する。
子育て世代において、働く母親が増えたことにより、預かり保育などの利用者が増えているが、子供へのしわ寄せが顕著に見受けられる。
子育てしながら家事をこなすためには、フルタイムで働いて、頑張って夕方6時に子供を迎えに行き、夕食の買物や用事を済ませて帰宅し、夕飯を済ませて入浴をさせて寝かしつける、そういう生活パターンの人が増えている中、子供の睡眠不足について県としてどのくらい把握しているか。また、子供の睡眠時間の確保が難しくなっている点についてどのように考えているか。
【理事者】
子供にとっての睡眠は、心身の休養と脳と体を成長させる働きがあり、非常に大切である。そのため、子供の年齢に応じた適切な睡眠時間を確保することは、子供の心と体の健康にとって大変重要である。
【委員】
子供の成長過程において、よい睡眠を取ることや睡眠時間の確保は、健全な成長のために大変重要であるが、働く母親が増えたことにより就寝時間が遅くなっている。
特に、兄弟がいる家庭では、上の子の習い事や塾の送り迎えで、どうしても遅くなってしまう。また、朝は、遅くても7時には子供を起こし、園や学校に送り出さなくてはいけないと考えると、睡眠時間は短くなっていく一方だと思う。
睡眠不足が続くと、将来的にどういった懸念があるか、子供の睡眠に関する啓発が重要であると考えるが、県における現在の取組と今後に向けた対応はどのようなものがあるか。
【理事者】
子供の睡眠については、市町村が実施する3歳児健康診査など様々な機会を通じ、適切な睡眠習慣の確立について啓発をしている。
現在、国において、平成26年に策定された健康づくりのための睡眠指針の改訂が進められている。
この改訂案では、3歳児から5歳児の睡眠は10時間から13時間が望ましいとされている。また、子供の睡眠習慣は親の睡眠習慣に影響されやすいことから、家族ぐるみで早寝早起きを目指すことが推奨されている。
県としては、国の改訂内容を踏まえ、子供にとって望ましい睡眠習慣について、市町村等を通じ、県民へ周知したい。
【委員】
13時間睡眠を取ろうと思うと、朝7時に起床し、夕方6時には寝なくてはいけない。これは高いハードルではないか。
睡眠不足になると、怒りやすくなったり、ぐずったり、動きが遅くなるといった学校現場からの相談もあるので、未就学児などの健康について、しっかりと啓発を行ってもらいたい。
【委員】
本県における災害拠点病院のBCPの策定状況は、現在、どの程度進んでいるか。また、県の地域保健医療計画でBCP策定の目標値はどうなっているか。
【理事者】
災害時における医療の確保を図るため、重篤救急患者の救命医療を行う高度の診療機能や、地域の医療機関を支援する機能を有する災害拠点病院については、平成29年度から業務継続計画、いわゆるBCPを策定することが指定要件に加わっており、本県における災害拠点病院のBCP策定率は100パーセントである。
令和4年度に実施した調査では、災害拠点病院以外の病院の策定率は58パーセント、平成31度に実施した調査より10パーセント程度向上している。
愛知県地域保健医療計画では、災害拠点病院以外の病院におけるBCPの策定率を、令和5年度末までに80パーセントとする目標を設定していることから、BCP策定率のさらなる向上に向けた働きかけを進める必要がある。
【委員】
令和5年度末までに80パーセントとする目標の達成のため、どのような取組をしていくのか。
【理事者】
これまではBCP未策定の病院に対して、厚生労働省が実施するBCP策定研修への参加を周知してきたが、参加できる枠が少なく、策定率の著しい向上にはつながらないことが課題であった。
そこで、県と企業で締結している地方創生等に関する包括的な協定に基づき、今年度から、民間企業と共同で本県独自のBCP策定研修を実施することとした。
研修では、BCP策定の必要性等に関する講義のほか、病院としての初動対応、災害時の優先業務などについて、参加者同士で話し合うワークショップを実施するなど、実践的な内容を盛り込んでいる。
これまで、BCP未策定の病院を中心に35病院、52人の参加があった。
災害発生後、病院の機能や地域における役割に応じた医療提供体制が早期に回復するためには、災害拠点病院だけではなく、災害拠点病院以外の病院においても、実効性の高いBCPの整備を進めることが重要であることから、今後もこうした研修などにより、BCP策定に向けた取組を進めたい。
【委員】
先日、DMATの北川喜己医師に話を聞いたが、災害拠点病院については、浸水想定区域に位置している病院が幾つかあり、何らかの対策が必要といっていたが、それらの病院に対する支援策はどのようになっているか。
【理事者】
浸水が想定される区域に位置する災害拠点病院への支援として、建物内への浸水を防ぐための止水板の設置に要する経費や、医療用設備や自家発電設備等を浸水のおそれのない高い場所に移設する経費に対して補助制度を設けている。
浸水対策が必要な病院には、こうした補助金の申請について働きかけを行っていきたい。
【委員】
東海・東南海、南海トラフのような大規模地震が発生すると、当然、災害拠点病院の病室のみでは追いつかず、キャパシティを超えた部分は、一般の病院で対応することになるため、まずはBCPを策定してもらいたい。
災害拠点病院が定めているBCPでは、基本的に3日間は自力で医療を継続できることが前提となっているが、個々の病院ごとに、様々な要因により状況が違うため、この3日間という期間が十分なのか心配である。
今後、BCPを策定する病院に対して、個々の病院の様々な要因にしっかりと配慮し、きめ細かなアドバイスを行い、既にBCPを定めている病院についても、必要に応じて見直しを含めた適切なアドバイスをしてもらいたい。
【委員】
新生児マススクリーニングは、生後5日から7日の全ての赤ちゃんの足のかかとから、針で突いた程度のごく僅かな血液を採取して検査する。
知らずに放置しておくと心身の障害を引き起こす先天性代謝異常など、命に関わるような疾患を、症状が出現する以前に見つけて予防する取組の一つである。
先天性代謝異常とは、生まれつき体の中にある酵素の働きが悪いために、心身の障害を引き起こす病気のことである。
県では、平成25年2月1日からタンデムマス法を用いた検査を導入し、検査の対象となる疾患が6疾患から19疾患に拡大された。また、平成30年4月から新たに1疾患追加され、現在、20疾患が検査対象となっており、公費で実施されている。
新生児期にスクリーニング検査を行うことで、対象となる疾患の子供を生後早期に発見し、適切な治療を速やかに行うことで、健常児と同じような生活を送ることができる。
国では、成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針を、令和5年3月22日に閣議決定し、新生児へのマススクリーニング検査の実施により、先天性代謝異常等を早期に発見し、その後の治療や生活指導等につなげるなど、先天性代謝異常等への対応を推進するとしている。
新生児マススクリーニング検査の実施状況はどうか。
【理事者】
本県の新生児マススクリーニング検査は、県内の全新生児を対象として、県内の産科医療機関及び助産所で採血が実施され、検査は公益財団法人愛知県健康づくり振興事業団に委託して実施している。
令和4年度は、名古屋市を除くと3万4,045人を対象に実施しており、そのうち疾患が見つかったのは21人であった。内訳として、先天性代謝異常が3人、先天性副腎過形成症が2人、先天性甲状腺機能低下症が16人となっている。
【委員】
生まれて間もない赤ちゃんに、突然、検査で病気が見つかった場合には、家族は、治療をどうしたらよいのか、また、元気に育ってくれるだろうかなど、大きな不安を持つ。
病気が見つかった子供やその家族への対応はどうなっているか。
【理事者】
病気を診断した医療機関において、家族の不安な気持ちを受け止めながら、病気や治療について丁寧に説明することで、治療の早期開始につなげている。また、子供の成長発達を確認しながら、ライフステージに応じた生活指導も行われている。
さらに、地域での支援が必要な場合には、医療機関から県に連絡が入り、保健所において面接相談や家庭訪問等を実施し、精神的サポートや保健福祉サービスの紹介など、市町村と連携を図りながら、療育支援を行っている。
【委員】
近年、治療薬の開発等により、対象疾患の追加の必要性が指摘されていることから、令和5年度より、国において調査研究を実施し、対象疾患を追加する場合の検査、診療体制や、遺伝子カウンセリングの課題に関する対応策を得ることとしている。
こうした中、国は本年11月、実証事業として、都道府県、指定都市において、モデル的に二つの疾患を追加することを発表した。
一つは、SMA(脊髄性筋萎縮症)である。これは、脊髄の運動神経細胞の異常のため、筋力低下、歩行障害、呼吸障害を来し、人工呼吸器が必要になる人も多くいる病気である。
発生頻度は1万人に1人で、その半数は重症型である。重症型は、治療しないと乳児期に運動発達が止まり、呼吸ができなくなり死亡する病気で、数年前まで治療法のない病気であったが、早期治療が有効な薬が開発され、治療が可能な病気となった。
もう一つは、SCID(重症複合免疫不全症)といい、免疫細胞の機能不全により免疫力が低下し、出生直後から重篤な感染症を繰り返す疾患である。適切な治療を受けなければ亡くなる危険性が高い病気であるため、感染を引き起こす前に診断し、治療を開始することが重要である。
この二つを対象とするマススクリーニング検査を実施し、国の調査研究と連携、協力を行うことで、マススクリーニング検査の対象疾患の拡充に向けた検討に資するデータを収集し、その結果を踏まえ全国展開を目指す実証事業で、今年度から令和7年度までのモデル事業として、都道府県、指定都市からの手挙げ方式により、実証地域を設定することとなっている。
病気の早期発見、早期治療の必要性を考えれば、積極的に国の実証事業に参加を表明するのがよいと思うが、県としてどう考えているか。
【理事者】
このモデル事業は、脊髄性筋萎縮症と重症複合免疫不全症の早期発見、早期治療につながる意義のある検査であり、本県としては、今回の実証事業への参加について検討する必要があると考えている。
【委員】
新生児マススクリーニング事業については、早急に少子化が進行する中、子供が健やかに生まれ育つための環境整備を図る次世代育成支援対策として強力に進めることが県の責務である。
県においては、先天性代謝異常症を早期に発見し、1人でも多くの子供を救うために、新生児マススクリーニング検査で陽性と判定された赤ちゃんが速やかに精密検査を受け、最終的な確定診断がされた際には、適切な治療と助言が受けられるようサポートすることを要望するとともに、モデル実証事業に参加することを要望する。
【委員】
先日の本会議で、がんセンターの令和4年度の決算に関して討論したが、議場からも反響があった。ただ、私が述べていることは事実なので、逆に違うことがあるのであれば、否定してもらいたい。
先日、豊田市で新型コロナワクチン後遺症患者の会の主催で、名古屋大学の先生やワクチン後遺症の当事者の報告会があった。
小さな子供がいる母親の報告が印象に残っている。子供を産んだばかりだったが、新型コロナワクチン後遺症になって、右腕が動かなくなり、子供を抱き上げることもできない。家事も当然できないため、上の子供が下の子供の面倒を見ている。
現在、子宮頸がんワクチンで10年以上苦しんでる人がいるが、子宮頸がんワクチンと新型コロナワクチンの共通項は遺伝子技術を使っている点である。日本のワクチン行政がおかしくなってきたのが、子宮頸がんワクチンからである。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団などが関わっており、WHOや国際機関も、政府の拠出金だけではなく、民間の拠出金が2番目、3番目になっている。
問題は、民主的に選ばれた者ではなく、民間会社が国際的なワクチン行政を進めようとしていることである。
グローバルサウス、BRICSと言われる国やアフリカの諸国は、今回の新型コロナワクチンを拒否した。しかし、日本は拒否できない国になっている。主権はあるはずなのに、おかしいものをおかしいと政府が言えない国になっている。
先日の報告会では、CBCの大石キャスターも取材しており、メディアも潮目が変わってきている。
私が一番心配しているのは、優秀な県の職員が変なことに手を染めてほしくないということである。県民のためと思い、一生懸命に仕事をしているにもかかわらず、国や政治がおかしい中で、行政や法解釈がゆがめられ、医学も科学もゆがめられている。
先ほどの質問でも、高次機能障害、がん発生リスク、免疫低下というキーワードがあったが、何が高次機能障害になっているのか、何で免疫低下の子供たちがたくさん出てくるのかというところを考えなくてはいけない。最初は、まさかワクチンが原因と思わない。しかし、臨床などのデータが出てきたら明らかである。
元愛知県がんセンター医長の福島雅典先生は、日本人の唾液中には、免疫物質であるIgAの交差耐性により、新型コロナウイルス感染症が抑えられていたが、新型コロナワクチンを打ったために、それがシャットダウンされ、自然免疫が抑えられたから、こういうことになっているといっていた。
ワクチンを追加接種しているから、免疫が下がり感染が広がる。ワクチンを打った人がうつし合っている。厚生労働省から提示されているデータで全部明らかである。
厚生労働省もデータを出している。それを解析し、評価する人がいない。そこが、政治や自治体職員の力の見せどころである。
愛知県がんセンターは、ゲノム医療などの研究に取り組んでいるが、今回の新型コロナワクチンの中身や作用に関して、研究対象にしてもらえないか。
【理事者】
愛知県がんセンターは、がんの治療及び研究を行う総合がんセンターである。
研究所においては、がんの克服を目指した予防、診断、治療法の研究開発及び臨床との橋渡し研究を研究範囲としており、がんワクチンの研究開発は行っている。
コロナはがんではないため、研究所の研究範囲外であり、コロナワクチンに関する研究は行っていない。
【委員】
がんと関係ないと発言があったが、医師資格を持っている病院事業庁長に確認したい。私が言うことに間違いがあるなら教えてもらいたい。
新型コロナワクチンが生み出すスパイクたんぱくによる発がんへの作用、mRNAを囲んでいるリポナノパーティクルによる炎症作用による発がん、G4RNAたんぱく結合系の調整障害、Ⅰ型インターフェロン反応の障害による発がん、あとは、mRNA逆転写とゲノムの取り込みによる発がん、ほかにもDNAの混入などの話もあるが、その辺ががんにも作用していることが、データの中から出てきている。また、スパイクたんぱくには女性ホルモンであるエストロゲンの受容体活性があり、特に乳がん、子宮がん、卵巣がん、白血病、悪性リンパ腫などの増加について、疫学的にも生理学的にも否定できないと思うが、どうか。
【理事者】
質問された件は、がんの領域において広く認知されている事象ではない。私も長い間、がんを研究してきたが、委員が発言した内容は承知していない。
【委員】
承知していないからといって、存在しないわけではなく、私が言ったことが否定できるのかということである。
今回、mRNAワクチンが、数か月ほどの間で特例承認という形で、まだ治験も終わっていない状態の中で接種が進められた。
特に、接種が進んでいるXBB7回目のワクチンは、ネズミで4回、それも非臨床試験しかやっていないものである。病院事業庁長自身が、このmRNAと患者に作用する医学的知見を持っているのか。
【理事者】
私が承知しているがんの領域における常識の中に含まれていない。
様々な解析についても、同じデータを斜めに見れば、幾らでも斜めに見ることができる。きちんと正面から科学に基づいて検討した上で研究が進み、創薬開発が行われるのが医学の世界である。そういった医学の世界の常識からすると、私には理解できない。
【委員】
常識ではないことが、今起きている。先ほども添付書類についての話があったが、中長期の影響が、副作用に関しては全く分からないと厚生労働省も言っており、製薬会社も言っている。なぜ、中長期の影響は分からないのかというと、データも少ないという理由もあるが、これは遺伝子技術を使っているからである。
PMDAという機関が令和2年2月7日に出している報告書では、ゲノム編集技術特有の課題として、遺伝子改変細胞のがん化などのリスクと書いてある。
もう一つは、生殖細胞における意図しない遺伝子改変リスク、生体内ゲノム編集の技術であり、今回のmRNAワクチンは、その標的細胞以外にも作用する可能性があり、それを排除することが難しい。
そういったリスクを否定してほしいが、否定できないということは、大々的に接種すること自体が、私から言わせると医学の基本を無視している。
末期の患者で手の施しようがないから、特例薬を打つのはあり得ると思うが、健康な人に対して打つワクチンは、明確にベネフィットがリスクを上回っていないと、普通の感覚を持っている医者であれば、そもそも打てないものだと思う。
私が今言ったことも含め、新型コロナワクチンの作用について研究所の研究対象にしてもらいたい。
【理事者】
がんセンターの研究所は、がんに関する研究を行うところである。がんの予防、あるいは医療を進歩させるために研究を行っている。
新型コロナワクチンががんに明確に関わっているとの発言について、そのようなことは承知していないため、がんセンターが持っている限られたリソースをそこに割くことは考えていない。
また、委員の発言の中で、mRNAとDNAが混同している。人のゲノムは、DNAという物質を使って情報が刻まれている。DNAがmRNAに転写をされて、mRNAがタンパク質に翻訳をされて、そのタンパク質が機能する。先ほどから委員が言っているスパイクたんぱくも、そういうものの一つである。
DNA、mRNA、タンパク質という流れは一方向である。mRNAがDNA、つまりゲノムをコードしているDNA、人のDNAに組み込まれることはない。逆転写酵素は人にはない。
【委員】
限られたリソースの範囲でやるべきことがたくさんあるというのは分かるが、国民の8割以上が新型コロナワクチンを打ったことにより、免疫不全状態に陥っている現実に対して、一医療機関研究所として向き合ってほしい。
もう一つ、愛知県がんセンターが協力専門医療機関に入っていないのはなぜか。
【理事者】
新型コロナワクチン接種後の副反応等に対応する専門的な医療機関については、国の通知に基づき、県において、令和3年3月15日から医療機関の協力を経て、相談窓口を設置、運営しており、現在は11医療機関で対応している。
専門的な医療機関の選定に当たり、総合診療科や複数の分野の内科診療科を有するなど、総合的な診療ができる体制を有する医療機関が適当であることが国から示されており、県では、総合病院である10の医療機関及び小児への副反応に対応するため、あいち小児保健医療総合センターに相談窓口を設置、運営している。
【委員】
ワクチン接種で体調不良になった人を診ないのは、一医療機関として無責任である。愛知県がんセンターに関しては、令和3年度に37万人、令和4年度に関しては9万9,000人に新型コロナワクチンを接種しており、それでたくさんの黒字を出しているので、有害事象に関して向き合ってもらいたい。
もう一つ、マスクの着用に関して、医療法の応招義務がある医療機関がマスクをしていないことを理由に来院を拒否することはできない。
愛知県がんセンターとして、マスクの着用を緩和する基準を示してもらいたいがどうか。
【理事者】
愛知県がんセンターでは、がんの治療のため、免疫力の低下した患者が多くいるため、不織布マスクの着用をお願いしているが、コロナの感染状況の先行きが不透明であることから、当面、現状の対応を継続する。
【委員】
感染の先行きが不透明だからといって、いつまで続けるのか。
PCR検査をやり続ける限り、コロナ騒動は続く。感染状況が不透明だというのは、政策的にも病院運営としても、説明ができない。何か基準を示せない理由があるのであれば教えてもらいたい。
続いて、テキサス州では、企業による従業員への新型コロナワクチン接種の義務化を禁止する知事令を出している。本県では、新型コロナワクチン接種を強制するかのような医療機関や職場があった。
県民を守るためにワクチンを強制しないという条例をつくる考えはあるか。
【理事者】
新型コロナワクチンの接種は、一部の者に努力義務が課されている。
厚生労働省によると、予防接種法における努力義務は、感染症の緊急の蔓延予防の観点から接種に協力をしてもらいたいとの趣旨で、義務とは異なるとのことである。
国が作成した手引においても、ワクチンは最終的には個人の判断で接種されるものであると明記されており、条例制定の必要はないと考えている。
【委員】
本当に力強い答弁をいただいた。最初から強制でも義務でもないことなので、その部分を広報してもらいたい。
職場や病院において、同調圧力で泣く泣く打たされた人たちがいる。そういう勘違いが起きない広報、啓発にしっかり力を入れてもらいたい。
同じくテキサス州であるが、先日、司法長官が、ファイザー社が開発した新型コロナワクチンの有効性の説明に誤りがあったとして提訴したが、県は、どのように把握しているか。
【理事者】
アメリカのテキサス州の司法長官が、新型コロナワクチンの有効性について住民に誤解を与えたとして、ファイザー社を提訴したことは聞き及んでいる。
なお、新型コロナワクチンの有効性及び安全性等については、国が審査をした上で、製造、販売についての承認がなされるものであることから、国において有効かつ安全と判断されている。
【委員】
直近の接種率を見ると接種率がだんだん下がっているが、県として、接種率が下がっている理由をどのように分析しているのか。
【理事者】
新型コロナワクチンの令和5年秋開始接種における、12月3日時点の本県の12歳以上の接種率は、14.75パーセントとなっている。
本年5月8日からの令和5年春開始接種より、追加接種については、予防接種法第8条の接種勧奨及び第9条の努力義務の対象が、65歳以上の高齢者と基礎疾患を有する者等に限定されており、以前に比較して接種率は低くなっている。
【委員】
ロット番号によって有害事象の発生率が違うことについて、内容物に違いがあると考えているが、これは製造物責任法上の問題はないのか。
【理事者】
製造物責任法とは、製造物の欠陥が原因で、生命、身体または財産に損害を被った場合に、被害者が製造業者等に対して損害賠償を求めることができることを規定した法律である。
法律の対象となる製造物は、人為的な操作や処理が加えられ、引き渡された動産と規定されており、医薬品である新型コロナワクチンも対象となると思われるが、そもそも新型コロナワクチンについて、ロット番号により有効性や毒性が異なるといった情報は、現時点で承知していない。
【委員】
超過死亡に関する国の課題感について、これまで一般質問の中で2回ほど質問したが、それに対して牧野副知事ではなく、政策企画局長や感染症対策局長が答弁した。超過死亡に関して情報共有はしているのか。
【理事者】
県として、国の課題感について答える立場にはなく、情報共有も行っていない。
なお、全国における超過死亡数の算出を行っている国立感染症研究所感染症疫学センターによれば、超過死亡数とは、例年の死亡数を基に推定される死亡数と、実際の死亡数との差として定義されており、同センターにおいて、近年の状況について分析などが行われているようであるが、超過死亡の要因を明らかにするのは難しい状況にあるとのことである。また、超過死亡について、県として分析を行っている部署はない。
【委員】
この問題は、本当に大きな問題だと思っており、牧野副知事も本来ここに座っているべきである。委員会として直接本人に聞きたいと思うが、委員長に提案させてもらいたい。
【委員長】
ただいま末永けい委員から、牧野副知事に対して本委員会の出席を求めるという旨の発言があった。
副知事の委員会出席については、必要に応じ、委員会の決定によるとなっている。
牧野副知事に、本委員会の出席を求めることに賛成の委員は、挙手をお願いする。
(賛成者、挙手)
挙手少数と認め、牧野副知事の本委員会への出席要求は否決されたので、本委員会として出席は求めない。
【委員】
来年以降、WHOにおいて、IHR(国際保健規則)の改正、あるいはパンデミック条約の策定の可能性があるとのことで、現在、厚生労働省と外務省が対応している。
日本は副議長国であり、前のめりになって進めようとしているところがある。
WHOの事務局長がパンデミックであると宣言したら、各国が強制医療、強制的にワクチンを接種することができるかのようなIHRの改正案が審議されている。まともな政治家がいる国であれば、拒否すると思う。
日本が心配なのは、もう既に他の国が打っていないワクチンを、自主的に4回、5回、6回、7回と打ち進めている状況があり、このIHRやパンデミック条約が国際的に決まったら、日本だけが生真面目にやってしまうおそれがある。
これが決まったからといって、日本政府がしっかりしていればきちんと拒否することができる。条約よりも憲法、国内法が上である。だから、政治家や政府がきちんと拒否できれば、おかしな国際条約であろうと、拒否できる。しかし、今のままでは心配であるとなったときには、自治体で拒否しなくてはならないと思うが、県の見解はどうか。
【理事者】
外務省の公開情報によると、WHOは、加盟国間の議論の結果、新型コロナウイルス感染症対応の教訓を踏まえ、疾病の国際的伝播を最大限防止することを目的とした国際保健規則、ⅠHRを改正するとともに、パンデミックの予防、備え、及び対応に関するWHOの新たな法的文書、いわゆるパンデミック条約を作成するとのことである。
国際保健規則改正とパンデミック条約の作成については、令和6年5月のWHO総会での採択を目指して、加盟国間で交渉が継続中であり、国も可能な限り、必要な情報提供に努めていくとのことである。
今後、条約が締結された場合の国、県等の対応等については、現時点で情報を持ち合わせていないため、状況を注視していきたい。
【委員】
私が委員会の県内調査において、愛知県がんセンターからマスクを着用しないことを理由に視察を拒否されたが、患者全体の免疫力を考える医療に立ち返ってもらいたい。
病気は、病院や医療が治してくれると思っているが、実は、一昔前の医療は全く違い、病気は、医者ではなく、あくまでも患者の自己治癒力や免疫力が治していくものとされており、こういった原点に立ち返らなくてはならない。
自分の二酸化炭素を吸って高二酸化炭素血症になり、熱中症になるような状況で、まだマスクをすることを病院が求めてくるこの状況は、あまりにもかけ離れている。
一つの概念として、薬食同源、医食同源という考え方があり、薬膳の考え方であるが、ヒポクラテスも、食で治せない病気は医療もこれを治せない、医療もこれも治せないと食をもって薬とせよという言葉を残している。
要は、健康をつくるのは、医学よりも食べ物が優先するという、食べることと薬になるものの源は同じという考え方がある。
県議会の過去の議事録を見たが、そういう発言をした議員もおり、国会でも大臣答弁でそういったものが残っている。
もう一つは、身土不二という概念がある。
自分の体と自分の住んでいる土地を、切り離して考えることはできない。地場の食べ物を食べるということである。本来、人間が口にする食べ物というのは、四里四方の範囲の中で自分が集められるものに限られていたわけで、先ほどPFASの問題も出たが、添加物の問題・農薬の問題や殺虫剤など、要は、近くで身の回りで取れたものであれば新鮮で、そもそも添加しなくてもよい。
昔は、添加物がなくても、病気にならなかったため、そういった考え方を健康づくりに生かしていかなくてはならないが、医食同源と身土不二の考え方について何か取組ができないか。
【理事者】
本県の健康づくりに対する取組については、健康寿命の延伸を図るため、生活習慣病の発症予防等につながる野菜摂取量の増加をはじめ、バランスのよい食事を取ることに関する普及啓発などを推進している。
【委員】
統合医療は、西洋医療だけではなく、東洋医学、鍼や漢方なども組み合わせて患者の治療に当たるというものだが、海外の大学の医学部では、この統合医療が注目されており、カリキュラムがある。
ところが、日本の医学部には統合医療を掲げているところがない。統合医療の有用性について、県の今後の取組ではどのように考えているか。
【理事者】
平成24年度の厚生労働省の統合医療の在り方に関する検討会において、統合医療を近代西洋医学を前提とし、これに相補・代替療法や伝統医学等を組み合わせて、QOL、生活の質を向上させる医療であり、医師主導で行うものであって、場合により多職種が協働して行うものと位置づけている。
検討会では、取組の基本方針として、統合医療の各療法について、安全性、有効性等に関する科学的知見を収集するとともに、これらを基にして必要な情報を広く発信していくことによって、患者、国民及び医師が療法を適切に選択できるようにすることが重要であるとしている。
これを受けて、厚生労働省では、患者等が適切な情報を入手できるよう、統合医療情報発信サイトを公開しており、本県においてもホームページで紹介している。
引き続き、適切な情報提供に努めている。
【委員】
繰り返しになるが、免疫力が低下している状況では、何をやっても本当に無駄なので、県民の免疫力を上げていく政策に力点を置いてもらいたい。
香害対策について、現状の取組と今後の展望について質問したい。
衣服の柔軟剤などから出る物質が非常に問題になっており、例えば、学校給食の白衣を柔軟剤を使って洗ったりすると、子供によってはアレルギーで頭痛などの体調不良を生み出している。県も広報啓発に関しては、割と前向きに取り組んでいるが、今後の香害対策についてどのように考えているか。
【理事者】
香害を含む化学物質過敏症については、その存在を広く周知し、県民の理解を深めていくことが重要であるため、県においては、化学物質過敏症に関する一般的な内容について、生活衛生課のウェブページを活用して情報発信を行っている。
また、香害について、消費者庁、厚生労働省、文部科学省、経済産業省及び環境省の5省庁連名で、香りへの配慮に関する啓発ポスターが作成されており、厚生労働省からの依頼に基づき化学物質過敏症のウェブページ内に当該ポスターを掲載するとともに、県保健所等において掲示することで周知を図っている。
【委員】
医療的ケア児支援について質問する。
医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律、いわゆる医療的ケア児支援法の施行から2年が経過し、県内の医療的ケア児とその家族が、地域で安心して暮らせるようにするための体制整備が進められている。
医療的ケア児支援法の施行により、これまで努力義務だったものが責務となり、地方行政での支援が必要となったが、医療的ケア児への支援の中心となる市町村では、どのような支援が進められているか。
【理事者】
医療的ケア児は、地域の中核病院を退院して地域で暮らすようになり、ライフステージが進むごとに、就園や就学など様々な分野にまたがる課題を抱えることが多くある。
そのため、地域においては、医療的ケア児とその家族が安心して暮らすため、医療、保健、福祉、教育など、様々な関係機関が連携して支援する体制整備を進めることが重要である。
こうしたことから、市町村では関係機関と総合的な調整を行い、医療的ケア児を必要な支援につなげる役割を担う医療的ケア児等コーディネーターを配置している。
コーディネーターは、本年4月現在で、県内53市町村において326人が配置されており、各市町村においては、コーディネーターが医療的ケア児に伴走し、個々の状況に応じた必要な支援が提供される体制の整備が進められている。
【委員】
先日、民間の医療法人が経営している医療的ケア児等支援センターに行った。そこでは、コーディネーターの養成と連携体制を築くために研修を開催しており、また全国の地方自治体の受入れ体制の整備にも力を入れていた。
市町村では医療的ケア児等コーディネーターが調整役となり、本人と家族の生活を支えるとのことであるが、県はこうした取組に対してどう関わっているのか。
【理事者】
本県では、医療的ケア児支援法に基づき、昨年度、県内全域を7か所の医療的ケア児支援センターによって支援する体制整備を行った。
センターでは、どこに相談すればいいか分からないという家族からの相談対応や、コーディネーター等、地域の支援者からの解決が難しい事例についての相談対応を行っている。
このほか、地域の保育所などの関係機関に対する研修、障害福祉サービス事業者をはじめとする社会資源等の情報の収集及び発信、そして、地域において在宅生活を支えていくための関係機関による連携体制づくりを行っている。
また、本県では、コーディネーターを養成するための研修や、現任のコーディネーターに向けた知識、技能の向上を図るためのフォローアップ研修を開催し、地域で支援を担う人材の育成に取り組んでおり、こうした取組により、地域の支援体制整備を後押ししている。
【委員】
県では、愛知県医療療育総合センターが充実しており、医療的ケア児の対応や受入れはしっかり行われているが、各市町村や関係機関との連携がさらに進むために、県として重点的に取り組んでいることはあるか。
【理事者】
医療的ケア児を必要な支援につなげるためには、市町村が配置するコーディネーターを中心としたネットワークづくりが重要である。
そのため、県として、地域で暮らす医療的ケア児を市町村が漏れなく把握し、コーディネーターを通じて、着実に支援につながる仕組みづくりに取り組んでいる。
具体的には、今年度に7か所の医療的ケア児支援センターが、新生児集中治療室等のある地域の中核病院を訪問し、各病院から退院する医療的ケア児に関する情報を市町村に提供するよう依頼している。
情報提供を受けた市町村においては、医療的ケア児の退院先を事前に把握し、速やかに適切なコーディネーターを選任することにより、コーディネーターが中心となって地域の関係機関と連携しながら、病院を退院するときから必要なサービスにつなぐ体制づくりを行っている。
こうした取組により、医療的ケア児に市町村のコーディネーターが寄り添い、必要な支援につなげていく体制をさらに推進する。
【委員】
コーディネーター中心のネットワークをしっかりつないで、新生児集中治療室のある病院と一緒に連携し、情報が共有されて、市町村のコーディネーターをしっかり立てていくこと、また、お互いに情報共有していくことは大事である。
医療的ケア児を受け入れている民間の医療法人では、相談が全国から入ってくるとのことで、電話、リモート、メールなどで対応している。
実際に、グーグルワークスペースからスプレッドシート、エクセル形式で職員が作成し、相談対応記録や相談対応報告書などを一覧表にしている。
行政とも定期的にミーティングを行い、全体のレベルアップを目指していると聞き、医師やスタッフの皆様の熱意が伝わってきた。
訪問時には、支援センターの室内で運動会が開催されており、医療的ケア児が音楽に合わせて踊る、駆けっこをするなど、家族も一緒に楽しんでいた。
特に、基本理念第3条の2に、医療的ケア児及びその家族に対する支援は、医療的ケア児が医療的ケア児でない児童と共に教育を受けられるよう最大限に配慮しつつ、関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に、切れ目なく行わなければならないとある。
これもインクルーシブ教育への一歩につながると思う。地域によっては、まだまだ温度差があるとも聞いている。
この法律は、施行後3年を目途として、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ずるとされている。
県が市町村にしっかりと呼びかけ、安心して受け入れることができる体制が整備されることを要望する。