委員会情報
委員会審査状況
警察委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月12日(木) 午後0時59分~
会 場 第3委員会室
出 席 者
ますだ裕二、林 文夫 正副委員長
久保田浩文、寺西むつみ、南部文宏、成田 修、横田たかし、鈴木まさと、
日比たけまさ、山口 健、しまぶくろ朝太郎、筒井タカヤ 各委員
中尾公安委員、警察本部長、総務部長、警務部長、生活安全部長、地域部長、
刑事部長、交通部長、財務統括官、組織犯罪対策局長、警備部長、
関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第103号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第4号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第8款 警察費
第114号 工事請負契約の締結について(半田警察署庁舎建築工事)
第116号 損害賠償の額の決定及び和解について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第103号、第114号及び第116号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 交通指導取締り及び交通安全施設の整備について
2 防犯対策の推進について
3 警察の組織及び運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(2件 陳情第36号及び第37号関係)
3 中尾公安委員あいさつ
4 議案審査(3件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
5 委員長報告の決定
6 一般質問
7 休 憩(午後3時12分)
8 再 開(午後3時20分)
9 閉会中継続調査申出案件の決定
10 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
第114号議案の工事請負契約の締結について伺う。
昨今、食料品など生活必需品をはじめとする様々な商品が値上がりしており、県民の生活に大きな影響を与えている。同様に建設業界でも、エネルギー価格の上昇や建設資材の高騰による影響を受けている。それに加え、労働力の確保のため労働環境の向上を求められるなど、大変厳しい環境に置かれていると認識している。このような状況で、半田警察署庁舎の建築工事を適切に進めるためには、請負契約者に対し、適正な代金の支払いがされることが前提であり、重要であると認識している。
そこで、物価や労務単価が上昇しているが、状況に応じて契約金額を増額することは可能なのか伺う。
【理事者】
本契約は、令和5年3月から適用する新労務単価の決定に伴う特例措置の対象となっている。請負者からの請求に基づき、予定価格の積算時から契約締結時までの労務単価の上昇分については、請負代金額の増額に応じることができる。
【委員】
新労務単価の決定に伴う特例措置の内容等はどのようなものか。
【理事者】
特例措置は、労務単価の上昇を受け、発注者、元請負者、下請業者、それぞれの関係者が新労務単価の水準などを踏まえ、適切な請負代金額による契約を行い、技能労働者に係る適切な賃金水準の確保、社会保険加入の徹底など、現場の技能労働者のさらなる処遇改善を目的として、国土交通省で設けられたものであり、愛知県でも同様の措置を取っている。
《一般質問》
【委員】
刑法犯認知件数について伺う。
2022年に警察が認知した刑法犯は前年比3万3,285件、5.9パーセント増の60万1,389件で、20年ぶりに増加に転じたと警察庁が発表している。街頭犯罪などが増え、新型コロナウイルス対策の行動制限の緩和が影響したと見られている。
殺人など6種類の重要犯罪のうち、強盗は前年比10件増の1,148件で、各地で相次ぐ広域強盗事件が増えている。また、SNS、交流サイト上での闇バイトに応募したと見られる実行犯らの手荒な手口により、死傷者が多数出ていることも認識している。
認知件数自体は2002年をピークに減少を続け、2021年は戦後最少を更新していたが、2022年は自動車盗など街頭犯罪が前年比14.4パーセント増の20万1,619件と目立ち、特殊詐欺の被害額は28.2パーセント増の361億4,000万円と8年ぶりに増加している。月別で見ると、2022年春頃から増加傾向が顕著に見られた。
一方、県内の2023年度の速報値は、地域安全ニュースによると、自転車盗、侵入盗、特殊詐欺の増加が顕著であるが、特殊詐欺、侵入盗の現状はどのようになっているのか。
【理事者】
特殊詐欺の現状については、本年8月末現在の認知件数は944件と、前年同期比で377件増加している。特徴としては、被害者の約8割が高齢者で、被害の約8割が固定電話への着信を契機としている。
次に、侵入盗の現状については、本年8月末現在の認知件数は2,082件と、前年同期比で370件増加している。特徴としては、出店荒らし被害の増加が著しく、その要因として、組織窃盗グループが特定の業種や業態の店舗に狙いを定め、犯行を繰り返していることなどが挙げられる。
【委員】
高齢者が被害者の8割を占め、また、組織窃盗グループが犯行を繰り返していると理解した。
では、県警察として、特殊詐欺及び侵入盗に対してどのような対策に取り組んでいるのか。
【理事者】
初めに特殊詐欺の対策であるが、未然防止対策としては、犯人と直接会話することを避けるため、被害防止機能付電話機の普及に加え、自宅の固定電話を留守番電話に設定し、相手を確認するまで電話に出ないよう注意喚起している。
さらに本年5月からはNTT西日本が、70歳以上の契約者等を対象に無償化した電話番号表示及び非通知電話の着信拒否の設定を促す働きかけを実施している。
このほか水際対策として、金融機関やコンビニエンスストアに対し、高額出金や電子マネーを購入した人に、声かけや警察への通報を強力に推進してもらうよう、継続して依頼している。
検挙対策については、被害発生時の迅速な対応による現場検挙はもちろん、組織の中枢被疑者に対する突き上げ捜査や犯罪収益の剥奪など、犯罪組織に実質的な打撃を与える取組を推進している。
次に、侵入盗の対策について、未然防止対策としては、不在時に多額の現金を保管しないことや、破壊や搬出に耐え得る防犯性能の高い金庫の活用を働きかけている。
また、地域住民、自治体等とともに犯罪多発学区でまちの防犯診断を実施し、防犯カメラの有用性を体感するトライアルカメラを一定期間活用するなどして、地域防犯力の向上を図り、犯罪の起きにくい社会づくりを推進している。
検挙対策については、組織窃盗グループの戦略的な取締りに加え、こうしたグループの犯行を支えるいわゆる犯罪インフラの供給者の検挙も強力に推進している。
県内の治安情勢は厳しい状況にあるが、特殊詐欺や侵入盗など、県民の皆様の体感治安を著しく悪化させる犯罪に対し、県警察総力を挙げた対策を推進していきたい。
【委員】
次に、自転車盗について伺う。
県内における自転車盗の現状はどのようになっているのか。
【理事者】
本年8月末現在の認知件数は6,933件と前年同期比で1,691件増加している。特徴としては、認知件数全体の約6割が無施錠の状態で被害に遭っている。
【委員】
無施錠である自転車盗難について、県警察としてどのような対策を取るのか伺う。
【理事者】
未然防止対策としては、僅かな時間でも自転車から離れる際には、通常の施錠に加えワイヤ錠を活用した二重ロックを推奨しており、関係機関等と連携し、ワイヤ錠の配布を行うなど、施錠率の向上を図る取組を実施している。
また、自転車盗が多発していた駐輪場の管理者と連携を図り、自転車を盗もうとする人に犯行を思いとどまらせる仕掛学を用いた取組として、盗難防止検証中などと記載したタグを無施錠の自転車に取り付けたところ、取組の実施前と比較して認知件数が約8割減少するなど、一定の成果が見られたことから、この取組を拡充している。
次に、検挙対策として、自転車盗の発生状況等に応じた街頭活動を推進し、積極的な職務質問を実施することにより検挙に努めている。
自転車盗の多発は、県民の体感治安を悪化させる要因となるため、自転車盗の発生状況を的確に分析し、各種対策を推進したい。
【委員】
県警察に対して要望する。
まず、自転車盗についてであるが、自転車盗は青少年が犯罪に手に染めるきっかけになると言われている。これは大麻と同様に、まず取っかかりが自転車を盗んだことによって次にステップアップしていくと考えられる。
名古屋市内では、ここ数年、自転車置き場が整備されたことによって、幹線道路での放置自転車をほとんど見かけなくなった。その中で自転車盗が増えるということは、敷地内に侵入して自転車を盗む可能性が増えることを指している。特に住宅街で盗まれるということは、自転車を盗むつもりで敷地に入ったが、住民が不在であると分かったことによって他の犯罪に発展するケースもあると思う。
私は住宅地を主体とした地域で議員をしているため、特にこうしたことに敏感で、住民からも陳情がある。そのため、今でも取り組んでいると思うが、警察官によるパトロールの強化をお願いしたい。
次に、無施錠が認知件数の約6割を占めていることが分かっている。ツーロックを促進するため、イベントでチェーンを無償で配布しているが、ツーロック以前に鍵をかけていない人がいる。まずは、施錠してもらうことから始め、いろいろなイベントなどの機会を見て働きかけを強化してもらいたい。
続いて、特殊詐欺であるが、先週、昭和区内で、防犯活動専門チームのぞみによる特殊詐欺のデモが実施された。
参加した約200人から分かりやすいと好評であった。被害者の8割が高齢者であり、8割が固定電話にかかってくるので、いろいろな機会を通じたのぞみも含めた啓発や、ナンバーディスプレイサービスを提供するNTT西日本株式会社との連携が肝要である。
新たな手口を盛り込みながら、のぞみの活動を一層推進することを希望するとともに、金融機関、カード会社に対して正式に再度、県警察として、会員に対する注意喚起を強化するよう依頼してもらいたい。
【委員】
大きく3点質問する。最初の項目は、警察車両の保有状況と電動化についてである。
まず、県警察が保有している警察車両の総数と、そのうち、電気自動車は何台あるのか伺う。
【理事者】
県警察では約2,900台の公用4輪車を保有しており、そのうち電気自動車は、ハイブリッド車222台、プラグインハイブリッド車(PHV)1台、燃料電池車(FCV)1台の合計224台を保有している。
【委員】
恐らくハイブリッド車の採用は、2021年の220系クラウンの導入からだと思うが、2年で200台を上回っており、一気に電動化を進めてもらっていると理解した。
一方で、今でも200系クラウンはもちろん、180系クラウンも見かけるが、年間の走行距離も廃車までの使用期間も相当長いと認識している。そこで、廃車となった公用4輪車の使用期間及び走行距離を伺う。
【理事者】
令和4年度中に廃車となった公用4輪車の平均使用期間は18年1か月であり、平均走行距離は、約21万8,000キロメートルである。
【委員】
単純計算で年間1.2万キロメートルを超える使用と理解した。長く大切に使用することは重要であるが、県の2030年度の温室効果ガス排出目標は、2013年度比で46パーセントの大幅削減であるので、その実現には、210系以前のガソリン車の長期使用はハンディキャップにならざるを得ない。
加えて、ハイブリッド車より排出ガス削減に寄与するPHVやFCVは、警察車両は導入補助金の対象外のため、車両本体価格こそハイブリッドに比べて高額になるが、ガソリン価格の高止まりを踏まえ、廃車までの約21万キロメートルに消費する燃料代は、PHVやFCVが圧倒的に有利と思われる。新車調達の予算だけではなく燃料代を考慮して、温室効果ガス削減目標の必達を目指すのであれば、電動化のより一層の推進は不可欠に思う。そこで、今後の電動化についてどのように進めるのか伺う。
【理事者】
今後、県警察で配備していく県費車両の電動化については、電気自動車の特性を踏まえつつ、可能な範囲で進めていく予定である。
【委員】
可能な範囲という前向きな答弁に感謝する。ただし、電気自動車の内訳には言及がなかったので、要望する。
最初の答弁で、既にPHVとFCVを各1台保有しているとあった。7年後の温室効果ガス46パーセント削減の目標達成を目指すのであれば、ハイブリッド車の導入ではなく、むしろPHVとFCVの導入をより強化すべきではないか。
特にFCVは、PHVが充電にある程度時間を要するのに比べても満タン充電にかかる時間は約3分であり、かつ満タン1回で850キロメートル以上の走行が可能になる。本県の水素ステーションは、整備中を含めて10月1日現在、全国で圧倒的1位の38か所もあるため、補給に苦慮する懸念はない。
また、南海トラフ地震や豪雨災害のリスクを見据え、電動車には災害時の電源供給の役割も期待されるが、ハイブリッド車の最大給電が1,500ワットに比べて、FCVは9,000ワットと約6倍の電力供給が可能であり、停電時の信号機への供給にも役立つと思われる。
警視庁も、ゼロエミッションビークルパトカーとしてMIRAIが5台導入されていると聞いているが、使用上の懸念として、一つ目に後席が3人乗車時に狭い、二つ目にトランクが450リットル未満で小さいと聞いているが、来月に発売が公表されているクラウンセダンのFCVはそうした懸念が改善されていると聞く。
県庁の移動式水素ステーションは、10年の営業期間の期限を迎えて終了したが、本県の水素ステーション設置の優位性を生かし、脱炭素と災害時への備えとしてFCVとPHVの積極的な導入促進をお願いしたい。
続いて、運転免許の更新に関して伺う。
今年の春、名古屋市の住民から、建て替えられた天白区平針の運転免許試験場に初めて免許更新に行ったが、設備が立派になった一方、手続の流れは以前と大差がないように感じたと聞いた。
私も9月が運転免許更新のタイミングであったため、地元の警察署ではなく、平針の運転免許試験場で手続と併せて新建屋の施設を見学した。個室の親子ルームや水曜の託児サービスの実施、高齢者レーンや妊婦への対応など、様々な人に配慮した施設になっていることを改めて実感した。一方で、平日とはいっても受付開始後のある時間帯までは、視力検査や写真撮影で混雑が生じており、更新連絡のはがきの記載事項だけを見て来た多くの人には、きれいな環境以外の変化を実感しにくいと感じた。
利用者への広報の充実という観点で、各種利便性の向上が図られた運転免許試験場と東三河運転免許センターで、特定の曜日や時間帯に混雑しているという話を利用者から聞くことも多いが、どのような対策を講じているのか伺う。
【理事者】
運転免許試験場及び東三河運転免許センターでは、運転免許更新等の業務を行っており、令和4年中、愛知県内では約113万人が免許更新を行っている。そのうち運転免許試験場では、講習者全体の約38パーセントに当たる約43万人が、東三河運転免許センターでは、全体の11パーセントに当たる約12万5,000人が免許更新を行っている。
両施設では、平日に比べ日曜日が混雑しており、特に受付開始の午前8時30分から午前10時頃までの間が混雑している状況である。
混雑緩和対策として、来場者の分散化を図る目的で、県警察のホームページに混雑予測カレンダーを掲載するとともに、エックスを活用した混雑状況の広報もしている。
また、運転免許試験場では、特に混雑する日曜日の午前中の来場者に対して整理券を配布し、窓口の混雑緩和を図るとともに、両施設で各種手続が円滑に進むよう、案内係員の配置やゴールデンウイークなどの繁忙期には、体制を増員するなどの対策を講じている。
また、これらの対策に加えて、本年度内に運転免許更新の予約制度を導入する予定であり、来場者の平準化による混雑解消を図るなど、引き続き県民の利便性の向上に努める。
【委員】
運転免許試験場が新庁舎となり、無料だった駐車場が有料化されていて驚いたという意見もあった。私もその話を聞くまで認識がなかった。更新連絡はがきには小さく有料500円と記載はあるが、利用者へ周知するため、その理由がどのようなものか伺う。
【理事者】
運転免許試験場は、令和2年5月に新庁舎が供用開始となり、また、令和3年5月に駐車場が供用開始となった。
駐車場の収容台数は約700台で、繁忙期などは臨時駐車場としてコースを開放して約700台を確保し、収容台数の合計は約1,400台となっている。また駐車場の利用料金は1台1回500円である。駐車場の有料化については、自動車での来場者に対応する必要がある一方、過剰な来場車両に起因する渋滞の発生を抑止し、周辺の交通環境の改善を図る必要もあることから、有料化とした。
【委員】
試験場職員が、利便性向上のために旧ツイッターで日々発信し、DXを活用して予約制度の導入検討を進めていることは大変ありがたく思う。
一方、更新連絡のはがきには、混雑状況が分かる情報につながるQRコードや混雑時の整理券配布の記載はあるが、正直あまり目立っていない。ぜひ、多くの人に周知できるように、広報の充実をお願いする。
最後に、自転車乗車用ヘルメットの着用促進について伺う。
本年4月に改正道路交通法が施行され、自転車乗車用ヘルメットの着用が努力義務化された。しかし、先日の9月30日に名古屋市昭和区で自転車乗車中の高校生が車にはねられて死亡する事故が発生するなど、大変残念な事故が発生している。統計を見ても全国で自転車乗車中の事故は2年連続で増加しており、大切な命を守るためにはヘルメットの着用促進を徹底する必要がある。
議員になってから私も車の運転中は、できるだけ自転車乗車中のヘルメット着用有無の状況を注視しているが、小学生や中学生、通勤途中のサラリーマンの着用率は高い一方で、通学時の高校生、買物や子供を送迎している女性の着用が低いと感じている。今朝も名古屋市内で小さな子供にはしっかりヘルメットを着用させつつ、自身はヘルメットなしで保育園に2人乗りで送迎する母親を2人ほど目にしている。
そうした実態も踏まえて、2点伺う。
一つ目に、ヘルメット着用が努力義務化されたことによって、着用率が向上したのか。
二つ目に、ヘルメットの着用率向上に向けた県警察の取組について伺う。
【理事者】
自転車乗車用ヘルメットの着用率については、駐輪場が整備された駅周辺など、県内4か所で実地調査を実施したところ、本年2月は4.1パーセント、本年7月は7.8パーセントであった。着用の効果を評価するには十分ではないが、ヘルメット着用の努力義務化の前後で比較すると、一定程度着用率が向上したことが認められる。
続いて、2点目の質問に対して、県警察では、自転車乗車時の頭部保護の重要性やヘルメット着用による被害軽減効果、ヘルメットの正しい着用方法等について、交通安全教育や交通街頭活動における広報啓発を推進しているほか、自転車通勤者がいる企業や高等学校等に対するヘルメット着用促進の働きかけ等を実施している。
また、実際にヘルメットを着用している県民の協力により、ヘルメットを着用している写真とともに、着用するようになったきっかけや他の自転車利用者へのメッセージをエックスで配信するなど、SNS等を活用した情報発信も行っている。
今後も引き続き、より多くの県民にヘルメット着用の重要性を周知し、自治体をはじめとした関係機関等と連携の上、ヘルメットの着用促進に取り組む。
【委員】
まだまだ圧倒的に低い着用率を踏まえて、ターゲットを明確にした広報啓発活動の実施を強く要望する。
まずは、各市町村と連携して、ヘルメット購入補助金のPRの強化は不可欠ではないか。購入補助に関して私の地元でも、岡崎市は年齢制限なし、幸田町は年齢制限ありで継続しており、自治体によって状況は異なっている。したがって、補助がある自治体では、特に財布のひもを握っている女性を意識した、警察署による大々的なPRをお願いしたい。
さらに子供たちの中でも、自転車での行動範囲が広いにもかかわらず着用率が低く、過去5年間の死傷者が小中学生に比べて圧倒的に多い高校生に対してマスコミの関心も高まっており、先日の昭和区の事故でも、ヘルメットを着用していなかったことにスポットを当てた報道もされていた。
ただし、校則や取締りなど大人の理屈で縛っても効果は一時的にしか上がらないと思う。むしろ若い世代に影響力のあるインフルエンサーからの口コミやSNSでの発信を通じて、高校生が自ら進んで着用したくなるような、愛知県ならではの取組をぜひ検討してもらいたい。
例えば、私の地元の岡崎市でも、聖地巡礼と称して紹介されたラーメン店に連日大行列ができるような、高校生を含めた若い世代に圧倒的な支持を得ている岡崎市のユーチューバーもいる。県警察から協力を要請してかっこいいオフィシャルヘルメットの作成とともに、彼らの動画でヘルメット着用の重要性を発信してもらうことができれば、ヘルメットの購入とともに飛躍的な着用率アップが見込めるのではないか。ぜひ若い世代に対して、彼らの好むファッション性や嗜好性という観点も踏まえた着用促進策の検討をお願いしたい。
【委員】
私からは、3点質問する。
まずは、警察署武道場の冷房の設置についてである。
警察官は、柔道または剣道に加えて、逮捕術を訓練するために、各警察署には武道場が設置されており、そこで日々汗をかいて訓練していると思う。
夏は大変暑く、今年の夏も40度近い気温に上がることもあった。コンクリートでできている警察署の中の武道場は、40度を超えていると思う。こういう暑い中で訓練することが根性論では良いのかもしれないが、これからはエアコンの設置も必要ではないか。
そこで、まず本県における警察署武道場における冷房の設置状況について伺う。
【理事者】
現在県内の45の警察署のうち、中警察署、天白警察署、西枇杷島警察署、津島警察署、蟹江警察署及び西尾警察署の6警察署については、武道場にエアコンが設置されているが、他の39の警察署については設置されていないことから、業務用扇風機や冷風機を使用している。
【委員】
県内調査で名古屋市中警察署と新たに建て替えられた豊川警察署を視察したが、豊川警察署の武道場にはエアコンが設置されていなかった。中警察署にはウインドファームのようなものはついており、新しく造るから設置されるものでもないと改めて思った。
今後の武道場における冷房の設置方針を伺う。
【理事者】
警察署の武道場は、警察官に必要な柔道、剣道、逮捕術等の術科訓練を継続的に行うための場所であるほか、大規模災害が発生した際には、職員が災害救助活動を行う活動拠点となり得るなど、重要な施設でもある。
近年の地球温暖化による気温上昇の状況を鑑みれば、武道場にエアコンを設置することは望ましい。こうしたことから、県警察としては、建て替え工事が予定されている警察署については、建て替えのときのエアコンの設置を検討していくとともに、直ちに建て替えの予定がない警察署についても、エアコンの設置の必要性を検討していきたい。
【委員】
新たに建て替えられる警察署については設置を検討するが、設置するという答弁ではなかった。また、建て替え予定のない警察署については、検討ではなく必要性を検討するという状況である。
答弁では、災害救助活動も武道場で行うとあった。名古屋市内の公立の小学校では、今年度中に体育館には空調が設置される予定である。また中学校では来年度空調を設置していくと聞いている。
小中学校の体育館は、災害のときの避難所になることもあり、エアコンを設置していくとのことであるので、警察署でも、これから新たに警察官を目指す人々のためにも設置を要望する。
続いて、交番における警察官襲撃に対する安全対策について伺う。
交番が襲撃される事件が結構起こっている。先月9月5日、徳島市の警察署に男が来て、服の中に隠していた包丁、刃渡り19センチメートルを取り出して、拳銃、欲しいけん、もらいに来たんじゃと警察官2人に対して迫った。警察官はさすまたなどを使って対応して、男を銃刀法違反の容疑で現行犯逮捕した。
また、本年7月16日には、福岡県久留米市の交番の警察官にカッターナイフで切りつけようとし、拳銃を奪おうとした事件が発生している。交番が襲撃をされる事件は調べてみると結構あり驚いた。
まずは本県の交番で発生した警察官襲撃事案について、最近の事例を伺う。
【理事者】
まず、本年3月、中村警察署亀島交番の警察官2人が駐車苦情を終えて不在の交番に戻った際、交番敷地内で、拳銃、ちょっと貸してと声をかけてきた被疑者から、警察官1人が顔面付近を殴られる公務執行妨害事案が発生した。
また、平成31年3月、港警察署宝神交番で、警察官が交番内で勤務中、ナイフを所持した被疑者からペットボトルに入った灯油のような液体をまかれる公務執行妨害事案が発生している。 なお、いずれの被疑者も現場で逮捕している。
【委員】
警察官襲撃事案に対する対策として、人的面でどのような対策を取っていくのか伺う。
【理事者】
近年、全国の警察、交番で、警察官が刃物などにより襲撃される事案が発生しており、治安の維持という警察の責務を果たす上で地域警察官の安全対策は不可欠になっている。
このため、交番で勤務する地域警察官は、受傷事故を防止する装備資機材を着装し、安全に配意した勤務体制で勤務しているほか、受傷事故防止訓練を行っている。
具体的に説明すると、勤務中は常に拳銃、警棒、耐刃防護衣、催涙スプレー、無線機器などの装備資機材を着装、携行している。また、街頭活動時はもとより交番内での勤務中を含め、常時警戒体制を保持しており、原則として、複数の警察官による勤務体制で活動し、安全確保を図っている。
このほか、日頃から、逮捕術、柔道、剣道、拳銃射撃、これらの術科訓練に計画的に取り組むとともに、教養課術科指導室と連携して、術科訓練指導者による指導の下、交番への襲撃や拳銃奪取に備えた受傷事故防止訓練を継続して実施している。
【委員】
次に、警察官襲撃事案に対する施設面での対策について伺う。
【理事者】
県警察では、交番襲撃事案の発生を踏まえ、令和2年度から令和4年度までの3年をかけて、県内全ての交番及び駐在所に、一般の人が出入りできる見張り室内を撮影する防犯カメラの増設、見張り室内に容易に乗り越えることのできない高さのカウンター及び遮へい板を設置する安全対策を行った。今後も交番及び駐在所を新設する際には、設計の段階からカウンターや遮へい板を設置するなど、施設面での安全対策を継続していく。
【委員】
新聞報道を見ると、拳銃を狙った襲撃があると思った。交番は物を売っているわけでもなく、お金があるわけでもないため、目的が拳銃奪取というところが非常に悩ましい。そのほかには、からかい、嫌がらせのような襲撃もあると思っている。どうか人的面、施設面でも適切な対応をお願いしたい。
最後に、交番に設置されているコミュニティールームの整備状況や今後の整備方針についてであるが、私の地元、名古屋市守山区に小幡交番がある。小幡交番は新しく建て替えられており、玄関を入ると、遮へい板、机があるが、その横に面会室のような個室がある。これがコミュニティールームとして、プライバシーを守りながら、人に聞かれたくない相談が個室の中ででき、地域住民にとってもよいことだと思う。
そこで、県内におけるコミュニティールームの整備状況、今後の整備方針について伺う。
【理事者】
交番のコミュニティールームは、地域住民からの相談の受理、女性や子供からの事情聴取などの用途に使用する部屋として活用されている。窓にブラインドを設置するなど、相談者や被害者などの心情やプライバシーに配意した造りとなっている。
整備状況については、令和5年10月1日現在、署在地交番を除いた県内382か所の交番のうち121か所、割合として31.7パーセントの交番に設置している。今後も、交番を新築する際には、原則としてコミュニティールームを設置する。
【委員】
県内382か所の交番のうち121か所、31.7パーセントの交番に既に設置がされていること、そして今後新築するときには、原則として設置していくとのことである。地域住民にとって歓迎すべきことだと思っている。
一方で、地域住民にとって利用しやすい交番、身近な交番になり大変結構なことだが、先ほどの質問の襲撃事件を考えると、利用しやすくなった分、よくない考えを持って近寄る人も防がなければならず、同時にリスクも背負って警察官は仕事をしている。いろいろな問題があると思うが、適切に対応し、県民の負託に応えるよう要望する。
【委員】
私からは、県警察における女性警察官及び女性職員の活躍促進について伺う。
平成11年に男女共同参画社会基本法が公布されたことを受け、愛知県では男女共同参画社会基本法及び国の基本計画の趣旨を踏まえ、平成13年3月、愛知県における男女共同参画社会の形成を促進するための基本計画となるあいち男女共同参画プランを策定し、以来5年ごとにプランを改定していると認識している。
先頃、平成14年4月1日施行の愛知県男女共同参画推進条例第14条の規定に基づき、愛知県における昨年度の男女共同参画の推進に関する施策の実施状況の報告を受けた。その報告によると、愛知県職員の管理職に占める女性の割合は13.62パーセントであり、令和7年度末時点での目標である15パーセントに向けて着実に取組を推進しているとの報告を受けた。
県警察でも、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第19条の規定による特定事業主行動計画に基づいた取組を推進していると認識しているが、少子化の進行により生産年齢人口が減少し、労働力不足が深刻化することが見込まれる中、持続的発展が可能な社会を実現し、地域社会など様々な分野の発展を可能にするためには、女性が持つポテンシャルを最大限に発揮してもらうことが重要であり、また、これはワーク・ライフ・バランスの推進にも寄与することだと思う。
そこで、県警察における女性職員の幹部登用状況について伺う。
【理事者】
県警察では、令和2年4月1日付けで、いわゆる女性活躍推進法及び次世代育成支援対策推進法に基づく特定事業主行動計画として、愛知県警察におけるワーク・ライフ・バランス等推進取組計画を策定し、5か年計画で各種取組を推進しており、同取組計画において、女性職員の幹部登用について示している。
警察官については、警部以上の階級に占める女性警察官の割合を2パーセント以上、警察職員については、課長級以上の役員に占める女性警察職員の割合を15パーセント以上とすることを目標としている。
なお、令和5年4月1日現在の警部補以上の階級に占める女性警察官の割合は2.1パーセント、課長級以上の役職に占める女性警察職員の割合は9.4パーセントとなっている。
【委員】
次に女性幹部職員は、どのような役職に何人就いているのか伺う。
【理事者】
初めに、警部以上の階級にある女性警察官の役職等について、警視以上の階級にある女性警察官は6人であり、そのうち警察本部の所属長が1人、次長が1人、調査官が2人、警察署の課長が2人となっている。
警部の階級にある女性警察官は18人で、そのうち警察本部の所属の課長補佐等が10人、警察署の課長及び課長代理が8人となっている。
次に、課長級以上の女性警察職員の役職等について、課長級以上の女性警察職員は5人で、警察本部の管理官が2人、調査官が1人、警察署の課長が2人となっている。
【委員】
まだ実数は少ない。今後、女性職員の幹部登用を促進するために、どのように取組を進めていくのか。
【理事者】
県警察における女性の幹部登用は、必要な経験を積み、昇任試験に合格するという段階を踏んでいく必要があることから、女性の幹部職員が急激に増加するものではない。引き続き、幹部職員の育成に向けた必要な経験を積ませることを意識した計画的な人事管理を行うほか、育児を担う職員が昇任試験で不利益にならないよう、育児休業期間を在級年数として扱うなど、取組を継続していく。
また、子供がいる女性でも活躍できる職場環境の構築に向けて、各種会議やセミナー等を通じて、職員の意識改革を図るとともに、部内向けの機関誌で様々な部署で活躍している女性幹部をロールモデルとして紹介するなど、女性にとって魅力のある職場環境や働き方の発信に努める。
【委員】
非常に時宜を捉えたよい取組だと思う。
ここで一つ記事を紹介する。10月5日付けの朝日新聞の記事であるが、神奈川県での例である。記事をそのまま読む。「必要以上の秘密主義。落胆のため息が出るほどの男社会。県警の定例署長会議が4日、県警本部(横浜市)で開かれ、冒頭で県公安委員の岡田優子氏(元横浜市教育長)が組織の在り方に苦言を呈し、今変わらなければ組織の発展はないと話した。公安委員の訓示でこうした指摘は異例という。岡田氏は、神奈川県警はぜひ女性の活躍できる場であってほしいと願いながら、組織のありようを見てきたと挨拶。現在、神奈川県警の警部以上に占める女性警察官の割合は1.6パーセントと指摘し、女性のロールモデルが非常に少ない、なぜ女性幹部が育たなかったのか、育てなかったのか、ぜひ考えていただきたいと呼びかけた。交番などの施設整備も遅れているといい、トイレや更衣室、今どきと驚く。職場の環境整備を急いでほしいが、なぜか、どの部署も反応が悪いと指摘。自分たちの仲間のことなのに、もっと真剣に考えてと訴えた。県民の半分が女性、被害者の多くが女性。県民の安全を守るための対応方針を決める立場に女性がいないのは実におかしいと述べた。会議は54署長ら幹部職員137人が参加した。女性は栄署長ら3人だった。」
以上が記事である。
この記事の内容と答弁からすると、県警察の現状の見立て、今後の見通しは正しいと思う。
私からの要望事項として、答弁にもあったが、女性のロールモデルが非常に少ないことで、女性警察官、職員がキャリア形成のビジョンを描きにくいと思う。
そのため、県警察では、今後、計画的に女性のロールモデルを意識した幹部職員の育成を行ってほしい。
【委員】
危険ドラッグ事犯及び大麻事犯の情勢、対策について伺う。
先月末、2015年に一度ゼロとなっていた危険ドラッグの販売店舗数が、本年8月末時点で全国に約300店舗あることが厚生労働省の調査で分かったという報道があった。
危険ドラッグの販売動向については、私自身2012年12月定例議会の本会議及び2015年6月定例議会の警察委員会で質問している。
2012年は警察本部長から、2012年7月と11月に県内の脱法ハーブ販売店に対し、県と合同で立入りを行い、販売実態の調査と販売自粛要請を実施、県内の販売店は最盛期で約40店舗あったものが約20店舗まで減少しているとの答弁があった。
また、2015年には組織犯罪対策局長から、危険ドラッグを販売する店舗については、2014年7月時点で県内に18店舗を確認していたが、同年7月15日に愛知県警察危険ドラッグ総合対策本部を設け、強力な取締りを進め、薬事法、薬物の乱用の防止に関する条例などにより販売店9店舗、経営者など28人を検挙した。また、県や東海北陸厚生局の麻薬取締部との合同で立入りを行い、当時営業していた販売店に対し、危険ドラッグの販売を中止するよう指導するなど、2014年10月末までに18店舗全てを廃業、閉店させ、それ以降、愛知県で危険ドラッグに関する事象は激減しているとの答弁を得ていた。
その後も危険ドラッグについてほとんど耳にしなくなった中での今回の報道は、正直ショックを受けた。危険ドラッグは、合成大麻などの名称で売られているとの報道もあり、若者の大麻乱用と併せて大変気がかりである。
そこで、危険ドラッグ及び大麻事犯の現状について伺う。
【理事者】
初めに、危険ドラッグ事犯の検挙人員については、ピーク時の平成27年には84人であったものがそれ以降は減少し、令和3年には3人まで減少した。しかし、昨年からは増加傾向となっており、令和4年は12人、令和5年は8月末現在で14人となっている。
また、最近の危険ドラッグは、以前流通していた植物片や粉状タイプのものではなく、大麻類似成分を含んだ、電子たばこのように吸う液体タイプが多数を占めている。
次に、大麻事犯であるが、近年、検挙人員は増加傾向にあり、令和4年は過去最多の410人となった。令和5年は8月末現在で307人となり、覚醒剤事犯の295人を上回っている。過去、大麻事犯が覚醒剤事犯を上回ったことはなく、大麻事犯の増加を示す結果となっている。
また、大麻事犯における検挙人員の約77パーセントは、10代、20代の若年層であり、若年層の大麻蔓延を示す結果となっている。危険ドラッグ、大麻ともに、インターネットやSNSの発達により容易に入手できるようになったことが増加の原因と考えている。また、大麻は健康への被害が少ないといった誤った認識が広がっていることなども増加の一因である。
【委員】
答弁の内容を確認すると、今年度の現時点での大麻事犯の検挙人員が覚醒剤事犯を上回るという、これまでにない状況が発生していること、若年層に対する大麻蔓延がかなり深刻であること、加えて危険ドラッグも増加傾向とのことである。薬物は使用年齢が早ければ早いほど依存症になりやすく、また治療も困難になってしまうとも言われている。当然のことながら様々な対策の強化が求められる。
そこで、危険ドラッグ及び大麻事犯の取締り状況及び方策について伺う。
【理事者】
薬物事犯については、末端乱用者に対する取締りだけではなく、供給側に対する捜査が重要である。
まず、危険ドラッグであるが、最近の状況から、愛知県内にも危険ドラッグ販売店舗が存在していると考えており、東海北陸厚生局麻薬取締部等の関係機関と連携して、県内の実態把握及び取締りを推進している。
次に、大麻事犯については、末端乱用者の検挙等を端緒として、供給側を営利目的の大麻密輸入事件、大麻栽培事件等で検挙しており、一例として、令和5年5月に末端価格約18億円相当の乾燥大麻を密輸入した被疑者を検挙し、同年7月には、全国に乾燥大麻を供給していた福島県内の大麻栽培工場を摘発し、関係被疑者4人を検挙して、大麻草約250株を押収している。また、最近ではSNS利用による大麻の密売事件についても検挙している。
引き続き末端乱用者だけではなく、供給側の密輸入、それから密売組織に対する捜査を強力に推進していきたい。
【委員】
8月末、大麻取締法違反の罪に問われた俳優の永山絢斗被告の初公判が開かれ、その場で、永山絢斗被告が大麻を初めて使用したのは中学2年生のときであったという衝撃的な事実が明らかになった。また、最近では、日本大学アメリカンフットボール部の学生寮で大麻と覚醒剤が見つかった事件も大変大きな話題となっている。
こうした中、政府は今月20日招集の臨時国会で、てんかんの治療薬など、大麻由来の成分を使った医療用大麻を使えるようにする一方、乱用を防ぐため、罰則つきの使用罪を新たに設けるといった大麻取締法の改正案を提出する方針であるとの報道がある。
私が懸念しているのは、若者に大麻解禁と誤った認識が広まらないかという点である。若年層に対する広報啓発の重要性が一層増していることは間違いない。
そこで、若年層に大麻をはじめとした薬物乱用が増加して問題となっているが、広報啓発はどのように行っていくのか。
【理事者】
県警察としては、教育委員会や学校と連携し、警察官が小中高等学校を訪問して薬物乱用防止教室を開催し、DVDの視聴、薬物標本等の閲覧、グループワークを取り入れた講話等を通じて、大麻をはじめとする薬物の危険性、有害性、違法性を正確に伝え、児童生徒の心に響く啓発に努めており、令和4年は合計556校、約9万2,000人の児童生徒を対象に実施した。
また、薬物の危険性について、多くの若者に関心を持ってもらうために作成した漫画や動画を県警察公式SNSなどへ掲載し、注意喚起を図っている。
さらに、大学運動部員による薬物乱用がクローズアップされたことから、これまでに愛知県内の大学運動部員等に対する薬物乱用防止講話を実施しており、今後は社会人クラブチームに対しても講話を実施する予定である。
県警察としては、引き続き関係機関と連携の上、特に若年層を重点に薬物の危険性、有害性、違法性に関する広報啓発活動を推進して、大麻をはじめとした薬物乱用の未然防止に努める。
【委員】
近年、大麻をはじめとした薬物乱用問題は本県に限らず全国的な問題で、今まさに対策の強化が求められている。答弁でも様々な取組を実施していることが分かり、先日の本会議の一般質問では、県側の取組も明らかになった。ぜひ関係者が一丸となって若者の薬物乱用防止により一層力を入れることを要望する。
【委員】
2023年の夏は、日本各地にある、気象観測史上で最高記録の猛暑だったとも言われている。こうした状況下にあって、愛知県内の病院施設、医療施設内、保健所で勤務する人は、まだ完全に終息しない新型コロナウイルス感染が拡散していることもあり、マスクを着用する人がいる。しかし、屋内外でも徹底したマスク着用をする県警察職員の姿に理解はするものの、真夏の炎天下の街頭で警察職員だけがマスク着用を強いられているのは異常で、人権侵害に抵触しているのではないかと県民の声も寄せられている。猛暑の中、県民の安心・安全のために体力の限界まで頑張ってきた数多くの警察職員に心から敬意を表する。
私の事務所にも警察職員の家族から、非人道的なまでの苛酷さを求めるのかとの問合せや心配する声も届いていた。真夏の炎天下で街頭に出向いて活動していた職員の健康を考え、サングラス着用とマスク着用について伺う。
7月に富山県警察で白バイパトカーの職員、巡回する警ら活動に従事する警察職員がサングラスを着用する雄姿を地元のテレビ局や新聞社に報道され、全国的に反響があった。
この委員会で質問をするに当たって、真夏の街頭で活動する県警察の職員は、サングラス着用は許可されていないのかと尋ねると、既に県警察でも職域、個々の必要に応じて許可している。特に本人の健康上の理由があれば認めているとのことであったが、県民の多くは、愛知県内で警察職員のサングラス着用の雄姿をほとんど見たことがなかった。富山県警察のように、愛知県警察は、サングラスを着用して白バイ、パトカー、街頭で巡回する警察職員が活動する広報を、地元のマスコミを通じて理解してもらえるようにすべきではないのか。
県警察は、これまでどのように広報に努めたのか伺う。
【理事者】
富山県警察の取組について報道されたことは承知している。県警察では、サングラスの着用について個別の業務上の必要に応じて判断している。
これまで警察官がサングラスを使用する場合があることについて広報した実績はない。
【委員】
10月7日の中日新聞の夕刊に、目の健康セーブ、警察官の記事が掲載されていた。パトカー隊員、白バイ隊員、海上警察隊員、地域の警ら隊員の警察官の4人がりりしく挙手敬礼するカラー写真で紹介されていた。それは長崎県警察とあり驚いた。中日新聞といえば、愛知県、岐阜県、三重県を中心とした地元を代表する全国紙である。なぜ、長崎県警察の記事であるのか。この記事に、富山県警察も7月、交通部門に限り認めており、着用の動きは広がりつつあるとも紹介されていた。そこには一言も愛知県警察でも実施しているという内容の紹介はなかった。愛知県警察としてこの記事をどう感じているか、率直な感想を求める。なぜ、愛知県警察の広報活動は著しく鈍いのか。今後の取組の改善、即応性を求め、率直な答弁を求める。
【理事者】
まず、記事の関係について、サングラスの着用は、それぞれの都道府県警察で必要性を判断していると承知している。広報の在り方についても、それぞれの県で必要性を総合的に判断しながら行っていると承知している。
続いて、広報に関しては、必要性、効果などを総合的に判断しながら、適時適切な広報に努めている。サングラスの着用については、個別での判断に鑑み、これまで警察官がサングラスを着用する場合があることに関して、先ほども答弁したが、広報したことはない。今後も適正な広報が行えるように努めていく。
【委員】
たまたま中日新聞が長崎県警察の記事を載せた。なぜここに、愛知県警察も実施していると出ていなかったのか。すなわち、伝えていなかったから記事にならなかった。私はそこを問題にしている。
警察専用に記者クラブがある。そのようなところを適当な方法で伝える体制に改善することを要望する。
次に、愛知県警察の職員に対するマスク着用について伺う。
県警察は真夏の炎天下で活動する職員に対して、どこまでマスク着用を求めていたのか。
警察職員の健康はそれぞれ相違するが、この点への配慮はどのような判断基準かを伺う。
県民と直接に対面する場所以外では、マスク着用は必要ないのではないか、この点も見解を求める。
【理事者】
県警察では、原則として、警察活動中はマスクを着用する。これは、警察は数多くの県民と接する仕事であり、県民の一定数がマスクを着用している状況に鑑みれば、相手方に感染の懸念を与えないようにする必要があることや、まだコロナウイルスの感染が終息していないことから、業務継続性を確立していく上で必要と考えるものである。
続いて、炎天下での活動についてである。
炎天下での活動など、マスクをしていることにより職員が体調不良となるような場合や個人的な事情からマスクを着用できない場合は、個人の判断でマスクを外すことができるようにしている。
また、対面以外ではマスク着用は、不要ではないかということについて、繰り返しになるが、県警察では、原則として警察活動中はマスクを着用する。警察官は、例えば、医療機関、高齢者施設等マスクの着用が推奨されている場合のほか、繁華街などの大勢が集まる商業施設等、様々な場所で活動することもある。県警察としては、こうしたことを総合的に判断して、執務時間中は感染防止対策として原則マスクを着用している。
一方で、繰り返しになるが、炎天下での屋外活動や、捜査活動に支障がある場合は、個人的な判断でマスクを外すようにしている。
なお、マスクの原則着用の是非については、今後も必要性等を検討していきたい。
【委員】
日本の社会は少子・高齢化によって、外国人労働者の働きは必要不可欠となっている。毎年、外国人労働者が県内事業所で働く姿が急増している。新型コロナウイルス感染症が改善されたとして治療への取扱いが2類から5類となり、訪日外国人旅行者も急増している。訪日外国人旅行者の道案内、施設案内、トラブルも多くなっている。街頭で活動する警察職員にも通訳行為が求められる。さらに外国人の労働者が急増するのと並行して、外国人による交通事犯、刑事犯が数多く発生している。そのたびに警察職員は、事案の処理のために通訳の必要性が多くなっている。
そこで、愛知県に訪れる外国人対策、急増している外国人労働者対策に関する通訳について質問する。
現在の県警察における通訳体制はどのような状況なのか。
【理事者】
県警察では、本年8月末現在、警察職員の通訳人を16言語で306人、民間の通訳人を43言語で213人、合わせて43言語で519人の通訳人を運用している。
これらの警察職員及び民間の通訳人は、名古屋市南区の警察本部名南分庁舎に所在する教養課国際警察センターで一括して運用しており、事案に応じて警察署や現場に派遣したり、電話による通訳も行っている。
また、警察職員の通訳人306人のうち273人は警察署等で勤務していることから、こうした職員は外国人来訪者の相談などにも対応している。
【委員】
通訳の運用状況はどのようになっているのか。
【理事者】
令和4年は、約1万4,000件の通訳、翻訳業務で通訳人を運用している。
言語別では、ベトナム語、中国語、ポルトガル語の運用が多く、この3言語で全体の約半数を占めている。
また、運用実績を事案別で見ると、取調べ等の犯罪捜査関係が9割以上と大半を占め、その他では、警察に寄せられる相談や落とし物、遺失届の受理などがある。
【委員】
通訳人の育成はどうなっているのか伺う。
【理事者】
警察官の通訳人は、警察官としての能力と通訳人としての能力の両方が求められることから、実務経験と語学の素養を勘案した上で候補者を選定し、東京都内にある警察大学校の国際警察センターや民間の語学学校への派遣による教養を受けさせて、必要な語学力を習得させている。
また、既に通訳人になっている警察官についても、警察大学校国際警察センターで行われるブラッシュアップ研修において取調べ等のロールプレイングを行わせたり、民間の語学学校における研修で通訳手法を学ばせたりするなど、言語能力の維持向上を図っている。
【委員】
地域警察官の現場における通訳、翻訳方策について伺う。
【理事者】
地域警察官は、スマートフォン型のデータ端末を所持して活動しているが、このデータ端末は、平成31年に警察庁が整備した高度警察情報通信基盤システムの一部であり、通称ポリス・トリプルアイと呼んでいるものである。ポリス・トリプルアイには、画像・映像伝達機能や110番事案情報表示機能等、地域警察官が現場で活動する際に活用することができる機能が搭載されており、その一つに多言語翻訳機能がある。
多言語翻訳機能には、英語、中国語等13言語での音声による相互翻訳機能と、ロシア語、ドイツ語等16言語での定型的な言葉や日本語で入力した音声、文字を相手の言語に変換するテキスト翻訳機能の2種類がある。
日本語が理解できない訪日外国人等とのコミュニケーションを図るため、事件、事故をはじめ、地理案内や遺失拾得物への対応など、様々な活動において活用している。今後もこの翻訳機能を活用し、訪日外国人等に対して適切に対応していく。
【委員】
過日の警察委員会の県内調査において、中警察署内の一隅で外国人通訳に取り組んでいる光景を見たが、脆弱な体制なのかと言葉を失った。
答弁では、国際警察センターが名古屋市南区内に施設として存在し、それなりに対応しているとのことであった。もう少し具体的に開設の時期、施設の規模、業務内容、通訳員の育成、指導体制等について説明を求める。他の警察委員会の所属議員にも外国人の通訳に関する拠点の国際警察センターの役割も含めて理解を深めてもらいたいため、簡明に説明を求める。
【理事者】
国際警察センターは、増加する外国人犯罪等に対応するため、平成4年に刑事部に通訳センターとして設置され、以降、平成12年に警務部教養課に移管、平成21年に新たに外国人集住地域等の総合対策に関する業務を加えて、名称を国際警察センターに変更し、現在に至っている。
施設規模は、名古屋市南区内の警察本部名南分庁舎において、本年4月現在、事務室2室と25人程度収容可能な研修室1室の3室に、通訳人約30人が在籍している。
業務内容は、県警察における通訳・翻訳業務、在留外国人の安全確保のための総合対策及び語学教養の企画等を行っている。
通訳人の指導・育成体制は、担当の職員が通訳人として素養のある職員や既に通訳員となっている職員に対し、警察大学校や民間の語学学校での語学教養を受けさせるための企画等を行っているほか、同センターのベテラン通訳人も若手通訳人の語学レベルのチェックを行うなど、随時教養の支援を行っている。
【委員】
もう一点、警察大学校国際警察センターや民間学校へ派遣による教養を受けさせているとの説明があった。警察大学校国際警察センターはどこにあるのか。民間学校にも派遣しているとのことであったが、これまでどのような人材がどれだけ派遣されたのか、実績と成果も含めて伺う。
【理事者】
警察大学校国際警察センターの所在地は、東京都府中市朝日町3丁目12番地の1である。
同センターは警察庁の附属機関であり、県警察から同センターに派遣した職員は、過去5年間で合計115人である。令和5年度は8月末現在で、中国語、韓国語、ベトナム語などの言語を学ぶため12人の職員を派遣し、語学教養を受けさせている。
次に、県警察における民間の語学学校での教養実績については、過去5年間で合計418人が受講している。いずれの教養も通訳人としての実力をつけるためのもので、実務経験や語学の素養があり、これから通訳人として育成していく者や既に通訳人として活躍しており、能力の維持向上を図る必要がある者を対象としている。
これらの語学教養を受講した職員は、必要に応じて事案対応の現場や取調べなどの通訳業務に従事し、令和4年は約1万4,000件の通訳・翻訳業務に対応している。
【委員】
県警察本部として、このままの体制で第20回アジア競技大会に臨むのか。大会開催は3年後である。県警察本部はどのように考えているのか。アジア競技大会及びその後においても、県警察本部が統括した外国人対応の通訳体制を築く本格的な施設が不可欠ではないのか。
【理事者】
アジア競技大会の開催により、警察が取り扱うべき事象が大幅に増加するとは現時点で予想し難く、一方で、現在の警察職員の通訳体制が20年前の約1.5倍となっていることや多言語翻訳機能を備えた携帯端末が整備されたことなどから、アジア競技大会が開催されることのみをもって通訳体制を増強したり、施設を増築したりする必要性は必ずしも高くはないと考えている。
しかしながら、国際化が今後一層進展していく中で、県警察として必要な通訳の体制や施設が確保されているかどうかについては、不断の見直しを行っていきたい。
【委員】
将来を見据えた外国人の人権問題、雇用トラブル、生活トラブル、交通犯罪、刑事事案について、いつでも対応すべきだと思うがどうか。
【理事者】
国籍や民族の違いにかかわらず、我が国で生活する全ての人々が安心して暮らせる安全な社会を実現することは大変重要なことである。県警察としては、各種事件、事故から人々を守るという観点から、これまでにも在留外国人の犯罪被害、交通事故防止や外国人コミュニティへの犯罪組織等の浸透防止を図るため、在留外国人の安全確保のための総合対策として、防犯、交通安全、防災等の安全対策、違法行為に対する厳正な取締り、外国人コミュニティへの犯罪組織浸透等に関する実態把握を活動の柱として取り組んでいる。
また、外国人からの様々な生活上の困り事に関しては、警察安全相談等として組織的に対応している。
今後も外国人コミュニティに対する情報発信や自治体等が主催する多文化共生イベントへの参画等を通じ、我が国で生活する全ての人々が安心して暮らせる安全な社会の実現を図っていきたい。
【委員】
本格的な通訳機能を備えた施設に、最新のAI技術による通訳機器の導入が急がれると思うが、県警察としてどのように考えているのか伺う。
現行の通訳体制では、外国人の事案を限られた警察職員で解決するには限度があると危惧するからである。
【理事者】
限られた警察力の中で複雑多様化する警察業務に対応するため、先端技術を警察業務に取り入れることは重要であり、AI技術を伴う通訳・翻訳機器は、交通関係をはじめとした各種の窓口業務などでは有用性が見込まれる。
一方、警察の通訳・翻訳業務は、大半が取調べ等の事件捜査に関するもので、この場合、刑事訴訟法や犯罪捜査規範では、通訳人に通訳をさせなければならない、通訳人を介して取調べを行ったとき、翻訳人に書面を翻訳させたときは、通訳人、翻訳人の署名を求めなければならない旨が規定されている。また、通訳の正確性への検証への対応や情報流出のおそれの排除などについても考慮する必要もある。
こうしたことから、AI技術を伴う通訳・翻訳機器の導入については、業務の特性や通訳、翻訳の精度等を勘案しつつ、適切に判断していきたい。
県警察では、本年8月末現在、20年前の約1.5倍となる警察職員と民間等を合わせた519人の通訳人を運用しており、各警察署からの通訳要請に対しては、事案に応じて国際警察センターから通訳人を警察署や現場に派遣したり、電話による通訳を行ったりするなど適時対応しており、現時点で通訳体制は十分に機能していると考える。
【委員】
次に、老朽化した警察署の建て替えの推進が急務となっており、古い警察署では庁舎の狭隘が問題となっているが、どのように考えているのか伺う。
【理事者】
本県では、警察署の老朽化が進んでおり、古い警察署では、狭隘の問題が起こっている。また、相談室やバリアフリーなどの住民サービス機能の設備が不十分であること、災害が発生した場合には災害警備活動の拠点となることから、必要性に応じて建て替えの整備を進めている。
【委員】
一つの例として、話をする。
名東警察署が開設されたのは45年前である。名東警察署が完成した披露式典で、県警察本部からの来賓の幹部が挨拶した内容を今でもはっきり記憶している。
名東警察署が完成した45年前、名古屋市名東区では、新興住宅を建設する土地区画整理事業が各地で工事中であった。名東区全体ではまだ住宅の数もまばらであった。このような開発建設途上の名東区にあって、市営地下鉄駅だけは既に4か所が完成していた。さらに、東名高速道路、名神高速道路の重要な中央に位置する日本の東西の要でもある名古屋インターチェンジも完成していた。東名阪自動車道や国道302号、環状2号線、名古屋インターチェンジから直結する上社ジャンクション等は計画中で未完成であった。
名東警察署の完成式典に県警本部からの来賓として参加した幹部職員は、名東警察署は間もなく住宅建設の土地区画整理事業が完成すると大量の住宅建設で人口も急増し、さらに主要道路等が実現するが、そのときには、住民の安心・安全に対応できるようにと名東警察署の建物が増設できる設計計画がされていると、地域住民に力強く挨拶したことを記憶している。犯罪の状況と住民の要望もあって、名東警察署員を増員したが、式典での約束である名東警察署の増設はまだ放置されたままである。今では名東区内の民間事業者も含めて、危険で劣悪な施設は名東警察署だとさえ言われている。このままでは増設する頃には老朽化が進み、増設するまでもなく名東警察署の建て替えが必要になる。増設計画はないと考えてよいのか。
【理事者】
名東警察署は、昭和53年建築、経年が45年となっている。これは県内45警察署中20番目、建て替え中の警察署を除くと15番目の経年となっている。
狭隘については、建築時132人の職員定数であったが、現在は192人と約1.5倍に増加しており、これは県内45警察署中27番目、建て替え中の警察署を除くと22番目となっている。
警察署の建て替えは、経年、狭隘のほか、災害対策上の問題、来庁者の利便性を総合的に勘案し検討しているため、名東警察署においても、他の警察署の整備状況を踏まえながら、順次建て替えの整備を推進していきたい。
【委員】
要するに、増設はあのときの気持ちを述べただけでリップサービスだと考える。残念であるが、増設はあるものだと理解している区民に対し、伝えていきたい。
県内の老朽化した警察署は、いずれも庁舎の狭隘が大きな問題となっている。名東警察署は事務室の通路が狭く、危険性を感じる。原因は署員の増員により事務机、ロッカー、書庫等の数が多いからである。どのように対応していくのか伺う。現場を見た限りでは対処ができていないのが現実である。通路が狭過ぎて地震や火災で逃げられない。どのような考えなのか伺う。
京都アニメーション放火殺人事件があったが、同様な事案が生じたときには、ほとんどの職員が逃げられないことを知るべきである。この事件があったからなのかはっきりはしないが、名東警察署への訪問者は、玄関入り口で、警察署員による検問を行うなど警備強化がされている。この点については、とてもよいことだと評価している。
私は、最近、名東消防署に連絡し、名東警察署の施設の防火管理について査察指導を求めた。名東消防署の所見は、荷物が置かれた階段や廊下、扉等には、消防の防火指導、改善を求めることができるが、室内の狭隘な通路に関しては、消防の法令違反に該当せず、指導、勧告はできないとの回答であった。
それにしても名東警察署内の各階の室内は、必要不可欠な書類を整理するロッカーや机の上の書類をもって決して安全で快適な労働環境でないことには変わりなく、署の敷地外で保管倉庫を建設することで、これらのロッカー等整備の機材を納めることもできる。検討を求めるよう要望する。いつまでも労働環境を悪化させたままで、何も改善せず、名東警察署員の安全をないがしろにしてはならない。当局のこうした状況についてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
まず、名東警察署内の通路が狭い理由、原因等であるが、ロッカーや書庫の配置は、事務室内の広さや業務内容の状況を踏まえて、警察署において検討、工夫している。また、警察業務の性質上、一般来庁者と空間を区別するためにあえて書庫を間仕切りとして使用する場合もある。
なお、改修が必要となるなど、警察署などでは対応できない要因が発生した場合には、警察本部としても関与して組織的に対応していきたい。
次に、地震や火災時に逃げられないのではないかということに対しては、9月に名東消防署による立入検査が行われており、現場における法令違反や指導対象とされた項目はなかったが、今後、職員の安全のため、可能な範囲で状況の改善に向け不断の検討をしていきたい。
最後に、名東署の安全をないがしろにしてはならないということに対してだが、警察署勤務における職場環境は、安全かつ快適に維持されなければならない。よって、関係法令を遵守しつつ、庁舎管理を推進して職場環境の整備に努めたい。
【委員】
次に、各警察署に配置されていた署長公舎、官舎について伺う。
署長公舎は現在も警察署に全てあるのか。署長公舎に署長と家族が同居している数を伺う。あわせて、署長が単独入居している数も伺う。
【理事者】
警察署長公舎は、45警察署全てに設置している。そのうち8割に当たる36警察署は、民間マンションの借り上げにより整備している。
次に、警察署長公舎に署長と家族が同居している数について、現在は家族が同居しているところはなく、45警察署全ての署長が単身で入居している。
【委員】
署長公舎の改修状況について伺う。
【理事者】
経年に伴う修繕は随時実施しており、入居する署長の生活に支障のないよう対応している。
【委員】
貴重な県警察の財産である署長公舎を売却処分していることも承知している。どのような経緯で売却し、跡地の利用活用を十分に検討したのか伺う。
私は、数多くの署長公舎が未利用で、ほとんどがマンションに移っているならば、取り壊して、警察署が取扱い上どうしても必要だと思われる書類の安全保管倉庫を建設すれば、現状のような事務室内の狭隘や危険な状況が少しでも改善されると思っている。どのように考えているのか、署長公舎についての県警察本部の考えを伺う。
現状では、警察署の近くのマンション等を公費で借り上げ、単身で入居しているようである。これはどのような理由なのか。小さなワンルームマンションの借り上げで、狭隘な住居しか思い浮かばない。借り上げているマンションの広さを聞かないと、誤解されると思うので伺う。
私が言いたいのは、署長就任の年齢の頃には、署長の子供の進学、就職、結婚の頃の大切な時期に向かっていると思う。一家の柱が不在となる別居を強いられる家庭環境は不自然だと強く思うからである。
【理事者】
公舎は、順次、民間マンションの借り上げに移行して、整備を進めている。公舎として利用をやめた施設は、事情に応じて、倉庫や女性用宿直施設などにして利活用を図るものであるが、警察署に隣接しておらず、使い勝手が悪いなどの理由で有効な利活用方針がないものは、建物を取壊しの上、県総務局において敷地の売却手続がされることになる。
次に、警察署長公舎は施設の老朽化による修繕等の維持管理費の負担増を勘案し、順次民間マンションの借り上げに移行し、整備を進めている。民間マンション移行により公舎としての利用をやめた施設は、施設の状況を踏まえ、利活用や売却するなどして、最適な方法を採っていきたい。
署長公舎の平均的な大きさは、民間マンションを借り上げる際の選定条件として、広さは60平方メートルから75平方メートルという基準を設けている。現在、住んでいるマンションの平均は、約3.3部屋あり、約63.7平方メートルとなっている。
【理事者】
警察署長は、警察署管内の治安責任を負うこととされており、管内で発生する事件、事故、災害等、様々な事象に対して迅速に対応することが求められている。このため、県警察では、警察署長は、原則として署長公舎に居住している。
警察署長においても様々な家庭的な事情を抱えている場合もあるので、それぞれの事情と治安責任を全うすることのバランスに必要な配慮は行っている。
【委員】
答弁は素直に理解するが、1点、署長になり公舎に住む全員が1人で生活していることは理解できない。署長の年齢の頃には大切な家庭もいるはずである。1人も夫婦で生活していない官舎は異常である。そのことをよく考えてもらいたい。昔は署長が憧れであり、目標であった。しかし今の若い人たちと面談すると、署長になると1人で生活させられ、責任は重く、忙しい、署長だけにはなりたくないと、このような話をする職場がどこにあるのか。そういうことを考えて運営してもらいたい。こういう状況がはっきりしてくると、警察官の成り手はなく、未来が見えてこないことを強調しておく。
【委員】
次に、ジブリパーク関連の交通安全対策について伺う。
愛・地球博記念公園内に、ジブリパーク施設の完成が続いている。ジブリパーク付近、愛・地球博記念公園の自動車利用者の激増、混乱が予測され、交差点の改良、信号機の増設も含めて、県警察が総力を挙げて取り組み、改善された。
本会議でも、大村秀章知事をはじめ、県は総力を挙げて交通の改革に取り組むと幾度も話している。しかし、ジブリパーク利用者を含む大量の人員が利用する藤が丘駅周辺の交通の安全対策は大幅に遅れている。ジブリパークを利用する歩行者に対する安全対策がほとんど実施されていない。
大村秀章知事も自らの知事選挙や県・市会議員の選挙の応援でも、藤が丘駅周辺の整備については全力で取り組むと、幾度も街頭で演説している。しかし、何も交通安全対策は行われていない。
これまで名東区民は、ジブリパーク利用者を含めた地下鉄の藤が丘駅の大混雑を解決するため、歩行者の安全対策として、藤が丘駅と商店街を結ぶ横断歩道に対し、早急に信号機の設置を要望している。名東警察署や県警察本部の交通部も地下鉄藤が丘周辺の北改札口の前の混雑する横断歩道に信号機が必要だと認めている。いつこれが実施されるのか伺う。
9月補正予算において、藤が丘駅周辺の安全対策の歩行者信号機の設置は、予算の中に計上されているのか伺う。
【理事者】
9月補正予算は、今年上半期の交通事故情勢を踏まえた交通事故緊急対策として、交通事故多発交差点の信号灯器のLED化等を実施するものであり、藤が丘駅周辺も含め、信号機設置の予算は計上していない。
【委員】
ジブリパーク施設はこれまで年次計画が発表され、そして施設も次々と完成している。ジブリパーク利用時の拠点でもある地下鉄藤が丘駅北改札口前の横断歩道への信号機の設置の手続はどの程度まで進んでいるのか伺う。
【理事者】
通常、信号機の設置は、地域住民や道路利用者等からのニーズも踏まえ、要望箇所について、警察庁交通局長通達である信号機設置の指針に挙げられている条件に適合するか否かを現場調査により判断した上で、次年度の設置箇所として選定している。現在、藤が丘駅北改札口前の横断歩道への信号設置についても、同様の手続によって必要性について検討を行っている。
【委員】
次の補正予算や令和6年度当初予算には、藤が丘駅周辺の交通の大混雑の解消、安全対策のための歩行者信号機の設置がされるのか。
【理事者】
藤が丘駅北改札口前の横断歩道への信号機の設置については、信号機設置の指針に基づき、必要性について現在検討を行っている。その検討の結果、設置の必要性があると判断された場合には、設置に必要な予算を要求する。
【委員】
車による会場付近の交通混雑は考えて対応したが、藤が丘駅を利用して来る者は、そこから乗り換えて、また会場まで行く。そのような重要な接点の人に対する交通安全対策が遅れていることは考えられない。そのため、地域の人々も再三望んでおり、これからもジブリパークを利用する人々がいるため、早急な対応をお願いする。
県警察は、第一次的に、ジブリパーク会場付近、愛・地球博記念公園の交通混雑を防止するために、交差点改良、信号機設置、横断歩道等の交通安全対策を再優先で実行した。次は、公共交通機関を利用し、ジブリパークにも大勢来る来訪者を含めた拠点でもある地下鉄藤が丘駅北口改札付近の大混雑を鑑みたとき、歩行者用の信号機設置はどうしても早急に必要である。ぜひ安全対策を最重点で早急に実現できるよう、強く要望する。
次に、最近、個人タクシーの運転手の年齢制限が80歳になるとの報道を見た。この背景にはいろいろな理由があると理解する。今回この基準を定めるとしたのは、国の機関でもある国土交通省である。国土交通省が見解を示したのは、訪日外国人の増加も含めて、タクシー運転手の不足を改善することが背景にある。
そこで、高齢者による運転免許証の返納の観点から伺う。これまで県警察は、高齢者の運転免許証の返納の年齢を、何歳頃を一応の目安と定めて県民に呼びかけてきたのか。
【理事者】
高齢運転者は加齢に伴う様々な身体機能の低下により、交通事故を起こす運転リスクが高まっていくと考えられるが、加齢に伴う身体機能の低下や運動能力には個人差があることを踏まえて、一定の年齢に達したことをもって一律に自主返納を呼びかけるのではなく、自らの運転に不安があれば、年齢にかかわらず自主返納を検討してもらうよう呼びかけを行っている。
【委員】
個人タクシー運転手の80歳の規定は、高齢者にとっては大変な参考基準になるとの声が多くある。現在、高齢者は本人のプライドや利便性も勘案して、返納者が減少傾向にあると言われている。今後は、高齢者運転免許証の返納の基準は、高齢者側からすると約80歳として考えてもよいという考えに至っているようである。
先日、私も含めた高齢者の世代において、率直な意見交換があった。高齢者の交通事故があるたびに、県警察やマスコミによって65歳以上の前期高齢者、75歳以上の後期高齢者が免許証返納の対象であるがごとく風評に踊らされ、不当に返納を強いられた。そこに、家族までがこの風評に押されて、高齢者に対していじめのような空気がつくられてしまった。これからは、80歳を運転免許証の一つの基準として考えようとした高齢者の声が本当に多くなっている。ましてや幼稚園の通園バス、高齢者施設の送迎バスで今活躍している前期、後期の高齢者の運転手を雇用している施設責任者からも、80歳までに就業規則を変えなければならないのではないか、変えてもいいのではないかという相談の問合せがあった。私は正直言って返答に苦慮している。この傾向に対する県警察としての率直な所感を伺う。
【理事者】
運転免許証の自主返納については、年齢を基準とするものではなく、それぞれの運転手が自らの運転を見詰め直す中で自主的に判断するものである。県警察としては、今後も引き続き、運転免許証の自主返納制度の周知を含めた高齢運転者対策に取り組んでいく。
【委員】
答弁のような考え方で、私も率直に問合せに対して回答しているが、一旦こういった流れができてしまうと、高齢者自身は80歳までは大丈夫だ、80歳まで頑張らなくてどうするんだ、ぼけ防止のためにも運転するんだと言い出す人が多くなった。こういったことが本当にいいのかどうか問題であるが、言えることは、高齢者の運転免許証の返納については、新たな考え方、丁寧な説明方法を考えないといけなくなっている。もう一度そういった呼びかけについても丁寧に高齢者の運転免許証返納について対応するよう所見を求める。
【理事者】
委員の見解については、法令等に違反するものでなく、そのとおりだと認識している。運転を継続するかの判断は、年齢のみではなく、健康状態、身体機能、運転技能等を総合的に勘案して判断するものである。
【委員】
高齢者の運転免許証の返納の組立てをしないと、高齢者側は、80歳までは返さないほうがいいとなる。そうではないと丁寧に、優しく、繰り返し同じことを言うのではなく、一つの方策を示して進むよう要望する。
【委員】
警察署について質問する。
既にこの委員会の中で、委員から警察署の新しい在り方について発言があったので、私からは少し違う切り口で質問する。
ここ数年、着実に愛知県内において新しい警察署の建て替えが進んでいるが、本県の警察署における経年、狭隘の現状について伺う。
【理事者】
本県では、築30年以上の警察署が全体の69パーセント、また、築40年以上経過している警察署が56パーセントと非常に老朽化が進んでいる。
また、狭隘については、警察官が増員されていることが一つの要因となっているが、一例を挙げると、守山警察署では、署員数が建築時からは約1.9倍、緑警察署では建築時の約2倍と、施設の狭隘化も一つの大きな問題となっている。
さらには、相談室、バリアフリー機能などの住民サービス機能の設備も不十分であり、災害発生時における災害警備活動の拠点として考えても、施設の現状を勘案し、必要性に応じて建て替え整備を行っている。
【委員】
今の答弁は、経年のみにとらわれないと理解したい。先ほど、南部文宏委員の質問でも触れていたが、先般、供用開始前の段階であったが、豊川警察署の現地調査を実施し、改めて、地域のとりでとして誇らしく感じながら視察した。
豊川警察署は、当日の調査の中で経年58年と説明を受けた。狭隘化も45ある県内の警察署の中で上から数えて1桁の早い段階にあり、新築に踏み切ったという説明を受けた。
9月定例議会の開会日に、大村秀章知事から議案の提案理由の説明があり、その中でやはり豊川警察署について触れられていた。
知事の発言を一部抜粋して読み上げると、新庁舎の外観には、豊川市内の寺社仏閣、東三河地域の伝統文化をモチーフとしたデザインを採用するなど、県民に親しまれやすいまちと調和した庁舎となるよう配慮し、まちづくりを意識した、警察署の新しい位置づけについても述べられていた。
また、豊川署の新しい位置づけに触れたその後に、リニア中央新幹線の建設促進についても発言している。その発言の中で、知事の発言をそのまま読み上げると、8月10日には私が会長を務めるリニア中央新幹線建設促進愛知県期成同盟会の総会を開催し、名古屋東京間の早期整備はもとより、名古屋駅のスーパーターミナル化や県内各地域で進められている駅周辺のまちづくり事業の積極的な支援、協力を決議した。こう発言しているが、名古屋駅のスーパーターミナル化、駅周辺の開発に私の地元中村区は関わっており、まさに開発が急速に進む名古屋駅に隣接したところに陸の玄関の守りの要である中村警察署は位置している。
そこで、中村警察署の経年、狭隘の現状について伺う。
【理事者】
中村警察署は、昭和63年3月に建築され、経年が35年となっている。これは、県内全体で45警察署中29番目、現在、建て替え中の警察署を除くと、24番目という状況である。
また、狭隘に関しては、建設時427人であったが、現在は412人で、県内45警察中35番目、建て替え警察署を除くと30番目になっている。
【委員】
県内45警察署中29位、建て替えが進んでいる警察署を除くと24位で、例えば1年1署と考えると中村警察署が建て替えになるのは、早くて24年後、リニア中央新幹線が開業するのはおおむね4年後という計算になるが、ここからは質問というよりは、私からこの場を借りて提案したい。
リニアインパクト、リニア効果という言葉が使われるようになって久しいが、ぜひこの言葉の上で、愛知県の守りの要である県警察本部がリニア効果をもってどうこの地域の次世代の安心・安全、犯罪のないまち、事故の起きないまちづくりに寄与するメッセージを発信していくのかというのは、名古屋市周辺の開発に伴う中村警察署の在り方が大きく関わってくると感じている。
リニアの駅はまだ誰も見たことがない。世界に2か所だけリニアの駅ができる。東京都の港区と愛知県の中村区である。発着点、終着点、この2か所だけである。世界で2か所しかないまちづくりを愛知県は担っており、その中で、特に中村警察署のある場所は、愛知県のみならずこの国の陸の玄関になり得る。リニアの来るまち、新しい名古屋駅を守る、もちろんそこに暮らす区民の暮らし、安心・安全を守ることにつながるわけである。今進めている警察署の経年、狭隘化に対して先人が本当に知恵を結集して順序立てを考えてつくってきた新しい警察署の新築のセオリー、リストを決して無視するのではなく、新しいリニアという時代を迎えるに当たって、この新しい価値観を県警察本部が先取りして、それをこの地域の犯罪抑止、安心・安全なまちづくりにつなげるには非常にいい機会ではないか。大村秀章知事もまちづくりの中に溶け込んでいる警察署を考えているようであり、リニアの駅周辺の開発にしっかりとバックアップしていくことを地域で決議したという発言もある。ぜひ県警察本部におけるリニアインパクト、リニア効果を改めて議論する場を県警察本部の中につくることを提案する。
重ねて言うが、これまで先人が築き上げてきた新築するリスト、セオリーを決して逸脱するものではなく、新しいリニアという価値観もそこにインプットして考え、県警察本部の職員はじめ、多くの方々の知恵を結集する議論の場をつくることを提案する。
【委員長】
質問ではなく提案ということであったが、未来の愛知にとって非常に大切なことであるので、何か県警察として答弁等はあるか。
【理事者】
警察署は、年に1署ずつ新築している。非常にありがたいことである。これは非常に大きな事業であり、計画性を持ってやっていくことに変わりはない。
ただし、まちづくりに関して、管内情勢、治安情勢は変化する。そういったことを見ながらいろいろ検討すべきとも考えているので、計画性の上にこういった情勢についても加味していく。