委員会情報
委員会審査状況
経済労働委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月10日(火) 午後0時57分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
福田喜夫、杉浦哲也 正副委員長
直江弘文、神野博史、高桑敏直、山本浩史、山下智也、今井隆喜、
かじ山義章、鳴海やすひろ、村嶌嘉将、岡 明彦、阿部武史 各委員
経済産業局長、経済産業推進監、情報通信(ICT)政策推進監、
経済産業局技監、
産業部長、中小企業部長、革新事業創造部長、
労働局長、就業推進監、
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第103号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第4号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第5款 経済労働費
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第103号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(1件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
なし
《一般質問》
【委員】
先月発表したあいちデジタルヘルスプロジェクトについて、本プロジェクトの意義、基本的な考えについて伺う。
本県でも人口減少、少子・高齢化の問題は待ったなしの状況にある。本県には54市町村あるが、そのうち11の自治体を除いて人口減少となり、2040年には県民の3人に1人が高齢者となる見込みである。
要支援者、要介護者も増加する見込みだが、本県が抱える様々な課題を解決するため、本プロジェクトの意義、基本的な考え方について、当局の考えを伺う。
【理事者】
今後高齢者の数は大幅に増加する一方、少子化により現役世代が減少する中で、従来の医療・介護システムは逼迫が懸念されており、健康長寿を支える新たなサービスを生み出すことが喫緊の課題であると受け止めている。
そのため、個人の生活習慣等のデータに基づく健康管理やオンラインでの見守りなど、デジタル技術を活用した新たなヘルスケアサービス、ソリューションを創出、提供することにより、超高齢化という社会課題を解決していくことが、あいちデジタルヘルスプロジェクトの基本的な考え方である。
また先月、本プロジェクトの推進母体である民間企業と基礎自治体、研究機関や大学等33者の参画を得たあいちデジタルヘルスプロジェクトコンソーシアムを立ち上げたところである。
このコンソーシアムでは、高齢者の暮らしを支える主体である基礎自治体と、研究シーズを提供する研究機関や大学等、さらにはサービスを事業化する民間企業、こういった様々な機関が連携、協働することで、超高齢化という社会課題の解決を目指す点に意義がある。
【委員】
本プロジェクトが目指しているもの、プロジェクトを通じて実現する未来像について伺う。
私の地元でも、独居の高齢者女性で、息子家族が東京で暮らしており、状況が分からない人がいる。
民間の見守りサービスなども最近は充実しているが、今後はアップルウォッチなどのウェアラブルデバイスなどの進化と合わせて、異常検知の精度などが高まってほしいと期待している。
私自身も、生前に祖母が認知症になり、雨の日になると伊勢湾台風がフラッシュバックして、深夜徘回を繰り返し、母と一緒に何度も探しに行ったことがあるが、今では母が歩行困難な要支援状況である。離れて暮らしていることもあり、テクノロジーの進化に大変期待している。
地元に帰ると、民生委員のなり手も不足しており、限られた町内会員の中で、災害時なども含めて地域の高齢者を守っていくためには、様々な課題を抱えている。
そこで、本プロジェクトが目指しているもの、このプロジェクトを通じた効果、未来像について改めて当局の考えを伺う。
【理事者】
あいちデジタルヘルスプロジェクトであるが、デジタル技術を活用し、産学官の連携により、健康長寿の延伸と生活の質の維持向上に貢献する新しいヘルスケアサービス、ソリューションの創出、提供を目指している。
具体的なイメージとして、ウェアラブルデバイスなどの活用により、健康なときから自身の健康状態をデータで可視化するなど、健康上のリスクが生じた際には早期発見、早期介入を促していく。また、支援や介護が必要になった際には、遠隔による生活支援などにより、本人だけでなく、支える家族の負担を軽減していくことなどを考えている。
このようなサービス、ソリューションの創出、提供を産学官連携により進めていきたい。
そして、本プロジェクトによって、超高齢化という危機を乗り越える、健康長寿分野のイノベーションを目指していくことで、誰もが安心して元気に暮らせる愛知を実現していきたい。
また、健康長寿に関連する産業は、世界共通の課題解決に資する成長分野である。本プロジェクトによって、新たなサービス、ソリューションを次々と生み出すエコシステムの形成を図り、ヘルスケア関連の企業や研究機関等が集積する、健康長寿産業都市あいちを実現していきたい。
【委員】
本デジタルヘルスコンソーシアムにおける愛知県の役割について、最後に質問する。
私は市議会議員を務めていたが、その当時、県内の自動車メーカーにいる友人から、商品企画のため免許を返納した人のインタビューのサポートをしてほしいと依頼があった。
返納した人々の生い立ちから仕事、現在までのことや現在の生活を含め、なぜ免許を返納したのかを、対面で友人と友人の会社の職員2人、オンラインで10人が同時にヒアリングする中、私も同席した。
インタビューに応じてくれた人に共通していたことは、家族の意見などもあるが、最後は自分自身の意思で免許を返納する選択したとのことだった。
その先の質問は商品開発に関わることなので、差し控えるが、企業側が困っていたのは、インタビューを聞き、現地の意見を集約するのに、どうしても様々な困難が付きまとうため、やはり自治体の協力が必要とのことだった。
改めて、高齢者を取り巻く課題解決のため、高齢者、自治体から企業やスタートアップへの実証への協力や、同じく大学など研究機関への協力には、本コンソーシアムの役割は大変重要になる。
そこで、本コンソーシアムにおける本県の役割について、当局の見解を確認する。
【理事者】
本コンソーシアムでは、早期に社会実装を目指す七つのテーマを設定し、そのテーマに沿った新サービス等の開発、実証を支援する事業、七つのテーマに続く新たなサービス等の創出を支援する事業を実施する。
これらの事業により、産学官連携による個別のプロジェクトを立ち上げ、研究開発や実証実験を実施し、早期の社会実装を目指していく予定である。
このコンソーシアムでは、個別プロジェクトの立ち上げに向け、高齢者に関する地域課題の掘り起こしや、その解決に向けた研究シーズや技術シーズとのマッチング、実証フィールドの提供などの支援を行っていく。
こうした活動を行う中で、本県は、コンソーシアムの事務局として、プロジェクトの全体像を取りまとめた基本計画を今年度中に策定することと、プロジェクト全体の企画調整役を担っていくことを考えており、具体的には、プロジェクト参加者の連携調整を図ること、プロジェクトの立案に向けた企画調整を図ること、プロジェクト推進の進行管理を図ること等の役割を担っていきたい。
【委員】
最後に、二点要望する。
まず一つ目が、今回のプロジェクトに対するインパクトについてである。
デジタル化・地方創生調査特別委員会で、日本マイクロソフト株式会社に視察に行き、様々な話をしたが、その中で、売上げが低迷して株価がかなり苦しいとき、CEOがラサナ・ディアラ氏に変わり、評価指標、人事評価を変えたとのことだった。その中で優先したのが、インパクトが大事だということである。
やはり目先の売上等を考えると、どうしても保守的になってしまうことがあるが、このインパクトを、大きな事業の中で大切にしてほしいと、先日の視察を通じて感じている。
そして、もう一点が、心理的安全性についてである。
大きなプロジェクトを実施すると、どうしても幾つか失敗は出てくると思う。ただし、この失敗への批判によって後ろ向きになってしまうと、思ったような成果が生まれないのも事実である。
どういう会社が一番生産性を向上できるかを、グーグルが研究したら、心理的に安全性が確保された組織こそ、新しいものを生み出しやすく、生産性が上がることが、研究結果で分かっている。
自治体では、春日井市、東海市、大府市、地元企業だと株式会社スギ薬局からソフトバンク株式会社、名古屋鉄道株式会社など様々な企業が入っている。
本当に大きなプロジェクトのため、このインパクトと、そして事業を安全にチャレンジしていく心理的安全性の二つに留意するよう要望する。
【委員】
2017年度の9月定例議会で、本県内の観光ボランティアの活動状況とその育成について伺った。7年を経たいま、改めて観光ボランティアガイド等について伺う。
新型コロナが季節性インフルエンザと同じ5類へと移行し、さらに、大河ドラマどうする家康の舞台として県内各地が取り上げられる中、県内の観光地はコロナ禍前のにぎわいを取り戻し、活気づいている。
県内外から訪れる観光客に、その地ならではの魅力を伝えているのが、観光ボランティアガイドである。例えば、名古屋市緑区では、NPO法人桶狭間古戦場保存会ガイド部が精力的に活動している。桶狭間の戦いにちなむ古戦場公園に近接する観光案内所は、大河ドラマの勢いも受けながら、営業時間前から観光客が並ぶなど、以前とは考えられない姿が目に映る。
また、日本遺産の地、有松地区では、有松あないびとの会が活動している。現在、コロナ禍前と同じように、外国人が街道を歩く姿も散見されるようになり、県内外だけではなく、インバウンドの観光客のおもてなしもしている。
まず、県内にはどれぐらいの観光ボランティアガイド団体が現在活動しているのか。また、以前の議会答弁では、本県は観光ボランティアガイド数全国一との答弁もあったが、現在はどうなっているのか。
【理事者】
本県には、県内で活躍する観光ボランティアグループ相互の情報交換や連携の促進を図るための組織として、あいち観光ボランティアガイドの会があり、一般社団法人愛知県観光協会が事務局を担っている。
現在、この観光ボランティアガイドの会には県内の67団体が加入しており、地域に根差した歴史や文化などを中心にガイドを行っている。
なお、公益社団法人日本観光振興協会が行った最新の調査によると、2021年度の本県のガイド人数は2,056人で、東京の4,918人に次ぐ全国2位となっている。これは、東京オリンピック・パラリンピックの開催により、東京都のガイド人数が増えたことによるものである。
【委員】
こうした観光ボランティア団体は、持続的な観光を支える大変重要であり、地域の観光資源の磨き上げとともに、その魅力を伝えるボランティアガイド活動もしっかりと守り、磨いていかなければいけない。そういった地域のソフト力のアップが、今後の地域の観光振興に役立つ動きに直結すると考える。
その一方で、これらの団体の組織は概して脆弱であり、幾つかの課題が指摘されている。
構成員の多くが高齢者のため、後継者探しなど、人手確保に悩むという声や、活動の広がりに伴い必要となる運営費や資材、プロモーション費用などの資金の確保、また、安心してボランティア活動するための保険や補償などが課題だという団体もある。
また、今回調査した中には、ボランティア、地域住民、観光業者、自治体との間での情報共有とコミュニケーションの向上がなければ、団体の発展的な活動は難しいという声もあった。
さらに、訪問者に対して質の高いサービスを提供するためのトレーニングと教育の機会の確保によるガイド技術の維持向上が、ボランティアの力量アップにもつながるという報告もあった。
名古屋市緑区には、歴史や文化を研究発表する緑区ルネッサンスフォーラムという団体があり、その団体は区役所内に拠点を持っている。
その団体が、先ほど紹介した桶狭間古戦場保存会や有松あないびとの会と頻繁に人的交流を行っており、これがガイド技術の向上に資する教育的な動きになっている。
また、ボランティア、地域住民、自治体が情報共有できている好事例であると思う。
こうした地域の観光ボランティアガイド団体が抱える諸問題に対して、県としてはどのような支援をしているのか。
【理事者】
地域における観光ボランティアガイドの活動は、愛知県ならではの観光資源の付加価値を高めていく上で、欠かすことのできないものである。
このため、県では、全県組織であるあいち観光ボランティアガイドの会と連携し、年1回、地域の観光ボランティアガイドを対象としたセミナーを開催している。このセミナーは、地域の観光ボランティアガイドが、講習会や観光施設の訪問などを通じて、コロナ禍におけるデジタル対応やおもてなしなど、観光を取り巻く現況や様々な課題についての情報を得るとともに、地域間の交流を深める貴重な場となっている。
加えて、2021年度からは、さらなるレベルアップを目指す観光ガイドを対象として、観光ガイド企画会社のコンサルティングを受けながら、ガイドプログラムの内容やガイドスキルの質を高めるワークショップ、モニターツアーなど、専門的な連続講座を実施している。
【委員】
大河ドラマどうする家康も終盤に入っており、大河ドラマの効果で地域の観光地に戻った活気を放送終了後も失うことなく、2026年のアジア・アジアパラ競技大会へと、その熱気や観光ボランティアの思いをつなげていくことは大変重要である。
オリンピック同様、アジア・アジアパラ競技大会では、大会関係施設内の案内及び誘導など、いわゆる大会運営をサポートする役割を果たす大会ボランティア、そのほかに空港や主要駅、観光地等で、国内外からの旅行者に対する観光及び交通案内等を行う都市ボランティアが活動することになっている。
アジア・アジアパラ競技大会推進課とも話したが、こうしたボランティアが実質動き出すのは、来年度の後半とのことだった。
コロナ禍にあっても、東京オリンピックでは延べ2万人の都市ボランティアがいたと言われており、今後約1年間は、観光地の熱気を冷ましたり、活性化しつつある再スタートした観光ボランティアガイドの動きを停滞させたりする期間にしてはならない。
そこで、大河ドラマの放送終了後も、地域に観光客を呼び込み、観光ボランティアガイドのモチベーションを保ち、持続的な活動を支えていくため、県としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
大河ドラマどうする家康では、市町村や観光関係団体、運輸機関など、107団体の連携による愛知県大河ドラマ「どうする家康」観光推進協議会を設立し、大河ドラマの発信力を生かして、効果的なPR、プロモーションや周遊観光の促進に取り組んでいる。
この協議会には、あいち観光ボランティアガイドの会も参画しており、相互に情報を共有しながら、地域の取組に協力している。
大河ドラマを契機としてつくり上げた連携体制は、本県の観光振興を進めていく大きな力であり、大河ドラマ放送終了後も引き続き維持発展させていく必要がある。
3年後には、本県の各地を会場として、アジア・アジアパラ競技大会が開催されるので、このオール愛知の連携体制をしっかりと2026年につなげ、さらなる誘客と周遊促進に取り組んでいく。
そして、地域に多くの観光客を呼び込み、観光ボランティアガイドの活躍の場をつくっていきたい。
あわせて、ガイド団体の組織運営や人材育成、活動資金の工面など、成功事例や先進的な取組について学べる機会を設けることや、あいち観光ボランティアガイドの会の事務局である一般社団法人愛知県観光協会を通じて、観光ボランティア団体が参画できる国の支援制度等について随時情報提供することで、地域の観光ボランティアガイドの持続的な活動を後押ししていきたい。
【委員】
先ほど、全国一だった観光ボランティアガイド数が、東京に抜かれたという答弁があった。これは、答弁どおり東京オリンピック・パラリンピックが一つのボランティアの裾野を広げたということである。
愛知県が全国一だった要因の一つは、愛・地球博のボランティアがあったがゆえに、当時は全国一と言われたのであり、次はアジア・アジアパラ競技大会がボランティアを広げていく絶好のチャンスであり、それはもう目の前にきている。
2014年に行われたロンドンオリンピックを見てみると、都市ボランティアとして特に有名になったのが、観光ボランティアのロンドンアンバサダーというもので、オリンピックのレガシーとして残り、ロンドンの観光を大きく支えているという報告もされている。今からの3年は、この愛知県のソフトパワー、観光ボランティアのパワーをどこまで大きくできるかという絶好のチャンスになる。
ただし、アジア・アジアパラ競技大会について言えば、実際動き出すのは1年後だが、この1年間は非常に重要だと思うため、しっかり当局として取組してもらいたい。
また、先ほど課題に挙げた資金集めの情報提供であるが、お金を集めることが難しい脆弱な組織である。
しかし、観光以外の分野からでも、お金を集めるような仕組みがないことはない。
例えば、本県の文化芸術課が募集している、愛知県文化活動事業費補助金がある。この補助金について、名古屋市緑区では、同じく有松のまちづくりや観光振興に資する活動をしているNPO法人でコンソーシアム有松という団体があり、その団体がこの補助金を受け取った。
そして、有松への集客を促す文化芸術イベントに補助してもらうことで、人集めしており、やはり資金提供は、大きな目で見て、どういうものがあるかと伝えていかなければ、資金力が脆弱な組織ではそういうものを見つけることができない。
休眠貯金も話題になっており、クラウドファンディングも進んでいると思うが、資金の確保にも様々な活用の方法がある。それをどう伝えるかによって、地域のソフトパワーが資金面も含めて強くなると思うので、その辺を工夫して取り組んでもらいたい。
全国に目を転じてみると、金沢市の観光ボランティアは大変活発で、注目をされており、有名なのが、まいどさんと言われているものであり、石川県と金沢市がそれぞれの観光政策で、このボランティアの観光ガイドを観光産業の重要な担い手として位置づけている。
その位置づけがあるため、教育プログラムを含めた様々なサポートが丁寧にされており、本県も観光施策の位置づけとして、観光ボランティアをもう一度見直し、明確にすることで、今まで全国一と言われてきた民間の観光ボランティア力の最大化を、この数年で改めて目指して頑張ってもらうよう要望する。
【委員】
愛知県の観光といえば、まず歴史や産業をテーマとした武将観光や産業観光が頭に浮かぶが、最近全国的にアウトドアレジャーがブームになっており、自然をテーマにした自然観光が脚光を浴びている。
しかしながら、本県は名古屋圏から比較的身近に山や海など自然環境に恵まれているとはいえ、近県に富士山や日本アルプスなど著名な自然観光資源が多く存在することから、他県との競合の中で選択されにくい状況にある。
そこで、本県の自然観光の魅力を広く伝えるイベント、DESTINATION AICHIをアイチ・スカイ・エキスポで、11月11日から12日にかけて初めて開催するとのことだが、どのようなイベントなのか。
【理事者】
アイチ・スカイ・エキスポでは、日本最大級のアウトドアの祭典、フィールドスタイルが春と秋の年2回開催されている。
このイベントは、アウトドアブランドやキャンピングカーメーカーによる出展、キャンプグッズやアパレルなど、アウトドア関連の物販が中心となっており、今年の5月20日と21日の土日の開催時には、全国から約4万8,000人ものアウトドアファンが来場し、大変な盛り上がりだった。
本県の自然観光の魅力を広く発信するには、全国のアウトドアファンが本県に大集結する同イベントを活用することが効果的かつ効率的であると考え、11月11日土曜日と12日日曜日に開催されるフィールドスタイルの併催イベントとして、DESTINATION AICHIを開催することとした。
具体的には、フィールドスタイルの会場の一角に、自然観光に関わる県内の事業者団体が無償でブース出展できるエリアを設け、観光関係団体による自然観光資源やアウトドア体験の紹介のほか、地域で活動する事業者によるアクティビティーのPRやオリジナルアウトドアグッズの販売等を行う。
【委員】
今の話によると、5月には4万8,000人という多くの人が訪れており、今回も大変なにぎわいになると思う。このDESTINATION AICHIで県内の自然観光資源をしっかりとPRするためには、できる限り多くの県内の出展者を募ることが重要であるが、出展事業者を公募するに当たってどのような告知を行い、また、募集の結果はどうであったのか。
【理事者】
DESTINATION AICHIの出展事業者は、7月27日から9月15日まで、アウトドア関係のPRや物販を行う出展事業者を30者程度、カフェメニューなど飲食を提供する事業者を3者程度の合計33者程度を募集した。
募集方法は、県のホームページで告知したほか、県内の市町村や観光関係団体、商工会、商工会議所を通じて、幅広く募集案内を配布した。
特に半島や山間部など、自然観光資源が豊富な地域については、積極的に応募してもらえるよう、働きかけを行っている。
結果として、募集枠を大きく上回る48の事業者、団体から応募があった。
このため、できるだけ多くの事業者に出展してもらえるよう、来場者の休憩スペースを出展スペースに振り替えるなどの調整を行い、46の事業者、団体に出展してもらえることとなった。
出展内容は、常滑市のりんくうビーチや設楽町のつぐ高原キャンプリゾート、新城市の渓流を上るシャワークライミングなどのPRのほか、キャンプ用品の販売などとなっている。
また、ほの国東三河観光ビューローなどの観光関係団体も出展し、地域の自然観光資源をPRする予定となっている。
【委員】
今の話によると、33者を募集し、インターネットのほかに市町村の関係自治体の観光関係や商工会、商工会議所等、関係団体にいろいろとPRした結果、この33者を募集した中で48事業者の応募があり、そのうち46事業者を採用したとのことで、大きな期待ができる。また、無償でそういう機会を与えたことも、よいことだと思っている。
ただし、今回のイベントだけで終わってしまっては、愛知県の自然観光の推進には不十分で、本県の自然観光資源の向上のためには、継続して取り組むことが必要だが、今後県としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
今回、DESTINATION AICHIに出展する事業者以外にも、県内には多くの自然観光資源があるため、引き続き、全国に向けてPRする場の提供が必要である。
まずは、日本最大級のアウトドアイベントであるフィールドスタイルと連携して、引き続き、本県の自然観光をPRできるよう取り組む。
また、首都圏、関西圏での観光物産展のほか、月間約150万ページビューの実績がある本県の公式観光ウェブサイトAichi Nowで、自然観光コンテンツを広く紹介するとともに、地域による自然体験プログラムの造成を支援することで、県内の豊かな自然を持つ地域への誘客を促していく。
これらの取組を通じ、引き続き、本県の自然観光の認知度向上を図る。
【委員】
愛知県にも本当に多くの風光明媚な名勝地があるので、このイベントを機会に自然観光にも力を入れていくよう要望する。
【委員】
先日、自民党愛知県議員団で、経済アナリスト、また観光アナリストでもあるデービッド・アトキンソン氏を呼んで、講演会を開催した。
講演を聞いて思ったことは、まず、日本人は日本の魅力をあまり知らない。外国人が見る日本の魅力と、日本人が考える魅力は行き違いがあり、差があるとのことだった。
もう一つは、旅行はコンテンツ次第である。
現在、本県で進めている観光政策について、もう少し分析して、そして外国人が何を求めているかを知った上で、様々な施策を打つ必要があると思う。
先日、岡崎市で視察した時も言ったが、大河ドラマどうする家康は盛り上がっているが、大河ドラマの舞台になるところは一過性で盛り上がる傾向にある。そして、それは持続していかない。
日本の魅力は、平和であり、戦国時代を経て、織田信長、豊臣秀吉の後、徳川家康が天下を統一して、260年間平和だったことで、技術が進歩し、文化が興隆し、今のモノづくりの礎ができたと思う。
ようやく世界からインバウンドが来るようになったが、これがいつまでも続くことはないと思うので、どのように日本の魅力をコンテンツにして、世界中から観光客に来てもらえるかを長いスパンで考えていく必要がある。
加えて、愛知県だけではなく、中部エリア全体を見ると、様々な観光資源があり、数百年続いた企業もたくさんある。昇龍道という構想はあったが、中部圏をもっと俯瞰して見て、お互いの資源を出し合い、まとめていかなければならない。
特に近年は日本食ブームであり、この流れに乗らない手はないと考える。
もう少し広く情報を集め、長い目で見て日本の魅力を打ち出すことで、観光につなげていくという試みが必要だと思うが、考えを伺う。
【理事者】
近年、インバウンド消費が変わってきたと感じており、もともと伝統文化や歴史などを見て楽しむ観光であったものが、最近は実際に体験する旅行スタイルが人気になっている。
日本政府観光局が今年の6月に新たな訪日マーケティング戦略を策定しており、持続可能な観光消費額拡大や、地方誘客促進の実現を掲げている。その中で、自然などを楽しむアウトドアや、古くからの温泉、地域に根付く伝統芸能、祭り、匠の技などの伝統工芸などの、本物を体験できる観光コンテンツの造成を推進していく方向性が示された。
本県でも、様々な資源があり、それも平和であった江戸時代などを経て、様々なものが生まれてきているのも事実なので、そのような資源を観光コンテンツに磨き上げていきたい。他県とも様々な観光資源、コンテンツを出し合って、それを一つのルートにしていく取組が必要だと考えている。
中部圏でそういった観光地域づくり法人との連携を通じて、商品づくりを進めていきたい。
また、先ほど食について、話があったように、なごやめしをはじめ、本県の特徴ある食文化なども、観光コンテンツの中に組み込みながら、広くPRしていきたい。また、香港では、日本の飲食店が出店すると、そこで日本食を食べた人は、実際に日本へ行って現地で食べたいと考え、実際にそのような観光客が増えてきていることも聞いている。このような情報を把握しながら、観光コンテンツをつくり、インバウンド消費にしっかりと結びつけていきたい。
【委員】
次に、今年の9月7日と8日に、カーボンニュートラル調査特別委員会で、五島列島の浮体工法の洋上風力発電を視察したが、帰ってから日経新聞を読むと、愛知県が洋上風力発電浮体式実証の候補地として選定されたという記事が出て、うれしい限りだった。今までの経過と状況、これからの方法について伺う。
【理事者】
洋上風力は、今後、再生可能エネルギー、カーボンニュートラルを実現していく上での切り札であるが、日本は海に囲まれているため、沖合でも設置ができる浮体式というものが今後有望になっていくだろうと言われている。
そうした中、今年の2月、国からグリーンイノベーション基金を活用し、より深い海でも設置が可能な浮体式の実用化を国産の技術を用いて、安いコストでという実証事業の公募があった。
渥美外海、いわゆる田原市沖、豊橋市沖は全国でも有数の洋上風力発電のポテンシャルが高い地域と言われている。ただし、この地域はイワシ、シラス等の漁業が非常に盛んなところでもある。
そのため、漁業者に何度も説明を重ねて、より沖合に設置する浮体式で、1基ないし2基の実証事業であればと、今回の公募に手を挙げることを認めてもらったいきさつがあり、3月に情報提供書を資源エネルギー庁に提出した。
そして、10月3日に候補海域が全国で4か所選ばれた。実際には予選の突破にすぎず、最終的には2か所程度が選ばれることになっている。
今後は、実証の応募を検討している10以上の事業者から問合せがあり、そういった事業者が、これから具体的な計画をつくっていくので、愛知県としても、漁業関係者と十分調整しながら、多くの事業者から手が挙がるように協力していきたい。
【委員】
かつて風力発電の技術は、日本が先進的だったが、いつの間にかそれを外国に取られたが、実際に洋上風力発電機を生産することは可能なのか。
【理事者】
多くの事業者から問合せが来ているが、風車の調達が大変だと聞いている。
実際に今ヨーロッパで2社、アメリカは1社で、6割、7割は中国の市場である。特に今回は実証事業で、生産するロットが小さいため、関心を寄せている事業者も、風車の調達には苦労している。何とかなりそうだという事業者もいるため、そのような事業者を離さずに、提案まで持っていきたい。
【委員】
これから再生可能エネルギーをどれだけ確保するかで、ベストミックスと言われる最適なバランスであらゆる方式により発電していくことを懸命にやっていく必要がある。
また、今後デジタル化が進んでいくが、これについてデータ分析を行うと、大量の電力が必要となることがわかる。それを生み出すのに、火力発電所が再開すると困ることになる。そのため、デジタル化を進めると同時に、どうやって電力をスマートに使うか、節電するかを一緒になってやっていく必要がある。
市役所や県庁は縦割り行政であるが、横串を刺して、プロジェクトチームを結成し、取り組む問題だと思う。
愛知県の森林組合長と話した際、県内の木が切れないとのことだったが、それは切った木をどうするかという出口がないからである。豊橋市のバイオマス発電所へ視察した際、間伐材をどれだけ使っているかと質問したら、1割から1割5分との回答があった。材料が集まらず、わざわざ東南アジアから船で運んでいるとのことであり、県内にも資源があるのにそれを活用できていないことがわかる。
これを全部ビジネスにしていかなければ、日本はもたないと思う。
例えば、木を切って、それを建材に使うとカーボンを閉じ込めることになる。そうすると、カーボンクレジットで売れるなど、トータルで考えてカーボンニュートラル、地球温暖化防止を行うべきだと考える。デジタルを使って効率的にスマートシティをつくっていくということを国策として考えていく必要がある。
モノづくりの産業県である愛知県が先導的にこのような問題に取り組んで、製造も生産も行いつつ、カーボンニュートラルも努力することを、愛知県の産業政策として行うべきだと思う。
そこでプロジェクトチームをつくることについて、経済産業局長の考えを伺う。
【理事者】
カーボンニュートラルの取組は様々な部局にまたがる話であり、県庁内の組織が総力を挙げて進めていく必要がある。
環境局にカーボンニュートラル戦略会議が創設され、県庁の中には全局を束ねる部局がないこともあり、それぞれが横の連携を取りながら取り組む必要がある。
そういう意味では、カーボンニュートラルをはじめ、再生可能エネルギーに関する取組は、古本伸一郎副知事が非常に問題意識を持っており、各部局が副知事と議論していると聞いている。会議体をつくって取り組むことがよいのかどうかも含めて、しっかりと検討していきたい。いずれにしても、再生可能エネルギーに関する取組は、日本が世界に遅れているので、グリーンテクノロジー、グリーンイノベーションをしっかり進めていくよう努める。
【委員】
五島列島へ行く前に、九州大学へ視察に行ったが、九州大学では2007年から、国際水素エネルギー研究所を作って水素の研究をしている。教員、研究者の半分が外国人であり、まさにダイバーシティーが実現されていた。
水素自動車の研究も行っており、様々な企業が部屋を持っていたが、印象に残ったのは、地産地消型の炭素循環社会を実現することの重要性である。つまり、空気中の二酸化炭素を回収して、1,000倍に濃縮し、そこへ水素をもう一度入れて、化学反応を起こしてメタンをつくる。それをまたエネルギーに使うことを研究していた。
私の地元の名古屋港はCО2を日本一発生させている。そのことから、産業施策の一つとして、名古屋港管理組合と様々なことを話合って、そのシステムを小型化し、エネルギーを自給自足できるようにすべきである。CО2を埋めるだけでなく、エネルギーとして再利用するようにし、循環させていくことが大事だと思う。水素は再生可能エネルギーとして大切で、ためることができる。これは次世代のエネルギーである。
最後に、ようやく国もリスキリングを行うようになったが、どの業界でもデジタル化が避けて通れないと考える。
愛知県はIoTで、バーチャルとリアル、機械とバーチャルを結んで、どうやって効率化を進めていくかが重要だと思う。チャットGPTなどの生成AIもあり、ほとんどの事務作業が、半分以下の時間で行えるようになるとも言われているため、リスキリングを行い、ITの技術を身につけて、労働の移転をすることについては避けて通れないと感じる。
労働局でIT系の人材育成を行っているが、より本格的に行う必要がある。それと同時に、今から育成を行っても、生まれた子が20歳になり、社会に出て働くのに20年以上かかるため、やはり外国人労働者、特に高度なスキルを持つ人材を取り込むことも必要だと思う。
国内のリスキリングもさることながら、外国人の高度な技術者を招聘してほしいが、現状はどうなっているのか。
【理事者】
デジタル人材の不足に対する人材育成の取組について、本県が昨年3月に策定したあいちデジタル人材育成支援アクションプランでは、本県のデジタル人材は約7万人が不足していると推計している。
不足するデジタル人材の育成のためには、とりわけ中小企業で、自社の業務とデジタル技術の両方を理解する人材を求めるとの声もあることから、自社業務に精通する社員にデジタル技術を習得してもらうリスキリングの機会を提供することが重要である。
そのため、本県では、デジタル人材の育成及び確保で悩む中小企業に対し、アドバイザーの派遣を実施するほか、デジタル人材育成の社内研修に向けた伴走支援、現場リーダー等への階層別研修、高等技術専門校におけるデジタル技術を習得する在職者訓練などにより、約3,000人の規模でリスキリングの機会を提供している。
このほか、高等技術専門校における学卒者向け訓練や離職者向け訓練で、デジタル活用分野の訓練を充実させ、約3,000人規模で就職支援を行っている。
【理事者】
外国人材の活用について、不足するデジタル人材を確保するためには、国内の人材育成のみならず、やはり海外からの人材確保を行うことも方策の一つと考えられる。
外国人のデジタル人材については、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が昨年度に全国の企業を対象に行った調査によると、過去1年間にデジタル人材を確保するため37.8パーセント、約4割の企業が、新卒者や経験者の採用を行っている。
それに対し、外国人の採用を行った企業は、1.6パーセントにとどまっている。
また、従業員300人以下の企業では、外国人採用により人材を確保した企業は0.4パーセントとさらに低くなっている状況である。外国人の雇用については、雇用管理の煩雑さや企業として受入れ体制が整っていない、そもそも外国人の受入れ方が分からないなどの声もあり、外国人材の活用には様々な課題があると認識している。
このため、県では、名古屋出入国在留管理局や愛知労働局、経済団体、労働団体などで構成するあいち外国人材適正受入れ・共生推進協議会の中にある労働環境ワーキンググループで、各構成団体とこうした課題を情報共有しながら、県内企業が海外からデジタル人材等を受け入れるニーズ等の把握に努めたい。
【委員】
今までの技能労働者、単純作業の人たちもさることながら、一次産業はこのような人材がいないと成り立ない。しかし、それと同時に、高度な技術を持った人材を求めることは必要だと思う。
2030年には60万人の人材が不足するとのことで、国内で育成すると同時に、外国から積極的に招聘し、これまでのように派遣業者任せではなく、国は最低3か月以上教育して、日本語と同時に生活習慣、ある程度の文化を勉強してもらい、そして就職の支援、住居の支援をしていかなければ、日本に来てもらえない。
もう少し現実をよく分析してもらい、最善の策を今取るべきである。
STATION Aiは来年オープンする予定であるが、これも大事である。しかし、これからはIoTであるため、インターネットと機械をどう結びつけていくか、それから、バーチャルとリアルをどう結びつけていくかが非常に重要となる。
このような時代に突入したため、縦割り行政に横串を刺し、プロジェクトチームをつくって、日本及び愛知県の産業を守るという、強い意志を持って進めていくことを要望する。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月10日(火) 午後0時57分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
福田喜夫、杉浦哲也 正副委員長
直江弘文、神野博史、高桑敏直、山本浩史、山下智也、今井隆喜、
かじ山義章、鳴海やすひろ、村嶌嘉将、岡 明彦、阿部武史 各委員
経済産業局長、経済産業推進監、情報通信(ICT)政策推進監、
経済産業局技監、
産業部長、中小企業部長、革新事業創造部長、
労働局長、就業推進監、
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第103号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第4号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第5款 経済労働費
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第103号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(1件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
なし
《一般質問》
【委員】
先月発表したあいちデジタルヘルスプロジェクトについて、本プロジェクトの意義、基本的な考えについて伺う。
本県でも人口減少、少子・高齢化の問題は待ったなしの状況にある。本県には54市町村あるが、そのうち11の自治体を除いて人口減少となり、2040年には県民の3人に1人が高齢者となる見込みである。
要支援者、要介護者も増加する見込みだが、本県が抱える様々な課題を解決するため、本プロジェクトの意義、基本的な考え方について、当局の考えを伺う。
【理事者】
今後高齢者の数は大幅に増加する一方、少子化により現役世代が減少する中で、従来の医療・介護システムは逼迫が懸念されており、健康長寿を支える新たなサービスを生み出すことが喫緊の課題であると受け止めている。
そのため、個人の生活習慣等のデータに基づく健康管理やオンラインでの見守りなど、デジタル技術を活用した新たなヘルスケアサービス、ソリューションを創出、提供することにより、超高齢化という社会課題を解決していくことが、あいちデジタルヘルスプロジェクトの基本的な考え方である。
また先月、本プロジェクトの推進母体である民間企業と基礎自治体、研究機関や大学等33者の参画を得たあいちデジタルヘルスプロジェクトコンソーシアムを立ち上げたところである。
このコンソーシアムでは、高齢者の暮らしを支える主体である基礎自治体と、研究シーズを提供する研究機関や大学等、さらにはサービスを事業化する民間企業、こういった様々な機関が連携、協働することで、超高齢化という社会課題の解決を目指す点に意義がある。
【委員】
本プロジェクトが目指しているもの、プロジェクトを通じて実現する未来像について伺う。
私の地元でも、独居の高齢者女性で、息子家族が東京で暮らしており、状況が分からない人がいる。
民間の見守りサービスなども最近は充実しているが、今後はアップルウォッチなどのウェアラブルデバイスなどの進化と合わせて、異常検知の精度などが高まってほしいと期待している。
私自身も、生前に祖母が認知症になり、雨の日になると伊勢湾台風がフラッシュバックして、深夜徘回を繰り返し、母と一緒に何度も探しに行ったことがあるが、今では母が歩行困難な要支援状況である。離れて暮らしていることもあり、テクノロジーの進化に大変期待している。
地元に帰ると、民生委員のなり手も不足しており、限られた町内会員の中で、災害時なども含めて地域の高齢者を守っていくためには、様々な課題を抱えている。
そこで、本プロジェクトが目指しているもの、このプロジェクトを通じた効果、未来像について改めて当局の考えを伺う。
【理事者】
あいちデジタルヘルスプロジェクトであるが、デジタル技術を活用し、産学官の連携により、健康長寿の延伸と生活の質の維持向上に貢献する新しいヘルスケアサービス、ソリューションの創出、提供を目指している。
具体的なイメージとして、ウェアラブルデバイスなどの活用により、健康なときから自身の健康状態をデータで可視化するなど、健康上のリスクが生じた際には早期発見、早期介入を促していく。また、支援や介護が必要になった際には、遠隔による生活支援などにより、本人だけでなく、支える家族の負担を軽減していくことなどを考えている。
このようなサービス、ソリューションの創出、提供を産学官連携により進めていきたい。
そして、本プロジェクトによって、超高齢化という危機を乗り越える、健康長寿分野のイノベーションを目指していくことで、誰もが安心して元気に暮らせる愛知を実現していきたい。
また、健康長寿に関連する産業は、世界共通の課題解決に資する成長分野である。本プロジェクトによって、新たなサービス、ソリューションを次々と生み出すエコシステムの形成を図り、ヘルスケア関連の企業や研究機関等が集積する、健康長寿産業都市あいちを実現していきたい。
【委員】
本デジタルヘルスコンソーシアムにおける愛知県の役割について、最後に質問する。
私は市議会議員を務めていたが、その当時、県内の自動車メーカーにいる友人から、商品企画のため免許を返納した人のインタビューのサポートをしてほしいと依頼があった。
返納した人々の生い立ちから仕事、現在までのことや現在の生活を含め、なぜ免許を返納したのかを、対面で友人と友人の会社の職員2人、オンラインで10人が同時にヒアリングする中、私も同席した。
インタビューに応じてくれた人に共通していたことは、家族の意見などもあるが、最後は自分自身の意思で免許を返納する選択したとのことだった。
その先の質問は商品開発に関わることなので、差し控えるが、企業側が困っていたのは、インタビューを聞き、現地の意見を集約するのに、どうしても様々な困難が付きまとうため、やはり自治体の協力が必要とのことだった。
改めて、高齢者を取り巻く課題解決のため、高齢者、自治体から企業やスタートアップへの実証への協力や、同じく大学など研究機関への協力には、本コンソーシアムの役割は大変重要になる。
そこで、本コンソーシアムにおける本県の役割について、当局の見解を確認する。
【理事者】
本コンソーシアムでは、早期に社会実装を目指す七つのテーマを設定し、そのテーマに沿った新サービス等の開発、実証を支援する事業、七つのテーマに続く新たなサービス等の創出を支援する事業を実施する。
これらの事業により、産学官連携による個別のプロジェクトを立ち上げ、研究開発や実証実験を実施し、早期の社会実装を目指していく予定である。
このコンソーシアムでは、個別プロジェクトの立ち上げに向け、高齢者に関する地域課題の掘り起こしや、その解決に向けた研究シーズや技術シーズとのマッチング、実証フィールドの提供などの支援を行っていく。
こうした活動を行う中で、本県は、コンソーシアムの事務局として、プロジェクトの全体像を取りまとめた基本計画を今年度中に策定することと、プロジェクト全体の企画調整役を担っていくことを考えており、具体的には、プロジェクト参加者の連携調整を図ること、プロジェクトの立案に向けた企画調整を図ること、プロジェクト推進の進行管理を図ること等の役割を担っていきたい。
【委員】
最後に、二点要望する。
まず一つ目が、今回のプロジェクトに対するインパクトについてである。
デジタル化・地方創生調査特別委員会で、日本マイクロソフト株式会社に視察に行き、様々な話をしたが、その中で、売上げが低迷して株価がかなり苦しいとき、CEOがラサナ・ディアラ氏に変わり、評価指標、人事評価を変えたとのことだった。その中で優先したのが、インパクトが大事だということである。
やはり目先の売上等を考えると、どうしても保守的になってしまうことがあるが、このインパクトを、大きな事業の中で大切にしてほしいと、先日の視察を通じて感じている。
そして、もう一点が、心理的安全性についてである。
大きなプロジェクトを実施すると、どうしても幾つか失敗は出てくると思う。ただし、この失敗への批判によって後ろ向きになってしまうと、思ったような成果が生まれないのも事実である。
どういう会社が一番生産性を向上できるかを、グーグルが研究したら、心理的に安全性が確保された組織こそ、新しいものを生み出しやすく、生産性が上がることが、研究結果で分かっている。
自治体では、春日井市、東海市、大府市、地元企業だと株式会社スギ薬局からソフトバンク株式会社、名古屋鉄道株式会社など様々な企業が入っている。
本当に大きなプロジェクトのため、このインパクトと、そして事業を安全にチャレンジしていく心理的安全性の二つに留意するよう要望する。
【委員】
2017年度の9月定例議会で、本県内の観光ボランティアの活動状況とその育成について伺った。7年を経たいま、改めて観光ボランティアガイド等について伺う。
新型コロナが季節性インフルエンザと同じ5類へと移行し、さらに、大河ドラマどうする家康の舞台として県内各地が取り上げられる中、県内の観光地はコロナ禍前のにぎわいを取り戻し、活気づいている。
県内外から訪れる観光客に、その地ならではの魅力を伝えているのが、観光ボランティアガイドである。例えば、名古屋市緑区では、NPO法人桶狭間古戦場保存会ガイド部が精力的に活動している。桶狭間の戦いにちなむ古戦場公園に近接する観光案内所は、大河ドラマの勢いも受けながら、営業時間前から観光客が並ぶなど、以前とは考えられない姿が目に映る。
また、日本遺産の地、有松地区では、有松あないびとの会が活動している。現在、コロナ禍前と同じように、外国人が街道を歩く姿も散見されるようになり、県内外だけではなく、インバウンドの観光客のおもてなしもしている。
まず、県内にはどれぐらいの観光ボランティアガイド団体が現在活動しているのか。また、以前の議会答弁では、本県は観光ボランティアガイド数全国一との答弁もあったが、現在はどうなっているのか。
【理事者】
本県には、県内で活躍する観光ボランティアグループ相互の情報交換や連携の促進を図るための組織として、あいち観光ボランティアガイドの会があり、一般社団法人愛知県観光協会が事務局を担っている。
現在、この観光ボランティアガイドの会には県内の67団体が加入しており、地域に根差した歴史や文化などを中心にガイドを行っている。
なお、公益社団法人日本観光振興協会が行った最新の調査によると、2021年度の本県のガイド人数は2,056人で、東京の4,918人に次ぐ全国2位となっている。これは、東京オリンピック・パラリンピックの開催により、東京都のガイド人数が増えたことによるものである。
【委員】
こうした観光ボランティア団体は、持続的な観光を支える大変重要であり、地域の観光資源の磨き上げとともに、その魅力を伝えるボランティアガイド活動もしっかりと守り、磨いていかなければいけない。そういった地域のソフト力のアップが、今後の地域の観光振興に役立つ動きに直結すると考える。
その一方で、これらの団体の組織は概して脆弱であり、幾つかの課題が指摘されている。
構成員の多くが高齢者のため、後継者探しなど、人手確保に悩むという声や、活動の広がりに伴い必要となる運営費や資材、プロモーション費用などの資金の確保、また、安心してボランティア活動するための保険や補償などが課題だという団体もある。
また、今回調査した中には、ボランティア、地域住民、観光業者、自治体との間での情報共有とコミュニケーションの向上がなければ、団体の発展的な活動は難しいという声もあった。
さらに、訪問者に対して質の高いサービスを提供するためのトレーニングと教育の機会の確保によるガイド技術の維持向上が、ボランティアの力量アップにもつながるという報告もあった。
名古屋市緑区には、歴史や文化を研究発表する緑区ルネッサンスフォーラムという団体があり、その団体は区役所内に拠点を持っている。
その団体が、先ほど紹介した桶狭間古戦場保存会や有松あないびとの会と頻繁に人的交流を行っており、これがガイド技術の向上に資する教育的な動きになっている。
また、ボランティア、地域住民、自治体が情報共有できている好事例であると思う。
こうした地域の観光ボランティアガイド団体が抱える諸問題に対して、県としてはどのような支援をしているのか。
【理事者】
地域における観光ボランティアガイドの活動は、愛知県ならではの観光資源の付加価値を高めていく上で、欠かすことのできないものである。
このため、県では、全県組織であるあいち観光ボランティアガイドの会と連携し、年1回、地域の観光ボランティアガイドを対象としたセミナーを開催している。このセミナーは、地域の観光ボランティアガイドが、講習会や観光施設の訪問などを通じて、コロナ禍におけるデジタル対応やおもてなしなど、観光を取り巻く現況や様々な課題についての情報を得るとともに、地域間の交流を深める貴重な場となっている。
加えて、2021年度からは、さらなるレベルアップを目指す観光ガイドを対象として、観光ガイド企画会社のコンサルティングを受けながら、ガイドプログラムの内容やガイドスキルの質を高めるワークショップ、モニターツアーなど、専門的な連続講座を実施している。
【委員】
大河ドラマどうする家康も終盤に入っており、大河ドラマの効果で地域の観光地に戻った活気を放送終了後も失うことなく、2026年のアジア・アジアパラ競技大会へと、その熱気や観光ボランティアの思いをつなげていくことは大変重要である。
オリンピック同様、アジア・アジアパラ競技大会では、大会関係施設内の案内及び誘導など、いわゆる大会運営をサポートする役割を果たす大会ボランティア、そのほかに空港や主要駅、観光地等で、国内外からの旅行者に対する観光及び交通案内等を行う都市ボランティアが活動することになっている。
アジア・アジアパラ競技大会推進課とも話したが、こうしたボランティアが実質動き出すのは、来年度の後半とのことだった。
コロナ禍にあっても、東京オリンピックでは延べ2万人の都市ボランティアがいたと言われており、今後約1年間は、観光地の熱気を冷ましたり、活性化しつつある再スタートした観光ボランティアガイドの動きを停滞させたりする期間にしてはならない。
そこで、大河ドラマの放送終了後も、地域に観光客を呼び込み、観光ボランティアガイドのモチベーションを保ち、持続的な活動を支えていくため、県としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
大河ドラマどうする家康では、市町村や観光関係団体、運輸機関など、107団体の連携による愛知県大河ドラマ「どうする家康」観光推進協議会を設立し、大河ドラマの発信力を生かして、効果的なPR、プロモーションや周遊観光の促進に取り組んでいる。
この協議会には、あいち観光ボランティアガイドの会も参画しており、相互に情報を共有しながら、地域の取組に協力している。
大河ドラマを契機としてつくり上げた連携体制は、本県の観光振興を進めていく大きな力であり、大河ドラマ放送終了後も引き続き維持発展させていく必要がある。
3年後には、本県の各地を会場として、アジア・アジアパラ競技大会が開催されるので、このオール愛知の連携体制をしっかりと2026年につなげ、さらなる誘客と周遊促進に取り組んでいく。
そして、地域に多くの観光客を呼び込み、観光ボランティアガイドの活躍の場をつくっていきたい。
あわせて、ガイド団体の組織運営や人材育成、活動資金の工面など、成功事例や先進的な取組について学べる機会を設けることや、あいち観光ボランティアガイドの会の事務局である一般社団法人愛知県観光協会を通じて、観光ボランティア団体が参画できる国の支援制度等について随時情報提供することで、地域の観光ボランティアガイドの持続的な活動を後押ししていきたい。
【委員】
先ほど、全国一だった観光ボランティアガイド数が、東京に抜かれたという答弁があった。これは、答弁どおり東京オリンピック・パラリンピックが一つのボランティアの裾野を広げたということである。
愛知県が全国一だった要因の一つは、愛・地球博のボランティアがあったがゆえに、当時は全国一と言われたのであり、次はアジア・アジアパラ競技大会がボランティアを広げていく絶好のチャンスであり、それはもう目の前にきている。
2014年に行われたロンドンオリンピックを見てみると、都市ボランティアとして特に有名になったのが、観光ボランティアのロンドンアンバサダーというもので、オリンピックのレガシーとして残り、ロンドンの観光を大きく支えているという報告もされている。今からの3年は、この愛知県のソフトパワー、観光ボランティアのパワーをどこまで大きくできるかという絶好のチャンスになる。
ただし、アジア・アジアパラ競技大会について言えば、実際動き出すのは1年後だが、この1年間は非常に重要だと思うため、しっかり当局として取組してもらいたい。
また、先ほど課題に挙げた資金集めの情報提供であるが、お金を集めることが難しい脆弱な組織である。
しかし、観光以外の分野からでも、お金を集めるような仕組みがないことはない。
例えば、本県の文化芸術課が募集している、愛知県文化活動事業費補助金がある。この補助金について、名古屋市緑区では、同じく有松のまちづくりや観光振興に資する活動をしているNPO法人でコンソーシアム有松という団体があり、その団体がこの補助金を受け取った。
そして、有松への集客を促す文化芸術イベントに補助してもらうことで、人集めしており、やはり資金提供は、大きな目で見て、どういうものがあるかと伝えていかなければ、資金力が脆弱な組織ではそういうものを見つけることができない。
休眠貯金も話題になっており、クラウドファンディングも進んでいると思うが、資金の確保にも様々な活用の方法がある。それをどう伝えるかによって、地域のソフトパワーが資金面も含めて強くなると思うので、その辺を工夫して取り組んでもらいたい。
全国に目を転じてみると、金沢市の観光ボランティアは大変活発で、注目をされており、有名なのが、まいどさんと言われているものであり、石川県と金沢市がそれぞれの観光政策で、このボランティアの観光ガイドを観光産業の重要な担い手として位置づけている。
その位置づけがあるため、教育プログラムを含めた様々なサポートが丁寧にされており、本県も観光施策の位置づけとして、観光ボランティアをもう一度見直し、明確にすることで、今まで全国一と言われてきた民間の観光ボランティア力の最大化を、この数年で改めて目指して頑張ってもらうよう要望する。
【委員】
愛知県の観光といえば、まず歴史や産業をテーマとした武将観光や産業観光が頭に浮かぶが、最近全国的にアウトドアレジャーがブームになっており、自然をテーマにした自然観光が脚光を浴びている。
しかしながら、本県は名古屋圏から比較的身近に山や海など自然環境に恵まれているとはいえ、近県に富士山や日本アルプスなど著名な自然観光資源が多く存在することから、他県との競合の中で選択されにくい状況にある。
そこで、本県の自然観光の魅力を広く伝えるイベント、DESTINATION AICHIをアイチ・スカイ・エキスポで、11月11日から12日にかけて初めて開催するとのことだが、どのようなイベントなのか。
【理事者】
アイチ・スカイ・エキスポでは、日本最大級のアウトドアの祭典、フィールドスタイルが春と秋の年2回開催されている。
このイベントは、アウトドアブランドやキャンピングカーメーカーによる出展、キャンプグッズやアパレルなど、アウトドア関連の物販が中心となっており、今年の5月20日と21日の土日の開催時には、全国から約4万8,000人ものアウトドアファンが来場し、大変な盛り上がりだった。
本県の自然観光の魅力を広く発信するには、全国のアウトドアファンが本県に大集結する同イベントを活用することが効果的かつ効率的であると考え、11月11日土曜日と12日日曜日に開催されるフィールドスタイルの併催イベントとして、DESTINATION AICHIを開催することとした。
具体的には、フィールドスタイルの会場の一角に、自然観光に関わる県内の事業者団体が無償でブース出展できるエリアを設け、観光関係団体による自然観光資源やアウトドア体験の紹介のほか、地域で活動する事業者によるアクティビティーのPRやオリジナルアウトドアグッズの販売等を行う。
【委員】
今の話によると、5月には4万8,000人という多くの人が訪れており、今回も大変なにぎわいになると思う。このDESTINATION AICHIで県内の自然観光資源をしっかりとPRするためには、できる限り多くの県内の出展者を募ることが重要であるが、出展事業者を公募するに当たってどのような告知を行い、また、募集の結果はどうであったのか。
【理事者】
DESTINATION AICHIの出展事業者は、7月27日から9月15日まで、アウトドア関係のPRや物販を行う出展事業者を30者程度、カフェメニューなど飲食を提供する事業者を3者程度の合計33者程度を募集した。
募集方法は、県のホームページで告知したほか、県内の市町村や観光関係団体、商工会、商工会議所を通じて、幅広く募集案内を配布した。
特に半島や山間部など、自然観光資源が豊富な地域については、積極的に応募してもらえるよう、働きかけを行っている。
結果として、募集枠を大きく上回る48の事業者、団体から応募があった。
このため、できるだけ多くの事業者に出展してもらえるよう、来場者の休憩スペースを出展スペースに振り替えるなどの調整を行い、46の事業者、団体に出展してもらえることとなった。
出展内容は、常滑市のりんくうビーチや設楽町のつぐ高原キャンプリゾート、新城市の渓流を上るシャワークライミングなどのPRのほか、キャンプ用品の販売などとなっている。
また、ほの国東三河観光ビューローなどの観光関係団体も出展し、地域の自然観光資源をPRする予定となっている。
【委員】
今の話によると、33者を募集し、インターネットのほかに市町村の関係自治体の観光関係や商工会、商工会議所等、関係団体にいろいろとPRした結果、この33者を募集した中で48事業者の応募があり、そのうち46事業者を採用したとのことで、大きな期待ができる。また、無償でそういう機会を与えたことも、よいことだと思っている。
ただし、今回のイベントだけで終わってしまっては、愛知県の自然観光の推進には不十分で、本県の自然観光資源の向上のためには、継続して取り組むことが必要だが、今後県としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
今回、DESTINATION AICHIに出展する事業者以外にも、県内には多くの自然観光資源があるため、引き続き、全国に向けてPRする場の提供が必要である。
まずは、日本最大級のアウトドアイベントであるフィールドスタイルと連携して、引き続き、本県の自然観光をPRできるよう取り組む。
また、首都圏、関西圏での観光物産展のほか、月間約150万ページビューの実績がある本県の公式観光ウェブサイトAichi Nowで、自然観光コンテンツを広く紹介するとともに、地域による自然体験プログラムの造成を支援することで、県内の豊かな自然を持つ地域への誘客を促していく。
これらの取組を通じ、引き続き、本県の自然観光の認知度向上を図る。
【委員】
愛知県にも本当に多くの風光明媚な名勝地があるので、このイベントを機会に自然観光にも力を入れていくよう要望する。
【委員】
先日、自民党愛知県議員団で、経済アナリスト、また観光アナリストでもあるデービッド・アトキンソン氏を呼んで、講演会を開催した。
講演を聞いて思ったことは、まず、日本人は日本の魅力をあまり知らない。外国人が見る日本の魅力と、日本人が考える魅力は行き違いがあり、差があるとのことだった。
もう一つは、旅行はコンテンツ次第である。
現在、本県で進めている観光政策について、もう少し分析して、そして外国人が何を求めているかを知った上で、様々な施策を打つ必要があると思う。
先日、岡崎市で視察した時も言ったが、大河ドラマどうする家康は盛り上がっているが、大河ドラマの舞台になるところは一過性で盛り上がる傾向にある。そして、それは持続していかない。
日本の魅力は、平和であり、戦国時代を経て、織田信長、豊臣秀吉の後、徳川家康が天下を統一して、260年間平和だったことで、技術が進歩し、文化が興隆し、今のモノづくりの礎ができたと思う。
ようやく世界からインバウンドが来るようになったが、これがいつまでも続くことはないと思うので、どのように日本の魅力をコンテンツにして、世界中から観光客に来てもらえるかを長いスパンで考えていく必要がある。
加えて、愛知県だけではなく、中部エリア全体を見ると、様々な観光資源があり、数百年続いた企業もたくさんある。昇龍道という構想はあったが、中部圏をもっと俯瞰して見て、お互いの資源を出し合い、まとめていかなければならない。
特に近年は日本食ブームであり、この流れに乗らない手はないと考える。
もう少し広く情報を集め、長い目で見て日本の魅力を打ち出すことで、観光につなげていくという試みが必要だと思うが、考えを伺う。
【理事者】
近年、インバウンド消費が変わってきたと感じており、もともと伝統文化や歴史などを見て楽しむ観光であったものが、最近は実際に体験する旅行スタイルが人気になっている。
日本政府観光局が今年の6月に新たな訪日マーケティング戦略を策定しており、持続可能な観光消費額拡大や、地方誘客促進の実現を掲げている。その中で、自然などを楽しむアウトドアや、古くからの温泉、地域に根付く伝統芸能、祭り、匠の技などの伝統工芸などの、本物を体験できる観光コンテンツの造成を推進していく方向性が示された。
本県でも、様々な資源があり、それも平和であった江戸時代などを経て、様々なものが生まれてきているのも事実なので、そのような資源を観光コンテンツに磨き上げていきたい。他県とも様々な観光資源、コンテンツを出し合って、それを一つのルートにしていく取組が必要だと考えている。
中部圏でそういった観光地域づくり法人との連携を通じて、商品づくりを進めていきたい。
また、先ほど食について、話があったように、なごやめしをはじめ、本県の特徴ある食文化なども、観光コンテンツの中に組み込みながら、広くPRしていきたい。また、香港では、日本の飲食店が出店すると、そこで日本食を食べた人は、実際に日本へ行って現地で食べたいと考え、実際にそのような観光客が増えてきていることも聞いている。このような情報を把握しながら、観光コンテンツをつくり、インバウンド消費にしっかりと結びつけていきたい。
【委員】
次に、今年の9月7日と8日に、カーボンニュートラル調査特別委員会で、五島列島の浮体工法の洋上風力発電を視察したが、帰ってから日経新聞を読むと、愛知県が洋上風力発電浮体式実証の候補地として選定されたという記事が出て、うれしい限りだった。今までの経過と状況、これからの方法について伺う。
【理事者】
洋上風力は、今後、再生可能エネルギー、カーボンニュートラルを実現していく上での切り札であるが、日本は海に囲まれているため、沖合でも設置ができる浮体式というものが今後有望になっていくだろうと言われている。
そうした中、今年の2月、国からグリーンイノベーション基金を活用し、より深い海でも設置が可能な浮体式の実用化を国産の技術を用いて、安いコストでという実証事業の公募があった。
渥美外海、いわゆる田原市沖、豊橋市沖は全国でも有数の洋上風力発電のポテンシャルが高い地域と言われている。ただし、この地域はイワシ、シラス等の漁業が非常に盛んなところでもある。
そのため、漁業者に何度も説明を重ねて、より沖合に設置する浮体式で、1基ないし2基の実証事業であればと、今回の公募に手を挙げることを認めてもらったいきさつがあり、3月に情報提供書を資源エネルギー庁に提出した。
そして、10月3日に候補海域が全国で4か所選ばれた。実際には予選の突破にすぎず、最終的には2か所程度が選ばれることになっている。
今後は、実証の応募を検討している10以上の事業者から問合せがあり、そういった事業者が、これから具体的な計画をつくっていくので、愛知県としても、漁業関係者と十分調整しながら、多くの事業者から手が挙がるように協力していきたい。
【委員】
かつて風力発電の技術は、日本が先進的だったが、いつの間にかそれを外国に取られたが、実際に洋上風力発電機を生産することは可能なのか。
【理事者】
多くの事業者から問合せが来ているが、風車の調達が大変だと聞いている。
実際に今ヨーロッパで2社、アメリカは1社で、6割、7割は中国の市場である。特に今回は実証事業で、生産するロットが小さいため、関心を寄せている事業者も、風車の調達には苦労している。何とかなりそうだという事業者もいるため、そのような事業者を離さずに、提案まで持っていきたい。
【委員】
これから再生可能エネルギーをどれだけ確保するかで、ベストミックスと言われる最適なバランスであらゆる方式により発電していくことを懸命にやっていく必要がある。
また、今後デジタル化が進んでいくが、これについてデータ分析を行うと、大量の電力が必要となることがわかる。それを生み出すのに、火力発電所が再開すると困ることになる。そのため、デジタル化を進めると同時に、どうやって電力をスマートに使うか、節電するかを一緒になってやっていく必要がある。
市役所や県庁は縦割り行政であるが、横串を刺して、プロジェクトチームを結成し、取り組む問題だと思う。
愛知県の森林組合長と話した際、県内の木が切れないとのことだったが、それは切った木をどうするかという出口がないからである。豊橋市のバイオマス発電所へ視察した際、間伐材をどれだけ使っているかと質問したら、1割から1割5分との回答があった。材料が集まらず、わざわざ東南アジアから船で運んでいるとのことであり、県内にも資源があるのにそれを活用できていないことがわかる。
これを全部ビジネスにしていかなければ、日本はもたないと思う。
例えば、木を切って、それを建材に使うとカーボンを閉じ込めることになる。そうすると、カーボンクレジットで売れるなど、トータルで考えてカーボンニュートラル、地球温暖化防止を行うべきだと考える。デジタルを使って効率的にスマートシティをつくっていくということを国策として考えていく必要がある。
モノづくりの産業県である愛知県が先導的にこのような問題に取り組んで、製造も生産も行いつつ、カーボンニュートラルも努力することを、愛知県の産業政策として行うべきだと思う。
そこでプロジェクトチームをつくることについて、経済産業局長の考えを伺う。
【理事者】
カーボンニュートラルの取組は様々な部局にまたがる話であり、県庁内の組織が総力を挙げて進めていく必要がある。
環境局にカーボンニュートラル戦略会議が創設され、県庁の中には全局を束ねる部局がないこともあり、それぞれが横の連携を取りながら取り組む必要がある。
そういう意味では、カーボンニュートラルをはじめ、再生可能エネルギーに関する取組は、古本伸一郎副知事が非常に問題意識を持っており、各部局が副知事と議論していると聞いている。会議体をつくって取り組むことがよいのかどうかも含めて、しっかりと検討していきたい。いずれにしても、再生可能エネルギーに関する取組は、日本が世界に遅れているので、グリーンテクノロジー、グリーンイノベーションをしっかり進めていくよう努める。
【委員】
五島列島へ行く前に、九州大学へ視察に行ったが、九州大学では2007年から、国際水素エネルギー研究所を作って水素の研究をしている。教員、研究者の半分が外国人であり、まさにダイバーシティーが実現されていた。
水素自動車の研究も行っており、様々な企業が部屋を持っていたが、印象に残ったのは、地産地消型の炭素循環社会を実現することの重要性である。つまり、空気中の二酸化炭素を回収して、1,000倍に濃縮し、そこへ水素をもう一度入れて、化学反応を起こしてメタンをつくる。それをまたエネルギーに使うことを研究していた。
私の地元の名古屋港はCО2を日本一発生させている。そのことから、産業施策の一つとして、名古屋港管理組合と様々なことを話合って、そのシステムを小型化し、エネルギーを自給自足できるようにすべきである。CО2を埋めるだけでなく、エネルギーとして再利用するようにし、循環させていくことが大事だと思う。水素は再生可能エネルギーとして大切で、ためることができる。これは次世代のエネルギーである。
最後に、ようやく国もリスキリングを行うようになったが、どの業界でもデジタル化が避けて通れないと考える。
愛知県はIoTで、バーチャルとリアル、機械とバーチャルを結んで、どうやって効率化を進めていくかが重要だと思う。チャットGPTなどの生成AIもあり、ほとんどの事務作業が、半分以下の時間で行えるようになるとも言われているため、リスキリングを行い、ITの技術を身につけて、労働の移転をすることについては避けて通れないと感じる。
労働局でIT系の人材育成を行っているが、より本格的に行う必要がある。それと同時に、今から育成を行っても、生まれた子が20歳になり、社会に出て働くのに20年以上かかるため、やはり外国人労働者、特に高度なスキルを持つ人材を取り込むことも必要だと思う。
国内のリスキリングもさることながら、外国人の高度な技術者を招聘してほしいが、現状はどうなっているのか。
【理事者】
デジタル人材の不足に対する人材育成の取組について、本県が昨年3月に策定したあいちデジタル人材育成支援アクションプランでは、本県のデジタル人材は約7万人が不足していると推計している。
不足するデジタル人材の育成のためには、とりわけ中小企業で、自社の業務とデジタル技術の両方を理解する人材を求めるとの声もあることから、自社業務に精通する社員にデジタル技術を習得してもらうリスキリングの機会を提供することが重要である。
そのため、本県では、デジタル人材の育成及び確保で悩む中小企業に対し、アドバイザーの派遣を実施するほか、デジタル人材育成の社内研修に向けた伴走支援、現場リーダー等への階層別研修、高等技術専門校におけるデジタル技術を習得する在職者訓練などにより、約3,000人の規模でリスキリングの機会を提供している。
このほか、高等技術専門校における学卒者向け訓練や離職者向け訓練で、デジタル活用分野の訓練を充実させ、約3,000人規模で就職支援を行っている。
【理事者】
外国人材の活用について、不足するデジタル人材を確保するためには、国内の人材育成のみならず、やはり海外からの人材確保を行うことも方策の一つと考えられる。
外国人のデジタル人材については、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が昨年度に全国の企業を対象に行った調査によると、過去1年間にデジタル人材を確保するため37.8パーセント、約4割の企業が、新卒者や経験者の採用を行っている。
それに対し、外国人の採用を行った企業は、1.6パーセントにとどまっている。
また、従業員300人以下の企業では、外国人採用により人材を確保した企業は0.4パーセントとさらに低くなっている状況である。外国人の雇用については、雇用管理の煩雑さや企業として受入れ体制が整っていない、そもそも外国人の受入れ方が分からないなどの声もあり、外国人材の活用には様々な課題があると認識している。
このため、県では、名古屋出入国在留管理局や愛知労働局、経済団体、労働団体などで構成するあいち外国人材適正受入れ・共生推進協議会の中にある労働環境ワーキンググループで、各構成団体とこうした課題を情報共有しながら、県内企業が海外からデジタル人材等を受け入れるニーズ等の把握に努めたい。
【委員】
今までの技能労働者、単純作業の人たちもさることながら、一次産業はこのような人材がいないと成り立ない。しかし、それと同時に、高度な技術を持った人材を求めることは必要だと思う。
2030年には60万人の人材が不足するとのことで、国内で育成すると同時に、外国から積極的に招聘し、これまでのように派遣業者任せではなく、国は最低3か月以上教育して、日本語と同時に生活習慣、ある程度の文化を勉強してもらい、そして就職の支援、住居の支援をしていかなければ、日本に来てもらえない。
もう少し現実をよく分析してもらい、最善の策を今取るべきである。
STATION Aiは来年オープンする予定であるが、これも大事である。しかし、これからはIoTであるため、インターネットと機械をどう結びつけていくか、それから、バーチャルとリアルをどう結びつけていくかが非常に重要となる。
このような時代に突入したため、縦割り行政に横串を刺し、プロジェクトチームをつくって、日本及び愛知県の産業を守るという、強い意志を持って進めていくことを要望する。