委員会情報
委員会審査状況
経済労働委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月11日(水) 午後0時57分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
福田喜夫、杉浦哲也 正副委員長
直江弘文、神野博史、高桑敏直、山本浩史、山下智也、今井隆喜、
かじ山義章、鳴海やすひろ、村嶌嘉将、岡 明彦、阿部武史 各委員
企業庁長、企業次長、技術監、管理部長、水道部長、企業立地部長、
関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
なし
○ 閉会中継続調査申出案件
1 中小企業の振興、次世代産業の育成及び産業交流の促進について
2 労働者福祉の向上、職業能力開発の推進及び雇用対策について
3 観光振興及び国際会議等の誘致について
4 水道事業及び工業用水道事業について
5 用地造成事業について
6 経済産業局、労働局、観光コンベンション局、企業庁及び労働委員
会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉会中継続調査申出案件の決定
4 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
企業庁の内陸用地の新規開発について伺う。
企業庁の内陸用地での新規開発地区では比較的大規模な面積の区画が多いが、区画割の計画をどのように決めているのか。
【理事者】
企業庁の内陸用地造成事業は、市町との共同事業であり、地元地権者の用地買収への理解や、市町が把握する企業からの旺盛な工業用地の需要を前提に開発検討を始めるものである。市町は、アンケート等をはじめ、企業から寄せられた事業所の移転や拡張、集約などに関する様々な相談事案や、企業庁と共有する企業の立地動向に関する情報を整理することで、企業が必要とする立地面積を具体的に把握している。このため、企業庁は、市町との開発検討の初期段階から、その地区の立地に関心を持つ中小企業から大企業までの様々な企業の需要面積、区画割の要望などを市町へヒアリングしながら土地利用計画を検討し、市町と協議して区画割を決定している。
【委員】
名古屋市内選出の県議会議員として、市内にある中小企業の経営者から比較的小規模の工場等の拡充、移転についての要望を受けることが多々ある。移転の理由はまちまちだが、私の地元、緑区の関係者からは、名古屋市内には移転に適する用地はほとんど見つからない、緑区に隣接する東郷町や大府市など、近隣の市町に1,000平方メートル規模の適地があれば速やかに移転したいという声が複数あった。
現在、企業庁では、事業所の移転や拡張、集約などに関する企業の立地ニーズをどのように把握しているのか。名古屋市内の企業の立地ニーズについては、どう把握をしているのか。
【理事者】
企業の立地ニーズの把握について、企業庁では、県内外や企業の規模を問わず、年間で600件以上行っている企業訪問によって得られた情報から、潜在的な企業の立地ニーズの掘り起こしを精力的に行っている。
さらに、県の経済産業局や関係市町と連携して、東京、大阪で開催する愛知県産業立地セミナーなどの各種セミナーや展示会へ参加して、様々な企業とのつながりを得ることで積極的な立地ニーズの把握に努めている。
また、名古屋市内の企業の立地ニーズについても、幅広に企業情報が集まる金融機関や建設会社などと継続的に情報交換を行うとともに、県の経済産業局との連絡会議を定期的に開催するなど、名古屋市内も含めた幅広い企業立地の動向などの情報を集めている。
【委員】
答弁にあったとおり、積極的に、また、きめ細かに企業の立地ニーズを把握してほしい。
その上で、私が相談を受ける名古屋市内の経営者が希望する用地面積は、比較的小規模である例が多いと思う。
そこで、今後、企業の立地ニーズに合った区画割をどのように計画していくのか、企業庁の考えを伺う。
【理事者】
企業庁では、今後、少しでも企業が進出しやすい工業用地を造成していくために、これまでの企業訪問などを通じた企業の立地ニーズの把握に加えて、地元市町の企業の立地動向に詳しい商工会議所や商工会への聞き取りを新たに実施するなど、より積極的に地元市町に潜在する企業の立地ニーズの掘り起こしに努めていく。
また、そうした情報を適宜、市町に提供して情報共有することで、これまで以上に、より地域の実情に応じた企業の立地ニーズ、例えば、小規模の区画を望む企業の移転や拡張など、多様なニーズに応えられる区画割を市町と一緒になって考えていく。
【委員】
最後に、この質問に至った経緯も少し話して、要望したい。
私が相談を受けた中には、企業の防災及び減災の観点である。事業継続計画(BCP)におけるサプライチェーンの維持の視点から移転を希望している会社が幾つかあった。具体的に言うと、主要な取引会社から、あなたの工場は、発災時に事業継続が危ぶまれる地域にあるので、今後、災害に強い地域に工場移転を考えてほしいと言われ、この要望に早急に応えることは、自分の会社の今後の経営計画に直結することなので、用地探しを一刻も早く急いで行いたいという相談であった。
南海トラフ地震がいつ起こるか分からない地域であり、また、頻発する風水害等を鑑みると、この中小企業の事業継続の観点、また、主要な会社との取引等を円滑に進めていく観点から、こういった企業ニーズに合った用地開発もきめ細かく進めてほしいと思うし、また、その必要性を感ずる。
企業庁では、より工夫を凝らして、積極的に中小企業の立地ニーズに関する情報集約に努めてもらい、その上で、市町村と協力して立地条件をつくるため、名古屋市外の市町に対してきめ細かな情報提供をして、内陸用地造成事業に努めていくことを要望する。
【委員】
6月の経済労働委員会では、水道料金改定の検討をしていくとの答弁であった。そのときの答弁では、電気料金の高騰によって動力費が増加して厳しい経営状況になっており、料金改定の検討が必要になってきたとのことであった。
県営水道の料金改定は、受け手である受水団体の経営に与える影響が大きいこと、また、その先には、その上水を利用する多くの県民への影響が非常に大きいこともあり、十分に受水団体の理解を得ていくことが必要である。
その後の受水団体への説明状況とその反応はどうであったのか。
【理事者】
受水団体への説明は、県内に五つあるブロックの受水団体協議会ごとに説明会を6月と7月の2回開催した。この説明会では、燃料価格の高騰に伴う電気料金の増額などにより経営を圧迫してきており、今年度当初予算では約25億円の純損失であること、また、今年度の電気料金の推移、さらに、地震防災対策や老朽化施設更新などの建設事業の投資計画を説明し、意見交換を行ってきた。また、8月には受水団体協議会の正副会長の受水団体に出席してもらい、意見交換会を開催した。
これまでの受水団体の反応として、受水団体が値上げを行うには、審議会に諮り、通常2年程度の期間を要するため、時間的猶予が欲しいという意見や、改定するならできるだけ小幅にしてほしいという意見、また、留保資金を活用して料金改定を先延ばしできないかなどの意見をもらっている。
さらに、9月に入って、市長会、町村会それぞれから料金改定についての緊急要望を受けている。
要望の趣旨は、一つ目として、電気料金はピーク時に比べて下落傾向にあることから水道料金改定の必要性を慎重に検討すること、二つ目として、各事業者の意見を聞きながら十分な検討期間を設けて協議を進めることといったものであり、こうした意見や要望を踏まえて料金改定の検討を進めていく。
【委員】
受水団体や市長会、また、町村会の意見、要望等も踏まえて検討しているとのことであるが、料金改定の考え方はどのようなものか。また、その検討状況はどうなっているのか。
【理事者】
料金改定については、料金算定期間を4年間として、総括原価を料金収入で賄うことを基本としている。
今回の料金改定の検討に至った要因としては、電気料金や物価の上昇によるが、このうち、電気料金の従量料金の単価については、燃料費調整単価の低下により年始のピークに比べれば落ち着いているが、2021年度の平均単価と2023年度の4月から10月までの平均単価を比較すると、約55パーセント増の高い水準で推移している。また、物価については、労務単価や資材単価など、近年の上昇による影響も考慮していく必要がある。
こうした状況を踏まえた検討状況になるが、2024年度から2027年度までの料金算定期間の見通しについては、収益面で節水機器の普及や人口減少に伴い微減で推移するものと見込んでいる。また、費用面では、動力費や物価上昇に伴う維持費の増加等により、経常損失が続くものと見込んでいる。
一方、現時点での本年度の執行見込みは、電気料金が昨年度のピーク時より低下していることや、薬品単価の入札結果などから約21億円の執行残が見込まれるため、純損失は当初の約25億円から約4億円まで赤字幅が減少すると見込んでいる。
また、企業庁でこれまで行ってきた経費節減の取組として、人員削減やコスト縮減、PFI事業の実施、高金利企業債等の借換えによる支払利息の軽減、省エネルギー対策などがあるが、今後の健全な事業運営を確保するため、真にやむを得ず料金改定を行わなければならない状況にある。
【委員】
本年度の執行見込みでは、純損失が当初予定の約25億円から約4億円まで赤字幅が減少する見込みである一方で、今後の見通しは、収益面で給水収益が微減で推移していくことと、費用面で電気料金や物価の上昇を考慮していくと経常損失がずっと続いていくとのことであった。こうした状況を踏まえて料金改定の改定率や改定時期は、この後、どのようになっていくのか。
【理事者】
改定率や改定時期については、受水団体の意見や市長会、町村会の要望にもあるよう、県民生活や受水団体の経営に急激な影響を及ぼすことのないよう留意していかなければならない。このため、今年度末の未処分利益剰余金として約25億円を見込んでいるが、その2分の1を活用し、改定率をできるだけ抑えるとともに、周知期間の確保を図っていきたい。
今回の料金改定の要因は、電気料金や物価の上昇による維持費の増嵩が主な要因であるので、使用料金を改定したい。
この理由として、県営水道は基本料金と使用料金の二部料金制を採っており、基本料金では資本費相当の費用回収を、使用料金では維持費相当の費用回収を図る考え方による。
改定案では、受水団体の経営への影響に配慮し2段階で改定することとし、1段階目は、周知期間の確保のため改定時期を2024年10月1日からとし、1立方メートル当たり現行の26円から2円値上げし28円に、2段階目は2026年4月1日から4円値上げし32円に改定したい。これによる平均改定率は5.6パーセントになる。
なお、4年経過した段階で直ちに値上げとならないよう、未処分利益剰余金の残りの2分の1を有効に活用していきたい。
いずれにしても、料金改定については受水団体の理解を得ていくことが大切であるので、県としての改定案を受水団体へ丁寧に説明し調整を進めていく。
【委員】
改定案では2段階で改定するとのことで、受水団体等の意見をしっかり聞いた上での判断だと思う。水道料金の改定率は5.6パーセントという答弁であったが、前回の料金改定はどのような内容だったのか。また、今回の改定案との違いは何か。
【理事者】
前回の料金改定は、2000年、2002年の2段階の改定を行い、平均改定率17.8パーセントの改定を行った。当時の料金改定の要因としては、新規水源の完成に伴う費用発生や、安定供給施設の整備のための建設投資等によるものであり、基本料金と使用料金の改定を行ってきた。
今回は、これまでに答弁したように電気料金や物価の上昇による維持費の増嵩が主な要因であるため、前回の料金改定との一つ目の違いとして、使用料金のみを改定し、基本料金は据え置くことである。
また、二つ目の違いとして、今年度末に見込まれる未処分利益剰余金を有効に活用していくことである。これにより県民生活への急激な影響の緩和を図り、周知期間の確保を図る。
【委員】
最後に要望するが、県の水道事業も、物価や電気料金の上昇の影響を受けており、経営を圧迫していることは、十分に理解できる。
一方で、県の水道料金の値上げは、県民生活や受水団体の経営に与える影響が非常に大きいため、影響をできるだけ小さくする考えで、当面の改定幅を抑えて、周知期間をしっかりと設けるとの答弁であった。
これから、改定案によって受水団体と調整していくことになると思うが、受水団体の十分な理解を得ることが求められるので、引き続き丁寧に説明し、対応することを要望する。
【委員】
水道料金の値上げは、やむにやまれぬ処置だと思うが、世の中が物価高騰で悲鳴を上げているときに公共料金は上げるべきではないと思うが、先日、神野博史委員と一緒に、いろいろと皆さんの経営状況を聞いて、独立採算制で健全な経営をしているが、過去の負の遺産も抱えていると聞いた。そして、借金もほぼ半分ぐらいは返済したとのことで安堵して、昔とは少し違うな、経営努力しているなと思ったのだが、豊橋浄水場をPFIにすることと、SDGsに基づいたカーボンニュートラルも検討していくことで、新しい試みだと思って評価をするが、今や時代はデジタル化、チャットGPTの生成AIの時代であり、民間に任せるため、できるだけ小さい組織にし、無駄を省き、簡単なことはコンピューターでやってもらうという意識で進めていくとよいのではないか。首を切れという話ではない。コストを少なくして、生産性が上がる。皆さんの業務はほとんど管理業で親和性もあり、民間は当然DXをやっていく。任せた以上はとにかく一生懸命やってもらう。あまりもうけに走らないようにチェックだけしておけばよい。そういう気持ちで民間を育成してもらいたい。
それともう一つは、大切な上下水道に何が起こるか分からないので、サイバーセキュリティにも重点を置かなければならない。AIのカメラを各所に取り付けて情報を見える化して、万が一事故があったら対応する、起きないようにするセキュリティも大事であり、そのためには身を縮めて無駄を省くことが必要だと思うので、できるだけ、今後は公共料金を上げないような内部努力、企業努力をしてほしいと思うが、企業庁の考えと決意を聞かせてほしい。
【理事者】
水道料金については、水道計画課長から答弁したとおりであるが、私どもも6月から、受水団体の市町、場合によっては企業団と協議を重ねて、できるだけ影響が少ないように上げさせてほしい、また、時間的猶予も取ってほしいとのことで、今回、第1弾として、来年度の10月1日から2円上げ、その2年後の2026年から4円上げる。最初から6円上げたかったのだが、最初から6円上げるとかなり影響が大きいため、最初の2年間、厳密には1年半だが、2円上げさせてもらい、その2年後に4円上げさせてもらう形にした。答弁の中にもあったが、市町で水道料金を上げる場合には料金審議会にかけて、通常、1年から2年かけて協議するという意見もあった。ただし、2年据え置きで3年目に上げると4円では済まず、7円、8円上げなければならなくなってしまうため、少しでも上げさせてもらい、こちらの希望としては、最初の2年間は2円上げるが、その期間に審議会等でしっかり議論してもらった後、3年後の4円上げるときに、市町村で実際の水道料金を上げるかどうかを決めてもらいたい。
また、委員から指摘があったが、私どもは独占企業体であるので、受水団体は、私どもの料金が上がったら、愛知県企業庁の料金が高いから岐阜県からもらおうとはできない。私どもも、どこかの市が嫌だと言っているから、そこは除いて岐阜県のどこかの市に供給することもできない。
受水団体の理解が第一であり、そのためには、6月定例議会の委員会でも答弁したが、私どもとしても、今後の経費削減、合理化などにしっかりと取り組んでいく。私は3点挙げたが、DX、PFI、広域化、少し時間がかかるが、その3点をしっかりやっていくとともに、直江弘文委員が発言したとおり、直ちに取り組めるもの、今取り組んでいるものがある。例えば、ドローンで管渠、水道管の橋にある見えないところの点検や、昨年度からは地中に埋まっている水道管、それだけでは劣化状態が分からないが、その水道管がどのような材質で、いつ埋められて、その上の土壌がどのような状態になっていて、トラックが通るような道路なのか、誰にも踏まれないような道路なのかなどを全部データで入れると、ここの水道管が傷みそうだと診断するAI等を試行的に入れている。
また、浄水場もオペレートを一部民間委託して、遠隔で全てやれるようなITを導入していくと、直江弘文委員の指摘のとおり、サイバーセキュリティが大変重要になってくるため、外部からの侵入を許さない、インターネット回線につながっていない、また、入れるようなポートもつくらないシステムで内部管理している。外部から侵入があった場合は、カメラ等で感知できるセキュリティもしっかり進めている。
重ねてになるが、経営が苦しくなったから値上げして終わりにするつもりは全くない。今回、合理化などで削減できる幅を超えて、いろいろな諸経費が上がってしまったので、今後の4年間については、料金改定で水道料金を上げさせてもらうことで経営の安定化を図っていくが、今後は、経営努力だけではなく、IT、DX等の導入によってできるだけ経費を減らし、組織もスリム化して、民間の技術と知恵とノウハウをできるだけ取り込んで、受水団体にこれだけ県がやっているなら料金を上げても仕方がないと思ってもらえるよう、努力していくので、引き続きの指導、助言をお願いする。
【委員】
心強い話を聞いて安堵したが、あらゆるDX、AIを取り入れると、1人当たりの生産性が当然上がる。それで浮いたお金を、給料を上げるわけにはいかないが、投資をして、最終的には1円でも料金を下げるという目標でやってもらいたい。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月11日(水) 午後0時57分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
福田喜夫、杉浦哲也 正副委員長
直江弘文、神野博史、高桑敏直、山本浩史、山下智也、今井隆喜、
かじ山義章、鳴海やすひろ、村嶌嘉将、岡 明彦、阿部武史 各委員
企業庁長、企業次長、技術監、管理部長、水道部長、企業立地部長、
関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
なし
○ 閉会中継続調査申出案件
1 中小企業の振興、次世代産業の育成及び産業交流の促進について
2 労働者福祉の向上、職業能力開発の推進及び雇用対策について
3 観光振興及び国際会議等の誘致について
4 水道事業及び工業用水道事業について
5 用地造成事業について
6 経済産業局、労働局、観光コンベンション局、企業庁及び労働委員
会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉会中継続調査申出案件の決定
4 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
企業庁の内陸用地の新規開発について伺う。
企業庁の内陸用地での新規開発地区では比較的大規模な面積の区画が多いが、区画割の計画をどのように決めているのか。
【理事者】
企業庁の内陸用地造成事業は、市町との共同事業であり、地元地権者の用地買収への理解や、市町が把握する企業からの旺盛な工業用地の需要を前提に開発検討を始めるものである。市町は、アンケート等をはじめ、企業から寄せられた事業所の移転や拡張、集約などに関する様々な相談事案や、企業庁と共有する企業の立地動向に関する情報を整理することで、企業が必要とする立地面積を具体的に把握している。このため、企業庁は、市町との開発検討の初期段階から、その地区の立地に関心を持つ中小企業から大企業までの様々な企業の需要面積、区画割の要望などを市町へヒアリングしながら土地利用計画を検討し、市町と協議して区画割を決定している。
【委員】
名古屋市内選出の県議会議員として、市内にある中小企業の経営者から比較的小規模の工場等の拡充、移転についての要望を受けることが多々ある。移転の理由はまちまちだが、私の地元、緑区の関係者からは、名古屋市内には移転に適する用地はほとんど見つからない、緑区に隣接する東郷町や大府市など、近隣の市町に1,000平方メートル規模の適地があれば速やかに移転したいという声が複数あった。
現在、企業庁では、事業所の移転や拡張、集約などに関する企業の立地ニーズをどのように把握しているのか。名古屋市内の企業の立地ニーズについては、どう把握をしているのか。
【理事者】
企業の立地ニーズの把握について、企業庁では、県内外や企業の規模を問わず、年間で600件以上行っている企業訪問によって得られた情報から、潜在的な企業の立地ニーズの掘り起こしを精力的に行っている。
さらに、県の経済産業局や関係市町と連携して、東京、大阪で開催する愛知県産業立地セミナーなどの各種セミナーや展示会へ参加して、様々な企業とのつながりを得ることで積極的な立地ニーズの把握に努めている。
また、名古屋市内の企業の立地ニーズについても、幅広に企業情報が集まる金融機関や建設会社などと継続的に情報交換を行うとともに、県の経済産業局との連絡会議を定期的に開催するなど、名古屋市内も含めた幅広い企業立地の動向などの情報を集めている。
【委員】
答弁にあったとおり、積極的に、また、きめ細かに企業の立地ニーズを把握してほしい。
その上で、私が相談を受ける名古屋市内の経営者が希望する用地面積は、比較的小規模である例が多いと思う。
そこで、今後、企業の立地ニーズに合った区画割をどのように計画していくのか、企業庁の考えを伺う。
【理事者】
企業庁では、今後、少しでも企業が進出しやすい工業用地を造成していくために、これまでの企業訪問などを通じた企業の立地ニーズの把握に加えて、地元市町の企業の立地動向に詳しい商工会議所や商工会への聞き取りを新たに実施するなど、より積極的に地元市町に潜在する企業の立地ニーズの掘り起こしに努めていく。
また、そうした情報を適宜、市町に提供して情報共有することで、これまで以上に、より地域の実情に応じた企業の立地ニーズ、例えば、小規模の区画を望む企業の移転や拡張など、多様なニーズに応えられる区画割を市町と一緒になって考えていく。
【委員】
最後に、この質問に至った経緯も少し話して、要望したい。
私が相談を受けた中には、企業の防災及び減災の観点である。事業継続計画(BCP)におけるサプライチェーンの維持の視点から移転を希望している会社が幾つかあった。具体的に言うと、主要な取引会社から、あなたの工場は、発災時に事業継続が危ぶまれる地域にあるので、今後、災害に強い地域に工場移転を考えてほしいと言われ、この要望に早急に応えることは、自分の会社の今後の経営計画に直結することなので、用地探しを一刻も早く急いで行いたいという相談であった。
南海トラフ地震がいつ起こるか分からない地域であり、また、頻発する風水害等を鑑みると、この中小企業の事業継続の観点、また、主要な会社との取引等を円滑に進めていく観点から、こういった企業ニーズに合った用地開発もきめ細かく進めてほしいと思うし、また、その必要性を感ずる。
企業庁では、より工夫を凝らして、積極的に中小企業の立地ニーズに関する情報集約に努めてもらい、その上で、市町村と協力して立地条件をつくるため、名古屋市外の市町に対してきめ細かな情報提供をして、内陸用地造成事業に努めていくことを要望する。
【委員】
6月の経済労働委員会では、水道料金改定の検討をしていくとの答弁であった。そのときの答弁では、電気料金の高騰によって動力費が増加して厳しい経営状況になっており、料金改定の検討が必要になってきたとのことであった。
県営水道の料金改定は、受け手である受水団体の経営に与える影響が大きいこと、また、その先には、その上水を利用する多くの県民への影響が非常に大きいこともあり、十分に受水団体の理解を得ていくことが必要である。
その後の受水団体への説明状況とその反応はどうであったのか。
【理事者】
受水団体への説明は、県内に五つあるブロックの受水団体協議会ごとに説明会を6月と7月の2回開催した。この説明会では、燃料価格の高騰に伴う電気料金の増額などにより経営を圧迫してきており、今年度当初予算では約25億円の純損失であること、また、今年度の電気料金の推移、さらに、地震防災対策や老朽化施設更新などの建設事業の投資計画を説明し、意見交換を行ってきた。また、8月には受水団体協議会の正副会長の受水団体に出席してもらい、意見交換会を開催した。
これまでの受水団体の反応として、受水団体が値上げを行うには、審議会に諮り、通常2年程度の期間を要するため、時間的猶予が欲しいという意見や、改定するならできるだけ小幅にしてほしいという意見、また、留保資金を活用して料金改定を先延ばしできないかなどの意見をもらっている。
さらに、9月に入って、市長会、町村会それぞれから料金改定についての緊急要望を受けている。
要望の趣旨は、一つ目として、電気料金はピーク時に比べて下落傾向にあることから水道料金改定の必要性を慎重に検討すること、二つ目として、各事業者の意見を聞きながら十分な検討期間を設けて協議を進めることといったものであり、こうした意見や要望を踏まえて料金改定の検討を進めていく。
【委員】
受水団体や市長会、また、町村会の意見、要望等も踏まえて検討しているとのことであるが、料金改定の考え方はどのようなものか。また、その検討状況はどうなっているのか。
【理事者】
料金改定については、料金算定期間を4年間として、総括原価を料金収入で賄うことを基本としている。
今回の料金改定の検討に至った要因としては、電気料金や物価の上昇によるが、このうち、電気料金の従量料金の単価については、燃料費調整単価の低下により年始のピークに比べれば落ち着いているが、2021年度の平均単価と2023年度の4月から10月までの平均単価を比較すると、約55パーセント増の高い水準で推移している。また、物価については、労務単価や資材単価など、近年の上昇による影響も考慮していく必要がある。
こうした状況を踏まえた検討状況になるが、2024年度から2027年度までの料金算定期間の見通しについては、収益面で節水機器の普及や人口減少に伴い微減で推移するものと見込んでいる。また、費用面では、動力費や物価上昇に伴う維持費の増加等により、経常損失が続くものと見込んでいる。
一方、現時点での本年度の執行見込みは、電気料金が昨年度のピーク時より低下していることや、薬品単価の入札結果などから約21億円の執行残が見込まれるため、純損失は当初の約25億円から約4億円まで赤字幅が減少すると見込んでいる。
また、企業庁でこれまで行ってきた経費節減の取組として、人員削減やコスト縮減、PFI事業の実施、高金利企業債等の借換えによる支払利息の軽減、省エネルギー対策などがあるが、今後の健全な事業運営を確保するため、真にやむを得ず料金改定を行わなければならない状況にある。
【委員】
本年度の執行見込みでは、純損失が当初予定の約25億円から約4億円まで赤字幅が減少する見込みである一方で、今後の見通しは、収益面で給水収益が微減で推移していくことと、費用面で電気料金や物価の上昇を考慮していくと経常損失がずっと続いていくとのことであった。こうした状況を踏まえて料金改定の改定率や改定時期は、この後、どのようになっていくのか。
【理事者】
改定率や改定時期については、受水団体の意見や市長会、町村会の要望にもあるよう、県民生活や受水団体の経営に急激な影響を及ぼすことのないよう留意していかなければならない。このため、今年度末の未処分利益剰余金として約25億円を見込んでいるが、その2分の1を活用し、改定率をできるだけ抑えるとともに、周知期間の確保を図っていきたい。
今回の料金改定の要因は、電気料金や物価の上昇による維持費の増嵩が主な要因であるので、使用料金を改定したい。
この理由として、県営水道は基本料金と使用料金の二部料金制を採っており、基本料金では資本費相当の費用回収を、使用料金では維持費相当の費用回収を図る考え方による。
改定案では、受水団体の経営への影響に配慮し2段階で改定することとし、1段階目は、周知期間の確保のため改定時期を2024年10月1日からとし、1立方メートル当たり現行の26円から2円値上げし28円に、2段階目は2026年4月1日から4円値上げし32円に改定したい。これによる平均改定率は5.6パーセントになる。
なお、4年経過した段階で直ちに値上げとならないよう、未処分利益剰余金の残りの2分の1を有効に活用していきたい。
いずれにしても、料金改定については受水団体の理解を得ていくことが大切であるので、県としての改定案を受水団体へ丁寧に説明し調整を進めていく。
【委員】
改定案では2段階で改定するとのことで、受水団体等の意見をしっかり聞いた上での判断だと思う。水道料金の改定率は5.6パーセントという答弁であったが、前回の料金改定はどのような内容だったのか。また、今回の改定案との違いは何か。
【理事者】
前回の料金改定は、2000年、2002年の2段階の改定を行い、平均改定率17.8パーセントの改定を行った。当時の料金改定の要因としては、新規水源の完成に伴う費用発生や、安定供給施設の整備のための建設投資等によるものであり、基本料金と使用料金の改定を行ってきた。
今回は、これまでに答弁したように電気料金や物価の上昇による維持費の増嵩が主な要因であるため、前回の料金改定との一つ目の違いとして、使用料金のみを改定し、基本料金は据え置くことである。
また、二つ目の違いとして、今年度末に見込まれる未処分利益剰余金を有効に活用していくことである。これにより県民生活への急激な影響の緩和を図り、周知期間の確保を図る。
【委員】
最後に要望するが、県の水道事業も、物価や電気料金の上昇の影響を受けており、経営を圧迫していることは、十分に理解できる。
一方で、県の水道料金の値上げは、県民生活や受水団体の経営に与える影響が非常に大きいため、影響をできるだけ小さくする考えで、当面の改定幅を抑えて、周知期間をしっかりと設けるとの答弁であった。
これから、改定案によって受水団体と調整していくことになると思うが、受水団体の十分な理解を得ることが求められるので、引き続き丁寧に説明し、対応することを要望する。
【委員】
水道料金の値上げは、やむにやまれぬ処置だと思うが、世の中が物価高騰で悲鳴を上げているときに公共料金は上げるべきではないと思うが、先日、神野博史委員と一緒に、いろいろと皆さんの経営状況を聞いて、独立採算制で健全な経営をしているが、過去の負の遺産も抱えていると聞いた。そして、借金もほぼ半分ぐらいは返済したとのことで安堵して、昔とは少し違うな、経営努力しているなと思ったのだが、豊橋浄水場をPFIにすることと、SDGsに基づいたカーボンニュートラルも検討していくことで、新しい試みだと思って評価をするが、今や時代はデジタル化、チャットGPTの生成AIの時代であり、民間に任せるため、できるだけ小さい組織にし、無駄を省き、簡単なことはコンピューターでやってもらうという意識で進めていくとよいのではないか。首を切れという話ではない。コストを少なくして、生産性が上がる。皆さんの業務はほとんど管理業で親和性もあり、民間は当然DXをやっていく。任せた以上はとにかく一生懸命やってもらう。あまりもうけに走らないようにチェックだけしておけばよい。そういう気持ちで民間を育成してもらいたい。
それともう一つは、大切な上下水道に何が起こるか分からないので、サイバーセキュリティにも重点を置かなければならない。AIのカメラを各所に取り付けて情報を見える化して、万が一事故があったら対応する、起きないようにするセキュリティも大事であり、そのためには身を縮めて無駄を省くことが必要だと思うので、できるだけ、今後は公共料金を上げないような内部努力、企業努力をしてほしいと思うが、企業庁の考えと決意を聞かせてほしい。
【理事者】
水道料金については、水道計画課長から答弁したとおりであるが、私どもも6月から、受水団体の市町、場合によっては企業団と協議を重ねて、できるだけ影響が少ないように上げさせてほしい、また、時間的猶予も取ってほしいとのことで、今回、第1弾として、来年度の10月1日から2円上げ、その2年後の2026年から4円上げる。最初から6円上げたかったのだが、最初から6円上げるとかなり影響が大きいため、最初の2年間、厳密には1年半だが、2円上げさせてもらい、その2年後に4円上げさせてもらう形にした。答弁の中にもあったが、市町で水道料金を上げる場合には料金審議会にかけて、通常、1年から2年かけて協議するという意見もあった。ただし、2年据え置きで3年目に上げると4円では済まず、7円、8円上げなければならなくなってしまうため、少しでも上げさせてもらい、こちらの希望としては、最初の2年間は2円上げるが、その期間に審議会等でしっかり議論してもらった後、3年後の4円上げるときに、市町村で実際の水道料金を上げるかどうかを決めてもらいたい。
また、委員から指摘があったが、私どもは独占企業体であるので、受水団体は、私どもの料金が上がったら、愛知県企業庁の料金が高いから岐阜県からもらおうとはできない。私どもも、どこかの市が嫌だと言っているから、そこは除いて岐阜県のどこかの市に供給することもできない。
受水団体の理解が第一であり、そのためには、6月定例議会の委員会でも答弁したが、私どもとしても、今後の経費削減、合理化などにしっかりと取り組んでいく。私は3点挙げたが、DX、PFI、広域化、少し時間がかかるが、その3点をしっかりやっていくとともに、直江弘文委員が発言したとおり、直ちに取り組めるもの、今取り組んでいるものがある。例えば、ドローンで管渠、水道管の橋にある見えないところの点検や、昨年度からは地中に埋まっている水道管、それだけでは劣化状態が分からないが、その水道管がどのような材質で、いつ埋められて、その上の土壌がどのような状態になっていて、トラックが通るような道路なのか、誰にも踏まれないような道路なのかなどを全部データで入れると、ここの水道管が傷みそうだと診断するAI等を試行的に入れている。
また、浄水場もオペレートを一部民間委託して、遠隔で全てやれるようなITを導入していくと、直江弘文委員の指摘のとおり、サイバーセキュリティが大変重要になってくるため、外部からの侵入を許さない、インターネット回線につながっていない、また、入れるようなポートもつくらないシステムで内部管理している。外部から侵入があった場合は、カメラ等で感知できるセキュリティもしっかり進めている。
重ねてになるが、経営が苦しくなったから値上げして終わりにするつもりは全くない。今回、合理化などで削減できる幅を超えて、いろいろな諸経費が上がってしまったので、今後の4年間については、料金改定で水道料金を上げさせてもらうことで経営の安定化を図っていくが、今後は、経営努力だけではなく、IT、DX等の導入によってできるだけ経費を減らし、組織もスリム化して、民間の技術と知恵とノウハウをできるだけ取り込んで、受水団体にこれだけ県がやっているなら料金を上げても仕方がないと思ってもらえるよう、努力していくので、引き続きの指導、助言をお願いする。
【委員】
心強い話を聞いて安堵したが、あらゆるDX、AIを取り入れると、1人当たりの生産性が当然上がる。それで浮いたお金を、給料を上げるわけにはいかないが、投資をして、最終的には1円でも料金を下げるという目標でやってもらいたい。