委員会情報
委員会審査状況
県民環境委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月11日(水) 午後0時58分~
会 場 第6委員会室
出 席 者
黒田太郎、杉江繁樹 正副委員長
松川浩明、中野治美、神戸健太郎、山田たかお、杉浦正和、増田成美、
高木ひろし、鈴木 純、加藤貴志、神谷まさひろ、永田敦史 各委員
環境局長、同技監、環境政策部長、地球温暖化対策監、資源循環推進監、
関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
なし
○ 閉会中継続調査申出案件
1 文化芸術の振興及び文化財の保護について
2 青少年の健全育成及び県民・NPOとの協働の推進について
3 男女共同参画社会の形成の促進について
4 生活環境及び自然環境の保全について
5 地球温暖化対策について
6 県民文化局及び環境局の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉会中継続調査申出案件の決定
4 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
先月の県外視察で広島県や県内企業から話を聞く機会があった。広島県では海洋プラスチック対策として、瀬戸内海に新たに流出する海洋プラスチックごみの量を2050年までにゼロにすることを宣言し、実現に向けて、企業や団体、行政など、幅広い主体が連携して様々な課題を解決していく官民連携プラットフォームを2021年6月に設立した。
このプラットフォームに参加した、プラスチック容器や紙容器を製造している県内企業は、プラスチック使用量を削減するため、サトウキビの搾りかすであるバガスからお好み焼き用の容器を開発し、導入した。代表取締役から、官民連携プラットフォームへの参画で、同業、異業種の企業、NPO及び自治体との交流が可能となり、様々な意見交換を行うことができたため新たな発想が生まれ、この容器を開発することができた、自社のみでは実現し得なかったと説明があった。様々な主体が連携、交流するプラットフォームは、非常にいい取組だと痛感した。
そこで、本県でも広島県のような環境問題を解決していくための官民連携プラットフォームはあるのか、また、そこでどのような取組を行っているのか。
【理事者】
本県では、限りある資源の循環利用に向け、あいちサーキュラーエコノミー推進プランに掲げた推進モデルの具体化を図る七つのプロジェクトチームを2023年1月に設立している。このチームは、社会的な課題であるプラスチックや太陽光パネルなどを有効に県内循環させていくため、製品の設計、生産からリサイクルまでの様々な段階に携わる62事業者が参画するほか、有識者として大学教授、オブザーバーとして金融機関と国に携わってもらい、産官学金の連携により取組を進めている。
具体的な取組の一つとして、プラスチックの循環利用を進めるチームでは、リサイクルが困難な廃プラスチックの再資源化や再資源化した原料を活用したサーキュラーエコノミーへの訴求力が高い製品を企画し、検討している。
今年度、本県は、混合プラスチックや軟質系の廃プラスチックからリサイクル原料を製造する設備の導入に対して、循環型社会形成推進事業費補助金による支援を行っている。各チームは、1社ではできないことを事業者連携により2026年度までの5年間をめどに事業化を目指して、製品のライフサイクルを踏まえたリサイクルループを構築する取組を進めている。
【委員】
サーキュラーエコノミー及びリサイクルという観点で、コーヒー豆かすのリサイクルについて伺う。
食品廃棄物という観点では、従来、捨てられていたものが企業で様々な形でリサイクルされる取組が進んでいる状況の中、その食品廃棄物の一つにコーヒー豆かすがある。コーヒー消費大国、世界でも非常に消費する量が多いのが日本と言われている中、コーヒー豆かすは、清涼飲料製造工場で毎年多量に発生する有機性廃棄物で、家庭などでコーヒーを入れた後の残飯と物理的には同じ扱いである。その粉砕方法によって粒の径は異なるが、数ミリメートル以下程度で取扱い性はよいものの、水を多量に含んでいるため、焼却処分しづらいと聞いている。しかし、コーヒー豆かすはリサイクル利用が難しく、多くは焼却処分されている。
本県は、コーヒーの飲料を製造する工場や提供する飲食店も非常に多いため、廃棄物削減に向けて取り組んでいく必要がある。
そこで、県内では、コーヒー豆かすをリサイクルする取組があるのか、また、コーヒー豆かすの削減に向けた県としての取組があるのか。
【理事者】
コーヒー豆かすのリサイクルについては、県内での循環ループを図る取組を2020年度から事業者と県が連携して進めている。具体的には、県内の飲料メーカー等から排出されるコーヒー豆かすを、特殊な低温乾燥機を利用し、酪農家や農家が望む高性能な飼料や堆肥としてアップサイクルした後、さらにこれらを使用して牛乳やお茶を生産、販売することを目指している。本県は、2021年度に特殊な低温乾燥機の導入に対して、循環型社会形成推進費補助金による支援を行った。これまで飼料や堆肥として年間約50トンのリサイクル事業に成功しており、現在は、飼料や堆肥を利用した乳製品やお茶製品のブランド化を進めている。
また、七つのサーキュラーエコノミー推進プロジェクトチームの一つとして、バイオマスプラスチックのチームを立ち上げている。このチームでは、木材など地域で排出される様々なバイオマスとプラスチック製造工程で発生する端材から原料を製造し、新規の化石由来の利用がゼロとなるバイオマスプラスチックの製品化を進めている。
この地域バイオマスの候補の一つとして、県内のコーヒー工場から排出される豆かすが挙がっており、実現可能性について検討を行っている。今年度、本県は、この事業化検討に補助金を交付しており、バイオマスプラスチックの製品化や循環利用に向けて、しっかりとサポートしていく。
【委員】
以前より私は、海岸漂着物について、その処理方法を、いろいろなところで問題視してきた。港湾管理者であったり、海岸を管理している人であったり、いろいろな人と話をしている。
漂着する場所によって、スムーズに処理ができるところと全く処理ができないところがあると感じている。
今年も大雨が降り、いろいろなものが川から海へ流れ出て、いろいろなところに漂着している。
そこで、海岸漂着物の処理への支援はどのような制度になっているのか。
【理事者】
本県では、海岸漂着物処理推進法に基づき、地域の実情と特性を踏まえた対策を推進するため、国、海岸管理者、市町村及び学識者等で構成する海岸漂着物対策推進協議会の協議を経て、愛知県海岸漂着物対策推進地域計画を作成している。本計画では、地元市町村からの意向を踏まえ、海岸漂着物等の量や質のほか、海岸などの自然的条件や利用状況、経済活動等について総合的に検討した地域を重点区域として、20地区を設定している。この重点区域での海岸漂着物については、環境省の補助金を活用して計画的に市町村が回収処理を行っている。
このほか、暴風や高潮等の異常な天然現象により海岸に漂着した流木等は、その規模等に応じて国庫補助の災害関連事業や、県建設局の流木等処理負担金の制度がある。
【委員】
日常的なごみは、指定した場所で1年を通して皆で掃除しており、災害等で出たごみは、そのときに応じて補助がある。
海岸漂着と一言でくくるが、海岸にはいろいろなところがあり、砂浜になっているところ、コンクリートの壁になっているところ、岩のあるところがあり、場所によっていろいろなものが漂着し、片づけ方も随分違う。先ほど説明した二つの方法だけでは、処理が進まない。
例えば、港の中でも、港の運営上、必要があるところは確かに処理されるが、プラスチックが浮いている程度であれば、あえて掃除をしておらず、コンクリートの岸壁や岩は、利用上支障がないので、清掃の対象にはなっていないと思う。今も、その制度がないのではないか。
特に、大雨が降り、河川の上流から流れてきたと思われる流木や自然の植物の残がい、プラスチック及びペットボトルなど、いろいろなものがたくさん流れ出た。このようなごみは、日常的な清掃と、地元のボランティアが片づけているのが現状である。
一方で、ごみのサイズが大きく片づけにくいもの、または、片づけにくい場所にあるものは、そのまま放置されている。港でも、運営上問題がないものについては、満潮が来るまで放置しておき、ごみが流れていけばそれで片づいたとすることが、実質上行われていると思う。ひどいものでは、片づけられる場所や制度がある場所へ、ごみが流れて行かないかと考えなければならないことも現実には起きている。
これらのプラスチックごみや大きなごみは、積極的に片づけるという観点がなければ片づいていかない。そして、日常的に出るというよりは、大雨が降ったときに大量に流れて、潮の向きや風の方向で、あるところに集中的にたまることが漂着だと思う。そのときに片づける制度があれば、一気にまとめて回収できるので効率もよいが、その場所ではほとんど片づける制度がなく、あちらこちらへ流れているうちに減っていくのが現状である。
環境局として、漂着したごみを積極的に片づけることは大事であり、マイクロプラスチックになっていく前に早く片づけるべきだと思う。
国の補助金等が使えない海岸漂着物も、処理が進むように取り組んでいくべきだと思うが、どのように考えるか。
【理事者】
先ほどの答弁の補足になるが、国の補助金が使えない海岸漂着物も、建設局の負担金がある。積極的な回収処理が重要なことは認識しており、建設局が災害に至らずとも台風等の異常気象で発生した中小規模の漂着流木等について処理経費を負担する制度を設けている。
しかしながら、こうした制度の対象とならない海岸漂着物は、海岸管理者で海岸における影響等を勘案して、優先的に対処すべきものを選択せざるを得ない状況であり、全ての事案に対応することは難しい状況である。そのため、海岸管理者と地元市町村等の関係者が個別具体の状況に応じて対応することが必要となっている。
環境局としては、今後、海岸漂着物対策推進協議会等の機会を捉え、積極的な回収処理に努めてもらえるよう、海岸管理者や地元市町村等への情報提供や呼びかけに努めていく。
また、地元市町村の意向に基づき、新たな重点区域の指定に関する相談検討に対応する。
今後とも、海岸が県民共有の財産という認識の下、海岸漂着物の削減に向けて、県内市町村をはじめ関係者と連携を密にし、回収処理の対応に取り組む。
【委員】
実際に片づけるとなれば予算が要るため、今すぐにはできないが、環境局として、積極的に回収することを基本に、どこに何が漂着しているかの調査を行うことや、それをどのように処理したら一番効率的なのかを県として検討し、国の補助を求めるのか、県単独で制度をつくるのか考える必要がある。今の制度は、何かあったときに素早く使えるものではなく、使えたとしてもタイムラグがあるため、その辺の検討も含めて、県として、ぜひ検討や要望をしてほしい。
次に、環境的観点から見た特定小型原付、いわゆる電動キックボードについて伺う。
以前は超小型モビリティーとくくられていたが、日本では法律が整備されていない。世界でいろいろな乗り物が開発されているが、日本に持ってくると全部法律違反で、全く広がっていない分野の乗り物である。
ところが、今年の7月1日に道路交通法が改正され、電動キックボードなどを特定小型原付とする新たな交通ルールが決まった。長さが190センチメートル以内、幅が60センチメートル以内、時速20キロメートルを超えて車道を通行することができず、歩道については時速6キロメートル未満である。ざっくりとしたルールの中で決められ、16歳以上で免許がなくても運行できるというルールがつくられた。
しかし、報道では、動きが今までの乗り物とは違い、大変危険な乗り物だと批判されており、乗っている人のモラルやルールが不十分であるため、事故もたくさん起こっている。
先月、シンガポールに調査へ行ったが、シンガポールでは一時これが許可され、乗ることができたが、2度ほど大きな死亡事故があったために、全面的に禁止されている。一部の限られたところでしか利用できなくなっている。仕方のない部分もあるが、日本でこれだけのルールが決められて進んできているため、この制度をもう少し使って、いろいろなものが開発されてほしいと思っている。
例えば警察庁、環境省及び国土交通省に様々な観点で話を聞きに行っているが、特段、応援するようなメッセージもなく、ただこういうルールができて乗れるようになっただけであった。
もう少し応援しなければ、開発している人たちも残念だと思う。この電動キックボードは、電気で走行するため、温室効果ガスの削減などが期待できる。カーボンニュートラルの実現に向けて普及を推進すべきと考えるが、環境局としてはどう考えているのか。
【理事者】
超小型モビリティーは、2013年に走行区域を限定した個別認定制度としてスタートした。2020年には安全性の確保を最優先することで保安基準が緩和され、一般道で走行可能なEVの型式指定車の販売も始まっている。
国土交通省によると、自動車のエネルギー消費効率に対して、超小型モビリティーのEVは、ガソリン車の約6倍優れており、環境負荷の低減につながるとともに、物流の効率化や地方都市、山間部での生活交通や通勤通学の足として大変有用な移動手段として期待されている。
本県も、あいち自動車ゼロエミッション化加速プランで、宅配等の近距離輸送やカーシェアリング車両として将来的にその超小型EVが広く利用されることを想定しており、事業者の車両導入に対する補助や先進的な導入事例の紹介等を行っている。引き続き、カーボンニュートラルの実現に向けて普及促進に努めたい。
【委員】
過去のモーターショーでは、スズキやホンダをはじめとする大企業及びスタートアップ企業が、いろいろな形の特定小型原付などを出品していた。安全性に配慮したものや高齢者が使いやすいもの及び観光地で使いやすいものなど、いろいろな取組をしていた。これらが普及することで、新しいことができると思うので、ぜひ普及に力を貸してもらい、高齢者や観光、通勤通学の足などに使ってもらえるように応援してほしい。
【委員】
環境局のおかげで海は本当にきれいになった。木曽川、長良川及び揖斐川の河口でさえ、まずいないウミボタルなどが見られる。反面、赤潮や青潮は、ここ数年見ていない。この数年で生態系が変わってきており、いるべき生き物がいなくなり、いてほしくない生き物が増えたと思う。木曽川の河口で、イワシを追いかけてヒラメやブリなどが入ってくるようになった。そのため、コウナゴやハマグリなどの以前獲れた水産物がいなくなり、地元の漁業組合が困っている。6月定例議会の委員会で、豊かな海の実現に向けて他県と協働しなければならないと話したが、一度真剣に考えなくては、この先、漁業組合は全て潰れてしまう。例えば、海づくり税を作ってはどうか。海をきれいにし、魚を呼び込むことは莫大なお金がかかる。その費用を県が全て出すことは不可能である。海や山がきれいになって、文句を言う人はいないと思う。島国であるため、山から海までの距離が短く、山に降った水がすぐ海まで流れてくる。あいち森と緑づくり税を徴収し、山をきれいにするのと同様に、海もきれいにしなければならないと思うが、局長の意見を伺う。
【理事者】
委員の指摘については、意見として受け取らせてもらう。
今まで、海をきれいにする観点でいろいろ取り組んできており、成果も出ている反面、生態系に変化があることは知っている。温暖化の影響による生態系の変化に関する事項が新聞やニュースでもよく取り上げられているため、引き続き情報収集を行い注視していく。
【委員】
環境の範囲は広く、簡単に分けられるものではないことも踏まえて取り組まなければ、環境に関わって生活している人に迷惑がかかる。生態系の保護と環境対策のバランスが大事である。
【委員】
有機フッ素化合物、いわゆるPFAS、PFOSについて伺う。
6月定例議会の委員会で県に聞いたところ、これまで国が定めている暫定指針値である、1リットル当たり50ナノグラムという水準を超えた地点が、愛知県内に5か所あったことを明らかにした。
一つは河川で名古屋市の荒子川である。また、瑞穂区の新堀川、日の出橋付近、地下水では西春日井郡豊山町、半田市の阿久比川の河川である。それと、春日井市の鷹来町の地下水、この5か所から50ナノグラムを超える値が検出されたことを改めて明らかにした。
この結果を自分の議会報告などを通して広報したところ、地元の瑞穂区の人から、新堀川の日の出橋で、新堀川から出たPFASが、どこから出たものなのか、あるいは、この環境指針値を超えていることが、人体に影響はあり得るのかということについて、いろいろ問合せをもらった。関心は非常に高まっていると思う。
最近は、近場だと各務原市、浜松市などでかなりの値を上回る。特に浜松市は28倍ぐらいの値が出ており、報道も徐々に多くなってきている。前回、6月の委員会で質問して以降、明らかになった県内における暫定指針値を超過した事例はあるのか。
【理事者】
以前回答した事例以外では、公共用水域では阿久比川の半田大橋と、地下水では刈谷市内で、暫定指針値50ナノグラムを超えるPFOS及びPFOAが検出されており、それぞれ98ナノグラム、50ナノグラムとなっている。これらの結果は、9月末に2022年度公共用水域及び地下水の要監視項目の調査結果としてウェブで公開した。
なお、刈谷市内の調査地点周辺の井戸所有者に対しては、暴露防止のため刈谷市と県が連携してチラシを配布しており、飲用を控えるよう注意喚起を行っている。
【委員】
調査地点を増やせば増やすほど、指針値オーバーが次々と出てきている。注意を要するのは、指針値以上のPFASが染み出している地下水を飲用している地域があり、直接、指針値以上のPFASが人体に吸収されているおそれがあることである。これは早急な対策が必要なのではないか。また、それが人体にどのような影響を及ぼしているのか。一部では民間の人が血液検査などを行い周辺住民の健康チェックをやっているような事例もあるが、ここでも人体に入った血液中の濃度について、海外で定められている基準をオーバーしているという例も実際に出ているため、人体への影響が、国内各地で広がっているおそれがあると確認されつつある。
国も、報道によると、これまでは研究チームをつくって検討する段階であったが、本格的な調査に乗り出すような動きも報道されている。国の取組状況がどのように変化していると捉えているのか。
【理事者】
国は、7月にPFASに対する総合戦略検討専門家会議の監修の下、PFOS、PFOAに関するQ&A集を作成するとともに、PFASに関する今後の対応の方向性を取りまとめた。
また、環境省の令和6年度の予算概算要求で、PFAS総合対策の推進に関する事業を打ち出しており、PFASの有害性の評価や水道に関する目標値、水環境中の指針値等の在り方を検討している。
PFOS、PFOA以外の有機フッ素化合物PFASについては、まだ測定手法が定まっていない部分もあり、今年度から分析方法の検討が始まっている。PFASの存在状況も把握できることから、本県も検体採取に協力する。
【委員】
改めて、他の委員にも知ってもらいたいが、PFОS、PFOAという有機フッ素化合物が環境中にばらまかれ始めたのはまだ新しいことであり、1970年代や1980年代に、アメリカの化学企業である3Mがテフロンという化学物質を合成した。これは、これまでの自然界には一切存在しなかったものであり、水にも油にもなじまない、優れた撥水性や撥油性を持っていた。3Mはこの性質に着目して製品化した。3Mの幾つかの製品で世界的にヒットした商品として世界中に行き渡った。それから、デュポンというアメリカの有名な化学メーカーが、さらに応用し、様々な製品を世に送り出した。一番身近なものとして、フライパンがある。フライパンは、テフロン加工といって、このPFASに類するものを塗布すると一切こげつかない。これは非常に便利で、こげつかないフライパンとして一挙に日本にも広がった。日本では、このデュポンや3Mの製造拠点もあるし、日本のメーカーではダイキン工業が、大阪府でかなり大規模に、これを使った製品を製造している。もう何十年にもわたって我々の身近な環境中に既に存在している。
ナノという聞き慣れない数値ではあるが、微量であっても危険であり、同時に、環境中で人体に入ってもほぼ分解されない、永遠に残ってしまう特質も持っている。よって、永遠の化学物質というニックネームがついている。これは、アメリカの対策に比べると、日本では商品が流布している割には対策が遅れており、いまだにこの暫定指針値から、しっかりした環境基準にすらなっていないという段階である。地域によっては東京都や沖縄県ではその対策を国に先んじて進めつつあるが、本県としても、指針値がオーバーした地点がどんどん増えていくことについて、ただ広報するだけではなく、対策していくべきだと思う。解明はされていないが、非常に濃縮されたPFOSが環境中にばらまかれる蓋然性の高い地点として、空港や軍事基地の周辺が非常に強く疑われている。本県でも豊山町や小牧市、春日井市等が、近隣の県では各務原市、浜松市に自衛隊基地がある。これらの空港では、泡消火器を非常事態のために必ず備えている。このPFOSを含む泡消火器が、一番瞬時に消火できる消火性能の高いものとして、どこの空港にもある。これは、禁止されていないどころか、今使っているものを使わないでほしいとも言っていない野放し状態が続いている。県として取り組んでもらいたいのは、汚染源がどこなのか、突き止めることである。規制値、規制物質がなくても、環境への影響が懸念されるものが発見されれば、県の検査によって、原因がどこであるのか、あるいは、その影響を職権により検査や調査する権限を持っている。よって県には動いてもらうべきだと思うが、今後、県として、次々と明らかになっていくPFOS、PFOA等の有害物質の環境中への拡散や汚染の広がりに対して、どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
PFOS及びPFOAについては、泡消火薬剤のほか、半導体用反射防止剤、金属メッキ処理剤、界面活性剤等の幅広い用途で使用されてきた。国内では、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律で、PFOSは2010年に、PFOAは2021年に第1種指定化学物質に指定され、現在、製造、輸入等が禁止されている。
また、取扱いに関しては、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律、PRTR法と呼ばれるもので規制されている。
これまで、県内での届出はなく、また、過去に取り扱っていた事業所の情報等がないため、汚染源を特定することは困難である。
また、今後、国のPFOS及びPFOAに関する対応の手引に基づき、暫定指針値を超過した地点の周辺地域での追加調査や、継続的な監視調査の実施について検討したい。
【委員】
急がれるのは、水道水として地下水を利用している地域の対応である。住民は知らずに飲んでいるため、飲用としての利用をやめてもらう必要がある。県として、他部局と連携を取り、人体にこれが入ることをまず遮断するところから対策を早急に取ってもらいたい。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月11日(水) 午後0時58分~
会 場 第6委員会室
出 席 者
黒田太郎、杉江繁樹 正副委員長
松川浩明、中野治美、神戸健太郎、山田たかお、杉浦正和、増田成美、
高木ひろし、鈴木 純、加藤貴志、神谷まさひろ、永田敦史 各委員
環境局長、同技監、環境政策部長、地球温暖化対策監、資源循環推進監、
関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
なし
○ 閉会中継続調査申出案件
1 文化芸術の振興及び文化財の保護について
2 青少年の健全育成及び県民・NPOとの協働の推進について
3 男女共同参画社会の形成の促進について
4 生活環境及び自然環境の保全について
5 地球温暖化対策について
6 県民文化局及び環境局の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉会中継続調査申出案件の決定
4 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
先月の県外視察で広島県や県内企業から話を聞く機会があった。広島県では海洋プラスチック対策として、瀬戸内海に新たに流出する海洋プラスチックごみの量を2050年までにゼロにすることを宣言し、実現に向けて、企業や団体、行政など、幅広い主体が連携して様々な課題を解決していく官民連携プラットフォームを2021年6月に設立した。
このプラットフォームに参加した、プラスチック容器や紙容器を製造している県内企業は、プラスチック使用量を削減するため、サトウキビの搾りかすであるバガスからお好み焼き用の容器を開発し、導入した。代表取締役から、官民連携プラットフォームへの参画で、同業、異業種の企業、NPO及び自治体との交流が可能となり、様々な意見交換を行うことができたため新たな発想が生まれ、この容器を開発することができた、自社のみでは実現し得なかったと説明があった。様々な主体が連携、交流するプラットフォームは、非常にいい取組だと痛感した。
そこで、本県でも広島県のような環境問題を解決していくための官民連携プラットフォームはあるのか、また、そこでどのような取組を行っているのか。
【理事者】
本県では、限りある資源の循環利用に向け、あいちサーキュラーエコノミー推進プランに掲げた推進モデルの具体化を図る七つのプロジェクトチームを2023年1月に設立している。このチームは、社会的な課題であるプラスチックや太陽光パネルなどを有効に県内循環させていくため、製品の設計、生産からリサイクルまでの様々な段階に携わる62事業者が参画するほか、有識者として大学教授、オブザーバーとして金融機関と国に携わってもらい、産官学金の連携により取組を進めている。
具体的な取組の一つとして、プラスチックの循環利用を進めるチームでは、リサイクルが困難な廃プラスチックの再資源化や再資源化した原料を活用したサーキュラーエコノミーへの訴求力が高い製品を企画し、検討している。
今年度、本県は、混合プラスチックや軟質系の廃プラスチックからリサイクル原料を製造する設備の導入に対して、循環型社会形成推進事業費補助金による支援を行っている。各チームは、1社ではできないことを事業者連携により2026年度までの5年間をめどに事業化を目指して、製品のライフサイクルを踏まえたリサイクルループを構築する取組を進めている。
【委員】
サーキュラーエコノミー及びリサイクルという観点で、コーヒー豆かすのリサイクルについて伺う。
食品廃棄物という観点では、従来、捨てられていたものが企業で様々な形でリサイクルされる取組が進んでいる状況の中、その食品廃棄物の一つにコーヒー豆かすがある。コーヒー消費大国、世界でも非常に消費する量が多いのが日本と言われている中、コーヒー豆かすは、清涼飲料製造工場で毎年多量に発生する有機性廃棄物で、家庭などでコーヒーを入れた後の残飯と物理的には同じ扱いである。その粉砕方法によって粒の径は異なるが、数ミリメートル以下程度で取扱い性はよいものの、水を多量に含んでいるため、焼却処分しづらいと聞いている。しかし、コーヒー豆かすはリサイクル利用が難しく、多くは焼却処分されている。
本県は、コーヒーの飲料を製造する工場や提供する飲食店も非常に多いため、廃棄物削減に向けて取り組んでいく必要がある。
そこで、県内では、コーヒー豆かすをリサイクルする取組があるのか、また、コーヒー豆かすの削減に向けた県としての取組があるのか。
【理事者】
コーヒー豆かすのリサイクルについては、県内での循環ループを図る取組を2020年度から事業者と県が連携して進めている。具体的には、県内の飲料メーカー等から排出されるコーヒー豆かすを、特殊な低温乾燥機を利用し、酪農家や農家が望む高性能な飼料や堆肥としてアップサイクルした後、さらにこれらを使用して牛乳やお茶を生産、販売することを目指している。本県は、2021年度に特殊な低温乾燥機の導入に対して、循環型社会形成推進費補助金による支援を行った。これまで飼料や堆肥として年間約50トンのリサイクル事業に成功しており、現在は、飼料や堆肥を利用した乳製品やお茶製品のブランド化を進めている。
また、七つのサーキュラーエコノミー推進プロジェクトチームの一つとして、バイオマスプラスチックのチームを立ち上げている。このチームでは、木材など地域で排出される様々なバイオマスとプラスチック製造工程で発生する端材から原料を製造し、新規の化石由来の利用がゼロとなるバイオマスプラスチックの製品化を進めている。
この地域バイオマスの候補の一つとして、県内のコーヒー工場から排出される豆かすが挙がっており、実現可能性について検討を行っている。今年度、本県は、この事業化検討に補助金を交付しており、バイオマスプラスチックの製品化や循環利用に向けて、しっかりとサポートしていく。
【委員】
以前より私は、海岸漂着物について、その処理方法を、いろいろなところで問題視してきた。港湾管理者であったり、海岸を管理している人であったり、いろいろな人と話をしている。
漂着する場所によって、スムーズに処理ができるところと全く処理ができないところがあると感じている。
今年も大雨が降り、いろいろなものが川から海へ流れ出て、いろいろなところに漂着している。
そこで、海岸漂着物の処理への支援はどのような制度になっているのか。
【理事者】
本県では、海岸漂着物処理推進法に基づき、地域の実情と特性を踏まえた対策を推進するため、国、海岸管理者、市町村及び学識者等で構成する海岸漂着物対策推進協議会の協議を経て、愛知県海岸漂着物対策推進地域計画を作成している。本計画では、地元市町村からの意向を踏まえ、海岸漂着物等の量や質のほか、海岸などの自然的条件や利用状況、経済活動等について総合的に検討した地域を重点区域として、20地区を設定している。この重点区域での海岸漂着物については、環境省の補助金を活用して計画的に市町村が回収処理を行っている。
このほか、暴風や高潮等の異常な天然現象により海岸に漂着した流木等は、その規模等に応じて国庫補助の災害関連事業や、県建設局の流木等処理負担金の制度がある。
【委員】
日常的なごみは、指定した場所で1年を通して皆で掃除しており、災害等で出たごみは、そのときに応じて補助がある。
海岸漂着と一言でくくるが、海岸にはいろいろなところがあり、砂浜になっているところ、コンクリートの壁になっているところ、岩のあるところがあり、場所によっていろいろなものが漂着し、片づけ方も随分違う。先ほど説明した二つの方法だけでは、処理が進まない。
例えば、港の中でも、港の運営上、必要があるところは確かに処理されるが、プラスチックが浮いている程度であれば、あえて掃除をしておらず、コンクリートの岸壁や岩は、利用上支障がないので、清掃の対象にはなっていないと思う。今も、その制度がないのではないか。
特に、大雨が降り、河川の上流から流れてきたと思われる流木や自然の植物の残がい、プラスチック及びペットボトルなど、いろいろなものがたくさん流れ出た。このようなごみは、日常的な清掃と、地元のボランティアが片づけているのが現状である。
一方で、ごみのサイズが大きく片づけにくいもの、または、片づけにくい場所にあるものは、そのまま放置されている。港でも、運営上問題がないものについては、満潮が来るまで放置しておき、ごみが流れていけばそれで片づいたとすることが、実質上行われていると思う。ひどいものでは、片づけられる場所や制度がある場所へ、ごみが流れて行かないかと考えなければならないことも現実には起きている。
これらのプラスチックごみや大きなごみは、積極的に片づけるという観点がなければ片づいていかない。そして、日常的に出るというよりは、大雨が降ったときに大量に流れて、潮の向きや風の方向で、あるところに集中的にたまることが漂着だと思う。そのときに片づける制度があれば、一気にまとめて回収できるので効率もよいが、その場所ではほとんど片づける制度がなく、あちらこちらへ流れているうちに減っていくのが現状である。
環境局として、漂着したごみを積極的に片づけることは大事であり、マイクロプラスチックになっていく前に早く片づけるべきだと思う。
国の補助金等が使えない海岸漂着物も、処理が進むように取り組んでいくべきだと思うが、どのように考えるか。
【理事者】
先ほどの答弁の補足になるが、国の補助金が使えない海岸漂着物も、建設局の負担金がある。積極的な回収処理が重要なことは認識しており、建設局が災害に至らずとも台風等の異常気象で発生した中小規模の漂着流木等について処理経費を負担する制度を設けている。
しかしながら、こうした制度の対象とならない海岸漂着物は、海岸管理者で海岸における影響等を勘案して、優先的に対処すべきものを選択せざるを得ない状況であり、全ての事案に対応することは難しい状況である。そのため、海岸管理者と地元市町村等の関係者が個別具体の状況に応じて対応することが必要となっている。
環境局としては、今後、海岸漂着物対策推進協議会等の機会を捉え、積極的な回収処理に努めてもらえるよう、海岸管理者や地元市町村等への情報提供や呼びかけに努めていく。
また、地元市町村の意向に基づき、新たな重点区域の指定に関する相談検討に対応する。
今後とも、海岸が県民共有の財産という認識の下、海岸漂着物の削減に向けて、県内市町村をはじめ関係者と連携を密にし、回収処理の対応に取り組む。
【委員】
実際に片づけるとなれば予算が要るため、今すぐにはできないが、環境局として、積極的に回収することを基本に、どこに何が漂着しているかの調査を行うことや、それをどのように処理したら一番効率的なのかを県として検討し、国の補助を求めるのか、県単独で制度をつくるのか考える必要がある。今の制度は、何かあったときに素早く使えるものではなく、使えたとしてもタイムラグがあるため、その辺の検討も含めて、県として、ぜひ検討や要望をしてほしい。
次に、環境的観点から見た特定小型原付、いわゆる電動キックボードについて伺う。
以前は超小型モビリティーとくくられていたが、日本では法律が整備されていない。世界でいろいろな乗り物が開発されているが、日本に持ってくると全部法律違反で、全く広がっていない分野の乗り物である。
ところが、今年の7月1日に道路交通法が改正され、電動キックボードなどを特定小型原付とする新たな交通ルールが決まった。長さが190センチメートル以内、幅が60センチメートル以内、時速20キロメートルを超えて車道を通行することができず、歩道については時速6キロメートル未満である。ざっくりとしたルールの中で決められ、16歳以上で免許がなくても運行できるというルールがつくられた。
しかし、報道では、動きが今までの乗り物とは違い、大変危険な乗り物だと批判されており、乗っている人のモラルやルールが不十分であるため、事故もたくさん起こっている。
先月、シンガポールに調査へ行ったが、シンガポールでは一時これが許可され、乗ることができたが、2度ほど大きな死亡事故があったために、全面的に禁止されている。一部の限られたところでしか利用できなくなっている。仕方のない部分もあるが、日本でこれだけのルールが決められて進んできているため、この制度をもう少し使って、いろいろなものが開発されてほしいと思っている。
例えば警察庁、環境省及び国土交通省に様々な観点で話を聞きに行っているが、特段、応援するようなメッセージもなく、ただこういうルールができて乗れるようになっただけであった。
もう少し応援しなければ、開発している人たちも残念だと思う。この電動キックボードは、電気で走行するため、温室効果ガスの削減などが期待できる。カーボンニュートラルの実現に向けて普及を推進すべきと考えるが、環境局としてはどう考えているのか。
【理事者】
超小型モビリティーは、2013年に走行区域を限定した個別認定制度としてスタートした。2020年には安全性の確保を最優先することで保安基準が緩和され、一般道で走行可能なEVの型式指定車の販売も始まっている。
国土交通省によると、自動車のエネルギー消費効率に対して、超小型モビリティーのEVは、ガソリン車の約6倍優れており、環境負荷の低減につながるとともに、物流の効率化や地方都市、山間部での生活交通や通勤通学の足として大変有用な移動手段として期待されている。
本県も、あいち自動車ゼロエミッション化加速プランで、宅配等の近距離輸送やカーシェアリング車両として将来的にその超小型EVが広く利用されることを想定しており、事業者の車両導入に対する補助や先進的な導入事例の紹介等を行っている。引き続き、カーボンニュートラルの実現に向けて普及促進に努めたい。
【委員】
過去のモーターショーでは、スズキやホンダをはじめとする大企業及びスタートアップ企業が、いろいろな形の特定小型原付などを出品していた。安全性に配慮したものや高齢者が使いやすいもの及び観光地で使いやすいものなど、いろいろな取組をしていた。これらが普及することで、新しいことができると思うので、ぜひ普及に力を貸してもらい、高齢者や観光、通勤通学の足などに使ってもらえるように応援してほしい。
【委員】
環境局のおかげで海は本当にきれいになった。木曽川、長良川及び揖斐川の河口でさえ、まずいないウミボタルなどが見られる。反面、赤潮や青潮は、ここ数年見ていない。この数年で生態系が変わってきており、いるべき生き物がいなくなり、いてほしくない生き物が増えたと思う。木曽川の河口で、イワシを追いかけてヒラメやブリなどが入ってくるようになった。そのため、コウナゴやハマグリなどの以前獲れた水産物がいなくなり、地元の漁業組合が困っている。6月定例議会の委員会で、豊かな海の実現に向けて他県と協働しなければならないと話したが、一度真剣に考えなくては、この先、漁業組合は全て潰れてしまう。例えば、海づくり税を作ってはどうか。海をきれいにし、魚を呼び込むことは莫大なお金がかかる。その費用を県が全て出すことは不可能である。海や山がきれいになって、文句を言う人はいないと思う。島国であるため、山から海までの距離が短く、山に降った水がすぐ海まで流れてくる。あいち森と緑づくり税を徴収し、山をきれいにするのと同様に、海もきれいにしなければならないと思うが、局長の意見を伺う。
【理事者】
委員の指摘については、意見として受け取らせてもらう。
今まで、海をきれいにする観点でいろいろ取り組んできており、成果も出ている反面、生態系に変化があることは知っている。温暖化の影響による生態系の変化に関する事項が新聞やニュースでもよく取り上げられているため、引き続き情報収集を行い注視していく。
【委員】
環境の範囲は広く、簡単に分けられるものではないことも踏まえて取り組まなければ、環境に関わって生活している人に迷惑がかかる。生態系の保護と環境対策のバランスが大事である。
【委員】
有機フッ素化合物、いわゆるPFAS、PFOSについて伺う。
6月定例議会の委員会で県に聞いたところ、これまで国が定めている暫定指針値である、1リットル当たり50ナノグラムという水準を超えた地点が、愛知県内に5か所あったことを明らかにした。
一つは河川で名古屋市の荒子川である。また、瑞穂区の新堀川、日の出橋付近、地下水では西春日井郡豊山町、半田市の阿久比川の河川である。それと、春日井市の鷹来町の地下水、この5か所から50ナノグラムを超える値が検出されたことを改めて明らかにした。
この結果を自分の議会報告などを通して広報したところ、地元の瑞穂区の人から、新堀川の日の出橋で、新堀川から出たPFASが、どこから出たものなのか、あるいは、この環境指針値を超えていることが、人体に影響はあり得るのかということについて、いろいろ問合せをもらった。関心は非常に高まっていると思う。
最近は、近場だと各務原市、浜松市などでかなりの値を上回る。特に浜松市は28倍ぐらいの値が出ており、報道も徐々に多くなってきている。前回、6月の委員会で質問して以降、明らかになった県内における暫定指針値を超過した事例はあるのか。
【理事者】
以前回答した事例以外では、公共用水域では阿久比川の半田大橋と、地下水では刈谷市内で、暫定指針値50ナノグラムを超えるPFOS及びPFOAが検出されており、それぞれ98ナノグラム、50ナノグラムとなっている。これらの結果は、9月末に2022年度公共用水域及び地下水の要監視項目の調査結果としてウェブで公開した。
なお、刈谷市内の調査地点周辺の井戸所有者に対しては、暴露防止のため刈谷市と県が連携してチラシを配布しており、飲用を控えるよう注意喚起を行っている。
【委員】
調査地点を増やせば増やすほど、指針値オーバーが次々と出てきている。注意を要するのは、指針値以上のPFASが染み出している地下水を飲用している地域があり、直接、指針値以上のPFASが人体に吸収されているおそれがあることである。これは早急な対策が必要なのではないか。また、それが人体にどのような影響を及ぼしているのか。一部では民間の人が血液検査などを行い周辺住民の健康チェックをやっているような事例もあるが、ここでも人体に入った血液中の濃度について、海外で定められている基準をオーバーしているという例も実際に出ているため、人体への影響が、国内各地で広がっているおそれがあると確認されつつある。
国も、報道によると、これまでは研究チームをつくって検討する段階であったが、本格的な調査に乗り出すような動きも報道されている。国の取組状況がどのように変化していると捉えているのか。
【理事者】
国は、7月にPFASに対する総合戦略検討専門家会議の監修の下、PFOS、PFOAに関するQ&A集を作成するとともに、PFASに関する今後の対応の方向性を取りまとめた。
また、環境省の令和6年度の予算概算要求で、PFAS総合対策の推進に関する事業を打ち出しており、PFASの有害性の評価や水道に関する目標値、水環境中の指針値等の在り方を検討している。
PFOS、PFOA以外の有機フッ素化合物PFASについては、まだ測定手法が定まっていない部分もあり、今年度から分析方法の検討が始まっている。PFASの存在状況も把握できることから、本県も検体採取に協力する。
【委員】
改めて、他の委員にも知ってもらいたいが、PFОS、PFOAという有機フッ素化合物が環境中にばらまかれ始めたのはまだ新しいことであり、1970年代や1980年代に、アメリカの化学企業である3Mがテフロンという化学物質を合成した。これは、これまでの自然界には一切存在しなかったものであり、水にも油にもなじまない、優れた撥水性や撥油性を持っていた。3Mはこの性質に着目して製品化した。3Mの幾つかの製品で世界的にヒットした商品として世界中に行き渡った。それから、デュポンというアメリカの有名な化学メーカーが、さらに応用し、様々な製品を世に送り出した。一番身近なものとして、フライパンがある。フライパンは、テフロン加工といって、このPFASに類するものを塗布すると一切こげつかない。これは非常に便利で、こげつかないフライパンとして一挙に日本にも広がった。日本では、このデュポンや3Mの製造拠点もあるし、日本のメーカーではダイキン工業が、大阪府でかなり大規模に、これを使った製品を製造している。もう何十年にもわたって我々の身近な環境中に既に存在している。
ナノという聞き慣れない数値ではあるが、微量であっても危険であり、同時に、環境中で人体に入ってもほぼ分解されない、永遠に残ってしまう特質も持っている。よって、永遠の化学物質というニックネームがついている。これは、アメリカの対策に比べると、日本では商品が流布している割には対策が遅れており、いまだにこの暫定指針値から、しっかりした環境基準にすらなっていないという段階である。地域によっては東京都や沖縄県ではその対策を国に先んじて進めつつあるが、本県としても、指針値がオーバーした地点がどんどん増えていくことについて、ただ広報するだけではなく、対策していくべきだと思う。解明はされていないが、非常に濃縮されたPFOSが環境中にばらまかれる蓋然性の高い地点として、空港や軍事基地の周辺が非常に強く疑われている。本県でも豊山町や小牧市、春日井市等が、近隣の県では各務原市、浜松市に自衛隊基地がある。これらの空港では、泡消火器を非常事態のために必ず備えている。このPFOSを含む泡消火器が、一番瞬時に消火できる消火性能の高いものとして、どこの空港にもある。これは、禁止されていないどころか、今使っているものを使わないでほしいとも言っていない野放し状態が続いている。県として取り組んでもらいたいのは、汚染源がどこなのか、突き止めることである。規制値、規制物質がなくても、環境への影響が懸念されるものが発見されれば、県の検査によって、原因がどこであるのか、あるいは、その影響を職権により検査や調査する権限を持っている。よって県には動いてもらうべきだと思うが、今後、県として、次々と明らかになっていくPFOS、PFOA等の有害物質の環境中への拡散や汚染の広がりに対して、どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
PFOS及びPFOAについては、泡消火薬剤のほか、半導体用反射防止剤、金属メッキ処理剤、界面活性剤等の幅広い用途で使用されてきた。国内では、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律で、PFOSは2010年に、PFOAは2021年に第1種指定化学物質に指定され、現在、製造、輸入等が禁止されている。
また、取扱いに関しては、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律、PRTR法と呼ばれるもので規制されている。
これまで、県内での届出はなく、また、過去に取り扱っていた事業所の情報等がないため、汚染源を特定することは困難である。
また、今後、国のPFOS及びPFOAに関する対応の手引に基づき、暫定指針値を超過した地点の周辺地域での追加調査や、継続的な監視調査の実施について検討したい。
【委員】
急がれるのは、水道水として地下水を利用している地域の対応である。住民は知らずに飲んでいるため、飲用としての利用をやめてもらう必要がある。県として、他部局と連携を取り、人体にこれが入ることをまず遮断するところから対策を早急に取ってもらいたい。