委員会情報
委員会審査状況
建設委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月12日(木) 午後0時58分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
丹羽洋章、松本まもる 正副委員長
横井五六、鈴木喜博、青山省三、新海正春、日高 章、伊藤貴治、
富田昭雄、阿部洋祐、古林千恵、柴田高伸、園山康男 各委員
建設局長、建設政策推進監、建設局技監(2名)、土木部長、道路監、
治水防災対策監、豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、
水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、
港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第103号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第4号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第7款 建設費
第2条(繰越明許費の補正)
第104号 令和5年度愛知県港湾整備事業特別会計補正予算(第1号)
第112号 工事請負契約の締結について(道路改良事業県道名古屋岡
崎線境川橋上部工事)
第113号 工事請負契約の締結について(知多総合庁舎建築工事)
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第103号、第104号、第112号及び第113号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(4件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 閉会中継続調査申出案件の決定
6 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
第7款建設費第2項第2目道路橋りょう新設改良費の補正予算に関連して、国道155号バイパスの整備について伺う。
一宮市の国道22号から江南市、大口町、小牧市を経由して、私の地元春日井市を結ぶ国道155号バイパスは、尾張北部地域の東西幹線軸であるとともに、国道22号、41号、19号と接続し、広域的なネットワークを形成する重要な道路である。沿線には、多くの製造業や物流施設が立地するなど、地元経済の発展には欠かせない道路でもある。
現在、このバイパスのうち江南市から小牧市内の暫定2車線区間では、慢性的な渋滞が発生しており、主要渋滞箇所にも指定されている。
また、この周辺では、新たな物流施設などの開発が進んでおり、さらなる渋滞も予想され、住民生活や経済活動に大きな影響を及ぼすことが懸念されることからバイパス供用区間では、交通円滑化に向けた4車線化等の整備が進められていると承知している。
そこで、江南市から小牧市の間で実施している4車線化等整備の進捗状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
江南市から小牧市内の国道155号バイパスについては、現在、県道名古屋江南線から東へ県道小口名古屋線までの約4.8キロメートル区間を布袋拡幅、その先の国道41号の東側の合瀬川から原川までの約0.8キロメートル区間を自才前工区、さらに、原川から小牧原交差点までの約0.4キロメートル区間を小牧原新田工区として、4車線化など交通円滑化に向けた整備を進めている。
このうち布袋拡幅では、これまでに4車線化に必要となる用地を取得しており、現在は、江南市内と大口町内の区間全域で道路築造工事を進め、小牧市内では、4車線化に伴い中央分離帯を設置する沿道利用対策について、公安委員会など関係機関との協議を進めている。今後、小牧市の協力を得ながら、沿道利用対策を固めるとともに、早期完成に向け、事業進捗を図る。
次に、自才前工区については、右折帯を設置する交差点改良と歩道設置を進めており、これまでに交差点改良に必要な用地を取得している。現在は、交通円滑化に向けて、交差点改良工事を進めており、今後も歩道設置に必要な用地買収を進めるとともに、早期完成に向けて事業進捗を図る。
最後に、小牧原新田工区では4車線化を進めており、昨年度、全ての用地買収が完了したことから、早期完成に向け工事を実施している。引き続き、交通円滑化に向けてしっかり取り組む。
【委員】
現在のバイパスの供用区間は、小牧市と春日井市の市境となる県道神屋味美線との交差点で終わっており、この先の春日井市内では、国道19号に接続し、春日井インターチェンジにつながる国道155号で慢性的な渋滞が発生しており、主要渋滞箇所にも指定されている。
また、春日井インターチェンジ周辺では、産業誘導ゾーンとして大泉寺地区の企業用地の整備事業が進められており、この大泉寺地区にもつながる国道155号バイパスの延伸は必要不可欠である。現在、国道19号を挟んだ区間を春日井バイパスとして事業が進められており、地元もこの整備に大いに期待している。
そこで、春日井バイパスの進捗状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
春日井市内では、小牧市境から春日井市出川町までの約2.4キロメートル区間を、春日井バイパスとして2019年度に事業化しており、このうち現道の国道155号と国道19号との交差点の渋滞緩和を早期に図るために、先行整備区間として、国道19号から西へ約0.6キロメートル区間の整備を進めている。
これまでの用地買収の進捗率は先行整備区間で約4割となっており、現在は、早期の工事着手に向けて、道路詳細設計や市道交差部の函渠など構造物の設計を進めている。
今後も用地買収を進め、事業進捗を図るとともに、先行整備区間に続いて事業展開が図られるよう、残る区間についても公安委員会など関係機関と調整を進める。
【委員】
国道155号バイパスは、尾張北部地域の経済の発展にとって重要な道路である。春日井市当局も、可能であれば事業化する前に少しでも早く接道等の検討を進めていきたいといっている。
また、名古屋市側からも進めてほしいという要望があるようだが、県も市も長年をかけて調整して進めている事業である。順番の変更等がないよう要望する。この地域が一体となって発展していくため、未開通区間の早期整備に向けた積極的な取組をお願いする。
《一般質問》
【委員】
知多半島道路におけるパーキングエリアの取組について、特に商業施設の運営について伺う。
2016年10月から愛知有料道路コンセッションが導入され、民間事業者によって、有料道路をはじめパーキングエリアも管理運営がされている。知多半島道路のパーキングエリアについては、世界的建築家の監修の下に建物がリニューアルされ、温かく開放的な空間が創出されるなど、民間事業者の強みを生かした事業展開が行われている。中でも日本を代表する有名シェフが知多半島の地元の有名店や企業と開発した知多半島コラボ商品や、シェフが知多半島の名品を選んだ知多半島セレクトなど、ここでしか手に入らないお土産などが多数用意されていることも大きな魅力である。
また、大府パーキングエリアの下りや上りについては、一般道からの利用が可能であり、土日、祝日のみならず、平日も地元から人が訪れ、にぎわっている。
そのような中で、先日、南知多町から名古屋市方面へ帰る途中、夜8時を少し過ぎた頃に、大府パーキングエリアに立ち寄った人から、店が何も営業していない状況で、とても残念であったとの声が寄せられた。
せっかく整備されたにぎわい拠点であるので、このような指摘があれば改善の機会と捉え、まずは現状を確認したい。大府パーキングエリアの利用状況はどのような状況なのか。
【理事者】
大府パーキングエリアは、名古屋方面の上りが1999年度、南知多方面の下りが2022年度にオープンしている。利用台数については、2022年度は、上りで1日平均2,700台、下りで1日平均1,800台となっている。
上りでは、有料道路コンセッションの開始以降、2017年度がピークで、1日平均3,300台の利用があったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年度でピーク時の約7割まで落ち込んだものの、それ以降は年々回復傾向である。
また、商業施設とその営業時間については、上りでは、パン屋が午前8時から午後6時まで、食堂が午前10時から午後8時まで、お土産ショップが午前8時から午後8時までとなっている。下りでは、ラーメン屋が平日の午前10時から午後8時30分まで、土日、祝日は午前7時から午後9時まで、コンビニエンスストアは24時間営業となっている。
売上額については、2022年度は上りが総額約3億7,000万円、下りが総額約2億5,000万円である。上りでは、有料道路コンセッションの開始以降、2019年度がピークで、総額約3億7,000万円の売上げがあった。新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年度にピーク時の約8割まで落ち込んだものの、現在ではピーク時まで回復している。
【委員】
先ほども述べたように、新たなにぎわい拠点として誕生したパーキングエリアが、地域の活性化につながっていると感じている一方で、売店やレストランが午後8時には営業が終了することなど、残念に思うところもある。
また、先日、地元の大府市が隣接する白魦池公園周辺にライトアップ設備を設置してライトアップを始めるなど、夜間訪れる地元住民も増えると見込まれる。
パーキングエリアの利用者に対するさらなるサービスの向上に向けた取組が必要であり、例えば営業時間の延長や、気軽に食事を楽しめるキッチンカーの出店を増やすのもよいと考えるが、県として、今後どのような対応をしていくのか。
【理事者】
パーキングエリアの運営については、有料道路コンセッション開始時に、商業施設の営業は原則午前8時から午後8時まで行うことや、販売商品等は地元特産品を販売するよう努めることなどの一定の要求水準が定められている。
それらを踏まえ、愛知道路コンセッション株式会社は、利用状況に応じた営業時間の設定や、有名シェフによる食事メニューのプロデュースなど、民間事業者ならではの取組を行っている。
今後は、アフターコロナにより社会経済活動が本格的に回復し、交通量とともにパーキングエリアの利用者数の増加が見込まれる。特に知多半島道路から先、名古屋高速道路などのほかの高速道路を経由し長距離を移動する利用者にとっては、次のパーキングエリアまでの時間が長くなると、安全な運転に影響を及ぼす可能性があるため、大府パーキングエリア上りでの休息を目的とした利用も増えてくると考えられる。
県としては、より多くの利用者が快適なサービスの提供を受けられるよう、利用実態に応じた営業形態の工夫や、地域との連携によるにぎわいの創出など様々な取組を検討し、道路公社とともに愛知道路コンセッション株式会社に働きかけていく。
【委員】
現況では知多半島方面の観光客数が回復しつつあり、また、中部国際空港の就航便も増えつつあるので、特に夜間に発着する便も増えると思う。
現状では上りパーキングエリアの利用の方が多い。つまり、知多半島の観光地や空港方面から名古屋方面に帰ってくる利用者が多いと推察され、必然的に夕方から夜間の利用が多くなると考えられる。
現状では、名古屋方面から知多半島の先端方面に行く下りのパーキングエリアについて、営業が、飲食店は午後8時半まで、土日祝日は午後9時まで、コンビニエンスストアは24時間営業であるが、上りのパーキングエリアについては、飲食店が午後8時まで、パン屋が午後6時までで終わってしまうという状況であり、物販も午後8時までだが、売上げは上りのパーキングエリアの方が大きいので、営業時間等の改善の余地がある。今後、詳細に状況を確認し、例えば夜の時間帯ごとに利用客数をしっかりと分析し、その状況によって、事業者に営業時間帯を検討するように提案することを要望する。
また、周辺の様々な整備が進むことで、地元の人の利用も増える。もともとの事業理念が三方よしであり、地域貢献も含まれるので、そういった事業思想に立ち返り地域に親しまれる拠点づくりを目指してほしい。
次に、大府パーキングエリアへのアクセス道路である県道長草東海線バイパスの整備について伺う。
県道長草東海線は、大府市内の県道東浦名古屋線と東海市の国道247号を結び、知多半島北部を横断する重要な幹線道路で、一般道からも利用できる知多半島道路大府パーキングエリアへのアクセス道路となる路線でもある。
現道は、幅員が狭くすれ違いが困難な状況であり、現在、県道長草東海線バイパスとして、都市計画道路荒尾大府線の県道東海緑線から東海市境までの整備が進められている。
このバイパス区間のうち、知多半島道路下り線の大府パーキングエリア新設に伴う整備として、知多半島道路と交差する区間が、昨年度先行して暫定形で開通した。周辺では、大府市で、新たな産業地の形成を図るものとして位置づけられたエリアがあり、地域経済の発展にも資するこのバイパスの早期整備が望まれる。
県道長草東海線バイパスの進捗状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
県道長草東海線バイパスについては、県道東海緑線から東海市境までの約1.4キロメートル区間について、地域の円滑な交通の確保に向けて整備を進めている。
昨年度、暫定形で開通した約200メートル区間を除く残る約1.2キロメートル区間では、1998年度までに約6割の用地を取得しており、昨年度から、約1.4キロメートルの工区全体を国の交付金により事業化し、道路設計を進めてきた。
今年度は、公安委員会など関係機関との協議を重ねてきており、また、用地測量にも着手した。早期に工事着手できるよう、引き続き用地買収を進める。
【委員】
県道長草東海線バイパスは、都市計画道路荒尾大府線として開発も進められているが、その開発事業自体が平成の最初の頃に始まった。その後、平成10年を過ぎた頃に、様々な事情で事業がストップし事実上の棚上げ状態になったが、改めて事業化することで、地域の期待が非常に大きくなっている。
事業がストップしてから20年以上放置され、開発が止まった、時間の止まった地域であったため、この道の整備に対して関心が大変強い。測量という話があったが、事業化のスタートラインに立ったことで地域は期待しており、以前にはなかなか用地交渉が進まなかった箇所も、地権者は改めて向き合うといっている人が多いと聞いている。
ぜひスピード感を持って用地交渉に当たり、まとまったところから工事着工を進めてもらいたい。
【委員】
前回の委員会で質問した岡崎市鉢地町の国道473号の通行止めについて、改めて質問する。
国道473号は、6月2日の集中豪雨により土砂崩落し、全面通行止めとなった。前回の委員会の質問に対して、6月3日から現地調査に着手し測量、鋭意設計を進めている計画が固まり次第、速やかに工事発注し、早期完了に努めるとの答弁があった。その後、設計、工事発注を進めていると思うが、地元住民からいつ通ることができるのかとの問合せが続いている。
そこで、これまでの進捗状況と復旧完了までの見通しを伺う。
【理事者】
本被災箇所については、道路が上下線とも崩壊したため、現在も通行止めとなっている。このため、早期の本復旧工事の着手に向けて、通常の災害査定より先行して7月14日に国と事前協議を行い、復旧工法の承認を受けて工事を発注した。
工事の内容は、延長約90メートル、高さが約6メートルから8メートルの道路盛土を築造し、舗装など路面を復旧するものであり、8月16日に、来年2月末を工事期間とした工事請負契約を締結し、10月3日から現地の準備工事に着手した。
今後は、工期短縮に向けて、舗装やのり面工などの施工順序を工夫して工事を進めるなど、早期の通行止め解除を目指し、しっかりと検討する。
【委員】
来年2月までの工期とのことだが、地元の人々をはじめ利用者はできるだけ早い開通を望んでいる。答弁のとおり工期短縮を図り、1日でも早く、できれば年内に復旧、開通することを強く要望する。
次に、復旧工事が始まったことで、迂回路として利用されている岡崎市道の安全対策について質問する。
この市道は、地元住民の生活道路や民間企業の運搬道路として利用され、時間帯によっては相当量の通行が見込まれる上、工事車両も通行することが想定される。また、規制区間も長いため、複数の交通誘導員を危険箇所に配置するなど、交通安全対策が必要である。
そこで、復旧工事が本格化するに当たり、交通安全対策にどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
今後、この市道は、復旧工事用の経路として利用する予定であり、工事の本格化に伴い、多くの工事車両が通行することとなる。
このため、道路管理者である岡崎市や公安委員会と協議するとともに、通行する地元の人々に意見を伺い、車両の通行状況も踏まえて適切に交通誘導を行い、市道利用者の安全に十分配慮する。
【委員】
実際に毎日利用する地元の人々と細かく話し合い、交通誘導員を危険箇所に配置してもらい、工事期間中は1件の事故も起こさないよう管理をお願いする。
【委員】
橋梁及び舗装の老朽化対策及び新技術の活用について伺う。
道路は、社会経済活動を支えるとともに、県民の日常生活に欠かせない重要な社会インフラである。特に古くからモノづくり産業などの分野を中心とした経済活動や県民生活を支える道路整備に取り組んできた本県では、高度経済成長期に多くの道路整備を行っており、これらの施設の老朽化が進行している。今後ますます老朽化が加速する多くの道路施設を適切に維持管理していくことが重要である。
橋梁、トンネルなどの道路施設は、2014年度から5年に1回の点検が法定化され、メンテナンスサイクルを構築する仕組みが導入された。特に橋梁については、その機能が損なわれると影響が長期間、広範囲に及ぶことから、より確実な点検、修繕が必要と考える。
そこで、橋梁の点検結果及び修繕状況について伺う。
【理事者】
県が管理する橋梁は4,680橋あり、2014年度から、5年に1回の近接目視による点検に着手し、今年度で2巡目点検が完了する予定である。
点検の結果は、健全な状態の区分1から、機能に支障が生じ通行止め等などを伴う緊急措置段階である区分4までの4段階で評価しており、これまでの点検で、区分4と判定された橋梁はない。
本県では、速やかな修繕が必要な早期措置段階の区分3について、次回点検までに修繕を終えるよう取り組んだ結果、2019年度から昨年度末までの2巡目点検における区分3の出現率は、1巡目点検結果の9パーセントより低下して約7パーセントとなっており、修繕の取組の成果が現れている。
そして、2021年度からは新たに確認される区分3の修繕に加え、損傷が軽微な予防保全段階にある区分2の修繕にも着手している。
今後は、区分2の判定が約6割を占めることから、これまで蓄積された点検結果を地域性や建設年次等の観点から分析し、区分3に移行しやすい橋梁の特性を把握することにより、効率的な修繕計画を立案し、予防保全型のメンテナンスへの本格転換を図る。
【委員】
予防保全が6割で非常に安心したと同時に、今後、これを進めていかなくてはいけないと改めて感じた。
次に、舗装について伺う。道路の利用者に対して安全な道路環境を提供するに当たり、利用者を直接支える舗装は重要な役割を担っている。舗装の老朽化により道路に穴などが生じると、車のタイヤやホイールが破損し、重大事故につながることもある。道路を安全に安心して通行できる舗装を維持するには、日常管理とともに、計画的な修繕を実施することが重要である。
そこで、舗装の老朽化対策の取組状況について伺う。
【理事者】
舗装については、日常管理として、県管理道路約4,600キロメートルの全路線を、各建設事務所の道路パトロール班が週1回以上の頻度で巡視し、舗装の穴ぼこなど、道路の損傷を確認した場合には応急措置を行い、その後、修繕を実施している。
また、計画的な修繕の実施に向け、舗装の状態を定量的、客観的に評価するための路面性状調査を、2017年度から県内を5地区に分け、5年に一度の頻度で実施し、損傷状況を把握している。直近の調査結果により、舗装のひび割れ率が多いなど修繕が必要な箇所が、昨年度末で全体の13パーセント、約620キロメートルあり、路面の状態や交通量などを考慮して、優先順位の高い箇所から修繕を進めている。
なお、修繕に当たっては、路面表層のみの損傷か、路盤部も含めた構造破損などかを判断し、舗装の損傷の状況に応じた適切な工法を選択して、長寿命化を図るよう取り組んでいる。
【委員】
多くの道路施設を、将来にわたり適切に引継ぎ、安全・安心に利用してもらうためには、点検を持続可能なものにする必要がある。
その中でも、県が管理する橋梁が約4,700橋あることから、5年に一度の点検とすると、年間1,000橋近く点検を行わなければならない。特に大河川に架かる橋梁や谷あいを渡る橋梁などは、大規模な足場の設置や大型の点検車が必要となるなど、点検のための費用や時間も要する。
また、舗装についても、専用の点検車が必要であり、その手配に費用がかかるとも聞いている。このため、持続可能なメンテナンスサイクルの構築に向けて、定期点検のさらなる効率化とコスト縮減を図っていくことが重要である。道路施設の点検のさらなる効率化及びコスト縮減のため、新技術の活用状況について伺う。
【理事者】
本県では、橋梁点検の効率化に向け、昨年度、ドローンを活用した点検を4橋で試行した結果、作業時間が最大6割短縮され、従来の点検で必要であった車線規制が不要となるなど、一定の効果が確認された。この結果を踏まえ、今年度の橋梁点検では、ドローンによる点検39橋に加え、大型の点検車が不要となるポールカメラ等による点検25橋、合わせて64橋について、新技術を活用している。
また、舗装の点検については、今年度、これまでの専用車両による調査の品質を確保しつつ、コスト縮減につながる試行的な取組として、道路パトロール車両に搭載したカメラで連続撮影した画像から路面のひび割れ等を調査する業務の発注を豊田加茂建設事務所で進めており、その有効性を確認し、今後の活用を検討する。
今後とも、新しい技術を積極的に活用し、道路施設の管理の高度化、効率化を図り、道路施設の健全性の確保に努める。
【委員】
戦後急速に進んだ我が国の道路整備だが、それを支えた重要な要素の一つとして道路技術の開発が挙げられる。高齢化や人口減少を迎える今、効率化とコスト削減は必須であることから、日々進歩する技術の導入を引き続き積極的に進めてほしい。
【委員】
中部国際空港並びに県営名古屋空港について、順次伺う。
新型コロナウイルスの感染拡大によって大きなダメージを受けた航空業界だが、足元では、おおむね需要、業績ともに改善傾向に転じている。
IATA(国際航空運送協会)が発表した今年8月の世界の航空需要だが、有償旅客が搭乗して飛行した総距離を総RPKというが、総RPKは、新型コロナウイルスパンデミック前の2019年、同月比で95.7パーセントまで回復しており、前年同月比では28.4パーセント増となった。国際線RPKの回復も堅調で、パンデミック前の88.5パーセントまで回復、また、国内線RPKは、2019年同月比9.2パーセント増と、5か月連続で2019年の水準を上回った。
また、同協会によると、今年1年間の総RPKは、世界で前年比28パーセント増が見込まれ、地域別では新型コロナウイルスの行動制限の緩和が進んだアジア太平洋地域が、前年比63パーセント増と、回復率が最も大きくなると予想している。
県内2空港における航空需要について、その現況、回復状況と今後の見込みを伺う。
【理事者】
中部国際空港の国内線については、2023年10月1日現在で1日当たり77便と、コロナ禍前の2019年同月における92便の約8割まで回復している。
また、国際線は、2023年10月1日現在で17都市、週205便と、徐々に運航再開、増便が進んでおり、2019年同月の39都市、週441便の約4割まで回復している。
国際線の今後の見込みについては、スターラックス航空・台北線の新規就航や中国国際航空の上海線の運航再開、シンガポール航空の段階的な増便などが予定されている。さらに、10月9日の中国・上海における知事のエアポートセールスのときに、上海吉祥航空より、2023年冬ダイヤから、上海線を1日2便の運航に増便する予定との発言があり、現時点の見込みとして、今年度中には17都市、週233便になると見込んでいる。
定期便の運航再開、増便の情報は随時入ってきており、今後も便数は増えていく。次に、県営空港については、フジドリームエアラインズが、国内9都市の路線を運航している。
コロナ禍の影響により減便、運休が行われた時期があったが、2022年4月16日にはコロナ禍前の状況に戻っており、2023年10月現在で1日当たり24便を運航している。
【委員】
国内線はコロナ禍前の水準近くまで戻っている一方、国際線はまだまだ道半ばだが見込みは明るいと思う。
観光庁の発表によると、今年8月の訪日客は、2019年同月比で86パーセントで、韓国人客が2019年比84パーセント増となる一方で、中国人客は64パーセント減と低迷している。
一方で、中国政府は8月、日本行きの団体旅行を解禁しており、今後、この効果が本格的に現れてくるのは近々と期待される。
昨今のインフレや、ウクライナ情勢、あるいはイスラエル・パレスチナ情勢、また、中国人客では、東京電力ホールディングス株式会社の処理水の海洋放出の影響が懸念されるが、世界的にコロナ禍が明けて、経済活動が正常化していくことが一段と進展していくのは確実であるので、旅行などのリバウンド需要を中心に、今後も航空旅客の需要の増加が期待される。この機に乗じて、積極的にエアポートセールスに努めてほしい。
続いて、県営名古屋空港について、2005年当初、我が国初の本格的な国際ビジネス機の拠点空港として、ビジネス機旅客のみが利用できる高いプライバシーとセキュリティーを確保したビジネス機専用ターミナルを整備し、この分野で先行していた。
その後、全国主要空港で、ビジネスジェット利用環境の改善が図られたこともあり、コロナ禍前の2019年までの日本全体におけるビジネス機の国際発着回数は増加傾向にあった。
なお、上位5位は、東京国際空港、成田国際空港、新千歳空港、関西国際空港、中部国際空港という順であった。
県営名古屋空港の国際ビジネスジェット利用状況、課題、利用促進に向けた取組について伺う。
【理事者】
県営空港の国際ビジネス機の利用状況については、コロナ禍前の2019年度は75機で全国6位の規模だが、新型コロナウイルスの影響を受け2020年度は12機、2021年度は3機、2022年度は27機となっており、全国8位の規模となっている。
国際ビジネス機については、県営空港の開港当初と異なり、他空港でも取組を進めており、また、コロナ禍を経て、人との接触機会が少なく感染リスクがより低いビジネス機の活用が注目されていることなどもあり、空港間での競争環境にある。
そのため、利便性向上に向け、運航会社が飛行計画作成時に参考にする運航用飛行場予報(TAF)等の配信や、出入国手続に関するCIQ機関への申請期限を、離着陸の原則3日前とする取扱いの継続を、地元自治体及び経済界で構成する県営名古屋空港協議会で、気象庁をはじめとする関係者に対し、引き続き要請していく。
また、利用促進活動として、全米ビジネス航空協会(NBAA)といったビジネス機関連の国際会議で、高いプライバシーとセキュリティーを確保したビジネス機専用ターミナルを有し、短い動線でターミナル隣接の専用駐車場へ移動できるなど、本格的なビジネス機の拠点として、利便性の高い機能を有している県営空港をしっかりとPRしていく。
【委員】
県営名古屋空港には、メリットもある一方で、デメリットもある。メリットを伸ばして、需要拡大に努めてほしい。
なお、今年6月、国土交通省がビジネスジェットの利用環境の改善を図るためとして、観光目的の外国籍ビジネスジェットの運航の許可に関する航空局への申請期限について、所定の期限を越えても申請できるよう制度改正している。
運航用飛行場予報の問題を指摘したが、国土交通省もビジネスジェット、プライベートジェットの利用促進を図ると思う。課題の改善に向けた、国に対する働きかけを強めてほしい。また、観光などの関係部局と高付加価値旅行者、いわゆる富裕層の誘客促進に向けた取組も連携してほしい。
続けて、今年5月に県営名古屋空港では、これまで閉鎖空間となっていた旅客ターミナルビルの部分活用を検討する中で、利活用事業の実施者を広く募集した。そして、8月、利活用事業者2社、株式会社SkyDrive(スカイドライブ)と株式会社プロドローンが選定された。
県営名古屋空港の旅客ターミナルビル利活用事業の実施者について、その決定経緯、今後期待する効果について伺う。
【理事者】
県営名古屋空港旅客ターミナルビルの利活用については、施設活性化が図られる利活用の事業者を募集したが、8月に関係部局及び地元自治体で構成する選定委員会で、株式会社SkyDriveと、株式会社プロドローンの2社を選定した。
株式会社SkyDriveは、空飛ぶ車の開発拠点として、また、株式会社プロドローンは、空飛ぶ車やドローンの社会実装などを目指し、県と同社をはじめとする民間企業6社が共同で実施しているあいちモビリティイノベーションプロジェクト、空と道がつながる愛知モデル2030の活動拠点としての利用を予定している。
空飛ぶ車やドローンなど、次世代の空のモビリティーにより空の利活用が広がる中、機体認証を行う国土交通省航空機技術審査センターが所在し、将来的には制度や要件が整備されれば離着陸場として利用できる可能性も有する県営名古屋空港に、これらの事業者が入居することは、ターミナルの利活用として有益であると考えており、さらなる空港の活性化につながることを期待している。
【委員】
本県では新たな基幹産業の創出に向けて、次世代型の空輸の開発を支援していることから、空輸サービス関連のスタートアップの集積地として、県営名古屋空港が期待される。
また、隣接するあいち航空ミュージアムでは、近年は新型コロナウイルスの影響により来館者が減少傾向にあるため、来館者増加のための施策にスタートアップとの連携が期待できる。
一方で、株式会社SkyDriveは今月10日、静岡県磐田市に機体の量産を行う製造子会社を設立し、2024年春から3人乗り機体の量産を始め、将来は年間100機の製造を目指すとの報道発表があった。
それぞれスタートアップの経営方針によるところで、県営名古屋空港をどう活用していくかはなかなか読み取りづらいが、県としてスタートアップを従前から支援していることに鑑み、ぜひスタートアップ関係部局とともに、各社の動きを注視しながら積極的に連携を取って、空輸関連のスタートアップの集積地となるような取組を模索してほしい。
続いて、今年8月、国土交通省は交通政策審議会航空分科会事業評価小委員会で、中部国際空港の滑走路増設について、2024年度の新規事業化に関する審議を行った結果、新規事業採択時評価について、適当であるという意見を得たと発表している。
中部国際空港の滑走路2本目増設について、内容と現況、今後の見込みについて伺う。
【理事者】
中部国際空港では、2021年12月に地域で取りまとめた中部国際空港の将来構想に沿って、2段階に分けて2本の滑走路の整備を目指している。
まずは第1段階として、現空港用地内の誘導路を転用した第二滑走路を2027年度を目途に供用開始するための取組を進めている。空港会社では、現在、環境影響評価の方法書の手続までが終了しており、今後は準備書、評価書の作成に取り組む。
地域では、地元自治体、経済界、空港会社等で構成する中部国際空港第二滑走路建設促進期成同盟会を中心に、国に対して、財政支援などに対する要請活動を行っている。今年5月には、国会議員連盟との合同会議を開催するとともに、国土交通省、与党幹部へ要請活動を行った。
また、国では、来年度の政府予算の概算要求に第二滑走路関連予算が盛り込まれるなど、着実に手続が進められていると認識している。
引き続き中部国際空港における第二滑走路の整備に向け、国と地域が一体となって取り組んでいく。
【委員】
滑走路2本目増設とは、いわゆる将来構想の第1段階、暫定形、B滑走路のことであるが、これまでどおり着実に取組を推進するよう要望する。
また、2本目滑走路が増設されると、空港の完全24時間運用が可能になり、発着容量が大幅に増加することになる。もとよりコロナ禍で傷んだ航空需要の拡大、航空ネットワークの充実に向けたエアポートセールスをしっかり行うよう要望する。それが将来構想の第2段階、いわゆるA滑走路の条件となり需要の確保拡大につながる。
昨今、空港で働く地上職員の不足が、世界的に深刻な状況に陥っている。
国内でも、グランドハンドリングや保安検査の要員がコロナ禍の期間で大幅に減少している。今年4月時点で、グランドハンドリングのうち旅客ターミナルでの手荷物の預かりや仕分を行う旅客ハンドリングは、コロナ禍前に比べてマイナス19パーセントである。一方、この間、毎月採用活動を行っており、若干不足を補い、直近の9月だとマイナス14パーセントである。グランドハンドリングのうち着陸した航空機の誘導作業や給油、清掃作業などを行うランプハンドリングは、4月時点でマイナス10パーセント、毎月採用活動を行っており、若干不足を補い、直近の9月のマイナス5パーセントである。
このような状況でインバウンドの急回復に伴う国際線の増便、復便計画に支障を来しており、人員確保が急を要する課題となっている。
それを受け、今年6月、深刻化する空港スタッフの人手不足対策を国が有識者会議で議論しており、持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会が、今後の対策案の中間取りまとめを行った。
解決策としては、航空大手の系列を超えた現場の効率化、賃上げの原資となる受託料改定などの契約内容の適正化を求めている。加えて、訪日需要の喚起に躍起になってきた地方自治体の政策の見直し、国による先進技術の導入支援も求めている。
県内空港の地上職員の人手不足について、現況、課題、今後の取組について伺う。
【理事者】
グランドハンドリングをはじめとする空港業務の人材については、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い業務量が大幅に低下したことなどから、国の持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会によると、コロナ前に比べて、全国で2割減となっており、中部国際空港も状況は同じである。国際線の運航便数は10月時点でコロナ前の約4割にとどまっており、グランドハンドリングの人材不足も、運航便数が回復しない原因の一つとして考えられる。
このような状況に対応するため、東海3県1市、経済界及び空港会社で構成される中部国際空港利用促進協議会で、今年から新たに採用情報の発信強化に要する経費や採用合同説明会の開催に要する経費等への支援を実施することとした。
空港会社では、この支援メニューを活用し、本年11月以降に採用合同説明会を開催する。中部国際空港の人材不足解消に向けては、本県のみでなく地域全体で取り組むことが必要であるため、引き続き事業者のニーズの把握に努め、地域一丸となって強力に取り組む。
【委員】
空港スタッフ、地上職員は、厳しい労働条件などを背景に、離職者が多くもともと人手不足が懸念されていた。厳しい労働条件とは、賃金水準の低さや若者が敬遠する労働環境、休憩室が整っていない等様々であり、離職者が多かったようである。
こうした状況を受け、有識者会議の中間取りまとめでは、空港業務について明確化している。
公共交通や貨物輸送によって、国民生活や社会経済活動を支える航空ネットワークの根幹であって、インバウンドを通じた地域振興を実現するための拠点でもある空港の機能を維持していく上で、極めて重要な役割を果たしている。その上で、持続可能な空港業務に向けて、地方自治体を含む官民の空港関係者がしっかりと連携して取組を推進することが必要であると位置づけている。
先ほど答弁があったとおり、地元グランドハンドリング会社、あるいは検査会社とのコミュニケーションをしっかり強化して、空港業務支援も航空機の復便に向けた誘致支援の一部と位置づけた上で、観光など関係部局と連携した支援を実施するようお願いする。
最後に、今月、豊明市にある学校法人藤田学園が、羽田空港に隣接する複合施設、羽田イノベーションシティに藤田医科大学東京先進医療研究センターを開業した。また、このセンターの研究で得た知見を反映した先端医療を提供する藤田医科大学羽田クリニックも併設している。延べ床面積約7,500平方メートルで、空港に近い立地から海外の富裕層の受診、いわゆる医療ツーリズムの展開を見込んでおり、豊明市では海外からの患者を年間約800人受け入れたが、このセンターがオープンして、3年後には約6,000人、海外から患者を受け入れることを見込んでいるとのことである。
このセンターの立地条件は様々あったが、羽田隣接立地への決め手となったのは、羽田空港が中国の地方都市からの直行便が極めて充実していることだったそうである。これが中部国際であったならばと思うが、直行便の増設充実が大きな影響、効果を与えることが分かるため、2本目滑走路の増設に向けた取組、総じて一層のエアポートセールスに努められたい。
なお、今週15日には、3年ぶりにエアポートフェスタinセントレアが開催されるため、先立って今月2日には空港会社で内定式が華々しくあり、二本目滑走路を見据えて体制を強化するため2023年度に17人採用、来年度は58人採用とのことである。コロナ禍が明けて、本格的に航空需要回復傾向に向く中で、航空当局でも関係部局と連携したエアポートセールスの一層の取組の推進を要望する。
【委員】
8月21日に道路が陥没した事故が設楽町であったが、陥没のニュースを見たときに、以前、福岡県であった道路の陥没を思い出し、そのときは地下鉄工事で掘削した土がどこかへ流れたとのことだが、どういう原因で設楽町の陥没が起きたのか。
【理事者】
今回、国道420号で、陥没事故が起きた。この陥没箇所については、山間部の幅員約4メートルの道路で、山の沢筋を盛土構造で横切っている箇所であり、その盛土部分に沢からの水を流す横断函渠が設置されている。陥没の発生原因は、短時間で局所的な豪雨により沢から石や流木混じりの大量の土砂が流入し、横断函渠の入り口部分を閉塞した。本来、横断函渠内を流れる水が道路の盛土内を通り、盛土部分が流出して、路面が幅約4メートル、延長が約3メートル、深さ2メートルで陥没したものと考えている。
復旧の状況については、事故発生後、直ちに通行止めにするとともに、速やかに応急復旧に着手し、約2週間後の9月7日に通行止めを解除している。
今後、詳細に調査を実施するとともに、対策工法を検討し、本復旧工事を行う。
【委員】
短時間での集中的な豪雨が原因のため、めったに起きることではないが、集中豪雨が最近珍しくなくなってきており、他にも起きることは想定できる。たまたま今回は車両の少ないところであったが、同じような原因で、集中豪雨があった場合に陥没が起きることが他にもあると想定されるのか。
【理事者】
今回は、集中豪雨であったが、今回の事故の発生を受け、構造が類似しており、過去に路面等への土砂流出があった箇所102か所を抽出し、直ちに現地で函渠等の閉塞状況を確認する緊急点検を行った。
その結果、新城市内の1か所で、同様な箇所を確認したので、速やかに土砂を撤去し、流下機能を回復させる対応を行った。
今後、日常の道路パトロール時に沢筋を横断する箇所における路面への土砂流出などの監視を強化し、再発防止に努める。
【委員】
他に、こういうことが無いようしっかりチェックし、空洞化、土砂が流れることが無いようしてもらいたい。
建設業界も人が足らないと言われている。今後どのようなことが起こるか県として業界全体のことや発注者側として考えていかなくてはならない。業界から大阪万博は単価が合わずに不調が多いと聞く。また、人がいないので本格的に外国人の獲得に動いているとも聞く。2024年問題は建設業界だけの問題ではないが、人手不足、高齢化、賃金などいろいろな問題がある。
そこで、県の入札では不調が多いと聞くがその状況はどうか、また、その理由は何か伺う。
【理事者】
令和4年度の建設部門の工事の入札不調については、建設部門全体で126件の入札不調が発生している。契約件数2,266件に入札不調件数126件を加えた入札件数2,392件に対する入札不調の発生率は5.3パーセントとなっている。
次に、令和5年度の状況については、9月末現在で入札不調は55件発生している。契約件数1,072件に入札不調件数の55件を加えた入札件数1,127件に対する入札不調の発生率は4.9パーセントとなっている。
また、入札不調の理由としては、主に技術者が不足し現場に配置できないことや設計価格と見積価格が合わないことが挙げられる。
【委員】
今後は特に現場責任者となる技術者が不足すると言われている。技術者の獲得について、業界も県もいろいろと動いていると思うが、建設業は昔からの慣習もあり、なかなか人材を獲得できていないと言われている。業界の人材の確保について、県の取組を伺う。
【理事者】
まずは、若手や女性の技術者が入職しやすい環境づくりとして、2016年度から、工事現場で男女別快適トイレの設置を始め、現場事務所の快適化等を行う誰もが働きやすい現場環境整備工事などに取り組んでいる。さらには、土木・建築を学ぶ学生を対象に、行政や施工会社、設計会社の若手技術者との交流の場であるあいち建設みらいサロンを開催し、それぞれの仕事を紹介することにより、建設業界の魅力や、やりがいを知ってもらう場として活用している。また、近隣の大学や高校などの講義や就活セミナーでPR活動も実施している。
このほかにも、一般の方に広く社会資本の役割を理解してもらい、建設分野の魅力を感じてもらうため、出前講座や現場・施設見学会、YouTubeチャンネルを通じたPRにも努めている。
こうした取組を通じて、今後とも、様々な観点から中長期的な担い手の育成・確保が図られるよう努める。
【委員】
それでもなかなか採用しづらいと思うが、不調になった場合は、どう対応するのか。
【理事者】
入札不調となった案件への対応については、地域要件等を緩和することで参加可能な業者数を増やすことや、一般競争入札から指名競争入札に入札方式を変更することで、建設業者が入札へ参加するよう促している。また、競争入札では格付のある工事の場合で、1級上位もしくは1級下位の等級の業者まで範囲を広げて、指名業者を選定している。さらに入札辞退業者へ辞退理由を聞き取り、その聞き取り内容を設計等に反映させている。
主な辞退理由として、設計価格と見積価格が合わないことや、技術者が不足し現場に配置できないことが挙げられており、具体的な対応として、一つ目は特殊な工種で見積りにより設計価格を設定したものの、発注時の実勢価格と乖離しているものは、再度見積りを取り、設計価格に反映させている。
二つ目は、複数の工事を統合するなど発注ロットを大きくすることで、スケールメリットを生かすとともに技術者不足に対応している。
三つ目は、請負者の円滑な工事施工体制の確保を図るため、全体工期の範囲内で請負者が工事の始期及び終期を設定することができる余裕期間制度、フレックス方式を導入している。
入札不調となった案件は、以上のような対応により再入札を実施し契約に至っている。また、入札不調により供用開始等が遅れるなどの大きな影響は出ていない。
【委員】
猶予をもって期間を延ばすのもいいが、なかなか人を確保するのに金もかかる。一番は人を確保するのに、いろいろな意味で待遇をよくしなければならないが、特に土曜日を休日とし週休2日になると一人親方は実質的に働く日が減る。そうすると中小企業の下請は実入りが少なくなる。働き方改革の機運に乗ってよい環境で働けるように変わっていくことはよいことだと思うが、給料も上げなければならないし、休みが増えて給料が下がったでは特に一人親方は大変である。発注者も人件費だけ5パーセント上乗せするところもある。単価を上げていかないとついてこない。
工事を1年間通して同じ時期に集中するのではなく平準化しなければならず、特に4月から6月の仕事のむらをなくしていく必要があると考えるが、工事量の平準化について、県の取組を伺う。
【理事者】
年度末に集中する工事を緩和するため、第1四半期の工事稼働件数を、年平均稼働件数の80パーセント以上とすることを目標に定めて、施工時期の平準化に取り組んでいる。
具体的には、適正な工期を確保した上で、閑散期である第1四半期の早期発注を増やすとともに、債務負担行為や繰越明許費を活用することで、年度をまたいだ工期設定を可能としている。これによって、年間を通じた安定した工事量の確保にもつなげている。
この結果、昨年度の県発注の土木工事における第1四半期の工事稼働件数の割合は、目標値を上回る81パーセントとなっている。
今年度からは、業界から要望の多かった舗装の大規模修繕工事を第1四半期に施工できるよう早期発注を行い、より一層の施工時期の平準化を進めている。
また、市町村に対しては、国、県、市町村で組織する愛知県公共事業者発注者協議会を通じて働きかけを行っており、こうした取組を市町村とも歩調を合わせて行うことで、業界全体の労働環境改善につながるよう努めている。
【委員】
ぜひむらなく発注してもらえるようお願いする。
これは私が聞いた話であるが、設計や見積りについて以前と比べると、最近は時間がないのか、コンサルタントに投げ、そこで作製した図面や設計があまりにも現場と乖離している。後で設計変更が多すぎることもあり、しっかりした打合せをしてくれない。現場を知っている人がいないのか、それとも時間がないのかはよく分からないが、設計変更が後で多くなると困るので、しっかりした図面で打合せをして、積算した見積りが出るようにしていかなければいけないと思うが、県としてどのように発注時チェックをしているのか。
【理事者】
本県では、それぞれの場面で、状況に応じた様々な確認を実施している。
まず、設計時には、着手前に発注者と受注者双方で、合同現地調査やチェックリストを活用し、設計に対する現地条件を確認している。また、受注者で照査技術者を配置するとともに、設計成果品の納入時には複数の県職員で確認しているため、設計と現地が大きく乖離した粗雑な設計成果品はない。
こうしたチェックを踏まえても、想定と異なる土質の掘削作業や地元住民要望などの対応のため、仮設工法や施工方法の変更が必要となり、設計変更や工期の変更が生じることがある。
次に、発注時には、積算ミス事例集や積算時重点チェックポイントを活用して、複数の県職員で検算を行っており、積算ミスを少なくしている。
最後に、工事着手時には、設計施工条件確認会議を実施し、発注者、受注者及び設計者で、設計意図、施工に関する課題を共有するようにしている。
今後もこうしたチェック体制を進めることにより、適正な発注に努める。
【委員】
大きく乖離したものはないと答弁をもらったので、信じることにする。私も下請業者から聞いただけだが、平面図のような2次元は違う人が二つ書くと精度が落ちるので、BIMという3次元の新しい技術が有用であるが、なかなか扱える技術者がいないとのことである。そのような人材が不足しており、後で手直しすることがないように、技術が進化した部分は取り入れ、建設業界全体も変わらなくてはいけないが、建設局もDXを駆使しなければならない。
今までのように、土曜日も働いて、工期を守らなければ罰金という慣習をどう変えていくかが一番大事だと思う。暑い日も大変な工事現場である。今年は特に暑く、猛暑の中で皆働いている。どうしても工期を守らなければならない。それで同じ賃金だと、その業界に入っていこうという人はいないかもしれない。
この業界を守りながら、特にこれから老朽化したインフラを守っていくためには、建設業界の人たちはしっかりやってもらわなければならないが、人手不足によって会社が潰れていくようでは困るため、県としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
建設業界は深刻な人手不足である。私どもも、人を集めてくるところから、工事の現場の環境を非常によくしなくてはいけないので、トイレや週休2日を土木部門で導入している。今後、建築部門も含めて、週休2日が一般的になり、若い人たちの入職を促していきたい。
また、猛暑について、熱中症が危険な状況では工事を休んでもらい、そういうことも勘案して、変更契約を行い、経費を見ている。休んだから工期が間に合わなかったからといって罰則を求めることはない。しっかりと工期も取れて、猛暑のときはしっかり休むことで、一体となってやっていきたい。
DXについては、BIMという設計も、いろいろな規格がありコンサルタント業界でも統一したものがまだ普及していないが、私どももそれを導入してもらえば現場の管理も簡単になり、出来上がったものの管理にも非常に活用できるので、積極的に活用していきたい。
【委員】
ぜひ人件費の引上げについても考えてほしい。
【委員】
土日休みは、普通の企業では結構だが、建設は天候に左右される。
梅雨などに平日が雨だと、どうしても土日に工事をやらないといけないこともあるが、そのような場合はどうしているのか。
【理事者】
現在の工期の設定では、土日、休日、雨天・晴天率等も含めて工期を設定している。ただし、工期内に収まらない場面は考えられるので、そのような場合は監督員と工期の延長や内容等の協議をし、柔軟に対応する。
【委員】
工期のことは分かったが、下請業者が働く日数が減り、収入が減ることに対してはどのように考えているのか。
【理事者】
下請については民間事業者どうしの契約であるため、県の介入は難しいが、業界を通じて改善を図られるように働きかけていく。
また、ここ11年間で5パーセント程度の賃金の上昇もしているので、今後はこの賃金上昇が業界全体に行き渡ることを期待している。
【委員】
大阪万博でも残業を認めるか検討されているが、現場としては働く日数を確保したい。週休5日と考えて、土日も働けるように休日を入れ替えて工期を守る方法も考えていかないといけない。
今の労働基準では、週休2日というのは土日休みではなく5日間働くことなので、臨機応変な対応をお願いしたい。
【委員】
愛知県には、日本最大のゼロメートル地帯がある濃尾平野が広がり、海部地域は南海トラフ地震では津波、浸水など甚大な被害が予想されている。こうした地域では、災害時に避難、救助をはじめ、物資供給等応急活動のため、緊急車両の通行を確保することが重要である。海部地域の東西を結ぶ道路は伊勢湾岸自動車道や国道23号など充実しているが、南北を結ぶ道路は西尾張中央道があるのみである。海部地域西部を南北に結ぶ都市計画道路名古屋第3環状線は、東名阪自動車道以北は国道155号がその一部を形成しているものの、以南の弥富市内では、現在、事業中区間があり、まずは南北軸としてつなげることが重要であるが、津波浸水時でも可能な限り緊急輸送ルートとして確保されることが期待される。
そこで、都市計画道路名古屋第3環状線は、津波、浸水に対してどのような計画としているのか伺う。
【理事者】
都市計画道路名古屋第3環状線は、伊勢湾岸自動車道や国道23号、国道1号といった東西の第一次緊急輸送道路を南北につなぐ、災害時の緊急輸送ルートとして重要な役割を担う早期整備が期待されている道路である。
現在、都市計画道路日光大橋西線から南側の約0.5キロメートル区間の前ヶ須工区を街路事業で、国道23号から南側の約1.4キロメートル区間を道路事業の中原・境工区、国道23号の北へ一般県道大藤永和停車場線までの約1.3キロメートル区間を道路事業の間崎・富島工区として、それぞれ整備を進める。
津波浸水想定を上回る道路高を確保するためには、交差道路との取付けや沿道利用を考慮する必要があり、間崎・富島工区は、他の2工区とは異なり、鍋田川の廃川敷用地を活用する計画であることから、交差道路や沿道利用が限定的で、もともと地盤が高く津波浸水想定を上回る道路高を確保できることを踏まえ、検討を進める。
【委員】
津波浸水想定に対し、緊急輸送ルートを確保するよう対策を取っていることは分かった。
一方で、濃尾平野は、地盤沈下を引き起こしやすい軟弱な粘土層の上に、地震で液状化の恐れがある砂質土層が堆積する軟弱な地盤が分布している。こうした地盤の上に盛土をして災害時の緊急輸送ルートとなる道路を構築するには、その地盤の部分を強固にする必要がある。そのためには事前に地盤の沈下を促進させるプレロード工事が重要であると聞いている。
そこで、当地域の軟弱地盤に対してどのような対策を進めているのか。
【理事者】
当地域の地盤は、地震で液状化のおそれがある砂質土層と地盤沈下が想定される粘土層で構成される軟弱な地盤である。こうした地盤の上を高く盛土を施工するに当たり、液状化対策として地盤を安定させるサンドコンパクションパイル工法といった地盤改良工事と、地盤沈下対策として、事前に沈下を促進させるプレロード工事といった軟弱地盤対策工事を実施し、地盤を強固にする必要がある。
地盤改良工事や軟弱地盤対策工事は、その対策を必要としない地盤に比べ、多くの事業費や時間を要する。特にプレロード工事は、緩い地盤に対し盛土を重石として長い年月をかけてゆっくりと沈下させることで地盤を圧縮し強くする重要な工事で、中原・境工区で、2016年度の盛土工事の着工以来、順次その範囲を広げて実施しており、これまでに施工した範囲の盛土の安定や沈下の収束がおおむね確認できた。
【委員】
答弁があったように国道1号から南の方へ、かなり用地を買収してもらった。私も何回か見に行ったが、よく頑張ってくれた。
国道23号の辺りから北に向けては農地ばかりで、このまま一気に用地買収して、すぐに接続できると考えていたが、これだけ軟弱な地域なのかと私も地元の人々も驚いていた。
20年ぐらい前に、海部建設事務所長が南北の道路がないから、これを優先的にやりたいといっていた。どちらからやったらいいかと言われたので、両方からやればいいのではないかといった。これだけ軟弱な地盤であと何年ぐらいかかるのか。
2016年に着工して、盛土を延々とやっていくとかなり時間がかかると思うが、その点をどう考えるのか。
【理事者】
現時点で、いつまでにとはしっかり目に見えていない。ただし、一番懸念していた地盤対策工事の方に目途が立ってきているので、今後しっかり事業進捗を図り、できるだけ早く着工させ、地元の人々に使ってもらえるよう努力したい。
【委員】
軟弱なところはしっかりとやっていかないと、後から問題が起きてもいけない。とりわけ名古屋港方面から大きなトレーラーやトラックが多く通行するので地盤沈下対策、軟弱地盤対策工事をしっかりやってほしい。そして、なるべく早く開通してもらえるよう、地元の人々も強く要望しているので、よろしくお願いする。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月12日(木) 午後0時58分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
丹羽洋章、松本まもる 正副委員長
横井五六、鈴木喜博、青山省三、新海正春、日高 章、伊藤貴治、
富田昭雄、阿部洋祐、古林千恵、柴田高伸、園山康男 各委員
建設局長、建設政策推進監、建設局技監(2名)、土木部長、道路監、
治水防災対策監、豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、
水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、
港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第103号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第4号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第7款 建設費
第2条(繰越明許費の補正)
第104号 令和5年度愛知県港湾整備事業特別会計補正予算(第1号)
第112号 工事請負契約の締結について(道路改良事業県道名古屋岡
崎線境川橋上部工事)
第113号 工事請負契約の締結について(知多総合庁舎建築工事)
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第103号、第104号、第112号及び第113号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(4件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 閉会中継続調査申出案件の決定
6 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
第7款建設費第2項第2目道路橋りょう新設改良費の補正予算に関連して、国道155号バイパスの整備について伺う。
一宮市の国道22号から江南市、大口町、小牧市を経由して、私の地元春日井市を結ぶ国道155号バイパスは、尾張北部地域の東西幹線軸であるとともに、国道22号、41号、19号と接続し、広域的なネットワークを形成する重要な道路である。沿線には、多くの製造業や物流施設が立地するなど、地元経済の発展には欠かせない道路でもある。
現在、このバイパスのうち江南市から小牧市内の暫定2車線区間では、慢性的な渋滞が発生しており、主要渋滞箇所にも指定されている。
また、この周辺では、新たな物流施設などの開発が進んでおり、さらなる渋滞も予想され、住民生活や経済活動に大きな影響を及ぼすことが懸念されることからバイパス供用区間では、交通円滑化に向けた4車線化等の整備が進められていると承知している。
そこで、江南市から小牧市の間で実施している4車線化等整備の進捗状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
江南市から小牧市内の国道155号バイパスについては、現在、県道名古屋江南線から東へ県道小口名古屋線までの約4.8キロメートル区間を布袋拡幅、その先の国道41号の東側の合瀬川から原川までの約0.8キロメートル区間を自才前工区、さらに、原川から小牧原交差点までの約0.4キロメートル区間を小牧原新田工区として、4車線化など交通円滑化に向けた整備を進めている。
このうち布袋拡幅では、これまでに4車線化に必要となる用地を取得しており、現在は、江南市内と大口町内の区間全域で道路築造工事を進め、小牧市内では、4車線化に伴い中央分離帯を設置する沿道利用対策について、公安委員会など関係機関との協議を進めている。今後、小牧市の協力を得ながら、沿道利用対策を固めるとともに、早期完成に向け、事業進捗を図る。
次に、自才前工区については、右折帯を設置する交差点改良と歩道設置を進めており、これまでに交差点改良に必要な用地を取得している。現在は、交通円滑化に向けて、交差点改良工事を進めており、今後も歩道設置に必要な用地買収を進めるとともに、早期完成に向けて事業進捗を図る。
最後に、小牧原新田工区では4車線化を進めており、昨年度、全ての用地買収が完了したことから、早期完成に向け工事を実施している。引き続き、交通円滑化に向けてしっかり取り組む。
【委員】
現在のバイパスの供用区間は、小牧市と春日井市の市境となる県道神屋味美線との交差点で終わっており、この先の春日井市内では、国道19号に接続し、春日井インターチェンジにつながる国道155号で慢性的な渋滞が発生しており、主要渋滞箇所にも指定されている。
また、春日井インターチェンジ周辺では、産業誘導ゾーンとして大泉寺地区の企業用地の整備事業が進められており、この大泉寺地区にもつながる国道155号バイパスの延伸は必要不可欠である。現在、国道19号を挟んだ区間を春日井バイパスとして事業が進められており、地元もこの整備に大いに期待している。
そこで、春日井バイパスの進捗状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
春日井市内では、小牧市境から春日井市出川町までの約2.4キロメートル区間を、春日井バイパスとして2019年度に事業化しており、このうち現道の国道155号と国道19号との交差点の渋滞緩和を早期に図るために、先行整備区間として、国道19号から西へ約0.6キロメートル区間の整備を進めている。
これまでの用地買収の進捗率は先行整備区間で約4割となっており、現在は、早期の工事着手に向けて、道路詳細設計や市道交差部の函渠など構造物の設計を進めている。
今後も用地買収を進め、事業進捗を図るとともに、先行整備区間に続いて事業展開が図られるよう、残る区間についても公安委員会など関係機関と調整を進める。
【委員】
国道155号バイパスは、尾張北部地域の経済の発展にとって重要な道路である。春日井市当局も、可能であれば事業化する前に少しでも早く接道等の検討を進めていきたいといっている。
また、名古屋市側からも進めてほしいという要望があるようだが、県も市も長年をかけて調整して進めている事業である。順番の変更等がないよう要望する。この地域が一体となって発展していくため、未開通区間の早期整備に向けた積極的な取組をお願いする。
《一般質問》
【委員】
知多半島道路におけるパーキングエリアの取組について、特に商業施設の運営について伺う。
2016年10月から愛知有料道路コンセッションが導入され、民間事業者によって、有料道路をはじめパーキングエリアも管理運営がされている。知多半島道路のパーキングエリアについては、世界的建築家の監修の下に建物がリニューアルされ、温かく開放的な空間が創出されるなど、民間事業者の強みを生かした事業展開が行われている。中でも日本を代表する有名シェフが知多半島の地元の有名店や企業と開発した知多半島コラボ商品や、シェフが知多半島の名品を選んだ知多半島セレクトなど、ここでしか手に入らないお土産などが多数用意されていることも大きな魅力である。
また、大府パーキングエリアの下りや上りについては、一般道からの利用が可能であり、土日、祝日のみならず、平日も地元から人が訪れ、にぎわっている。
そのような中で、先日、南知多町から名古屋市方面へ帰る途中、夜8時を少し過ぎた頃に、大府パーキングエリアに立ち寄った人から、店が何も営業していない状況で、とても残念であったとの声が寄せられた。
せっかく整備されたにぎわい拠点であるので、このような指摘があれば改善の機会と捉え、まずは現状を確認したい。大府パーキングエリアの利用状況はどのような状況なのか。
【理事者】
大府パーキングエリアは、名古屋方面の上りが1999年度、南知多方面の下りが2022年度にオープンしている。利用台数については、2022年度は、上りで1日平均2,700台、下りで1日平均1,800台となっている。
上りでは、有料道路コンセッションの開始以降、2017年度がピークで、1日平均3,300台の利用があったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年度でピーク時の約7割まで落ち込んだものの、それ以降は年々回復傾向である。
また、商業施設とその営業時間については、上りでは、パン屋が午前8時から午後6時まで、食堂が午前10時から午後8時まで、お土産ショップが午前8時から午後8時までとなっている。下りでは、ラーメン屋が平日の午前10時から午後8時30分まで、土日、祝日は午前7時から午後9時まで、コンビニエンスストアは24時間営業となっている。
売上額については、2022年度は上りが総額約3億7,000万円、下りが総額約2億5,000万円である。上りでは、有料道路コンセッションの開始以降、2019年度がピークで、総額約3億7,000万円の売上げがあった。新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年度にピーク時の約8割まで落ち込んだものの、現在ではピーク時まで回復している。
【委員】
先ほども述べたように、新たなにぎわい拠点として誕生したパーキングエリアが、地域の活性化につながっていると感じている一方で、売店やレストランが午後8時には営業が終了することなど、残念に思うところもある。
また、先日、地元の大府市が隣接する白魦池公園周辺にライトアップ設備を設置してライトアップを始めるなど、夜間訪れる地元住民も増えると見込まれる。
パーキングエリアの利用者に対するさらなるサービスの向上に向けた取組が必要であり、例えば営業時間の延長や、気軽に食事を楽しめるキッチンカーの出店を増やすのもよいと考えるが、県として、今後どのような対応をしていくのか。
【理事者】
パーキングエリアの運営については、有料道路コンセッション開始時に、商業施設の営業は原則午前8時から午後8時まで行うことや、販売商品等は地元特産品を販売するよう努めることなどの一定の要求水準が定められている。
それらを踏まえ、愛知道路コンセッション株式会社は、利用状況に応じた営業時間の設定や、有名シェフによる食事メニューのプロデュースなど、民間事業者ならではの取組を行っている。
今後は、アフターコロナにより社会経済活動が本格的に回復し、交通量とともにパーキングエリアの利用者数の増加が見込まれる。特に知多半島道路から先、名古屋高速道路などのほかの高速道路を経由し長距離を移動する利用者にとっては、次のパーキングエリアまでの時間が長くなると、安全な運転に影響を及ぼす可能性があるため、大府パーキングエリア上りでの休息を目的とした利用も増えてくると考えられる。
県としては、より多くの利用者が快適なサービスの提供を受けられるよう、利用実態に応じた営業形態の工夫や、地域との連携によるにぎわいの創出など様々な取組を検討し、道路公社とともに愛知道路コンセッション株式会社に働きかけていく。
【委員】
現況では知多半島方面の観光客数が回復しつつあり、また、中部国際空港の就航便も増えつつあるので、特に夜間に発着する便も増えると思う。
現状では上りパーキングエリアの利用の方が多い。つまり、知多半島の観光地や空港方面から名古屋方面に帰ってくる利用者が多いと推察され、必然的に夕方から夜間の利用が多くなると考えられる。
現状では、名古屋方面から知多半島の先端方面に行く下りのパーキングエリアについて、営業が、飲食店は午後8時半まで、土日祝日は午後9時まで、コンビニエンスストアは24時間営業であるが、上りのパーキングエリアについては、飲食店が午後8時まで、パン屋が午後6時までで終わってしまうという状況であり、物販も午後8時までだが、売上げは上りのパーキングエリアの方が大きいので、営業時間等の改善の余地がある。今後、詳細に状況を確認し、例えば夜の時間帯ごとに利用客数をしっかりと分析し、その状況によって、事業者に営業時間帯を検討するように提案することを要望する。
また、周辺の様々な整備が進むことで、地元の人の利用も増える。もともとの事業理念が三方よしであり、地域貢献も含まれるので、そういった事業思想に立ち返り地域に親しまれる拠点づくりを目指してほしい。
次に、大府パーキングエリアへのアクセス道路である県道長草東海線バイパスの整備について伺う。
県道長草東海線は、大府市内の県道東浦名古屋線と東海市の国道247号を結び、知多半島北部を横断する重要な幹線道路で、一般道からも利用できる知多半島道路大府パーキングエリアへのアクセス道路となる路線でもある。
現道は、幅員が狭くすれ違いが困難な状況であり、現在、県道長草東海線バイパスとして、都市計画道路荒尾大府線の県道東海緑線から東海市境までの整備が進められている。
このバイパス区間のうち、知多半島道路下り線の大府パーキングエリア新設に伴う整備として、知多半島道路と交差する区間が、昨年度先行して暫定形で開通した。周辺では、大府市で、新たな産業地の形成を図るものとして位置づけられたエリアがあり、地域経済の発展にも資するこのバイパスの早期整備が望まれる。
県道長草東海線バイパスの進捗状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
県道長草東海線バイパスについては、県道東海緑線から東海市境までの約1.4キロメートル区間について、地域の円滑な交通の確保に向けて整備を進めている。
昨年度、暫定形で開通した約200メートル区間を除く残る約1.2キロメートル区間では、1998年度までに約6割の用地を取得しており、昨年度から、約1.4キロメートルの工区全体を国の交付金により事業化し、道路設計を進めてきた。
今年度は、公安委員会など関係機関との協議を重ねてきており、また、用地測量にも着手した。早期に工事着手できるよう、引き続き用地買収を進める。
【委員】
県道長草東海線バイパスは、都市計画道路荒尾大府線として開発も進められているが、その開発事業自体が平成の最初の頃に始まった。その後、平成10年を過ぎた頃に、様々な事情で事業がストップし事実上の棚上げ状態になったが、改めて事業化することで、地域の期待が非常に大きくなっている。
事業がストップしてから20年以上放置され、開発が止まった、時間の止まった地域であったため、この道の整備に対して関心が大変強い。測量という話があったが、事業化のスタートラインに立ったことで地域は期待しており、以前にはなかなか用地交渉が進まなかった箇所も、地権者は改めて向き合うといっている人が多いと聞いている。
ぜひスピード感を持って用地交渉に当たり、まとまったところから工事着工を進めてもらいたい。
【委員】
前回の委員会で質問した岡崎市鉢地町の国道473号の通行止めについて、改めて質問する。
国道473号は、6月2日の集中豪雨により土砂崩落し、全面通行止めとなった。前回の委員会の質問に対して、6月3日から現地調査に着手し測量、鋭意設計を進めている計画が固まり次第、速やかに工事発注し、早期完了に努めるとの答弁があった。その後、設計、工事発注を進めていると思うが、地元住民からいつ通ることができるのかとの問合せが続いている。
そこで、これまでの進捗状況と復旧完了までの見通しを伺う。
【理事者】
本被災箇所については、道路が上下線とも崩壊したため、現在も通行止めとなっている。このため、早期の本復旧工事の着手に向けて、通常の災害査定より先行して7月14日に国と事前協議を行い、復旧工法の承認を受けて工事を発注した。
工事の内容は、延長約90メートル、高さが約6メートルから8メートルの道路盛土を築造し、舗装など路面を復旧するものであり、8月16日に、来年2月末を工事期間とした工事請負契約を締結し、10月3日から現地の準備工事に着手した。
今後は、工期短縮に向けて、舗装やのり面工などの施工順序を工夫して工事を進めるなど、早期の通行止め解除を目指し、しっかりと検討する。
【委員】
来年2月までの工期とのことだが、地元の人々をはじめ利用者はできるだけ早い開通を望んでいる。答弁のとおり工期短縮を図り、1日でも早く、できれば年内に復旧、開通することを強く要望する。
次に、復旧工事が始まったことで、迂回路として利用されている岡崎市道の安全対策について質問する。
この市道は、地元住民の生活道路や民間企業の運搬道路として利用され、時間帯によっては相当量の通行が見込まれる上、工事車両も通行することが想定される。また、規制区間も長いため、複数の交通誘導員を危険箇所に配置するなど、交通安全対策が必要である。
そこで、復旧工事が本格化するに当たり、交通安全対策にどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
今後、この市道は、復旧工事用の経路として利用する予定であり、工事の本格化に伴い、多くの工事車両が通行することとなる。
このため、道路管理者である岡崎市や公安委員会と協議するとともに、通行する地元の人々に意見を伺い、車両の通行状況も踏まえて適切に交通誘導を行い、市道利用者の安全に十分配慮する。
【委員】
実際に毎日利用する地元の人々と細かく話し合い、交通誘導員を危険箇所に配置してもらい、工事期間中は1件の事故も起こさないよう管理をお願いする。
【委員】
橋梁及び舗装の老朽化対策及び新技術の活用について伺う。
道路は、社会経済活動を支えるとともに、県民の日常生活に欠かせない重要な社会インフラである。特に古くからモノづくり産業などの分野を中心とした経済活動や県民生活を支える道路整備に取り組んできた本県では、高度経済成長期に多くの道路整備を行っており、これらの施設の老朽化が進行している。今後ますます老朽化が加速する多くの道路施設を適切に維持管理していくことが重要である。
橋梁、トンネルなどの道路施設は、2014年度から5年に1回の点検が法定化され、メンテナンスサイクルを構築する仕組みが導入された。特に橋梁については、その機能が損なわれると影響が長期間、広範囲に及ぶことから、より確実な点検、修繕が必要と考える。
そこで、橋梁の点検結果及び修繕状況について伺う。
【理事者】
県が管理する橋梁は4,680橋あり、2014年度から、5年に1回の近接目視による点検に着手し、今年度で2巡目点検が完了する予定である。
点検の結果は、健全な状態の区分1から、機能に支障が生じ通行止め等などを伴う緊急措置段階である区分4までの4段階で評価しており、これまでの点検で、区分4と判定された橋梁はない。
本県では、速やかな修繕が必要な早期措置段階の区分3について、次回点検までに修繕を終えるよう取り組んだ結果、2019年度から昨年度末までの2巡目点検における区分3の出現率は、1巡目点検結果の9パーセントより低下して約7パーセントとなっており、修繕の取組の成果が現れている。
そして、2021年度からは新たに確認される区分3の修繕に加え、損傷が軽微な予防保全段階にある区分2の修繕にも着手している。
今後は、区分2の判定が約6割を占めることから、これまで蓄積された点検結果を地域性や建設年次等の観点から分析し、区分3に移行しやすい橋梁の特性を把握することにより、効率的な修繕計画を立案し、予防保全型のメンテナンスへの本格転換を図る。
【委員】
予防保全が6割で非常に安心したと同時に、今後、これを進めていかなくてはいけないと改めて感じた。
次に、舗装について伺う。道路の利用者に対して安全な道路環境を提供するに当たり、利用者を直接支える舗装は重要な役割を担っている。舗装の老朽化により道路に穴などが生じると、車のタイヤやホイールが破損し、重大事故につながることもある。道路を安全に安心して通行できる舗装を維持するには、日常管理とともに、計画的な修繕を実施することが重要である。
そこで、舗装の老朽化対策の取組状況について伺う。
【理事者】
舗装については、日常管理として、県管理道路約4,600キロメートルの全路線を、各建設事務所の道路パトロール班が週1回以上の頻度で巡視し、舗装の穴ぼこなど、道路の損傷を確認した場合には応急措置を行い、その後、修繕を実施している。
また、計画的な修繕の実施に向け、舗装の状態を定量的、客観的に評価するための路面性状調査を、2017年度から県内を5地区に分け、5年に一度の頻度で実施し、損傷状況を把握している。直近の調査結果により、舗装のひび割れ率が多いなど修繕が必要な箇所が、昨年度末で全体の13パーセント、約620キロメートルあり、路面の状態や交通量などを考慮して、優先順位の高い箇所から修繕を進めている。
なお、修繕に当たっては、路面表層のみの損傷か、路盤部も含めた構造破損などかを判断し、舗装の損傷の状況に応じた適切な工法を選択して、長寿命化を図るよう取り組んでいる。
【委員】
多くの道路施設を、将来にわたり適切に引継ぎ、安全・安心に利用してもらうためには、点検を持続可能なものにする必要がある。
その中でも、県が管理する橋梁が約4,700橋あることから、5年に一度の点検とすると、年間1,000橋近く点検を行わなければならない。特に大河川に架かる橋梁や谷あいを渡る橋梁などは、大規模な足場の設置や大型の点検車が必要となるなど、点検のための費用や時間も要する。
また、舗装についても、専用の点検車が必要であり、その手配に費用がかかるとも聞いている。このため、持続可能なメンテナンスサイクルの構築に向けて、定期点検のさらなる効率化とコスト縮減を図っていくことが重要である。道路施設の点検のさらなる効率化及びコスト縮減のため、新技術の活用状況について伺う。
【理事者】
本県では、橋梁点検の効率化に向け、昨年度、ドローンを活用した点検を4橋で試行した結果、作業時間が最大6割短縮され、従来の点検で必要であった車線規制が不要となるなど、一定の効果が確認された。この結果を踏まえ、今年度の橋梁点検では、ドローンによる点検39橋に加え、大型の点検車が不要となるポールカメラ等による点検25橋、合わせて64橋について、新技術を活用している。
また、舗装の点検については、今年度、これまでの専用車両による調査の品質を確保しつつ、コスト縮減につながる試行的な取組として、道路パトロール車両に搭載したカメラで連続撮影した画像から路面のひび割れ等を調査する業務の発注を豊田加茂建設事務所で進めており、その有効性を確認し、今後の活用を検討する。
今後とも、新しい技術を積極的に活用し、道路施設の管理の高度化、効率化を図り、道路施設の健全性の確保に努める。
【委員】
戦後急速に進んだ我が国の道路整備だが、それを支えた重要な要素の一つとして道路技術の開発が挙げられる。高齢化や人口減少を迎える今、効率化とコスト削減は必須であることから、日々進歩する技術の導入を引き続き積極的に進めてほしい。
【委員】
中部国際空港並びに県営名古屋空港について、順次伺う。
新型コロナウイルスの感染拡大によって大きなダメージを受けた航空業界だが、足元では、おおむね需要、業績ともに改善傾向に転じている。
IATA(国際航空運送協会)が発表した今年8月の世界の航空需要だが、有償旅客が搭乗して飛行した総距離を総RPKというが、総RPKは、新型コロナウイルスパンデミック前の2019年、同月比で95.7パーセントまで回復しており、前年同月比では28.4パーセント増となった。国際線RPKの回復も堅調で、パンデミック前の88.5パーセントまで回復、また、国内線RPKは、2019年同月比9.2パーセント増と、5か月連続で2019年の水準を上回った。
また、同協会によると、今年1年間の総RPKは、世界で前年比28パーセント増が見込まれ、地域別では新型コロナウイルスの行動制限の緩和が進んだアジア太平洋地域が、前年比63パーセント増と、回復率が最も大きくなると予想している。
県内2空港における航空需要について、その現況、回復状況と今後の見込みを伺う。
【理事者】
中部国際空港の国内線については、2023年10月1日現在で1日当たり77便と、コロナ禍前の2019年同月における92便の約8割まで回復している。
また、国際線は、2023年10月1日現在で17都市、週205便と、徐々に運航再開、増便が進んでおり、2019年同月の39都市、週441便の約4割まで回復している。
国際線の今後の見込みについては、スターラックス航空・台北線の新規就航や中国国際航空の上海線の運航再開、シンガポール航空の段階的な増便などが予定されている。さらに、10月9日の中国・上海における知事のエアポートセールスのときに、上海吉祥航空より、2023年冬ダイヤから、上海線を1日2便の運航に増便する予定との発言があり、現時点の見込みとして、今年度中には17都市、週233便になると見込んでいる。
定期便の運航再開、増便の情報は随時入ってきており、今後も便数は増えていく。次に、県営空港については、フジドリームエアラインズが、国内9都市の路線を運航している。
コロナ禍の影響により減便、運休が行われた時期があったが、2022年4月16日にはコロナ禍前の状況に戻っており、2023年10月現在で1日当たり24便を運航している。
【委員】
国内線はコロナ禍前の水準近くまで戻っている一方、国際線はまだまだ道半ばだが見込みは明るいと思う。
観光庁の発表によると、今年8月の訪日客は、2019年同月比で86パーセントで、韓国人客が2019年比84パーセント増となる一方で、中国人客は64パーセント減と低迷している。
一方で、中国政府は8月、日本行きの団体旅行を解禁しており、今後、この効果が本格的に現れてくるのは近々と期待される。
昨今のインフレや、ウクライナ情勢、あるいはイスラエル・パレスチナ情勢、また、中国人客では、東京電力ホールディングス株式会社の処理水の海洋放出の影響が懸念されるが、世界的にコロナ禍が明けて、経済活動が正常化していくことが一段と進展していくのは確実であるので、旅行などのリバウンド需要を中心に、今後も航空旅客の需要の増加が期待される。この機に乗じて、積極的にエアポートセールスに努めてほしい。
続いて、県営名古屋空港について、2005年当初、我が国初の本格的な国際ビジネス機の拠点空港として、ビジネス機旅客のみが利用できる高いプライバシーとセキュリティーを確保したビジネス機専用ターミナルを整備し、この分野で先行していた。
その後、全国主要空港で、ビジネスジェット利用環境の改善が図られたこともあり、コロナ禍前の2019年までの日本全体におけるビジネス機の国際発着回数は増加傾向にあった。
なお、上位5位は、東京国際空港、成田国際空港、新千歳空港、関西国際空港、中部国際空港という順であった。
県営名古屋空港の国際ビジネスジェット利用状況、課題、利用促進に向けた取組について伺う。
【理事者】
県営空港の国際ビジネス機の利用状況については、コロナ禍前の2019年度は75機で全国6位の規模だが、新型コロナウイルスの影響を受け2020年度は12機、2021年度は3機、2022年度は27機となっており、全国8位の規模となっている。
国際ビジネス機については、県営空港の開港当初と異なり、他空港でも取組を進めており、また、コロナ禍を経て、人との接触機会が少なく感染リスクがより低いビジネス機の活用が注目されていることなどもあり、空港間での競争環境にある。
そのため、利便性向上に向け、運航会社が飛行計画作成時に参考にする運航用飛行場予報(TAF)等の配信や、出入国手続に関するCIQ機関への申請期限を、離着陸の原則3日前とする取扱いの継続を、地元自治体及び経済界で構成する県営名古屋空港協議会で、気象庁をはじめとする関係者に対し、引き続き要請していく。
また、利用促進活動として、全米ビジネス航空協会(NBAA)といったビジネス機関連の国際会議で、高いプライバシーとセキュリティーを確保したビジネス機専用ターミナルを有し、短い動線でターミナル隣接の専用駐車場へ移動できるなど、本格的なビジネス機の拠点として、利便性の高い機能を有している県営空港をしっかりとPRしていく。
【委員】
県営名古屋空港には、メリットもある一方で、デメリットもある。メリットを伸ばして、需要拡大に努めてほしい。
なお、今年6月、国土交通省がビジネスジェットの利用環境の改善を図るためとして、観光目的の外国籍ビジネスジェットの運航の許可に関する航空局への申請期限について、所定の期限を越えても申請できるよう制度改正している。
運航用飛行場予報の問題を指摘したが、国土交通省もビジネスジェット、プライベートジェットの利用促進を図ると思う。課題の改善に向けた、国に対する働きかけを強めてほしい。また、観光などの関係部局と高付加価値旅行者、いわゆる富裕層の誘客促進に向けた取組も連携してほしい。
続けて、今年5月に県営名古屋空港では、これまで閉鎖空間となっていた旅客ターミナルビルの部分活用を検討する中で、利活用事業の実施者を広く募集した。そして、8月、利活用事業者2社、株式会社SkyDrive(スカイドライブ)と株式会社プロドローンが選定された。
県営名古屋空港の旅客ターミナルビル利活用事業の実施者について、その決定経緯、今後期待する効果について伺う。
【理事者】
県営名古屋空港旅客ターミナルビルの利活用については、施設活性化が図られる利活用の事業者を募集したが、8月に関係部局及び地元自治体で構成する選定委員会で、株式会社SkyDriveと、株式会社プロドローンの2社を選定した。
株式会社SkyDriveは、空飛ぶ車の開発拠点として、また、株式会社プロドローンは、空飛ぶ車やドローンの社会実装などを目指し、県と同社をはじめとする民間企業6社が共同で実施しているあいちモビリティイノベーションプロジェクト、空と道がつながる愛知モデル2030の活動拠点としての利用を予定している。
空飛ぶ車やドローンなど、次世代の空のモビリティーにより空の利活用が広がる中、機体認証を行う国土交通省航空機技術審査センターが所在し、将来的には制度や要件が整備されれば離着陸場として利用できる可能性も有する県営名古屋空港に、これらの事業者が入居することは、ターミナルの利活用として有益であると考えており、さらなる空港の活性化につながることを期待している。
【委員】
本県では新たな基幹産業の創出に向けて、次世代型の空輸の開発を支援していることから、空輸サービス関連のスタートアップの集積地として、県営名古屋空港が期待される。
また、隣接するあいち航空ミュージアムでは、近年は新型コロナウイルスの影響により来館者が減少傾向にあるため、来館者増加のための施策にスタートアップとの連携が期待できる。
一方で、株式会社SkyDriveは今月10日、静岡県磐田市に機体の量産を行う製造子会社を設立し、2024年春から3人乗り機体の量産を始め、将来は年間100機の製造を目指すとの報道発表があった。
それぞれスタートアップの経営方針によるところで、県営名古屋空港をどう活用していくかはなかなか読み取りづらいが、県としてスタートアップを従前から支援していることに鑑み、ぜひスタートアップ関係部局とともに、各社の動きを注視しながら積極的に連携を取って、空輸関連のスタートアップの集積地となるような取組を模索してほしい。
続いて、今年8月、国土交通省は交通政策審議会航空分科会事業評価小委員会で、中部国際空港の滑走路増設について、2024年度の新規事業化に関する審議を行った結果、新規事業採択時評価について、適当であるという意見を得たと発表している。
中部国際空港の滑走路2本目増設について、内容と現況、今後の見込みについて伺う。
【理事者】
中部国際空港では、2021年12月に地域で取りまとめた中部国際空港の将来構想に沿って、2段階に分けて2本の滑走路の整備を目指している。
まずは第1段階として、現空港用地内の誘導路を転用した第二滑走路を2027年度を目途に供用開始するための取組を進めている。空港会社では、現在、環境影響評価の方法書の手続までが終了しており、今後は準備書、評価書の作成に取り組む。
地域では、地元自治体、経済界、空港会社等で構成する中部国際空港第二滑走路建設促進期成同盟会を中心に、国に対して、財政支援などに対する要請活動を行っている。今年5月には、国会議員連盟との合同会議を開催するとともに、国土交通省、与党幹部へ要請活動を行った。
また、国では、来年度の政府予算の概算要求に第二滑走路関連予算が盛り込まれるなど、着実に手続が進められていると認識している。
引き続き中部国際空港における第二滑走路の整備に向け、国と地域が一体となって取り組んでいく。
【委員】
滑走路2本目増設とは、いわゆる将来構想の第1段階、暫定形、B滑走路のことであるが、これまでどおり着実に取組を推進するよう要望する。
また、2本目滑走路が増設されると、空港の完全24時間運用が可能になり、発着容量が大幅に増加することになる。もとよりコロナ禍で傷んだ航空需要の拡大、航空ネットワークの充実に向けたエアポートセールスをしっかり行うよう要望する。それが将来構想の第2段階、いわゆるA滑走路の条件となり需要の確保拡大につながる。
昨今、空港で働く地上職員の不足が、世界的に深刻な状況に陥っている。
国内でも、グランドハンドリングや保安検査の要員がコロナ禍の期間で大幅に減少している。今年4月時点で、グランドハンドリングのうち旅客ターミナルでの手荷物の預かりや仕分を行う旅客ハンドリングは、コロナ禍前に比べてマイナス19パーセントである。一方、この間、毎月採用活動を行っており、若干不足を補い、直近の9月だとマイナス14パーセントである。グランドハンドリングのうち着陸した航空機の誘導作業や給油、清掃作業などを行うランプハンドリングは、4月時点でマイナス10パーセント、毎月採用活動を行っており、若干不足を補い、直近の9月のマイナス5パーセントである。
このような状況でインバウンドの急回復に伴う国際線の増便、復便計画に支障を来しており、人員確保が急を要する課題となっている。
それを受け、今年6月、深刻化する空港スタッフの人手不足対策を国が有識者会議で議論しており、持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会が、今後の対策案の中間取りまとめを行った。
解決策としては、航空大手の系列を超えた現場の効率化、賃上げの原資となる受託料改定などの契約内容の適正化を求めている。加えて、訪日需要の喚起に躍起になってきた地方自治体の政策の見直し、国による先進技術の導入支援も求めている。
県内空港の地上職員の人手不足について、現況、課題、今後の取組について伺う。
【理事者】
グランドハンドリングをはじめとする空港業務の人材については、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い業務量が大幅に低下したことなどから、国の持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会によると、コロナ前に比べて、全国で2割減となっており、中部国際空港も状況は同じである。国際線の運航便数は10月時点でコロナ前の約4割にとどまっており、グランドハンドリングの人材不足も、運航便数が回復しない原因の一つとして考えられる。
このような状況に対応するため、東海3県1市、経済界及び空港会社で構成される中部国際空港利用促進協議会で、今年から新たに採用情報の発信強化に要する経費や採用合同説明会の開催に要する経費等への支援を実施することとした。
空港会社では、この支援メニューを活用し、本年11月以降に採用合同説明会を開催する。中部国際空港の人材不足解消に向けては、本県のみでなく地域全体で取り組むことが必要であるため、引き続き事業者のニーズの把握に努め、地域一丸となって強力に取り組む。
【委員】
空港スタッフ、地上職員は、厳しい労働条件などを背景に、離職者が多くもともと人手不足が懸念されていた。厳しい労働条件とは、賃金水準の低さや若者が敬遠する労働環境、休憩室が整っていない等様々であり、離職者が多かったようである。
こうした状況を受け、有識者会議の中間取りまとめでは、空港業務について明確化している。
公共交通や貨物輸送によって、国民生活や社会経済活動を支える航空ネットワークの根幹であって、インバウンドを通じた地域振興を実現するための拠点でもある空港の機能を維持していく上で、極めて重要な役割を果たしている。その上で、持続可能な空港業務に向けて、地方自治体を含む官民の空港関係者がしっかりと連携して取組を推進することが必要であると位置づけている。
先ほど答弁があったとおり、地元グランドハンドリング会社、あるいは検査会社とのコミュニケーションをしっかり強化して、空港業務支援も航空機の復便に向けた誘致支援の一部と位置づけた上で、観光など関係部局と連携した支援を実施するようお願いする。
最後に、今月、豊明市にある学校法人藤田学園が、羽田空港に隣接する複合施設、羽田イノベーションシティに藤田医科大学東京先進医療研究センターを開業した。また、このセンターの研究で得た知見を反映した先端医療を提供する藤田医科大学羽田クリニックも併設している。延べ床面積約7,500平方メートルで、空港に近い立地から海外の富裕層の受診、いわゆる医療ツーリズムの展開を見込んでおり、豊明市では海外からの患者を年間約800人受け入れたが、このセンターがオープンして、3年後には約6,000人、海外から患者を受け入れることを見込んでいるとのことである。
このセンターの立地条件は様々あったが、羽田隣接立地への決め手となったのは、羽田空港が中国の地方都市からの直行便が極めて充実していることだったそうである。これが中部国際であったならばと思うが、直行便の増設充実が大きな影響、効果を与えることが分かるため、2本目滑走路の増設に向けた取組、総じて一層のエアポートセールスに努められたい。
なお、今週15日には、3年ぶりにエアポートフェスタinセントレアが開催されるため、先立って今月2日には空港会社で内定式が華々しくあり、二本目滑走路を見据えて体制を強化するため2023年度に17人採用、来年度は58人採用とのことである。コロナ禍が明けて、本格的に航空需要回復傾向に向く中で、航空当局でも関係部局と連携したエアポートセールスの一層の取組の推進を要望する。
【委員】
8月21日に道路が陥没した事故が設楽町であったが、陥没のニュースを見たときに、以前、福岡県であった道路の陥没を思い出し、そのときは地下鉄工事で掘削した土がどこかへ流れたとのことだが、どういう原因で設楽町の陥没が起きたのか。
【理事者】
今回、国道420号で、陥没事故が起きた。この陥没箇所については、山間部の幅員約4メートルの道路で、山の沢筋を盛土構造で横切っている箇所であり、その盛土部分に沢からの水を流す横断函渠が設置されている。陥没の発生原因は、短時間で局所的な豪雨により沢から石や流木混じりの大量の土砂が流入し、横断函渠の入り口部分を閉塞した。本来、横断函渠内を流れる水が道路の盛土内を通り、盛土部分が流出して、路面が幅約4メートル、延長が約3メートル、深さ2メートルで陥没したものと考えている。
復旧の状況については、事故発生後、直ちに通行止めにするとともに、速やかに応急復旧に着手し、約2週間後の9月7日に通行止めを解除している。
今後、詳細に調査を実施するとともに、対策工法を検討し、本復旧工事を行う。
【委員】
短時間での集中的な豪雨が原因のため、めったに起きることではないが、集中豪雨が最近珍しくなくなってきており、他にも起きることは想定できる。たまたま今回は車両の少ないところであったが、同じような原因で、集中豪雨があった場合に陥没が起きることが他にもあると想定されるのか。
【理事者】
今回は、集中豪雨であったが、今回の事故の発生を受け、構造が類似しており、過去に路面等への土砂流出があった箇所102か所を抽出し、直ちに現地で函渠等の閉塞状況を確認する緊急点検を行った。
その結果、新城市内の1か所で、同様な箇所を確認したので、速やかに土砂を撤去し、流下機能を回復させる対応を行った。
今後、日常の道路パトロール時に沢筋を横断する箇所における路面への土砂流出などの監視を強化し、再発防止に努める。
【委員】
他に、こういうことが無いようしっかりチェックし、空洞化、土砂が流れることが無いようしてもらいたい。
建設業界も人が足らないと言われている。今後どのようなことが起こるか県として業界全体のことや発注者側として考えていかなくてはならない。業界から大阪万博は単価が合わずに不調が多いと聞く。また、人がいないので本格的に外国人の獲得に動いているとも聞く。2024年問題は建設業界だけの問題ではないが、人手不足、高齢化、賃金などいろいろな問題がある。
そこで、県の入札では不調が多いと聞くがその状況はどうか、また、その理由は何か伺う。
【理事者】
令和4年度の建設部門の工事の入札不調については、建設部門全体で126件の入札不調が発生している。契約件数2,266件に入札不調件数126件を加えた入札件数2,392件に対する入札不調の発生率は5.3パーセントとなっている。
次に、令和5年度の状況については、9月末現在で入札不調は55件発生している。契約件数1,072件に入札不調件数の55件を加えた入札件数1,127件に対する入札不調の発生率は4.9パーセントとなっている。
また、入札不調の理由としては、主に技術者が不足し現場に配置できないことや設計価格と見積価格が合わないことが挙げられる。
【委員】
今後は特に現場責任者となる技術者が不足すると言われている。技術者の獲得について、業界も県もいろいろと動いていると思うが、建設業は昔からの慣習もあり、なかなか人材を獲得できていないと言われている。業界の人材の確保について、県の取組を伺う。
【理事者】
まずは、若手や女性の技術者が入職しやすい環境づくりとして、2016年度から、工事現場で男女別快適トイレの設置を始め、現場事務所の快適化等を行う誰もが働きやすい現場環境整備工事などに取り組んでいる。さらには、土木・建築を学ぶ学生を対象に、行政や施工会社、設計会社の若手技術者との交流の場であるあいち建設みらいサロンを開催し、それぞれの仕事を紹介することにより、建設業界の魅力や、やりがいを知ってもらう場として活用している。また、近隣の大学や高校などの講義や就活セミナーでPR活動も実施している。
このほかにも、一般の方に広く社会資本の役割を理解してもらい、建設分野の魅力を感じてもらうため、出前講座や現場・施設見学会、YouTubeチャンネルを通じたPRにも努めている。
こうした取組を通じて、今後とも、様々な観点から中長期的な担い手の育成・確保が図られるよう努める。
【委員】
それでもなかなか採用しづらいと思うが、不調になった場合は、どう対応するのか。
【理事者】
入札不調となった案件への対応については、地域要件等を緩和することで参加可能な業者数を増やすことや、一般競争入札から指名競争入札に入札方式を変更することで、建設業者が入札へ参加するよう促している。また、競争入札では格付のある工事の場合で、1級上位もしくは1級下位の等級の業者まで範囲を広げて、指名業者を選定している。さらに入札辞退業者へ辞退理由を聞き取り、その聞き取り内容を設計等に反映させている。
主な辞退理由として、設計価格と見積価格が合わないことや、技術者が不足し現場に配置できないことが挙げられており、具体的な対応として、一つ目は特殊な工種で見積りにより設計価格を設定したものの、発注時の実勢価格と乖離しているものは、再度見積りを取り、設計価格に反映させている。
二つ目は、複数の工事を統合するなど発注ロットを大きくすることで、スケールメリットを生かすとともに技術者不足に対応している。
三つ目は、請負者の円滑な工事施工体制の確保を図るため、全体工期の範囲内で請負者が工事の始期及び終期を設定することができる余裕期間制度、フレックス方式を導入している。
入札不調となった案件は、以上のような対応により再入札を実施し契約に至っている。また、入札不調により供用開始等が遅れるなどの大きな影響は出ていない。
【委員】
猶予をもって期間を延ばすのもいいが、なかなか人を確保するのに金もかかる。一番は人を確保するのに、いろいろな意味で待遇をよくしなければならないが、特に土曜日を休日とし週休2日になると一人親方は実質的に働く日が減る。そうすると中小企業の下請は実入りが少なくなる。働き方改革の機運に乗ってよい環境で働けるように変わっていくことはよいことだと思うが、給料も上げなければならないし、休みが増えて給料が下がったでは特に一人親方は大変である。発注者も人件費だけ5パーセント上乗せするところもある。単価を上げていかないとついてこない。
工事を1年間通して同じ時期に集中するのではなく平準化しなければならず、特に4月から6月の仕事のむらをなくしていく必要があると考えるが、工事量の平準化について、県の取組を伺う。
【理事者】
年度末に集中する工事を緩和するため、第1四半期の工事稼働件数を、年平均稼働件数の80パーセント以上とすることを目標に定めて、施工時期の平準化に取り組んでいる。
具体的には、適正な工期を確保した上で、閑散期である第1四半期の早期発注を増やすとともに、債務負担行為や繰越明許費を活用することで、年度をまたいだ工期設定を可能としている。これによって、年間を通じた安定した工事量の確保にもつなげている。
この結果、昨年度の県発注の土木工事における第1四半期の工事稼働件数の割合は、目標値を上回る81パーセントとなっている。
今年度からは、業界から要望の多かった舗装の大規模修繕工事を第1四半期に施工できるよう早期発注を行い、より一層の施工時期の平準化を進めている。
また、市町村に対しては、国、県、市町村で組織する愛知県公共事業者発注者協議会を通じて働きかけを行っており、こうした取組を市町村とも歩調を合わせて行うことで、業界全体の労働環境改善につながるよう努めている。
【委員】
ぜひむらなく発注してもらえるようお願いする。
これは私が聞いた話であるが、設計や見積りについて以前と比べると、最近は時間がないのか、コンサルタントに投げ、そこで作製した図面や設計があまりにも現場と乖離している。後で設計変更が多すぎることもあり、しっかりした打合せをしてくれない。現場を知っている人がいないのか、それとも時間がないのかはよく分からないが、設計変更が後で多くなると困るので、しっかりした図面で打合せをして、積算した見積りが出るようにしていかなければいけないと思うが、県としてどのように発注時チェックをしているのか。
【理事者】
本県では、それぞれの場面で、状況に応じた様々な確認を実施している。
まず、設計時には、着手前に発注者と受注者双方で、合同現地調査やチェックリストを活用し、設計に対する現地条件を確認している。また、受注者で照査技術者を配置するとともに、設計成果品の納入時には複数の県職員で確認しているため、設計と現地が大きく乖離した粗雑な設計成果品はない。
こうしたチェックを踏まえても、想定と異なる土質の掘削作業や地元住民要望などの対応のため、仮設工法や施工方法の変更が必要となり、設計変更や工期の変更が生じることがある。
次に、発注時には、積算ミス事例集や積算時重点チェックポイントを活用して、複数の県職員で検算を行っており、積算ミスを少なくしている。
最後に、工事着手時には、設計施工条件確認会議を実施し、発注者、受注者及び設計者で、設計意図、施工に関する課題を共有するようにしている。
今後もこうしたチェック体制を進めることにより、適正な発注に努める。
【委員】
大きく乖離したものはないと答弁をもらったので、信じることにする。私も下請業者から聞いただけだが、平面図のような2次元は違う人が二つ書くと精度が落ちるので、BIMという3次元の新しい技術が有用であるが、なかなか扱える技術者がいないとのことである。そのような人材が不足しており、後で手直しすることがないように、技術が進化した部分は取り入れ、建設業界全体も変わらなくてはいけないが、建設局もDXを駆使しなければならない。
今までのように、土曜日も働いて、工期を守らなければ罰金という慣習をどう変えていくかが一番大事だと思う。暑い日も大変な工事現場である。今年は特に暑く、猛暑の中で皆働いている。どうしても工期を守らなければならない。それで同じ賃金だと、その業界に入っていこうという人はいないかもしれない。
この業界を守りながら、特にこれから老朽化したインフラを守っていくためには、建設業界の人たちはしっかりやってもらわなければならないが、人手不足によって会社が潰れていくようでは困るため、県としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
建設業界は深刻な人手不足である。私どもも、人を集めてくるところから、工事の現場の環境を非常によくしなくてはいけないので、トイレや週休2日を土木部門で導入している。今後、建築部門も含めて、週休2日が一般的になり、若い人たちの入職を促していきたい。
また、猛暑について、熱中症が危険な状況では工事を休んでもらい、そういうことも勘案して、変更契約を行い、経費を見ている。休んだから工期が間に合わなかったからといって罰則を求めることはない。しっかりと工期も取れて、猛暑のときはしっかり休むことで、一体となってやっていきたい。
DXについては、BIMという設計も、いろいろな規格がありコンサルタント業界でも統一したものがまだ普及していないが、私どももそれを導入してもらえば現場の管理も簡単になり、出来上がったものの管理にも非常に活用できるので、積極的に活用していきたい。
【委員】
ぜひ人件費の引上げについても考えてほしい。
【委員】
土日休みは、普通の企業では結構だが、建設は天候に左右される。
梅雨などに平日が雨だと、どうしても土日に工事をやらないといけないこともあるが、そのような場合はどうしているのか。
【理事者】
現在の工期の設定では、土日、休日、雨天・晴天率等も含めて工期を設定している。ただし、工期内に収まらない場面は考えられるので、そのような場合は監督員と工期の延長や内容等の協議をし、柔軟に対応する。
【委員】
工期のことは分かったが、下請業者が働く日数が減り、収入が減ることに対してはどのように考えているのか。
【理事者】
下請については民間事業者どうしの契約であるため、県の介入は難しいが、業界を通じて改善を図られるように働きかけていく。
また、ここ11年間で5パーセント程度の賃金の上昇もしているので、今後はこの賃金上昇が業界全体に行き渡ることを期待している。
【委員】
大阪万博でも残業を認めるか検討されているが、現場としては働く日数を確保したい。週休5日と考えて、土日も働けるように休日を入れ替えて工期を守る方法も考えていかないといけない。
今の労働基準では、週休2日というのは土日休みではなく5日間働くことなので、臨機応変な対応をお願いしたい。
【委員】
愛知県には、日本最大のゼロメートル地帯がある濃尾平野が広がり、海部地域は南海トラフ地震では津波、浸水など甚大な被害が予想されている。こうした地域では、災害時に避難、救助をはじめ、物資供給等応急活動のため、緊急車両の通行を確保することが重要である。海部地域の東西を結ぶ道路は伊勢湾岸自動車道や国道23号など充実しているが、南北を結ぶ道路は西尾張中央道があるのみである。海部地域西部を南北に結ぶ都市計画道路名古屋第3環状線は、東名阪自動車道以北は国道155号がその一部を形成しているものの、以南の弥富市内では、現在、事業中区間があり、まずは南北軸としてつなげることが重要であるが、津波浸水時でも可能な限り緊急輸送ルートとして確保されることが期待される。
そこで、都市計画道路名古屋第3環状線は、津波、浸水に対してどのような計画としているのか伺う。
【理事者】
都市計画道路名古屋第3環状線は、伊勢湾岸自動車道や国道23号、国道1号といった東西の第一次緊急輸送道路を南北につなぐ、災害時の緊急輸送ルートとして重要な役割を担う早期整備が期待されている道路である。
現在、都市計画道路日光大橋西線から南側の約0.5キロメートル区間の前ヶ須工区を街路事業で、国道23号から南側の約1.4キロメートル区間を道路事業の中原・境工区、国道23号の北へ一般県道大藤永和停車場線までの約1.3キロメートル区間を道路事業の間崎・富島工区として、それぞれ整備を進める。
津波浸水想定を上回る道路高を確保するためには、交差道路との取付けや沿道利用を考慮する必要があり、間崎・富島工区は、他の2工区とは異なり、鍋田川の廃川敷用地を活用する計画であることから、交差道路や沿道利用が限定的で、もともと地盤が高く津波浸水想定を上回る道路高を確保できることを踏まえ、検討を進める。
【委員】
津波浸水想定に対し、緊急輸送ルートを確保するよう対策を取っていることは分かった。
一方で、濃尾平野は、地盤沈下を引き起こしやすい軟弱な粘土層の上に、地震で液状化の恐れがある砂質土層が堆積する軟弱な地盤が分布している。こうした地盤の上に盛土をして災害時の緊急輸送ルートとなる道路を構築するには、その地盤の部分を強固にする必要がある。そのためには事前に地盤の沈下を促進させるプレロード工事が重要であると聞いている。
そこで、当地域の軟弱地盤に対してどのような対策を進めているのか。
【理事者】
当地域の地盤は、地震で液状化のおそれがある砂質土層と地盤沈下が想定される粘土層で構成される軟弱な地盤である。こうした地盤の上を高く盛土を施工するに当たり、液状化対策として地盤を安定させるサンドコンパクションパイル工法といった地盤改良工事と、地盤沈下対策として、事前に沈下を促進させるプレロード工事といった軟弱地盤対策工事を実施し、地盤を強固にする必要がある。
地盤改良工事や軟弱地盤対策工事は、その対策を必要としない地盤に比べ、多くの事業費や時間を要する。特にプレロード工事は、緩い地盤に対し盛土を重石として長い年月をかけてゆっくりと沈下させることで地盤を圧縮し強くする重要な工事で、中原・境工区で、2016年度の盛土工事の着工以来、順次その範囲を広げて実施しており、これまでに施工した範囲の盛土の安定や沈下の収束がおおむね確認できた。
【委員】
答弁があったように国道1号から南の方へ、かなり用地を買収してもらった。私も何回か見に行ったが、よく頑張ってくれた。
国道23号の辺りから北に向けては農地ばかりで、このまま一気に用地買収して、すぐに接続できると考えていたが、これだけ軟弱な地域なのかと私も地元の人々も驚いていた。
20年ぐらい前に、海部建設事務所長が南北の道路がないから、これを優先的にやりたいといっていた。どちらからやったらいいかと言われたので、両方からやればいいのではないかといった。これだけ軟弱な地盤であと何年ぐらいかかるのか。
2016年に着工して、盛土を延々とやっていくとかなり時間がかかると思うが、その点をどう考えるのか。
【理事者】
現時点で、いつまでにとはしっかり目に見えていない。ただし、一番懸念していた地盤対策工事の方に目途が立ってきているので、今後しっかり事業進捗を図り、できるだけ早く着工させ、地元の人々に使ってもらえるよう努力したい。
【委員】
軟弱なところはしっかりとやっていかないと、後から問題が起きてもいけない。とりわけ名古屋港方面から大きなトレーラーやトラックが多く通行するので地盤沈下対策、軟弱地盤対策工事をしっかりやってほしい。そして、なるべく早く開通してもらえるよう、地元の人々も強く要望しているので、よろしくお願いする。