委員会情報
委員会審査状況
教育・スポーツ委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年12月13日(水) 午後1時1分~
会 場 第5委員会室
出 席 者
河合洋介、平松利英 正副委員長
坂田憲治、川嶋太郎、鈴木雅博、田中泰彦、中村竜彦、宮島謙治、
谷口知美、島 孝則、大久保真一、下奥奈歩 各委員
スポーツ局長、スポーツ監、アジア・アジアパラ競技大会推進監、
教育長、岡田教育委員、教育委員会事務局長、同次長兼管理部長、
教育部長、教育改革監、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第118号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第5号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第9款 教育・スポーツ費
第3条(債務負担行為の補正)の内
高等学校施設長寿命化推進工事
高等学校施設長寿命化推進工事
豊橋市多目的屋内施設整備促進費補助
第140号 訴えの提起について(過払給与返還請求事件)
第141号 訴えの提起について(奨学金貸付金返還請求事件)
第158号 愛知県体育館の指定管理者の指定について
第159号 愛知県武道館の指定管理者の指定について
第160号 愛知県一宮総合運動場の指定管理者の指定について
第161号 愛知県口論義運動公園の指定管理者の指定について
第162号 愛知県総合射撃場の指定管理者の指定について
第163号 愛知県美浜自然の家の指定管理者の指定について
第164号 愛知県旭高原自然の家の指定管理者の指定について
第165号 愛知県野外教育センターの指定管理者の指定について
(結 果)
賛成多数をもって原案を可決すべきものと決した議案
第118号及び第141号
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第140号、第158号から第165号まで
○ 請 願
第 22 号 「小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への合理的
配慮」について(教育関係)
第 40 号 「すべての子どもたちにゆきとどいた教育をすすめ、心のかよ
う学校をつくる」について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択すべきものと決した請願
第22号
賛成少数をもって不採択とすべきものと決した請願
第40号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 学校教育の充実及び施設整備について
2 生涯学習について
3 スポーツの振興について
4 スポーツ局及び教育委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 理事に関する申合せの変更
3 口頭陳情(1件 請願第40号関係)
4 議案審査(11件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
5 請願審査(2件)
6 委員長報告の決定
7 一般質問
8 休 憩(午後3時3分)
9 再 開(午後3時15分)
10 閉会中継続調査申出案件の決定
11 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
令和5年度一般会計補正予算のうち、豊橋市新アリーナ整備に向けた事業者の公募、選定等への支援について伺う。
豊橋市新アリーナをめぐっては、市民の間で賛否が分かれている。住民投票を求める直接請求が一度は市議会で否決されたものの、再度の署名活動が市民運動で行われ、前回を上回る1万8,000筆の署名が提出された。アリーナ本体だけでなく、野球場の移転や豊橋公園の在り方についても議論が続いている。市民に十分説明した上で、市民合意を得た計画でなければ、県として補助すべきではない。2度目の直接請求署名が前回を上回る数が集まったことなど、市民の間に計画への大きな危惧と不安があることをどう受け止めているのか。計画への市民合意は十分に得られたと考えているのか。
【理事者】
豊橋市において、住民投票条例の制定に向けた直接請求の動きがあり、豊橋市が計画している新アリーナをはじめとした豊橋公園の整備や野球場の移転などへの様々な意見があることは承知している。これに対して豊橋市は、適切に対応していく、引き続き丁寧な説明を心がけていくとしており、豊橋市が市民の理解を得ながら進めていくものと認識している。
【委員】
適切に対応や丁寧な説明が全然できていないので、市民の中に怒りの声があふれている。県の補助は、東三河地域のスポーツ振興及び地域振興につながるアリーナとなるように、整備の方向性の策定、決定まで、愛知国際アリーナの経験を踏まえて助言を行い支援することだったと思う。ところが、先日の本会議において、施設建設にとどまらず積極的に支援をしていくとのスポーツ局長の答弁があった。補助は、今回で一区切りではなかったのか。
そして、地域振興につながる課題として、中心市街地の活性化等も例示されていたが、スポーツ局として、豊橋市の課題にまで支援ができるのか。スポーツ局愛知国際アリーナ課の所管を超えるのではないのか。
【理事者】
昨年5月に、豊橋市新アリーナへの支援を表明した時点で、事業者の公募、選定に係る費用に対する補助金による支援を検討するとしていた。その後、豊橋市をはじめ東三河8市町村長等からさらなる支援について要望があった。
豊橋市新アリーナは、東三河地域のスポーツ振興、地域振興に資することから、事業者の公募、選定に係る費用について補助することが適切と考え、本定例議会に補正予算案を提出した。
今後、豊橋市は、アリーナを核としたまちづくりに取り組んでいくと聞いており、本県としても、スポーツ局だけでなく、庁内関係局と連携し、豊橋市の取組を支援していく考えである。
【委員】
確認だが、事業者公募、選定に係る補助は昨年時点から検討されていたとのことだが、これ以上の補助について、現時点では考えていないのか。
【理事者】
現時点において、事業者の公募、選定までの財政支援と考えている。
【委員】
豊橋市新アリーナが、答弁にあったように東三河のアリーナとして、県の事業に準じた扱いになりつつあると感じた。今まで以上に県が関与を強めることになってしまう。本会議でここまで踏み込んだ答弁があった以上、豊橋市の問題だという答弁では通用しない。その上で、県と市のアリーナを比較し、愛知国際アリーナの経験を踏まえた助言が有効かどうか伺う。
本年6月定例議会では、県市連絡会が昨年7月以降、4回開催されたと答弁があった。
まず、6月以降、今回の事業者公募、選定のために、連絡会議がどう開かれ、どのような相談があり、県がどう助言を行ったのか。県の助言で市の方針が修正された部分があるのか。
【理事者】
本年6月以降の県市連絡会議については、8月及び10月に開催するとともに、今月も開催を予定している。会議では、主に事業者選定スケジュールやユニバーサルデザイン、バリアフリーへの対応などの進め方について豊橋市から相談があり、県の愛知国際アリーナ事業における実務的な対応を基に、適宜、県のノウハウや経験等の情報提供を行っている。
このように、県市連絡会議は、市からの相談に対して県が持つノウハウを共有し連携を図るものであって、豊橋市が主体的に示す方針について、県から修正等の助言をしたことはない。
【委員】
次に、建設費について伺う。2025年春完成予定の愛知国際アリーナは、建設費が約400億円、延べ床面積6万3,000平方メートル、平方メートル単価は63万円と聞いている。一方、豊橋市新アリーナは、2年遅れて2027年度中の完成予定で、建設費は約150億円、延べ床面積2万7,000平方メートルと、愛知国際アリーナの約3分の1の規模だが、平方メートル単価は75万円と、愛知国際アリーナより12万円、2割増しである。
最近の物価上昇、労務単価の上昇はあるとしても、県に比べて豊橋市の単価は高過ぎるのではないか。適正な建設単価と確認できたのか。物価高騰が理由だとすれば、愛知国際アリーナは、以前示されたこの単価のままで問題ないのか。それぞれの事業契約において、事業者と発注者のリスク分担、物価変動条項はどうなっているのか。
【理事者】
豊橋市新アリーナの平方メートル単価は、事業者公募に当たり、昨今の物価上昇等を踏まえて設定したと聞いている。
また、愛知国際アリーナの平方メートル単価63万円については、事業者が入札に際して提案した建設費を面積で割り戻した単価であり、これに問題はない。昨今の物価上昇への対応については、契約書に基づき適切に対応していく。
物価変動条項は、本県、豊橋市ともに、契約書において、賃金水準または物価水準の変動により設計建設費が不適当となったと発注者と事業者のそれぞれが認めたときに、設計建設費の変更を請求することができる旨を規定している。そのほか、主要な工事材料の価格に著しい変動を生じた場合や急激なインフレーションまたはデフレーションを生じた場合においても、同様に、発注者、事業者ともに設計建設費の変更を請求することができる旨を規定している。
【委員】
今の時期に、今の場所に建設する必要があるのか、財政面からも冷静に検討すべきだと指摘しておく。
どちらもPFI事業として進められているが、内容は相当異なっている。愛知国際アリーナはBTコンセッション方式で、豊橋市はBTコンセッション方式の混合型となっている。
30年間の維持管理や運営費について、民間事業者の創意工夫を生かし、利用料金収入などで賄うことを基本とする点は共通している。
設計建設費について、愛知国際アリーナの建設設計費は約400億円だが、県はサービス購入料として約200億円だけ支払う。残りの200億円は、運営権の対価として事業者が負担する契約である。つまり、事業者は、200億円で30年間、この施設を利用して事業を行う権利を県から購入したことになる。民間事業者の力で十分運営でき、行政の負担も少なく済む形になっている。
豊橋市新アリーナの設計建設費は約150億円だが、豊橋市が支払うサービス購入料は、公園施設も含め230億円と、建設費よりも多く支払うことになる。新アリーナにだけ着目すると、維持管理費や運営費について事業者だけで賄うことができず、行政がその一部を負担することになる。事業者に稼いでもらい、その費用で施設を運営するのがコンセッション方式だが、それに行政負担をプラスするのが混合型である。そのためなのか、事業者にはアリーナだけでなく公園も含めた指定管理にして、行政の負担を合理化しようとしている。県の新アリーナの30年間の運営権対価は200億円だが、豊橋では、この運営権対価はゼロ円以上となっている。つまり、事業者は、30年間、公共施設の運営管理と、そこを使った事業展開を行う権利を無料で購入でき、しかも、事実上赤字分は行政が負担してくれる契約条件になっているように見える。
愛知国際アリーナの経験を踏まえ助言したとのことだが、今の豊橋市の提案では、行政負担は県のようには減らない。愛知国際アリーナと比べてなぜ異なっているのか。
【理事者】
愛知国際アリーナと豊橋市新アリーナは、同じBTコンセッション方式として、事業者の積極的な投資を引き出し、建物の性能や住民サービスなど、事業効果を高めることを目指している点で共通している。
そうした中で、豊橋市新アリーナは、弓道場をはじめ、観客席を設置しない市民スポーツの振興に寄与するスペースを多く確保するなど、愛知国際アリーナとは施設の規模、機能、想定される利用状況に違いがあるため、収支状況を前提とした行政負担は、愛知国際アリーナとは異なるものと認識している。
【委員】
続いて、災害時の対応について伺う。
アリーナは、大規模災害が発生した場合に、地域の防災拠点機能を果たすことが期待されている。災害時に、アリーナや公園を行政が使用することになれば、運営事業者が予定していた事業が行えなくなる。その場合は、行政がその損失分を補償するのか。愛知国際アリーナでは、災害時の対応はどのような取決めになっているのか。
【理事者】
愛知国際アリーナにおいてそのような事象が発生し、要求水準書等で求める維持管理運営業務の全部または一部を行うことができなくなった場合には、その損失分について、事業者と協議の上、対応を決定する。また、豊橋市においても同様の考え方だと聞いている。
【委員】
災害時に公共施設としての機能を果たすために、民間事業者と協議し、お願いして使わせてもらう。補償が必要になることも想定される。特に、防災拠点の役割が強調される豊橋市新アリーナについて、今のやり方では問題が多いのではないか。
最後に、どちらのアリーナもプロバスケットボール、B1リーグのホームスタジアムとなる予定だが、愛知国際アリーナでは年間約30試合行われると聞いている。豊橋市では何試合行われるのか。
豊橋市のチームは、浜松市もホームとしており、試合数は少なくなる。しかも、チームは、残念ながらリーグ転落の危機にあり、経営も厳しいと新聞等で報じられた。B1リーグのプロバスケットボールチームを当てにしていた状況が変わってきたのではないか。プロスポーツの位置づけも、愛知国際アリーナとはかなり状況が異なるのではないか。
【理事者】
B1リーグ2023-2024シーズンは、年間60試合開催され、そのうち、豊橋市総合体育館で24試合、浜松アリーナでは6試合開催される予定である。
豊橋市は、豊橋市新アリーナの運営においてBリーグの試合も見込んでいるが、Bリーグも含め、どのようなイベントを開催するかについては、愛知国際アリーナと同様、事業者の提案によるものと認識している。
【委員】
事業者の提案によるとのことだが、豊橋市も最初はバスケットボールを当てにして始めた。こうした報道が出たことで、状況が大きく変わり、当てにしていたチームが来ないかもしれない状況になっている。
愛知県がアリーナ建設の先輩として豊橋市に助言するというが、豊橋市の新アリーナ構想には、愛知国際アリーナとは異なる幾つもの問題がある。
冒頭で紹介したように、豊橋市新アリーナ建設の住民投票を求める署名が前回を上回る規模で集まった。私自身も、街頭でシールアンケートを行って市民の声を聞き、新アリーナ建設反対の声が多数寄せられた。近隣市にアリーナがあるから豊橋市には必要ないのではないか、市民の負担になるから要らないといった声もあった。建設ありきで進めるのではなく、市民の声を聞いてアリーナ建設を見直す必要があると求めるべきである。
続いて、第141号議案、訴えの提起、奨学金貸付金返還請求事件について伺う。
私たち日本共産党は、給付奨学金の拡充や返済支援を繰り返し求めてきている。格差と貧困は歯止めがかからず、若者が置かれた状況はますます深刻な事態となっている。県には、丁寧で慎重な対応が求められる。訴訟は、返済に苦しんでいる人に、ますます不安を与えてしまう。
議案では39人が提訴の対象となっているが、事案の件数としては何件になるのか。また、請求する金額の総額と、1件当たりの平均は幾らか。
【理事者】
今回の提訴における返還請求件数は22件である。また、返還請求金額の総額は1,326万185円で、平均金額は60万2,736円である。
【委員】
22件で総額1,326万185円の返還が滞っているので裁判に訴えるということだが、それで全額返還させることができるのか。
そこで、これまで裁判に訴えて返還された実績について伺う。昨年度は、7月に52人、12月に32人を提訴しているが、それぞれの請求額、提訴後の回収額とその割合はどうなっているのか。
【理事者】
昨年7月の返還請求金額は1,955万8,300円、提訴後の回収額は254万8,500円、回収率は13.0パーセントである。
同年12月の返還請求金額は980万8,950円、提訴後の回収額は46万8,000円、回収率は4.8パーセントである。
【委員】
7月分は13パーセントで、12月分は4.8パーセントとのことである。提訴したからといって、回収が劇的に進むわけではない。
数年来、訴訟対象者は20人から50人程度となっているが、回収状況も同じような数値が続いていると考えてよいか。
【理事者】
判決後の返還については、全額を一括返還することが難しい場合には分割による返還を認めている。多くの者が分割して返還しており、直ちに返還率が上がることはないが、着実に返還されており、返還率は徐々に上がっている。
【委員】
裁判に訴えたからといって、問題が直ちに解決することはない。裁判に訴える前の段階で、返還に苦しむ若者は少なくないと危惧する。答弁でも、返還率が劇的に上がるわけではないとのことであったが、返還状況はどうなっているのか。
【理事者】
直近5年間では、各年に新たに発生した債権の約8割が返還されている。
一方、その年に新たに発生した債権と暦年で積み上げてきた債権、いわゆる滞納額を合計した場合は、その返還率が約5割となる。
【委員】
返還状況は厳しいものになっているとのことだが、裁判に訴えるよりも、抜本的な解決策を考えるべきである。
高校生向けの奨学金が借金のようになっていることは問題だが、経済的に困っている家庭にとって、大きな役割を果たしている。貸与実績の推移はどのようになっているのか。
また、利用する人の増減と、その理由についてどう考えているのか。
【理事者】
提訴することにより民法上の債権の消滅時効が一旦停止し、勝訴判決を受けた場合は、その債権の消滅時効がリセットされ新たに開始されることから、債権回収を進める上で提訴には一定の意義があると考えている。
貸与実績の推移については、過去5年間で、貸与額、貸与人数ともに減少傾向にある。
貸与額は、2018年度は6億4,602万7,000円、昨年度は3億7,555万6,000円であり、貸与人数は、2018年度は2,071人、昨年度は1,194人である。本年度は、現時点では確定していないが、前年度と同程度で推移している。
減少している理由については、就学支援金による授業料の実質無償化や、低所得世帯を対象とする奨学給付金の導入が影響したと推測している。
【委員】
奨学給付金など、様々な制度があることで貸与額が減ってきているとのことだが、奨学金が必要な世帯は少なくない。
本年9月定例議会で、エアコン代の保護者負担が高校3年間で約3万円にもなることを指摘したが、制服代や通学費など、高校生には多くの負担があり、この負担を軽減することが必要である。加えて、大学の学費は依然として高く、大学生の約半分が利用している奨学金は、卒業時の返還額が数百万にもなるが、働く若者は非正規雇用や低賃金により、返済に苦労するなど厳しい現実がある。
本会議で、大村秀章知事も奨学金返還支援制度の必要性に言及した。若者に重くのしかかる奨学金返還の負担軽減こそ、今、必要になっている。今の制度で返還が免除されるケースは、本人が重い障害を負った場合や死亡した場合等に限定され、低所得者にも免除はなく、返還の猶予等に限られている。
知事の答弁を受け、奨学金返還の減免措置を拡大し、負担を軽減する、もしくは、思い切って給付型の奨学金を拡充する考えはあるのか。
【理事者】
現在の高等学校等奨学金は、国の交付金を原資に運営しており、過去に貸し付けた奨学金の返還が次の世代の貸付けの原資となっている。仮に、奨学金制度を貸付型から給付型に変更した場合、原資がやがて枯渇して制度が維持できなくなるため、給付型にすることは困難であると考えている。
なお、非課税世帯及び生活保護受給世帯に対しては奨学給付金を支給しており、活用してもらいたい。
【委員】
原資が枯渇してしまうとのことだが、請願者が口頭陳情していたとおり、高校生が置かれている状況は大変深刻になっている。その中で、県が思い切って給付型の奨学金を拡充することは、子供たちの学びを支える事業になる。経済面で学びを左右されることはあってはならないが、どのように考えているのか。
【理事者】
今回の奨学金の貸与に関しては、奨学給付金を支給しており、活用してほしい。
【委員】
不十分な答弁である。やはり、学ぶ権利が平等に保障されているにもかかわらず、奨学金として、学びに対して借金が生じてしまう仕組みは問題だと思う。中学校を卒業したら、大半の生徒は高校に進学する。その学びは、いずれ広く社会に返ってくる。その現状を踏まえて、高等学校教育に係る費用の負担については、家庭に負担させるのではなく、社会全体で負担するように転換させていくことが必要である。
引き続き、給付奨学金の拡充の実現、教育費の負担軽減を求める。
《請願関係》
【委員】
請願第40号、すべての子どもたちにゆきとどいた教育をすすめ、心のかよう学校をつくるについて、賛成の立場から意見を述べる。
今回、請願とともに、子供たちに行き届いた教育を求め1万6,805筆の署名も提出された。これらは、教育予算の増額や少人数学級を実現し、行き届いた教育を推進してほしいという県民の願いである。
請願にもあるように、愛知県の教育費は全国最低クラスである。これではなかなか進んでいかない。子供たちの学ぶ権利を保障するためにも、教育予算の増額が必要である。まずは、少人数学級の実現と正規職員を増やすことである。先生の不足や多忙化は深刻な事態で、安心して学び、先生たちがゆとりを持って働き、子供たちと向き合える教育環境をつくるためにも、先生が足らない事態を解決していかなければならない。
教育費の保護者負担軽減も進めてほしい。物価高騰の影響もあり、ますます格差と貧困が拡大している。先ほども奨学金の話があったが、子供たちがお金の心配なく学校に通えるように、学びを支えるのは県の役割である。本年9月定例議会で質問したエアコンに係るPTAの負担も大きい。
日本国憲法第26条は、等しく教育を受ける権利を保障している。経済的な理由で学べない子供たちを出さないことは政治の責任である。
愛知県は、東京都に続いて全国2番目の財政力がある。教育費を思い切って増額することで、少人数学級の実現、給付奨学金の拡充、正規職員増員などを解決できる。署名に寄せられた声にぜひ応えて、全ての子供たちに行き届いた教育を進め、心の通う学校をつくることを求め、賛成の意見とする。
<委員外議員発言>
【議員】
請願第22号について伺う。まず、請願項目1、学校に通えなくなった生徒にオンライン授業を行うよう通達を出すこと、請願項目2、診断書等、ワクチン後遺症を認められる生徒の欠席に関して、出席停止扱いをするよう各学校に通達を出すとあるが、当局として実施に当たって何かハードルがあるのか。
【理事者】
まず、オンライン授業については、2015年度に同時双方向によるオンライン授業の実施を可能にする旨を学校に通知している。当初は、受信側に教員の配置が必要であったこと、また、取得単位の単位数が限られていたことなどがあったが、2019年度に教員の配置が必ずしも必要でないこと、2020年度に単位数の上限がなくなったことにより、現在、例えば、病気やけがなどで長期の欠席を伴う生徒については、当該生徒が通う学校長が必要だと認めれば既にオンラインによる授業はできる形になっている。
【理事者】
学校保健安全法に基づく出席停止については、学校における感染症の蔓延を防止することを目的とした措置である。新型コロナウイルス感染症が感染症法上の二類感染症に位置づけられていた本年5月7日以前においては、新型コロナワクチンの副反応である場合も含め出席停止の措置を執ってきたが、その後、五類感染症に移行されたことを踏まえ、現在、新型コロナワクチンの副反応である場合は、出席停止とはしない。
【議員】
今回の新型コロナワクチンに関しては、薬害というより事件になっている。菅義偉や河野太郎や岸田文雄、現職の大臣では萩生田光一、堀内詔子などが、弁護士のグループから殺人罪、殺人未遂罪などで東京地検特捜部に刑事告発されている。2年ほど前に、愛知県教育委員会でも、バスを仕立てて公立学校で集団接種事業を行った。私の記憶では、10パーセント程度の生徒がそれで接種したと聞いている。各自治体から各家庭に接種券が送られているのに、なぜ高校で集団接種事業をやるのかすごく疑問に思った。教育委員会には医療の知見がないにもかかわらず、なぜその事業に手を染めたのか。ある意味、その薬剤の在庫処分に教育現場が利用されたのではないか。教育委員会は行政委員会として、政治権力とは別であるため、子供たちを守るために、教育の範囲をきちんと守らなければならない。そのあたりが曖昧になり、結局、2年前の集団接種事業をやってしまった当事者であることも非常に責任が重いと思う。
今回のワクチンの副作用で国立感染症研究所は、40万人の超過死亡が発生しているとしている。人口推計の予測値よりも、新型コロナワクチンの接種を開始してから40万人も多く亡くなっている。
また、副反応疑い報告や健康被害救済制度など、厚生労働省に提出される報告から推計すると、数百万人規模で副作用の被害者がいると想定される。職員でも自身や家族に体調を崩している人がいると思うし、児童生徒も学校の先生も体調を崩している。
今回のワクチンの特徴は、短期的には血栓ができ、中長期では自己免疫疾患になることから、子宮頸がんワクチンでも全く一緒のことだが、中長期で遅効性の副作用が問題になってくる。先ほど学校保健安全法によって運用しているとの説明であったが、これから薬害、副作用が出てくる。今も苦しんでいる人がいる。
整理すると、教育委員会は、今回のワクチン接種に医療知見も何もなく加担したにもかかわらず、それによって体調を崩している子供たちが学校に通えないことに対して、ワクチン接種による後遺症が認められているのに出席停止扱いをせず、欠席扱いにすることは切捨てである。
子供たちは、そのような学校運営や先生の姿を見ている。教育とは、ただ知識を教えるだけのものではない。困っている人や体調を崩している人を切り捨てるのではなく、学ぶ権利をきちんと保障することが教育現場の責任である。その辺りを含めて、欠席扱いとしていることについて、もう少し配慮が必要ではないのか。教育長の所見を伺う。
【理事者】
議員から指摘のあった欠席扱いについて、感染が拡大する時期においては、オールジャパンで欠席扱いにするとのルールに即して処理しており、理解してもらいたい。
【議員】
当時、ワクチンを接種した日などの一日か二日の体調不良も出席停止扱いにしていたはずである。だから、感染拡大しないように協力してほしいとの理由でワクチンを接種した子供たちがいて、人のために接種したにもかかわらず体調を崩した子供たちは、泣き寝入りなのか。学校側として、その子供たちを保護しないのは、非常に問題である。先ほど、教育委員会が奨学金を返済していない人たちを提訴したことについて議論があったが、ワクチン接種に関するデータが出そろってきている中、このような粗悪品のワクチンを接種したことは、教育委員会が、刑事でも民事でも提訴されてもおかしくない状態である。そのようなことに手を染めたという過ちをしっかりと反省、謝罪して、困っている生徒に対してはしっかりと配慮していくことが、子供たちや保護者に対しての学校現場、教育委員会の責任である。それをやらずして、子供たちは、人間としてきちんとした成長はできない。子供たちは大人の背中を見ていることを受け止めてもらいたい。
《一般質問》
【委員】
医療的ケア児の通学支援について伺う。
医療技術の進歩に伴い、特別支援学校に在籍する児童生徒には、たんの吸引や経管栄養など、医療的ケアが日常的に必要な医療的ケア児が、年々増加傾向にある。
医療的ケアは、日常生活に必要であり、保護者の負担軽減が課題だったが、2021年9月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、学校の設置者は、在籍する医療的ケア児が保護者の付添いがなくても適切な医療ケアなどの支援を受けられるようにするため、必要な措置を講ずるものとされた。
県教育委員会では、法律の施行以前から医療的ケア児がいる特別支援学校に看護師を配置しており、環境が整ってきていることに感謝したい。一方で、通学については、多くの医療的ケア児は1人で通学することやスクールバスの乗車が難しく、保護者が登下校の送迎を行っているが、今年度から保護者の負担を軽減するための通学支援を、名古屋特別支援学校をモデルとして事業を実施している。
そこで、医療的ケア児通学支援モデル事業とは、どのような支援が受けられる事業であるのか、具体的な仕組みを含めて伺う。
【理事者】
医療的ケア児通学支援モデル事業は、通学時の送迎に関する保護者の負担を少しでも減らすため、月に1日程度、保護者による送迎に代わって、車椅子やストレッチャーのまま乗車することができる福祉タクシーなどに看護師が同乗し、医療的ケア児の送迎を行う事業である。
利用を希望する保護者には、まず、看護師の派遣事業所と福祉タクシー等の事業者を探してもらい、看護師の派遣については、保護者が選んだ事業者に県が派遣を委託する。また、福祉タクシー等については、保護者に一旦利用料金を立て替えてもらい、就学に係る経費を補助する特別支援教育就学奨励費の制度を活用して、利用後に料金の補助を行っている。
【委員】
事業の実施に当たっては、保護者がタクシー業者や訪問看護事業所等を探したり、業者等にモデル事業の説明をすることなどが負担であると聞くが、こうした保護者の負担を少しでも軽減することについて、何か考えられないのか。
【理事者】
このモデル事業で福祉タクシー等の経費の補助に活用している特別支援教育就学奨励費は、保護者が負担した経費に対して補助を行う制度であるため、保護者自身が利用を希望する福祉タクシー事業者から見積りを取る必要がある。
また、付き添う看護師については、初めてケアをしてもらう看護師よりも、これまでに利用したことのある訪問看護事業所等の看護師のほうが、子供への個別の配慮やケアの方法を把握しているため、保護者が子供の状況を説明する負担が少なく安心して付き添ってもらえると考えられるので、保護者に事業者の選定と事業者への説明をお願いしている。
モデル事業を進める中で、ふだん利用している事業所からモデル事業に対応できないと言われた場合、他の事業所を改めて探し、事業内容を説明してもらう必要が生じており、保護者に負担をかけていると認識している。また、事業者への説明に使う資料を保護者に渡しているが、もっと説明しやすい資料が欲しいとの意見がある。
今後は、モデル事業への対応が可能と考えられるタクシー事業者や看護師派遣事業者の情報を保護者に提供するとともに、事業者への説明に使用する一目で事業の概要が分かるリーフレットや、子供の状況を伝えるための書式を整えるなど、モデル事業を利用する際の保護者の負担軽減を図っていく。
【委員】
福祉タクシー等の利用に当たっては、通学途中で医療的ケアが必要になり、何度も停車が続くと使用料金が見積額を上回り、差額が保護者負担になってしまうと聞いている。こうした負担への対応について、県の考えを伺う。
【理事者】
通学途中で医療的ケアが必要となった場合、走行中のケアは危険を伴うため、停車して行う必要がある。しかし、このような医療的ケアのために停車する時間を事業者が運賃の見積りに含めていない場合には、実際の運賃が見積額を上回るケースが発生している。
今後は、医療的ケアのために停車する時間をタクシー事業者に示すための書式を作成し、停車時間を含めた見積りとなるようにすることで、差額の保護者負担をなくしたい。
【委員】
本年度はモデル事業とのことだが、来年度以降、県としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
モデル事業については、本年度のモデル校である名古屋特別支援学校の保護者や事業者の意見を集約し、成果と課題を整理した上で改善案を検討する。
将来的には、モデル事業の成果を踏まえて医療的ケア児の通学支援を制度化し、県立特別支援学校全校での実施を目指す。
【委員】
本年7月に名古屋特別支援学校1校でのモデル事業を開始してから、来年度以降も継続し、課題などを取りまとめて、将来には本県の特別支援学校全てにおいて本格導入を目指すとのことだが、できるだけ早期に導入するよう要望する。
また、今回のモデル事業を利用した保護者から、次のような意見がある。保護者がタクシー代を立て替えた後、就学奨励費として返還されることになっているが、各学校区は広いため、1回の利用で高額になり、立て替えるのは保護者にとってかなりの負担になる。就学奨励費の申請から返還までの期間が数か月に及ぶため、数回利用することを考えると、より高額な負担になってしまうことから、保護者立替えではない方法を考えてもらえないかとの意見もあった。
また、それ以外にも、看護師やヘルパーが学校に到着後、公共交通機関利用での交通費のみが支給されるが、学校の場所によって公共交通機関までが遠い場合や不便な場合なことが多いこともあり、時間のロスにより次の訪問に間に合わなくなるケースも出ていると聞いている。そのような場合、事業者が迎えに行くことやタクシーなどを利用するケースなどもあるため、事業者との契約金額に考慮してほしいとの意見もあった。
このように、利用した保護者の生の声の助けとなるよう、県教育委員会として、可能な限り利用する保護者の負担を少しでも軽減できる制度づくりを再度検討することを要望する。
【委員】
あいちスポーツコミッションの取組について伺う。
近年、地域の様々な社会課題の解決を促進するための方策として、スポーツを通じた取組が注目されている。
国では、昨年3月に策定された第3期スポーツ基本計画で、スポーツをする者が有する価値に加え、スポーツを通じた地域活性化、健康増進による健康長寿社会の実現、経済発展や国際理解の促進など、スポーツが社会活性化等に寄与する価値をさらに高めるような施策が掲げられている。
県が本年3月に策定した愛知県スポーツ推進計画は、こうした国の計画の趣旨を踏まえていると思うが、その中で、基本施策の一つであるスポーツによる地域活性化を推進する事業として、あいちスポーツコミッションの取組が行われているが、この取組はどのように進められているのか。
【理事者】
あいちスポーツコミッションは、スポーツ大会を招致、育成し、地域活性化につなげる取組を推進するため、県と地域の関係者による連携体制を構築する目的で、2015年4月に設置した。
会議には、市町村、競技団体、プロや実業団のスポーツチーム、経済団体、マスメディア、大学、企業、NPOなど幅広い分野から、現在、297団体が参画している。
県は、事務局として、本年度招致した第4回世界弓道大会など、全国、世界に打ち出せるスポーツ大会の招致に努めるとともに、県内で開催されるマラソンフェスティバルナゴヤ・愛知などのスポーツ大会の支援を行うほか、スポーツ振興に関することをテーマに、会員を対象とした研究会の開催や、トップアスリート等を招いた一般向けの講演会も開催している。
また、スポーツの普及促進を図るため、県内のスポーツチームや選手を取り上げた情報誌aispo!の発行や、ウェブサイト、SNSを活用した情報発信を行っている。
そのほかにも、県内のプロスポーツチーム等との連携による広報活動など、スポーツを通じた地域活性化につながる取組を推進している。
【委員】
プロスポーツチームや実業団チームとの連携も進めているとのことだが、具体的にどのような連携をしているのか。
【理事者】
例えば、スポーツチームの協力を得て、チームで活躍する選手と県民との交流の場を提供し、様々な競技に興味を持つきっかけづくりとするなど、地域貢献を進めるチームの取組に連動して本県が事業を行うことにより、スポーツの振興や地域の活性化に役立てることができると考えている。
本年度の取組としては、サッカーやバスケットボールなど、プロスポーツチームの協力の下で、試合が行われる会場にPRブースを設けて、スポーツ情報誌aispo!や、チームとのコラボレーションによる特製缶バッチなどを作って配布するなど、あいちスポーツコミッションの取組の紹介を行っている。
また、県の行事である本庁舎公開イベントでは、豊田合成ハンドボールチームのブルーファルコンの協力を得て、選手がイベントステージに登壇してチームのPRを行ったほか、選手によるハンドボール体験教室も開催し、来場者と直接触れ合う機会を設けるなど、本県とチームが相互に協力して、スポーツやチームの魅力を情報発信している。
そのほか、プロスポーツチームからの依頼により、小学生等に対してスポーツに親しみを持ってもらうため、教育委員会の協力も得て、各学校に試合観戦の無料招待の案内をする取組も行っている。今後も、様々なプロスポーツチームとの連携を含めて、地域活性化につながるよう事業を進めたい。
【委員】
スポーツチームとの連携や、トップアスリートとの交流は、一般県民にも大変分かりやすく、スポーツをする人、見る人、支える人を増やしていくために有効な手段だと思う。
こうした取組については、2026年アジア・アジアパラ競技大会の開催機運の醸成にもつながるものであり、今後も引き続き、スポーツによる地域の活性化を含めて、あいちスポーツコミッションの取組をしっかりと進めてほしい。
また、地域で活動しているスポーツ関係者からよく聞くが、東海市でもサッカーやラグビースクール、硬式の少年野球チーム、最近では障害者の電動車椅子サッカーのチームも立ち上がって、グラウンドや体育館の確保が大変難しいとのことである。施設は、県、市町村、民間などがそれぞれ設置運営しているが、このスポーツをする人を増やしていくためにも、運動施設の確保の観点も必要だと思う。
今後、スポーツ振興を推進していく上で、一般の人が運動できる場所を確保しやすい仕組みづくりにも配慮してほしい。
【委員】
県立通信制高校の進路について伺う。
先日、公明党愛知県議員団で県立通信制高校である旭陵高校を視察した。入学する生徒の85パーセントは10代であり、中学時代に不登校を経験した生徒は61パーセントいるとのことだった。不登校生徒が増加傾向にある状況から、今後も通信制高校のニーズは高まると思うが、その一方で、卒業後の進路に目を向けると気になる点があり、本年3月に卒業した卒業生170人のうち、57パーセントに当たる98人の生徒の進路項目がその他となっていた。
その他に分類されているのは、どのような生徒なのか。
【理事者】
県立高校では、卒業後の進路先について、進学、就職、その他の大きく三つに分類して集計を行っている。通信制高校や定時制高校の場合、その他には、進学も就職もしていない生徒のほか、在学中から既に職業に就いている生徒やアルバイトをしている生徒も含まれる。
旭陵高校の昨年度の卒業生で、その他に分類されている生徒98人のうち、約30パーセントが進学も就職もしていない、いわゆる進学未決定者である。その内訳は、心身の病気等のために次の進路に進めなかった生徒や、大学入試で合格できなかった生徒などとなっている。
【委員】
不登校を経験した生徒が通信制課程で高校卒業の資格を得ること自体、大きな自己肯定感を得ることになり、次のステップにつながる。そういった意味では大きな役割を果たしている。本年8月の毎日新聞の記事にもあったが、全日制にも定時制にもなじめず、旭陵高校に編入をした女子生徒が、学校へ行くことが困難だった人もここなら前に進めると実感を述べていた。
しかし、そうした環境の中にあっても、一定数の生徒は、卒業後、何もできていない状態にあることは看過できない。努力して高校卒業の資格を得たからこそ、次のステップへつながるだけではなく、自立に向かわせる目線も必要ではないか。
そうした観点で、通信制課程における進路指導として、どのようなことに取り組み、また、今後はどのようなことが必要と考えているのか。
【理事者】
県立の通信制課程である旭陵高校と刈谷東高校では、生徒一人一人の社会的、職業的自立に向けて、生徒が主体的に進路を選択することができるよう進路指導を行っている。具体的には、卒業を予定している3年生と4年生を対象に進学や就職に向けたガイダンスを行い、進学を希望する生徒に対しては、大学や専門学校の先生を招いて進路講演会を実施するとともに、個々の進路希望に応じた個別指導を行っている。
また、就職を希望する生徒に対しては、若者の就労支援を行っている若者サポートステーションの職員を月1回学校に招いて、定期的な相談会を実施している。
近年、通信制高校に入学する生徒には不登校経験者や特別な支援を必要とする生徒が増加しており、1年生、2年生の段階から、将来の社会的、職業的自立の実現に向けて指導や支援を行っていく必要が増している。そこで、今後は、1年生、2年生の生徒を対象に、通信制高校を卒業して大学や専門学校へ進学した人や在校生で職業に就いている人から話を聞くなど、低学年からキャリア教育の取組を行っていく必要があると考えている。こうした取組によって、通信制教育における多様な生徒の実情に応じたキャリア教育の充実を図る。
【委員】
昨年4月から普通科の全日制単位制高校に改編した守山高校と幸田高校では、企業連携コースを新たに設置して、地元の企業などと連携してキャリア教育の取組を進めている。
また、特別支援学校の生徒の就労支援につながるよう、昨年3月に障害のある生徒の将来にとって有効な働き方の一つであるテレワークによる在宅就労を促進するため、テレワークに関する豊富なノウハウを有する株式会社D&I社と愛知県教育委員会との連携協力に関する包括協定を締結している。
こうした取組や連携を通信制高校の就労支援体制などに応用、展開してほしい。また、定時制・通信制教育アップデートプランにもあるように、スクールカウンセラーやキャリア教育コーディネーターの常駐化など、生徒が将来への希望を持って学び、社会の様々な分野で活躍できるよう検討を進めていくことを要望する。
【委員】
本年9月からラーケーションの取組が始まったが、県内市町村でラーケーションに参加していない、実施していない市町村は名古屋市だけか。名古屋市以外は全部実施していると認識してよいか。
【理事者】
県内54市町村のうち、名古屋市を除く全ての市町村において、本年9月以降、ラーケーションの日を順次実施している。来年1月に春日井市がスタートし、合計53市町村となる。
【委員】
ラーケーションに係る県モデル事業は手挙げ方式で、参加しているのは18市町と聞いている。このモデル事業に参加することで、市町側に何か負担があるか尋ねたところ、モデル事業に参加していない市町村との違いは、県が作ったアンケートを取りまとめるだけの差だと聞いた。本当にそうなのか。
【理事者】
モデル事業に参加している18市町には県が費用を負担して、ラーケーションの日の実施によって増加する事務に従事する校務支援員を配置してもらうとともに、ラーケーションの日を保護者に周知するリーフレットの印刷と配布を依頼している。したがって、モデル事業に参加している市町村の教育委員会においては、そのための補正予算を組んだり、校務支援員の人材を確保するなどの業務が必要となる。
また、来年1月には、県教育委員会が実施する、ラーケーションの日の効果や課題等を検証し、来年度以降に向けて改善を図るためのアンケートに協力してもらう。
【委員】
パンフレットがあることは、初めて聞いた。
次に、モデル事業に参加すると、当該市町村の全ての小中学校に、1日4時間、週5日、合計週20時間の校務支援員を100パーセント県費で負担してもらえることになる。やることは、県費で作ったパンフレットの配布と、県が作ったアンケートのとりまとめへの協力だけの負担である。市町村側にとっては、県費で校務支援員を配置してもらえるのに、18市町しか参加していないのは何が理由なのか。
【理事者】
モデル事業に参加しなかった35市町村の教育委員会に対して、その理由を聞き取ったところ、市町村において補正予算を組む必要があるが日程や作業の面で難しいとの理由が29市町村で最も多く、次いで、配置する校務支援員を見つけることが難しいとの理由が20市町村あった。そのほか、既に市独自で校務支援員を配置しており、新たな支援員を必要としていないとの回答もあった。
こうした聞き取りの結果から、モデル事業に参加しなかった市町村では、年度途中からの実施であったこともあり、予算や人の確保が難しかったと考えている。
【委員】
人の確保が難しいとのことで、私も地元の学校や教育委員会に聞いて尋ねてみたところ、年度途中の9月からの開始だったため、8月頃から1か月で募集することは大変だったようである。非常勤講師の空き時間にやってもらうことも考えたが、年収103万円を超えるから困ると言われるなど、様々な調整を行っていた。
本定例議会のあいち民主県議団の代表質問で、来年度も事業を継続する方向だと答弁があった。私の地元の豊橋市では、既に新年度の4月からの募集を開始している。人を雇うこと、人を見つけることが大変なのはもちろんだが、市町村側が何を危惧しているかといえば、この制度がいつまで続くのかである。県費負担はいつまで続くのか。アンケートで効果検証ができた段階で、やめてしまうことはないのか。当初、地元の校長からは、ラーケーションについて、どうしてこのような面倒なことを始めるのかと言われたことがある。豊橋市の場合は、校務支援員が来ていることでとても助かっていると聞いている。それならば継続したいとの意見になるが、途中で県が事業を打ち切ってしまうと、校務支援員も市町村の経費で負担することになるため様子を見ている市町村が多いのではないか。
先ほど、委員の質疑にもあったが、教員の多忙化対策を考えないといけない。現場からは、たった数か月だが、本当に助かるとの結果が出ている。今年度、来年度と予算が確保できているのであれば、再来年度もやめる必要はない。新たに予算を確保しないといけないものではないので、永続的にやると宣言できないのか。
【理事者】
県教育委員会としては、ラーケーションの日という新しい仕組みをしっかりと定着させるために、より多くの市町村にモデル事業に参加してもらいたい。
来年度は、モデル事業を実施する予定の35市町村に、年度の初めから校務支援員が配置できるよう、現在、予算要求をしている。
2025年度以降について、現時点で確定的なことはいえないが、県全体として取り組んでいる休み方改革や教員の働き方改革を推進していくためには、引き続き、学校現場への人的支援が必要である。したがって、小中学校の現場において教員が不足している現状も踏まえ、校務支援員などの外部人材の積極的な活用について検討していく。
【委員】
いずれにしても、ラーケーションの日は継続されていく。当初、校務支援員を導入することとした理由は、給食の食数を減らすための事務作業を教員にやらせるのでは多忙化対策に逆行するため、県が発案してラーケーションの日を推進することから、校務支援員の活用を促すことであった。校務支援員を引き上げることになれば、ラーケーションをやめることにもつながる。ラーケーションは評判もよい取組だと思うので、校務支援員についても継続の方向でぜひ頑張ってもらいたい。
続けて、教員の多忙化対策について伺う。本年9月定例議会において、委員から具体的に何が多忙なのか質問があった。その答弁で、小中学校では時間割の作成やPTA活動など、校務分掌と呼ばれる分野が一番負担と言われており、その次は学習の指導とのことだった。次いで、生徒指導や部活動とのことである。
コロナ禍で、タブレット端末の導入が一気に進んだ。導入の際に、例えば、宿題やテストの取りまとめについて、書き取り問題には対応できないが、択一式の問題であれば対応可能と聞いた。デジタル化によって採点、集計して、分野、単元ごとに、児童生徒の得意分野、苦手分野が可視化されることで、先生が褒めたりフォローすることができ、学習面で楽になる。タブレット端末の導入は、とても意義があると説明されたが、現場ではなかなか使いこなせていない様子であり、私も何回か端末の活用について発言している。しかしながら、年配の先生の対応など、現場は一筋縄に行かないのも理解できる。
端末の導入から3年がたった。6年のリース契約と聞いているので、もう半分が経過している。導入当初に思い描いていた、多忙化対策に資する活用や、より充実した教育が標準的にできるようになるのは、いつ頃になるのか。
【理事者】
教員用と児童生徒用のタブレット端末をそれぞれ整備したことにより、学習指導と、それ以外の校務の両面で業務の効率化が進みつつある。
具体的には、学習指導については、従来のプリント教材がデジタルに置き換えられ、生徒のタブレット端末に直接配信することによって、印刷、配布、回収などの手間が大幅に削減されている。また、英語の授業では、生徒が各自のタブレット端末を使って録音した発音をTeams上に提出させ、教員がAIによる自動採点を利用して採点の負担を大幅に軽減している例もある。
学習指導以外の校務については、職員会議や朝の打合せなどをペーパーレス化し、印刷や配布などの手間を削減した学校が数多くある。また、従来は電話で対応していた生徒の欠席連絡をオンライン化することで、担任のタブレット端末にリアルタイムで欠席情報を表示することが可能となり、担任の負担が軽減された例もある。
しかし、一方では、このような取組が十分に進んでいない学校もあることから、先行事例をより広く共有するとともに、ICTが苦手な教員への支援や、研修を今後充実することなどにより、できるだけ早い時期に全ての教員がタブレットを活用して効率的に仕事を進められる状況が実現できるよう努める。
【委員】
もうリース期間の半分が来ているため、その期間内にしっかりやってもらいたい。良い活用事例があっても、全員ができるようにならないと意味がないので、少しでも早く取り組んでほしい。
学習指導の負担はタブレット端末でカバーできるとしても、先生の数が不足していることについては、対応が間違っていると思っている部分がある。少人数学級化することは、先生の多忙化対策に資することだと、私もそのように刷り込まれて、そう考えてきた。豊橋市議会議員の頃から、意見書を国に提出してきた。
しかしながら、40人学級が35人学級になっても、一向に多忙化対策にはなっていないと感じる。今後、少子化が進行し、生徒の数に比べて先生の数にゆとりが出てきたときに、30人学級を25人学級にすると下げていくのは、私は間違いと思っている。
愛知県の標準は、小学校の1年生から5年生と、中学校1年生が35人学級、小学6年生と中学校の2年生と3年生が40人学級である。例えば、40人学級では、1クラス41人になると20人と21人に割ることになる。そうすると、40人学級では20人のクラスが一番少ない学級になる。最大は40人である。その平均値を取れば30人程度になる。
地元の豊橋市では、ほとんどが2学級か3学級になっているが、例えば、4クラスと3クラスの境目になる40人、40人、41人となれば、これを割って4クラスにすることで、平均30人学級になる。そうすると、最大40人と30人の間にあるのは、35人学級である。今の小中学校において4学級以上の学校は多くないと思う。平均的に40人学級というと多いイメージになるが、平均を取れば35人程度になる。少し郊外の学校に行けば、20人台の学級も結構ある。それで多忙化といっているが、本当のところはどうなのか。
私は、少人数学級化よりも、例えば、病気で休む場合の代わりや、教材研究のために別の作業をしたい先生の代行など、正規職員だが担任を持っていない先生を、遊撃選手のようにゆとりを持って配置していくことが、先生の多忙化解消に資すると思う。
国の方向性もあるかもしれないが、県教育委員会として、少人数学級化は本当に多忙化対策に資することだと考えているのか。
【理事者】
少人数学級について、現在、国が令和3年度から小学校の35人学級化を計画的に進めている。
本年度、国の制度は小学校第4学年までだが、本県では国に1年先行して、小学校第5学年まで実施するとともに、中学校第1学年でも独自に35人学級を実施している。
県教育委員会としては、来年度も国に先行して小学校第6学年に少人数学級を拡充できるように努めていきたい。さらに、中学校についても、できるだけ早期に法制度化するよう国に対して働きかけている。
少人数学級の効果は、児童生徒一人一人により教職員の目が行き届くようになり、学習の状況やいじめ、不登校など、特別な配慮を必要とする子供たちへスムーズかつ適切に指導を行うことができるようになることであると考えている。また、教員1人当たりの受け持つ児童生徒数が少なくなることで、テストの採点や宿題の添削、学習成績の評価など、業務の減少による教員の働き方改革に寄与すると考えている。少人数学級は、業務負担が特に重い学級担任の負担軽減につながることから、県として推進している。なお、県独自で国に先行して実施している小学校5年生の少人数学級の実施については、市町村の判断により、少人数学級と少人数指導との選択ができるようにしている。
一方で、多忙化している学校現場にとって教員を増やすことは必要であり、県として、本年度も国に対して教職員配置のさらなる充実について要望している。
国は、複雑化、困難化する教育課題に対応するため、毎年度、教職員定数の改善を実施しており、少人数学級の推進による定数改善に加えて、小学校高学年における教科担任推進などの加配定数の改善も進めている。
本県においても、国の定数改善に沿った定数を確保し、本県の教育水準の向上を図っていきたい。さらに、担任以外の教員を増やして、学校全体がゆとりある教員の配置としていくためには、国によるさらなる定数改善が必要であることから、国に対して引き続き要請していきたい。
【委員】
ゆとりある先生の配置の必要性を認識し、国にも要望しているとのことなので、ぜひお願いしたい。ぜひ現場の校長の意見も聞いてほしい。校長会からの要望の第1項目には、少人数学級の推進が書かれている。ただ、直接校長に話をして、遊撃の先生が増えたほうが本当は負担軽減になるのではと聞くと、個人的見解だがそのとおりといっていた。肩書がつくといえなくなるのか、不思議でならない。多忙化の一番の原因に対して、真剣に対応しないといけない。
校務支援員のような制度は、今回、多忙化対策のためではなく、ラーケーションの事務手続のために市町に配置したものだが、結果としてとても評価されている。もしこれが永続的な事業となれば、全ての市町村がやってくれると思う。もともと、スクール・サポート・スタッフというものがあって、国と県からの3分の2が補助されることになっているが、これも30市町村程度しか参加していない。学校現場では、今回のラーケーションによる校務支援員によって、外部から人が来ることを嫌がっていた校長も、こんないいものがあるのかと感想を持っている。ラーケーションのモデル事業をやっていない市町村の先生たちは、それをまだ感じていない。市町村も3分の1の負担で済むため、これは本当に多忙化対策になる。スクール・サポート・スタッフの担う範囲が例示されているが、授業の準備、学習のプリントの印刷、配布、学級ごとの仕分、学年学級業務、教材の準備、軽微な事務連絡、調整、調査の集計、回答案のまとめなど、様々なことができる。一番負担になっている校務作業を担わせることができる。授業の学習の指導面ではなく、校務の仕事が負担だといっているため、ピンポイントに使うことができる。ラーケーションをしっかりとやれば、1人は市町村に負担がなく、スクール・サポート・スタッフとして3分の1だけ負担すれば、各学校に2人配置できる。県教育委員会として、この意義を周知し、活用を促進してほしい。教員を増やすことは難しいが、このようなマンパワーは、県のさじ加減である。増員についてどう考えているのか。
【理事者】
県教育委員会では、ラーケーションでの校務支援のほかに、スクール・サポート・スタッフを配置している市町村に対し、スクール・サポート・スタッフ配置事業費補助金として事業費の3分の2を国と県で補助しており、本年度は28市町で453人が配置されている。
スクール・サポート・スタッフの業務内容については、教員の負担軽減を図り、教員が児童生徒への指導や教材研究等により注力できるよう、学習プリント等の準備や、来客、電話対応、行事や式典等の補助を行っている。
昨年度、スクール・サポート・スタッフを配置した市町からは、感染症対策に伴う消毒、換気作業が軽減された、学習プリントの印刷等、授業準備の時間が削減できた、時間外の在校時間が減少したなどの報告があり、教員の負担軽減に確かな効果を上げている。
スクール・サポート・スタッフは、教員の働き方改革の観点から非常に有効な取組であるため、配置を希望する市町村が十分にスクール・サポート・スタッフを活用できるよう、予算の確保に努めたい。
【委員】
アジア・アジアパラ競技大会の開催まで3年を切り、いよいよ具体的な準備を進めていく段階に入った。ただし、スケジュールに関しては、まだ具体的なものがあまり見えていないのが現状ではないか。
競技会場についてはほぼ決まってきたが、開会時期には練習会場も必要になるとのことである。練習会場の具体的な情報は市町村等には入っていないと聞いているが、体育館等の管理をする市町村からは早く情報が欲しいとの声も聞いている。イベントによっては、1年以上前から会場を確保して計画を立てており、例年行っているイベントが、その時期に会場を使えないとなれば、計画の変更や代替の施設探しが必要になってくる。2年程度前には情報の提供が必要である。
ほかにも、ホテルや移動手段の確保など、アジア・アジアパラ競技大会に向けた準備にはすべきことが山積している。
まず、練習会場の確保に向けた現在の状況と、市町村をはじめとした施設管理者には、いつ頃に情報が提供されるのか。
【理事者】
練習会場は、大会直前や期間中に練習する選手のために競技ごとに用意する会場であり、選手が試合前に最終調整を行い、大会で最高のパフォーマンスを発揮するために必要不可欠な施設である。練習会場としての条件は競技により異なる部分はあるが、例えば、体育館施設であれば面積は約1,000平方メートル以上で、空調が整備されていることなどを一定の要件としている。こうした要件に見合う施設については、施設所有者に対して利用に係る意向を聞くとともに、順次、競技団体が視察を行っている。
今後は、施設の設備の状況や選手の宿泊施設からの距離などの状況を踏まえ、決定に向けた調整を行っていきたい。
二つ目の施設管理者への情報提供の時期であるが、練習会場として利用するための調整については、市町村をはじめとする施設所有者などと情報を共有しながら進めている。練習会場として使用することにおおむね調整がなされた施設については、今後、年度内を目途に使用する競技や範囲など、より具体的な情報を示していく予定である。
練習会場として使用する場所や期間によっては、県民、市民の利用が制限されるおそれがあるため、施設利用者への影響が極力少なくなるよう配慮し、引き続き関係各所との連絡を密に行っていく。
【委員】
確認だが、宿泊施設からの距離も考慮するとのことだが、それがなかなか決まらない状況で、年度内として大丈夫なのか。
【理事者】
現在、宿泊施設については組織委員会がホテル側と交渉等を行っており、練習会場の調整に影響がないよう、しっかりと対応したい。
【委員】
年度内に練習会場について市町村などに連絡があるとのことなので、そのスケジュールで頑張ってもらいたい。それであれば、早めに市町村も予定でき、大きなイベントを行っている主催者にも何らかの形で伝わっていくとよい。
次に、フラッグツアーが始まって、自治体で掲示されているが、ほかにも開催機運の醸成について、本年度はどのようなことを行っているのか。
【理事者】
開催機運の醸成については、愛知・名古屋大会が広く認識されるよう、年間を通じて、市町村や競技団体、経済団体など、様々な団体と協働し、イベント等におけるブース出展などを実施している。また、9月から10月にかけて中国で杭州大会が開催されたことから、これに合わせ、競技体験やオリンピアン、パラリンピアンによるトークショーなどのPRイベントを実施したほか、ウェブ広告や交通広告を行うなど、愛知・名古屋大会の集中的なPRを行った。
さらに、杭州大会の閉会式で引継ぎを受けた大会旗のレプリカを県内全市町村で巡回展示するフラッグツアーを11月から来年3月まで実施する。フラッグツアーの開始に当たっては、愛知・名古屋大会の開催を広く周知するため、知事、名古屋市長等によるスタートイベントも行った。
加えて、若い世代への広報が重要であることから、小・中学生向けのパンフレットを作成、配布し大会の周知を促すとともに、11月には高校生75人が外国人の高校留学生等と一緒に杭州大会の盛り上がりなどについて学んだ後、ボッチャ体験や、愛知・名古屋大会への関わり方をテーマにワークショップを行い、その様子をSNSで配信するなど、様々な方法で大会の周知及び機運醸成を図っている。
【委員】
特に、若い世代への広報について、アジア・アジアパラ競技大会を経て学ぶべきことは本当に多くあると思うため、しっかりと取り組んでほしい。
今後、どのような機運醸成の取組を行っていくのか、予定が決まっているものがあれば教えてほしい。
【理事者】
まず、今月24日に愛知・名古屋のアジア競技大会の開催1,000日前を迎えることから、カウントダウンイベントを中部国際空港で開催する。カウントダウンボードを製作し、知事、名古屋市長等による除幕式を行うほか、元競泳日本代表でオリンピアンの松田丈志さんらによるトークショーを実施する。また、来年1月22日にアジアパラ競技大会の開催1,000日前となることから、ヒサヤオオドオリパークにおいてカウントダウンイベントを開催し、カウントダウンボード除幕式を行うほか、中部電力MIRAI TOWERを大会エンブレムカラーでライトアップするなど、より多くの県民に大会開催を周知していく。
なお、カウントダウンボードは、県庁や名古屋市役所などに設置するほか、1,000日前の機会を捉えて、12月下旬から1月にかけて名古屋駅や栄駅、豊橋駅、一宮駅といった主要駅において交通広告を集中的に実施する。
今後も、引き続き市町村や関係団体の協力も得ながらイベント等におけるブース出展などを行っていくほか、来年には大会開催まで2年となることから、こうした効果的にPRできる様々な機会を捉えて機運醸成に取り組む。
【委員】
カウントダウンボードの掲示で、県民もいよいよ開催と感じる。早め早めにいろいろな準備を進め、また、それが適切に示されていくようにお願いしたい。
次に、公立高校のウェブ出願について伺う。
10月になって、ようやく公立高校へのウェブ出願の試行が行われた。入試の手続の煩雑さを改善するためにウェブ出願を求める声があったことに対して、県教育委員会が対応していることに感謝しているが、このウェブ出願は、生徒自身で出願するものであるものの、中学校の確認や、高校側の確認も必要で、指導と対応でばたばたになっている中での試行にあって、いろいろ課題があったと聞いている。その中でも、サーバーがダウンしたことや、相談窓口に電話がつながらないことなどで、進路指導の先生が夜遅くまで対応することとなり、多忙化解消につながらない状況もあったとのことである。
そこで、本番に向けて問題なく出願が進むように確認をするが、まず、試行においてどのような課題が出てきたのか。
【理事者】
年明けに実施する高校入試からウェブ出願システムを導入するに当たり、公立高校への進学を希望している県内公立中学校の3年生と、中学校及び高校の教員を対象とする試行を10月19日から11月24日までの37日間で実施した。
生徒には、10月19日から31日までを出願期間、11月3日から10日までを受検票のダウンロード期間とし、中学校の教員には、調査書に関するダミーデータの入力など、それぞれ本番に準じた作業を行ってもらった。
トラブルについて、生徒の出願期間が始まって間もない10月20日から24日までの5日間において、午後6時頃の時間帯を中心に発生し、ウェブ出願システムにログインできない、画面上の次へというボタンを押しても画面が進まないなどの現象が発生した。そのため、コールセンターに問合せが殺到し、つながらない状況が発生したことから、保護者が中学校に問い合わせることとなり、中学校の先生にも迷惑をかけた。
今回のトラブルで明らかになったのは、アクセス数に対するシステムの処理能力が十分でなかったこと、コールセンターの回線数などが不足していたことである。
なお、生徒の出願期間のうち、10月25日以降については、サーバーの処理の能力の増強とプログラムの修正により、スムーズに出願手続が実施できている。
【委員】
課題が出てきた原因は、サーバーの容量の問題と考えてよいか。
【理事者】
ウェブ出願システムにログインできないトラブルについては、サーバーの処理能力が超えてしまい、スローダウンしたことが原因である。システムの開発業者は、1分間当たり同時にアクセスできる件数を、公立高校への進学を希望する中学3年生とほぼ同じ4万5,000件の3パーセント、1,350件を想定して設計していた。3パーセントというのは、こうしたシステム開発では一般的な想定であると聞いているが、今回の試行では、ピーク時に想定の約1.5倍である1分間当たり約2,000件のアクセスがあった影響でシステムの処理能力を超え、スローダウンしてしまった。
また、コールセンターに電話がつながらなかったことについては、用意していた回線数が当初は2本と少なかったことや、開設時間が平日の午前10時から午後4時までと短かったことから、多い日には1日当たり約200件という、想定を大幅に超えた問合せに対応し切れなかったことが原因である。なお、10月25日以降は、コールセンターの回線を4本に増強して対応した。
【委員】
中学校3年生に対して、どのような指導を行うのか、しっかりと把握しながら試行すべきだった。試行段階でうまくいかなかったことは、不安につながっていると思われるので、1月からの出願に向けて、そうしたトラブルがないようにしてほしい。
本番の出願に向けて、具体的にどのような対応を進めているのか。
【理事者】
心配をかけたことは申し訳ないと思っている。まず、システムの処理能力については、アクセス数が試行のピーク時の2倍になってもスムーズに出願手続ができるよう、改修を行っている。試行の終了後、事務局において負荷をかけたテストを複数回行っているが、安定して稼働することを確認できている。
今後も、本番直前まで様々な負荷をかけたテストを行い、さらにシステムの安定性を高めていく。
コールセンターの対応能力については、試行時は平日の午後6時頃からシステムへのログインが急増したことを踏まえ、本番では、平日は午後8時まで問合せに対応できるようにする。また、試行中はコールセンターを開設していなかった土日祝日も、午前10時から午後5時まで開設する。
万が一、本番でトラブルが発生した場合には、土日祝日を含めて、開発業者と共に速やかに対応できる体制を整える。
来年1月9日から、本番に向けた受験生のユーザー登録が始まることから、受験生が安心して高校入試に臨むことができるよう、最大限努力する。
【委員】
最大限の努力と答弁があったため、本当にミスがないようにお願いする。ただでさえ、受験でいろいろとストレスがかかっている子供、先生、保護者が、安心して出願できるように頑張ってもらいたい。本年度はいろいろあるかもしれないが、将来的には負担軽減への期待もあるので、ぜひスムーズに進めてもらうようにお願いする。
次に、教育行政について伺う。
平成18年12月に新しい教育基本法が施行され、平成27年4月に新しい地方教育行政の組織及び運営に関する法律が施行された。首長が教育についても情報や課題をきちんと把握して予算を措置することや、教育に関する大きな課題があったときには全庁的に対応できるようになった。また、首長は、教育委員長と教育長が一体となった新教育長を議会に諮って任命できるようになり、また、総合教育会議を教育長と共に開催し、大綱の作成や意見交換ができるようになった。
この教育基本法は、さきの大戦で戦争に子供を送り出した、そういう教育をしたことへの反省から、教育が時の権力に恣意的に利用されることがないように、教育の政治的中立性と安定性と継続性は普遍的なものとして今も維持されているものであって、今後も維持されるべきだと思っている。その中で、教育の推進に当たっては、教育長の権限と責任も大きい。
また、教育課程や学校の運営に関しては、改定前と変わらず、県や市町村の教育委員会、また、学校長の所管になっている。ICTや不登校など、時代の変化、近年的課題に速やかに対応する必要があることから、知事部局と連携して子供たちの施策を進めていくことは必要だと思うが、本県では、中高一貫校やラーケーションをはじめとして、教育振興基本計画に入っていないことが矢継ぎ早に、教育施策として次々に打ち出されて、どんどん学校現場に入ってきている。このことが、学校現場の多忙化や、教育現場全体の疲弊につながっているのではないかと大変危惧している。
そこで、まず、教育振興基本計画であるあいちの教育ビジョン2025について、知事が策定に参加している大綱部分は、第1章の目指すあいちの教育の部分だけか。
また、第2章の取組の柱と施策の展開、第3章の計画の推進は、大綱を踏まえて教育委員会が策定したものなのか。
【理事者】
あいちの教育ビジョン2025において知事が策定する大綱に当たる部分は、第1章、目指すあいちの教育のうち、基本理念と基本的な取組の方向である。
また、第2章、取組の柱と施策の展開、第3章の計画の推進には、知事部局が所管する私立学校、県立大学、文化、スポーツの振興などの内容も含まれており、教育委員会が知事部局と連携して作成している。
【委員】
私立学校や大学の項目は、第1次と第2次の教育ビジョンにも入っていたと思うが、そのときには、冒頭の挨拶は教育委員会のものだった。現在、最初の挨拶は知事だけである。私は、教育の中立性を考えるのであれば、知事をはじめとした知事部局と並んで、教育委員会としての挨拶も必要だと思う。教育委員会として、私学の項目等が含まれるので知事だけでよいと考えているのか、それとも、教育委員会も入れていく方向で考えてもらえるのか。
【理事者】
2015年4月に施行された地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正により、指摘のとおり、教育に関する大綱を知事が策定することになっている。そのため、2016年2月に策定した本県の第3次教育振興基本計画であるあいちの教育ビジョン2020と、現行の第4次計画であるあいちの教育ビジョン2025では、計画の根幹の基本理念と基本的な取組の方向は、知事が大綱として作成している。そのため、冒頭の挨拶も知事としている。
【委員】
根幹の部分も、中身は教育委員会が考えるべき内容である。もちろん大きな方向性は、法律が変わったことに合わせていると思うが、中身には教育内容にも関わる部分があり、これからも知事に任せる形になるのか。冒頭の挨拶は知事でもよいが、例えば、分冊するなど、その根幹にはきちんと教育委員会としての思いを掲載することは考えていないのか。
【理事者】
現時点では考えていないが、他県や市町村の状況も確認しながら考えたい。
【委員】
総合教育会議が本年5月に開催された。ラーケーション等について教育委員から意見が出されている。様々な今日的課題について、知事部局と一緒になって考えていることが見て取れるが、その中で気になったことは、知事が明確に言っているような書きぶりで、ワーク・ライフ・バランスを推進するとともに、観光需要の平準化のために休み方改革を推進し、教育現場と折り合いをつけるために考えたのがラーケーションだと記載されている。
ワーク・ライフ・バランスと観光需要の平準化のために、教育的な理由をつけて教育現場の在り方に強く理解を求めていくとの発言だが、本当にそれが教育の中立性と安定性と継続性を担保していく中で、教育委員会がやろうとしているのか強く疑問に思う。
先ほど、委員から、ラーケーションについて発言があったが、逆にいえば、金をつけるから教育のことにいろいろといえるようにも取れるのではと危惧している。また、出席停止や忌引等についても話題になっていたが、学校の休みに関して、文部科学省の通知によれば、教育上特に必要な場合、校長が出席しなくてもよいと認めた日として、校長の権限とされている。
先日の本会議でも、増加している不登校児童生徒の対応に関して、日本国憲法の就学義務を他国と比較して疑問とする意見もあった。ただし、ほかの国では、ホームスクール等は存在しても、きちんとしたルールの下で行われているのであって、教育をないがしろにしているわけではない。本会議場で教育長から答弁があった、文部科学省が実施している教育支援センターの民間委託と、不登校児童生徒への経済的支援に関する事業について、再度、説明してほしい。
【理事者】
文部科学省が実施している教育支援センターの民間委託と不登校児童生徒への経済的支援に関する二つの調査研究事業について説明する。
まず、教育支援センターの民間委託に関する調査研究は、校外教育支援センターにおける学習支援などの業務について、教育委員会とフリースクール等の民間団体が連携して実施する場合の効果検証や課題整理を行う事業である。市町村の校外教育支援センターの運営を民間のフリースクールの運営団体に委託することで、フリースクールで展開されている一人一人の子供の気持ちに寄り添った居場所づくりのノウハウを取り入れることができる事業となっている。
次に、経済的に困窮した家庭の不登校児童生徒に対する経済的支援の在り方に関する調査研究は、民間のフリースクール等に通う経済的に困窮している不登校児童生徒の保護者に、アンケートに協力してもらうことでフリースクール等へ通う交通費などへの支援金を出す事業である。アンケートにより、不登校児童生徒への対応に不可欠な個々の事情や悩みを把握することができ、効果的な支援につなげられることに加え、保護者にとっては、民間のフリースクール等に通う経済的な負担の軽減にもつながる事業となっている。
【委員】
愛知の教育へ一定の還元を求める企画であることはある程度理解したが、民間のフリースクールが頼みだという不登校児童生徒と保護者は年々多くなっており、その役割も認識している。居場所という観点で考えたときに、福祉との役割分担がどうなっているのか。
現在、登校刺激を与えないとの声が大きいが、学習保障についてはどのように考えているのか。また、学習保障の主体が誰でもよいのであれば、何のために教員免許があって、何のために学校教育法で条項が定められているのかとなり、慎重な判断が必要になってくる。
月刊教職研修12月号の巻頭インタビューで、小中で不登校を経験して、その後、定時制高校に進学し、早稲田大学と東京大学大学院に行き、定時制の高校教諭を経て、文部科学省の職員になった藤井健人氏のインタビューが掲載された。記事のタイトルは、「定時制高校から世の中を見てみたら」、サブタイトルが、「普通と不登校の歴然たる格差」となっている。不登校や定時制を体験しながら、義務教育を全うすることができなかった彼であるが、あくまでも学校の存在意義を再認識しようと文部科学省に入省したとのことだった。
日本の学校は、知・徳・体という包括的な機能を持っていて、学校以外のところで完全に代替できるものではない。藤井氏が言うには、現状を肯定的に、ありのままの自分といった言葉がよく使われるが、それは一見、不登校児童生徒に心を寄せているように見えるものの、不登校によって失われた学力や進路の問題は、ありのままの自分を認めるだけではなかなか解決しない問題だと記事になっている。
12月11日に開催された文部科学省の義務教育の在り方ワーキンググループの中間まとめで、学力だけでなく、学校生活全般において他者と関わりながら共に学び、人間性を涵養する学校教育の役割の重要性を再認識することと、社会の分断を防ぎ、平等で公正な社会を形成する基盤としての学校こそが引き続き義務教育の中核を担うべきだと、最初に示されている。そのようなことも認識しながら、学校教育、特に義務教育段階を教育行政としてどう見ていくのか、本当にしっかりと考えてほしい。
不登校児童生徒は、本当に動き出せないぐらいの心の中の重しを抱えている。藤井氏も、家庭が大変で不登校になったとのことである。勉強が分からなくなったなど、様々な理由があると思うが、学校現場からは、大規模校への養護教諭の複数配置を強く求められている。ラーケーションに関する予算は、本年9月から約6.9億円で、来年度はもっと増える。そのような中で、例えば、養護教諭の複数配置などは、国に定数改善を一生懸命求めているとはいえ、大規模校の養護教諭を県として配置することはできないのか。市町村からの陳情でも、中学校では801人以上、小学校は851人以上が複数配置の基準とされているところ、もう100人、基準を減らしてほしいと書かれている。ほかにも、標準の学級数を上回る学校には複数配置してほしいとの要望も上がっていると聞いている。
例えば、県が現行よりも50人複数配置の基準を減らす定数改善をして、小学校801人以上、中学校751人以上の学校に複数配置することを考えた場合、現状よりもどの程度予算が増えるのか。
【理事者】
養護教諭の複数配置について、小学校は児童数851人以上、中学校は生徒数801人以上で複数配置しており、それが基本となっている。
また、本県独自に、前年度に複数配置基準を満たしていた学校で翌年度に児童が減少した場合でも、減少幅が50人以内の小学校801人以上、中学校751人以上の学校であれば、2年間を上限として複数配置を継続する緩和措置を行っている。
仮に、本年度、小学校で児童数801人以上、中学校で生徒数751人以上の学校に複数配置を実施することとした場合、小学校では9校、中学校で11校、対象校が増加する。合計20人の定数増が必要となり、その増分の人件費は約1億3,000万円となる。
【委員】
いろいろ考えながら教育委員会も取り組んでいると思うが、校務支援員の話にもあったように、県独自でやっていることで本当に学校現場が助かっているとの話もある。人を配置することの中でも、今、特に求められているのが養護教諭の複数配置であるため、県独自にこの20人を増やすことも考えてほしい。
特に厳しい家庭環境にいる子や、自分の可能性が見えていない子などいろいろおり、その対応に学校現場は追われている。作業だけでなく、そうした子供たちの人生を背負う部分ですごく大変な思いをして、分かる授業に取り組んでいる。義務教育の在り方ワーキンググループのアンケートでも、学校に求めることとして、家庭も子供たちも教員も、基礎学力、授業をしっかりと分かるようにしていきたいとの回答が一番大きな割合を占めていた。学校現場の取組によって、子供たちの可能性が開かれていくよう、教育委員会としても推進してほしい。
様々な課題がある現代社会において、他部局と連携して必要な政策を進めることは必要だと認識しており、その中でよりよい教育政策を進めてほしいが、教育施策は矢継ぎ早にやるのではなく、きちんと計画を立てて、シンプルな形で充実させてもらいたい。
最後に、教育行政を推進する立場として、教育の中立性と安定性と継続性をどのように担保していこうと考えているのか伺う。
【理事者】
教育の中立性、安定性、継続性については、首長から独立した合議制の執行機関として教育委員会を置くことにより中立性を確保し、毎年度1人ずつ委員が改選することを原則とし、多くが一度に入れ替わらないよう任期を設定することにより安定性、継続性を確保するなどで、制度上担保されている。
一方、近年、特別支援教育を受ける児童生徒や外国人児童生徒等の増加、貧困、いじめの重大事態や不登校児童生徒数の増加など、子供たちを取り巻く課題は多様化している。それらは、教育委員会と首長のどちらの所管となるのか明確でない場合も多く、また、どちらかだけでは十分に対応し切れない横断的な課題も多くある。
このような中で、誰一人取り残さない社会を実現していくためには、教育委員会と首長の役割分担にとらわれすぎず、連携しながら取組を進めることも必要と考える。
県教育委員会としては、今後も児童生徒のためとの視点を大事にし、学校現場の声を十分に聞くとともに、理解を得ながら多様化した教育課題に対応する。
【委員】
教育委員会が行政委員会として、その趣旨にのっとって適切に教育行政を推進することを要望する。
【委員】
県は、11月21日から27日までの期間中、いずれか1日を公立学校の休校日とする県民の日学校ホリデーを創設した。しかし、県民からは、疑問や不満の声が寄せられた。
教育委員会のホームページには、県民の日学校ホリデーの趣旨が掲載されている。どのような趣旨で学校を休みにしたのか確認する。
【理事者】
県民の日学校ホリデーは、11月27日のあいち県民の日の制定を機に、子供たちが地域の自然や歴史、文化、産業などに関する体験的な学習活動に家族と一緒に参加することで、地域への愛着と県民としての誇りを持つ契機となるよう、11月21日から27日までのあいちウィーク期間中の平日1日を学校休業日とするものである。
【委員】
体験的な学びや、地域、歴史を学ぶことに、家族と参加することが趣旨だというが、県民の日学校ホリデーを実施したことで、その趣旨は実現されたのか。学習という面では、教育的評価にも関わってくる部分であるが、教育委員会として、それをどのように検証、評価するのか。
【理事者】
小中学校については、現在、県内全ての市町村教育委員会を対象に、本年度の県民の日学校ホリデーに関する各市町村における取組や成果、課題を調査しており、今後、その調査結果を基に検証を行う予定である。
県立高校と特別支援学校については、1月に各学校に調査を行う予定である。
また、今月下旬に県民文化局において実施する、あいち県民の日とあいちウィークに関する意識調査の中で、県民の日学校ホリデーに関する調査を行うことから、その調査結果を教育委員会において検証する。
【委員】
教育委員会が調査を行うとのことだが、県民の日学校ホリデーでよかった部分と改善を要する点が何なのか、課題をきちんとつかむためにも、ぜひ全ての学校で調査や検証が行われるようにしてほしい。
県民の日学校ホリデー実施日について、小中学校では、47市町村が11月24日、5市が11月27日、2市が学校ごとであった。特別支援学校では、24日が25校、27日が4校で、県立高校では、21日が9校、22日が39校、24日が57校、27日が44校とばらばらで行われた。そのため、兄弟姉妹で休みがずれて困ったとの声もあった。高校で月曜日や火曜日を休みにした学校は何か特別な理由があったのか、実施日の設定について想定どおりだったのか。
【理事者】
県立高校と特別支援学校では、11月21日から27日までのあいちウィーク期間中の1日を各学校が実情に応じて県民の日学校ホリデーとしている。よって、ある程度分散することは想定していた。
実施日の設定については、各学校が実情に応じて判断することであり、その日に設定した理由までは把握していない。
【委員】
理由までは分からないとのことで、設定の仕方は難しいところでもあるが、県民からの意見を紹介する。ある家庭では、高校生の長女が22日、小学生の次女が24日と休みがずれてしまい、結局親は休むことができず、朝もきちんと起きなければならないとの声があった。こうした事態も想定して考慮すべきである。
簡単には休めず、県民の日学校ホリデーで困ったとの声も聞いている。保育や介護など、福祉職場の労働組合が行ったアンケートでは、休校で困っているかの質問に6割が困っていると答えている。有給休暇の取得と言われても、子供の体調不良のときに備えて休暇を取る余裕がない。障害児を預かってくれるデイサービスは空きが少なく、希望どおりに預けられない。全ての保護者が休める環境を整えてから実施してほしいといった切実な声が届いている。
県民の日学校ホリデーにより生じる課題について、教育委員会はどのように把握し、問題解決のために何か対策を講じてきたのか。
【理事者】
県民の日学校ホリデーとラーケーションの日の実施に当たっては、本年2月以降、市町村教育委員会の代表、小中学校の校長会、PTA、教員の代表から意見を聴取する愛知県休み方改革プロジェクト意見交換会を開催し、課題の把握と解決に努めてきた。
意見交換会では、保護者が休みを取得できない場合の対応をどうするかが大きな課題であると指摘されていたので、県教育委員会では、関係部局と連携し、子供の居場所づくりに取り組んだ。福祉局を通じて各市町村に放課後児童クラブの臨時開所を呼びかけたところ、県民の日学校ホリデー当日に午前中から終日対応した施設もあった。
また、各市町村教育委員会では、所管する月曜休館の図書館、美術館等を臨時開館するだけでなく、有料の科学館、資料館を無料開放したり、県民の日にちなんだ特別イベントを開催したりするなど、子供たちの居場所が増えるよう県全体で関係局と連携した取組を進めた。
【委員】
意見交換会でも、保護者が休めない場合の対応が課題だと認識されている。一定の対応があったことは聞いているが、学校が休みになることで子供たちと保護者への影響は少なくない。特に、ケア労働の従事者など、休みにくい職場で働く保護者の声をしっかりと受け止めてほしい。障害児の対応についても配慮が足りなかったのではないか。
特別支援学校は教育の場であるとともに、専門的ケアの下で安心して過ごせる居場所である。一日家で一緒に過ごすこと自体、大変なこともある。仕事を休めず、児童デイサービスなどに預かってもらおうとしても、朝から開所するか否かは事業所ごとの判断に委ねられていた。ふだんでも空きを探すのが大変な状況で、本当に苦労したとの声が寄せられている。保育所や学童保育所には県から開所要請があり、それなりの支援もあったとのことだが、障害児の居場所についての配慮がなかったのではないか。声を上げづらい子供たちや保護者の思いに寄り添った対応が特に必要な部分である。教員や保護者から危惧する声を教育委員会はどう把握し、十分な対策を講じたのか。現時点で振り返ってみてどうだったのか。
【理事者】
障害のある子供については、県民の日学校ホリデーの日に保護者が仕事を休めない場合の子供の受入先として、放課後等デイサービスの利用を想定していた。実際の状況については、1月に行う調査を通して把握する。
【委員】
1月の調査を通して把握するとのことで、現時点での振り返りは答弁になかったが、やはり配慮が必要だったとの認識はあるのか。
【理事者】
今回は、県からの要請は行っておらず、保護者からの連絡に任せた部分はある。そのあたりは把握している。
【委員】
そこは保護者の思いに寄り添った対応が不足していた部分だと考えているのか。
【理事者】
1月の調査で状況を把握したい。
【委員】
調査によりしっかり把握し、きめ細かく丁寧な対応をすべきだと重ねて指摘しておく。
県民の日学校ホリデーに関するアンケートによれば、困っている人が6割もおり、SNS上でも子供は休みだが親は仕事だとの声は幾つもあった。何のための休みだったのか。部局間で連携して、今回寄せられた声と併せてアンケートで丁寧に聞き取り、実態を把握した上で、休みの設定については、それらの声を反映して検討してすることを要望する。
続けて、学校の校則について伺う。
日本共産党国会議員団や日本共産党東京都議会議員団が、高校生の人権侵害の校則を変えたいとの声と一緒にアンケートや論戦を行ってきた中で、昨年、12年ぶりに生徒指導に関する学校教職員向けの基本書である文部科学省の生徒指導提要が見直された。これは大変重要な前進である。各地で校則見直しが進められている。愛知県の校則についても、シールアンケートや日本共産党の校則アンケートに疑問の声が寄せられた。問題意識を共有しながら、子供の人権を大切にする立場で改善に向け取り組んでほしい。
改訂された生徒指導提要には、子どもの権利条約が書き込まれた。生徒指導の留意点の第一に、児童生徒の権利条約への理解を置き、権利条約の重要性を強調している。生徒指導を実践する上で、子どもの権利条約の四つの原則を理解しておくことが不可欠だとしているが、この四つの原則について確認する。
【理事者】
児童の権利に関する条約における四つの原則とは、第一に、児童生徒に対するいかなる差別もしないこと、第二に、児童生徒にとって最もよいことを第一に考えること、第三に、児童生徒の生命や生存、発達が保障されること、第四に、児童生徒は自由に自分の意見を表明する権利を持っていることである。
【委員】
もう一つ、子どもの権利条約28条第2項について確認する。
【理事者】
児童の権利に関する条約の第28条第2項は、締約国は、学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って運用されることを確保するための全ての適当な措置を執るとしている。
【委員】
簡単にいえば、学校の決まりは、子供の尊厳が守られる考えから外れるものであってはならない。校則見直しの基準として押さえておきたい部分である。子どもの権利条約がいきる学校の環境改善が必要である。
しかし、私たち日本共産党愛知県委員会が行った校則アンケートによれば、尊厳が守られていない、人権侵害や表現の自由が侵害されている実態が明らかになった。また、校則については、愛知県弁護士会も調査を行っている。
生徒指導提要には、校則によって教育的意義に照らしても不要に行動が制限されるなど、マイナスの影響を受けている児童生徒がいないか、いる場合にはどのような点に配慮が必要であるか、検証、見直しを図ることも重要と明記されている。日本共産党が取り組んだアンケートでは、校則があることによって、心理的状態について、とても疲れる、監視されているようで窮屈との回答が合わせて67パーセントに上っており、検討、見直しが必要である。
人権侵害など問題のある校則の存在が子供たちを苦しめている。中には、意味の分からない校則のせいで校則の緩い他校と比べてしまい、電車で毎朝病んでしまうので早く変えてほしいといった声もある。こうした状況を放置してはいけないと思うが、校則の見直しの必要性について認識を伺う。
【理事者】
県教育委員会では、校則が社会的関心事になっていることもあり、生徒や保護者が厳し過ぎると感じるものや現在の社会通念に照らしてそぐわないもの、子供の人権を侵害する可能性があるもの、個別の事情のある生徒への配慮に欠けるものなどがないかを点検し、見直しを行うよう各県立学校を指導してきた。その結果、多くの県立高校ではそうした観点に立った見直しが進んでおり、本年度末までに全ての県立高校において見直しが行われる予定である。
昨年12月に改訂された生徒指導提要では、学校や地域の状況、社会の変化等を踏まえて、その意義を適切に説明できない校則については、改めて学校の教育目的に照らして、適切な内容か、現状に合う内容に変更する必要がないか、また、本当に必要なものか、絶えず見直しを行うことが求められている。
今後も、こうした考え方に沿って、各学校が適切かつ不断に校則の見直しを進めていくことが必要であると考えている。
【委員】
校則の見直しを行っていくことが必要であるとの答弁だった。子供たちへの影響を考え、人権やジェンダーの視点から、ぜひ県としても引き続き助言をしてほしい。
具体的な校則として、日本共産党のアンケートで多くあったのは、ツーブロックなど特定の髪型の禁止である。これは、愛知県弁護士会のアンケートにもあった。ツーブロックや刈り上げの禁止、普通のまとめ髪はよいが、三つ編みをしてお団子にすると駄目などである。実際に、私も幾つかの学校の校則を確認すると、奇抜な髪型、部分的に著しく刈り上げる等の禁止、髪止めは黒、紺色や茶色など派手でないものとすること、髪の毛を縛るシュシュという飾りは禁止、パーマ、カール、エクステ等の加工は認めないなどの規定があった。
また、高校生らしいや常識の範囲内など、抽象的な表現で規制する傾向もあった。先生によって指導内容に違いが生まれる要因の一つであり、明確になぜ駄目なのか説明できない。高校生からは、ルールだからとしか言われないとの声が寄せられている。髪型は、アイデンティティーに関わるもので、自分らしくいられないことは、人によって、日々苦痛を強いられてしまうものである。髪型は自己表現の一つとして、自己決定権が保障されるものである。多様性への配慮が必要な部分である。髪型は、学校以外の場における自由にも影響が及ぶ。髪色が黒であることを前提にしていることも、多様性の観点から問題がある。自己決定権が脅かされ、尊厳が守られていないと思うが、認識を伺う。
【理事者】
校則は、生徒が健全な学校生活を送り、よりよく成長、発達していくために、学習上、生活上の規律として設けられるものである。校則の在り方は、法令上は特に規定されていないが、これまでの判例では、社会通念上合理的と認められる範囲において、教育的意義を有するものとされている。したがって、髪型などの自己表現は、個人の自己決定権に属するものではあっても、校則により社会通念上の合理的範囲において一定の制限を行うことはあり得る。ただし、生まれつきの髪の色や髪の質などを校則に合うように変えさせることは、適切ではないと考えている。
【委員】
髪型については、自由が及ぶ部分だと思う。髪の色については答弁があったが、ツーブロックをなくしてほしいとの声は多く寄せられている。
ある弁護士会の中で言われているのは、校則は学校におけるルールだが、本来、ルールは、人を縛るものではなく、人を守る役割を担うものである。したがって、校則は、生徒が教育を受ける権利を保障するとともに、学校という集団の中で個々の生徒の人権を保障する役割を担うべきもののはずとのことである。校則が単に上から生徒を縛るものになってしまっており、生徒の権利や人権を守る役割が果たされていないとの弁護士会からの指摘もある。
私も毎週シールアンケートを行い、ツーブロック禁止をなくしてほしいとの声や、中には女子だけがツーブロック禁止と言われた高校生もいた。ジェンダーの視点がそこには全く反映されていない実態もあり問題である。自己決定権が保障されるように、見直しを求めてほしい。
次に、校則に違反した場合の指導について、日本共産党が行ったアンケートの中で、頭髪や服装、持ち物検査があるとの回答が28人いた。検査に対しては、どちらかといえば嫌、とても嫌が多数だった。検査が行われることで、監視されているように子供たちは感じてしまう。ひどいものでは、下着の色をチェックされた実態も回答にあった。
愛知県弁護士会の調査にも、制服からはみ出したインナー類等の着用は禁止、不適切な着用を認めた場合は預かり指導をするものがあった。ほかにも、髪型で違反した場合、カードをもらい、カード4枚で反省文、20枚で謹慎との声もあった。
一人一人の子供が安心して安全に学ぶ権利を守る観点から、登校を制限する謹慎の指導は、学ぶ権利の侵害である。下着のチェック、下着の預かりは、尊厳を奪うものである。反省文も過度な指導だと思う。この間、寄せられた意見には、スマートフォンを没収されたとの声もあった。このような行き過ぎた指導は適切ではないと思うが、県の認識を伺う。
【理事者】
校則に基づく指導を行うに当たっては、校則を守ることばかりにこだわらず、制定された背景や理由を踏まえて生徒が自分事として校則の意義を理解し、自主的に校則を守るように指導していくことが重要である。その上で、校則に違反した場合には、行為を正すための指導にとどまるのではなく、違反に至る背景など、生徒の個別の事情や状況を把握しながら内省を促すような指導となるよう留意する必要がある。各県立高校に対しては、こうした考え方に立って適切に校則に基づく指導を行うよう、引き続き促していく。
なお、県教育委員会として不適切な指導と考えているのは、大声で怒鳴る、物をたたく、投げる等の威圧的、感情的な言動で行う指導や、生徒の言い分を聞かず、事実確認が不十分なまま思い込みで行う指導、ほかの生徒の面前で叱責するなど、生徒の尊厳やプライバシーを損なうような指導、指導後に適切なフォローを行わないことなどである。
【委員】
下着の預かり指導などは、あってはならないと思うがどうか。
【理事者】
各校則に関しては、各高等学校の校長が教育目標等を踏まえて制定しているものである。ただし、先ほども答弁したとおり、現在の社会通念に照らしてそぐわないものや子供の人権を侵害する可能性のあるもの、個別の事情のある生徒への配慮に欠けるものがあれば見直しを行うよう、各県立高校を指導したい。
【委員】
人権侵害や配慮が欠けるものの見直しを求めるとのことであるので、こうした下着の預かりや、学ぶ権利を侵害するような謹慎についても、見直しを求めるべきである。人権侵害の校則とともに、やはり子供に罰を与えるような指導は誤りである。不快な検査や尊厳を奪うような指導も、考え直す必要がある。
校則見直しの動きと同時に、各学校の校則が学校の公式ホームページに掲載されている。岐阜県や三重県では、全ての学校で既に公開されている。愛知県内の状況について、既に公開している学校数、年度内に公開予定の学校数をそれぞれ示してほしい。
【理事者】
校則をホームページで公開している学校数は、今月11日の時点で、県立高校150校のうち、49.3パーセントに当たる74校である。残りの学校も年度内に公開する予定である。
【委員】
県立高校については、年度内に全ての学校が公開されるとのことである。ぜひ頑張ってほしい。私立高校について、私学振興室に問い合わせて状況を確認したところ、校則が公式ホームページに掲載されている学校は、全55校のうち、1校だけであった。年度内の公開予定数も20校にとどまっている。
改訂された生徒指導提要は、もちろん私立学校も同様に基準となる。これは、後日、また別途、公開を求めていきたいと思っている。
学校の校則については、生徒も参加して一緒に考える機会をつくることが大事である。子どもの権利条約における、意見表明権の保障である。しかし、日本共産党が取り組んだアンケートでは、校則の中にルールを変える方法が記載されているかとの質問に、書かれていないし教えられてもいないと答えた高校生が53パーセントいた。
また、愛知県弁護士会の調査でも、校則見直しに関わったことがないが74.4パーセントとなっていた。実際に県教育委員会の調査でも、校則改定について明文化している学校は、県立高校150校のうち41校、27.3パーセントと僅かである。
多様な生徒の意見をしっかり反映させるために、校則改定への生徒の参加方法を分かりやすく明記する必要があると考えるが、見解を伺う。
【理事者】
生徒指導提要では、校則は、生徒や保護者等の学校関係者からの意見を聴いた上で見直しをしていくことが望ましいとされている。また、その見直しに当たって、どのような手続を踏むことになるのか、過程についても示しておくことが望ましいとされている。
県教育委員会としては、この方針に沿って対応するよう、各県立高校を指導していく。
【委員】
私たちが行ったアンケートにも、校則を生徒が主体的に決められるようにしてほしい、生徒の意見を取り入れてほしいといった声が寄せられた。ぜひ全ての学校で、校則を変える方法や参加の仕方などが分かりやすく明文化されるよう、促進してほしい。また、校則の見直しに当たっては生徒の意見を反映させることが不可欠であると、弁護士会の指摘がある。そのためにも、学校は生徒に対し、校則についての自由な議論を保障すべきだと言われていることから、この点も現場に伝えてもらいたい。
愛知県内でも校則見直しに生徒が参加して行っている事例があると思うが、把握しているものがあれば、どういった工夫や努力が行われているのか伺う。
【理事者】
本年5月に県立高校に対して、校則の見直しにおける生徒や保護者などの参加状況を確認した。その結果、校則を昨年度までに見直した、あるいは、現在見直し中の学校は合わせて123校あり、そのうち、生徒の意見を聴いた学校が67.5パーセントの83校、保護者の意見を聴いた学校が53.7パーセントの66校、これらの中で、生徒と保護者の両方に意見を聴いた学校は45.5パーセントの56校あった。また、地域に意見を聴いた学校も17.9パーセントの22校あった。
代表的な事例としては、足助高校で昨年度から本年度にかけて、生徒が主体となって校則を考えるルールメーキングプロジェクトを実施している。制服やスマートフォンの取扱いなど、生徒が問題意識を持った校則について、生徒同士がクラスや委員会での話合いを重ねて校則案を練り上げ、生徒が職員会議でプレゼンテーションを行い、教員と意見を交換しながら校則の見直しに取り組んでいる。
また、一宮工科高校では、生徒や教員にアンケートを実施し、生徒と保護者、教員で意見交換会を行った上で、頭髪の染色や化粧を一定程度認めるといった新しい校則の案をつくり、それを三、四か月程度の期間を区切って試行的に運用している。試行的な運用の後に改めてアンケートや意見交換を行い、新しい校則をブラッシュアップする取組を行っている。
【委員】
両方とも大事な経験である。そのような進んだ経験を全ての学校で共有し、その他の学校でも校則見直しの動きをつくっていけるようにすることが必要である。
東京都は、校則等の自己点検及び見直しの実施について通知を出した。最初に、校則等の点検の指定について、例を示して記載がある。二つ目に自己点検及び見直しの実施、三つ目は校則等の周知という項目である。見直しの視点を踏まえた自己点検の実施と、校則見直しに取り組むことをお願いしている。通知には、教職員や生徒、保護者が話し合う機会をつくることも工夫するよう求めている。
愛知県でも、紹介した先進事例などを情報提供し、校則見直しを積極的に進めるよう促してもらいたいが、どのように考えているのか。
【理事者】
県教育委員会としては、これまでも、生徒指導を担当する教員が集まる会議や研修会において、校則見直しの好事例について情報提供を行ってきた。
今後も、新たな好事例を含め、機会を捉えて情報提供していくことで、校則の見直しを積極的に進めるよう促していきたい。
【委員】
12月6日のしんぶん赤旗に、30万人に迫る不登校、過剰ストレスで心に傷との記事が掲載された。本当に深刻な事態である。不登校の子供を持つ親などが参加する会の代表は、主要なストレスの要因は、学力の向上といった競争圧力と、規範意識という同調圧力と分析している。
また、子供のストレスを減らすために、学校では少人数学級や正規教員の増員を進め、競争や管理教育から、子供主体のゆとりある教育への改革が必要だと述べている。子供たちの人権が大切にされ安心して通える学校になり、生徒も教職員も過ごしやすい学校で、豊かな教育が進められることを求める。
【委員】
岡崎聾学校の聾幼児教育相談について伺う。
聴覚障害のある子供の場合、障害の程度も重度、高度、中等度、軽度など様々であり、改善の方法についてもそれぞれ手法が異なる。特に、言語コミュニケーションの基礎を培う乳幼児期に、いかにしっかりとした支援や相談体制ができるかが、子供たちのその後の手話言語の取得や、親子とのコミュニケーションにとっても非常に重要である。重度の聴覚障害の場合であれば、発見は早いと言われているが、軽度または中等度の場合だと、ある程度成長していく中で聞こえについて保護者が少し不安を感じたときに、病院や相談センターに行くことになり、どうしても発見が遅れる傾向にある。教育・スポーツ委員会でも、千種聾学校ひがしうら校舎を調査したが、大変すばらしい施設だった。施設はもちろんのこと、子供たちが本当に笑顔で、先生と一緒に手話を交えながら会話をしていることから、やはり早期の教育相談が行き届いているからこそ、しっかりとした手話の獲得、言語の獲得ができていると感じた。中でも、ひがしうら校舎の早期教育に関する立派な施設には驚いたが、それを見てしまうと、岡崎聾学校の施設は悲しくなる思いである。
岡崎聾学校では、幼稚部に入学する前の0歳から2歳までの乳幼児について教育相談を行っているとのことだが、具体的にはどのようなものか。
【理事者】
聴覚に障害のある子供の言語習得の基礎は、3歳までにほぼ完成されると言われている。そこで、早期に対応を始める必要があるとの観点から、特別支援学校の幼稚部や幼稚園に上がる前の0歳から2歳までの乳幼児で、聞こえない、聞こえにくい、あるいは聞こえや言葉に心配のある子供とその保護者を対象として、週1回や月1回など、子供や家庭の状況に応じて定期的に教育相談を実施している。
その具体的な内容は、子供に対しては、生活場面や遊びを通して言葉の発声や手話の指導などを行い、保護者に対しては、子供とのコミュニケーションの取り方や関わり方などについて支援を行っている。
【委員】
岡崎聾学校で教育相談を受けている乳幼児の人数と、その中で豊田市の乳幼児の人数はどうなっているのか。
【理事者】
岡崎聾学校で教育相談を受けている乳幼児は、直近の3年間で、2021年度は42人、うち豊田市からは1人、昨年度は39人、うち豊田市からは5人、本年度は現時点で31人、うち豊田市からは5人である。
【委員】
岡崎聾学校の校区は西三河全体にまたがっており、かなり多くの乳幼児を受け入れてもらい本当にありがたい。
先日、岡崎聾学校の0歳児から2歳児までの教育相談を行っている教育相談棟を視察したところ、かなり老朽化していると感じた。教育相談棟は平家建てで、それほど面積も大きくないが、今後の改修計画はあるのか。
また、聴力検査を行う機器もかなり古いものであったが、いつ設置したもので、更新計画はあるのか。
【理事者】
教育相談棟は、1972年3月に建築した建物で、面積は152平方メートルである。この建物は、2010年度に外壁やトイレ改修を行ったが、現在進めている県立学校施設長寿命化計画には含まれていない。教育相談棟の改修は、個別の判断で対応する。
また、聴力検査機器は、現在、教育相談棟に新生児から幼児用の検査機器を5台設置している。設置年度を見ると、最も古いものは1991年度に購入したものであり、新しいものについても2007年の購入である。こうした機器を含め、県立学校に設置している備品については、学校からの更新要望を聞き取り、緊急性の高いものから順次更新している。
【委員】
1972年に建てられた152平方メートルの建物とのことで、1979年生まれの私よりも前に建てられており、かなり老朽化が進んでいる。
一方で、2010年度に外壁を修繕し、また、トイレも改修したとのことだが、中身の改修も必要である。そもそも長寿命化の対象ではなく、全く計画もないとのことだが、子供たちにとって楽しいという表現が適切かは分からないが、より安心できる形にしてほしい。また、一緒に来る保護者が安心できるとよい。特に中等度、軽度の子供だと、精度の高い検査機器があれば、より早期に発見でき、障害の程度が改善していくことで、そのまま地域校に移行して、学業ができる可能性も多々ある。ぜひ内部の修繕やリニューアル、機器の更新について検討してほしい。
0歳児から2歳児は、学校教育前であることから福祉の役割が重要である。福祉とはどのように連携しているのか。
【理事者】
聴覚に障害のある子供については、できるだけ早い時期から適切に対応する必要があるため、福祉と教育が連携して、言語聴覚訓練等を行っていくことが重要である。
厚生労働省と文部科学省が連名で2022年2月に難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針を示したことを受けて、本年度、県において、保健、医療、福祉、教育などの関係者を構成員とする難聴児支援協議会が設置された。今後、この協議会を中心に関係者と情報や課題を共有し、協議しながら連携を深め、聴覚に障害のある子供とその保護者を支援する体制を整え、必要な支援が切れ目なく届けられるよう努める。
【委員】
ぜひ福祉と教育で連携してもらいたい。併せて、連携していく上では、子供と保護者を中心に置いた考えの下で進めてほしい。例えば、岡崎聾学校だと、教育棟は教育委員会の建物で、早期教育相談も全て岡崎聾学校の先生が担っていると思うが、言語的な専門家に依頼して早期の教育場面で活躍してもらうことになると、学校教育ではないため、福祉でお願いすることになる。県の予算では教育と福祉は完全に別だが、そこがしっかりと連携できるようにしてほしい。また、教育委員会からも、聴覚障害の乳幼児における役割、早期の療育の重要性を考え、うまく縦割りにならないよう調整してほしい。
次に、豊田市に新設が検討されている特別支援学校について要望する。準備が進められている中で重ねての要望になるが、学校をぜひ障害者スポーツの拠点になるよう整備してほしい。
障害者スポーツは、障害者だけで準備することは非常に大変である。コート一つにしても、最初からラインが引いてあるだけで30分程度時間を短縮でき、障害者だけで行っても利用できる。そのように、障害者スポーツの拠点になることを見据えた整備をお願いしたい。教育委員会とスポーツ局が持っている障害者スポーツの知見も十分に生かして、開かれた障害者スポーツの拠点になるよう整備してほしい。
また、体育館には、災害の発生に備えるとともに、夏場の暑さに対する体温調整が難しい児童生徒もいることを踏まえ、LPガスを用いた発電機付きの空調設備の設置を検討するよう要望する。