委員会情報
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委員会審査状況
教育文化・福祉対策特別委員会
( 委 員 会 )
日 時 平成23年8月31日(水) 午後1時~
会 場 第8委員会室
出 席 者
松山 登、渡辺 昇 正副委員長
川上万一郎、鈴木孝昌、原よしのぶ、近藤ひろひと、寺西むつみ、谷口知美、
日比たけまさ、佐藤 敦、平岩 登、錦見 輔、市川英男 各委員
金子 肇 参考人(学校法人国際学園 星槎中学校・星槎高等学校校長)
水野髙保 参考人(学校法人国際学園 星槎名古屋中学校開設準備室室長)
教育長、管理部長、学習教育部長、生涯学習監、関係各課長等

委員会審査風景
<議 題>
不登校等の生徒を支援する学校運営のあり方
<会議の概要>
1 開 会
2 正副委員長あいさつ
3 委員自己紹介
4 委員席の決定
5 議題について参考人からの意見聴取
6 質 疑
7 理事に関する申合せについて
8 理事の指名について
9 委員による個別の県外調査について
10 閉 会
《参考人の意見陳述》
【金子参考人】
いろいろ資料をお配りしておりますが、そのファイルの最初のスクールガイドを中心に私たちが取り組んでいる様子をお話させていただきたいと思います。まず、スクールガイドの2ページを御覧いただきたいと思います。
名古屋市でも、不登校や学習障害等の生徒さんがかなりいらっしゃるというようなお話で、横浜市も例外ではなく、不登校あるいは発達障害の子どもたちが、本当に心を開いて行くことができる学校がないということで、横浜市批判をするわけでありませんが、事実として幼稚園も私立にお任せしている状態でございます。
それから、横浜市の場合、こういう学校を新しくつくるときには横浜市立ではつくらずに、私立でつくるということで、その当時、平成16年の話ですけれども、小中学校を合わせて不登校の子どもが2,600人ぐらいおりましたが、それを何とか打開したいということで、横浜市が小泉内閣当時に教育特区を申請して認定され、そしてその結果、星槎中学・高等学校の中の中学校を開校することで、県が認可をしました。平成17年に開校して、現在7年目を迎えている中学校でございます。
なぜそういう学校が必要かということについてお話をさせていただきますと、養護学校にはちょっと行くことができないが、普通の子どもたちと一緒に学ぶには少し遅れがあってなかなかできない。そういう中で、横浜市の場合では、ちょうど養護学校と普通学校のはざまにいる子どもたちが心の居場所がなく、フリースクールに膨大なお金を払って通っているか、それでなければ家に引きこもっているか、ふらふらしているというような状態がありました。
こういう状態を何とか打破したいということで、横浜市が内閣府に教育特区を申請して、そして神奈川県が認可してできました。私学では比較的新しい学校、初めてできた学校と言っても過言ではないというような中学校でございます。その中で、今申し上げた不登校の発達障害等の子どもたちを対象にしておりますが、不登校の子どもや発達障害、また、LD(学習障害)といった子どもたちの区分が難しい。必ずしもそういう障害が不登校の原因であるということは言い切れないし、また、障害がある子どもでも非常に優秀な子どもがいて、特にアスペルガー症候群の子どもは非常に知能が高いが、人との関わりができない。そういうような子どもたちが非常に多く在籍しております。
そういうことで、そういう子どもも星槎の教育の理念に従って教育したらよいのではないかということで、星槎の教育の理念は「必要とする人々のためにそのいろいろな道を開こう。」という教育理念であり「人を排除しない」、「仲間をつくる」、そして「人を認める」というインクルージョン的な教育も取り入れてやっているのが星槎の現状であります。ですから、そういうことで始めたのですが、元々は長い歴史がありまして、今の宮澤会長が慶応大学の学生の頃、たった二人の子どもが道端で学校に行かずふらふらしており、かわいそうだということで、その子どものために学習塾を開いて勉強を教えました。土のようにぬくもりを感じるような、学校らしくない学校をつくろうということで、その学習塾から始まり、現在星槎大学まで小学校を除いて全ての校種があります。「人を認めること」、「人を排除しないこと」、「仲間とともに学校生活を送ること」という、その三つの理念で始めたものですが、この中学校は2ページにありますように、平成12年に「LD児の自立を支える親の会」というものがありまして、そこがフリースクールで高いお金を払うのは大変だというので、そのお母さん方が集まって、子どもたちの教育を進めておりましたが、やっぱりいろいろと経費もかかって経営難になり、その当時は宮澤学園と申しましたが、そのときに初めて星槎がそのLDの会を引き受けて始めた学校であります。そしてその10年間の実績が認められて、横浜市が星槎に着目して、国に申請して教育特区を受けたということが一つであります。
それから17年には中学校がそれで開校したのですが、中学校3年間はそれで何とかなるけども、それに接続する高校がなければ、中学校で3年間過ごしても、結局は元のもくあみで不登校になってしまうのではないかということで、神奈川県が1年後に星槎高等学校の開校を許可したものであります。教育特区は、校地校舎が借り物でよい。私学をつくる場合には私有財産がなければできないのですが、借り物でよいですよというのが一つと、それからもう一つは教育課程、要するに教育内容は校長の裁量でよいということです。何も中学の学習指導要領に従って教えなくてもよいですよと、子どもに合わせて教えてよいですよと、これが二つ目の特徴であります。
それから、どうしても学校に来られない子はIT、インターネットで勉強を進めてもよいというその三つの条件が許されて設立したものでありますが、実際に本校の場合、中学校の過去7年間の出席率を見ますと、全て毎月90パーセント以上の出席率を保っております。子どもがどうして急に登校できるようになったのか、その要因がいろいろ難しくて分かりませんが、私はやっぱり子どもが仲間をつくって、先生も友達のようで何となく学校が居心地よいという雰囲気があって、毎月90パーセント以上の出席率を保っているのではないかというふうに自負しております。今は教育特区の所管が文部科学省に移りまして、本校の場合には、長いタイトルで指定を受けておりますが、「不登校児童生徒等を対象とする特別の教育課程を実施する学校」として、教育特区のときの三つの条件は変わりがないのですが、文部科学省の指定校として、今学校運営を進めております。
それから次に、今現在そういう子どもたちがよく学校に来るようになったのはどんな学校の運営をしているからなのかということになると思うのですが、1学年60名の定員で15人ずつの4クラスの少人数の学級編制をして運営をしております。その中でもう一つの特徴は、教科になりますと、進度が非常に進んでいる子どもと遅れている子が目立ちますので、教科によって習熟度別の授業を進めております。ですから、今まではこの学校というのは、私の経験から、学校に子どもを合わせていたが、今は子どもに学校が合わせるような形で教育内容を組んでやっておりまして、子どもはできるところから出発しておりますので、できたことに満足感、充実感を覚えておりまして、これは小学校の内容だと言って教えるわけでありませんので、子どもたちが大変仲良く気持ちよく学習しております。
最初は定員程度だったのですけれども、過去3年間で急に応募する方が多くなって、現在定員60名のところに約200名の応募がありまして、入学できなかった子どもたちがフリースクール等に行くことも非常にかわいそうだなと思っていますが、今の私たちの予算の現状ではやりようもありませんので、60名定員にしておりますが、県に特別にお断りして定員オーバーして1学年で5名から6名程度多く入学させて、196名在籍しているのが現状でございます。
1ページに戻りまして、ここに、受験者向けに書いてありますが、学校運営上非常に手のかかる子どもたちですので、先生が本気になってやりませんとできません。したがいまして、先生方が大体帰るのが午後9時で、出勤は午前8時ですけれども、会議はどうしても午後9時までしませんと、子どもの指導ができないのが現状で、子どもの細かな行動観察をして、その進歩の状況を認めながら、ほめたり、時にはきちんとしかったりしながらやっていくために、その次の日の準備をするのに非常に時間がかかります。
一番大事な視点は、自信を回復させることです。子どもたちが、やっぱり僕もやればできるんだ、私もやればできるんだと思うのが自信の回復です。それから個に応じた教育ですが、今、口だけでは個に応じた教育が叫ばれておりますけれども、本当にこの個に応じた教育を私たちがやっているかどうかを非常に私自身も疑問に思っておりました。ですから、一人ひとりの子どもというものに対して、例えばですね、今私の教室にずっと来ている子がいるのですが、その子は絵しか描かない。絵を描きに学校へ来る。だけどそれはその子なりに認めていたのですけれども、一年半たったときにやっと英語の授業だけ出るようになった。次に、数学も出るようになったといって、今7割近くの授業を受けるようになっておりますが、そういうときに、やっぱり個に応じた教育というのは、ただ子どもにその都度その都度やるのではなくて、ほんとに子どもの個性というものを見極めて、その特徴を伸ばしながら、何らかの形で、スポーツでも芸術でも何でもよいのですけれども、そういうふうにして育てる、個に応じた教育というものが大事です。学力等の観点からいけば、それを習熟度別に分けており、このレジュメの中に非常に細かく時間割を組んでおりますが、クラスに入れば、この中から上手に組み合わせて単純な時間表になるのですけれども、全体的には習熟度別学習をするとこのような難しいものになってしまいます。
それからもう一つは、私たちは特性というものが認められた子どもにはそれなりの指導ができるのですが、何らかの形で子どもの特性というものをどんな小さいことでもよいから認めています。例えばですね、体育の時間には、例えばボールを蹴ったときに、子どもが自分でよく蹴れたと思っているかを先生が見逃してはだめだと言っています。その時にすごいキック力だなと言ったときに、子どもが先生に認められて僕もやっぱり何かできるのかなと感じ、関わりの不得手な子どもも非常にその話を先生によくしてくるとか、友達も介していろいろと話ができるようになる。だからちょっとしたことでも伝え、体力のある子ならそういうところを認めて、励まし、養っていくようなこともしております。そういうことで、今私が申し上げた3点、自信を回復したり、もう既に個性が十分見受けられる子どもにはそれなりのことを助長しながらやっていくこと、全ての子どもに、新しい個性の発見というものについてどんなささいなことでもよく見て、そしてそれをきちんと評価をしてやっていくということで、その日その日にやらないと忘れてしまいますから、時間がかかっております。それが一つです。
それから資料に逆三角形のマークがありますが、私が3番目に言った可能性を信じるということで、その可能性は白塗りにしておいて、そこが赤になろうが何色になろうが、将来そこが発達する可能性を信じて、そこを白にしております。これは私の今付けているバッジのグリーンに更に白抜きになっているものであります。
それから、二つ目はですね、これは非常に保護者からもいろいろ意見があるのですけれども、本校では子どもの特性をより調べるために、心理検査をやっております。そうすると、うちの子の偏差値は先生方に知られたくないとか、これはおかしいのではないかということもありますが、そういうものを乗り越えないと学校運営ができない。だからそういう方はそういうことを知らせない学校に行っていただきたいということで、私は思い切ったこともしております。それでもよく理解をしていただいて、その子どもの特性が非常によく分かるので、心理検査等をしている。これはかなり心理学に精通していないとできませんが、星槎は教育研究所がありますので、そこで非常に内密に、工夫をして検査をしております。
それからもう一つの特徴は、教科書を使いません。なぜ教科書を使わないかと言いますと、学習が遅れているような子どもにこれを1冊1年間でやりますよということになると、それが非常に子どもに負担になってしまう。だから、教科書には準じているのだけれども、お金はかかるが毎回毎回カラープリントにして、プリントを与えて1枚できたらファイルにとじ込むという形にしています。そしてその子どもが、1年間たったらこんなに僕は勉強したんだという実感を持てるようにやっております。ですから、私たち教職員の仕事は遅々として進まないのですが、1枚1枚そういうふうにして積み重ねていくようなことをして、結果的に子どもに成功感、あるいは満足感を与えるというようにしております。
また、個々に応じた指導は、教科書で一律にやっていたのではとてもできませんので、特に習熟度別については、そういうようなプリント作成や教師の授業の流れをつくるフローチャート作成が非常に大変で、これも教師の帰宅時間を遅くしている理由です。何も私もそれを誇っているわけではありませんが、現実に子どもに対応するには時間が必要です。その代わり、夏休みは思いっきり休んでいただいております。
次に本校の特徴といたしましては、宮澤会長の話が書いてありますが、その宮澤会長の理念とは、要するに、井戸を掘ったり、土を大事にするという思想です。井戸を掘って潤いを与えるのが教師の仕事だという気持ちを持って、それから土を大事にしない人間は、花を育てたりなんかすることもできない。だからやっぱり潤いを与えて井戸を掘った人が、やがては分からなくなってしまう。誰が掘ったのか分からない。ただ水を飲んでいるだけじゃ教育ができない。本当に井戸を掘ったときの精神というものを、潤いを与えるものだということで、星槎の教育を進めておりますが、そういう観点から非常に心の耕作をしたいということで体験をさせております。大変苦しい体験はいろいろさせております。例えば北海道に農園を持っておりまして、その農園に中学生を行かせて、そしてジャガイモを実際に作らせております。ジャガイモが採れた喜びを感じさせ、学校へ運んできて文化祭で使い、それを今回は東日本大震災の被災地に利益を還元してやるつもりでおります。そんなことも全て体験的な活動を重視して、あんまり机上での学習というものに重きを置きません。ですから、授業そのものも、とにかく子どもに活動させながら、知識を得ていくような、そういう事を中心にやっております。
それから、カリキュラム上に書いてありますように、時間は45分授業を基本としております。本当は50分やらなきゃいけないのですが、実際には45分にして、その足りない分は他の行事等で補てんをして、合計で50分の授業時間を確保するようにしております。ですから、栽培体験などの体験等も各教科のコアカリキュラム的に上手に割り振って、そして時間の確保はしております。それから、4ページに書いてあります教育課程についてですが、各教科は、中学校で学習指導要領に定められた教科はそのままですが、その他にSSTがあります。また、ちょっと詳しくお話をしなければなりませんが、ベイシックステップというようなものを実際に取り入れております。
そのベイシックというものがどういうことをやっているかと言いますと、子どもの力に応じて一緒に30人ぐらいやっているのですけれども、子どもの進度もまちまちで、先生が4、5人入っております。それで、国語とか数学とかの教科を専門に見る人や、あるいは、国語の中でも漢字専門、あるいは文法専門、そういうようにそのプリントができておりまして、その子どもに応じたものを多くの先生が同時に教え、それぞれの子どもの進度に合わせてやっている学習であります。マス計算等も取り入れておりますが、あれが全てではありませんので、子どもたちがいろいろな場合を想定して国語であろうと数学であろうと、そういうものもやっているのがベイシックの背景でありますから、個別指導で進めております。
それから、二つ目の表現ですが、これは、学習指導要領での表現力の育成ということで、星槎にも自分の考えや気持ちをなかなか表わせない子どもがいるので、自分の発表をする場を非常に多くしており、この表現の時間は、自分が書いてきたものを皆さんに発表するというようなこととか、それからディベートのような議論をするような場とかそういうものを中心に特別の科目として取り扱っております。
それから、SSTという科目がありますが、これは「ソーシャル・スキル・トレーニング」と申しまして、実際の生活習慣、例えばあいさつの基礎訓練をしたり、着替えについて訓練します。例えば体育の時間に、きちんと服を畳んでいれなさいよ、とそれだけ言っても、実際にきちんとしたしつけができない。家庭科や体育等の授業の機会を通して教えるのですが、それでも足りないものをここできちんと体験的に教えて、はしの持ち方等までいろいろと細かにしつけをしております。これがソーシャルスキルトレーニングであります。
総合の時間は、ステップの進路の授業とも重なりますが、本校の場合には、中学校の1年生から高校の3年生までを三段階に分けておりまして、実際に子どもたちが中学に入って卒業した時に、高校の進路が定まらなければ、ただ学校生活を楽しく送ったというだけで、将来世の中に出られませんので、そのために進路というものについても特に重視しております。進路の方向付けと検索ということで、いろいろな職業体験のビデオを見せたり、社会見学をしたり、工場見学をしたり、商店見学をしたりするということを中学校の1年生から随時やらしております。
それから、中三と高一の段階で進路について自分で考えを持って、これにしようかなということを高一までに決めさせております。そして高二と高三で、決めた進路について集中的に準備をしていっております。高校の大学への進学が約4割、専門学校が大体6割で、残りが就職となっております。今年もある程度は、大学進学は指定校推薦等もありますので、入っておりますが、実際に学校で中学校の1年生から高校の3年生までを三段階に分けて、職業的指導をしております。そういうことについて、細かい、意思決定能力とか情報活用能力とかキャリア教育にはいろいろありますが、そういうことをしております。
それからもう一つ大事なことは、こういう子どもたちですから、その持ち物なんかについても非常に問題がありまして、のりをつけると言っても、白いのりだと付いたのが分からず、何回もつけてパニックになってしまうような子どももおります。それか、自分の持ち物で何が中に入っているか見つからないと困るようなそういうものもあって、特に持ち物については特別に配慮をしておりまして、例えばのりなんかも色付きののりを買っております。それから携帯用のバッグなんかは、全部素通しのものを使っておりまして、中に何が入っているのか全部分かるようにしている。それから社会見学に行ったときに、カメラを渡したときにも、電池が切れて途中でパニックになるような子どもがいる。電池のチェックを全部して、社会見学をさせるとか、体験学習に臨ませるとか、そういうような特別な支援を特にしないと、この子どもたちが楽しい学校生活を送れないのが現状であります。
最後に、個別指導計画というのがレジュメの最後のところにありますが、これは子どもたちが家庭と学校と協力して、どのようにして自分の足りないところを補って、それを育てようかということでやっているものなのですが、これは星槎の個別指導計画というのは大変良いということで、横浜市でも3区生徒指導部会でこれを参考にして交流して過去3年間やってきたんですけど、なかなか公立がそういうことになじまない。なぜなじまないかと言いますと、公立の先生方が形だけはこういうものを作るのだけれども、形だけ作って、それを日常その先生が意識して指導していかないところに私は大きな原因があると思っています。これを一日一日、または1週間ごとにチェックして、担任が状況を見て行うよう指導しております。ですからこれを作りっぱなしにして、半年たったらまた見直すということは絶対いたしません。本校では、毎日大体5時から6時あるいは6時半まで子どもの動向を見て、これをもとにこういう進歩があったとかということを確認し、一人の先生がそういうものを見つけたら、他の先生もその子どもをほめて関わっていく。それが一番大事で、一人の先生が一人の子どもを褒めるだけではなく、周りの方もそれを共通理解して、次の日にはできるだけ教科で接したりしたときには褒めていく。私はこういうものが効果をもたらせると思います。公立では、生徒指導の先生がいくら頑張ってもなかなかそこまで全体のものにならない。だから一人の子どもをみんなで育てているという意識を私は特に持つように先生方にもお願いをしております。
そういうことで、学習面と生活面と両方分けて、子どもにこういう部分を補って育てたいというものに対しては、毎年毎年IEPというものをつくっております。これが個別指導計画、インディビジュアル・エデュケーション・プログラムというものです。
それから、進路について先ほど申し上げましたが、高校まで一貫教育をしておりますが、中学の子どもたちで、特に不登校等であった子どもたちが、もう中学3年生のときに他の学校に受かってしまうんですね。ですから、そういう子は遠慮なしに星槎高校に来ないで、他の学校に進学していただいて結構ですと言っています。そういう生徒は大体今年は6割で、去年も6割程度でした。他の学校でも通用する力が伴えばそこに進学して、星槎高校はその他の生徒を受け入れているというのが現状であります。
それから、星槎学校というのは、先ほど申し上げましたように、宮澤会長が学校へ行かずに道で遊んでいた二人の子どもをかわいそうだと思って塾を始めて、これだけ大きくなったグループです。ですから、もともと本当に子どものために先生が尽くすことが大切で、先生は大上段に振りかぶって解説的な授業をしていればよいというのではなく、子どもと一緒に育って良いところをお互いに認め合っていこうとやっております。ここに「関わり合い学校」という合作的な冊子がありますが、その最初のところの、「必要とされることを創造する」という部分をよく読んでいただけば分かると思いますので、時間がありましたら御覧いただきたいと思います。
大変まとまりもなく、雑ぱくなお話をさせていただきましたが、とにかく学校というのは、やっぱり子どもが行きやすくなければいけないし、行きやすくするためには、子どもに何らかの喜びがなければだめだということを私たちは念頭においてやっております。現状ではなかなか学校に行けない子どもが横浜市にもまだいて、編入させてくれという子どもも大勢おりますが、実際には受け入れられず、仕方なく現状でやっております。公立でできればもっとよいかもしれませんが、星槎のように、子どもが本当に心の居場所としていられる学校がいくつもできるとよいのではないかと考えております。私は公立学校の関係もやっておりましたので、そんなことも考えておりますが、とにかく子どもの幸せのためにこういう学校を一層充実させたいというふうに思っております。以上でございます。
【水野参考人】
本日は発言の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。3月で中学校の校長として38年の教員生活を終えました。たくさんの子どもたちに囲まれて、幸せな教員生活であったというふうに思っております。それがこれからどう生かせるかと思っておりましたが、御縁がありまして国際学園の方にお世話になることになりました。私の場合はまだ設立準備ということでございますので、私見を交えてお話をさせていただきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
先ほど委員長からもお話がございましたが、不登校の生徒でございますが、平成21年度の文部科学省の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」をもとにお話をしますと、名古屋市では市立小学校で463名、市立中学校で1,338名、合計1,801名が不登校という数字になっております。これが愛知県ということになりますと、先ほど委員長がおっしゃられました6,343名となっております。それで、名古屋市では、子ども適応相談センターや教育センター等が対応に関わっておりますが、愛知県の方でも、適応指導教室等が約40ございます。そういったところで不登校生徒の減少というようなことに日々お努めをいただいているのですが、それらの施設については基本的には生徒が元の学校へ戻るということを目指しております。ですから、なかなか学習指導には力を注ぐことができない状況であります。先ほど金子校長の方からお話がありましたが、横浜の星槎中学校では当然学習指導にも力を入れておるというようなところでございますので、名古屋における子ども適応相談センターあるいは愛知県下の適応指導教室とは若干異にするものではないかなというふうに思っております。それから名古屋市の方は、教育振興基本計画というものを策定しておりまして、その施策の一つとして、昨年の7月に不登校対応の私立中学校を運営する学校法人を公募するというようなことになりまして、12月に私どもの国際学園が選定されました。そこでは不登校生徒を受け入れる中学校や高校を運営しており、十分なノウハウがあるというようなこと、それから、通信制の星槎国際高校や星槎大学を持っており、その他さまざまな系列校との連携が期待できること、それから複数の教員によるきめ細かな指導をしており、横浜での実践が証明しているというようなことが、新聞報道されております。先ほど金子校長が詳しくお話をさせていただきましたので、御理解をいただけるかなと思っておりますが、私のこれまでの不登校の子どもに対する経験で一番有効であったのが、必ず子どもには良い点がありますので、その良い点を子どもに気づかせるということです。そしてそれをどんどん伸ばしていくことは自信につながり、それで学校へ戻ることができるというような例がたくさんありました。例えば、不登校になった女の子で、家でお菓子作りをやっているという子がおりました。特に何が得意だと聞くとクッキーですと答えたものですから、先生にもクッキー作ってよというようなところからいろいろ話をして、おいしいクッキーができたね、それをみんなに教えたらどうだろうねというように伝えることで自信が持てる。正直なところささいなことだというふうに思われるかもしれませんが、子どもたちにとっては、それは重要な部分であるというふうに私は思っております。ですから、これまでの教員生活でも子どもたちの良さを伸ばすために様々な場面を設定して、学校経営の方もやってまいりましたが、これについては間違っていないというふうに思っております。
この度国際学園の方にお世話になるにあたって、私のこの持論は申し上げました。良いところだけ伸ばしたいというふうにお話をしましたら、それで結構ですというようなお話がありましたので、そういったところから進めていきたいなというふうに思っております。それから、学習についてはやはり将来自立した社会人となるためには、やはり最低限の基礎、基本については身に付けておかなければなりませんので、これについても力を入れていきたいなというふうに思っております。それから、先ほど金子校長が教科書は使っておりませんというようなお話がございましたが、学校教育法では教科書を使いなさいというふうに規定があります。ただ、先ほど教育特区ということで、それは認められるということでございますので、教科書を更に分かりやすくして職員がワークシートを作って、それで授業をしているというのが横浜の星槎中学校でございます。そのノウハウは名古屋でも何とか踏襲していきたいなというふうに思っております。
それから名古屋市では、スクールカウンセラーというのが配置されておりますが、これは週に1日でございます。私どもはスクールカウンセラー常駐というような形で生徒の悩み等に対応できるようにしていきたいなというふうに思っておりますし、横浜も同様にやっていると思っています。それから、これも金子校長が申し上げましたが、体験活動あるいは生産活動については、子どもたちのコミュニケーションの能力を高めたり、あるいは協力しなければ事が運ばないという意識を持たせるためには必要かなと思っております。名古屋の場合はそういった適当な場所がありません。それで、私の退職した学校の近くの南陽町に、土地を提供してくださるという方がございますので、そちらの方へ子どもたちを連れて行って、生産活動等に参加させられればというふうに思っております。
学校を設立する予定の六反小学校の跡地でございますが、これは中村区にございます。私は2年ほど中村区の中学校にお世話になったこともありまして、あの地域の方とはよくお話をさせていただいて、子どもたちの職業体験ですとか、あるいは地域の歴史体験あるいは地域を知るという活動についてはその地域の皆さんが講師をやってくれるというふうな形で、進んで手を挙げてくださっておりますので、地域との関わりについては十分保てるのかなというふうに思っております。同時に、地域の行事等にも積極的に子どもたちを参加させ、あるいは学校での行事に地域の方に参加をしていただく。これも従来私どもがやってきたことで、そんなに難しいことではありませんので、地域との関わりをどんどん持っていきたいなというふうに思っております。それから近隣の小中学校との関わりを持って、狭い地域での子どもの活動ではなくて、他の同年輩の子どもたちとの関わりも持たせていきたいと考えております。設立の準備段階の話でございますので、これらはあくまでも私の私見が大きく占めますので、そういった点も改めて御了解をいただきたいなというふうに思っております。
それから、今のところ40件ほどでございますが、実は私どものところへお問い合わせがございます。その内で、私の教え子が大阪の方に住んでおりまして、先日私のところへ参りまして、子どもがアスペルガー症候群のグレーゾーンだと言われたので名古屋に星槎中学校ができるなら、うちの子どもも面倒見てよというような話がありました。大阪ですから新幹線で通えば1時間ということではあるのですが、本当に大阪から通うのがよいのかどうか、毎日のことですし、家族でもう一度考えなさいねというような話をしました。十分にうちで話し合いましたということなものですから、実際に子どもが一人で学校へ来られるかは大丈夫なのか話をしたところ、夏休み中に子どもが5歳の弟を連れて私のとこへやってまいりました。ちゃんと通えるということを証明したということでしたが、もう一度そんなに遠くから通うことがよいのかどうか、そのデメリットについても考えなさいよと言って帰しましたが、やはりそういうような意識を持っている親御さんというのはたくさんいらっしゃるのかなというふうに思っております。
学校開設に必要な内科、眼科というような校医さんですとか、あるいは食事の問題ですとか、そういったものについても近隣の方々の御協力をいただいて、順次、御内諾をいただいておるというような状況で進んでおります。
私の方はお話をする材料がそれほどございませんので、思いだけをお伝えさせていただこうと思っておりますが、名古屋にあります子ども適応相談センターなどのところでは、それぞれの地域の学校と保護者は手を携えて何とか元の学校へ戻れるように、自分が好きになる、あるいは自分に自信が持てるように指導を進めてみえます。戻れる割合が、名古屋市の場合ですと45パーセントという数字です。これは私は高い数字だと思っております。ただ残りの約55パーセントはどうなるのかなということですが、これは名古屋市のお考えだろうと思っております。昨今では不登校の子どもたちの中には、先ほど金子校長が申し上げましたように発達障害のお子さんもおります。ですから、なかなか学校復帰が難しいという中で、横浜では星槎中学校のような実践が行われております。
委員の皆様方には御承知いただけたと思っておりますが、私たちは不登校の子どもたちが、学校に通える環境を何とか作ってあげたいというふうに思っております。星槎名古屋中学校は、その際の選択肢の一つではないかなというふうに思っております。名古屋駅の近辺でございますので、交通機関については至便なところでございます。それから私立の中学校でございますので、名古屋市外の子たちも通うことができます。そういう機会が増えてくるのではないかなというふうに思っております。元の学校へなかなか戻れない、そういう子どもたちにとっては、一つの光明として期待をされている保護者の方もたくさんいらっしゃるのではないかなというふうに思っております。
ただ、開校の決定という情報が得られないものですから、問い合わせでまだ開校しないのかというようなお話も最近特に増えてきています。委員の皆様におかれましては、不登校対応の私立中学校について、ぜひ御理解と御配慮をいただきますようにこの場をお借りして切にお願いをしたいと思います。ありがとうございました。
(主な質疑)
【委員】
不登校の原因は発達障害にあるのかどうなのか、まずは現状とどういった割合で生徒が在学しているのか伺う。
【金子参考人】
不登校の子どもが大部分であるが、その不登校の原因の中に発達障害あるいはいじめといったものがあり、いじめによる不登校の子どもの中にも発達障害的な子どももいたりする。
それから特殊な例で言うと、例えば、女の子であなたは顔が醜いと言われてずっと学校に行かなくなってしまい、毎日毎日引きずるようにお母さんが連れてきても、保健室に来るまでの間に帰ってしまう。そういう子どもは発達障害まではいかないのだが、半年ぐらいたつと学校に来ることができた例もある。
それから、これは私の最初の年の生徒の話であるが、強迫神経症という障害を持っており、物事を悪い方へ悪い方へと考えてしまう。例えば、お風呂場に入ろうとぱっと足でまたいだ時に、もう一歩行くと滑って転んでしまうかもしれないと考え、そのままずっと2時間ぐらい固まってしまうような感じである。また字を書こうとしても、失敗したら困るからといって、私が初めて見たときは全く字を書かず、先生がいくら言っても字を書かない。このような病気を持って不登校になった子どももいる。
いじめや何かにあって不登校になってしまったとか、友達との関わり合いが悪くて不登校になってしまったという子どもの原因をよく突き詰めていくと、アスペルガー症候群的なことで人との関わりあいがうまくできないことが要因になっているケースも多く、その分類ははっきりしないが、いじめなどによる純然たる不登校の子どもは約2割、残りの8割はみんな多少アスペルガー症候群とか自閉症とか多動性障害であり、LD(学習障害)で勉強中学級を乱してしまう子どもが多い。
実際にはそのような子どもを含めて不登校と言ってしまえばそうなのだが、その不登校の生徒をよく分析してみると、発達障害がある場合があり、そこの区分けが、非常に難しい。その不登校になった要因というのは心理テストなどをやっても突きとめるのが非常に難しいのだが、不登校の原因が、発達障害などに関係しているということだけは分かっている。
【委員】
私がたまたま過去にいろいろ相談をいただいた方からは、いじめとか、先生方が自分のことを認めてくれないとか、そんな悩みから不登校になったという子どもの話が多いので、そういった子どもについては星槎学園のようなところで勉強することが可能かと思うが、そのような子どもを、元の学校に戻してあげたいかどうかということについて、地域性がややあるのかなと思う。星槎学園のようなところでずっと学校生活を送り続けて成長していきたい子どももいるだろうが、神奈川では親あるいは本人の意向として、普通の子どもと一緒のところに戻りたいという希望は余りないものなのか。
【金子参考人】
今、当校に通学する生徒の地域分布は横浜市内が大体5割、東京が区外の周辺都市も入れて2割、相模原市等の神奈川県内から来ているのが3割、あと少数だが、今年の場合には、長崎から引っ越して来た子どもが一人いるが、そういう子どもは地域に戻りたいという気持ちはもう全く無い。
星槎学園で一人前に育ててもらい卒業したいというような気持ちの方が強く、私の6年間の経験では、どうしても元の学校に帰りたいという子どもはいなかった。
【委員】
その点については、やはり地域差があるという気がする。特に東京近郊の場合は私立の学校に通う人が多いため、そういった環境の違いが原因なのかとも思うが、私が過去に相談を受けた親は、かなりの方たちが元の公立の学校で面倒を見てほしいという考えであった。
私は今期初めて県会議員になったが、その前の市会議員の時には、何とか市で対応してくれないのかという要望が非常に多かったことは事実としてあった。
【委員】
生徒が通いたいと思えるような学校というのは、先生から見ても通いたい学校だと思うし、生徒にやる気がある学校というのは先生もやる気がある学校だと思う。特にこの個別指導計画だとかSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)だとか、そういったオリジナリティーあふれる教育をしていく上で、教員の質や量、採用や待遇などについて、どういった形で優秀な教員を確保する戦略や運営をしているか伺う。
【金子参考人】
私は採用するときに、本当にお金に関係なく仕事をしてくれるのかどうか聞く。星槎学園はそんなに給料の高い学校ではないので、難しいことはそんなにしなくてもいいから、本当にやる気を持って子どもと関わってもらえるかどうかが重要となる。
実際には気の毒で大変申し訳ないと思うけれども、子どもとの関わりができないため、体がもたずに辞めた先生が7年間で8人いる。
しかし、先生には毎日1時間ずつぐらい、この子どもをどうしようか、あの子どもをどうしようかと考えさせており、これはベテランが毎日研修をしているようなもので、先生たちは大変だが、毎日それをさせることにより、問題が後に残らないようにしている。
私は日本一電話代のかかる学校だと言っているのだが、何かあれば必ずその日に親に連絡をして、こういうことがあったが、お母さん誤解のないようにとか、子どもをこういう立場で寄こしてくださいとか伝えて、その問題を解決してから次の日に臨むよう徹底しており、またそういうことで、先生たちの力も徐々につくのではないかと考えている。
【委員】
180人の生徒に対し教員はどれぐらいいるのか。
【金子参考人】
非常勤を含めて30人である。大磯にある分教室の1クラスを除くと1学年に3クラスあるが、そこに1クラスにつき正規担任を一人ずつ、副担任を一人ずつ置いており、したがって、1学年6人ずつ、3学年で18人の正担任と副担任を置くようにしている。
【委員】
もっと多いのかと思っており、これだけの人数でまとまりよくやっているというイメージだが、やはりそうしないと学年の中でコミュニケーションが取れないと感じた。
教科については、粘り強く基礎的なところからこつこつとやっていると思うが、今までのいろいろな経験を踏まえて、体験学習以外に何かこういう教科の内容だとか、こういう指導法が不登校の子とかコミュニケーションをとるのが苦手な子どもに対して有効だったというような経験はあるか伺う。
【金子参考人】
私は子どものちょっとした成功感、例えば問題解決ができたときの喜びを見逃さないで、そのつど褒めることを上手にやれと先生たちに言っている。
横浜市の中学校の場合には、割と画一的な授業が多く、一人ひとりの子どもをよく見て指導すると言いながらも、なかなかその子どもの姿をきちっととらえて、適切な評価をするということができないので、私はそれが第一に重要なことだと思う。
それからもう一つは、TT(チーム・ティーチング)方式を取っており、先生が二人いるので、授業中に子どもをチェックしながら集中的にやるようにしているが、それでもできない場合には、出張授業と呼んでいる家庭学習的なものをやっている。学校外、例えば家庭で教えると、まじめにやる子どもがいる。これは交通費がかかって余り良くないのだが、子どもの家に行って先生が教えると、母親もおりふざけたこともできないことから、家で1か月に5回か6回教える子どもが何人かいる。それを、塾に行って勉強することだと言ってしまうと、子どもは学校へ来ても効果が無いので、私は先生を家庭教師代わりに行かせて、家で30分でも1時間でもいいので教えて、それでお母さんと褒めたたえ、今度は学校でもできるよと言うようにしている。実際にはそこまで親と協力しないと、なかなかいろいろな子どもの姿を見ていただくということができない。
【委員】
本当に手をかけてやっているというのが感じられる。だからこそこうやって星槎グループの分野もいろいろと広がっていき、社会ニーズに応じていると思うのだが、保護者からすると私立ということで、なかなかこれだけの授業料を払うことが難しいと感じる方もいるであろうし、余裕がある親であればもうちょっと子どもたちに違う手がかけられたと思っているのではないかと思う。入学するときに100万円以上かかるが、保護者の方への助成という形で神奈川県や横浜市からの補助はあるのか。
【金子参考人】
県の補助と市の補助がささやかながらある。それと一度に60万円払うことはなかなか難しいので、授業料を分割納付にするなど、いろいろな方法で対応している。保護者も真剣で、来る方はそれなりの覚悟で来るが、やはり経済的に困窮している方もあり、ましてこういう時勢なのでローンを組んでいただいている場合もいくつかある。将来的に家庭がどうなるか私たちも不安なのだが、経理的には大変であっても、できるだけ一度にお金を出す必要がないような方策をとっている。
【委員】
本当に、親たちのいろいろな思いがあると思うし、神奈川県と愛知県ではいろいろ状況が違うと思う部分はあるが、愛知県でもニーズがあるだろうと思っているので、また私たちもいろいろ勉強したいと思う。最後に一つ、進路の関係で大学まではそれなりに行けたとして、その後社会に通用するかどうかといったところがポイントだと思うが、そのあたりはどのように評価をしているか。
【金子参考人】
まだ高校が2期生しか卒業生を出していないのではっきり言えないが、就職をしている子どもは大体何とかやっているようである。例えば、全日空の洗濯専門の部門に二人就職したが、それは航空会社に勤めたいという中学校からの願望があり、関連会社ならよいということで、座席のシートカバー洗いをやっているが、生きがいを感じており職場からも褒められている。
それから大学をなかなか卒業できない子どもが二人おり、何とか卒業するよう努力して欲しいので、そういう子どもは大学の方にコンタクトをとって進路指導の方でお願いに行った例が、去年1件あった。あとは、追跡調査はまだ完全にはやっていないが、同窓会等で学校に卒業生がよく来るので聞くと、何とかなっているようである。
だから、発達障害というとすごく悪いようなイメージがあるが、普通でもかんしゃく持ちとか、カッとしやすい短気な子どもがいると思う。そういう意味で、見かけは障害がない子どもと余り変わらないし、授業を受けていても、私は、横浜市の公立中学よりやや良いかなと思うくらいの学習態度である。発達障害というものの特性というか、その特質をよく見極めて指導すると、人間として年とともに発達してそういうものは解消される。
あいさつについても、来た方どなたにもすばらしいあいさつができていると言われるが、そういったことが習慣化してくるということは、学校のしつけ面や生活面の指導がある程度徹底できた成果ではないかと思っている。そういったことを踏まえ、過去2回の卒業生を見る限りでは、中学高校の6年間で大体何とかなるのではないかと考えている。
【委員】
不登校の生徒と学習障害、発達障害の子どもについて、明確な数字というのが表されていないが、その道のプロとして、こういった調査機関でこういった数字が出ているということがあれば教えて欲しい。
また、発達障害の子どもも大勢いると伺ったが、やはり難しいのは、親にはうちの子どもに限っては違うという思いがあることである。しかし、発達障害だということを診断してもらうことにより、これから、子どもがどうあるべきか知ることも大切なことだと思っている。そこで、発達障害だと思われる子どもが、皆診断を受けている方ばかりなのかということと、もし学校として疑いがあるなと思った時に、親に対してどう関わり指導しているのか伺う。
【金子参考人】
一つ目の質問について、純然たる不登校なのか、学習障害を含めた発達障害をもっているのかの見極めがつかないので、一般にもデータは余り無いと思う。
二つ目の質問について、うちの学校に来る子どもは、何らかの形で医者にかかっていることが多い。だから保護者が、うちは何でもないと思ったのに、精神科の医者にこういう障害があると言われたが、先生本当にそうでしょうかと逆に聞かれることも多い。私たちは医学の世界に入り込むことはできないので、診断結果は尊重しなくてはならないが、医学が進歩すると昔はいたずら小僧だとか落ち着きがないと片づけられてきた子どもたちが、医者の診断を受けると障害があると判断される。診断されれば、私たちはそういう目線で指導を適切にしなければいけなくなるので、こちらから医者を勧めるということは、一部の特例を除いてはない。
【委員】
水野参考人は愛知県内で教職員として活躍されていたという話を伺った。もちろん我々は私学に通える不登校の子どもたちを応援していくという立場をとっていきたいと思っているが、今ある公立学校における不登校対策も考えていかなければならないとも思っている。だから、現場にもいて、その道のプロとしていろいろな見識も持っているので、今の愛知県の不登校に関して伺う。
愛知県の場合は、中学校には全てスクールカウンセラーが配置され、小学校についても、2割を超える学校にスクールカウンセラーが配置され、児童、生徒が不登校にならないよう日々活動しており、その結果、今日の新聞に報道されていたとおり、不登校の生徒は減少している。でも、まだまだやらなければならないことがたくさんあると思うので、公立学校として不登校対策をしていかなければならない。水野参考人は現場にもいたので、こういったことをこれからやっていく必要があるのではないのかという思いがあれば、ぜひ聞かせて欲しい。
【水野参考人】
これからのことについては、申し訳ないがよく分からないので、自分がこうあるべきだということで言うと、正直なところ、公立として最大限の努力はしなくてはいけないと思っているし、これまでもそのような形でやってきた。ただ、不登校になった原因というのは定かではなく、本人自身もわからないという状況でもある。
実は先日、国際学園とは全然別で、ある方から、子どもがお母さんが亡くなった時点から学校へ行かなくなったという話があり、家へ伺った。子どもと話をするのが一番だという話をしたが、当然初対面なので本人は出て来ないため、親にいろいろ話を聞いたが、本人もいじめられたというわけではない。それから、学校で授業が分からないというわけでもなく、本人自身が不登校の理由がわからず、発達障害かというとそういうわけでもないという子どもがいた。
先ほどから話があるように、不登校にはいろいろな形があるため、学校の対応としては、まず学力がついていかないという生徒については、名古屋市も愛知県も教員について非常勤の加配をしているので、チーム・ティーチング等で何とか対応し、わかる授業を心がけるということが大事だと思う。
それから、先ほど教員の質という話があったが、教員の実践的な指導力を高める必要があるので、私が退職した際の学校では、私が毎年半分の教員を指名して、名古屋市の教育センターの指導主事や指導員に授業を見に来てもらって、授業力を高めてもらった。その結果、着任した当初はクラスに5、6人机にうつぶしている生徒がいたが、2年後はゼロになった。教員の研修ということについては、県の教育委員会の方もしっかりやっていると思うので、まずそういう手配をする。そして、わかる授業、楽しい授業を心がけるということがまず学習の面では大事だと思う。
二つ目は、家庭に問題があったり、生活が昼夜逆転しているというような生徒もいる。そういった生徒については、それぞれの学校でやっているとは思うが、私は保護者と密接な関わりを持って、そして子どもには自分を大事にしなさいと話をしてきた。自分自身を大事にするということは、とりもなおさず人も大事にするということなので、人に迷惑をかけることはいけないということを、説教がましくではなく、そういう話し方で話してきた。
それから、そういう子どもの中には、周りの子どもが相手をしないため、アウトサイダーになる子どももいるが、それではその子どもは学校へ来なくなるので、グループの中やクラスの中でその子どもをどう生かすかということを、担任とも相談をしながらやってきた。これは生徒指導上の問題であるが、犯罪に関わる、いわゆる不良行為、法律違反等については、いけないことはいけないことということで、関係機関と連携を取って、厳しく取り組んできた。
それから、実は私のところで、学力はあるが、他の子どもと全く関われないという子どもがおり、通常学級へ入れるとトラブル続きなので、保護者といろいろ相談をして、特別支援学級に一旦入れた。保護者は正直なところ不本意であった。特別支援学級に入れるが、そのかわり5教科については通常学級で授業を受けるなど、少しずつ慣らしていくという形で行ったが、最終的に3年生の時点でコミュニケーションがだいぶとれるようになったので籍を通常学級へ入れ、今年高校に合格した。
そういう他の子どもとなかなか交われない子どもについては、保護者は本当に不本意という状況であったが、特別支援学級に入れながらやると、少ない人数のためその子どもは友達とうまく関わりながらやれた。私はそのように関わってきたが、それが本当にいいのか、それとも何か新しい形を見つけて不登校対策のカンフル剤にするのがいいのか私には分からないが、先ほど言ったように、良い所をとにかく見つけて、子どもに自信を持たせることが、一番効果があるのではないかと思っている。
【委員】
今までの話を聞いて先進的な別室登校学校の私立版だなという印象を持ったので、別室登校について伺いたいのだが、愛知県も決して先進的ではない。
山形県天童市では専門の先生を配置し、更に担任はもちろんいるが、空いている先生も授業で教えることによって自習だけの時間は決してつくらない。そして担任の先生と他の先生たちが毎日連絡をとることによって、これから子どもたちをどうしていこうか、ということを考えているという先進的な別室登校をしている。ここの現状を聞くと約7割が現場クラスに戻ることができたという数字も出ているが、この別室登校についての考えを伺う。
【水野参考人】
山形県のことについては不勉強なので知らないが、名古屋の別室登校でいうと、それぞれの校長の権限でやっているので、さまざまなタイプがある。私の経験だけで話をすると、どうしても他の子どもと一緒に教室に入れない子ども、いわゆる保健室登校という表現があるが、その子どもたちについては、担当、担任あるいは空き時間の教諭が必ず付いており、プリントであるとかあるいは教科書を使いながら、一斉授業でやるような授業は行わない。恐らくできないので、その子どもに今日はどこをやろうという話をしながら、中学2年生であっても小学校6年生の算数の問題をやるなどしている。
また、いろいろな問題があり昼間は学校に行けないから、夜に別室登校させてくれという保護者もいた。その場合は、毎日というわけにはいかないので、私の部屋で私が週1回授業をするという形でやった。だから、自習というのはなく必ず教員が付いていて、必ずプリントや教科書を使うなどしながら、そばに付いてやっていた。
【委員】
話の中で適応指導教室という言葉も出てきたが、愛知県には38の適応指導教室がある。これはもちろん市町がやっていることではあるが、子どもたちを自分たちのクラスに戻す本当に大切な場所であり、県はこことの関わり合いを大切にしなければいけないと思う。でも、実際に私がよく中身を見て感じたことは、現場の先生はなかなか適応指導教室に顔を出さない。そしてスクールカウンセラーの方々も、適応指導教室とどう関わり合いを持っているのかよく分からない。適応指導教室はあくまで市町が責任を持って開催している大切な場所ではあるが、愛知県の教育委員会が適応指導教室とどう関わっていくべきなのか、適応指導教室の役割がどうあるべきなのかということを最後に伺う。
【水野参考人】
申し訳ないが、私は愛知県の適応指導教室で具体的にどのような指導がなされているのか分からない。ただ、名古屋市の子ども適応相談センターとは常に密接な連絡をとっていた。それで、正直なところを言うと、自分の学校の不登校の生徒は何とか自分の学校に戻したいという意識でずっといたが、何ともならない場合については、いろいろなところにSOSを出すのは恥ずかしくはなかった。
だから保護者に、学校としては今こういうふうにやっているのだが、専門家の意見を聞くのも一つなので、教育センターや子ども適用相談センターの方へ紹介させて欲しいとお願いした。そこで4割ぐらいの保護者が、わかりました、先生連絡をとってくださいというので話をして、相談センターへ行ってもらった。相談センターは個人情報の問題があるので余り細かいことは教えてくれないが、アドバイスはもらえる。そのアドバイスをもとにして、保護者と話をしながらやることで、名古屋市では元の学校に戻れる割合が45パーセントという数字になっていると思う。県については、県の職員が関わっているのかもしれないが、教員がどう関わっているのか私は分からない。
私どもは、子ども適応相談センターへよく足を運び、どういう状況でいるのか話を聞きに行く。子どもによっては見られるのが嫌だという子どももいるが、子どもたちは週に2回から3回、午前中か午後のどちらかしか行かないので、子どもたちのいないところを見計らって担当の先生のところへ行き、話を伺う。電話では、やはりいろいろ難しい問題があるので、そのような形でやってきたが、恐らく県でもそれなりに対応しているだろうと私は思っている。
【委員長】
県の対応に関する質問について理事者の答弁を求める。
【理事者】
多くの市町村で適応指導教室を開設しているが、県は、不登校対策についてはスクールカウンセラーを配置して進めている。子どもたちの不登校の原因にはいろいろな事情、実情、原因がある。そういった中で、学校の先生が中心になり、スクールカウンセラーや適応指導教室という選択肢もあるが、いろいろなツールから選んでもらうことが大切だと考えている。そういった意味で、本県のスクールカウンセラーを充実させ、また、今までスクールカウンセラーに関わっていた子どもたちが適応指導教室に行くということであれば、今までの状況について話をするなど連携をとって対応していくのがよいのではないかと思っている。
【委員】
先ほど星槎学園の教員の数を答えてもらったが、教員のおおよその年代別の割合を伺う。
【金子参考人】
中学校は20代が80パーセント、30代が20パーセント、教頭も30代なので、私が一人だけかけ離れている。高校も40代が二人いるが、あとは全部20代と30代で構成している。
【委員】
一般公立高校で考えると非常に若いが、先ほど夜の9時ぐらいまで学校にいるという話もあったので、そういう若い方々でないとなかなかエネルギーがもたないのかなと思う。その反面、先ほどの子どもの良い所を見つけるようにしているという話を聞くと、私が学生であれば金子先生や水野先生のような方々に見てもらうと安心すると思う。
20代、30代の先生たちが子供たちの良い所を見つけるためには、経験的なものも必要だと思うので、それを補うための先生たちに対する訓練であるとか、更に言うと、一般と比べて非常に手がかかり、気を配りながら見ていかなければいけない生徒であるということから、先生たちへのケアというのは具体的に何かしているのか。
【金子参考人】
若いから体がもつということはなく、40代でも熱意があり朝6時半頃から来ている先生もいる。ただ一つ言えるのは、子どもの特性を見極めるというのはなかなか難しいことなので、私も全員野球ではないが、校長室を開放しており、子どもが校長室に遊び場のように自由に入って来る。
一昨年だが、ぞろぞろと来た時に、軽音をやりたいという子どもがおり、一人で軽音をやるわけにはいかないから3人でというところから始まり、だんだん人数が増えてきて、今部活に昇格しているのだが、私はそういうちょっとしたことについて気配りをしろということを先生に絶えず言い続けている。
子どもが何かしたいとか何かこういうことを考えたいと言ったときに、それが特性に関わる確率が非常に高いので、見逃さずに絶対に毎日メモして、その子どもに対応していくというのが一つである。
それからもう一つは、友達があの子はこういう良いところもあるよということを先生に何でも言える雰囲気があると、子どもの状況を先生の目が届かない所でキャッチできる。その二つが特性とまでは言えないが、気をつけていることである。
それから、先生との交流もできるだけ持つようにして、ちょっとした行事があった時には必ず皆で慰労会などをやるし、また、何でも問題があったら校長室へ来てくれと言っており、若い先生だから失恋の話などもあったりするが、聞いてやって落ち着かせるのも必要である。若い先生にはそういう悩みもあったりするが、子どもをどう指導したらいいかがわからないという悩みがやはり一番多いので、自分の経験を生かして相談にのっている。
【委員】
宮澤会長の熱い情熱と同じような思いを持って、不登校の子どもを何とか救いたいと思って、全国でもこういった学校経営の動きがたくさんあると思うが、星槎学園がこの点だけは他校に負けないという差別化のポイントがあれば、ぜひ伺いたいし、同時に、どうしてもこの学校のユニークな教育方針というのは真似できないなという点があれば、伺いたい。
【金子参考人】
とにかく星槎の精神というのは、どんな子どもでも認めること、それから排除しないことである。先生というのは時々自分がむきになって勝手にしろと突き放す場合もあるが、そういう排除をしないことである。
それから、先ほど、適応指導教室の話もあったが、そのように特別に対応しなければならない子どもについて、やはり仲間づくりが重要であり、仲間さえいれば、学校に来て何とかやっていく。だから、星槎学園の場合には、人を排除しないこと、人を認めること、それから仲間を作ること、この三つについてはどこにも負けない教育をしている。これは先ほど言ったインクルージョン教育の原点に立っているわけだが、星槎大学がそういうインクルージョン教育の原点に立って、共生科学部という学部を作っており、それはとりえである。
あとは強いて言えば、先生方が骨身を惜しまず子どものために働くので、そこは頑張っていると感じる。私は公立もよく見てきており、公立は非常に機械的なところもあるのだが、星槎はとことん子どもに粘り強く対応し、あきらめない。もう子どもに対してどんなことがあってもあきらめず、とことんまでやる。それは稚拙で周りから見たら大したことではないかもしれないが、先生方がみんな覚悟を決めて、子どものために粘り強くやるという教育の理念は多少他と違うかなと感じる。
また、できるだけ学校間交流がないと、その学校だけではなかなか解決できない。私の方も、旭区、都筑区、青葉区という三つの区に囲まれている学校なので、私学でありながらそこの生徒指導の先生とは常に交流を持っており、指導技術の向上のためにいろいろと努力をしている。そういうときに、公立の先生から学ぶものもたくさんあり、また、私の方から発信できるものもあるので、星槎だけでやるのも大事ではあるが、私は昨年度から教員の交流をできるだけ多くしようと思って心がけて始めている。
そういうことが指導技術をお互いに高めたり、それからみんなで不登校の解消に連帯性を持って努めて、やっとできるものではないかなと思っている。星槎に他より秀でた特効薬が特にあるわけではないので、ただ子どもに粘り強く関わってやっているというのが現実である。
( 委 員 会 )
日 時 平成23年8月31日(水) 午後1時~
会 場 第8委員会室
出 席 者
松山 登、渡辺 昇 正副委員長
川上万一郎、鈴木孝昌、原よしのぶ、近藤ひろひと、寺西むつみ、谷口知美、
日比たけまさ、佐藤 敦、平岩 登、錦見 輔、市川英男 各委員
金子 肇 参考人(学校法人国際学園 星槎中学校・星槎高等学校校長)
水野髙保 参考人(学校法人国際学園 星槎名古屋中学校開設準備室室長)
教育長、管理部長、学習教育部長、生涯学習監、関係各課長等

委員会審査風景
<議 題>
不登校等の生徒を支援する学校運営のあり方
<会議の概要>
1 開 会
2 正副委員長あいさつ
3 委員自己紹介
4 委員席の決定
5 議題について参考人からの意見聴取
6 質 疑
7 理事に関する申合せについて
8 理事の指名について
9 委員による個別の県外調査について
10 閉 会
《参考人の意見陳述》
【金子参考人】
いろいろ資料をお配りしておりますが、そのファイルの最初のスクールガイドを中心に私たちが取り組んでいる様子をお話させていただきたいと思います。まず、スクールガイドの2ページを御覧いただきたいと思います。
名古屋市でも、不登校や学習障害等の生徒さんがかなりいらっしゃるというようなお話で、横浜市も例外ではなく、不登校あるいは発達障害の子どもたちが、本当に心を開いて行くことができる学校がないということで、横浜市批判をするわけでありませんが、事実として幼稚園も私立にお任せしている状態でございます。
それから、横浜市の場合、こういう学校を新しくつくるときには横浜市立ではつくらずに、私立でつくるということで、その当時、平成16年の話ですけれども、小中学校を合わせて不登校の子どもが2,600人ぐらいおりましたが、それを何とか打開したいということで、横浜市が小泉内閣当時に教育特区を申請して認定され、そしてその結果、星槎中学・高等学校の中の中学校を開校することで、県が認可をしました。平成17年に開校して、現在7年目を迎えている中学校でございます。
なぜそういう学校が必要かということについてお話をさせていただきますと、養護学校にはちょっと行くことができないが、普通の子どもたちと一緒に学ぶには少し遅れがあってなかなかできない。そういう中で、横浜市の場合では、ちょうど養護学校と普通学校のはざまにいる子どもたちが心の居場所がなく、フリースクールに膨大なお金を払って通っているか、それでなければ家に引きこもっているか、ふらふらしているというような状態がありました。
こういう状態を何とか打破したいということで、横浜市が内閣府に教育特区を申請して、そして神奈川県が認可してできました。私学では比較的新しい学校、初めてできた学校と言っても過言ではないというような中学校でございます。その中で、今申し上げた不登校の発達障害等の子どもたちを対象にしておりますが、不登校の子どもや発達障害、また、LD(学習障害)といった子どもたちの区分が難しい。必ずしもそういう障害が不登校の原因であるということは言い切れないし、また、障害がある子どもでも非常に優秀な子どもがいて、特にアスペルガー症候群の子どもは非常に知能が高いが、人との関わりができない。そういうような子どもたちが非常に多く在籍しております。
そういうことで、そういう子どもも星槎の教育の理念に従って教育したらよいのではないかということで、星槎の教育の理念は「必要とする人々のためにそのいろいろな道を開こう。」という教育理念であり「人を排除しない」、「仲間をつくる」、そして「人を認める」というインクルージョン的な教育も取り入れてやっているのが星槎の現状であります。ですから、そういうことで始めたのですが、元々は長い歴史がありまして、今の宮澤会長が慶応大学の学生の頃、たった二人の子どもが道端で学校に行かずふらふらしており、かわいそうだということで、その子どものために学習塾を開いて勉強を教えました。土のようにぬくもりを感じるような、学校らしくない学校をつくろうということで、その学習塾から始まり、現在星槎大学まで小学校を除いて全ての校種があります。「人を認めること」、「人を排除しないこと」、「仲間とともに学校生活を送ること」という、その三つの理念で始めたものですが、この中学校は2ページにありますように、平成12年に「LD児の自立を支える親の会」というものがありまして、そこがフリースクールで高いお金を払うのは大変だというので、そのお母さん方が集まって、子どもたちの教育を進めておりましたが、やっぱりいろいろと経費もかかって経営難になり、その当時は宮澤学園と申しましたが、そのときに初めて星槎がそのLDの会を引き受けて始めた学校であります。そしてその10年間の実績が認められて、横浜市が星槎に着目して、国に申請して教育特区を受けたということが一つであります。
それから17年には中学校がそれで開校したのですが、中学校3年間はそれで何とかなるけども、それに接続する高校がなければ、中学校で3年間過ごしても、結局は元のもくあみで不登校になってしまうのではないかということで、神奈川県が1年後に星槎高等学校の開校を許可したものであります。教育特区は、校地校舎が借り物でよい。私学をつくる場合には私有財産がなければできないのですが、借り物でよいですよというのが一つと、それからもう一つは教育課程、要するに教育内容は校長の裁量でよいということです。何も中学の学習指導要領に従って教えなくてもよいですよと、子どもに合わせて教えてよいですよと、これが二つ目の特徴であります。
それから、どうしても学校に来られない子はIT、インターネットで勉強を進めてもよいというその三つの条件が許されて設立したものでありますが、実際に本校の場合、中学校の過去7年間の出席率を見ますと、全て毎月90パーセント以上の出席率を保っております。子どもがどうして急に登校できるようになったのか、その要因がいろいろ難しくて分かりませんが、私はやっぱり子どもが仲間をつくって、先生も友達のようで何となく学校が居心地よいという雰囲気があって、毎月90パーセント以上の出席率を保っているのではないかというふうに自負しております。今は教育特区の所管が文部科学省に移りまして、本校の場合には、長いタイトルで指定を受けておりますが、「不登校児童生徒等を対象とする特別の教育課程を実施する学校」として、教育特区のときの三つの条件は変わりがないのですが、文部科学省の指定校として、今学校運営を進めております。
それから次に、今現在そういう子どもたちがよく学校に来るようになったのはどんな学校の運営をしているからなのかということになると思うのですが、1学年60名の定員で15人ずつの4クラスの少人数の学級編制をして運営をしております。その中でもう一つの特徴は、教科になりますと、進度が非常に進んでいる子どもと遅れている子が目立ちますので、教科によって習熟度別の授業を進めております。ですから、今まではこの学校というのは、私の経験から、学校に子どもを合わせていたが、今は子どもに学校が合わせるような形で教育内容を組んでやっておりまして、子どもはできるところから出発しておりますので、できたことに満足感、充実感を覚えておりまして、これは小学校の内容だと言って教えるわけでありませんので、子どもたちが大変仲良く気持ちよく学習しております。
最初は定員程度だったのですけれども、過去3年間で急に応募する方が多くなって、現在定員60名のところに約200名の応募がありまして、入学できなかった子どもたちがフリースクール等に行くことも非常にかわいそうだなと思っていますが、今の私たちの予算の現状ではやりようもありませんので、60名定員にしておりますが、県に特別にお断りして定員オーバーして1学年で5名から6名程度多く入学させて、196名在籍しているのが現状でございます。
1ページに戻りまして、ここに、受験者向けに書いてありますが、学校運営上非常に手のかかる子どもたちですので、先生が本気になってやりませんとできません。したがいまして、先生方が大体帰るのが午後9時で、出勤は午前8時ですけれども、会議はどうしても午後9時までしませんと、子どもの指導ができないのが現状で、子どもの細かな行動観察をして、その進歩の状況を認めながら、ほめたり、時にはきちんとしかったりしながらやっていくために、その次の日の準備をするのに非常に時間がかかります。
一番大事な視点は、自信を回復させることです。子どもたちが、やっぱり僕もやればできるんだ、私もやればできるんだと思うのが自信の回復です。それから個に応じた教育ですが、今、口だけでは個に応じた教育が叫ばれておりますけれども、本当にこの個に応じた教育を私たちがやっているかどうかを非常に私自身も疑問に思っておりました。ですから、一人ひとりの子どもというものに対して、例えばですね、今私の教室にずっと来ている子がいるのですが、その子は絵しか描かない。絵を描きに学校へ来る。だけどそれはその子なりに認めていたのですけれども、一年半たったときにやっと英語の授業だけ出るようになった。次に、数学も出るようになったといって、今7割近くの授業を受けるようになっておりますが、そういうときに、やっぱり個に応じた教育というのは、ただ子どもにその都度その都度やるのではなくて、ほんとに子どもの個性というものを見極めて、その特徴を伸ばしながら、何らかの形で、スポーツでも芸術でも何でもよいのですけれども、そういうふうにして育てる、個に応じた教育というものが大事です。学力等の観点からいけば、それを習熟度別に分けており、このレジュメの中に非常に細かく時間割を組んでおりますが、クラスに入れば、この中から上手に組み合わせて単純な時間表になるのですけれども、全体的には習熟度別学習をするとこのような難しいものになってしまいます。
それからもう一つは、私たちは特性というものが認められた子どもにはそれなりの指導ができるのですが、何らかの形で子どもの特性というものをどんな小さいことでもよいから認めています。例えばですね、体育の時間には、例えばボールを蹴ったときに、子どもが自分でよく蹴れたと思っているかを先生が見逃してはだめだと言っています。その時にすごいキック力だなと言ったときに、子どもが先生に認められて僕もやっぱり何かできるのかなと感じ、関わりの不得手な子どもも非常にその話を先生によくしてくるとか、友達も介していろいろと話ができるようになる。だからちょっとしたことでも伝え、体力のある子ならそういうところを認めて、励まし、養っていくようなこともしております。そういうことで、今私が申し上げた3点、自信を回復したり、もう既に個性が十分見受けられる子どもにはそれなりのことを助長しながらやっていくこと、全ての子どもに、新しい個性の発見というものについてどんなささいなことでもよく見て、そしてそれをきちんと評価をしてやっていくということで、その日その日にやらないと忘れてしまいますから、時間がかかっております。それが一つです。
それから資料に逆三角形のマークがありますが、私が3番目に言った可能性を信じるということで、その可能性は白塗りにしておいて、そこが赤になろうが何色になろうが、将来そこが発達する可能性を信じて、そこを白にしております。これは私の今付けているバッジのグリーンに更に白抜きになっているものであります。
それから、二つ目はですね、これは非常に保護者からもいろいろ意見があるのですけれども、本校では子どもの特性をより調べるために、心理検査をやっております。そうすると、うちの子の偏差値は先生方に知られたくないとか、これはおかしいのではないかということもありますが、そういうものを乗り越えないと学校運営ができない。だからそういう方はそういうことを知らせない学校に行っていただきたいということで、私は思い切ったこともしております。それでもよく理解をしていただいて、その子どもの特性が非常によく分かるので、心理検査等をしている。これはかなり心理学に精通していないとできませんが、星槎は教育研究所がありますので、そこで非常に内密に、工夫をして検査をしております。
それからもう一つの特徴は、教科書を使いません。なぜ教科書を使わないかと言いますと、学習が遅れているような子どもにこれを1冊1年間でやりますよということになると、それが非常に子どもに負担になってしまう。だから、教科書には準じているのだけれども、お金はかかるが毎回毎回カラープリントにして、プリントを与えて1枚できたらファイルにとじ込むという形にしています。そしてその子どもが、1年間たったらこんなに僕は勉強したんだという実感を持てるようにやっております。ですから、私たち教職員の仕事は遅々として進まないのですが、1枚1枚そういうふうにして積み重ねていくようなことをして、結果的に子どもに成功感、あるいは満足感を与えるというようにしております。
また、個々に応じた指導は、教科書で一律にやっていたのではとてもできませんので、特に習熟度別については、そういうようなプリント作成や教師の授業の流れをつくるフローチャート作成が非常に大変で、これも教師の帰宅時間を遅くしている理由です。何も私もそれを誇っているわけではありませんが、現実に子どもに対応するには時間が必要です。その代わり、夏休みは思いっきり休んでいただいております。
次に本校の特徴といたしましては、宮澤会長の話が書いてありますが、その宮澤会長の理念とは、要するに、井戸を掘ったり、土を大事にするという思想です。井戸を掘って潤いを与えるのが教師の仕事だという気持ちを持って、それから土を大事にしない人間は、花を育てたりなんかすることもできない。だからやっぱり潤いを与えて井戸を掘った人が、やがては分からなくなってしまう。誰が掘ったのか分からない。ただ水を飲んでいるだけじゃ教育ができない。本当に井戸を掘ったときの精神というものを、潤いを与えるものだということで、星槎の教育を進めておりますが、そういう観点から非常に心の耕作をしたいということで体験をさせております。大変苦しい体験はいろいろさせております。例えば北海道に農園を持っておりまして、その農園に中学生を行かせて、そしてジャガイモを実際に作らせております。ジャガイモが採れた喜びを感じさせ、学校へ運んできて文化祭で使い、それを今回は東日本大震災の被災地に利益を還元してやるつもりでおります。そんなことも全て体験的な活動を重視して、あんまり机上での学習というものに重きを置きません。ですから、授業そのものも、とにかく子どもに活動させながら、知識を得ていくような、そういう事を中心にやっております。
それから、カリキュラム上に書いてありますように、時間は45分授業を基本としております。本当は50分やらなきゃいけないのですが、実際には45分にして、その足りない分は他の行事等で補てんをして、合計で50分の授業時間を確保するようにしております。ですから、栽培体験などの体験等も各教科のコアカリキュラム的に上手に割り振って、そして時間の確保はしております。それから、4ページに書いてあります教育課程についてですが、各教科は、中学校で学習指導要領に定められた教科はそのままですが、その他にSSTがあります。また、ちょっと詳しくお話をしなければなりませんが、ベイシックステップというようなものを実際に取り入れております。
そのベイシックというものがどういうことをやっているかと言いますと、子どもの力に応じて一緒に30人ぐらいやっているのですけれども、子どもの進度もまちまちで、先生が4、5人入っております。それで、国語とか数学とかの教科を専門に見る人や、あるいは、国語の中でも漢字専門、あるいは文法専門、そういうようにそのプリントができておりまして、その子どもに応じたものを多くの先生が同時に教え、それぞれの子どもの進度に合わせてやっている学習であります。マス計算等も取り入れておりますが、あれが全てではありませんので、子どもたちがいろいろな場合を想定して国語であろうと数学であろうと、そういうものもやっているのがベイシックの背景でありますから、個別指導で進めております。
それから、二つ目の表現ですが、これは、学習指導要領での表現力の育成ということで、星槎にも自分の考えや気持ちをなかなか表わせない子どもがいるので、自分の発表をする場を非常に多くしており、この表現の時間は、自分が書いてきたものを皆さんに発表するというようなこととか、それからディベートのような議論をするような場とかそういうものを中心に特別の科目として取り扱っております。
それから、SSTという科目がありますが、これは「ソーシャル・スキル・トレーニング」と申しまして、実際の生活習慣、例えばあいさつの基礎訓練をしたり、着替えについて訓練します。例えば体育の時間に、きちんと服を畳んでいれなさいよ、とそれだけ言っても、実際にきちんとしたしつけができない。家庭科や体育等の授業の機会を通して教えるのですが、それでも足りないものをここできちんと体験的に教えて、はしの持ち方等までいろいろと細かにしつけをしております。これがソーシャルスキルトレーニングであります。
総合の時間は、ステップの進路の授業とも重なりますが、本校の場合には、中学校の1年生から高校の3年生までを三段階に分けておりまして、実際に子どもたちが中学に入って卒業した時に、高校の進路が定まらなければ、ただ学校生活を楽しく送ったというだけで、将来世の中に出られませんので、そのために進路というものについても特に重視しております。進路の方向付けと検索ということで、いろいろな職業体験のビデオを見せたり、社会見学をしたり、工場見学をしたり、商店見学をしたりするということを中学校の1年生から随時やらしております。
それから、中三と高一の段階で進路について自分で考えを持って、これにしようかなということを高一までに決めさせております。そして高二と高三で、決めた進路について集中的に準備をしていっております。高校の大学への進学が約4割、専門学校が大体6割で、残りが就職となっております。今年もある程度は、大学進学は指定校推薦等もありますので、入っておりますが、実際に学校で中学校の1年生から高校の3年生までを三段階に分けて、職業的指導をしております。そういうことについて、細かい、意思決定能力とか情報活用能力とかキャリア教育にはいろいろありますが、そういうことをしております。
それからもう一つ大事なことは、こういう子どもたちですから、その持ち物なんかについても非常に問題がありまして、のりをつけると言っても、白いのりだと付いたのが分からず、何回もつけてパニックになってしまうような子どももおります。それか、自分の持ち物で何が中に入っているか見つからないと困るようなそういうものもあって、特に持ち物については特別に配慮をしておりまして、例えばのりなんかも色付きののりを買っております。それから携帯用のバッグなんかは、全部素通しのものを使っておりまして、中に何が入っているのか全部分かるようにしている。それから社会見学に行ったときに、カメラを渡したときにも、電池が切れて途中でパニックになるような子どもがいる。電池のチェックを全部して、社会見学をさせるとか、体験学習に臨ませるとか、そういうような特別な支援を特にしないと、この子どもたちが楽しい学校生活を送れないのが現状であります。
最後に、個別指導計画というのがレジュメの最後のところにありますが、これは子どもたちが家庭と学校と協力して、どのようにして自分の足りないところを補って、それを育てようかということでやっているものなのですが、これは星槎の個別指導計画というのは大変良いということで、横浜市でも3区生徒指導部会でこれを参考にして交流して過去3年間やってきたんですけど、なかなか公立がそういうことになじまない。なぜなじまないかと言いますと、公立の先生方が形だけはこういうものを作るのだけれども、形だけ作って、それを日常その先生が意識して指導していかないところに私は大きな原因があると思っています。これを一日一日、または1週間ごとにチェックして、担任が状況を見て行うよう指導しております。ですからこれを作りっぱなしにして、半年たったらまた見直すということは絶対いたしません。本校では、毎日大体5時から6時あるいは6時半まで子どもの動向を見て、これをもとにこういう進歩があったとかということを確認し、一人の先生がそういうものを見つけたら、他の先生もその子どもをほめて関わっていく。それが一番大事で、一人の先生が一人の子どもを褒めるだけではなく、周りの方もそれを共通理解して、次の日にはできるだけ教科で接したりしたときには褒めていく。私はこういうものが効果をもたらせると思います。公立では、生徒指導の先生がいくら頑張ってもなかなかそこまで全体のものにならない。だから一人の子どもをみんなで育てているという意識を私は特に持つように先生方にもお願いをしております。
そういうことで、学習面と生活面と両方分けて、子どもにこういう部分を補って育てたいというものに対しては、毎年毎年IEPというものをつくっております。これが個別指導計画、インディビジュアル・エデュケーション・プログラムというものです。
それから、進路について先ほど申し上げましたが、高校まで一貫教育をしておりますが、中学の子どもたちで、特に不登校等であった子どもたちが、もう中学3年生のときに他の学校に受かってしまうんですね。ですから、そういう子は遠慮なしに星槎高校に来ないで、他の学校に進学していただいて結構ですと言っています。そういう生徒は大体今年は6割で、去年も6割程度でした。他の学校でも通用する力が伴えばそこに進学して、星槎高校はその他の生徒を受け入れているというのが現状であります。
それから、星槎学校というのは、先ほど申し上げましたように、宮澤会長が学校へ行かずに道で遊んでいた二人の子どもをかわいそうだと思って塾を始めて、これだけ大きくなったグループです。ですから、もともと本当に子どものために先生が尽くすことが大切で、先生は大上段に振りかぶって解説的な授業をしていればよいというのではなく、子どもと一緒に育って良いところをお互いに認め合っていこうとやっております。ここに「関わり合い学校」という合作的な冊子がありますが、その最初のところの、「必要とされることを創造する」という部分をよく読んでいただけば分かると思いますので、時間がありましたら御覧いただきたいと思います。
大変まとまりもなく、雑ぱくなお話をさせていただきましたが、とにかく学校というのは、やっぱり子どもが行きやすくなければいけないし、行きやすくするためには、子どもに何らかの喜びがなければだめだということを私たちは念頭においてやっております。現状ではなかなか学校に行けない子どもが横浜市にもまだいて、編入させてくれという子どもも大勢おりますが、実際には受け入れられず、仕方なく現状でやっております。公立でできればもっとよいかもしれませんが、星槎のように、子どもが本当に心の居場所としていられる学校がいくつもできるとよいのではないかと考えております。私は公立学校の関係もやっておりましたので、そんなことも考えておりますが、とにかく子どもの幸せのためにこういう学校を一層充実させたいというふうに思っております。以上でございます。
【水野参考人】
本日は発言の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。3月で中学校の校長として38年の教員生活を終えました。たくさんの子どもたちに囲まれて、幸せな教員生活であったというふうに思っております。それがこれからどう生かせるかと思っておりましたが、御縁がありまして国際学園の方にお世話になることになりました。私の場合はまだ設立準備ということでございますので、私見を交えてお話をさせていただきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
先ほど委員長からもお話がございましたが、不登校の生徒でございますが、平成21年度の文部科学省の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」をもとにお話をしますと、名古屋市では市立小学校で463名、市立中学校で1,338名、合計1,801名が不登校という数字になっております。これが愛知県ということになりますと、先ほど委員長がおっしゃられました6,343名となっております。それで、名古屋市では、子ども適応相談センターや教育センター等が対応に関わっておりますが、愛知県の方でも、適応指導教室等が約40ございます。そういったところで不登校生徒の減少というようなことに日々お努めをいただいているのですが、それらの施設については基本的には生徒が元の学校へ戻るということを目指しております。ですから、なかなか学習指導には力を注ぐことができない状況であります。先ほど金子校長の方からお話がありましたが、横浜の星槎中学校では当然学習指導にも力を入れておるというようなところでございますので、名古屋における子ども適応相談センターあるいは愛知県下の適応指導教室とは若干異にするものではないかなというふうに思っております。それから名古屋市の方は、教育振興基本計画というものを策定しておりまして、その施策の一つとして、昨年の7月に不登校対応の私立中学校を運営する学校法人を公募するというようなことになりまして、12月に私どもの国際学園が選定されました。そこでは不登校生徒を受け入れる中学校や高校を運営しており、十分なノウハウがあるというようなこと、それから、通信制の星槎国際高校や星槎大学を持っており、その他さまざまな系列校との連携が期待できること、それから複数の教員によるきめ細かな指導をしており、横浜での実践が証明しているというようなことが、新聞報道されております。先ほど金子校長が詳しくお話をさせていただきましたので、御理解をいただけるかなと思っておりますが、私のこれまでの不登校の子どもに対する経験で一番有効であったのが、必ず子どもには良い点がありますので、その良い点を子どもに気づかせるということです。そしてそれをどんどん伸ばしていくことは自信につながり、それで学校へ戻ることができるというような例がたくさんありました。例えば、不登校になった女の子で、家でお菓子作りをやっているという子がおりました。特に何が得意だと聞くとクッキーですと答えたものですから、先生にもクッキー作ってよというようなところからいろいろ話をして、おいしいクッキーができたね、それをみんなに教えたらどうだろうねというように伝えることで自信が持てる。正直なところささいなことだというふうに思われるかもしれませんが、子どもたちにとっては、それは重要な部分であるというふうに私は思っております。ですから、これまでの教員生活でも子どもたちの良さを伸ばすために様々な場面を設定して、学校経営の方もやってまいりましたが、これについては間違っていないというふうに思っております。
この度国際学園の方にお世話になるにあたって、私のこの持論は申し上げました。良いところだけ伸ばしたいというふうにお話をしましたら、それで結構ですというようなお話がありましたので、そういったところから進めていきたいなというふうに思っております。それから、学習についてはやはり将来自立した社会人となるためには、やはり最低限の基礎、基本については身に付けておかなければなりませんので、これについても力を入れていきたいなというふうに思っております。それから、先ほど金子校長が教科書は使っておりませんというようなお話がございましたが、学校教育法では教科書を使いなさいというふうに規定があります。ただ、先ほど教育特区ということで、それは認められるということでございますので、教科書を更に分かりやすくして職員がワークシートを作って、それで授業をしているというのが横浜の星槎中学校でございます。そのノウハウは名古屋でも何とか踏襲していきたいなというふうに思っております。
それから名古屋市では、スクールカウンセラーというのが配置されておりますが、これは週に1日でございます。私どもはスクールカウンセラー常駐というような形で生徒の悩み等に対応できるようにしていきたいなというふうに思っておりますし、横浜も同様にやっていると思っています。それから、これも金子校長が申し上げましたが、体験活動あるいは生産活動については、子どもたちのコミュニケーションの能力を高めたり、あるいは協力しなければ事が運ばないという意識を持たせるためには必要かなと思っております。名古屋の場合はそういった適当な場所がありません。それで、私の退職した学校の近くの南陽町に、土地を提供してくださるという方がございますので、そちらの方へ子どもたちを連れて行って、生産活動等に参加させられればというふうに思っております。
学校を設立する予定の六反小学校の跡地でございますが、これは中村区にございます。私は2年ほど中村区の中学校にお世話になったこともありまして、あの地域の方とはよくお話をさせていただいて、子どもたちの職業体験ですとか、あるいは地域の歴史体験あるいは地域を知るという活動についてはその地域の皆さんが講師をやってくれるというふうな形で、進んで手を挙げてくださっておりますので、地域との関わりについては十分保てるのかなというふうに思っております。同時に、地域の行事等にも積極的に子どもたちを参加させ、あるいは学校での行事に地域の方に参加をしていただく。これも従来私どもがやってきたことで、そんなに難しいことではありませんので、地域との関わりをどんどん持っていきたいなというふうに思っております。それから近隣の小中学校との関わりを持って、狭い地域での子どもの活動ではなくて、他の同年輩の子どもたちとの関わりも持たせていきたいと考えております。設立の準備段階の話でございますので、これらはあくまでも私の私見が大きく占めますので、そういった点も改めて御了解をいただきたいなというふうに思っております。
それから、今のところ40件ほどでございますが、実は私どものところへお問い合わせがございます。その内で、私の教え子が大阪の方に住んでおりまして、先日私のところへ参りまして、子どもがアスペルガー症候群のグレーゾーンだと言われたので名古屋に星槎中学校ができるなら、うちの子どもも面倒見てよというような話がありました。大阪ですから新幹線で通えば1時間ということではあるのですが、本当に大阪から通うのがよいのかどうか、毎日のことですし、家族でもう一度考えなさいねというような話をしました。十分にうちで話し合いましたということなものですから、実際に子どもが一人で学校へ来られるかは大丈夫なのか話をしたところ、夏休み中に子どもが5歳の弟を連れて私のとこへやってまいりました。ちゃんと通えるということを証明したということでしたが、もう一度そんなに遠くから通うことがよいのかどうか、そのデメリットについても考えなさいよと言って帰しましたが、やはりそういうような意識を持っている親御さんというのはたくさんいらっしゃるのかなというふうに思っております。
学校開設に必要な内科、眼科というような校医さんですとか、あるいは食事の問題ですとか、そういったものについても近隣の方々の御協力をいただいて、順次、御内諾をいただいておるというような状況で進んでおります。
私の方はお話をする材料がそれほどございませんので、思いだけをお伝えさせていただこうと思っておりますが、名古屋にあります子ども適応相談センターなどのところでは、それぞれの地域の学校と保護者は手を携えて何とか元の学校へ戻れるように、自分が好きになる、あるいは自分に自信が持てるように指導を進めてみえます。戻れる割合が、名古屋市の場合ですと45パーセントという数字です。これは私は高い数字だと思っております。ただ残りの約55パーセントはどうなるのかなということですが、これは名古屋市のお考えだろうと思っております。昨今では不登校の子どもたちの中には、先ほど金子校長が申し上げましたように発達障害のお子さんもおります。ですから、なかなか学校復帰が難しいという中で、横浜では星槎中学校のような実践が行われております。
委員の皆様方には御承知いただけたと思っておりますが、私たちは不登校の子どもたちが、学校に通える環境を何とか作ってあげたいというふうに思っております。星槎名古屋中学校は、その際の選択肢の一つではないかなというふうに思っております。名古屋駅の近辺でございますので、交通機関については至便なところでございます。それから私立の中学校でございますので、名古屋市外の子たちも通うことができます。そういう機会が増えてくるのではないかなというふうに思っております。元の学校へなかなか戻れない、そういう子どもたちにとっては、一つの光明として期待をされている保護者の方もたくさんいらっしゃるのではないかなというふうに思っております。
ただ、開校の決定という情報が得られないものですから、問い合わせでまだ開校しないのかというようなお話も最近特に増えてきています。委員の皆様におかれましては、不登校対応の私立中学校について、ぜひ御理解と御配慮をいただきますようにこの場をお借りして切にお願いをしたいと思います。ありがとうございました。
(主な質疑)
【委員】
不登校の原因は発達障害にあるのかどうなのか、まずは現状とどういった割合で生徒が在学しているのか伺う。
【金子参考人】
不登校の子どもが大部分であるが、その不登校の原因の中に発達障害あるいはいじめといったものがあり、いじめによる不登校の子どもの中にも発達障害的な子どももいたりする。
それから特殊な例で言うと、例えば、女の子であなたは顔が醜いと言われてずっと学校に行かなくなってしまい、毎日毎日引きずるようにお母さんが連れてきても、保健室に来るまでの間に帰ってしまう。そういう子どもは発達障害まではいかないのだが、半年ぐらいたつと学校に来ることができた例もある。
それから、これは私の最初の年の生徒の話であるが、強迫神経症という障害を持っており、物事を悪い方へ悪い方へと考えてしまう。例えば、お風呂場に入ろうとぱっと足でまたいだ時に、もう一歩行くと滑って転んでしまうかもしれないと考え、そのままずっと2時間ぐらい固まってしまうような感じである。また字を書こうとしても、失敗したら困るからといって、私が初めて見たときは全く字を書かず、先生がいくら言っても字を書かない。このような病気を持って不登校になった子どももいる。
いじめや何かにあって不登校になってしまったとか、友達との関わり合いが悪くて不登校になってしまったという子どもの原因をよく突き詰めていくと、アスペルガー症候群的なことで人との関わりあいがうまくできないことが要因になっているケースも多く、その分類ははっきりしないが、いじめなどによる純然たる不登校の子どもは約2割、残りの8割はみんな多少アスペルガー症候群とか自閉症とか多動性障害であり、LD(学習障害)で勉強中学級を乱してしまう子どもが多い。
実際にはそのような子どもを含めて不登校と言ってしまえばそうなのだが、その不登校の生徒をよく分析してみると、発達障害がある場合があり、そこの区分けが、非常に難しい。その不登校になった要因というのは心理テストなどをやっても突きとめるのが非常に難しいのだが、不登校の原因が、発達障害などに関係しているということだけは分かっている。
【委員】
私がたまたま過去にいろいろ相談をいただいた方からは、いじめとか、先生方が自分のことを認めてくれないとか、そんな悩みから不登校になったという子どもの話が多いので、そういった子どもについては星槎学園のようなところで勉強することが可能かと思うが、そのような子どもを、元の学校に戻してあげたいかどうかということについて、地域性がややあるのかなと思う。星槎学園のようなところでずっと学校生活を送り続けて成長していきたい子どももいるだろうが、神奈川では親あるいは本人の意向として、普通の子どもと一緒のところに戻りたいという希望は余りないものなのか。
【金子参考人】
今、当校に通学する生徒の地域分布は横浜市内が大体5割、東京が区外の周辺都市も入れて2割、相模原市等の神奈川県内から来ているのが3割、あと少数だが、今年の場合には、長崎から引っ越して来た子どもが一人いるが、そういう子どもは地域に戻りたいという気持ちはもう全く無い。
星槎学園で一人前に育ててもらい卒業したいというような気持ちの方が強く、私の6年間の経験では、どうしても元の学校に帰りたいという子どもはいなかった。
【委員】
その点については、やはり地域差があるという気がする。特に東京近郊の場合は私立の学校に通う人が多いため、そういった環境の違いが原因なのかとも思うが、私が過去に相談を受けた親は、かなりの方たちが元の公立の学校で面倒を見てほしいという考えであった。
私は今期初めて県会議員になったが、その前の市会議員の時には、何とか市で対応してくれないのかという要望が非常に多かったことは事実としてあった。
【委員】
生徒が通いたいと思えるような学校というのは、先生から見ても通いたい学校だと思うし、生徒にやる気がある学校というのは先生もやる気がある学校だと思う。特にこの個別指導計画だとかSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)だとか、そういったオリジナリティーあふれる教育をしていく上で、教員の質や量、採用や待遇などについて、どういった形で優秀な教員を確保する戦略や運営をしているか伺う。
【金子参考人】
私は採用するときに、本当にお金に関係なく仕事をしてくれるのかどうか聞く。星槎学園はそんなに給料の高い学校ではないので、難しいことはそんなにしなくてもいいから、本当にやる気を持って子どもと関わってもらえるかどうかが重要となる。
実際には気の毒で大変申し訳ないと思うけれども、子どもとの関わりができないため、体がもたずに辞めた先生が7年間で8人いる。
しかし、先生には毎日1時間ずつぐらい、この子どもをどうしようか、あの子どもをどうしようかと考えさせており、これはベテランが毎日研修をしているようなもので、先生たちは大変だが、毎日それをさせることにより、問題が後に残らないようにしている。
私は日本一電話代のかかる学校だと言っているのだが、何かあれば必ずその日に親に連絡をして、こういうことがあったが、お母さん誤解のないようにとか、子どもをこういう立場で寄こしてくださいとか伝えて、その問題を解決してから次の日に臨むよう徹底しており、またそういうことで、先生たちの力も徐々につくのではないかと考えている。
【委員】
180人の生徒に対し教員はどれぐらいいるのか。
【金子参考人】
非常勤を含めて30人である。大磯にある分教室の1クラスを除くと1学年に3クラスあるが、そこに1クラスにつき正規担任を一人ずつ、副担任を一人ずつ置いており、したがって、1学年6人ずつ、3学年で18人の正担任と副担任を置くようにしている。
【委員】
もっと多いのかと思っており、これだけの人数でまとまりよくやっているというイメージだが、やはりそうしないと学年の中でコミュニケーションが取れないと感じた。
教科については、粘り強く基礎的なところからこつこつとやっていると思うが、今までのいろいろな経験を踏まえて、体験学習以外に何かこういう教科の内容だとか、こういう指導法が不登校の子とかコミュニケーションをとるのが苦手な子どもに対して有効だったというような経験はあるか伺う。
【金子参考人】
私は子どものちょっとした成功感、例えば問題解決ができたときの喜びを見逃さないで、そのつど褒めることを上手にやれと先生たちに言っている。
横浜市の中学校の場合には、割と画一的な授業が多く、一人ひとりの子どもをよく見て指導すると言いながらも、なかなかその子どもの姿をきちっととらえて、適切な評価をするということができないので、私はそれが第一に重要なことだと思う。
それからもう一つは、TT(チーム・ティーチング)方式を取っており、先生が二人いるので、授業中に子どもをチェックしながら集中的にやるようにしているが、それでもできない場合には、出張授業と呼んでいる家庭学習的なものをやっている。学校外、例えば家庭で教えると、まじめにやる子どもがいる。これは交通費がかかって余り良くないのだが、子どもの家に行って先生が教えると、母親もおりふざけたこともできないことから、家で1か月に5回か6回教える子どもが何人かいる。それを、塾に行って勉強することだと言ってしまうと、子どもは学校へ来ても効果が無いので、私は先生を家庭教師代わりに行かせて、家で30分でも1時間でもいいので教えて、それでお母さんと褒めたたえ、今度は学校でもできるよと言うようにしている。実際にはそこまで親と協力しないと、なかなかいろいろな子どもの姿を見ていただくということができない。
【委員】
本当に手をかけてやっているというのが感じられる。だからこそこうやって星槎グループの分野もいろいろと広がっていき、社会ニーズに応じていると思うのだが、保護者からすると私立ということで、なかなかこれだけの授業料を払うことが難しいと感じる方もいるであろうし、余裕がある親であればもうちょっと子どもたちに違う手がかけられたと思っているのではないかと思う。入学するときに100万円以上かかるが、保護者の方への助成という形で神奈川県や横浜市からの補助はあるのか。
【金子参考人】
県の補助と市の補助がささやかながらある。それと一度に60万円払うことはなかなか難しいので、授業料を分割納付にするなど、いろいろな方法で対応している。保護者も真剣で、来る方はそれなりの覚悟で来るが、やはり経済的に困窮している方もあり、ましてこういう時勢なのでローンを組んでいただいている場合もいくつかある。将来的に家庭がどうなるか私たちも不安なのだが、経理的には大変であっても、できるだけ一度にお金を出す必要がないような方策をとっている。
【委員】
本当に、親たちのいろいろな思いがあると思うし、神奈川県と愛知県ではいろいろ状況が違うと思う部分はあるが、愛知県でもニーズがあるだろうと思っているので、また私たちもいろいろ勉強したいと思う。最後に一つ、進路の関係で大学まではそれなりに行けたとして、その後社会に通用するかどうかといったところがポイントだと思うが、そのあたりはどのように評価をしているか。
【金子参考人】
まだ高校が2期生しか卒業生を出していないのではっきり言えないが、就職をしている子どもは大体何とかやっているようである。例えば、全日空の洗濯専門の部門に二人就職したが、それは航空会社に勤めたいという中学校からの願望があり、関連会社ならよいということで、座席のシートカバー洗いをやっているが、生きがいを感じており職場からも褒められている。
それから大学をなかなか卒業できない子どもが二人おり、何とか卒業するよう努力して欲しいので、そういう子どもは大学の方にコンタクトをとって進路指導の方でお願いに行った例が、去年1件あった。あとは、追跡調査はまだ完全にはやっていないが、同窓会等で学校に卒業生がよく来るので聞くと、何とかなっているようである。
だから、発達障害というとすごく悪いようなイメージがあるが、普通でもかんしゃく持ちとか、カッとしやすい短気な子どもがいると思う。そういう意味で、見かけは障害がない子どもと余り変わらないし、授業を受けていても、私は、横浜市の公立中学よりやや良いかなと思うくらいの学習態度である。発達障害というものの特性というか、その特質をよく見極めて指導すると、人間として年とともに発達してそういうものは解消される。
あいさつについても、来た方どなたにもすばらしいあいさつができていると言われるが、そういったことが習慣化してくるということは、学校のしつけ面や生活面の指導がある程度徹底できた成果ではないかと思っている。そういったことを踏まえ、過去2回の卒業生を見る限りでは、中学高校の6年間で大体何とかなるのではないかと考えている。
【委員】
不登校の生徒と学習障害、発達障害の子どもについて、明確な数字というのが表されていないが、その道のプロとして、こういった調査機関でこういった数字が出ているということがあれば教えて欲しい。
また、発達障害の子どもも大勢いると伺ったが、やはり難しいのは、親にはうちの子どもに限っては違うという思いがあることである。しかし、発達障害だということを診断してもらうことにより、これから、子どもがどうあるべきか知ることも大切なことだと思っている。そこで、発達障害だと思われる子どもが、皆診断を受けている方ばかりなのかということと、もし学校として疑いがあるなと思った時に、親に対してどう関わり指導しているのか伺う。
【金子参考人】
一つ目の質問について、純然たる不登校なのか、学習障害を含めた発達障害をもっているのかの見極めがつかないので、一般にもデータは余り無いと思う。
二つ目の質問について、うちの学校に来る子どもは、何らかの形で医者にかかっていることが多い。だから保護者が、うちは何でもないと思ったのに、精神科の医者にこういう障害があると言われたが、先生本当にそうでしょうかと逆に聞かれることも多い。私たちは医学の世界に入り込むことはできないので、診断結果は尊重しなくてはならないが、医学が進歩すると昔はいたずら小僧だとか落ち着きがないと片づけられてきた子どもたちが、医者の診断を受けると障害があると判断される。診断されれば、私たちはそういう目線で指導を適切にしなければいけなくなるので、こちらから医者を勧めるということは、一部の特例を除いてはない。
【委員】
水野参考人は愛知県内で教職員として活躍されていたという話を伺った。もちろん我々は私学に通える不登校の子どもたちを応援していくという立場をとっていきたいと思っているが、今ある公立学校における不登校対策も考えていかなければならないとも思っている。だから、現場にもいて、その道のプロとしていろいろな見識も持っているので、今の愛知県の不登校に関して伺う。
愛知県の場合は、中学校には全てスクールカウンセラーが配置され、小学校についても、2割を超える学校にスクールカウンセラーが配置され、児童、生徒が不登校にならないよう日々活動しており、その結果、今日の新聞に報道されていたとおり、不登校の生徒は減少している。でも、まだまだやらなければならないことがたくさんあると思うので、公立学校として不登校対策をしていかなければならない。水野参考人は現場にもいたので、こういったことをこれからやっていく必要があるのではないのかという思いがあれば、ぜひ聞かせて欲しい。
【水野参考人】
これからのことについては、申し訳ないがよく分からないので、自分がこうあるべきだということで言うと、正直なところ、公立として最大限の努力はしなくてはいけないと思っているし、これまでもそのような形でやってきた。ただ、不登校になった原因というのは定かではなく、本人自身もわからないという状況でもある。
実は先日、国際学園とは全然別で、ある方から、子どもがお母さんが亡くなった時点から学校へ行かなくなったという話があり、家へ伺った。子どもと話をするのが一番だという話をしたが、当然初対面なので本人は出て来ないため、親にいろいろ話を聞いたが、本人もいじめられたというわけではない。それから、学校で授業が分からないというわけでもなく、本人自身が不登校の理由がわからず、発達障害かというとそういうわけでもないという子どもがいた。
先ほどから話があるように、不登校にはいろいろな形があるため、学校の対応としては、まず学力がついていかないという生徒については、名古屋市も愛知県も教員について非常勤の加配をしているので、チーム・ティーチング等で何とか対応し、わかる授業を心がけるということが大事だと思う。
それから、先ほど教員の質という話があったが、教員の実践的な指導力を高める必要があるので、私が退職した際の学校では、私が毎年半分の教員を指名して、名古屋市の教育センターの指導主事や指導員に授業を見に来てもらって、授業力を高めてもらった。その結果、着任した当初はクラスに5、6人机にうつぶしている生徒がいたが、2年後はゼロになった。教員の研修ということについては、県の教育委員会の方もしっかりやっていると思うので、まずそういう手配をする。そして、わかる授業、楽しい授業を心がけるということがまず学習の面では大事だと思う。
二つ目は、家庭に問題があったり、生活が昼夜逆転しているというような生徒もいる。そういった生徒については、それぞれの学校でやっているとは思うが、私は保護者と密接な関わりを持って、そして子どもには自分を大事にしなさいと話をしてきた。自分自身を大事にするということは、とりもなおさず人も大事にするということなので、人に迷惑をかけることはいけないということを、説教がましくではなく、そういう話し方で話してきた。
それから、そういう子どもの中には、周りの子どもが相手をしないため、アウトサイダーになる子どももいるが、それではその子どもは学校へ来なくなるので、グループの中やクラスの中でその子どもをどう生かすかということを、担任とも相談をしながらやってきた。これは生徒指導上の問題であるが、犯罪に関わる、いわゆる不良行為、法律違反等については、いけないことはいけないことということで、関係機関と連携を取って、厳しく取り組んできた。
それから、実は私のところで、学力はあるが、他の子どもと全く関われないという子どもがおり、通常学級へ入れるとトラブル続きなので、保護者といろいろ相談をして、特別支援学級に一旦入れた。保護者は正直なところ不本意であった。特別支援学級に入れるが、そのかわり5教科については通常学級で授業を受けるなど、少しずつ慣らしていくという形で行ったが、最終的に3年生の時点でコミュニケーションがだいぶとれるようになったので籍を通常学級へ入れ、今年高校に合格した。
そういう他の子どもとなかなか交われない子どもについては、保護者は本当に不本意という状況であったが、特別支援学級に入れながらやると、少ない人数のためその子どもは友達とうまく関わりながらやれた。私はそのように関わってきたが、それが本当にいいのか、それとも何か新しい形を見つけて不登校対策のカンフル剤にするのがいいのか私には分からないが、先ほど言ったように、良い所をとにかく見つけて、子どもに自信を持たせることが、一番効果があるのではないかと思っている。
【委員】
今までの話を聞いて先進的な別室登校学校の私立版だなという印象を持ったので、別室登校について伺いたいのだが、愛知県も決して先進的ではない。
山形県天童市では専門の先生を配置し、更に担任はもちろんいるが、空いている先生も授業で教えることによって自習だけの時間は決してつくらない。そして担任の先生と他の先生たちが毎日連絡をとることによって、これから子どもたちをどうしていこうか、ということを考えているという先進的な別室登校をしている。ここの現状を聞くと約7割が現場クラスに戻ることができたという数字も出ているが、この別室登校についての考えを伺う。
【水野参考人】
山形県のことについては不勉強なので知らないが、名古屋の別室登校でいうと、それぞれの校長の権限でやっているので、さまざまなタイプがある。私の経験だけで話をすると、どうしても他の子どもと一緒に教室に入れない子ども、いわゆる保健室登校という表現があるが、その子どもたちについては、担当、担任あるいは空き時間の教諭が必ず付いており、プリントであるとかあるいは教科書を使いながら、一斉授業でやるような授業は行わない。恐らくできないので、その子どもに今日はどこをやろうという話をしながら、中学2年生であっても小学校6年生の算数の問題をやるなどしている。
また、いろいろな問題があり昼間は学校に行けないから、夜に別室登校させてくれという保護者もいた。その場合は、毎日というわけにはいかないので、私の部屋で私が週1回授業をするという形でやった。だから、自習というのはなく必ず教員が付いていて、必ずプリントや教科書を使うなどしながら、そばに付いてやっていた。
【委員】
話の中で適応指導教室という言葉も出てきたが、愛知県には38の適応指導教室がある。これはもちろん市町がやっていることではあるが、子どもたちを自分たちのクラスに戻す本当に大切な場所であり、県はこことの関わり合いを大切にしなければいけないと思う。でも、実際に私がよく中身を見て感じたことは、現場の先生はなかなか適応指導教室に顔を出さない。そしてスクールカウンセラーの方々も、適応指導教室とどう関わり合いを持っているのかよく分からない。適応指導教室はあくまで市町が責任を持って開催している大切な場所ではあるが、愛知県の教育委員会が適応指導教室とどう関わっていくべきなのか、適応指導教室の役割がどうあるべきなのかということを最後に伺う。
【水野参考人】
申し訳ないが、私は愛知県の適応指導教室で具体的にどのような指導がなされているのか分からない。ただ、名古屋市の子ども適応相談センターとは常に密接な連絡をとっていた。それで、正直なところを言うと、自分の学校の不登校の生徒は何とか自分の学校に戻したいという意識でずっといたが、何ともならない場合については、いろいろなところにSOSを出すのは恥ずかしくはなかった。
だから保護者に、学校としては今こういうふうにやっているのだが、専門家の意見を聞くのも一つなので、教育センターや子ども適用相談センターの方へ紹介させて欲しいとお願いした。そこで4割ぐらいの保護者が、わかりました、先生連絡をとってくださいというので話をして、相談センターへ行ってもらった。相談センターは個人情報の問題があるので余り細かいことは教えてくれないが、アドバイスはもらえる。そのアドバイスをもとにして、保護者と話をしながらやることで、名古屋市では元の学校に戻れる割合が45パーセントという数字になっていると思う。県については、県の職員が関わっているのかもしれないが、教員がどう関わっているのか私は分からない。
私どもは、子ども適応相談センターへよく足を運び、どういう状況でいるのか話を聞きに行く。子どもによっては見られるのが嫌だという子どももいるが、子どもたちは週に2回から3回、午前中か午後のどちらかしか行かないので、子どもたちのいないところを見計らって担当の先生のところへ行き、話を伺う。電話では、やはりいろいろ難しい問題があるので、そのような形でやってきたが、恐らく県でもそれなりに対応しているだろうと私は思っている。
【委員長】
県の対応に関する質問について理事者の答弁を求める。
【理事者】
多くの市町村で適応指導教室を開設しているが、県は、不登校対策についてはスクールカウンセラーを配置して進めている。子どもたちの不登校の原因にはいろいろな事情、実情、原因がある。そういった中で、学校の先生が中心になり、スクールカウンセラーや適応指導教室という選択肢もあるが、いろいろなツールから選んでもらうことが大切だと考えている。そういった意味で、本県のスクールカウンセラーを充実させ、また、今までスクールカウンセラーに関わっていた子どもたちが適応指導教室に行くということであれば、今までの状況について話をするなど連携をとって対応していくのがよいのではないかと思っている。
【委員】
先ほど星槎学園の教員の数を答えてもらったが、教員のおおよその年代別の割合を伺う。
【金子参考人】
中学校は20代が80パーセント、30代が20パーセント、教頭も30代なので、私が一人だけかけ離れている。高校も40代が二人いるが、あとは全部20代と30代で構成している。
【委員】
一般公立高校で考えると非常に若いが、先ほど夜の9時ぐらいまで学校にいるという話もあったので、そういう若い方々でないとなかなかエネルギーがもたないのかなと思う。その反面、先ほどの子どもの良い所を見つけるようにしているという話を聞くと、私が学生であれば金子先生や水野先生のような方々に見てもらうと安心すると思う。
20代、30代の先生たちが子供たちの良い所を見つけるためには、経験的なものも必要だと思うので、それを補うための先生たちに対する訓練であるとか、更に言うと、一般と比べて非常に手がかかり、気を配りながら見ていかなければいけない生徒であるということから、先生たちへのケアというのは具体的に何かしているのか。
【金子参考人】
若いから体がもつということはなく、40代でも熱意があり朝6時半頃から来ている先生もいる。ただ一つ言えるのは、子どもの特性を見極めるというのはなかなか難しいことなので、私も全員野球ではないが、校長室を開放しており、子どもが校長室に遊び場のように自由に入って来る。
一昨年だが、ぞろぞろと来た時に、軽音をやりたいという子どもがおり、一人で軽音をやるわけにはいかないから3人でというところから始まり、だんだん人数が増えてきて、今部活に昇格しているのだが、私はそういうちょっとしたことについて気配りをしろということを先生に絶えず言い続けている。
子どもが何かしたいとか何かこういうことを考えたいと言ったときに、それが特性に関わる確率が非常に高いので、見逃さずに絶対に毎日メモして、その子どもに対応していくというのが一つである。
それからもう一つは、友達があの子はこういう良いところもあるよということを先生に何でも言える雰囲気があると、子どもの状況を先生の目が届かない所でキャッチできる。その二つが特性とまでは言えないが、気をつけていることである。
それから、先生との交流もできるだけ持つようにして、ちょっとした行事があった時には必ず皆で慰労会などをやるし、また、何でも問題があったら校長室へ来てくれと言っており、若い先生だから失恋の話などもあったりするが、聞いてやって落ち着かせるのも必要である。若い先生にはそういう悩みもあったりするが、子どもをどう指導したらいいかがわからないという悩みがやはり一番多いので、自分の経験を生かして相談にのっている。
【委員】
宮澤会長の熱い情熱と同じような思いを持って、不登校の子どもを何とか救いたいと思って、全国でもこういった学校経営の動きがたくさんあると思うが、星槎学園がこの点だけは他校に負けないという差別化のポイントがあれば、ぜひ伺いたいし、同時に、どうしてもこの学校のユニークな教育方針というのは真似できないなという点があれば、伺いたい。
【金子参考人】
とにかく星槎の精神というのは、どんな子どもでも認めること、それから排除しないことである。先生というのは時々自分がむきになって勝手にしろと突き放す場合もあるが、そういう排除をしないことである。
それから、先ほど、適応指導教室の話もあったが、そのように特別に対応しなければならない子どもについて、やはり仲間づくりが重要であり、仲間さえいれば、学校に来て何とかやっていく。だから、星槎学園の場合には、人を排除しないこと、人を認めること、それから仲間を作ること、この三つについてはどこにも負けない教育をしている。これは先ほど言ったインクルージョン教育の原点に立っているわけだが、星槎大学がそういうインクルージョン教育の原点に立って、共生科学部という学部を作っており、それはとりえである。
あとは強いて言えば、先生方が骨身を惜しまず子どものために働くので、そこは頑張っていると感じる。私は公立もよく見てきており、公立は非常に機械的なところもあるのだが、星槎はとことん子どもに粘り強く対応し、あきらめない。もう子どもに対してどんなことがあってもあきらめず、とことんまでやる。それは稚拙で周りから見たら大したことではないかもしれないが、先生方がみんな覚悟を決めて、子どものために粘り強くやるという教育の理念は多少他と違うかなと感じる。
また、できるだけ学校間交流がないと、その学校だけではなかなか解決できない。私の方も、旭区、都筑区、青葉区という三つの区に囲まれている学校なので、私学でありながらそこの生徒指導の先生とは常に交流を持っており、指導技術の向上のためにいろいろと努力をしている。そういうときに、公立の先生から学ぶものもたくさんあり、また、私の方から発信できるものもあるので、星槎だけでやるのも大事ではあるが、私は昨年度から教員の交流をできるだけ多くしようと思って心がけて始めている。
そういうことが指導技術をお互いに高めたり、それからみんなで不登校の解消に連帯性を持って努めて、やっとできるものではないかなと思っている。星槎に他より秀でた特効薬が特にあるわけではないので、ただ子どもに粘り強く関わってやっているというのが現実である。