人類は、産業革命以降、科学・技術の飛躍的な進歩のもと世界が競って経済成長を追い求め、大量生産・大量消費・大量廃棄型の物質的な豊かさを手に入れる一方で、資源の枯渇、廃棄物の蓄積、廃棄物による汚染等、多くの地球的規模の諸課題に直面することとなり、現在、これからの人類の発展にとって大きな岐路に立っています。
こうした中で「自然の叡智」をテーマとする愛知万博は、これらの地球的諸課題について一人ひとりが考える機会を提供するとともに、世界の英知を集め、21世紀型産業、文化のあり方や循環型・省エネルギー社会のモデルづくりなど、来るべき時代のひな形を創造し、その成果を世界に発信、次世代に継承していくことをめざしています。
○ |
この愛知万博に出展参加する愛知県は、気候・風土・景観などの恵まれた「自然環境」、
モノづくりの知恵に支えられた世界的な「産業技術の集積」など、多様な地域資源を有しています。
そこで、愛知県の出展参加は、これらの地域特性を十分に活かしながら、新しい時代に向け、
夢と希望がふくらむ新しい姿の地域形成をめざす契機としてとらえ、その地域形成の姿を『エコ・コミュニティ』と
位置づけます。
『エコ・コミュニティ』とは、毎日の暮らしが地球環境に影響を及ぼしていると認識し、
リサイクルの推進やエネルギーの節約に努め、緑や水、空気を大切に守り、さまざまな生物が共に生きていくことを
めざす循環型社会です。
愛知県の出展参加は、この『エコ・コミュニティ』を新しい地球創造の担い手にしなければならないと提案していきます。
|
○ |
また、愛知県は、陸・海・空の総合的な交通基盤が整いつつあるとともに、
多様な自然や歴史・文化資源、世界的な産業技術を有しながら、国際的には非常に知名度が低いのが現実です。
その意味では、愛知万博は国際的に「Aichi」をアピールする絶好の機会であり、多様な交流の場となります。
愛知が誇る魅力を余すことなく紹介し、開催地元県として来場者を誠心誠意もてなすことにより、世界との交流を深め、
この地域の一層の発展に繋げていくことをめざします。
|
○ |
愛知万博への出展参加は、地域の"未来へのかけ橋"であり、県内の参加者や内外の人々に夢や希望に満ちた体験の場を
提供することが必要です。
来場者の記憶に深く刻みこむため、空間構成、演出等は期待、驚き、感動など五感・情感にアピールし、楽しさ、刺激性、
革新性を追求します。
|
(1)21世紀の地域社会づくりのモデルとして、『エコ・コミュニティ』を提案
『エコ・コミュニティ』を21世紀の愛知がめざす地域づくりの柱のひとつとするとともに、
その形成は自然の保全・回復や、環境負荷を低減する資源の循環やエネルギーの省力化等をものさしに、
地域社会を構成するNPO等を含む県民の主体的な行動と、企業、行政等の連携、協働によるさまざまな取組を柱とします。
そこで愛知県の出展参加は、愛知県の将来ビジョンである『エコ・コミュニティ』づくりを内外に宣言するとともに、
愛知万博の開催に向け、全県を巻き込んで取り組まれる自然の保全・回復や環境への負荷の少ない循環システムを取り入れた
ライフスタイルなど、その成果をモデルとして世界に提示します。
○愛知県の自然の豊かさを再認識し、県民、企業、行政などのさまざまな主体が互いに知恵を共有し協調しあうことで、
自然環境の保全や循環型社会をめざす地域づくりにチャレンジしていきます。
○モノづくり県として培ってきた技術の蓄積を活かし、環境への負荷の軽減に資する商品・サービスを開発したり、
さまざまな社会経済活動を環境保全型のものに変革させる上で役立つ技術やシステムを提供する等、
21世紀の愛知の産業を牽引する環境ビジネスの創造を支援します。
(2)主体的な県民参加で県民一人ひとりがつくる愛知万博
『エコ・コミュニティ』の実践には、環境を地球的な視野で考え、地域で実践する地球市民として参加することが必要です。
21世紀最初の国際博である愛知万博では、この『エコ・コミュニティ』づくりに向け、NPO・NGOなどの市民組織や
個々の県民自身が国際博への「入場者」という受動の位置にとどまることなく、愛知県の出展参加の担い手として、
主体的な参加を試みる場と位置づけます。そしてその過程で生まれた参加の仕組みそのものが、出展参加を契機とした新たな
『エコ・コミュニティ』づくりに継承、発展していく大きな「ムーブメント」を育てていきます。
○出展の計画段階から、県民が主体的に参加し、その責任をも担うという仕組みづくりに取り組みます。
○NPO等を含む県民・企業・行政といったさまざまな立場からの参加を求め、それぞれの機能が有効に発揮できる場と
機会を提供し、連携・協働によるレベルの高い出展成果の形成をめざします。
(3)時代に先駆けた提案により、国際社会における愛知をアピール
国際博覧会は、新しい文明を創り出すため世界の英知を集め、競い合い、交流する場です。
この地域は、世界経済の約1%の規模を占め、世界の繁栄に貢献できるポテンシャルがあります。
21世紀最初に開催される愛知万博は、人類の共通の課題である「環境問題」に向き合い、新しい世界の「ひな形」を
世界に発信していく絶好の機会と考えています。そうした愛知万博の開催地元県として、時代に先駆けた取組を
提案することにより、国際社会での知名度を高め、地位の向上をはかります。
○ モノづくり県の特性を活かした先端的な環境技術などの提示や全県民の『エコ・コミュニティ』づくりへの取組が、国際社会、とりわけ近隣のアジア諸国での環境問題の解決に先導的な役割を果たすことをめざします。
○ 世界の人々との交流を通じて、さまざまな伝統や生活様式等の多様性を学ぶことにより、県民が取り組む『エコ・コミュニティ』づくりに新たな価値を付加するとともに、その成果を普遍的な価値あるメッセージとして世界に提示することにつなげます。
○ 気候や風土、物産、文化、伝統工芸、観光資源などの紹介を通じて、国内はもとより海外の人々に、愛知県の歴史、現在、そして未来の姿を伝え、愛知への理解を深めることにより、より活発な交流の促進をはかります。
|