建築士法(以下「法」)及び建築士法施行規則(以下「省令」)が一部改正されました。
これにより新たな手続きの必要や既存様式の改正が生じています。
改正の主な内容は以下のとおりです。
平成20年11月28日の改正の内容
1.管理建築士の要件が強化されました。
建築士事務所の管理建築士になるためには、建築士として3年間の所定の業務経験を積んだ後、管理建築士資格取得講習を受講しなければなりません。(法24条第2項)
なお、平成20年11月28日時点ですでに建築士事務所の管理建築士として登録されている方については、その建築士事務所に引き続き管理建築士として置かれる場合に限り、法施行後3年以内(平成23年11月27日)までに、この要件を満たせばよいことになります。
管理建築士の要件の強化に伴う、建築士事務所の登録申請の添付書類について
建築士事務所の登録申請には、「管理建築士資格取得講習の修了証の写し」(2部)が必要となります。
なお、更新の場合、平成20年11月28日時点で管理建築士として登録されており、その建築士事務所に引き続き管理建築士として置かれる場合は、講習受講まで3年間の猶予期間があるため、「管理建築士資格取得講習修了証の写し」が無くても、登録はできます。
2.所属建築士の定期講習が義務づけられました。
建築士事務所に所属する建築士は、3年ごとに、定期講習を受講しなければなりません。(初回の講習は、平成24年3月31日まで)(法22条の2)
3.管理建築士等による重要事項説明が義務づけられました。
設計・工事監理契約の締結前にあらかじめ、管理建築士その他の当該建築士事務所に所属する建築士が、建築主に対し、重要事項について、書面を交付して説明をしなければなりません。(法第24条の7第1項)
説明を行う建築士は、建築士免許証(免許証明書)を提示しなければなりません。(法第24条の7第2項)
4.構造設計一級建築士及び設備設計一級建築士制度が創設され、一定の建築物については、構造設計一級建築士及び設備設計一級建築士による関与が義務づけられました。(関与は平成21年5月27日以降の建築確認申請から)
一級建築士として5年以上構造設計及び設備設計に従事した後、講習を修了し、構造設計一級建築士証及び設備設計一級建築士証の交付を受けた者は、構造設計一級建築士及び設備設計一級建築士になることができます。(法第10条の2)
高度な専門能力を必要とする一定の建築物の構造設計及び設備設計については、構造設計一級建築士及び設備設計一級建築士による法適合確認等の関与がなければ、建築確認申請及び工事着工ができなくなりました。(平成21年5月27日以降の建築確認申請から)
構造一級建築士及び設備設計一級建築士制度が創設に伴う、建築士事務所の登録申請の所属建築士名簿の様式変更について
所属建築士名簿の記載事項に構造設計一級建築士又は設備設計一級建築士についての記載及びその免許証(免許証明書)の交付番号の記載が追加されました。
5.再委託が制限されました。
委託者が許諾しても、建築士事務所の開設者以外の者への設計・工事監理の再委託が禁止されました。
3階以上で床面積が1000u以上の共同住宅については、委託者が許諾しても、設計・工事監理の一括再委託(いわゆる丸投げ)が禁止されます。
平成19年6月20日の改正の内容
1.建築士が構造計算によって建築物の安全性を確かめた旨の証明書の交付が義務付けられました。
建築士は、構造計算によって建築物の安全性を確かめた場合には、その旨の証明書を設計の委託者に交付しなければなりません。(法第20条第2項)
構造計算によって建築物の安全性を確かめずに、その旨の証明書を交付した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。(法第35条第5号)
2.事業年度ごとの業務実績等の報告が義務付けられ、それらの書類が一般に閲覧されます。
建築士事務所の開設者は、事業年度ごとに建築士事務所の業務実績、所属建築士の氏名・業務実績等を記載した業務報告書を、毎事業年度経過後3ヶ月以内に都道府県知事に提出しなければなりません。(施行日以降に始まる事業年度から報告の対象となります。)(法第23条の6)
この報告書は、現行の登録簿に加えて、都道府県における建築士事務所に関する閲覧の対象となります。(法第23条の9)
又建築士事務所における閲覧事項も拡充され、所属建築士の業務実績等の内容を記載した書類が閲覧の対象となります。(法第24条の6)
3.設計・工事監理の下請け契約締結時に書面の交付が義務付けられました。
建築士事務所の開設者が設計又は工事監理の受託契約を締結したときの書面の交付義務について、書面を交付する相手方の範囲を拡大し、建築主だけではなく、全ての委託者が対象となりました。(法第24条の6)
4.図書の保存期間が延長されました。
建築士事務所の業務に関する帳簿及び図書の保存期間が、5年間から15年間に延長されました。(法第24条の3、省令第21条)
改正法施行日前5年以内に作成された帳簿及び図書についても、同様に15年間の保存義務があります。
5.処分を受けた建築士の氏名及び建築士事務所の名称等が公表されます。
国土交通大臣又は都道府県知事は、建築士に対し免許の取消し等の懲戒処分をしたときは、その建築士の氏名等の内容を官報及び公報により公告します。(法第10条第5項、省令第6条の3)
又都道府県知事は、建築士事務所の開設者に対し登録の取消し等の監督処分をしたときは、その建築士事務所の名称等の内容を公報により公告します。(法第26条第4項、省令第22条の6)
6.建築士による名義貸し等の禁止が法定化され、これらの違反者に対する処分が強化されました。
(1)建築士が、無資格で設計又は工事監理を行っている者等に対し、自己の名義を利用させること(法第21条の2)
(2)建築士が、違反建築物の建築等の法令違反行為について指示、相談等の行為をすること(法第21条の3)
(3)建築士が、建築士の信用又は品位を害するような行為をすること(法第21条の4)
以上(1)〜(3)の行為の禁止が法定化され、(1)を行った者に対しては、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。(法第35条第6号)
7.建築士事務所の開設者による名義貸しを禁止します。
建築士事務所の開設者は、自己の名義をもって、他人に建築士事務所の業務を営ませてはなりません。(法第24条の2)
この規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。(法第35条第10号)
8.建築士の免許取消し後、免許を与えない期間が延長されました。
建築士免許の取消しを理由として、再び免許を与えない期間が2年間から5年間に延長されました。(法第7条)
9.建築士事務所の登録取消し後、登録を受け付けない期間が延長されました。
建築士事務所の登録取消しを理由として、再登録を受け付けない期間が2年間から5年間に延長されました。(法第23条の4)