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水質の保全と「豊かな海」の両立に向けた社会実験の2022年度の実施結果について

ページID:0426425 掲載日:2023年7月18日更新 印刷ページ表示

2023年7月18日(火曜日)発表

水質の保全と「豊かな海」の両立に向けた社会実験の2022年度の実施結果について

 伊勢湾・三河湾では、これまでの排水規制により水質が改善されていますが、一方で漁業生産に必要な栄養塩の不足によるノリやアサリへの影響が指摘されています。

 このため、愛知県では2022年度から2年間、三河湾沿岸2か所の浄化センターで放流水中の窒素とリンの濃度を増加させ、水質やノリ、アサリへの効果を調査する、「水質の保全と『豊かな海』の両立に向けた社会実験」を実施しています(2022年10月25日発表済)。この度、下記のとおり2022年度の実施結果をとりまとめましたのでお知らせします。

1 社会実験の概要

浄化センターの位置図

(1)実施施設
 愛知県矢作川浄化センター(西尾市港町1番地)
 愛知県豊川浄化センター(豊橋市新西浜町1番3)
(2)実施期間
 2022年11月から2023年3月まで(2022年度)
 (2023年度は2023年9月から2024年3月まで実施予定)
(3)実施内容
 実施施設の放流水中の窒素とリンの濃度の上限(窒素:10mg/L、リン:1mg/L)を国の規制値上限(窒素:20mg/L、リン:2mg/L)まで緩和して、窒素とリンの濃度を増加させる試験運転を実施。
 なお、2017年度から2021年度まではリンのみ従前の規制値上限(1mg/L)まで増加させたリン増加試験運転を実施。

2 社会実験の実施結果

 放流先の海域における窒素とリンの濃度は、過去10年の最大値を超過することはなく、また極度の赤潮の発生も確認されず、社会実験の中断条件としていた環境への悪影響は見られませんでした。

 ノリの色調や生息するアサリの量は過去5年のリン増加試験運転時と比べて良好であり、ノリやアサリへの効果があったと考えられました。

 

【矢作川地区におけるノリの色調】
 2022年度は浄化センター放流口に近い調査地点(YN-1)でより色の良いノリが得られ、過去5年と比べても良好でした。
矢作川地区におけるノリの色調

 

【矢作川地区におけるアサリ現存量(面積当たりの生息量)の推移】
 2022年​度は浄化センター放流口に近い調査地点(YA-1)で、それまでのリン増加試験運転期間と比べ、より多くのアサリが生息していました。
矢作川地区におけるアサリ現存量の推移  

 

3 今後について

2023年度も前年度と同様に社会実験を実施します。(2023年9月から2024年3月まで)

4 その他

 2022年度の社会実験の効果については愛知県栄養塩管理検討会議において検証しました。
 2024年度以降の栄養塩増加管理運転については、2017年度から2021年度まで実施したリン増加試験運転及び今回の社会実験の効果を踏まえて、愛知県栄養塩管理検討会議において意見を聴取して方向性を決めていく予定です。
 なお、リン増加試験運転及び社会実験の結果の詳細については、以下の県水産課Webページで公表しています。
 https://www.pref.aichi.jp/soshiki/suisan/eiyouenkaigi-top.html

参考

1 三河湾の窒素・リンの現状
 全窒素・全リン濃度は経年的に減少傾向にあります。

三河湾の全窒素・全リン濃度の推移  

       図1 三河湾の全窒素・全リン濃度の推移(公共用水域水質調査結果より)

2 海域における「栄養塩」とは
 ○植物の生育に欠かせない海水中の溶存物質で、特に窒素やリンが重要です。
 ○栄養塩が少ないとノリの色落ちや、アサリなどの餌となる植物プランクトン不足などが起きます。
 ○高度成長期は「富栄養化」が問題となりましたが、現在では「貧栄養化」が指摘されています。

ノリの色落ち(右) 餌不足で痩せたアサリ(右) 
     図2 色落ちしたノリ(右)    図3 餌不足で痩せたアサリ(右)

3 愛知県栄養塩管理検討会議について

 (1)目的

 2022年度から2年間実施される「水質の保全と『豊かな海』の両立に向けた社会実験」の結果を検証し、その結果を踏まえた今後の方向性を検討するとともに、海域ごとの漁業生産に必要な栄養塩濃度の提案や管理方策など、漁業生産に必要な望ましい栄養塩管理のあり方を検討することを目的とします。

 (2)概要

○ 設置時期:2022年9月
○ 構成員
  委員
  ・学識経験者(環境、水産関係4名)
  ・漁業関係者1名
  ・県(農業水産局、環境局、建設局)
  ・市町(豊橋市、西尾市、田原市、南知多町)

特別委員
・国関係機関(環境省、水産庁、国土交通省中部地方整備局)
・特別委員は検討項目に関する助言又は協力を行います。

(3)開催状況

○ 第1回愛知県栄養塩管理検討会議
   開催日 :2022年10月24日
  ​ 主な議題:社会実験の実施方法及び検証方法について

〇 第2回愛知県栄養塩管理検討会議
   開催日 :​2023年  6月26日
   ​主な議題:2022年度水質の保全と「豊かな海」の両立に向けた
        社会実験の実施結果について

○ 第3回愛知県栄養塩管理検討会議
   ​開催予定:2024年2月以降

 

このページに関する問合せ先

愛知県 農業水産局 水産課
企画・環境グループ
担当:堀木、松村
電話:052-954-6458
内線:3782、3783
メール:suisan@pref.aichi.lg.jp

愛知県水産試験場
企画普及グループ
担当:原、曽根
電話:0533-68-5196
メール:suisanshiken@pref.aichi.lg.jp

愛知県 環境局 環境政策部 水大気環境課
調整・計画グループ
担当:中原、城森
電話:052-954-6221
内線:3044
メール:mizutaiki@pref.aichi.lg.jp

愛知県 建設局 下水道課
施設管理グループ
担当:橘田、武山
電話:052-954-6463
内線:2716、2714
メール:gesuido@pref.aichi.lg.jp