Q　川や海の汚れの主な原因は何ですか？（東三河総局　県民環境部　環境保全課　Q＆A）

A

　川や海などの水の汚れの原因としては、工場などからの産業排水や畜産などからの排水のほかに、台所や風呂・トイレなど日常生活の営みから出される生活排水があります。

　水の汚れは、かつては産業排水が主原因でしたが、工場などに対する規制が強化され、排水処理対策の進んだ今日では、生活排水が汚れの大きな原因となっています。

　河川の水質については、長期的に見ると改善傾向にありますが、海域については長期的に見ると横ばいで推移しています。

　伊勢湾・三河湾は外海水と水の交換が悪い閉鎖性水域であることから、河川に比べ改善が困難になっています。

（グラフ）発生源別に見た汚れの割合

　下の表に主な食品の汚れの程度を示します。

　これらの食品をそのまま流した場合、コイやフナなどの魚が住める水質(BOD値5mg/l以下)にするには、浴槽(300l)何杯もの水が必要となります。

　また、これらの食品には、栄養塩類である窒素や燐が含まれており、伊勢湾などの閉鎖性水域に大量に流れ込むとプランクトンを増殖させ赤潮を発生させる原因となります。

（表）主な食品の汚れの程度

　私たちが1日に流す汚水の量は、一人あたり約250lになりますが、そのなかには40gの汚れが含まれています(BOD負荷量)。なかでも、生活雑排水からの汚れが27gと、およそ7割を占めており、一人ひとりが流す汚れは小さなものでも、それが集まると、大変な量の汚れになります。

　このことからも生活雑排水を未処理のまま流すと、水質汚濁の大きな原因となることがわかります。

　*生活難排水とは、生活排水のうち、し尿を除いたものをいいます。

（グラフ）1人1日あたりの汚濁物質排出割合

• 流しの排水口には、目の細かいストレーナーを付けましょう。
• 排水口が小さくて、ストレーナーを設置できない流しでは、三角コーナーや水切りネットなどを備えましょう。
• 水切りネットのかわりに、不用になったガーゼ、ストッキングを利用することもできます。
• 食器についた油などの汚れは、ゴムベラ、キッチンペーパーなどで拭き取ってから洗うようにしましょう。洗う時の水や洗剤の量が少なくすみます。
• キッチンペーパーのかわりに新聞紙、いらなくなった雑誌などを利用するのもよいでしょう。
  流しの排水口に1mm目のストレーナーを取り付けた場合、排水の汚れを2～3割程度きれいにする効果が認められています。
• みそ汁などは、作り過ぎて捨てることのないように心がけましょう。残った場合は、吸収材に吸わせて捨てましょう。吸収材のかわりに新聞紙やぼろ布を利用するのもよいでしょう。
• 米のとぎ汁は、食器洗いに使ったり庭や畑にまきましょう。
• 調理くずなどは、コンポスト化するなど土地に還元すると肥料になります。
  専用の排水処理システムが付いていないディスポーザー(生ごみ粉砕機)は、台所の生ごみをそのまま排水管に流すことになるので、使わないようにしましょう。

使用済み食用油の適正な処理方法は？
　使用済みの油(500ml)を捨てると、魚が住める水質にするのに、浴槽330杯もの水が必要です。

• 油は、できるだけ使い切るようにしましょう。
• 油は、揚げ物に10回程度は十分使えます。また、揚げるときには、温度を上げすぎないようにし、冷暗所に保管すると長持ちします。
• やむをえず残った場合は、吸収剤や牛乳パックに入れた新聞紙などに吸わせて可燃ごみとして処理するか、あるいは石けん作りなど資源の再利用に役立てるなどして、水といっしょに流さないようにしましょう

洗濯をするときには？
　洗剤は、正しく計って使いましょう。

• 洗剤は、適量以上にたくさん使ったところで洗浄力は大きくなりません。使いすぎは、洗剤のムダであるばかりか、川や海を汚すことになります。
• シャンプーや住まいの洗剤などについても、使用上の注意をよく読んで、使いすぎなどのないように適正に使用しましょう。

家のまわりでは？

• 側溝、排水路に汚泥がたまると腐敗して悪臭を放つことがあります。放流ますとともに家の周りの清掃に併せて、自治会や町内会など地域ぐるみで、定期的に一斉清掃をしましょう。

• 合併処理浄化槽は、し尿と生活雑排水の両方を処理する浄化槽で、し尿だけを処理する単独処理浄化槽に比べて生活排水の汚れを大幅に少なくすることができ、河川等の水環境を守るためにもたいへん有効です。
• 合併処理浄化槽への転換を促進するために、設置費の補助や融資の制度がありますので、合併処理浄化槽への転換に努めましょう。
  （補助制度については、お住まいの市町村の窓口にお問合わせください。）

浄化槽の正しい維持管理

• 浄化槽は、保守点検や清掃を適切に行いましょう。また、法律で定められた水質検査（法定検査）を年に一度必ず受けましょう。
• 浄化槽は、微生物の働きで汚水処理を行うため、便器はぬるま湯で洗うなど、薬品などは使わないようにしましょう。

川や海の環境を守る合併処理浄化槽への転換を進めましょう。

　未だに多くの生活難排水が、処理されずに川や海にたれ流しにされています。各家庭で、し尿のみでなく生活雑排水も下水道と同等に処理できる合併処理浄化槽の普及を進めています。

• 環境に優しい生活を目指し、地域ぐるみで単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換に取り組みましょう。

　主な生活排水処理施設として、主として市街地の家庭からの排水を処理する下水道、各戸に設置し、し尿と生活雑排水を併せて処理する合併処理浄化槽、農村集落の家庭からの排水を処理する農業集落排水処理施設、団地などの地域単位で家庭からの排水を処理するコミュニティ・プラント、漁村集落の家庭からの排水を処理する漁業集落排水処理施設があります。

　このうち、下水道の普及率は72.0%（平成22年度末）で、この他、農業集落排水処理施設やコミュニティ・プラントの整備、合併処理浄化槽の設置も進められています。

　愛知県では、平成16年3月に「全県域汚水適正処理構想」を見直し、これにより生活排水処理施設の適正な整備の推進を図っています。

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