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令和元年度消費者教育推進フォーラムを開催しました
令和元年度消費者教育推進フォーラム
愛知県では、毎年「消費者教育研究校」を指定し、消費者教育の実践授業を行うほか、その成果を「消費者教育推進フォーラム」を通じ広く紹介することで、学校現場等における実践的な消費者教育を支援しています。
今年度は、2022年の成年年齢引下げを見据えた消費者教育のあり方について考えることを目的として開催しました。
本フォーラムでは、椙山女学園大学の東珠実教授が「成年年齢引下げと消費者教育~『社会への扉』を活用した効果的な実践方法とは~」と題した基調講演を行いました。引き続き行われたパネルディスカッションでは、消費者教育研究校(高等学校及び特別支援学校)の教員による「社会への扉」を活用した実践授業の報告を基に、これからの消費者教育のあり方や外部講師を活用した効果的な授業の組み立て方について意見交換が行われました。
愛知県では、本フォーラムの内容を踏まえ、今後も実践的な消費者教育の推進に取り組んでまいります。
1 日時・会場
日時:令和元年11月1日 金曜日 午後2時から4時20分まで
会場:ウインクあいち 小ホール2
2 来場者数
3 プログラム
1 開会挨拶
県民生活課長
2 基調講演
「成年年齢引下げと消費者教育」 ~「社会への扉」を活用した効果的な実践方法とは~
講師 椙山女学園大学 現代マネジメント学部
教授 東 珠実 氏
3 パネルディスカッション
「これからの消費者教育のあり方について」 ~外部講師を活用した効果的な授業の組み立て方~
コーディネーター 椙山女学園大学 現代マネジメント学部
教授 東 珠実氏
パネリスト 愛知県立知立高等学校(公民科) 教諭 田中見佳 氏
愛知県立加茂丘高等学校(家庭科) 教諭 安達容子 氏
愛知県立岡崎商業高等学校(商業科) 教諭 岡本仁絵 氏
愛知県立名古屋聾学校(総合的な学習の時間) 教諭 三島宏典 氏
4 閉会
4 開催概要
〇東教授による基調講演
基調講演において、東教授からは、国等における消費者教育の取組状況について紹介いただくとともに、「社会への扉」を活用する際には、新学習指導要領の「社会に開かれた教育課程」、「アクティブラーニングの活用」を意識することが大切であること、また、生徒が自分の意見を持って話し合い、それを基に行動を変えていくことや、自分の行動の変化によって社会全体を変えられるのだと気が付くような指導の在り方が大切であることが述べられました。
〇パネルディスカッション
外部講師を活用した授業や「社会への扉」の活用方法等について、以下のような報告がありました。
【消費者教育実践全体の工夫】
・消費者教育には、消費者トラブルの対処法の学びだけで終わってしまったり、アクティブラーニングの実施そのものが目的化してしまうという課題があるため、学習の目標を明確にして授業計画を立てた。
・学習内容については、学内で発信するとともに、新聞にも投稿し、自分たちの学びを社会へ発信することの大切さについても学ばせた。
【外部講師を活用した効果的な実践方法の工夫】
・愛知県の講師派遣事業を活用し、前年度と同じ講師(弁護士)に依頼することで、取組を継続しながら、レベルアップした内容で実施する工夫をした。
・外部講師(県消費生活相談員)による授業では、消費者トラブルの対処法について生徒に発表させ、講師からゆさぶりをかけてもらったり、助言をもらうことで、知識の定着に繋げた。
・市の広報誌へ啓発記事を掲載する取組において、外部講師(県消費生活相談員)の授業によって事前の知識習得を図るとともに、生徒一人一人が消費者トラブルを自分事として考える機会を設けた。原稿作成に当たっては、市の広報課職員と一緒に作成作業をすることで、生徒のやる気や学びにつながった。
・手話通訳者へ事前に講座内容(専門用語等)を伝えるため、講師(県消費生活相談員)との早めの打ち合わせ(内容検討や資料の作成)を心掛けた。
【「社会への扉」の活用】
・「社会への扉」のクレジットカードの項目では、数学科と連携し、リボルビング払いの学習(計算)を実施した。
・「社会への扉」等を活用した書き込み式のワークシートを作成し、消費者トラブルに遭った場合の対処方法について保護者に聞き取りをさせたり、学習内容を家族に伝える課題等で活用した。
【今後の消費者教育、行政へ求めることについて】
・消費者教育を継続的に実施するためには、外部講師の活用、他教科との連携、専門的な機関が作成した教材を活用するなど、教員が良い意味で『楽をする』ことが大切。消費者教育だけに多くの時間を割けない場合は、ポイントを絞った知識の習得や家庭での学習(宿題)を活用するとよい。
・今後も様々な教科や外部の機関と積極的に連携し、学校の中だけではなく、様々な機関を巻き込んで継続的に消費者教育を実施していきたい。
・主体的に行動できる消費者市民の育成を目指し、自分自身が研鑽を積み、状況の変化に対応できる教員になりたい。
・生徒からの発信からだからこそ社会に伝わることもあるのだと実感した。高校生から継続的な情報発信ができる仕組みを作れたらと思う。
・研究校としての取組内容を他校に伝えられるようにしていきたい。
・行政には、必要な情報をいち早く伝える仕組みづくり(位置情報を利用した情報発信等)を検討していただけるとありがたい。
・「社会への扉」は高校生向けの内容となっているが、障がいを有する生徒のために、小学生でも理解しやすい内容のものも作成いただけるとありがたい。
【コーディネーター(東教授)コメント】
・消費者教育の実施に当たっては、地域にある教育資源を有効に活用することや、学んだ内容を自身の行動につなげ、それによって社会的課題の解決に自分も参画するのだという事を認識させる工夫が大切。
・外部講師の活用については、担当の先生がコンセプトを持ち、生徒のニーズを把握した上で、専門家との打ち合わせを十分に行い、実践的かつ生徒がやる気を持って取り組める内容の検討を行うことが必要。
問合せ
愛知県 県民文化局 県民生活部 県民生活課
消費生活相談・消費者教育グループ(横溝)
電話052-954-6603(ダイヤルイン)
E-mail: kenminseikatsu@pref.aichi.lg.jp