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高等学校地理歴史科初任者研修で出前授業を行いました

ページID:0614149 掲載日:2025年11月12日更新 印刷ページ表示

 調査研究課の城ヶ谷です。
 10月28日にあいち朝日遺跡ミュージアムで行われた令和7年度県立高等学校地理歴史科初任者研修で出前授業を行いました。
 地理歴史科初任者の先生方を前に「ものつくり大国あいちの源流~土器から歴史を考える~」というテーマで、1時間半ほどお時間をいただき、あいちにおける土器(焼きもの)づくりの歴史について授業を行いました。
 愛知県は製造品出荷額が半世紀近くも第1位を保っている日本一のものつくり県であると言われています。さらに歴史を遡っていくと古代・中世においてもダントツの日本一であったと推定されます。
 その理由は焼きもの生産の存在です。平安時代には名古屋市東部から西三河西部にかけて所在した猿投窯(さなげよう)で、日本初の本格的な釉薬を掛けた焼きものである灰釉陶器(かいゆうとうき)を開発し、全国各地に製品を供給していました。
 中世には日本遺産にもなっている「日本六古窯」と呼ばれる代表的な窯場が6ヶ所誕生しますが、その内の2ヶ所は県内瀬戸窯・常滑窯で、どちらも全国各地に製品を搬出しています。また、残り4ヶ所の内、備前窯(岡山県)を除く、信楽窯(滋賀県)・丹波窯(兵庫県)・越前窯(福井県)の3ヶ所はいずれも常滑窯の技術を導入して生産が始まったとされています。このように愛知県は古代・中世において、生産面、技術面で常に日本の焼きもの生産の中心的な存在でした。
 授業ではこのような焼きもの生産の流れやそれぞれの時代における政治や経済、文化とのかかわりなどについてお話しました。終わりには県内の遺跡から出土した縄文時代から江戸時代までの土器・陶磁器を実際に手に取って観察し、時代順に並び替える演習をおこなっていただきました。
 初任者の先生方は長い時間にもかかわらず、随時メモを取りながら熱心に取り組んでおられました。ぜひ、このような愛知の郷土史の特色を知っていただき、今後の授業に活かしていただければと思います。

初任者研修の講義の様子です。

授業風景 後ろには各時代の焼きものが並びます。

縄文時代から江戸時代までの土器・陶磁器を時代順に並び替えています。

土器を手に取って観察したり、相談したり…並び替えはなかなか難しいようです。