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第41回「全日本中学生水の作文コンクール」愛知県表彰 優秀賞 『人災を封じ災害を防ぐ』

ページID:0245747 掲載日:2019年7月24日更新 印刷ページ表示

『人災を封じ災害を防ぐ』  扶桑町立扶桑中学校 2年 真野 聡真(まの そうま)

 ある日、ふとテレビを見たら、愛知県知多市にある佐布里池のトピックスが放送されていた。その内容は驚くべきものだった。なんと、大きな調整池の水を全て抜くというもの。私はその番組を見て一体どういう意味なのかと好奇心に後押しされすぐに佐布里池を訪れた。到着するやいなや、池の水位が低くなっていることに気がついた。写真と比べるとその差は歴然である。池のほとりを歩いていると、一つ疑問が浮かんできた。

「何故この広大な池の水を抜くのか」

近くにある資料館の職員の方に尋ねると、どうやら堤体の補強工事の為だという。又、その資料館には、愛知用水の建設に関わり佐布里池の建設にも携わった男性が来館されており、その方曰く、

「元々ここの場所は池の建設に適しておらず、避けるべきだと言ったが、そのまま工事が進んでいった」

という。自然災害が急増している昨今、耐震性や強度を見直し、池周辺や下流の人々が安全に暮らす為に改良を続けていかなければならない。又これらは池やダムだけではなく、街の施設や各家庭でも重要なことであると感じた。

 そんなことを思っている矢先に、私は驚愕のニュースを目にした。ブラジル南東部のミナスジェライス州の鉱山用ダムが決壊し、死者・行方不明者あわせて350人を超える痛ましい事件だ。これは、地震や豪雨などの自然災害によるものではない。管理会社が決壊の危険があることを知りながら対応をしなかったという。又、決壊時に周囲に避難を促すサイレンも、一切作動しなかったという。防ぐこともできたであろうこの事件によって多くの尊い命が奪われ、老若男女の夢が瞬く間に消し去られたことに、憤りを感じた。この事例と前述の佐布里池を照らし合わせると、佐布里池の補強工事がいかに重要であるかが手にとる様に分かる。私はこの事件を教訓として、一刻も早く世界各国で同状況のダムやため池の整備がされ、「人災」によって失われる命を一人でも多く守ることの取組がなされることを切に願う。

 「人災」は防ぐことはできても、「自然災害」は、完全に防ぐことは困難である。だが、それに備えることはできる。2年前、九州北部豪雨が発生した。連日メディアで放送される映像は普段私達があらゆる所で使っている水が突然と姿を変え、容赦なく街を襲い人々を飲み込む化物へと豹変したのだ。そんな中、福岡県朝倉市にある寺内ダムは洪水を貯水し大量の土砂や流木が下流への流出を防ぎ、被害の拡大を食いとめた。これは、備えが功を奏し、多くの命を救ったのだ。しかし翌年、台風7号によって起きた、西日本豪雨では、愛媛県西予市などのダムで、想定を遥かに上回る雨量により安全基準の6倍という異例の洪水が下流へ流された。又、住民への避難を促すスピーカーが異常な降雨の為聞こえなかったという。これらにより、9人の命が奪われた。ダムは、あらゆる「想定外」を考慮し、建設されているが、今回その想定を上回る雨量により人々の命を奪う事態となった。今回を教訓とし、様々な事態に対応するキャパシティーを広げ、同じことを繰り返さない様に次代に引き継いでほしいと感じる。

 前述の如く、私達が生きる為に必要であり、日々当たり前のように使っている水は、時として、人の命を瞬く間に奪う。そんな水がもたらす水害に対応する為、私達ができることは、水について知ること。いつ起きるか分からない災害に各家庭で万全の備えをし、様々な想定で家庭や友人と話し合う。このような一人一人の意識によって、自然災害が無くなること、災害が起きた時に多くの人が救われることを、心より願う。

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