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広域担当の普及員情報(病害虫)
病害虫の情報
病害虫検査・判定能力の向上に向け普及職員研修を実施(2012年11月)
本年度の10月末日までの農業改良普及課からの病害虫検査依頼件数は55件で、その内訳は、作物6件、野菜19件、花き25件、果樹5件であった。特に野菜と花き病害虫の検査依頼件数は全体の80%を占めている。農業者に迅速な対応を指導するためには、園芸担当普及指導員の診断能力の向上が課題となっている。
広域指導室では、病害虫研究室、病害虫防除室の協力のもと、各農業改良普及課における病害虫検査・判定能力の向上と迅速な防除指導を目的に、野菜および花き担当の採用2~3年目の職員を対象にして「病害虫同定・診断研修」を10月23、26日に農業総合試験場で実施した。講義では、農薬取締法、ウイルス・細菌・糸状菌の基礎知識、難防除害虫について説明を行った。実習では、素寒天培地の作成や、各自が持参した病片の病原菌分離とその検査・判定、主要な病原菌であるピシウム菌、疫病菌、リゾクトニア菌などについて、顕微鏡やビデオモニターによる形態観察、LAMP法によるトマト黄化葉巻ウイルスの検定、電子顕微鏡によるタバコモザイクウイルスの観察をした。また、各種アザミウマのプレパラートを作成し、顕微鏡観察により、種の同定技術の習得等を行った。受講者は、実習が多かったので、現場ですぐに役立てそうだと話していた。
広域指導室では、今後も病害虫検査・判定が正確かつ迅速にできるよう、普及職員の能力向上に向けた支援をしていく。
写真 病原菌分離の実習
写真 LAMP法の実習
チャ、サザンカ、ツバキ等に発生するトゲコナジラミはチャトゲコナジラミに名称変更(2011年7月)
本県で2010年にチャ、サザンカ等で生息が確認されたミカントゲコナジラミ(チャ系統)は、これまでミカントゲコナジラミ Aleurocanthus spiniferus (Quaintance) と同一種とされていたが、餌植物が異なることや、形態的にも様々な違いが認められたり、両種間で交雑しないことなどから、2011年にチャ寄生性の系統が新種として記載された。和名はチャトゲコナジラミ、学名はAleurocanthus camelliae Kanmiya & Kasai、英名はCamellia spiny whiteflyとなった。
チャトゲコナジラミ 左:成虫 右:幼虫