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育成品種 作物15
稲「峰の星」
峰の星
「いもち病」は、葉や穂などに発生し品質や収量が大きく低下するため、米生産にとって最も被害が大きい病気です。特に、夏が涼しく、日照時間の短い中山間地域で多く発生します。
愛知県農業総合試験場は、「いもち病」に極めて強く、食味の優れた水稲品種「峰の星」を開発しました。この品種は、DNAマーカーを利用することで、本県では初めて、「いもち病」に強い遺伝子を2つ備えています。本品種は、「いもち病」の農薬防除が不要となるため、中山間地域で普及が期待されます。
「峰の星」の特徴
- 「いもち病」に極めて強いため、いもち病の農薬散布は不要です。
- 収穫時期は、「峰ひびき」、「あきたこまち」とほぼ同時期で、中山間地域では8月下旬から9月上旬です
- 食味は、柔らかく粘りがあり、「峰ひびき」より優れ、「あきたこまち」とほぼ同等です。
「峰の星」の開発の経緯
愛知県中山間地域の標高650m以上の地域では、奨励品種「峰ひびき」の他、平坦地奨励品種の「あきたこまち」が栽培されています。しかし、両品種ともに「いもち病」に対する抵抗性が十分でなく、収量、品質が不安定であることから、新たな品種開発が望まれていました。
農業総合試験場山間農業研究所では、平成18年から「いもち病」に極めて強く、極早生でおいしい品種の開発に取り組みました。特定のいもち病抵抗性遺伝子の有無を見分けることができるDNAマーカーを用いることで、複数の抵抗性を持つ個体を効率的に選抜し、短期間で品種開発を行うことができました。