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検体中の核酸を回収する方法

ページID:0375483 掲載日:2022年2月4日更新 印刷ページ表示

検体中の核酸を回収する方法(特願2021-179373)

要約

 近年、環境DNA分析(※1)により、水中や土壌中の生物の生息状況等を把握する技術開発が進んでいますが、従来の分析法では、DNAの分析にあたり専用の機器を使い、多くの時間と費用をかけてDNAを濃縮する必要がありました。本発明は、特殊な機器などを使わず、河川やため池などにいる生物や土壌中の微生物などのDNAを極めて簡単に濃縮・回収できる画期的な技術です。

※1 環境DNA分析:海や川・湖沼・土壌などにはそこに生息する様々な生物のDNAが残っています。環境中のDNAを遺伝子解析することで、生物の種類やおおよその生息量を推定できます。

特徴/セールスポイント

 SGF(Suspended Glass Fiber)法は、細かく砕いて水に混ぜたガラス繊維のDNAを吸着する性質を用いてDNAを濃縮・回収する技術です。従来法と比べて、採水からDNAの抽出までの時間及び1検体当たりのコストをそれぞれ2分の1及び10分の1とすることが可能です。
 また、SGF法はウイルスを含む多様な生物種のDNAやRNAの分析に適用できることが想定されるため、目的とした生物が環境中にいるかどうかを調べる技術として様々な分野での活用が期待できます。

主な応用分野/市場動向

 環境DNA分析に限らず、様々な用途のDNAの濃縮や抽出に活用できる可能性があります。例えば、動植物の遺伝子解析やウイルスやバクテリアを含む病原体の検出などが想定されます。また、本技術に特化したDNA抽出キットとしての製品化も期待できます。

提供する技術内容

 ガラス繊維をDNA吸着材として利用します。ガラス繊維ろ紙を水中で破砕して懸濁状に加工し、検体の水(土壌懸濁水も含む)に少量混ぜます。検体中の極微量のDNAが速やかにガラス繊維に吸着・捕捉されるので、ナイロンメッシュなどのフィルターを使って、ガラス繊維を回収し、市販の試薬でDNAを抽出します。この方法で抽出したDNAは従来のPCR法だけでなく、より簡易かつ迅速に遺伝子を診断できるLAMP法(※2)でも分析できます。ガラス繊維の加工や、フィルターを使ったガラス繊維の回収などは、特別な設備がなくても容易にできます。また、DNA分析にLAMP法を適用することで、従来よりも極めて短時間で環境DNA分析を行うことができます。

※2 LAMP分析法:栄研化学株式会社により開発された核酸増幅法(DNAやRNAのごく一部を人工的に大量に増やす技術)の一つ。65℃程度の一定の温度(等温)で連続的に増幅反応が進むため、特別な分析機器が不要です。迅速かつ簡易な遺伝子診断法として国内外の医療や農業などに広く活用されています。

開発状態

 SGF法に適したガラス繊維ろ紙の規格および添加量、ガラス繊維ろ紙の加工方法、ガラス繊維を回収するためのフィルターの孔径や回収方法などを明らかにしています。これまでに魚類3種、貝類3種、水生植物2種の環境DNAおよび土壌中の病原バクテリア1種をSGF法で回収し、それぞれ検出できることが確認されています。

図表

図

                   図 本発明と従来技術の比較図

開発機関

 農業総合試験場

問合せ

愛知県知的所有権センター
電話 0561-76-8318
FAX  0561-76-8319

愛知県 経済産業局 産業部 産業科学技術課 (研究開発支援グループ)
電話 052-954-6370
FAX  052-954-6977