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トラフグ放流技術開発

ページID:0349331 掲載日:2023年1月10日更新 印刷ページ表示

トラフグ資源と漁獲量の増大、安定化のために

トラフグは愛知県では主に底びき網漁業はえ縄漁業で漁獲されます。底びき網漁業は周年、伊勢・三河湾内から外海にかけて、はえ縄漁業は10月~翌年2月まで主に渥美外海で操業します。愛知県のトラフグ漁獲量は農林水産統計で集計が実施された平成13~18年のうち実に4度、全国1位に輝いています。また、トラフグは「あいちの四季の魚」の冬の魚にも選定され、冬の味覚として親しまれています。

全国有数の漁獲量を誇る愛知県のトラフグですが、漁獲量の年変動は激しく、例えば、はえ縄漁業では少ない年(平成8年度)に8トン、多い年(平成14年度)に140トンとなっています。そこで、トラフグ資源と漁獲量の増大、安定化を図るための種苗生産種苗放流資源管理について研究および技術開発を行っています。

種苗生産については最適な餌料系列や収容密度を検討し、平成17年度からの栽培漁業センターでの種苗生産に活かされています。種苗放流については、最適な放流場所と放流サイズを明らかにするため、愛知・三重・静岡県及び(独)水産総合研究センターと共同で、イラストマー標識¹(平成22年度まで実施、図1)及びALC標識²(図2)を用いて人工種苗の追跡調査を実施しています。その結果、放流適地は伊勢湾では野間~常滑沖、三河湾では矢作川河口域であり、最適放流サイズは体長約45 mmであることが分かりました。近年は全長35~45 mmの種苗を10万尾以上、野間沿岸域、矢作川河口域に放流しています。

資源管理については、市場で測定したトラフグの全長データと集計した漁獲量データから年齢別の資源量を推定することで効率的な操業管理に役立てています。また、平成14年度からは、はえ縄漁業の操業計画の参考とするため、前年度の漁獲実績と試験操業の結果から来る漁期の漁獲量を推定しています。

イラストマー標識を装着したトラフグ

図1 イラストマー標識を装着したトラフグ

耳石のALC標識(赤く光っている部分)

図2 耳石のALC標識(赤く光っている部分)

1 イラストマー標識

 注射器を用いて魚の皮下に蛍光シリコーンを注入する標識方法です。この標識は、従来の体外型標識に比べ、脱落や魚の行動に対する影響が少なく、市場調査で専用の青色4-LEDライトとサングラスを用いることにより標識魚の判定が出来ること、また放流場所により標識の色を変えることによって放流場所が容易に特定できることが特徴です。

 

2 ALC標識

 アリザリンコンプレクソンという試薬を用いて、魚類の耳石(平衡感覚を司る感覚器官で、炭酸カルシウムを主成分とする)や鱗などの硬組織を染色する標識方法です。蛍光顕微鏡で観察すると染色された部分が発光します。イラストマー標識が困難な小型種苗にも使用できます。


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