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アサリ資源回復技術

ページID:0434968 掲載日:2023年1月10日更新 印刷ページ表示

アサリ資源回復技術

アサリ(Ruditapes philippinarum)は、伊勢・三河湾をはじめ我が国の内湾域に生息する二枚貝で、食用にされるとともに潮干狩りなどでもなじみの深い貝です。しかしながら、国内のアサリ漁獲量は減少傾向にあり、年間1万トン前後を維持してきた愛知県でも2014年以降に漁獲量が急激に減少しました。現在でも、かろうじて全国1位(令和元年農林水産統計)の漁獲量ではありますが、アサリ資源回復に向けた取組が必要です。

当グループでは、本県アサリの資源回復を図るため、減少要因の解明や資源管理、保護対策技術などに関する試験研究や調査を行っています。

アサリ稚貝

アサリ資源減少要因の解明

アサリ資源回復に向けた対策を講じる上で、「いつ?どうして?」、アサリが減ってしまうのか明らかにする必要があり、アサリ資源の動態について漁場環境とともに調査を行っています。

特にアサリの資源形成に重要であることが分かってきた「秋冬季減耗」を回避するため、活力の指標となる「肥満度」や「成熟度」に着目し、餌である植物プランクトンの量や栄養塩水準との関連について検討しています。

また、当グループでは、アサリ浮遊幼生だけを光らせて判別する手法(アサリ幼生特異的モノクロナール抗体を用いた間接蛍光抗体法)を独立行政法人水産総合研究センター(現国立研究開発法人水産研究・教育機構)瀬戸内海区水産研究所と共同して開発し、この方法により2000年代から浮遊幼生量を継続してモニタリングしています。

アサリ漁業者は天然稚貝を漁場に移植し資源回復に努めています。当グループでは、漁業者さんと共同で移植稚貝の追跡調査や資源管理に資するための資源量モニタリングも行っています。

 

 

水中の観測器アサリ幼生の顕微鏡写真

左:秋のアサリ調査における観測器の設置     右:二枚貝浮遊幼生の顕微鏡写真
  (三河湾衣崎沖ですが透明度が高く餌が少ない)  (緑色に光っているのがアサリ幼生)

アサリ保護対策技術の開発

三河湾の河口干潟には天然のアサリ稚貝が大量に発生し、漁業者はその稚貝を採捕し漁場に移植することにより、アサリ資源の維持増大に努めてきましたが、近年では生き残りが悪く、漁獲に結びつけるためには人為的にアサリを保護する方策を漁場に展開する必要性が高まっています。

そこで当グループでは、アサリ稚貝の生残を高め大規模に漁場として機能させるための砕石覆砂技術の開発及び効果調査を実施しています。漁具使用の支障とならない小粒の7号砕石(粒径2.5~5mm)を造成材料として漁場に敷設することで、生息できるアサリの現存量が向上することが確認できました。

 

圧送ポンプによる施工海底面の砕石

左:圧送ポンプによる砕石散布       右:砕石敷設後の海底面の様子

また、魚類による食害や秋冬季減耗を軽減するために、漁業者は被覆網等の保護管理策に取り組んでいます。しかしながら、維持管理や撤去等に対する労力や漁具使用に支障があることが課題です。そこで、作業労力が少なく漁具で漁獲する技術とするため、海水中の微生物等により分解される生分解性素材を用いたアサリ保護資材の開発・実証試験を民間企業と連携して進めています。
被覆網の様子生分解性網袋

左:生分解性素材による被覆網      右:生分解性(ジュート麻)網袋によるアサリ保護育成         

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電話: 0569-65-0611
ファックス: 0569-65-2358